09/08/21 09:38:27
最後の授業が終わって、教室の中はいっそうに騒がしくなる。
部活の準備をする子や、集まってどこへ行こうかとはしゃぐ子。
さっさと帰っていく子、そのまま教室に残ってダベる子。
これからどうしようかな、なんてことを考えながらかばんの中に教科書をつめる。
その時、ポケットの中で振動するケータイに気づいた。
「メールかな」
サブディスプレイに示されているのは彼氏の名前。
なんだろう。今日は予備校だと言っていたはずだ。
嫌だな…。この間あいつの家に行ってから3日も経ってない。
「アスカぁーーっっ」
「!!」
教室中に響く、あたしの名前を叫ぶ間抜けな声にびっくりしてあたしは思わず顔をあげた。
声のした方を見れば、シンジが情けない顔を貼り付けながらあたしに駆け寄ってくる。
「な、なによ…そんな大きな声出して呼ばないでよっ」
教室に残っているクラスメイトからくすくすと忍び笑いが聞こえて、あたしは恥ずかしさに小さくなった。
「お願いします手伝ってくださいアスカ様」
懇願するように、あたしの前で膝をついて手を合わせる半分涙目のシンジ。
身長がある分見た目には決まっていて、それが逆におかしかった。
「なにをよ」
どうせろくなことじゃないだろうけど、一応聞いてやる。
「英文訳」
「あんたねえ!あれほど、ちゃんとやりなさいって言ってあげたじゃない!!なにやって…」
「あ、アスカ!声、声!」
351:キンモクセイ
09/08/21 09:41:25
シンジが慌てたようにあたしの口を塞ごうとする。
しまった。
呆れて思わず、さっきのシンジ以上の大きな声で叫んでいた。
慌てて周りの様子を見れば、教室中の視線があたしたちに注がれていた。
さらに小さくなって、こそこそとさっきの続きを言う。
「…だいたい、提出期限過ぎてるじゃない」
「…先生の温情で17時まで引き延ばしてもらったんだよ。お願い!手伝って!」
「嫌!自分の力で頑張りなさいよ」
「あーすーかぁー」
「嫌なもんは嫌。あたし関係ないもん。さーて、帰ろ帰ろ」
「パフェでどうだ」
「のった」
ロイホのホットファジーサンデーでよろしく。
了解。交渉成立だね。
ぐっとふたりで腕を組み交わす。
あたしはシンジとフェアな関係にいたいだけで、パフェに釣られたわけじゃない。
断じて。
そう、誰に聞かせるでもなく心の中で呟いて、シンジとふたりで図書室に向かう。
さっきのメールのことは、頭の隅に追いやられてしまっていた。
352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:41:30
きたあああああああああああああああああああああああ!!!!!
353:キンモクセイ
09/08/21 09:47:58
窓から吹き込む風は緩い。日の陽気に照らされて優しさを含んでいる。
その気持ちよさにあたしは目を細めた。
「アスカ、ここは?」
「…って、さっきからほとんどあたしが訳してるじゃない」
「大丈夫。バレないように、時々わざと間違えて書いてるから」
「…小賢しいわね」
「トウジに教わった生きるための知恵です」
ノートに向き合ったままで、シンジが笑いながら答えた。
あたしはわざとらしく、大きくため息をつく。
違う高校に通うシンジの悪友は相変わらず、ろくな事しか教えないみたい。
放課後だと言うのに図書室の中の人影はまばらで、それをいいことに一部の生徒たちが暇つぶしにお喋りしている。
外からは部活動に励む生徒たちの声が響いていた。
決して静かで良い環境とは言えないけど、それが妙に心地いい。
そもそも勉強したい人は図書室ではなく冷暖房の完備された自習室へ行くのが、この学校では当たり前みたいになっているから問題はなかった。
シンジのペンを走らせる音さえも、ざわめきの中ではかき消えていく。
「ねぇ、ここは?」
「えっと…」
次々とノートに綴られていく文字たちは綺麗で女性的で。
シンジらしくて、あたしは嫌いじゃない。
顔は反して、必死の形相に彩られていたけれど。そのギャップにあたしはくすりと笑った。
シンジの垂れた前髪がさらりと揺れる。
「…なに笑ってんの?」
「あんたの顔を見て」
なんだよそれ、とシンジが顔をあげる。
354:キンモクセイ
09/08/21 09:51:30
「わるかったなあ。平々凡々な顔で」
「あら、ユイおばさんに似て綺麗で可愛い顔してるって評判じゃない」
親戚に会うたびに相変わらず可愛いわねぇ、と言われる話を何度も愚痴のように聞いたことがある。
「17の男がそんな風に言われて嬉しいとでも?」
眉をひそめてむくれる。
そういう子どもっぽい仕草が余計に幼く見せるってシンジは気づいてるのかな。
「だったら、おじさんに似れば良かったの?」
「それは勘弁…」
仏頂面で強面で目つきが悪くて高圧的な髭面。
もっぱらユイおばさんの尻にひかれているけど、見た目だけならまるでマフィアのボスみたいなおじさん。
小学校の授業参観にたまたまおじさんが来たばっかりに、クラス中が大騒ぎになったのを思い出した。
シンジのやつ、しばらくボスの息子として畏れられてクラスメイトから敬遠されてたっけ。
父さんのばかぁー!どうしてくれるんだよ!、とシンジがおじさんに泣きついておじさんが困ったように謝っていた光景が、今でも鮮明に思い浮かぶ。
「なにニヤニヤしてんだよ」
「ん?髪質と…あと目元は少し似てるかなって。中年になればおじさんに似てくるんじゃない?」
「げっ!?それ本当!?僕、将来ああなるのか…」
両手で顔を抑えて青ざめるシンジがおかしくて、あたしはお腹を抱えた。
そんなに嫌なんだ。
「ちぇ…そんなに笑うなよ」
拗ねたように口をすぼめながら、シンジが呟く。
「あははっ…でも、渋くていいじゃない?あんたも昔と比べたらちょっとは男らしくなったもんね」
笑いすぎて滲んだ涙をぬぐう。
むー、とシンジがまたむくれた。
ふと、シンジの顔が真顔に戻る。
「アスカはさ」
「ん?」
左手に持つペンがくるくると回る。
頬杖をついて、あたしを見つめて。
355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:53:38
何?何?どきどきする!!
356:キンモクセイ
09/08/21 09:56:27
「アスカは……。アスカは、どんどん綺麗になっていくね…」
はにかみながら、そう言われた。
「へ?」
「日を追うごとに綺麗になって…僕、それが眩しくて…アスカは本当にアスカなんだろうかって、時々真っ直ぐにアスカを見れなくなる」
あたしは一瞬なにを言われたのか分からなくて、呆然として。
それから燃えるように頬が熱くなったのを感じた。
「ば、ば、ばっかじゃないの!?あ、ああ、あんた何言ってんの!?」
机に突っ伏して両手で顔を隠して、あたしは叫んでいた。
なんで、なんで。
急に何を言い出すのよこいつは。
シンジの言葉にこんなに顔を赤くしてる自分が恥ずかしくて、馬鹿みたいで。
言われ慣れた言葉でも、こいつに綺麗だなんてと言われたのは初めてだったから。
嬉しさと複雑さに頭がぐちゃぐちゃになる。
大きく鼓動する心臓の音があたしの中で響き渡った。
「なーんちゃって」
「………………へ?」
なんちゃって?
その言葉にゆっくり顔をあげる。
その先で、頬杖をついてニヤニヤしたシンジが待っていた。
してやったりと言った表情で、にししっと笑う。「アスカったら耳まで真っ赤にしちゃって…ははっ、そんな可愛いアスカ見たのはじめブベラっ!!」
まるで10tトラックが壁に激突したような音が図書室中に響いた。
そばにあった英語の分厚いテキストで、シンジの顔を思いっきりぶん殴ってやった音だ。
「こんの、ばかシンジ!!!!」
そう言って、両手でシンジの胸ぐらを掴む。
「あ…あうあ…す、すみません…そんなに反応するとは思わなくて…」
殴られた左頬を抑えながら、ブルブルと震えて。「…今度やったらコロスわよ」
357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:59:24
なぜ焦らすww罪なやつだw
358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:00:20
ブンブンと頭を縦に何度も振るシンジ。
言っていい冗談と、悪い冗談があるわよ…。
シンジの言葉に一瞬でも浮かれて、心を躍らせて。
真っ赤になった自分が馬鹿みたいで情けなかった。
シンジを解放して、唇を咬んで俯きたい気持ちを我慢して、そのまま静かに椅子に座る。
お喋りに興じていた生徒たちがあたしたちを見て笑いを漏らしたり、
書架で本を吟味していた生徒が茫然としているのが少し気恥ずかしくて、あたしは小さくゴホンと咳払いをする。
シンジが小さく、ごめん、と呟いた。
「そういえばさっ」
あたしは話題を変えるために明るく切り出した。
「進路希望の紙、もう提出した?」
シンジがどこに行きたいのか知りたかった。
「進路希望…って、ああ。あれってもう出さなきゃいけないの?」
「ううん、来週まで。おばさんたち何か言ってた?」
「父さんは何も言わないよ。好きにしろって。母さんは…京都の方に行って欲しいみたい。僕も別にいいかなって」
京都。
たしか、おばさんたちの母校だと聞いている。
悪くないと思う。でも、
「あんた、今の成績で行けんの?」
「うっ…」
「ムラがありすぎなのよね。数学と物理と化学以外も頑張りなさいよ。特に英語!おじさんたちと同じ道に進むならなおさらね」
「国語すら出来ない僕が英語なんて出来るわけ…」
「やらないだけじゃん」「ううっ…胃が」
シンジの図星という図星をつきまくって。
情けない声を出しながらシンジが胃を抑えてる。
359:キンモクセイ
09/08/21 10:05:19
「じゃあさ、アスカは決めてるの?」
「あたし?あたしは…」
シンジと一緒に、シンジと一緒のところへ。
そう言いかけて、でも、言葉が喉のところで引っかかる。
それでいいと思っていたのに、その言葉が出ない。
本当にそれでいいの?
14歳のあたしの声が聞こえた。
だって、友だちだもの。
一緒にいたいんだもの。
今までも一緒だったんだからこれからも一緒よ。
…あんたが一方的にシンジを追いかけて、シンジに縛られて、シンジに依存してるだけじゃないの?
あんたの中にはシンジしかいないのね。
うるさいわね…あたしの勝手でしょ
いくらシンジを想ったって、
あいつはあんたのことなんか見てないのにね。
あいつはもうひとりで歩いてる。自分で、決めて前へ進んでる。
恋人だって、大学だってそうじゃない!
いつまでもキンモクセイに縛られたまんまのあんたとは違うことに、早く気づきなさいよ。
うるさい!うるさい!あいつだって思ってるはずよ!あたしと一緒にいたいって、ずっとそばにいたいって!
こないだってあたしといると、楽しいって…!
だってあたしとシンジは…
「…すか、アスカ!」
「…な、なに?」
「なに、じゃないよ。どうしたの?急にボーッとして」
360:キンモクセイ
09/08/21 10:06:10
シンジが心配そうに、あたしを覗き込んでくる。
あいつはあんたのことなんて見てないのにね。
さっきの言葉が頭の中でリフレインする。何度も、何度も。
気がつけば、あたしは思ってもみないことを口にしていた。
「あたし、ドイツへ帰るの」
「…ドイツ?」
あたしの言葉に、シンジの瞳が揺れる。
「ママがね、向こうに帰るからその時一緒に…グランマもいらっしゃいって…」
嘘、ウソよ。
帰る気も無い癖に、なんであたしはこんなうそをついてるんだろう。
「言葉も住む場所も問題ないし、向こうの大学はレベルも高いから…」
日本から出る気なんてないわ。
あたしはシンジと一緒にいるの。ずっとずっと。おばあちゃんになるまでずっと。
「それ、いつなの…?」
「…卒業したら」
馬鹿みたいなウソをついて、シンジの気をひきたがってる。
そんな馬鹿なあたし。
「そっか」
シンジはそれきり何も言わなかった。
課題の続きに再び取り組んで、何事もないようにあたしに答えを求めてくる。
あたしもなんでもない風に装って、シンジに答えを教えて。
時計は17時に迫っていた。
361:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:06:11
あぁん!じらしちゃいやーんw
362:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:08:03
wktkもいいとこだぜホント
363:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:08:46
でも、リアルタイムでわくわくさせられるこのどきどき感はたまらん!
364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:09:48
何人見てんだろ?俺ともう二人で計三人くらいかな?w
いやマジで待ってた作品だから嬉しいわ、リアルで観れてw
365:674
09/08/21 10:10:01
とりあえずいじょう。
中途半端ゴメソ
続きはまた今度!キンモクセイがマジで咲く季節までには完成させないと、と焦ります。9月から忙しくなるんで。
みんな応援ありがとな!
366:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:10:53
>>365
ぎやぁぁぁぁぁぁぁ!!!
激しくGJ!だけど、ここで終わるのはいやぁぁぁぁぁあ!!!
367:674
09/08/21 10:11:28
ごめん、焦らしたんじゃないYO
規制されてケータイでポチポチしてた
元々ケータイで書いてるからまあいいけど、変な感じでコピペしてたらごめんね
368:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:11:38
>>365
乙!!!超乙!!!
欲を言えば早く続きが見たいが気長に待つぜ!!
やっぱあんたは最高だ
369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:14:14
キンモクセイ待ってました!!
シンジがマジでわからないわ…
翻弄されてるアスカがかわいそうだけどイイッw
ハッピーエンド期待してます!
370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:14:30
>>365
乙~
ハッピーエンドになるといいね
371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:16:22
イタモノ苦手だけどこーいう切ないのは大好きだwww
頑張って!シンジもアスカも幸せになれるといいね!
372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:18:25
>>369
いいよねいいよね!
どう思ってるのかまったくわからない相手に
翻弄されるアスカ。すごくいい。
このわかんないシンジがまたすごくいいわ。
いずれ、二人とも内に秘めた激しい感情を
吐露しあうんだろうなとわくわくする。
373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:19:48
続きいつ頃になりそう?
374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:21:30
>>372
うむ・・・うむ・・・
久しぶりだな、ここまで続き楽しみな作品は
375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:21:56
ハッピーエンドだったらハロワ行くわ
376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:22:23
>>375
今すぐ行けw
377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:31:16
>>372
でも、両方意地っ張りだから
案外どっちかが激情して迫っても、
相手は感情を押しとどめて
受け流しちゃうかも…
あぁぁぁどうなるにしろ、続き気になるぅ!
378:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 16:35:11
異性系イタモノと書いてあった瞬間に読み飛ばした俺にダメージは…
存在するだけで大ダメージだぜ、グファ。。。
379:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 18:03:07
アスカだけ、とかシンジだけ、は苦手だけとどっちも異性系だと案外イケる
精神的にはアスカの一途な片思いだけど…
続き気になるわ!
380:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:16:20
キンモクセイさんは凄い
ところで、ここに居るプロの書き師は何人いるの?
キンモクセイさん、円谷さん、碇アスカさんを書いてる人
俺が知ってるだけで3人です
381:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:26:16
待ってたよー!!
あぁGJ。素晴らしい!
続き楽しみにしてます。
382:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:41:12
>>380
その三人以外の作者に対して失礼だって分かって書いてる?
383:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:46:28
ifっぺえ
384:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:47:43
その名は出すな
385:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:53:19
>>380
アスカ「最っ低!」
386:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:56:34
>>382
まっ、夏休みですから
387:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:09:29
>>380
プロっていう括りはハードル高杉だが…夜の帳の人と、パッチンさんもいい
388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:17:41
どの作者が良いとか言う話はやめろ
389:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:42:19
>>388
同意
わざわざ書いてくれる人に失礼すぎる
390:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:43:15
僕はifさんとトゥルーさんとリスペクトしてます
391:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:44:59
>>388
超同意
みんな楽しみにしてます
392:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 21:13:55
新規さんのスピードと勢いに圧巻されているw
読む方も大変だな。もちろん嬉しい悲鳴なんだけど
393:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 21:36:44
>>327
の続きです。
あと、少しなので嫌いな人はもう少し
辛抱してくださいね
394:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:37:36
「10分だけ、待ってやる。武器を捨てて投降しろ。10分後に攻撃を開始する。」
スピーカから高圧的な警告が流れる。
「アスカ、逃げるわよ。大丈夫、連中はエヴァに当たるのを恐れて、重火器は使わないわ。
エヴァを楯にしながらVTOLを飛ばせば逃げらる。ヨーロッパに逃れて、皆でシンジ君を
助ける方法を考えましょ。」
アタシは、もう一度、槍に手当てて、下を向く。
「マリ、最後の命令を伝えます。良く聞いて。」
「へ?何スか?改まって。」
「現時刻を持って、アタシの救出作戦を破棄、残りの生存者を連れて、ユーロと合流をして。」
「ちょ、何を言ってるんスか?バカな事を言わんで下さい。」
「そうよ。アスカ、貴女を置いて行ける訳無いでしょ。」
「皆、ごめんなさい。アタシも最初から、あんな事しても無駄だって解っていたの。
実は、アタシはここへは死にに来たの。」
「何言ってるんスか?折角、助けに来たのにそれは無いでしょ。」
「ねぇ、マリ。何でアタシがあんな厳重に監禁されたか知っているわね。」
「ええ、大尉は処刑されるんですよね。」
「正確に言えば、処理ね。あの事件を見て驚いたNERVの上部組織は、エヴァの運用を見直す
事にした見たい。それで、エヴァのパイロットは最小限に抑えるって決めたのね。余分な、
パイロットは処理する。その第一号がアタシ。何せ、アタシはある意味事件の当事者だしね。」
「一寸、アスカは子供よ。良くそんな事、できるわね。」
「仕方が無いわ。どうせ、アタシ達は使徒と戦う道具なんだもん。必要無く成れば捨てられるだけ。
第一、子供を利用したのは、ミサトも同じでしょ。人の事を批判できると思う?」
「そうね。子供を利用して生き延びて、その挙句がこれだもんね。自業自得か。でもね、
だからこそ、アスカは生き延びて。折角、ユーロが受け入れるって言ってるでしょ。」
「あのね。連中もアタシを道具としてしか見て無いの、そこへ逃げ込んでもいずれ、高値で売り飛ばされる
に決まってる。良い?相手は月面まで拠点を持ってる組織よ。何処へも逃げ場なんか無い。いずれ、
殺されるなら、シンジの側で死にたいの。」
395:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:39:00
「はぁー、仕方がないにや。大尉の我儘に付き合うのは成れ子だからね。良いスよ付き合います。
と言う訳で、葛城一佐、三人で逃げて貰えます?」
「バカな事言わないで、私も残るわ。私はアスカの上司です。彼女を最後まで守る義務があります。
加持君、リツコをお願いできる?」
「あのな。俺が女子供を置いて逃げるなんてかっこ悪いマネが出来ると思うか?問題は、リッちゃん
だが...。」
「私は、VTOLなんか操縦できないわよ。私も残るしかないわね。大丈夫よ。私だって、銃位扱えるわ。」
「どうやら、全員残る見たいスね。」
「もう知らない。勝手にすれば?」
「まだ、少し時間があるわ。ねえ、アスカ、最後に教えて。」
ミサトがアタシの頭を優しく撫でながら聞いてきた。
「何かな?」
「アスカは、シンジ君の何処が好きなの?」
「それが、良く解らないんだよね。そりゃー、料理が上手いとか優しいとか色々、上げられるけど、でもね。
それって、好きになって後から付けた理由なの。人を好きになるって、そう言う事じゃ無いのかな?」
「アスカにしては曖昧な答えね。まぁ、可愛いけどね。」
「本当は、恥ずかしいから言わないで置こうと思ったけど、最後だから言うとね。運命って言うか、アタシは
シンジを好きになる為に生れて来たんだって思ってるの。おかしいでしょ。」
「アスカって、本当に可愛いわね。もっとも、貴女は大人ぶってるけど、本当は中学生だもんね。それも
有りかな?」
396:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:39:54
その時、マリがミサトを後ろから後頭部に一撃をくらわした。不意を突かれたミサトは崩れ落ちる。
「マリ!何て事すんの!?」
「加持さん、これで葛城一佐を連れて行ける。三人で逃げなよ。」
「助けてくれるって事か?」
「勘違いしないでくれる?アタシは大尉と違って育ちが悪いから、滅多に人を信じてないだけ、大尉は優しくされると
直ぐに他人を信じるけど、アタシは今でもNERVの人間を疑って居る。そんな人間と、一緒に死にたくない。」
「随分と、嫌われたもんだな。」
「当たり前よ。特に、アンタには殺されかけているからね。」
「何の事かな?」
「とぼけないでくれる?5号機の自爆タイミングは明らかに早かった、あれは誰かが意図的に仕組んだもの。」
「その犯人が俺だと?」
「あくまでも白を切る気?まぁ、良いわ。いずれにしろ、子供を利用して生きて来た人が今更、子供を守るなんて
偽善でしか無いもの、そんな人間とは一緒に戦えない、ただそれだけ...。」
「解った。葛城とリッちゃんは連れて行く。それで良いんだな。」
三人を乗せたVTOLが飛び立っても連中は何もしなかった。やはり、連中はアタシ以外は興味無いみたいだ。
「ありがとう、マリ。」
「別に、礼を言われる事をして無いスよ。あれは、本気だからにゃ。」
「出来れば、マリにも逃げて欲しかったな。」
「大尉を置いて逃げたら、自分にも行き場が無くなるス。だったら、大尉とお供します。」
「ごめんね。勝手な事ばかりで。」
「いいスよ。大尉も行き場は無いですからね。」
397:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:40:40
「時間だ。答えを聞こうか?」
「答えは、これだぁー!」
言うが早いか、マリが銃を乱射した。遠巻きにしている連中に届くわけでもないのに何、格好付けるかな?
引きつけて、攻撃とか少しは考えてよ。まぁ、死ぬ時間が多少変わるだけか...。
相手は反撃とばかりに、迫撃砲を撃ってきた。放物線を描いて迫ってくる砲弾がやけにゆっくりに感じられる。
これに当たって死ぬのか。痛いかな?出来れば、苦しまずに死にたいな。
シンジは結局、アタシを守ってくれなかったね。
アタシは、槍に手を当てて、最後の時を待つ事にした。こうしていれば、シンジと繋がっている気がしたからだ。
砲弾はかなり離れた所に着弾すると、中からガスが噴き出す。
ガス弾だったのね。まぁ、良いわ。この辺に充満した所で思いっきり吸えば、一思いに死ねるわね。
ガスを思いっきり吸いこむと、意識が遠のいて行く。
薄れていく意識の中で、アタシは槍が動くのを感じた。そして、遠くの方で響きわたる、咆哮が聞こえた。
続く...。
398:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:41:35
と言う訳で、次回は?です
これも前後編に別れそうです。
399:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 22:40:53
キンモクセイさん、Another Way Quickeningさん
超超GJです。
楽しませてもらってアリガトー!
しかし、今夜は生殺し状態・・・
続きを楽しみにしてます。
おねがいします。
400:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 22:48:02
>>398さんへ。
おもしろく読ませてもらってます。ですが、会話がだれの会話かわかりにくいので、
アスカは、
「シンジ」
と言った。
「シンジ」
とアスカは言った。
などと書いてくれると、わかりやすくて助かります。次の投下を待ってまーす。
401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 23:20:00
しかし毎日すごいね・・・
途中で支援入るとかウラヤマシイかぎり
402:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 23:38:11
いつまで夏なんだよw
403:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 23:48:48
住民多くてウラヤマス…
過疎で支援無いから規制計算して毎回投下してるよ…orz
404:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 23:55:42
>>403
別LASスレ住人の方かな?
落ちLAS投下スレなんかはちょっと過疎気味なんだよね
405:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 00:27:27
今更亀ですが、キンモクセイさんgjです!
切なさ満点の流れにドキドキです。
楽しみにしてますよ~ノシ
406:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 00:37:30
>>404
うむ、落ちLASスレじゃないけど別のLASスレに投下してきたとこだ
そっちにも投下出来る様な話を考えてたりはするんだが中々orz
407:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 01:00:42
>>406
なるほどなるほど。いつも乙です!
自分も同棲スレに投下したり、落ちLASに久々お邪魔しようかなとか考えてます。
408:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 04:07:33 GEj5I7fR
>キンモクセイ
長すぎて忘れた頃に投下されたら大ダメージ受けるw
409:ふぅ。
09/08/22 05:34:11 0NXnIYA+
―ピンポーン
「アスカっー、寝てるのーっ?」
「…なに?」
インターホンの音で目が覚めた。
「えっ!やばい!!」
時計を見ると、八時だった。
「アスカーっ!」
「わかってるっつーの!
今着替えてるんだから待ってよ!!」
歯を磨いて、顔を洗って、髪を整えて…。
「悪かったわね!」
「どうしたの?アスカが寝坊なんて珍しいね。」
「昨日ちょっと眠れなかっただけよ!」
「ふーん、なんかあったの?」
そういえば、何で昨日は眠れなかったんだったけ。
「どうしたの?急にぼーっとして。」
あー…、バカシンジのこと考えてたんだっけ。
「わかってるわよ!早く行くわよ!」
「ちょっと待ってよアスカ!!」
410:ふぅ。
09/08/22 05:39:21 0NXnIYA+
「なんでこんな時に赤信号に引っかかっちゃうんだろう…。」
「バカシンジが厄病神だからに決まってるじゃない!」
「じゃあ僕と一緒に登校しなきゃいいじゃないかぁ。」
「あんたが迎えにきたんじゃない!!」
「だってアスカがいつも迎えに来るから…」
「朝っぱらから夫婦げんかしてたら青信号なってもきづかへんでぇ~!」
「違うよトウジ!!そんなんじゃないって!!
ただの幼馴染だっていつも言ってるじゃないか。」
なによこいつ…。なんであたしもイラついてんのよ。
そもそもなんであたしがこいつのこと考えて眠れなくなるのよ…!
「なによ…。」
「アスカ、なんか言った?」
「うるっさいわねー!こんな馬鹿知らない!!」
「あ、待ってよアスカ!」
「おいシンジ、惣流とばっか登校してんとたまには一緒に行こうや。」
「うわ、また信号赤になっちゃった!!」
「シンジ、なにしてんねや~!!」
なによ、これじゃあたしがシンジを好きみたいじゃない。
違う、そんなんじゃない。幼馴染だから一緒にいてあげてるだけじゃない。
昔からずーっとあいつはあたしがいなきゃ何もできないのよ。
これからもね。
「あたし実は○○高校狙ってんだよね~。」
「うそ、まだ二年なのにそんなこと考えてんの!?」
「まだ二年つっても、すぐなんだもーん。」
これからも、か…。
411:ふぅ。
09/08/22 06:01:50 0NXnIYA+
「じゃあ霧島さん、そこ読んでくれる?」
「…はい!えっと…」
「教科書78ページだよ。」
昔はあたしにしかあんな顔見せなかったのに。
「ありがと、碇くん!」
こうやってどんどんあんたの中からあたしが消えてくの?
他の男子たちとはちょっと違って見える背中。
あのバカ、襟折れてんじゃん。
やっぱりあたしがちゃんと見ていてあげないと…
「惣流さん、聞こえてないの!?」
「はいっっ!」
「さっきから次のページ読んでって言ってるじゃない。」
「すみません…。」
「アスカ、どうしたの?」
「なんでもないわよ…。」
412:ふぅ。
09/08/22 06:10:53 0NXnIYA+
―放課後―
ブルルルル…
ママだ!
「ママ!どうしたの?」
「アスカー悪いけど今日までに完成させなきゃいけないソフトがあってね。
ちょっと今日は帰れそうにないのよ。晩御飯は、シンジくんの家で食べてきてちょうだい。」
「ちょっと、ママ!?あたしだって一人でご飯くらい作れるわよ~。」
「あら、そうかしら?」
「まあとにかく、家にあるもんで何とかするから心配しないで!じゃあね!」
「シンジ、帰るわよ!」
「ごめん、今日は綾波さんと一緒に勉強するんだ。
ほら、テストもうすぐだったでしょ?
よかったらアスカも一緒にやろうよ。
トウジたちも一緒にさそ…」
「いいわよ。じゃあ、一人で帰るから。」
「どうしたの?具合でも悪いの?」
「知らない」
413:ふぅ。
09/08/22 06:12:44 0NXnIYA+
「惣流さん、どうしちゃったのかしら。」
「僕、なにかしちゃったかなぁ…。」
「嫉妬、してたりして。」
「何に?」
「テスト前だから自習室、席なくなっちゃうわ。早く行きましょ。」
ピピピピ、ピピピピッ
「うそ、熱あるじゃない!
よりによってママのいないときに…。」
ママに電話しよ。
―「今日までに完成させなきゃいけないソフトがあってね。」
「忙しいかぁ…。おとなしく寝てるしかないか。」
414:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 07:37:37
続きwktk
415:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 09:30:58
思ったんだけど、落ちLASスレとこのスレが2つある意味って?
416:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 09:39:13
>>413
乙!シンジには無意識プレイボーイがよく似合う。
>>415
LAS小説を投下するスレが2つあるんだよ。
ここはイタモノとかでも何でもOKなLAS小説投下総合スレ。
落ち着いてLAS小説を投下するスレは、イタモノ禁止なスレ。
417:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 11:43:18
なんであのスレはLASが全角なのさ
418:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 13:24:37
>>400
もう聞く気ないみたいだからほっとけ
419:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 14:54:00
というか>>400自体が問題発言だわなw
420:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 16:39:39
と、言った。
って書き方嫌いだから極力書かないようにしてんだけど、やっぱ無いと読みにくいし分かりにくい?
421:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 16:41:45
>>420
その究極的な形が>>91だからなw
流石にちょっとそれは多用しない方向で上手くやってくれたほうが良い
422:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 16:48:59
>>420
まぁ、>>400な書き方は論外だけど、誰が誰に言ったかは工夫次第。
423:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 17:05:12
つーか投下来なくなったなwww
424:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 17:23:55
どんな頻度で来てほしいんだよ
425:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 17:47:01
落ちLAS投下にも同棲スレにも来てるしな
作家さんは多い方がいい
426:軒亜
09/08/22 18:53:14
昨日まで沖縄行ってたので、沖縄ネタというか修学旅行ネタを。
視点がややこしく、シンジ→アスカ→シンジみたいな感じです
背景設定は特にありません;
題名は「夏の夜に」 (´・ω・`)
427:軒亜
09/08/22 18:56:07
―修学旅行―
ミサトさんの説得に難なく成功し、僕達は沖縄へ来た。
エヴァや他の事も忘れて少しは楽しむ事ができそうだとシンジはバスの中で期待に胸を膨らましていた。
「ね、シンジ!海が見えるわよ!」
ふと、隣のアスカに声を掛けられた。窓の外を見るとそこにはコバルトブルーの海が辺り一面に広がっている。
「うわぁ…きれいな海…気持ち良さそう」
「ちょっとはアタシに感謝しなさいよ、ミサトを説得したのはこのアタシなんだから」
といっても酔っ払って上機嫌の内に説得なんて別に難しくもなかったが。
「シンジぃ、お前も修学旅行来れて良かったなぁ」
「前日まで来れないかと思ってたよ」
トウジ、ケンスケも話し掛けてきた。
「あ~あミサトさんも来たら良かったのになぁ~」
トウジがそんな独り言を言う。
「ホント、勿体無いよ…」
ケンスケまで。
「そんな事できっこないよ…」
とシンジが返すと、「何言ってんのよ、この3バカトリオ!」
アスカとヒカリが突っ込む。
他のクラスメイトも随分テンションが上がってきているようだ。
バス内からあちこち楽しそうな喋り声が聞こえる。
428:軒亜
09/08/22 18:58:20
とはいえ、バスの中からでも見える景色は最高である。
青い空に雲が3つ程ぽつりと浮かんでいる。
「もう少しで着くから、自分の席に座りなさい」
ゴホンと担任の先生が指示する。
(海なんて、久しぶりだな…というか来たことも無いかもしれないなぁ…)
ぼんやりと窓際で頬杖をつきながらシンジは思った。
「な~に にやついてんのよ、バカシンジ!」
アスカが見透かしたような事を言う。
笑ってごまかすと、今度は余計に罵倒された。
気付くともうバス停だった。
一歩外へ足を踏み出すと潮風の心地よさに包まれた。
だが、この猛暑に長時間耐えつづけてきた事もあり、みんなすでに限界がきている様子だ。
一旦集合、そして班別行動だと言われると皆即解散した。
班のメンバーはというと、3バカトリオにアスカ、ヒカリである。
綾波は使徒警戒中のため、1人で残ると言ってきかなかったのだ。
自由という思想の末辿り着いた場所はやはり、浜辺。
太陽がじりじりと照りつけ輝く浜辺を目の前にすると心がまるで落ち着かない。
みんなはそれぞれ水着に着替えると、我先にと海へ走り出した。
429:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 18:59:14
(海がこんなに気持ち良いだなんて知らなかったな…)
シンジは全身で波を受け止めながら思った。
しかしさっきからアスカばかりが目に入る。ブロンドの髪、水着は赤と白の横縞模様に胸元はチャック付き、というシンジにはあまりにも刺激が強いというか、本能で目がアスカの方へいってしまうのだ。
それをトウジやケンスケに悟られないようにやり過ごす。
アスカはヒカリと楽しそうに水を掛け合っている。
「おいシンジ!、なんやぁさっきから惣流の方ばっか見て」
トウジに気付かれてしまっていたようだ。
「え?いや、さ、その…何でも無いよ」
顔が赤くなりそうなのを必死で隠しまた海中へと潜ってみる。
海中はまるで別世界のようで熱帯魚が目の前を通り過ぎていく。
サンゴ礁や海草までもがこの楽しい一時を共有しているみたいだった。
ぷはぁ、と顔だけ出すと周りにはトウジやケンスケはおらず、砂浜に目をやると4人でお城を作っている最中だった。
「シンジー!早く早く!」
いつにもなく楽しそうなアスカが自分を呼ぶ。
5人がかりでようやく完成したお城は実にそれぞれの性格が合わさったように見えた。
430:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 19:00:02
「まぁ上手くできたかな」
とシンジが言うと、
「碇くんって器用よねぇ、鈴原なんかとは大違いよね」
とヒカリが言うのに対しトウジが即座に
「なんやて!?」
と言い返す。
しかしヒカリの発言に対し、もう1人トウジと同時に、
「そんなの、あったり前じゃなーい」とアスカが言ったのだ。
堂々かつ誇らしげに語るアスカを、不思議そうに見つめるシンジ。
アスカがシンジに気付くと、顔が段々と赤くなるのが分かった。が、アスカは
「いや、同居人だしそれくらいアタシにも分かる事よ!」と誤解されないように付け足した。
「なんか…変だよ?アスカ」
シンジが追求すると
「うるっさいわね!そんな事より次、買い物でも行きましょ」
アスカは軽く流してみんなに呼びかけた。
431:軒亜
09/08/22 19:00:46
それからの買い物は悲惨であった。アスカはともかくヒカリまでもがこんなに買い物好きだとは…。
今晩泊まる旅館に着いた時はもはや男子達は完全にダウン状態であり、両手にはアスカやヒカリが買った物を持たされている。
「まったく人使いの荒いヤツ…」とケンスケが半泣きで言う。
「ま、旅館に着いたんだし先生に部屋の鍵もらってくるわね」委員長であり班長のヒカリが言う。
指示された部屋へ入ると中は和室だった。畳のにおいが旅館という雰囲気を出している。
「じゃあ、僕達お風呂に入ってくるよ」
シンジがそう言って他の2人も一緒に部屋を出た。
部屋に残ったヒカリとアスカはいわゆる恋バナをしているところだ。
「ね、アスカ…あたし、鈴原と仲良くできてるかな?」
大丈夫よヒカリ、とアスカが言う。
「…あと、アスカの好きな人って碇くん?」
これにはアスカも意表を突かれた。
「えぇっ?!なんでそーなるの?」
「…だって、碇くんはアスカの事好きみたいだし…」
「そんなことあるわけないわよ、シンジとは義務でいるだけだし」
そう。義務だから。
なんだかそうやっていつも逃げているような気がする。本当は嬉しいのに、何でだろう…
432:軒亜
09/08/22 19:01:32
晩御飯はごちそうだった。しかし気分がいまいち乗っていないアスカに、「どうしたの?アスカ」
と心配そうにシンジが声を掛けてきた。
内心ドキッとして「あんたのせいよ!バカシンジ」
と言ってしまった。
シンジは結局訳がわからず。
とはいえ後は寝るだけだし、と準備に取り掛かろうと布団を敷くシンジに黙って手伝うアスカ。
目の前でそんな光景を見た他の3人は異様な空気に耐えられず何も出来なかった。
―そして夜。
時計の針はもう深夜を指しているというのにアスカはなかなか寝付けない。
ふと、シンジが布団から立ち上がり、部屋を出るのがわかった。
(トイレは部屋にあるのに…)不審に思ったアスカは気付かれずに跡をつける事にした。
シンジが夜遅く向かった先は、昼間遊んだ砂浜だった。
今は月の光が海全体を美しくしく照らしている。
433:軒亜
09/08/22 19:02:15
シンジが砂浜に座ると、アスカは黙って隣に腰を下ろした。
「アスカ…」
シンジが気付くとアスカは、「星、綺麗ね」とごまかすように言った。
実際、夜空に広がる星はとても綺麗で、息を呑む程だった。
「ホント、寂しいヤツね」
「…アスカがいるから、寂しくない」
どういう意味なのか、わからなかった。
それって―、と言おうとした時、シンジの手が重なった。
黙っていてやる代わりに、シンジの手をぎゅっと握った。
もう離したくない。
修学旅行が終わればまたいつもの日常に戻ってしまう。
今はそれがなによりも辛かった。
434:軒亜
09/08/22 19:03:10
次の日の自由行動は2人で。
2人で誰もいない浜辺を見つけた。
青く澄んだ海、誰にも邪魔されない空間がそこには広がっていた。
アスカは大きく伸びをしながら、
「んーっ気持ちいい~」
それに対しシンジは「うん、そうだね」
とだけ言っておく。何故か段々と鼓動が早くなる。
―海が紅く染まっていく―
シンジはそんな気がして落ち着かなかった…
終
435:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 19:13:41
GJ!砂のお城でのツンデレが良かった
だが男女の部屋は分けなきゃダメだぞ!w
436:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 19:26:23
GJ!
和むw
437:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 19:37:36
乙
最後が、ん?てなったけど・・
438:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 22:16:18
視点がバラバラ
修学旅行で男女の部屋は普通分けます
オチがわかりにくい
439:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 22:17:21
>>397
の続きです。
次回で終わりですから嫌な人はもう少し我慢してくださいね。
440:Another Way ?全編
09/08/22 22:17:44
「い...、きて...、大尉...。大尉ってばさ。」
誰かが呼んで居る。マリなの?
目を開けると、心配そうにアタシをのぞき込むマリの顔が有った。
「ここは、何処なの?」
「さぁーね。あの世だとは思うんスが...、これだけ、殺風景だと天国とは思えませんね。」
確かに、ガラーンとした部屋だ。
「それにね。変なのが居るんスよ。あっち。」
「変?確かに変っていうか、これだけ居ると不気味ね。あれって、如何見てもエコヒイキの集団だわ。」
マリが指さした方向には、あの女が20人以上立っている。しかも、4、5歳位の幼児まで居る。でも、
特徴ある青い髪は正しく、あの女だ。
「アンタ達は何者よ?」
「綾波レイと呼ばれる存在......。」
声を合わせて言われると、結構不気味だ。
「て、事は姉妹って事?」
「あんた、ばかぁ?そんな訳無いでしょ。大方、クローンか何かじゃないの?」
「冗談スよ。多分、そんなとこでしょ。」
「ちょっと、待って?と言う事は、この中でアタシと会って居るのは二人って事?」
「ええ、一番長く会って居たのは私...。」
手に沢山の絆創膏をした、女が答える。
「私は、病院で有っただけ。」
「やっぱり、すると...アタシは、アンタを...。」
プラグを砕いた時の嫌な感覚が蘇ってくる。
「そう、貴女は私の体を破壊している。でも、気にする事は無い、何故なら、私達の生と死は同じだから。」
アタシは、全身から汗が噴き出すのを感じる。
「それに、貴女には感謝しているわ。あの時、碇君が背負う苦しみを貴女は代わりに背負ってくれた、
それだけじゃない。碇司令が背負う苦しみまで背負ってくれた。貴女は碇君の未来を変えてくれた。」
「ちょっと、解んない事、言わないでよ。第一、未来なんて自分で作るものよ。決まっているモノじゃないでしょ。」
「いいえ、決まっている。無論、全てでは無いけど、大きくは変えられない。あの時、誰かが使徒に取り込まれる
事は決まっていたし、その為に、碇君と司令に離別が訪れる事も決まっていた。でも、貴女の碇君を救いたい
と言う思いが、碇君と司令の未来を変えてしまった。」
「その代償として、アタシが二人分の苦しみを背負う羽目に成ったと...。」
441:Another Way ?全編
09/08/22 22:19:00
「あのー、お取り込み中ですけど...。もっと、大事な事があるんスよ。」
「うるさいわね。今話している所なのよ。」
「いや、そこに大尉の愛しの彼が寝てるんですよね。」
マリに言われた方を見ると、確かにシンジが居た。
「どうして、それを先に言わない。」
アタシは、シンジに駆け寄る。
「会いたかったよ。ねぇ、何時まで寝てるの?起きてよ。」
どんなに、ゆすってもシンジは起きない。
「ねぇ、マリ...。死んで無いよね。」
「多分、我々も死んでいるので、死人が死ぬって有るんですかね。放って置けば起きる気もしますが...」
アタシもそうだが、マリも良く解らないんだろう。死後の世界なんて初めてだもんね。
「まぁ、良いか。一度、やってみたかった事やってみるか。」
そう言うと、アタシは正座をしてシンジの頭をアタシの上に乗せた。膝枕と言う奴だ。この状態で、シンジの
髪の毛をいじると、けっこう楽しい。
「ねぇ、マリ?アタシ達本当に死んでると思う?」
「さぁ?でも、あの状態で生きているとは思えないスよ。仮に、催眠系のガスだとしてもこんな場所に連れて来て
何になるのかにゃ。」
「じゃぁ何で、足がしびれるの?死んでるから足も痺れないと思ったけど、凄く...、辛く...成ってきた。」
「止めれば良いしょ。」
「ああもうダメ。」
そう言うと、足を崩す。それでも、シンジの膝枕は止めない。起きるまで続けるつもりだ。起きた時に驚く顔が
見たいから...。
「大尉も意地っ張りスね。」
「あれ?一寸、変だよ。だって、アタシが殺しいたエコヒイキは一人だけ、他のは生きてる筈じゃない?」
「はぁ?まぁそうっスね。」
「解った!マリ、アタシ達は死んで無い。ここは、初号機の中だよ。良かった...。シンジは、アタシを助けて
くれたんだ。あの女だけじゃなくて...。アタシの事も守ってくれたんだ。」
442:Another Way ?全編
09/08/22 22:20:15
「シンジ君が君を助けたのは確かだけど、ココは初号機の中では無いよ。」
何の脈絡も無く、いきなり現れた銀髪の少年が語り出す。
「な、な、な、な、何なのよ。行き成り現れないでよ。第一、ドッカら入って来たのよ?」
余りに唐突な出現に、アタシは目を丸くしてこう言うのが精いっぱいだった。
「ここは、シンジ君を迎えるために僕が作った場所だからね。出入りは自由だよ。」
「良く解んないけど、シンジはまだ寝てるわよ。」
「ああ、それは寝てるんじゃ無くて、僕が作った魂が入って無い肉体だ。今、シンジ君の魂は別の所にいるからね。」
「えーーー、じゃあこれは、死体なの?」
「死体とは違うよ。まぁ、人形みたいなものだと思えば良いかな?心配しなくても、間もなくやってくるよ。」
443:Another Way ?全編
09/08/22 22:20:29
「でも、何でアタシ達をこんな変な場所へ連れ込んだの?」
「シンジ君の新しい門出を祝うためかな?ココにいるのはシンジ君と関係の深い人間ばかり、何せ、僕たちはシンジ君の
恋敵だからね。」
「エコヒイキはそうだけど、待ってマリもそうなの?...、何時、手を出したのよ!」
「何もして無いですって。一度しか会ってないし...。もしかして、あの時にゃ?」
「何かやったの?」
「やったと言うか、不可抗力で彼の顔をこの胸で挟んだんスよ。」
「何て事してくれるの?巨乳に目覚めたら、どうすんのよ!あれ?僕達って言ったよね。アンタ...、男...だよね。」
「愛に性別は関係ないだろ。」
「関係ある。大あり、シンジを変な世界に引き込まないでよ。」
「それは、君たちの世界の話だろ。シンジ君はもう君たちの世界には戻らないから問題ないさ。」
「一寸、どういう事よ。シンジを変な所へ連れて行かないでくれる?」
「仕方がないだろ。シンジ君は君たちの世界では幸せになれないんだ。だったら、もうそっちの世界に行かなくて
済むようにするんだ。」
「何、言ってんのよ。幸せに成れるかなんて、先の事は解らないわよ。」
「解るさ。色々、やってみたけど、結局は最後は不幸に成るだったら、もう君らの世界には居ない方が良いんだよ。」
「もう、訳の解んないことばっかり言ってないでよ。良い?今居る所で不幸だからと言って、別の所へ行っても幸福に
成れる訳無いでしょ。」
あれ?これって、アタシに言うべき言葉だよね。
「では、聞くけど、君はシンジ君を幸せにする方法を知っているのかい?」
「解るわよ。シンジは家族と暮らしたいだけ、父親との和解が出来れば良いわ。」
「それは、無理だよ。僕でも他人の心に干渉は出来ない。そんな事ができるなら、直接シンジ君を幸せにするさ。」
444:Another Way ?全編
09/08/22 22:22:00
「他人の心以外なら何とか出来るの?だったら、シンジの母親を戻せば良いわ。そうすれば、上手く行く。何せ、
母親の料理の味だけで打ち解ける位の間だもの。あの二人にとって、あの人の存在は相当大きいわよ。」
「それは、出来るけど。そんな簡単な事で本当に可能なのかい?もし、不幸に成ったらどうする気なのかな?」
「良いわ、煮るなり焼くなり好きにして。」
「その言葉わすれないでね。望みどおり、そんな世界へ連れて行って上げるから。」
「の、望むところよ。」
「一寸、大尉。変な約束しない方が良いスよ。コイツ、遣りかねませんぜ。」
「良いわよ。アタシはね。シンジと会う為なら地獄へ堕ちても構わないって思いで、ココまで来たんだからね。」
「解った。でも、これが最後のチャンスだと思ってくれたまえ。じゃぁ行くよ。この場所はもう消す。君らもじきに
戻れるよ。」
445:Another Way ?全編
09/08/22 22:22:20
「一寸、待った。」
「何だい?やはり、止めるのかな?」
「違うわ。これって、賭け事だよね。だったら、上手く行った時の儲けを提示されて無いんだけど。」
「何が欲しいんだい?」
「シンジの心が欲しい。シンジがアタシ無では生きていけない位にアタシの事を思うようにして。」
「君は、人の話を聞いて居たのかい?僕は他人の心を自由には出来ないんだよ。」
「何よそれ。役に立たないわね。」
「その代わりに、私が消えるって言うのはどう?」
「行き成り何を言い出すの?エコヒイキ。」
「私がもう、貴女達の世界にはもう戻らないわ。そうすれば、碇君を好きな人は貴女しか居ないわ。」
「身を引くって事?それで良いの?」
「私は貴女達の世界に居れる時間は短いの碇君とは、いずれ別れなければいけない。だったら、早い方が良いわ。」
「一寸、待ちなさいよ。されじゃぁまるで、アタシが惨めじゃないの。アンタなんかに憐れみをかけて欲しくないわよ。」
「気にする必要はないわ。貴女は碇君が背負う苦しみを肩代わりしてくれた、貴女はそれ以上苦しみを背負う必要はない
もの。」
アタシの手には、プラグを潰した感覚が蘇ってくる。これは、シンジを愛した証と言う事なんだろうか?
ならば、この痛みを大事にしたいな。
「では、本当に行くよ。また、何時か会えると良いね。」
「べーだ。絶対にシンジには近づくな。一昨日来やがれ。」
「一寸、大尉。滅多な事を言うと怖いスよ。」
「良いのよ。シンジを悪の道から守らないと、駄目だもの。」
「消えちゃいましたね。」
「あ゛ーシンジが消えてる。何処よ。何処行ったのよぉ?」
「ていうか、大尉も消えそうで...。」
「そういう、アンタも消えそうよ。」
そして、また意識が遠のいて行く。
続く...。
446:Another Way ?全編
09/08/22 22:22:58
と言う事で、次回は?後編です
次回で最後ですのでもう少し我慢してくださ
447:ふぅ。
09/08/22 22:59:57 0NXnIYA+
「ハハ、結局二人になっちゃったね。
アスカも来ればよかったのに。」
「惣流さん?碇くん、仲良いものね。」
「親同士がが同じ研究所で働いてるから、
アスカとは昔から知り合いなんだ。
そういや、父さんと母さん今日は遅くなるって言ってたけどアスカんち大丈夫かな…。」
「碇くん、惣流さんのことばっかりね。」
「そうかなぁ?昔からずっと一緒だから自然にそうなってるのかも。」
「そういうの、羨ましいわ。
私、転校ばっかりでそういう人いないもの。」
「バカシンジはもう帰ったのかな?」
昨日もこんな感じで天井見上げて考えてたんだっけ。
レイと一緒なんじゃん。
ま、あたしには関係ないけど。
昔こんなときはシンジんちに泊まりなさいって
おばさまが言ってくれてたんだっけ。
―ピンポーン
448:ふぅ。
09/08/22 23:21:48 0NXnIYA+
「…ママ?」
もしかして
―ピンポーン
「はーい!」
シンジ…?
「なによ!いきなり…。」
「アスカ、今日なんか変だったから。」
「大丈夫よ。ちょっと熱があるだけ。」
「そうなの!?」
やだ、おでこ…
「ちょっと熱っぽいね。顔も赤いし。」
顔…赤い?
「今日父さんも母さんも遅いんだ。
だから今日、泊まってくよ。
さっき母さんからアスカんちも今日は帰ってこないって聞いたし。」
「いいわよ…あたし一人で大丈夫よ。」
「だって、アスカ料理とか苦手だし…。」
「あたしだって料理くらい一人でできるわよ!!」
「ほら、熱あるんだからじっとしてなよ。
今おかゆ作るから待ってて。」
久しぶりに食べたい。
「…ハンバーグ。」
「え?」
「ハンバーグがいい。」
「だめだよ。治ってからまた作るから。」
治ったら、治ってもまた作ってくれるの?
449:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 23:45:15
中途半端すぎwww
まあ乙
450:ふぅ。
09/08/22 23:46:39 0NXnIYA+
「…ありがと」
「え、アスカ?今なんて?」
「余計な御世話だって言ったのよ!」
「へへ、そっか!」
なんにも変わってないのかも、昔と。
あたしだけが、変わっちゃったのかも。
なに…?この感じ…
「アスカー、できたよー。」
「ねぇシンジ、今日は綾波さんたちと勉強してたんじゃないの?」
「うん…結局ふたりだったんだけどね。」
え?なに?やっぱりこいつ…
「でも、アスカが心配だったから早めに帰ってきたんだよ。」
なによ、なによ。
そんなに振り回さないでよ。
「そうだったんだ」
でも、うれしい。
451:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 23:49:50
投下中だったのね
サーセン
452:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:16:03
このスレって、投下してる人より読んでるだけの側が偉そうだよな、常に
453:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:19:46
個人的にはちょっと辛口なほうが嬉しいよ。上達しそうで。
454:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:24:06
最近ひどい作品が多すぎ
反応薄い所で需要がないんだと察してほしい
455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:33:49
>>454
いきなり辛口すぎるw誰だって最初から完璧な訳じゃないんだから
いろんな作品があって良いと個人的には思っているけれど…
ちょっとしたネタを書き込むのも恐くて躊躇してしまう性分なので
このスレに限らずLASを提供してくれる人に感謝してます
456:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:47:54
>>455
同意
自分の厨房のときに書いた小説まがいもんとか、このスレに投稿したらやばいぐらいにおもろいと思う(別の意味で)
その頃よりはまだマシなものは書けてるみたいなので、一概にひどいと決め付けるよりは生暖かく時に厳しく見守ってくれると嬉しい
457:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:59:27
左様。
458:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 02:10:58
書き手にいろんな人がいるように読み手にもいろんな人がいるからね
クオリティの高いものだけ読みたいって人もいるだろう
そういう人たちの批評が書き手のスキル向上にもつながるし
そこからクオリティの高いSSが生まれてくるだろうから
自分も初めから全否定するんじゃなく様々な作品があっていいと思っているよ
459:if
09/08/23 07:23:26
いつみても、小説レベルが高いな
はい、みなさん。また、俺が来ましたよ。
タイトルは
昼飯
投下
460:if
09/08/23 07:24:18
<昼飯>
これは午後12時から午後1時までの話である。
居間に置いてある壁掛けの時計が、午後12時を回ろうとしている。
「シンジ、遅いわね。買い物するのに何時まで掛かっているのかしら、もう1時間よ」
そう言いながら、コップにオレンジジュースを注いでいると、玄関のドアが開く。
12:05:59
「ただいま。うぅ、暑いよ。アスカ、水を頂戴」
両手に荷物を抱えたシンジが、その場でへたり込んだ。
「お帰りシンジ。大丈夫?はい、ジュース」
アスカは自分が飲もうとしたジュースを、シンジに渡した。
「ありがとう、アスカ」
シンジはジュースを一気に飲み干す。
「美味しい」
「うん、美味しかったよ」
シンジはコップをアスカに渡し、両手に荷物を持って台所に向かった。
「アスカ、昼ごはん何が食べたい?」
台所から顔を出して、アスカに聞いた。
アスカはタンクトップと短パン姿で、扇風機を胸に当て涼んでいる。
「アスカ!聞いている?」
「ん、あ、ごめん聞いてなかった」
「昼ごはん、何にする」
「そうね……」
シンジはアスカを見ている。
いや、正確的にはアスカの胸元を見ていると言う方が正しい。
461:if
09/08/23 07:25:45
アスカの首の辺りから流れでる珠のような汗が、鎖骨に伝わり胸元に流れている。
その光景を見たシンジは、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「シンジに任せるから、何か作って」
「ん」
シンジは、まだアスカの胸元を見ていた。
声は聞こえているが上の空だ。シンジは目をつぶり、その余韻に浸っていた。
「シンジ!!聞いているの?」
アスカは立ち上がり、シンジの肩を揺らす。
「え、何か言った」
「だ・か・ら、シンジに任せるから、何か作ってと言っているでしょ。聞いているの」
「ご、ごめん。ちょっと違う世界に行っていた」
「はぁ?」
「独り言だよ。……それじゃあ、そうめん、とか食べる」
「え、そうめん、何それ?」
「日本の食べ物だよ。暑い時に食べる涼しくて美味しいものだよ」
シンジはアスカに麺を見せて説明した。
「うん、それでいいよ。シンジ」
12:30:01
「出来たよ、アスカ。これが、そうめんだよ」
シンジはテーブルにそうめん、麺つゆ、細かく切った卵焼き、ハム、ネギ、生姜、
焼き海苔、最後にわさびを置いた。
アスカはそれらを頷きながら見て、
「ねえ、これは何?」
わさびを指差す。
「ああ、それね。わさびだよ」
「わさび?」
「殺菌効果があって、食品や野菜の抗菌や、消臭とか鮮度を保つために使用する。
て、何処かの雑誌か、テレビで見た記憶がある」
462:if
09/08/23 07:28:03
「へぇ、そうなの。じゃあ」
「アスカ、辛いから……」
アスカはワサビを少し食べた。
その瞬間、
「辛い!辛いよ。み、水」
アスカが口を押さえて走り回った。
「……気をつけてね。と、言いたかったけど、遅かったね」
シンジは走り回るアスカを見て、腹を抱えて笑っている。
「あすか、ははは。はい、水」
シンジは笑いながら水を渡す。
「うぅ、涙が出ちゃう。辛いし、鼻がなんだか、ツーンとする」
水を飲み終えたアスカは、笑っているシンジの頭を軽く殴った。
「ふふふははは。痛い、アスカ殴ること無いだろ」
「辛い物と言いなさいよ、バカシンジ!」
「ごめんね、ごめんね。」
シンジは平謝りをした。
12:45:49
「じゃあ、食べますか」
「そうね」
「「いただきます」」
シンジはそうめんに薬味を入れ啜る。
「シンジ、音を立てないで食べてよ」
「え、これが、そうめんの食べ方だけど」
「え、そ、そうなの!」
「アスカもやってみなよ」
アスカも同じように薬味を入れ啜る。
463:if
09/08/23 07:29:28
シンジは横目で見て、ニヤニヤしていた。
「これで良いの、シンジ。ん、何がおかしいの。間違った食べ方をしたの?」
シンジは黙っていた。
「シンジ?」
アスカは小首を傾げた。
まだニヤニヤしている。
「ん!まさか」
アスカは気が付いた。
シンジが自分の胸を見ていることを。
「シンジ!あんた、何処を見ているのよ!」
「え!」
「この、エロシンジが」
「アスカ、し…・・・ごげ。また、こ、の蹴り」
アスカの蹴りが、顔面にめり込む。
シンジは、本当に違う世界に旅だった。
そしてアスカは、そうめんを啜る。
「美味しい」
13:00:00
終
464:if
09/08/23 07:31:45
以上です
465:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 07:34:33
うざすぎる
466:ふぅ。
09/08/23 07:41:13 bk5HffgW
需要無いとの厳しいご意見ありがとうございます(笑)
具体的にここがいけないってご指摘いただけると助かります。
才能ないんじゃこのやろー!ってのは
まだ高校生なので発達段階ということでお許しください…。
にしても読んでいただいて本当にありがとうございます!
つまらない作品を読むってことは想像以上に苦痛なことだと思いますので。
467:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 07:42:56
ノンジャンルに戻れよ
468:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 07:43:21
高校生でも何でもいいのであげないでね
469:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 07:44:26
>>466
メル欄に sage
470:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 07:47:45
ある意味、やおいだなw
471:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 07:58:41
>>466
俺は待ってるぞ
472:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 07:59:43
>>466
俺はおまいの作品嫌いじゃないよ
頑張って
途中で投げ出すのはよくないぜ
あとメ欄にsage忘れずに
473:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 08:37:50
>>466
いや、止める事は無いと思うぞ
俺は続きを待ってる
474:674
09/08/23 09:09:08
再びぐーてんもるげん。
逆シャアを見ながら恋愛小説書いてる自分が分からない。
あれ?おかしいな・・・プロットを考えたはずなのに、プロットにないエピソードが増えていくぞ・・・?
考えたラストまで無事たどり着けるのか。
・学園異性系イタモノ注意
・やっと明るめにつづ・・・く?
・先輩の名前を考えなかったせいで分かりづらくてすみません
・ケンタッキー
NGワード キンモクセイ
475:キンモクセイ
09/08/23 09:11:30
シンジが職員室に課題を提出しに行っている間、あたしは昇降口の前の階段に座りながら、
手持ち無沙汰にマスコットをいじっていた。
通学カバンに付けられた、おサルのマスコット。
小学生の頃からずっと付け続けているそれは、もうずいぶんくたびれて汚れていた。
何度も洗っているせいで色も褪せていて、友だちからはよく、汚いから捨てれば?なんて言われて。
ヒカリだけは可愛いね、って褒めてくれたっけ。
…きっとウソね。薄汚れた人形は、まるであたしみたい。
ドイツに帰る、なんてウソをついて、結局みじめな思いして。
シンジは、シンジは何も言わなかった。何も。
あたしがドイツへ行っても、離れ離れになっても、あいつは平気なんだろうか。
ただの友だちで、ただの幼なじみで、本当にそれ以上でも以下でもなくて…。
特別だと感じていたのはあたしだけ?
あいつにとって、あたしは一体何?
考えれば考えるほど、思考が闇に沈んでいく自分に気付いて、あたしは首を何度も横に振る。
何を考えてるのよ。
シンジは、あたしとずっと一緒にいるって、そう言ってくれた。
あの女と付き合った後だって、あいつはなにも変わらなかった。
深く考えるのはよそう、アスカ。今日のことは忘れるのよ。
ぎゅうと握りしめると、シンジがくれたマスコットは不細工に顔を歪ませた。
「ごめん、アスカ。待たせちゃったね」
コンバースの赤いスニーカーの爪先を叩いて履きながら、シンジが昇降口の扉から出てくる。
「おーそーいっ!」
何でもない風に装うのには慣れてる。
476:キンモクセイ
09/08/23 09:12:43
「このあたしを待たせたんだから、ペナルティ追加よっ」
あたしは立ち上がって、腰に手をあててシンジを軽く睨みつけた。
シンジが顔の前で手を合わせて、二度ほどごめんと言う。
「お説教、食らっちゃってさ…学生として自覚が足りないとかなんとか」
「自業自得ね」
「おっしゃる通りです…」
空は、すでに赤みを帯びていた。
ふたりで校門を出たところで、アスカ、と聞き覚えのある男の声に呼び止められて、あたしは振り返った。
細い目とその目と同じくらいに細い眉を釣り上げた顔が、赤く染まっているのは夕日のせいだろうか。
ただ、その声は怒りに満ちて。
あたしの隣に立っていたシンジが、先輩と呟く声が聞こえた。
なんで、こんなところにいるの?
そう問いただす前にあいつの口が開く。
「お前、また碇と…!」
つかつかと歩み寄ってきて、あたしの腕をぐいっとつかむ。
「痛っ」
「下駄箱に靴があったからまだ学校にいたのは分かってたんだ。ずっと探してたのに…!」
こいつが何故怒っているのか見当もつかない。
こんな風に怒るこいつを見るのは初めてなのに、あたしの中では驚きよりも冷めた感情の方が勝っていた。
あたしの腕をぎりぎりと強く掴みかかるその手が鬱陶しくて、思い切り睨み付ける。
その手を振り払おうとあたしが手をあげるよりも先に、シンジがあいつの腕をシンジが掴んでいた。
「アスカは僕の課題を手伝ってくれてただけです」
とりあえず手、離しませんか?痛がってるみたいだし。
淡々と、静かに。
そんなシンジとは逆に、あいつの顔がさらに赤くなっていって。
今にもシンジに掴みかかって殴りそうな勢いだったから、あたしは先にあいつの頬を思いっきりひっぱたいてやった。
477:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:13:03
今回は早い!!!ww
待ってたぞ!!!!
478:キンモクセイ
09/08/23 09:13:45
パァン!、と小気味よい音が響く。
「なんで怒ってるかは知らないけど、シンジを巻き込まないでよ」
頬を叩かれて冷静になったのか、あいつの顔に狼狽の色が走った。
「悪い…」
と、うなだれて呟くあいつ。
さらに逆上されたのなら見捨てることも出来たのに、
素直に謝られて、どうしていいか分からずにあたしは立ちすくんでしまった。
長い沈黙があたしたちを包み込む。
「アスカ」
シンジがあたしの名前を呼んで、促した。
そうだ。これからふたりでファミレスに行って、約束通りシンジにパフェを奢らせて。
その後CDでも買いに行こうか、と話していたところだった。
シンジの方に向かおうとしたあたしを、あいつの腕が掴む。
あいつが、あたしに縋るように見つめてくる。あたしを求めてくる。
「…ごめん、シンジ」
自分でも、何故こんな行動を取ったのかは分からなかった。
気がつけば、あたしはあいつの手を取って、シンジに背を向けていた。
シンジに対する当てつけのようなもの、だったのかも知れない。
ただの気まぐれだったかもしれない。
この時あたしは、初めてシンジじゃなくて、好きでもない男の方を選んだんだ。
「アスカっ」
シンジが、あたしの名前を叫ぶ。
夕日の中にひとり立つシンジの瞳は悲しみに彩られていて。
「アスカ…」
そう呟くシンジの声を耳にしながら、あたしは再びシンジに背を向けて歩き出した。
シンジがあんな悲しい瞳をするなんて、声を出すなんて、思ってもみなかった。
図書室では何も言わなかったくせに、今度はあんな風にあたしの名前を呼んで…。
ますますシンジが分からなくなって、頭の中がぐちゃぐちゃになる。
事実があるとすれば、それはこの男を当てつけにシンジを傷つけたこと。
嬉しそうに話続ける男を無視して、あたしは後悔の痛みに胸を抑えた。
479:キンモクセイ
09/08/23 09:16:30
あれ以来、男は強い独占欲を見せるようになって、電話やメールを頻繁に寄越すようになった。
今、どこにいる?
今、なにしてる?
今、誰といる?
馬鹿みたい。
お互いの行動を逐一連絡し合って、一日中ケータイ画面と向かい合うようなカップルはよくいるけど、こいつがそれを望むタイプとは知らなかった。
この間の怒りの原因も結局、メールを返さずシンジといたことで。
つまらない男だとあたしは思う。
「明後日、日曜だしふたりで遊園地に…」
一昨日のあたしの行動が、この男を勘違いさせたのならはっきり言ってやらなきゃならない。
「図に乗らないで」って。
「あんたとそんなことがしたくて付き合ってるわけじゃないわ」
あたしが望むのは、今まで通りの冷めた関係。
セックスだけじゃ物足りないの?どうしてそれ以上を望むの?
唖然とする男を置き去って、あたしはさっさと男の部屋を出た。
夜の街は雨の匂いがしていた。
星も月もすべて雲に隠された真っ暗な空からは、静かに雨が滴り落ちて。
ぽつん、ぽつんと街灯に照らされた地面に染みが出来ていく。
傘なんて持ってこなかったな…。
とりあえず近くのコンビニに避難しようと、あたしは足を急がせた。
見る見るうちに雨は激しくなっていって、コンビニへ着く前に夏のスコールのような雨になっていた。
480:キンモクセイ
09/08/23 09:18:11
仕方なく、通りがけの小さなレコード屋の前で雨宿りする。
カーディガンはすでにじっとり濡れていて、スカートの裾からは水滴がぽたぽたと落ちて地面に染みを作っていた。
張り付いた前髪をかき分けて、これが夏の制服でなくて良かった、と悠長なことを思った。
店の前の道では、あたしと同じように雨に翻弄された人たちが走り去っていく。
ケータイを見れば、あの男からすでに何件も電話が入っていた。
うんざりして画面を閉じて、これからどうしようと考えを巡らす。
シンジは…。
あの男と会った日は、抱かれた後は、綺麗になるまでシンジには会いたくない。
一昨日の、あの時の、シンジの悲しそうな顔が頭に浮かんで、内臓が内から締め付けられたように苦しくなる。
あれから、シンジとはあまり話していない。
朝も一緒に登校して、変わらず接して、けれど、どこかぎこちない。
あたしとシンジの間には目に見えない線が引かれたような、そんな感覚を感じていた。
あの女とシンジが付き合うようになった時も、あたしが初めて男と付き合った時すらも感じたことのない感覚に、不安で胸がざわつく。
10月の雨は冷たい。
震える体から、くしゅんとひとつ、くしゃみが出た。
「冷えるでしょう?」
低く穏やかな、まるでシンジのチェロのような声だった。
声のした方にふりむけば、白髪混じりの口ひげを蓄えたメガネのおじさんが、あたしにタオルを差し出している。
突然のことにびっくりしたけれど、そのおじさんの着てる店の名前の書かれたエプロンを見て、この店の店主だと気づいた。
「あ…」
「そのままだと風邪引きますから、良かったらどうぞ」
大丈夫、綺麗なタオルですよ。
そう言って、メガネの奥の小さな目を優しく細める。
おじさんの紳士的な態度が、あたしの警戒心を解きほぐしていく。
「あの、ありがとうございます」
好意に甘えて、差し出されるままにタオルを受け取った。
「誰かお迎えに来るんですか?」
「いえ…」
「だったら、中で休んでいきませんかね?この雨、しばらく止みそうにありませんから」
おじさんの、そのカーネル・サンダースのような優しい微笑みに釣られて、あたしはそのまま店内へと足を踏み入れていた。
481:キンモクセイ
09/08/23 09:19:23
全体的に茶色で統一された落ち着いた雰囲気で、いい意味で古臭い、くたびれたような匂いがした。
店の中は本当に小さくて、10人も入ればぎゅうぎゅうに詰まってしまうんじゃないだろうか。
木目調の棚にはびっしりとレコードやCDが並べられている。
ジャズとか、クラシックとか、そういったジャンルのものばかりで、いずれもあたしにはあまり縁の無い。
ただひとつ、店内に響く、流れるような重厚なチェロの音色には聞き覚えがあった。
「お嬢さん、寒かったでしょう?これをどうぞ」
一度奥へ入っていったおじさんが、マグカップをふたつ手に持って出てきた。
甘い、ココアの香りが店内に広がる。
「…ありがとう」
おじさんがあの笑みを浮かべてマグカップを差し出してくるので、そのまま受け取らざるを得なかった。
湯気に混じって甘い匂いがあたしの鼻をくすぐる。
冷えた手のひらに、じんわりと温もりが伝わっていく。
マグカップには黒い猫が一匹、描かれていた。
「あの、この曲…」
悲しみと優しさを湛えたチェロの音色。雨の降る暗い夜によく似合う。
「ああ、ブラームスのチェロソナタ、ですね。たしか第1番…お好きなんですか?」
「前に、幼馴染が弾いていたのを聞いたことがあって…あたし自身は、クラシックはよく知らないの」
―ほんとうはね、これにはピアノの伴奏がつくんだけど…
―あたしはそのままでも好き。じめじめしてるけど、綺麗な曲だわ
普段からは想像出来ないけれど、
チェロを弾くシンジの姿は意外にもしっくりと似合っていて、あたしは小さいころからそんなシンジを見るのが好きだった。
ひとつ、またひとつ曲を覚えるたびに、あたしだけに披露してくれて。それは、あたしとシンジだけの小さな演奏会。
482:キンモクセイ
09/08/23 09:20:25
―ブラームスってね。アスカの故郷の音楽家なんだよ
―ふーん
―興味ない?
―クラシックはあまりね。でも、シンジのチェロは好き
―ドイツ人のくせに
―うっさいわねっ。人生の2/3は日本で育ったんだから仕方ないでしょ!
その時だったっけ、いつかふたりでドイツへ行こう、ってそんな約束をした気がする。
カップの中のココアを一口すすると、
甘い香りと暖かさが体の中へ広がっていった。
「チェロか…素敵な趣味ですねえ」
同じように黒い猫が描かれたカップに、顔をうずめながらおじさんが呟いた。
「甘く、穏やかなチェロの音色は心が安らぎますなぁ。もっぱら、私は聞く専門ですがね」
そう言って、おじさんはふふっと笑った。あたしもつい、つられて笑ってしまう。
「その幼馴染さんとは、どんな方で?」
「バカ、です。バカで、あけすけで、でも優しくて…お互いに一緒にいるのが当たり前、みたいな。そんなヤツ」
そう言ってあたしが笑うと、おじさんも一緒に笑ってくれた。
それは素敵な関係だ、と。
…一緒にいるのが当たり前。
そうだ、今までだって何度もケンカして、そのたびに仲直りして、やっぱり一緒にいたじゃないあたしたち。
あたしの胸に巣食う正体の分からないこのざわめく不安も、きっと杞憂にすぎない。
すぐに、元に戻れる。
「あの、おじさん。ブラームスってひとのCDで、オススメのものある?」
ココアをもう一口飲み込んで、あたしはおじさんに聞いてみた。
仲直りとか、そんなたいそうなものじゃない。
ただ、あたしたちが今までと変わりなくいられるように。元のままでいられるように。そんな小さな願いをこめて。
483:キンモクセイ
09/08/23 09:21:38
おじさんが薦めてくれたCDに代金を支払って、おつりを受け取る。
合成皮革で出来た通学カバンの中は雨でも無事だったので、その中にそっと仕舞い込んだ。
カバンのヒモに引っ掛けられたおサルのマスコットは、びしょ濡れだったけど。
「ありがとうおじさん。ココアごちそうさま。あたし、行くわ」
外の雨は相変わらずしとしとと降り続いている。
勢いだけは少し弱まって、糸のような細い雨へと変わっていた。
おじさんは心配そうに傘を貸そうかと言ってくれたけれど、そこまでお世話にはなれない。
雨宿りまでさせてもらって、その上タオルにココアまで。
何度もお礼を言って店の扉に手をかけようとした時、カバンの中でケータイの着信音が鳴っているのに気づいた。
思わずおじさんと顔を見合わせて、ちょっとだけごめんなさいとあたしが言うと、おじさんはにこやかに了解してくれる。
また、あいつが…と、彼氏の顔を思い浮かべたけれど、サブディスプレイに示された名前は予想外にもシンジだった。
急いで通話ボタンを押して、電話に出る。
「もしもし?」
『あ、アスカ?』
シンジだ。シンジの声だ。
穏やかで優しくて…シンジの声もチェロに少し似てる。
「どうしたの?」
『雨、降ってるからさ。気になったんだよ。先輩のとこ?』
「ううん、親切な人のところで雨宿り中。でも、もう帰るわ」
『帰るって、傘あるの?』
「無いけど、走って帰るから大丈夫よ。また雨が強くなったら途中のコンビニで傘、買えばいいしね」
『だったら僕、迎えに行くよ。ちょうどコンビニにいるからさ、ついでだし』
シンジの下手なウソに、あたしは声をたてないように小さく笑った。
あたしの耳には電話の向こうでざわめくテレビの音が、しっかりと届いている。
家の中にいるくせに、コンビニにいるなんてウソをついて。
まさか、あたしを迎えに行くための口実…?
…あたしが一昨日、あんな態度を見せたから、言い出しにくかったんだろうか。
やっぱりシンジはバカだ。優しいバカ。
シンジに聞こえないほど小さな声で、あたしはアリガトウと呟いた。
484:キンモクセイ
09/08/23 09:23:02
『えっ?なに?聞こえなかった』
「なんでもなーい!待ってるから、迎えに来るんだったらさっさと来なさいよばかシンジ!」
『りょーかい……って、ドコに?』
「あんたばかぁ?」
この店の場所をシンジに説明して、電話を切る。分かってるのか分かってないのか、あやふやなのが心配だ。
「…おじさん、もう少しだけ雨宿りさせてもらってもいい?」
「もちろん」
おじさんはあのカーネル・サンダースのような笑みをまた浮かべて、頷いてくれた。
温かいココアをまたごちそうになって、おじさんとたわいもない話をする。
おじさんの奥さんの話だとか、好きな音楽だとか、飼っている黒猫の話。
あたしもシンジの話や(いつまでおねしょをしてたとか)、最近読んだ本の話、学校の愚痴なんかも話した。
おじさんはとても聞き上手で話も上手くて、時間はあっという間に過ぎていった。
お店の外に、見慣れた傘をさした人影が目に入って。
右手に、あたしの赤いに白い花柄が散りばめられた傘を持っているのが見えた。
傘がむこうを向いて、シンジの顔が現れる。シンジはあたしの姿を見つけたらしく、微笑みながら小さく手を振った。
「幼馴染さんですかな?」
おじさんの問いかけに、はい、と答える。
「ほんとにありがとうおじさん、楽しかったわ」
「いやいや…私こそお礼を言いたい。お嬢さんと楽しくお喋りが出来た上に、CDまで買ってもらえるなんてね?」
小さな目をウインクさせて、おじさんがお茶目に笑う。
あたしも笑い返して、今度こそ店の扉に手をかけた。
「美しいお嬢さん、素敵な幼馴染の彼にもよろしく」
おじさんの言葉に頷いて、あたしは店の外へ出た。シンジの待つ外へ。
「はい、傘」
「ん」
シンジに差し出された傘を受け取って、開ける。
夜の空によく映えて、まるで赤い花が咲いたように鮮やかだ。
店の中でこちらを見ていたおじさんにふたりで頭を下げて、あたしたちは街の中を歩きだした。
485:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:23:31
紫煙
486:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:24:07
私怨
487:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:25:56
今回はこれで終わり・・・かな?
488:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:29:14
今回はここまでか
489:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:31:21
シンジ頑張れ!!シンジ頑張れ!!
アスカ気付け!!アスカ気付け!!
盛り上がってまいりましたな・・・
490:キンモクセイ
09/08/23 09:31:45
「服、濡れてるね。寒くないの?」
「ちょっと寒いけど、平気」
あいつに抱かれたあとだと言うのに、シンジと普通に話せてる。
雨があたしを洗い流して綺麗にしてくれたんだろう。
この時あたしは寒さよりも、むしろ清々しさを感じていた。
突然、もぞもぞと隣のシンジが動きだして。片手で傘を持ちながら、器用に着ていたパーカーを脱いでいく。
どうしたの、と聞く暇もなくあたしの前にそのパーカーを差し出してきた。
「風邪引くといけないから、これ着なよ」
「平気だって言ってんでしょ」
「そんな事言って、真冬の川に足を突っ込んで、翌日高熱出してたの誰だっけ?」
「くっ…そんなことばかりよく覚えているくせに、どうして英単語が覚えられないのよ?」
しぶしぶシンジのパーカーを受け取って、肩に羽織った。
パーカー、濡れちゃうのにバカだな…。
シンジの優しさは暖かくて、いい匂いがする。
パーカーをさらに寄せると、もっとシンジの匂いを感じた。
「あのさ、アスカ」
シンジの声が少し緊張の色が混じっているように震えている。
あたしが、なに?と返すとシンジは続けた。
「…明後日、ヒマ?」
「まあ…ヒマかな」
あの男が何か言っていたような気もするけど、今はどうでもいい。
「あの…今日さ、新聞屋のお兄さんが来て洗剤とかラップとかたくさんくれたんだ。それで母さん喜んじゃって」
助かるわあ、と言いながらニコニコ微笑むおばさんの姿がありありと目に浮かぶ。そんなおばさんが可愛いくて好きだ。
「ふむふむ」
「母さん、若作りだけはすごいだろ?母さんがあんまり喜ぶもんだから、新聞屋のお兄さんもデレデレしちゃって…」
「へー。おばさん、美人だものね」
「頼んでもいないのに、さらに石鹸とか洗剤とか色んなものをそれはそれは山積みのように…」
「うん、美人ってそういう時、得よね。あたしもだけどっ」
「自分で言うなよ…って、僕が言いたいのは!」
491:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:32:16
きたああああああああああああああああああああ!!!!
492:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:34:30
シンジが立ち止まる。
あたしは振り返って、シンジと向かい合う形になった。
「なに?どうしたの?」
少し、間をおいてシンジが口を開いた。
「明後日、ふたりで動物園に行こう」
「え…?」
「し、新聞屋のお兄さんがくれたんだよチケット!それで、どうかなって…」
「…こ、こないだの課題のお礼、まだだったろ?それも兼ねて、さ…」
ああ、そういうことね。
これが、こいつがこいつなりに考えた、キッカケ、なんだろうか。
あたしのブラームスのCDと同じように、考えてくれたんだろうか。
それが嬉しくてあたしは大きく頷いた。
「あたしもね、シンジにあげたいものがあるの」
「え……なに?」
とりあえず歩こう、と促して、ふたりで再び歩き出す。
マンションに近づくごとに人気もお店も少なくなっていて、明かりと言えば街灯と住宅の光しかない。
その光を頼りにカバンの中から、おじさんのお店で買ったCDの包みを取り出して、シンジの手に渡す。
傘と傘の間を通る瞬間に、雨が紙袋にいくつか染みを作った。
プレゼントなんて、思いもよらなかったんだろう。
シンジの大きくはっきりとした目が、ぱちぱちとまばたく。
「これは…?」
「開けてみて」
「…ブラームスのCD?交響曲第1番から4番……カラヤンのじゃないか!」
紙袋から取り出したCDを見たシンジの瞳が闇夜の中でもはっきりと、生き生きとして輝いていくのが分かる。
よく分からないけど、良かったみたいだ。
「アスカ、ありがとう!!ずっと欲しかったんだ、これのCD!」
無邪気にはしゃいで、頬を赤く染めて喜ぶ。
ココアみたいに甘くて子どもっぽいシンジの笑顔にあたしはほだされて、心が暖まっていくのを感じた。
493:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:34:53
もう このスレに張り付いて
日曜日が終わってもいい・・・
494:キンモクセイ
09/08/23 09:36:09
「でも、どうしてこんな…!悪いよ!」
「気まぐれよ、気・ま・ぐ・れ!…あの店でたまたま聞いたの。ブラームスのチェロなんとか」
「…チェロソナタ?」
「そう、また弾いてくれればそれでいいわ。あれでもいいけど…バッハのやつ」
「無伴奏チェロ組曲、アスカ、好きだもんな。僕も一番好きだよ」
「うん、それも…また聞きたい」
「りょーかい。いくらでも弾かせてよ」
暗くてじめじめした夜なんて関係なしに、あたしたちは微笑み合って歩く。
あたしたちの間にあった見えない線なんか、とっくの昔に消え去っていた。
495:674
09/08/23 09:38:05
また規制されちったい
とりあえず以上
時間がないので早く頑張る
みんなコメントありがとな!
次もきっと明るいさ!
496:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:38:26
誰かCDの詳細調べて来いよ
買いに行くから
BGMにして読み返すんだ
497:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:39:04
>>495
超乙!!!
盛り上がってきたな!次回も楽しみに待ってるぜ!!!
498:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:39:36
乙
楽しみにしてるぜ
二人が幸せになれるといいね
499:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:39:36
GJ
500:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:41:15
>>496
ブラームスはじめじめして暗いから、バッハオススメする
501:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:43:06
>>375が働いてくれる事を祈って
502:キンモクセイ
09/08/23 09:46:59
げぇーっ
コピペ失敗してるじゃ
>>492の前半は正しくはコレです
シンジが立ち止まる。
あたしは振り返って、シンジと向かい合う形になった。
「なに?どうしたの?」
少し、間をおいてシンジが口を開いた。
「明後日、ふたりで動物園に行こう」
「え…?」
「し、新聞屋のお兄さんがくれたんだよチケット!それで、どうかなって…」
夜の暗さと傘が影になって、シンジの顔がよく見えない。
映画やショッピングに一緒に行くことなら何度もあったけど、こうやって動物園のような"イベント"にシンジから誘われるのは初めてだった。
そのことに驚いて、少し戸惑ってしまう。
「…こないだの課題のお礼、まだだったろ?それも兼ねて、さ…」
ああ、そういうことね。
これが、こいつがこいつなりに考えた、キッカケ、なんだろうか。
あたしのブラームスのCDと同じように、考えてくれたんだろうか。
それが嬉しくてあたしは大きく頷いた。
すみません、以上
503:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:49:01
>>502
おk
504:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 09:56:57
GJすぎる!
ハッピーエンドになればいいな!
505:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:00:50
>>500
タイトルを希望します
本気っす
506:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:11:57
>>505
アスカがシンジにあげたのはカラヤン指揮の交響曲第1番から4番のCDそのまま
アマゾンにある
チェロソナタ第1番2番も色んな奏者のやつがあるからお好みのどうぞ
ついでに質問だけど、あのアスカの髪型ってなんて言うんだろう
507:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:18:36
>>506
ありがとう
508:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:25:03
GJ!反応が凄まじいw
やっぱ凄いね…なんか自分に限界を感じてきたよ
509:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:27:09
>>508
そう下向きになりなさるな
投下すればみんな反応してくれるはずさ
辛口評価もあれど、それを糧にどんどん上達していけばいい
気にせず臆せず気軽に投下してくれぃ
510:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:28:19
GJ!!
意外とアスカの方が鈍感だったり?w
511:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:45:14
現実だったらいつまでも一緒にいられないと悟り
大学進学をきっかけに疎遠になって
数年後、同窓会とかで久々にあったら結婚してて子供もいて…
っていう展開になるんだろうな~
512:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:47:33
神が来た。希望の光が来た
何処に来た。
ここに、キンモクセイさんがきた
513:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 10:49:54
>>511
俺なら告る
514:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 11:01:16
>>513
相手に彼氏がいたら諦めるだろう
常識的に考えて
515:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 11:15:00
>>511
んだよねー
まあ子どもの理屈を通せるのがFFのいいところよ!
516:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 12:17:33
>>506
サイドアップ?
517:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 12:37:39
そういえば入れ替わりまだかな?
518:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 13:12:15
入れ替わり俺も期待してるんだけど
519:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 13:44:05
動物園でのシンジの行動に期待したい
告白までいけたら惚れる
520:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 13:46:46
乙すぎてこのスレから離れられない…
521:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 15:32:51
シンジに勇気かアスカに素直さがあれば
本編でもくっつけたかもしれないって
LAS小説を読んでて思う
522:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 15:34:17
>>521
それが無いからいいとも言える
523:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 15:44:46
>>514
離れる前に気持ちだけでも伝える
524:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 16:13:37
告白するにはかなり、勇気がいるよ。
しかも、この二人は友情みたいな関係だ。
シンジ、もしくはアスカが告白すれば、今までの関係が壊れるんじゃないかな。
二人はそれを恐れてるじゃないの、だからお互いに好きと言えない。
皆もこんな経験あるんじゃないの?
僕の考えすぎか?
525:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 16:21:28
いっしょに遊ぶのは、だいたい小学校高学年くらいまでで、その後はだんだん疎遠になっちゃうよね。
近所の子供がその子だけだったら別だろうけど、たいてい、他にも男の子や女の子はいっぱいいるわけで、
だんだんやることが違ってきちゃうから。
だから、これは、かなり特殊なケースだと思うよ。
たぶん、お互い、相手の気持ちを薄々分かってはいるんじゃないのかな。
そうでないとこういうふうにはあんまりならないと思う。
526:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 16:40:45
ヽ、レ'´ ̄ ̄ ̄`丶
/.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.:`ヽ
_/::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.`¬
{::.::.::.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`¬/.::.::.:.:.:.:.:.:{_
j::.::.::.::.::.::.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,ヘ }::.::.::.:.:::::::::::::}
〈::.::.::.::.::.::.::.::/.::.::.::.::.::./`ヽ/"ヽ::.::::::::::〈
ゞ:::::::::::::{::::{:: !::.::.|::{::ト、{ }::::::::::::: }
ミ::::/`ヽ:: !-{,xニl_土‐ 、,xニ_二l::::::::: ハノ
`レ{ r'} \{八_ノ_` }ァニ{_ノ_`ハ}/}/
ム.__. ゝ'_ ' .ノ { t.'__'/ノ
_.. イ/ 、 、 ̄ ,\`く.√i
_| { ヽ  ̄ ̄/^ヽ. \{
_ノ | ヽ >-イ´─- ハ\
, ' ´ | \ { _| j -‐ } ヽ 優柔不断なシンジ殿では将来が不安でヤンス
/ | ヽ,ィ 7 ` '´ j { 、__,. / ',
/  ̄`ヽ | } 〈‐-‐…' >‐{ ,' 、 ここは小生が一肌脱がないといかんでヤンスな
527:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 16:47:45
>>524
離れ離れになっちゃうからね
どの道壊れるなら俺は告白するな。
相手に彼氏居ようが自分の気持ちを伝えたい
勿論本当にただの友達って関係なら押し殺すけど、こういった仲ならばの話だけどさ
シンジはアスカと同じで誰かと付き合っても付き合っても忘れられないんだろ、アスカの事が
それ程まで想ってるなら自分の為にも一度当たって砕けたい
と妄想
528:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 16:57:53
雑談は余所でやれカス
ここは投下スレだぞ
529:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 17:00:58
524だが
男女の友情なんて成立しない。
そんな事、誰か言ってたね。
人を好きになるのが辛いなら、好きにならなければいいのです。
人を好きになるのは簡単だけど、それを相手に伝えるのは怖くて、辛いもの
場合によれば、相手を傷つけたり、自分が傷つく、恋愛は難しいよ。
・・・・・なんで、こんな話になったの?
530:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 18:08:53
次いってみよー!
531:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 20:06:04
>>445
の続きです。これで最後です
532:Another Way ?後編
09/08/23 20:06:42
次に、目が覚めた場所は病院の中だった。不思議な事に外では雪が降っている。
日本じゃないって事かな?
病室に入ってきた看護師さんがアタシを見て少し、驚きと安堵の表情を浮かべる。
「アスカさん、お目覚めですね。良かった...。」
え?日本語?と言う事は日本なの。
「あのー、ここは、日本ですよね。何で、雪が降ってるんですか?」
「アスカさんは、ご存じないかも知れませんが、地軸の揺れもどして日本には、
四季が戻ったんですよ。」
「そうなんだ。シンジは生きているんですか?」
「碇シンジさんですよね。生きていますよ。当然です!彼のお陰で世界が救われたの
ですから。そうそう、碇さんからアスカさんが目覚めたら知らせて欲しいと言われて
居ますので直ぐに連絡しますね。」
どうやら、アタシが寝ている間にシンジの大活躍で上手く行ったみたいだ。結局、
アタシは何の役にも立たなかったんだね。
533:Another Way ?後編
09/08/23 20:07:54
シンジが病室に入ってくると、アタシは思わずベットから飛び出してシンジの元へ
駆け寄っろ。胸をポカポカ叩きながら。
「もう、バカバカバカ、会いたかったよぉ。無事で良かったよぉ。」
と言って半泣きしてしまった。
「ごめん、アスカ心配かけて...。」
「やはり、我々は来なかった方がよかったのでは無いか?」
「げ、司令...。あのー、そのー、御無事だったんですね。」
何で、司令まで居るんだよぉ。
我に返ったアタシは居たたまれなく成り、そのまま回れ右をすると、ユラユラと
歩いてベットへと戻った。もう、恥ずかしいのを通り越して、情けない気分だ。
534:Another Way ?後編
09/08/23 20:08:17
「入って、良いかな。」
「良いわよ。司令まで来ていただいて...、すいません。」
司令の後に続いて、女の人が入ってきた。知的な感じのする女性だ。アタシより劣るけど
美人の部類に入る感じ。
「紹介するよ。僕の母さんだ。」
「かあさん...、ママ...、て、事は無事に戻れたって事?良かったじゃないのシンジ!
あ、始めまして、アスカです。」
「ユイです。シンジが何時もお世話になっているみたいで、改めてお礼を言うをわ。ありがとう。」
「そんなー、助けて貰って居るのはアタシの方です。そのー、今回も寝ていた間に全て、片づけて
くれたみたいで...。アタシってドイツから何しに来たのか解らないなぁ...。」
「そんな事無いよ。ジオフロントでアスカが呼びかけてくれなかったら如何なっていたか解らないよ。
あの時、命がけで来てくれたアスカを如何しても助けたいって思ったんだ。それが無かったら...。」
「恋人同士の庇い合いって何かいいわね。」
「違います!」
「違うよ!」
「ユイ、そろそろ...。」
「そうね。挨拶も済ませてし、元気そうなのも解ったから、私達は仕事に戻るわ。シンジはこの可愛い彼女
とゆっくりしてらっしゃい。恋人同士のじゃれ合いってはた目から見ていると、白けるのよね。」
「あのー、違うんですよ。シンジ...君とは、そう言う関係じゃ...。無いですって。」
「そうだよ。アスカとは、何でも無いんだよ。」
ねぇー本当にそうなの?だったら、何で助けてくれたの?
でもアタシも同じか...、アタシも気持ちを誤魔化してるもんね。
535:Another Way ?後編
09/08/23 20:08:46
「ねぇ、シンジ。アタシがジオフロントで何を言って居たか聞いて居たんだよね。」
「それがね。聞いて居たんじゃ無くて、感じていたって言った方が良いかな。アスカが必死に何かを伝えようと
して居るのをただ感じていただけなんだよ。だから、何を言って居たかまでは...。何を言っていたの?」
「な、な、な、な、な、何でも無いわよ。大したことは言ってないわ。そう言えば、マリは如何なったの?」
「ああ、彼女なら病院に担ぎ込まれた翌日には目を覚まして、数日で退院してヨーロッパへ帰ったよ。」
「アイツの自慢はタフな所だけだからね。何か言って居た?」
「直接は会ってないけど、アスカが目覚めてからだと、帰るなって泣き付かれるんで会わずに帰るって
言って居たみたいだよ。」
「何よそれ?アタシがそんな子供みたいな事、言うわけ無いでしょ。ミサト達も無事なんだよね。」
「うん、でも忙しくて会えないんだよね。アスカが退院したら、皆でお祝いしよって言って居たけど。」
良かった。シンジはアタシが言った事を聞いて無かったんだね。あれは、もう死ぬから最後に言いたい事を言っておこう
と思って言っただけで、生き残ったら全く別。こんな事を言ったのがシンジに知れたら、恥ずかしくて二度と会えなくなる。
そう言う意味で、マリが日本に居ないのは幸いだ。残って居たら、何を言うか解らない。
問題は、ミサトだ。他の人は喋らないけど、ミサトは何を言うか解ったもんじゃない。シンジと話しをしながらアタシはミサトの
口を塞ぐ方法を考えていた。
終劇
536:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 21:28:43
GJです。えらいサッパリした終わり方ですねw
レイが消えたこととか、マリとの別れとか描いてほしかったな~と思いましたが、最後はハッピーエンドだったんで良し!ですね
537:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 21:39:06
転載板の未完の作品の続きなんだけど投下してもいいかな?かなりのイタモノなんだが…
もし他に投下できるようなスレがあるなら教えてくれるとありがたい
538:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 21:43:05
>>537
まずその作品を知らないから何とも言えないw
前回部分も欲しいけど…ちなみにLASだよね?
539:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 21:52:15
>>537
作品名kwsk
まあイタモノは読まないけど
540:537
09/08/23 21:53:07
異性系でかなりドロドロしてるがいちおうLASのつもり
イタモノ専用スレって無いのかな?
541:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 21:57:27
だから何て言う作品だよ
転載板から引っ張ってきてよ
542:537
09/08/23 22:04:44
「11」ってタイトルで保管されてる作品なんだがスレチでしょうか?
543:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:06:04
ここはイタモノもOKだお
ただ、NGワードのためにタイトルを名前欄に入れるのと、注意書きだけ頼むよ
544:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:07:32
あれかwwwwww
カヲルトウジが出てきて終わった作品だよね?
スレチじゃないから大丈夫かと思うよ
545:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:08:33
あれ前半だけでもめちゃくちゃイタかったのにまさかこれ以上…
546:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:09:26
凄いのも帰ってきたなw破効果すげ~
547:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:10:12
アスカがラリって他の男達とヤリまくる話だっけ?
イタすぎて俺は途中でやめたけど作品としてはいいと思う
投下どーぞ
548:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:13:02
もう投げ出してたって思ってたwww
ワクテカ
549:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:14:34
アスカの異性系ならいけてしまう俺はいいと思うよw
…ちゃんと最後はLASになるならだけどね
550:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:15:17
でもあれもはやLASじゃない気がry
投下待ってます
551:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:17:53
まあ確かに少しLASから脱線してるよな
でも俺は好きだお
wktk
552:537
09/08/23 22:22:25 GGwWjQFU
では12時くらいから投下さしてもらいます。
イタさは前回以上では無いけど以下でもないって感じなんで苦手な人は「爆弾」でNG登録お願いします。
553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:24:30
どーせならハッピーエンドがいいな
>>552
がんがれ
期待してるお
554:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:25:42
うわ、この人かwww
すげー祭り起こしてた人だな
555:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:25:50
>>552
頼むからsageてくれ
そーいや『ふぅ。』は続きマダー?
あれ結構好きだからさ
556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:26:37
>>554
祭りkwsk
557:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:28:17
>>555
俺も待ってる
558:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:28:51
>>556
投下とともにすげえ反応で、めちゃくちゃスレの速度が早かった気がする。結構昔の話かな?
自分もちゃんとは読ませてもらったことはないんだけど、たしかにすごい内容だったw
559:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:30:25
>>558
何でそんな反応スゴかったの?
イタモノが珍しかったの?
560:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:31:55
>>559
LAS以外の人も流入して読んでたからかな?
NTRが流行ってた時期だし
561:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:33:22
>>559
イタのレベルが違うからな
もはや使徒なんか小さい敵じゃないかなw
562:537
09/08/23 22:33:22
すまん書き込むの久々すぎてsage忘れましたorz次から気をつけるんで
ではのちほど
563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:40:34
そんな凄いのかw
これは流石に読む勇気ないわ
ただでさえ今まさに傷心中だってのに、、
564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:53:05
正直「11」はもう
あきらめていたから続きが投下されるなんて
奇跡みたいだ。完結願う。
565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 22:59:50
あれかww荒れまくって途中で移動とかしてたやつだよな?
今回は荒れないのを祈る
566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:00:48
確か前半はアスカがラリって他の男達とヤリまくってミサトが死ぬ話だったよね?
今から後半読んでくる
567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:07:33
|д゜)ソローリ
|彡サッ
568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:18:11
でもエロ表現は抜きにしてくれよー
でないとスレ削除されちまう
エロ表現入れるならどっかのろだにうpって誘導でヨロ
それで動いてるLASスレもあるしな
569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:18:13
奴だ
N3爆弾が来たんだ
570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:26:35
N3爆弾かあれはイタすぎなんだよな…でも続きが気になってしょうがない
571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:28:00
シンジ「4年ぶりだね」
アスカ「ああ間違いない、N3だ」
572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:42:15
(゚д゚)N3の11……俺が初めて読んだイタモノ……アイツか?アイツが来たのか……?
573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:50:54
今読んだけど挫折した
前も同じように挫折したのを思い出したw
てか、シンジの綾波に対する態度でかなりイライラしてしまったよ…いくらなんでもかわいそすぎるだろorz
574:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:55:02
あんなイタモノ読みたいやつなんているわけないだろ
どうせ期待してるような書き込みは自演
絶対投下すんなよ!ほかでやれ
575:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:56:51
やっぱりイタモノ専用スレ作るべきかな
>>574
そんな事ないさ
576:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:57:52
これ以上投下すれ増やすなよw
一応落ちLAS投下すれと、分けてあるのに
577:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:58:06
SDATのやつの続きマダ-?
578:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 23:59:43
イタいのもOKってスレだからねここは。
落ち着いて投下スレ分割させたのって、そういう理由じゃなかったっけ?
579:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:01:08
・ふぅ。
・キンモクセイ
・入れ替わり
この続き待ってる
580:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:01:18
他の男とはやっても、シンジはホントに好きだからやらせない、ってある意味ツンデレだよなw>N3
581:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:01:23
他の職人に迷惑だろが!!絶対投下すんなよ
582:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:03:36
そして分けた理由を作ったのがN3爆弾だっていう
583:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:04:01
別に俺はイタモノ大歓迎派なんだけど
584:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:05:02
ぶっちゃけ総合はN3用に立てたスレだしw
585:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:05:56
オレもここでは止めて欲しい
どうしても投下したいなら違うスレでもたててやれば?
586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:08:35
また荒れそうだw
つか、鳥か投下の文体見てみないと信じられん
587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:08:35
N3が投下すると他の作品が読めなくなりそうなんでできれば余所で頼む
588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:09:53
長くなりそうだしな
589:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:11:26
それかノンジャンルスレに投下してもらう?あそこ今あんま投下きてないし
読みたい人はもちろん読みたいけど、イタいの苦手だけどどうしても無理だけど、最近投下多いからよく来る人もいるだろうし
N3さんもイタ専用あればそこがいいとか書いてたし、このスレに投下することに固執してないだろうし
590:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:11:50
ソウナンダヨナ
イタサよりも独占されそうなのが嫌
591:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:12:36
落ちLASに移ったら?
ここはN3投下に相応しく条件ゆるゆるのスレだよ?
>あなたがLASと思えば、それはLASなのです。
592:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:12:36
あーそれもそうだな。
荒れて他の作品が読めなくなるのはイヤだし
593:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:12:53
左様。
594:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/24 00:14:05
確かに条件ゆるいんだけど、
ほとんど専用スレになるのは見えてるので、
条件ゆるいとかきついとかは関係なくなるような。