09/08/20 10:54:29
サードインパクトから三年後、ゼーレや碇ゲンドウなどの一部を除いた人々は
、貴重な臨死体験を終え帰還し、地球レベルでの復興も驚くべき早さで進んだ。
これには、ネルフの科学技術の開示が起因していた。
こうして、今ではセカンドインパクト直前ほどの状態に戻り、日本もサードイン
パクト時の衝撃による、地軸のずれの解消により、四季を取り戻していた。
その間にアスカとシンジの和解、ネルフと残ったチルドレン二人との和解、国連
とネルフの和解、などたくさんの和解があり、その上に今の平和が成り立ってい
る。この和解の連鎖は、人の心を覗き合い、他人を思いやるという事を以前より
覚え、少しだけ優しくなった人類の、サードインパクトによる副弐的産物であっ
た。
そんな、太陽が照り付ける茹だる様に暑い夏のとある日曜日の午後、保護者兼
元上司の葛城ミサト、同居人兼恋人の碇シンジの不在を良い事に、居候の身であ
りながら惣流・アスカ・ラングレーは、クーラーの温度設定を低めにし、自室の
壁にもたれ掛かって音楽をかけながら座ってスイカバーを食べていた。
「ホント、外は暑そうねぇ。シンジ、大丈夫かしら…」
そう、独り、言ちる。聴いている曲は、年齢に似合わずさだまさしである。
何故こんな古い曲を聴いているのかというと、それは先日、地球復興に甚大な功
績を挙げたことにより、今では国連の特別研究所になっているネルフに、アスカ
とシンジが健康診断を受けに行った際、青葉シゲルに会った時の事だった。
301:恋愛症候群
09/08/20 10:55:28
健康診断を終えたシンジが、自動販売機のベンチに座ってアスカを待っている
と、いつになくハイテンションな青葉シゲルがやって来た。
「おぉシンジくんじゃないか!どうしたんだいこんなところで?」
シンジは、何時になくハイテンションなシゲルを訝りながらも答えた。
「えっただ早く健康診断終わったんで、アスカを待ってるだけですけど…」
「そうかいそうかい!」
シゲルはひたすら陽気だった。馴々しく肩を組んで来た。
「ところでシンジくん、いっつも何の曲を聴いてるかしらんが、今の時代はロッ
クだぞ!ロック!このフォースインパクトを引き起こすロックンローラーと言わ
れた所で全く憚らない男!青葉シゲルが、良い曲紹介してやるよ!」
「いやいいですよ、だってシゲルさん影薄いですし、何より名前初めて聞きまし
たよ」
「えっ…」
「あっ…」
そんな気まずい空気を打破するかの様に、シンジの姿を見つけたアスカが駆けて
来た。
「シンジぃ!なにしてんの?」
「あっアスカ!」
シンジは(≧∇≦)ъ ナイス!とばかりに心踊らせた。
「シゲルさんが何か良い曲紹介してくれるって」
復活したシゲルが喋り出す。
「おぉ~いい所に来たな、アスカ!いっつも何の曲を聴いてるかしらんが、今の
じ」
「へぇ~存在感薄いからって必死ね」
シゲルは泣いた。シンジが、自分の事を棚に挙げ「ダメだよ気にしてるんだから
」などとアスカを非難していると、そこへ今では総指令の冬月がいつもの困った
顔でやって来た。
302:恋愛症候群
09/08/20 10:58:05
「おやおや?なっ青葉くん!何かあったのかね?」
「シンジくんとアスカちゃんがぼく、かげうすいっていじめた!」シゲルは幼児の様な声で喚いた。
「あぁ残念だが、それは否定出来かねるな」
「ぐぅ~」シゲルはうずくまった。
「ところで何の話をしておったんだ?」
「はい、シゲルさんがロックな良い曲を紹介してやるって」とシンジが答えると、日頃から不満を抱いていたのであろう冬月が激昂した。
「何?ロックだと!?だから今の若者はなっとらんのだ!あんな軽薄な雑音で構成された騒音なぞを聞いておるから」
「ろっくばかにすんな!」
冬月はシゲルの顎を思いっ切り蹴り上げる。
「良い機会だからアスカくん、日本文化の勉強のためにも昭和のアーティストでも聞いてみたらどうかね?」
冬月は何もなかったかの様に、アスカへ薦める。
「えぇ~あんまり私っぽくありませんよ!」
「良いじゃない。この前アスカ、日本の文化も悪くないわね。とか言ってたじゃ
ないか」
シンジも、あまり音楽を聴いていない様子のアスカが取っ掛かりが何にせよ音楽
に興味を持てば一緒に楽しめるのではないかと思い、それに同調する。
「うっさいわねぇ!それはアンタがアタシに作った肉じゃがが美味しかったから
、日本の食文化も悪くないわねって言ったんじゃない!別に日本の文化を褒めた
わけじゃなくて、その、あ、アンタを褒めたのよ」
「…アスカ」シンジは呟き、照れたアスカを愛しく思い頬を緩めた。
そして、冬月がこの良い雰囲気に飲まれたら負けだと危機感を感じ執り成す。
「まぁとりあえず一度聞いてみるといい。さだまさしという人が私は好きなのだ
が、笑える曲から泣ける曲までたくさんあってな。良い曲が多くある。取り敢え
ず部屋に来なさい。ライブベストを貸してあげよう。本当にサードインパクトの
後、音源が残っていたのも奇跡と言える。」
冬月は喋りながら歩き出し、シンジとアスカも手を繋ぎながら続いた。
その場にはシゲル一人が意識を失い、四肢をだらんとさせたまま仰向けに倒れ、
よだれを垂らして気絶していた。
しかし、持ち前の影の薄さによって誰一人気がつく者はいなかった。
303:恋愛症候群
09/08/20 11:01:31
そして今日、アスカは冬月に返す日をあさってに設定したことを思い出し、早く聞かなければと急いで部屋に埋もれていたCDを引っ張り出して、あまり使わ
ないコンポで聞いているのだった。
「ふぅ~ん、まぁまぁね」
そして開始約15分後、ディスク1枚目の4曲目「恋愛症候群-その発病及び傾向と対策に関するー考察-」が始まった。
(前奏で皆笑ってる…そんなに面白いのかしら?)
『恋と呼ばれる一過性の発情症候群に於ける その発病及び傾向と対策について考える 年齢 性別 職業 ツベルクリン反応 郵便番号の如何を問わず 凡そ次のとおり
開き直らねば何も出来ず ただ暗く爪をかみ 目が点になってため息ばかりの A型』
(違うわよ!あっ、でもバカシンジは完全にそうね。)
『他人のことなど考えられずに 大切な花畑 平気で踏み荒らしてヒンシュクをかう B型
今日と明日では自分同士で意見が分かれて 熱し易く冷め易い AB型
その内なんとかなるんじゃないかと思っている内に 自分だけ忘れ去られている O型』
(血液型占いなんて、前時代的。でもまぁ古い歌だもの、しょうがないわね)
『その他 いきなり優しくなったり急に詩人になるケース 夜中にいなりずしをどうしても喰べたくなる場合 海に向かってばかやろーと叫ぶなどはよくある事で更に若いのに髪が薄くなる方もある
なにしろ これらがある特定の人にだけ反応するって事は恋は一種のアレルギーと考えてよい』
(あら、上手いじゃない!)
304:恋愛症候群
09/08/20 11:05:18
『恋におちたら一部の例外を削除すれば およそ 男は男らしく 女は女っぽくなるものらしい手想 星座 サイコロ タロット 四柱推
命 その他茶柱まで相性占いなど気になったら もう恋 相手には自分の良い所ばかり見せたくなるものであるし 相手の欠点には気づいても気づかずにいられるし』
(私達の場合真逆ね…)
『食べ物 着るもの 見るもの 聴くもの すべて好みが合うと思うし 毎日が二人の記念日になる
処が一年二年とたつうち見えてくるんですよ 恋とは誤解と錯覚との闘い
そのうちなんだかお互い知らない人に思えてきて 次第に疲れて 会っても無口になる』
(そんなもんなのかしら…まぁ私達の場合はサードインパクトでさらけ出しちゃったし関係ないわね)
『初めは めまい 立ちくらみ 食欲不振で気づいた恋がいつか注意力散漫 動悸 肩こり 息ぎれに変わり やがて 頭痛 発熱 歯痛 生理痛 すり傷 切り傷 しもやけ あかぎれ 陰金 夜泣き かんむし 田虫 水虫 出痔 いぼ痔 切れ痔 走り痔 えーと えーと …えーとせとら』
(日本語の意味が分からない所が多々あったわねぇ…帰って来たらシンジに聞いてみよ)
『とにかくそんな風に笑っちまった方が傷つかずに済むって わかってるんだ 誰だってそうだろう』
(あら?突然シリアス調になったわね)
『恋は必ず消えてゆくと誰もが言うけれど ふた通りの消え方があると思う』
(うんうん)
『ひとつは心が枯れてゆくこと そしてもうひとつは 愛というものに形を変えること』
(変えられるかしら…大丈夫よね、シンジと一緒なら。)
『相手に求め続けてゆくものが恋 奪うのが恋』
(えっ…)
アスカの頭に、尊大に命令する自分と、いやいやながらも実行し続けるシンジの姿が幾つも甦った。
『与え続けてゆくものが愛 変わらぬ愛』
堪らずCDの再生を止め、冷房の駆動音が場を支配する。車のクラクションが聞こえた。
(あたしは、シンジに何も、与えられて、ない…)
溶けかかったスイカバーのつゆが、アスカの手の甲を、伝った。
305:恋愛症候群
09/08/20 11:06:45
「ただいま~ゴメンね、遅くなって」
家の玄関先で、何故か、碇シンジは暖かな衝撃を感じた。
「おっかえり~シンジ!」
アスカがシンジに駆け寄り、抱き付いたのだった。いつもはリビングから聞こえて来る「おかえり」の声がこんなに近く、また実体
を伴って来るとは思わずシンジは驚いた。
「どっどうしたの、突然!?」
「どうしたのって…恋人同士なんだから抱き付くくらい当たり前じゃない」アスカはシレっと答えた。
シンジの脳裏に「これには何か裏があるに違いない」という危機感がよぎる。
「いやでもさぁ…今日はいやに積極的じゃない?」
「そうかしら?別に普通よ」
これが普通ならいつものわがままな彼女は何だったんだろうと思いつつ、夕食を作る最中にゆっくり考えようと、靴を脱ぎながらシンジはアスカに告げる。
「まぁいいや。今日は餃子作るから楽しみにしててよ」
「あっじゃあアタシも手伝う!」
沈黙。のち
「えぇっ!?」
シンジは二の句を口に出すまで少々間が開いてしまうほど驚いた。
「あによ?何か文句あるわけ!?」右頬を膨ませシンジをにらむ。
「いや、ないよ。ないけど…ホント今日はどうしたんだよアスカ?」
「別に、何となくよ、何となく!さぁササッと夕飯作るわよ!」
306:恋愛症候群
09/08/20 11:10:26
夕食時、食卓にはパリッと焼けた餃子の良い香りが立ち込めていた。副菜として中華サラダが用意され、ワンタンスープと白米までついたバランスの取れた、かつ食欲をそそる料理が並んでいた。
しかし、主菜である餃子の形自体に目を向けると、些か不可解なことになっている。
具を押さえきれず包皮が決壊していたり、明らかに折り目の間隔がおかしかったり、完全に形象崩壊してしまっているものがあるかと思えば、折り目が等間隔に
並んでいる綺麗な餃子もある。だが、この謎は餃子を作った二人の性格、つまりアスカは唯我独尊でシンジは気
弱、しかし共通して優しいという事と、今の様子を見ればすぐに明らかとなる。
アスカが不機嫌そうに形の悪い餃子ばかりを食べるのに対して、シンジはビクビ
クしながら綺麗な餃子ばかりを食べている。時折シンジが形の悪いものに手を出そうとするも、アスカの射る様な目線に遭い
、おずおずと箸を方向転換し綺麗な餃子に向ける。
この状態から見るに、アスカが餃子作りを手伝ったは良いが失敗し「この失敗した奴は全部アタシが食べるわ!だから、アンタがもし私のに手を出
そうもんなら容赦しないわよ!」とシンジに言い渡し「えっでも、そしたらアスカが…」
とシンジが言い返そうと頑張るが、もちろんアスカに遮られ「うっさいわね!男のくせにグダグダ言ってんじゃないわよ!アタシが料理運ん
でやるから、早く席に着きなさいよ!」と玉砕され、「分かったよ…」などと呟きながら席に着くシンジが目に浮かぶ様であった。
そんな気まずい夕食を終えると、保護者である葛城ミサトから電話があり、今日は遅くなるので夕飯はいらないとのことであった。
リビングのソファに二人並んで腰掛け、テレビを見ながらうだうだと、それでいて幸せそうに喋っていると、お風呂が沸いた事を告げるメロディーがリビングに鳴り渡った。
いつもであれば、アスカが「じゃあ先入るわね」とシンジに告げてソファを立つ
筈なのだが、今日は何故かそうはせず、いつもとは全く逆なことを言い出した。
307:恋愛症候群
09/08/20 11:11:44
「アンタ、先入っていいわよ」
沈黙。のち
「えぇ!?」
本日二度目である。
「何で!?」
「何でって…いっつも私が先じゃ悪いでしょ?」
「いやでも…あっほら!僕、洗濯物畳んだり食器の片付けとかあるから」
「じゃあアタシがやったげるわよ!」
「うえぇえっ!ホントに!?」
「このアスカ様がウソ吐く訳ないじゃない!」
「えぇ~でもなぁ…」
「何よ、アタシに任せるのがそんなに不安だって言いたい訳!?」
「い、いや、そっそんなことないよ!じゃあ…分かった、今日はお願いするよ」
「全然OKよ!さぁ早く入っちゃいなさいよ!」
アスカはまず、食器洗いから始めた。食器自体は夕飯分、しかもたった二人分しかないので数自体はあまりなかったた
め早く終わるだろうと目算したためである。しかし、数は少ないはずなのだが、食器を手から滑らせシンクに落とし、ギリギ
リ割れてしまうのを免れるケースが多々あり、食器洗いは難航した。ようやくヒヤヒヤものの食器洗いを無事に終えたアスカは、洗濯物を畳み始めた
。
その後、しばらくしてシンジがタオルを首にかけ、ほこほことした湯気を立て
ながら、心に置けるアニマの占有率が高過ぎるのではないかと思わせる女性的な
フェロモンを放出しつつ、笑顔でリビングに入って来た。
「いや~やっぱり一番風呂は良かったよ。ありがとう、アス…アスカ!?」
そこには、正座の状態から両足を外に出して座る、いわゆる女座りをし、俯いているアスカの姿があった。
「アスカ、どうしたの!?」
シンジの心拍数が高揚する。
すぐさま駆け寄り膝を突き、アスカの顔を覗き込む。
アスカは、涙をこぼしていた。
308:恋愛症候群
09/08/20 11:15:28
「アタシは、ホントに、ダメな、女なのよ…」
声を震わせながら、ポツリ、ポツリと、答える。
シンジが横に目をやると、洗濯物の山とお世辞にも上手いとは言えない、洋服や下着を小さく折ったものがあった。そして小さな声で呻く様にアスカは喋り始めた。
「バカらしい話かも知れないんだけど、今日ね、冬月さんに貸して貰ったCDを聞いてたの、シンジも一緒に居たし分かるわよね?」
シンジは頷く。
「それでね。恋愛症候群って曲なんだけど、その中の歌詞に『相手に求め続けるのが恋、奪うのが恋。与え続けて行くものが愛、変わらぬ愛。』っていうのがあってね。
アタシ、今までは浅はかで自己中だから、シンジはアタシを愛してくれてるし、アタシもシンジを愛してるから、ずっと一緒にいてくれると思ってたの。
でもこれ聴いて気付いちゃったのよ。アタシのシンジへの想いは愛じゃなくて、恋なんだって。アタシは求めてるだけ、シンジから奪ってるだけってことに…シンジはアタシに優しくしてくれてるのに、アタシは、シンジに何もしてあげてないのよ!」
「そんなことないよ、アスカ!」シンジは悲痛なようすで叫んだ。
アスカも負けじと叫ぶ。
「何が、違うってえのよ!アタシは、アンタに何かしてあげようと思ってやってみても、何も出来ないただのダメ女じゃない!それなのに、アタシはいつもいつも高飛車に、尊大に、シンジに命令して、女王様気分で愛されてるって勘違いしてる、馬鹿女じゃないの!」
もうアスカの顔は涙でグシャグシャだった。
「だから…違うって言ってるだろ!」
冷房の駆動音が響く。
シンジは、恫喝するかの様な声を出した自分に驚き、アスカも、シンジの初めて聞く唸り声に沈黙し、場に寂然とした空気が流れる。
その均衡をシンジが静かに、やぶった。
309:恋愛症候群
09/08/20 11:17:48
「アスカさ、前に僕が、何で僕に何でもやらせるんだよって聞いた時、何て言ったか覚えてる?」
アスカは首をふる。
「その時アスカこう言ったんだよ。アンタが幸せそうな顔するからじゃないの!って。それで、そりゃそうだな…って思ったよ。」
不思議そうにアスカは見つめる。
シンジは言葉を選びながら噛み砕くように告げる。
「だってさ、好きな娘のわがままっていうのは、言わばその人の、計算や飾りのない、まごころな、訳でしょ?
それをぶつけてくれて、その好きな娘のためにそれに答えるっていうのは、本当に幸せなことなんだ。
だから、アスカも、傍目にはそうみえないかもしれないけど、僕に今まで与え続けて、愛し続けてくれてたんだよ。そんなイヤな役回りをし続けてくれた、アスカに、悪いくらいだよ。」
アスカは徐に否定する。
「そんなこと…ない」
シンジはゆっくりと続けた。
「うん、でもね。アスカのまごころに答えるのも、好きな人のために何かしてあげられてると思えて嬉しいけど、好きな人に何かしてもらうって言うのも、それと同じくらい嬉しいって事に今日、気付いたよ」
「シンジ…」
アスカは依然泣いていた、が、涙の意味が少しずつ変わっていた。
310:恋愛症候群
09/08/20 11:19:55
「でも、アタシ料理も上手くないし、食器洗いも、洗濯畳むのも何も出来ないのよ?」
悪い事をしてしまい、それを親に告げる少女の様に、不安そうにアスカは尋ねた。
シンジは、優しい母親のように答える。
「これから覚えれば良いじゃない。だって死ぬまで一緒に、いるんだからさ」
アスカの涙の意味が変わった。
「…シンジぃ!」
アスカが、シンジにギュッと抱き付く。
シンジも、それに呼応するかのように優しく抱きしめる。
「だから、今まではアスカが、僕にまごころをくれて、僕がそれに答えるっていう、立場の決まった関係だったけど、これからはさ。
何でも二人で一緒にやっていこうよ。ずっと、一緒にいるんだからさ。そうすればお互いが一生愛し合えることになるしね。」
「そうね。それって、素敵な事よね」
「うん、こんなに大事なことを気付かせてくれて、本当にありがとう、アスカ。」
「こちらこそ、ずっと私を愛してくれて、ありがと。そしてこれからもよろしく
ね、バカシンジ!」
アスカの笑顔が、ニヤッと、イタズラっ子の笑顔に変わる。
「なっ!?何でこんな良い雰囲気の時にバカシンジなんだよ!」
「だって、ホントの事じゃな~い!こんなわがままアタシを一生愛してくれるなんてさ…」
二人はまた強く互いを抱き寄せる。
「アスカは、今まで、他にも僕に与えてくれてたんだよ。」
「何よ、暴力とか下らないこと言ったら、怒るわよ」
「ちっ違うよ…例えば、さ。元気の出る満面の笑顔…とか、てっ照れてる可愛い顔…とか、
他人と一緒にいる初めての安心感…とか、けっ結婚したいって気持ち!とか、それと、あとは、ンッ」
待ちきれない、とばかりにアスカは自らの唇で、シンジの唇を塞いだ。
「長いのよ、バカシンジ。」
「ゴメン…でも、大事なことだからさ」
「うん、これからもよろしく頼むわね。シンジ」
「こちらこそよろしく、アスカ」
311:恋愛症候群
09/08/20 11:21:16
そして、アスカは満面の笑みを浮かべて立ち上がった。
「ねぇ記念に二人で恋愛症候群、聞きましょうよ!」
「良いけど、また落ち込んだりしない?」
「大丈夫よ、シンジと一緒なら。それに、さっき何でも二人でやるって決めたじゃないの!」
「そうだね。」シンジが微笑む。
二人でアスカの部屋に行き、壁にもたれ掛かりながら、二人で手を絡ませながら座る。
そしてCDを再生し、曲は後半へと差し掛かろうとしていた。
『頭痛 発熱 歯痛 生理痛 すり傷 切り傷 しもやけ あかぎれ 陰金 夜泣き かんむし 田虫 水虫 出痔 いぼ痔 切れ痔 走り痔 えーと えーと …えーとせとら
「ねぇ、ここらへんの日本語ってどんな意味なの?」
「えっあぁ~こっこ昆虫の名前だよ!そう、いるんだよ、こういう昆虫が!」
「ふぅ~ん、でもなんで皆笑って…あっここからよ!」
312:恋愛症候群
09/08/20 11:23:17
『とにかくそんな風に笑っちまった方が傷つかずに済むって わかってるんだ 誰だってそうだろう
恋は必ず消えてゆくと誰もが言うけれど ふた通りの消え方があると思う ひとつは心が枯れてゆくこと そしてもうひとつは愛というものに形を変えること』
「僕たちは変えられたから大丈夫だね。」
シンジが微笑みかけ、アスカは満面の笑みで返す。
『相手に求め続けてゆくものが恋 奪うのが恋 与え続けてゆくものが愛 変わらぬ愛』
(ここから止めちゃったから聞いてないわね)
『だから ありったけの思いをあなたに投げ続けられたら それだけでいい』
(シンジは、それだけでいいって…思って、くれてたんだ。)
アスカの頬に一筋の涙がこぼれ、それをシンジが優しく拭う。
『おそらく求め続けてゆくものが恋 奪うのが恋 与え続けてゆくものが愛 変わらぬ愛
だから ありったけの思いをあなたに投げ続けられたら それだけでいい』
『あなたに 出会えて 心から しあわせです』
曲が終わり、二人を甘美な静けさが覆う。
自然と二人は見つめ合い、目線を絡ませ、片方の手を絡ませたまま、そっと、抱き合い、二人の舌を、強く、絡めた。
二人の『恋愛症候群』は、永遠に治らなかったという
Fin
313:恋愛症候群
09/08/20 11:29:42
えぇ~多分始めの名前欄いれず投稿した以外にも、
何かしらのミスはあると思いますが、大目に見てやってください。
読んでいただいた方、ありがとうございました。
314:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 11:57:28
>>313
普段しなれないことを頑張るアスカ可愛かったです。
文体は初々しい感じがしました。
これからも頑張って素敵なLASをお願いします!GJ!
315:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 12:00:00
GJ!
前半ギャグかと思ったけど、少し切ない感じもあって良かったです!
青山と冬月のキャラぶっ飛んだなw
316:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 12:06:55
>>315
>青山と
影が薄すぐるw
317:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 12:08:12
さだまさしのノリは70年代だからなぁ
318:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 12:08:26
>>315
名前間違えるなよ、青菜さんだろ!
319:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 14:17:13
GJ!
和むなぁw
320:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 15:55:38
青葉ワロタwwwwwwwww
乙です
321:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 18:16:28
GJです!題材のせいか、妙にノスタルジックな気分…
しかしこんなに新参さんがイキイキするとは、破効果すげえw
322:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 19:00:27
>>288
の続きです。当初の目論見より、かなり長く成って来ました。
Quickeningは前後編に分けます。あと、3回ほどなので、
読みたくない人はもう少し我慢してください。
323:Another Way Quickeningze前篇
09/08/20 19:02:17
初号機が暴走をした後、直ぐにアタシ達は拘束され、芦ノ湖に曳航された、三隻のヘリ空母に監禁された。
特に、パイロットであるアタシの扱いは最悪。絶対に逃げないように、重営倉に入れられた上、
手錠をされて、壁に繋がれた、鎖を足に付けられている。
全てが、鋼鉄で出来た独房で、ベットはおろか、トイレも無い部屋で、代りにバケツが置いてある。
薄手の夏服一枚ではかなり堪える。渡された、薄手の毛布をお尻に敷いてはみたが、全く効果なしだ。
入口の扉が開くと、強い光が差し込む。薄暗い部屋に入れられているので、目がくらんで入って来たのは、
誰か解らない。
「あの神経質な大尉を入れるには、環境悪すぎませんか?」
ようやく目が慣れて、入ってきたのが誰か解った。何で、お前が居るんだよ。
「何しに来たの?マリ。」
「助けに来たに決まってるでしょ。それにしてもひどい扱いスね。大尉は、未成年になんだから、これは
児童虐待ですな。アグ○ス辺りが知ったら、怒鳴り込んで来ますよ。制服姿の女子中学生にこんな事して、
連中は変態じゃないですか?」
「下らない事、言って無くて良いから、手錠外してくれる?」
「監視カメラは、大丈夫なの?」
「システムにハッキングして居ますので、ダミーが流れて居ます。後、20分は大丈夫ス。」
「他に、捕まっている人は?」
「ええと、このエリアでは3人ですが。」
「じゃぁ、その人達も助けて。」
「一寸、待って下さい。救出用の小型艇は二人乗りです。助けられません。」
「良いから、助けなさい。この船には、飛行機も積んだ有るから、それを奪えば良いわ。」
「ヘイヘイ、解りました。こう成ったら、自棄ス。」
「あ、それから、アンタのMP5よこしなさい。」
「これは、自分のですが。」
「アンタは、見張りの兵から奪った銃を使えば良いでしょ。兎も角、よ・こ・す・の。」
「もう、大尉の我儘が始まったよ。解りましたっ、これで良いんでスね。」
「良いわ。じゃぁ、助けて来て。」
324:Another Way Quickening前篇
09/08/20 19:04:28
マリが持って来たのは、サイレンサーが付いた特殊部隊用のMP5に点射モードの付いたSD6だ。
「良い銃ね。」
人に向けて、撃てるかな?
「撃つしか無いんだよ、アスカ。シンジに会いたかったらね。」
そう、シンジに会えるんだったら、地獄に堕ちても構わない。
外に出ると、マリが助け出した人が既に居た。ミサトと加持さん、それに赤木博士だ。
「アスカ、酷い扱い受けたみたいね。大丈夫?」
他の人の独房は、ベットも有るし、トイレに仕切りが付いている。アタシとは雲泥の差だ。
「まぁ、知らない人にしたら、エヴァパイロットなんて、化け物なんでしょ。それより、司令や副司令は、
居ないの?」
「あの人達は、こう言う事態を予想して居たみたいで上手く逃げたよ。多分、巻き返しの工作中だと思う。」
「そうなんだ。やはり、凄い人達ね。じゃ、アタシ達も逃げようよ。20分以内に逃げれば大丈夫よ。」
甲板にでると、流石に人が多い。物陰に隠れて、奪えそうな飛行機を物色する。
「あの右から3番目のVTOLが良いんじゃ無い?」
「何で、ですか?」
「エンジンかかっている中で、一番マークがカッコいいから。」
「一寸、適当すぎるでしょ。まぁ、良いか。どれも大して変わらないし。」
どうやって、奪うか考えていた時、サイレンが鳴った。
「総員緊急配備、逃亡者が出た至急探索せよ。」
「マリ、どういう事よ?まだ、15分しかたってないわ。」
「知りませんよ。それより、如何します。」
「あ、居たぞ。あそこだ。」
見つかったか。
「こうなったら、強行突破よ!皆、走りなさい!」
そう言って、走り出したミサトの後追うように走りだす。
325:Another Way Quickening前篇
09/08/20 19:05:23
銃を乱射しながら立ちふさがる兵をなぎ倒して、目星を付けたVTOLにたどり着く。
「アスカッ、発進準備をして!」
「解った、ミサトも援護してね。」
「任せといて!」
エンジンがかかっていたので直ぐに発射準備が整う。
「ミサトォ!出れるわ。乗って!早く!」
飛び出しすと、追手を沈黙させるために、ミサイルで甲板をぶっ壊して飛行機を飛べなくする。
残りは二隻だが、一隻は同じように破壊できたが、ミサイルが尽きたので、残りの一隻は上がって来たのを片っぱし
から撃ち落としていく。それでも、撃ち漏らした最後の一機に背後を取られてしまった。
「大尉、ヤバいスよ。」
「黙って乗ってなさい!VTOLでのドッグファイトのやり方を見せてあげるわっ!」
そう言うと、エンジンを90度回転させ、VTOLを上昇させる。更に、前方へエンジンを傾ける。
急制動がかかり、速度が一気に落ちる。一応、斜め下にエンジンが向いているので落ちる事は無い。
物理的に無理な気もするが、同じタイプが大量に生産されているので、設計的な問題は無いんだろう。
このまま、エンジンをふかし続ければ後進も可能だが。速度が0近く成った所で、エンジンを絞る。
「ちょ、大尉。ここで、エンジンを絞ったら落ちますよ!」
「そうすれば、逃げられるわ。」
「落ちたら意味無いですよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。」
落下しながエンジンを水平位置にしておき、水面近くで機首を起こして水平にすると、エンジンをフルスロットル
で吹かす。揚力を回復した、VTOLが水しぶきを上げて水面ギリギリを飛ぶ。
「飛行艇じゃないんだから、こんなとこ飛ばなくても良いでしょ。」
「でも、ベストポジションよ。」
アタシは、敵の下方を取る位置に付ける事が出来た。このまま機首を起こし、バルカンの射線上に入れる。
「ごめんね。恨みは無いの。でも、シンジと会いたいのだから、ごめんね。」
引き金を引くと、相手のVTOLが落ちて行く。
326:Another Way Quickening前篇
09/08/20 19:05:59
「皆、無事?」
「無事な訳、無いでしょ。私は吐きそうだし、リツコは泡を吹いて気絶して居るわ。」
「生きているだけ良いじゃん。」
「大尉、このまま洋上に出て、九州方面に飛んでください。坊ノ岬沖にユーロの潜水艦が来ています。」
「そんな地名言われても...。」
「北緯30度43分、東経128度04分ス。」
アタシは、航行用コンピュータに座標を入れて、場所を確認する。
「ここって、日本の領海内でしょ。こんな所に居て大丈夫なの?」
「何でも、昔の戦艦が沈んで居る所なので上手く、カモフラージュできるみたいで...、大尉?何処へ、
向かってるんスか?」
「ジオフロントよ。」
「だから、勝手なことしないで...。作戦が無茶苦茶じゃないスか。」
「シンジを助けないと、意味無いもの。」
「って、あの坊やは初号機に取り込まれています。助け出すのは無理しょ。」
「大丈夫、アタシに考えがあるから。」
第三新東京市と呼ばれた地域は今や廃墟となり、厳重封鎖地域に成っている。それが逆に幸いして、人は誰も居ない。
この分なら、上手く行きそうだ。
ジオフロント上面も吹っ飛んでおり、初号機へは簡単に辿りつける。ココにも人はいない。
アタシは、初号機を貫いている槍の直ぐそばにVTOLを降ろすと、槍の元へ駆けだす。
「全く、酷い目に有ったわ。アスカの操縦する飛行機には金輪際乗らないわ。」
目を覚ました。赤木博士がふら付きながら出てくる。他の人もアタシの後に付いてきた。
327:Another Way Quickening前篇
09/08/20 19:07:21
アタシは、槍に手をかけて、念じるように下を向く。
「で、大尉。これから、如何するんスか?」
アタシは、徐に上を向くと大声で叫ぶ。
「コラー!バカシンジ、今直ぐ出てこーい。何時までも、そんな女といちゃついてるんじゃ無いぞ!」
「あのーぉ、大尉、作戦てこれッスか?」
「黙ってなさいよ!エヴァは、人の意志でどうにでも成る訳の解んない乗り物よ。こうすれば、何とかなるわ。」
「アスカ、気持ちは解るけど、今コアに刺さっている槍は制御装置なの、何が有っても動かないわ。」
「そんなの解らないじゃない、ここ最近、あり得ない事ばかり起きてるんだから。」
赤木博士の言葉に、泣きたいのを必死に堪えて反論する。
「アタシはね。エコヒイキなんかより、何倍もアンタの事愛してるんだよぉ!だから、戻って来てよ。お願いだからぁ!」
アタシは腹立ちまぎれに槍を蹴りつけながら、続ける。
「良い?シンジ、アタシの作った味噌汁は、エコヒイキのと違って、出汁も取ったし、味噌もチャンと溶いたじゃん。
アンタのよりは、落ちるけどもっと、美味しいの食べさせて上げるから...。お願いだから...、出てきてよ。」
アタシは耐えきれすに、最後は半べそになりながら言った。
「はぁ、シャーナイ。あのね、坊や。この大尉は、性格は無茶苦茶で乱暴だけどさ。根は取っても良い娘だよ。
あんまり泣かせないでくれるかな?」
「シンちゃーん。ペンペンも入れてまた、4人で暮らしましょ。楽しかったの覚えているよね。」
「おーい、シンジ君、男なら女の子をあんまり泣かせるんじゃ無いぞ。男らしくスパッと出てきて、抱きしめてやれよ。」
「はぁー、仕方の無い人達ね。シンジ君、思われているうちが花よ。あんまり泣かせると、嫌われるわよ。」
皆...、赤木博士まで...。
その時、地面が爆発して砂煙が上がる。遠くの方に大勢の軍隊が見えた。
完全に包囲されたみたいだ。
続く...。
328:Another Way Quickening前篇
09/08/20 19:08:16
と言う訳で、次回は後編です
329:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 22:35:14
乙です。アスカパワフルでみんな優しいのぉ
~スよマリにちょっとワロタw
ちなみに「~。」かぎかっこの最後に。はいらんよ
330:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/20 22:39:00
>>239でも注意されてるのに無視してる時点で聞く耳持ってないんだろ
331:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 01:06:10
夏真っ盛り
332:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 04:20:02 y7+VzvYY
致命的なレベルではない
333:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 06:47:26
>>329
それは新聞小説の文字数削減の時に出来た文法だから間違いじゃないよ
「~。」が本来正しい文法だ
ただ見辛いのもあって新聞小説式の。を付けない方式が広まっただけ
自分は文字数制限クリアする為に。は付けない方で書いてるが
押し付けはいかんよ
334:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 07:22:05
>>275
すんげえ遅レスですが超GJです
マジ神すぎる
あなたの大ファンです
シンジって女の子だと向かうところ敵なしの大和撫子だよねw
そんなシンジ君が好きだわ
アスカのアスカらしさと、シンジのシンジらしさが素晴らしいです
本編でちょっとありそうなエピソードで大好き
335:674
09/08/21 09:08:00
ぐーてんもるげんです。どうも遅くなりました。
短編のつもりが無駄に長くなっていきます。すみません。自分でも予想外です。
・学園異性系イタモノ注意
・中途半端
・シンジが分からん
NGワード キンモクセイ
336:キンモクセイ
09/08/21 09:09:51
堤防の向こうに立ち並ぶ団地も。
建物の隙間から差し込む夕日の色も。
草の匂いに少し生臭い水の匂いも。
家路に急ぐ人の姿も。
子どもたちのはしゃぐ声も。
この河川敷の景色は変わらないね。あたし、みんな知ってる。
「ねぇねぇ、シンジ」
「なに?」
あたしのグローブに、シンジの投げたボールが吸い込まれていく。
手のひらに感じる小さな衝撃。
「あたし、今、すっごい魔球思いついた!投げてみるから受け取りなさいよ」
「またぁ?どうせロクなのじゃ」
「行っくよ!大回転魔球!!でやー!」
「……パクリじゃないか」
あたしの手を離れて、日暮れの空へと消えていく白いボール。
「どこ投げてんだよっ」
空へ向かったボールは予想外にシンジを越え、さらに大きく横に逸れながらそのまま草の茂みへと消えていった。
しまった。これじゃあ、こないだの消える魔球と変わらない。
「……アスカのへたくそ。ぽっぽこぴー」
337:キンモクセイ
09/08/21 09:11:29
「ったく!」
渋々とボールを取りに行くシンジの背中を笑って見送りながら、芝生の上へ腰をおろした。
グローブを左手から外して、横に置く。
汗ばんだ手のひらが外の空気に触れて、ひんやりとして気持ちいい。
「ばかシンジー!はーやーくー!」
「ちょっと待てよ!どこにあるか分からないんだってーっ」
少し遠くに響くシンジの声に、高架橋を走る電車の音が重なる。
高架橋の下で素振りをしていた少年の姿は、いつの間にか消えていた。
子どもの、妙に高い、けど不愉快ではないはしゃぐ声も聞こえてくる。
道を並んで歩く、手を繋いだ男の子と女の子。
空を見ながら、
おひさま落ちちゃったからはやく帰らなきゃ、
あ、カラス
カラスがないたらかえりましょー
そう呟く子どもたちの声に、あたしは微笑んだ。
そうか、子どもたちの時間はもう終わりなんだ。
空を見れば、沈みかけた夕日が、世界を茜色に染めていた。
綺麗だな…でも、赤い空は寂しくてあまり好きじゃない。
夏の終わった夕方は、肌寒かった。
「ねーアスカぁー!見つかんないよー!」
…なにしてんのよ、あいつ。
シンジが叫んで、早く来てくれと言った風にこちらに手招きする。
仕方なく立ち上がって、あたしは溜め息をついた。
「アスカってばー!」
「うるさい!今向かうわよっ」
あたしに手を振って、シンジがまた叫んだ。
338:キンモクセイ
09/08/21 09:12:52
そんなに急かさないでよ。
あたしはどこへも行かないのに。
「どこ見てんの、だいたいそこらへんに落ちたでしょ?」
かがみながら草むらをかき分けるシンジに、後ろから声をかける。
「だって、見つかんないんだ……」
立ち上がってシンジが、振り返る。
「なんてね。うっそだよ」
手の中にあるのは、あたしたちの白いボール。
こいつ、ボールなんてとっくに見つけてたんだ。
悪戯が成功したと言わんばかりに満足そうに、にやにやしていて。
「………」
「魔球のおかえ…いっだぁー!!」
その顔があまりにもウザかったので、思いっきりお尻に蹴りを入れてやった。
今のあたしの行動は間違ってないと思う。
「ばーか」
うずくまってお尻を抱えるシンジを置いて、さっさと踵を返す。
ザマアミロ、と笑って。シンジがあたしにイタズラしようなんて生意気なんだ。
グローブを置いたさっきの場所まで戻ったときに、
ふと、くすくすと笑い声が聞こえて、あたしは声のした方向に顔を向けた。
「仲良いのねぇ」
河川敷に沿って通るアスファルトの道路に立ちながら、おばさんがこっちを見て笑っていた。
手に握られたリードの先に繋がれた少しぽっちゃりした柴犬も、おばさんに似た笑いを浮かべている。
この時間に何度か見たことのある、よく犬と散歩してるおばさんだ。
「あ…お恥ずかしいです。バカみたいなとこ見られちゃって」
「いいわねぇ、若いって…あの男の子は彼氏さん?」
「違います!!」
おばさんの言葉に、あたしは大声をあげて否定していた。
「幼なじみの腐れ縁の、…ただの友だちです。それ以上でも以下でもないわ!!」
つい、声を荒げて。
あたしの強い言葉に、おばさんはキョトンとして。我に返って、恥ずかしくなる。
339:キンモクセイ
09/08/21 09:14:24
おばさんは不思議そうな顔をして、そうなの。ごめんなさいね、とだけ言って、立ち去って行った。
離れていくおばさんの後ろ姿と、犬のお尻がふりふりと揺れていた。
「やけに必死に否定するんだね」
後ろから声がした。
はっとして振り返ると、シンジがボールを持って立っている。
「ったく、手加減しろよな」
アスカの蹴りは殺人レベルなのに。
そう言いながら、笑ってお尻をさする。
「聞いて、たんだ」
「…最後だけ。アスカは彼氏がいるし、そりゃ必死に否定するか」
今までも結構間違われたりしたよね
小さい頃は姉弟に間違われたこともあったけ?
冗談を飛ばすように、朗らかに笑いながら。
自分にとっては気にかけるほどのことじゃない、ただの笑い話だと。
そう、シンジが言っているような気がした。
なぜか悲しくなって、でもそれをシンジに悟られたくなくて。
「…あんたなんかの彼女に間違われるなんて、まっぴらゴメンよ」
「ひどっ」
あたしの言葉に、傷ついたようでもなくシンジがまた笑った。
「…あんた、彼女は作らないの?」
なんだよ突然、とシンジが不思議そうな顔をする。
「最近、聞かないから」
「機会が無いんだよ」
機会?あんたにとって彼女なんて、機会でしかないの?
340:キンモクセイ
09/08/21 09:15:38
「あんたが優しく微笑んであげれば、女の子なんてみんなコロっと落ちちゃうんじゃないの?」
「僕を何だと思ってんだよ…そんな、漫画みたいな」
「霧島さんだって、山岸さんだって、一条さんだって、みんなそうやって手に入れたんでしょ?」
名前を上げた女の子たちの顔が浮かんでくる。
簡単にシンジを手に入れた女たち。
みんな可愛いくて、そしてみんな心底シンジに惚れていたようだった。
「手に入れたって…キッカケなんて色々だよ、そんなの」
色々、か。
あたしの場合はひとつしかない。
告白されて、都合が良かったら言われるがままに付き合うだけ。
都合が悪くなったらあたしから別れるだけ。
「シンジは好きだったから付き合ったの?」
「そりゃ…」
「だったらなんで別れたの?」
「そ、それも色々だよ…。どうしたの?アスカ。あまりこういう話好きじゃなかったよね?
先輩となにかあった?」
「別に…」
シンジの言う通りだった。
今までシンジとこういう話は極力しないように避けてきたのに。
キンモクセイにあてられてから、最近のあたしはどうも自分を見失いがちだ。
「アスカが心配しなくても、好きな子が出来れば付き合えるよう頑張るよ」
それ、見当違いよ。シンジ。
心配なんかじゃ、ない…。
「最近は、そんな気にあまりなれないんだけどね。アスカといる方が楽しいし」
あたしも、シンジといると楽しい。
変わらないままで。
それはあたしたちの共通の願いなんだろう。
けれどシンジの言葉には、あたしとの間に残酷なほどの違いがきっとある。
それでもあたしは良かったから、今までもこれからもずっと一緒にいる…。
「…もう暗くなったし、帰ろっか」
嬉しさと悲しみを同時に感じながら、あたしは話を逸らした。
341:キンモクセイ
09/08/21 09:16:35
シンジの後ろの空の夕日は、もう完全に沈んでいる。
茜色の世界のほとんどが闇色に飲まれていて、空には星の瞬きすら生まれていた。
「ほんとだね…。最近、日が落ちるの早いや。…げっ、まだ五時半だ」
ポケットから取り出したケータイの画面を見て、シンジが驚いている。
「カラスが鳴いたらかーえろってね」
「なんだよそれ、小学生?」
「そ…」
芝生の上に置いたままになっていたグローブを拾い上げる。
堤防の上にとめられた自転車に向かってあたしは歩き出した。
シンジもあたしの後ろをついてくる。
「さっきね、あたしの周りで遊んでた子どもが言ってたの。まだまだガキのあんたは早くおうちに帰らなきゃね」
「自分だってガキのくせに」
否定はしない。
シンジを見て、あたしは静かに微笑んだ。
シンジの目が、大きく見開かれる。
「それに明日、英文訳の課題の提出日でしょ?あんたどうせやってないだろうから、早く家に帰らなきゃまずいんじゃない?」
「………忘れてた」
「あんたね…」
止められた自転車の荷台に跨る。
シンジが前に座って、足で地面を蹴り上げた。がしゃん、と音を立ててスタンドが外れて自転車が前に進む。
「課題、忘れちゃだめよ。あたし手伝わないから」
「分かってるよっ」
セーラー服を着た女子中学生に、ランニングしてるおじさん。
買い物袋を自転車のカゴに乗せたおばさん、色んな人とすれ違っていく。
景色は同じでも、すれ違う人の姿は少しずつ昔と変わっていく。
シンジの腰をぎゅっと掴む。手のひらに触れるセーターの感触はむず痒くも、暖かかった。
342:キンモクセイ
09/08/21 09:18:15
つまらないバラエティ番組が延々とたれ流されてるだけのテレビの画面。
冗談を交わし合うタレントたちの声を横に流しながら、あたしはソファの上に寝そべってファッション雑誌を広げていた。
今秋のトレンドは黒だとか、チェックを上手く使った着こなしの仕方だとか、
秋らしい特集をしているけれどその中身はモデルの着ている服すらも、先月号とほとんど変わらない。
力が入っているつまらない恋愛大特集に興味はないし、今月号は失敗だったかもしれない。
暇つぶしにもならない雑誌を放り投げて、あたしは仰向けになった。
あーつまんない。
シンジのやつ、課題ちゃんとやってるかなぁ。
見慣れた天井を見上げて、ぼんやりとまたシンジのことを考えていた。
「ただいま、アスカちゃん帰ってるのー?」
ママの声だ。
帰ってきたんだ。
「はぁい!」
上半身を起こして、テレビを消す。
最近、残業の多いママにしては早い時間だ。
「おかえりなさい、ママ。今日は早いのね」
「ん…ただいま。今日はね、一段落ついたから」
リビングに顔を覗かせたママに、ソファに座ったままで声をかける。
少し疲れたような顔をしたママが、スーツを脱ぎながら言った。
「来週からなのよ。忙しくなるのは」
「また実験?」
「ええ。ユイたちもママもしばらくは家に帰れなくなるけど…ごめんなさいね」
「気にしないで、ママ。あたしはママの体の方が心配だわ。…ご飯はどうする?」
「いただくわ」
343:キンモクセイ
09/08/21 09:19:36
ママが部屋で着替えている間に、昨日の残りのカレーが入った鍋に火をつける。
棚から取り出したお皿をテーブルの上に置いて、冷蔵庫から冷えたオレンジジュースを取り出した。
安っぽいオレンジが書かれたその瓶の中身はもう半分もない。
今度買っておかなきゃと、頭の中で呟く。
「あら、カレー?」
ラフな格好に着替えたママがやってくる。
「ごめん、昨日の残りなの」
「ママ、アスカちゃんのカレー大好物」
そう言ってママが微笑んだ。
ママの研究が忙しい時期は、こうやってあたしが食事を準備する日も、ひとりだけで食事をとる日も珍しくない。
とは言っても、作るのには慣れても不得手だと自覚してるから簡単なものしか作らないけれど。
シンジとお互いの両親が不在の時は、ふたりで食事をする日も多い。
シンジもシンジで料理なんてろくに作らないので、そういう時はふたりで四苦八苦しながら一緒に作る。
「そういえば」
テーブルについたママが思い出したように、切り出した。
「なに?」
「進路希望のプリントのことだけど…」
ああ、とお皿にごはんを盛りながら、返す。
3年生になるまであと半年に近づいてきたので、学校側が2年生の進路希望調査を始めていた。
近郊では有名な進学校で、進路については特にうるさい学校だ。
先週、ママにその話をしていたことを思い出す。白いごはんの上にカレーをかけて、ママの前へ置いた。
「ありがとう」
「提出はまだよ。先生は来週でいいって」
「もう決めたの?」
「ううん…」
はっきり言ってあたしは成績優秀だし努力も怠らない。狙おうと思えばどの大学だって狙える、と自負する。
ママと同じ研究者としての道へ進みたいという気持ちもある。
けれど、あまりまだ進学のことは考えたくなくて、あたしは白紙のままにプリントを放置していた。
「アスカちゃんがやりたいことをやればいいしと思う、強制はしないわ。これはママからのひとつの提案だと考えてくれたらいいんだけど…」
あたしが首をかしげると、ママはそのまま続けた。
344:キンモクセイ
09/08/21 09:21:40
「ドイツのね、大学に進むのはどう?って。ママの実家もあるし…おばあちゃんもね、いつでもいらっしゃいって。
ママもね、向こうの研究所から帰ってこないかって誘われてるの」
「ベルリンの?」
「そう。選択肢のひとつとして、捉えてくれればいいのよ?あなたには好きに生きてほしいから」
ドイツ…、かあ。
悪くない話だとは思う。日本のようにごちゃごちゃとしていないベルリンの整然とした、美しい街並みも好きだ。
久しぶりにグランマにも会いたい。
けれど…。
「それに、あんまり期待はしてないの」
ママの言葉に驚いて、あたしは二度まばたきした。
「えっ…、どうして」
「だって、シンジ君と離れ離れになるの、嫌でしょ?いつも一緒だものあなたたち」
そう言って、軽くウインクして笑う。
「もう、ママ!あたしだってシンジと四六時中一緒にいるわけじゃ…」
…ないことない。
そんな自分を思い出してあたしはそこで止まってしまった。
「ほらね?」
「むー」
受験なんてまだ一年以上先の話で、ママの話を聞いても実感はわいてこなかった。
あまり考えたくなかっただけかも知れない。
ただ、ドイツに行けばシンジと離れなきゃいけない…それだけは分かる。
シンジがそばにいないなんて、そんなこと想像できない。
なんとなく、シンジと同じ大学に行けたらいいな、なんてぼんやりと考えた。
一緒にいたいから、それだけが理由だった。
…これじゃママの言う通りだと気づいて。
浅はかでまるでガキっぽい考えに、あたしは自嘲した。
別にいいじゃない。あたしはあたしの好きなように生きたって。そう、自分に言い聞かせながら。
シンジ…、シンジはどうするんだろう。
345:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:23:39
支援
346:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:28:19
僕はね
ずっと待ってた
ずっと待ってたんだよ、君の投下を!!!!
まだ書き終わってないのかな?
書き終わってるんなら気にせず投下しまくってくれると嬉しいぞ俺は!!
347:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:32:55
キンモクセイキター(゚∀゚)ー!!
続きwktk
348:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:34:34
うぉー悶々とするぅ!続きワクテカ!!
349:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:37:11
幸せになれ~幸せになれ~フヒヒww
次の投下はいつくらいになりそう?
350:キンモクセイ
09/08/21 09:38:27
最後の授業が終わって、教室の中はいっそうに騒がしくなる。
部活の準備をする子や、集まってどこへ行こうかとはしゃぐ子。
さっさと帰っていく子、そのまま教室に残ってダベる子。
これからどうしようかな、なんてことを考えながらかばんの中に教科書をつめる。
その時、ポケットの中で振動するケータイに気づいた。
「メールかな」
サブディスプレイに示されているのは彼氏の名前。
なんだろう。今日は予備校だと言っていたはずだ。
嫌だな…。この間あいつの家に行ってから3日も経ってない。
「アスカぁーーっっ」
「!!」
教室中に響く、あたしの名前を叫ぶ間抜けな声にびっくりしてあたしは思わず顔をあげた。
声のした方を見れば、シンジが情けない顔を貼り付けながらあたしに駆け寄ってくる。
「な、なによ…そんな大きな声出して呼ばないでよっ」
教室に残っているクラスメイトからくすくすと忍び笑いが聞こえて、あたしは恥ずかしさに小さくなった。
「お願いします手伝ってくださいアスカ様」
懇願するように、あたしの前で膝をついて手を合わせる半分涙目のシンジ。
身長がある分見た目には決まっていて、それが逆におかしかった。
「なにをよ」
どうせろくなことじゃないだろうけど、一応聞いてやる。
「英文訳」
「あんたねえ!あれほど、ちゃんとやりなさいって言ってあげたじゃない!!なにやって…」
「あ、アスカ!声、声!」
351:キンモクセイ
09/08/21 09:41:25
シンジが慌てたようにあたしの口を塞ごうとする。
しまった。
呆れて思わず、さっきのシンジ以上の大きな声で叫んでいた。
慌てて周りの様子を見れば、教室中の視線があたしたちに注がれていた。
さらに小さくなって、こそこそとさっきの続きを言う。
「…だいたい、提出期限過ぎてるじゃない」
「…先生の温情で17時まで引き延ばしてもらったんだよ。お願い!手伝って!」
「嫌!自分の力で頑張りなさいよ」
「あーすーかぁー」
「嫌なもんは嫌。あたし関係ないもん。さーて、帰ろ帰ろ」
「パフェでどうだ」
「のった」
ロイホのホットファジーサンデーでよろしく。
了解。交渉成立だね。
ぐっとふたりで腕を組み交わす。
あたしはシンジとフェアな関係にいたいだけで、パフェに釣られたわけじゃない。
断じて。
そう、誰に聞かせるでもなく心の中で呟いて、シンジとふたりで図書室に向かう。
さっきのメールのことは、頭の隅に追いやられてしまっていた。
352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:41:30
きたあああああああああああああああああああああああ!!!!!
353:キンモクセイ
09/08/21 09:47:58
窓から吹き込む風は緩い。日の陽気に照らされて優しさを含んでいる。
その気持ちよさにあたしは目を細めた。
「アスカ、ここは?」
「…って、さっきからほとんどあたしが訳してるじゃない」
「大丈夫。バレないように、時々わざと間違えて書いてるから」
「…小賢しいわね」
「トウジに教わった生きるための知恵です」
ノートに向き合ったままで、シンジが笑いながら答えた。
あたしはわざとらしく、大きくため息をつく。
違う高校に通うシンジの悪友は相変わらず、ろくな事しか教えないみたい。
放課後だと言うのに図書室の中の人影はまばらで、それをいいことに一部の生徒たちが暇つぶしにお喋りしている。
外からは部活動に励む生徒たちの声が響いていた。
決して静かで良い環境とは言えないけど、それが妙に心地いい。
そもそも勉強したい人は図書室ではなく冷暖房の完備された自習室へ行くのが、この学校では当たり前みたいになっているから問題はなかった。
シンジのペンを走らせる音さえも、ざわめきの中ではかき消えていく。
「ねぇ、ここは?」
「えっと…」
次々とノートに綴られていく文字たちは綺麗で女性的で。
シンジらしくて、あたしは嫌いじゃない。
顔は反して、必死の形相に彩られていたけれど。そのギャップにあたしはくすりと笑った。
シンジの垂れた前髪がさらりと揺れる。
「…なに笑ってんの?」
「あんたの顔を見て」
なんだよそれ、とシンジが顔をあげる。
354:キンモクセイ
09/08/21 09:51:30
「わるかったなあ。平々凡々な顔で」
「あら、ユイおばさんに似て綺麗で可愛い顔してるって評判じゃない」
親戚に会うたびに相変わらず可愛いわねぇ、と言われる話を何度も愚痴のように聞いたことがある。
「17の男がそんな風に言われて嬉しいとでも?」
眉をひそめてむくれる。
そういう子どもっぽい仕草が余計に幼く見せるってシンジは気づいてるのかな。
「だったら、おじさんに似れば良かったの?」
「それは勘弁…」
仏頂面で強面で目つきが悪くて高圧的な髭面。
もっぱらユイおばさんの尻にひかれているけど、見た目だけならまるでマフィアのボスみたいなおじさん。
小学校の授業参観にたまたまおじさんが来たばっかりに、クラス中が大騒ぎになったのを思い出した。
シンジのやつ、しばらくボスの息子として畏れられてクラスメイトから敬遠されてたっけ。
父さんのばかぁー!どうしてくれるんだよ!、とシンジがおじさんに泣きついておじさんが困ったように謝っていた光景が、今でも鮮明に思い浮かぶ。
「なにニヤニヤしてんだよ」
「ん?髪質と…あと目元は少し似てるかなって。中年になればおじさんに似てくるんじゃない?」
「げっ!?それ本当!?僕、将来ああなるのか…」
両手で顔を抑えて青ざめるシンジがおかしくて、あたしはお腹を抱えた。
そんなに嫌なんだ。
「ちぇ…そんなに笑うなよ」
拗ねたように口をすぼめながら、シンジが呟く。
「あははっ…でも、渋くていいじゃない?あんたも昔と比べたらちょっとは男らしくなったもんね」
笑いすぎて滲んだ涙をぬぐう。
むー、とシンジがまたむくれた。
ふと、シンジの顔が真顔に戻る。
「アスカはさ」
「ん?」
左手に持つペンがくるくると回る。
頬杖をついて、あたしを見つめて。
355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:53:38
何?何?どきどきする!!
356:キンモクセイ
09/08/21 09:56:27
「アスカは……。アスカは、どんどん綺麗になっていくね…」
はにかみながら、そう言われた。
「へ?」
「日を追うごとに綺麗になって…僕、それが眩しくて…アスカは本当にアスカなんだろうかって、時々真っ直ぐにアスカを見れなくなる」
あたしは一瞬なにを言われたのか分からなくて、呆然として。
それから燃えるように頬が熱くなったのを感じた。
「ば、ば、ばっかじゃないの!?あ、ああ、あんた何言ってんの!?」
机に突っ伏して両手で顔を隠して、あたしは叫んでいた。
なんで、なんで。
急に何を言い出すのよこいつは。
シンジの言葉にこんなに顔を赤くしてる自分が恥ずかしくて、馬鹿みたいで。
言われ慣れた言葉でも、こいつに綺麗だなんてと言われたのは初めてだったから。
嬉しさと複雑さに頭がぐちゃぐちゃになる。
大きく鼓動する心臓の音があたしの中で響き渡った。
「なーんちゃって」
「………………へ?」
なんちゃって?
その言葉にゆっくり顔をあげる。
その先で、頬杖をついてニヤニヤしたシンジが待っていた。
してやったりと言った表情で、にししっと笑う。「アスカったら耳まで真っ赤にしちゃって…ははっ、そんな可愛いアスカ見たのはじめブベラっ!!」
まるで10tトラックが壁に激突したような音が図書室中に響いた。
そばにあった英語の分厚いテキストで、シンジの顔を思いっきりぶん殴ってやった音だ。
「こんの、ばかシンジ!!!!」
そう言って、両手でシンジの胸ぐらを掴む。
「あ…あうあ…す、すみません…そんなに反応するとは思わなくて…」
殴られた左頬を抑えながら、ブルブルと震えて。「…今度やったらコロスわよ」
357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 09:59:24
なぜ焦らすww罪なやつだw
358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:00:20
ブンブンと頭を縦に何度も振るシンジ。
言っていい冗談と、悪い冗談があるわよ…。
シンジの言葉に一瞬でも浮かれて、心を躍らせて。
真っ赤になった自分が馬鹿みたいで情けなかった。
シンジを解放して、唇を咬んで俯きたい気持ちを我慢して、そのまま静かに椅子に座る。
お喋りに興じていた生徒たちがあたしたちを見て笑いを漏らしたり、
書架で本を吟味していた生徒が茫然としているのが少し気恥ずかしくて、あたしは小さくゴホンと咳払いをする。
シンジが小さく、ごめん、と呟いた。
「そういえばさっ」
あたしは話題を変えるために明るく切り出した。
「進路希望の紙、もう提出した?」
シンジがどこに行きたいのか知りたかった。
「進路希望…って、ああ。あれってもう出さなきゃいけないの?」
「ううん、来週まで。おばさんたち何か言ってた?」
「父さんは何も言わないよ。好きにしろって。母さんは…京都の方に行って欲しいみたい。僕も別にいいかなって」
京都。
たしか、おばさんたちの母校だと聞いている。
悪くないと思う。でも、
「あんた、今の成績で行けんの?」
「うっ…」
「ムラがありすぎなのよね。数学と物理と化学以外も頑張りなさいよ。特に英語!おじさんたちと同じ道に進むならなおさらね」
「国語すら出来ない僕が英語なんて出来るわけ…」
「やらないだけじゃん」「ううっ…胃が」
シンジの図星という図星をつきまくって。
情けない声を出しながらシンジが胃を抑えてる。
359:キンモクセイ
09/08/21 10:05:19
「じゃあさ、アスカは決めてるの?」
「あたし?あたしは…」
シンジと一緒に、シンジと一緒のところへ。
そう言いかけて、でも、言葉が喉のところで引っかかる。
それでいいと思っていたのに、その言葉が出ない。
本当にそれでいいの?
14歳のあたしの声が聞こえた。
だって、友だちだもの。
一緒にいたいんだもの。
今までも一緒だったんだからこれからも一緒よ。
…あんたが一方的にシンジを追いかけて、シンジに縛られて、シンジに依存してるだけじゃないの?
あんたの中にはシンジしかいないのね。
うるさいわね…あたしの勝手でしょ
いくらシンジを想ったって、
あいつはあんたのことなんか見てないのにね。
あいつはもうひとりで歩いてる。自分で、決めて前へ進んでる。
恋人だって、大学だってそうじゃない!
いつまでもキンモクセイに縛られたまんまのあんたとは違うことに、早く気づきなさいよ。
うるさい!うるさい!あいつだって思ってるはずよ!あたしと一緒にいたいって、ずっとそばにいたいって!
こないだってあたしといると、楽しいって…!
だってあたしとシンジは…
「…すか、アスカ!」
「…な、なに?」
「なに、じゃないよ。どうしたの?急にボーッとして」
360:キンモクセイ
09/08/21 10:06:10
シンジが心配そうに、あたしを覗き込んでくる。
あいつはあんたのことなんて見てないのにね。
さっきの言葉が頭の中でリフレインする。何度も、何度も。
気がつけば、あたしは思ってもみないことを口にしていた。
「あたし、ドイツへ帰るの」
「…ドイツ?」
あたしの言葉に、シンジの瞳が揺れる。
「ママがね、向こうに帰るからその時一緒に…グランマもいらっしゃいって…」
嘘、ウソよ。
帰る気も無い癖に、なんであたしはこんなうそをついてるんだろう。
「言葉も住む場所も問題ないし、向こうの大学はレベルも高いから…」
日本から出る気なんてないわ。
あたしはシンジと一緒にいるの。ずっとずっと。おばあちゃんになるまでずっと。
「それ、いつなの…?」
「…卒業したら」
馬鹿みたいなウソをついて、シンジの気をひきたがってる。
そんな馬鹿なあたし。
「そっか」
シンジはそれきり何も言わなかった。
課題の続きに再び取り組んで、何事もないようにあたしに答えを求めてくる。
あたしもなんでもない風に装って、シンジに答えを教えて。
時計は17時に迫っていた。
361:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:06:11
あぁん!じらしちゃいやーんw
362:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:08:03
wktkもいいとこだぜホント
363:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:08:46
でも、リアルタイムでわくわくさせられるこのどきどき感はたまらん!
364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:09:48
何人見てんだろ?俺ともう二人で計三人くらいかな?w
いやマジで待ってた作品だから嬉しいわ、リアルで観れてw
365:674
09/08/21 10:10:01
とりあえずいじょう。
中途半端ゴメソ
続きはまた今度!キンモクセイがマジで咲く季節までには完成させないと、と焦ります。9月から忙しくなるんで。
みんな応援ありがとな!
366:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:10:53
>>365
ぎやぁぁぁぁぁぁぁ!!!
激しくGJ!だけど、ここで終わるのはいやぁぁぁぁぁあ!!!
367:674
09/08/21 10:11:28
ごめん、焦らしたんじゃないYO
規制されてケータイでポチポチしてた
元々ケータイで書いてるからまあいいけど、変な感じでコピペしてたらごめんね
368:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:11:38
>>365
乙!!!超乙!!!
欲を言えば早く続きが見たいが気長に待つぜ!!
やっぱあんたは最高だ
369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:14:14
キンモクセイ待ってました!!
シンジがマジでわからないわ…
翻弄されてるアスカがかわいそうだけどイイッw
ハッピーエンド期待してます!
370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:14:30
>>365
乙~
ハッピーエンドになるといいね
371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:16:22
イタモノ苦手だけどこーいう切ないのは大好きだwww
頑張って!シンジもアスカも幸せになれるといいね!
372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:18:25
>>369
いいよねいいよね!
どう思ってるのかまったくわからない相手に
翻弄されるアスカ。すごくいい。
このわかんないシンジがまたすごくいいわ。
いずれ、二人とも内に秘めた激しい感情を
吐露しあうんだろうなとわくわくする。
373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:19:48
続きいつ頃になりそう?
374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:21:30
>>372
うむ・・・うむ・・・
久しぶりだな、ここまで続き楽しみな作品は
375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:21:56
ハッピーエンドだったらハロワ行くわ
376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:22:23
>>375
今すぐ行けw
377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 10:31:16
>>372
でも、両方意地っ張りだから
案外どっちかが激情して迫っても、
相手は感情を押しとどめて
受け流しちゃうかも…
あぁぁぁどうなるにしろ、続き気になるぅ!
378:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 16:35:11
異性系イタモノと書いてあった瞬間に読み飛ばした俺にダメージは…
存在するだけで大ダメージだぜ、グファ。。。
379:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 18:03:07
アスカだけ、とかシンジだけ、は苦手だけとどっちも異性系だと案外イケる
精神的にはアスカの一途な片思いだけど…
続き気になるわ!
380:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:16:20
キンモクセイさんは凄い
ところで、ここに居るプロの書き師は何人いるの?
キンモクセイさん、円谷さん、碇アスカさんを書いてる人
俺が知ってるだけで3人です
381:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:26:16
待ってたよー!!
あぁGJ。素晴らしい!
続き楽しみにしてます。
382:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:41:12
>>380
その三人以外の作者に対して失礼だって分かって書いてる?
383:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:46:28
ifっぺえ
384:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:47:43
その名は出すな
385:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:53:19
>>380
アスカ「最っ低!」
386:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 19:56:34
>>382
まっ、夏休みですから
387:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:09:29
>>380
プロっていう括りはハードル高杉だが…夜の帳の人と、パッチンさんもいい
388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:17:41
どの作者が良いとか言う話はやめろ
389:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:42:19
>>388
同意
わざわざ書いてくれる人に失礼すぎる
390:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:43:15
僕はifさんとトゥルーさんとリスペクトしてます
391:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 20:44:59
>>388
超同意
みんな楽しみにしてます
392:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 21:13:55
新規さんのスピードと勢いに圧巻されているw
読む方も大変だな。もちろん嬉しい悲鳴なんだけど
393:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 21:36:44
>>327
の続きです。
あと、少しなので嫌いな人はもう少し
辛抱してくださいね
394:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:37:36
「10分だけ、待ってやる。武器を捨てて投降しろ。10分後に攻撃を開始する。」
スピーカから高圧的な警告が流れる。
「アスカ、逃げるわよ。大丈夫、連中はエヴァに当たるのを恐れて、重火器は使わないわ。
エヴァを楯にしながらVTOLを飛ばせば逃げらる。ヨーロッパに逃れて、皆でシンジ君を
助ける方法を考えましょ。」
アタシは、もう一度、槍に手当てて、下を向く。
「マリ、最後の命令を伝えます。良く聞いて。」
「へ?何スか?改まって。」
「現時刻を持って、アタシの救出作戦を破棄、残りの生存者を連れて、ユーロと合流をして。」
「ちょ、何を言ってるんスか?バカな事を言わんで下さい。」
「そうよ。アスカ、貴女を置いて行ける訳無いでしょ。」
「皆、ごめんなさい。アタシも最初から、あんな事しても無駄だって解っていたの。
実は、アタシはここへは死にに来たの。」
「何言ってるんスか?折角、助けに来たのにそれは無いでしょ。」
「ねぇ、マリ。何でアタシがあんな厳重に監禁されたか知っているわね。」
「ええ、大尉は処刑されるんですよね。」
「正確に言えば、処理ね。あの事件を見て驚いたNERVの上部組織は、エヴァの運用を見直す
事にした見たい。それで、エヴァのパイロットは最小限に抑えるって決めたのね。余分な、
パイロットは処理する。その第一号がアタシ。何せ、アタシはある意味事件の当事者だしね。」
「一寸、アスカは子供よ。良くそんな事、できるわね。」
「仕方が無いわ。どうせ、アタシ達は使徒と戦う道具なんだもん。必要無く成れば捨てられるだけ。
第一、子供を利用したのは、ミサトも同じでしょ。人の事を批判できると思う?」
「そうね。子供を利用して生き延びて、その挙句がこれだもんね。自業自得か。でもね、
だからこそ、アスカは生き延びて。折角、ユーロが受け入れるって言ってるでしょ。」
「あのね。連中もアタシを道具としてしか見て無いの、そこへ逃げ込んでもいずれ、高値で売り飛ばされる
に決まってる。良い?相手は月面まで拠点を持ってる組織よ。何処へも逃げ場なんか無い。いずれ、
殺されるなら、シンジの側で死にたいの。」
395:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:39:00
「はぁー、仕方がないにや。大尉の我儘に付き合うのは成れ子だからね。良いスよ付き合います。
と言う訳で、葛城一佐、三人で逃げて貰えます?」
「バカな事言わないで、私も残るわ。私はアスカの上司です。彼女を最後まで守る義務があります。
加持君、リツコをお願いできる?」
「あのな。俺が女子供を置いて逃げるなんてかっこ悪いマネが出来ると思うか?問題は、リッちゃん
だが...。」
「私は、VTOLなんか操縦できないわよ。私も残るしかないわね。大丈夫よ。私だって、銃位扱えるわ。」
「どうやら、全員残る見たいスね。」
「もう知らない。勝手にすれば?」
「まだ、少し時間があるわ。ねえ、アスカ、最後に教えて。」
ミサトがアタシの頭を優しく撫でながら聞いてきた。
「何かな?」
「アスカは、シンジ君の何処が好きなの?」
「それが、良く解らないんだよね。そりゃー、料理が上手いとか優しいとか色々、上げられるけど、でもね。
それって、好きになって後から付けた理由なの。人を好きになるって、そう言う事じゃ無いのかな?」
「アスカにしては曖昧な答えね。まぁ、可愛いけどね。」
「本当は、恥ずかしいから言わないで置こうと思ったけど、最後だから言うとね。運命って言うか、アタシは
シンジを好きになる為に生れて来たんだって思ってるの。おかしいでしょ。」
「アスカって、本当に可愛いわね。もっとも、貴女は大人ぶってるけど、本当は中学生だもんね。それも
有りかな?」
396:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:39:54
その時、マリがミサトを後ろから後頭部に一撃をくらわした。不意を突かれたミサトは崩れ落ちる。
「マリ!何て事すんの!?」
「加持さん、これで葛城一佐を連れて行ける。三人で逃げなよ。」
「助けてくれるって事か?」
「勘違いしないでくれる?アタシは大尉と違って育ちが悪いから、滅多に人を信じてないだけ、大尉は優しくされると
直ぐに他人を信じるけど、アタシは今でもNERVの人間を疑って居る。そんな人間と、一緒に死にたくない。」
「随分と、嫌われたもんだな。」
「当たり前よ。特に、アンタには殺されかけているからね。」
「何の事かな?」
「とぼけないでくれる?5号機の自爆タイミングは明らかに早かった、あれは誰かが意図的に仕組んだもの。」
「その犯人が俺だと?」
「あくまでも白を切る気?まぁ、良いわ。いずれにしろ、子供を利用して生きて来た人が今更、子供を守るなんて
偽善でしか無いもの、そんな人間とは一緒に戦えない、ただそれだけ...。」
「解った。葛城とリッちゃんは連れて行く。それで良いんだな。」
三人を乗せたVTOLが飛び立っても連中は何もしなかった。やはり、連中はアタシ以外は興味無いみたいだ。
「ありがとう、マリ。」
「別に、礼を言われる事をして無いスよ。あれは、本気だからにゃ。」
「出来れば、マリにも逃げて欲しかったな。」
「大尉を置いて逃げたら、自分にも行き場が無くなるス。だったら、大尉とお供します。」
「ごめんね。勝手な事ばかりで。」
「いいスよ。大尉も行き場は無いですからね。」
397:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:40:40
「時間だ。答えを聞こうか?」
「答えは、これだぁー!」
言うが早いか、マリが銃を乱射した。遠巻きにしている連中に届くわけでもないのに何、格好付けるかな?
引きつけて、攻撃とか少しは考えてよ。まぁ、死ぬ時間が多少変わるだけか...。
相手は反撃とばかりに、迫撃砲を撃ってきた。放物線を描いて迫ってくる砲弾がやけにゆっくりに感じられる。
これに当たって死ぬのか。痛いかな?出来れば、苦しまずに死にたいな。
シンジは結局、アタシを守ってくれなかったね。
アタシは、槍に手を当てて、最後の時を待つ事にした。こうしていれば、シンジと繋がっている気がしたからだ。
砲弾はかなり離れた所に着弾すると、中からガスが噴き出す。
ガス弾だったのね。まぁ、良いわ。この辺に充満した所で思いっきり吸えば、一思いに死ねるわね。
ガスを思いっきり吸いこむと、意識が遠のいて行く。
薄れていく意識の中で、アタシは槍が動くのを感じた。そして、遠くの方で響きわたる、咆哮が聞こえた。
続く...。
398:Another Way Quickening後編
09/08/21 21:41:35
と言う訳で、次回は?です
これも前後編に別れそうです。
399:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 22:40:53
キンモクセイさん、Another Way Quickeningさん
超超GJです。
楽しませてもらってアリガトー!
しかし、今夜は生殺し状態・・・
続きを楽しみにしてます。
おねがいします。
400:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 22:48:02
>>398さんへ。
おもしろく読ませてもらってます。ですが、会話がだれの会話かわかりにくいので、
アスカは、
「シンジ」
と言った。
「シンジ」
とアスカは言った。
などと書いてくれると、わかりやすくて助かります。次の投下を待ってまーす。
401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 23:20:00
しかし毎日すごいね・・・
途中で支援入るとかウラヤマシイかぎり
402:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 23:38:11
いつまで夏なんだよw
403:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 23:48:48
住民多くてウラヤマス…
過疎で支援無いから規制計算して毎回投下してるよ…orz
404:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/21 23:55:42
>>403
別LASスレ住人の方かな?
落ちLAS投下スレなんかはちょっと過疎気味なんだよね
405:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 00:27:27
今更亀ですが、キンモクセイさんgjです!
切なさ満点の流れにドキドキです。
楽しみにしてますよ~ノシ
406:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 00:37:30
>>404
うむ、落ちLASスレじゃないけど別のLASスレに投下してきたとこだ
そっちにも投下出来る様な話を考えてたりはするんだが中々orz
407:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 01:00:42
>>406
なるほどなるほど。いつも乙です!
自分も同棲スレに投下したり、落ちLASに久々お邪魔しようかなとか考えてます。
408:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 04:07:33 GEj5I7fR
>キンモクセイ
長すぎて忘れた頃に投下されたら大ダメージ受けるw
409:ふぅ。
09/08/22 05:34:11 0NXnIYA+
―ピンポーン
「アスカっー、寝てるのーっ?」
「…なに?」
インターホンの音で目が覚めた。
「えっ!やばい!!」
時計を見ると、八時だった。
「アスカーっ!」
「わかってるっつーの!
今着替えてるんだから待ってよ!!」
歯を磨いて、顔を洗って、髪を整えて…。
「悪かったわね!」
「どうしたの?アスカが寝坊なんて珍しいね。」
「昨日ちょっと眠れなかっただけよ!」
「ふーん、なんかあったの?」
そういえば、何で昨日は眠れなかったんだったけ。
「どうしたの?急にぼーっとして。」
あー…、バカシンジのこと考えてたんだっけ。
「わかってるわよ!早く行くわよ!」
「ちょっと待ってよアスカ!!」
410:ふぅ。
09/08/22 05:39:21 0NXnIYA+
「なんでこんな時に赤信号に引っかかっちゃうんだろう…。」
「バカシンジが厄病神だからに決まってるじゃない!」
「じゃあ僕と一緒に登校しなきゃいいじゃないかぁ。」
「あんたが迎えにきたんじゃない!!」
「だってアスカがいつも迎えに来るから…」
「朝っぱらから夫婦げんかしてたら青信号なってもきづかへんでぇ~!」
「違うよトウジ!!そんなんじゃないって!!
ただの幼馴染だっていつも言ってるじゃないか。」
なによこいつ…。なんであたしもイラついてんのよ。
そもそもなんであたしがこいつのこと考えて眠れなくなるのよ…!
「なによ…。」
「アスカ、なんか言った?」
「うるっさいわねー!こんな馬鹿知らない!!」
「あ、待ってよアスカ!」
「おいシンジ、惣流とばっか登校してんとたまには一緒に行こうや。」
「うわ、また信号赤になっちゃった!!」
「シンジ、なにしてんねや~!!」
なによ、これじゃあたしがシンジを好きみたいじゃない。
違う、そんなんじゃない。幼馴染だから一緒にいてあげてるだけじゃない。
昔からずーっとあいつはあたしがいなきゃ何もできないのよ。
これからもね。
「あたし実は○○高校狙ってんだよね~。」
「うそ、まだ二年なのにそんなこと考えてんの!?」
「まだ二年つっても、すぐなんだもーん。」
これからも、か…。
411:ふぅ。
09/08/22 06:01:50 0NXnIYA+
「じゃあ霧島さん、そこ読んでくれる?」
「…はい!えっと…」
「教科書78ページだよ。」
昔はあたしにしかあんな顔見せなかったのに。
「ありがと、碇くん!」
こうやってどんどんあんたの中からあたしが消えてくの?
他の男子たちとはちょっと違って見える背中。
あのバカ、襟折れてんじゃん。
やっぱりあたしがちゃんと見ていてあげないと…
「惣流さん、聞こえてないの!?」
「はいっっ!」
「さっきから次のページ読んでって言ってるじゃない。」
「すみません…。」
「アスカ、どうしたの?」
「なんでもないわよ…。」
412:ふぅ。
09/08/22 06:10:53 0NXnIYA+
―放課後―
ブルルルル…
ママだ!
「ママ!どうしたの?」
「アスカー悪いけど今日までに完成させなきゃいけないソフトがあってね。
ちょっと今日は帰れそうにないのよ。晩御飯は、シンジくんの家で食べてきてちょうだい。」
「ちょっと、ママ!?あたしだって一人でご飯くらい作れるわよ~。」
「あら、そうかしら?」
「まあとにかく、家にあるもんで何とかするから心配しないで!じゃあね!」
「シンジ、帰るわよ!」
「ごめん、今日は綾波さんと一緒に勉強するんだ。
ほら、テストもうすぐだったでしょ?
よかったらアスカも一緒にやろうよ。
トウジたちも一緒にさそ…」
「いいわよ。じゃあ、一人で帰るから。」
「どうしたの?具合でも悪いの?」
「知らない」
413:ふぅ。
09/08/22 06:12:44 0NXnIYA+
「惣流さん、どうしちゃったのかしら。」
「僕、なにかしちゃったかなぁ…。」
「嫉妬、してたりして。」
「何に?」
「テスト前だから自習室、席なくなっちゃうわ。早く行きましょ。」
ピピピピ、ピピピピッ
「うそ、熱あるじゃない!
よりによってママのいないときに…。」
ママに電話しよ。
―「今日までに完成させなきゃいけないソフトがあってね。」
「忙しいかぁ…。おとなしく寝てるしかないか。」
414:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 07:37:37
続きwktk
415:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 09:30:58
思ったんだけど、落ちLASスレとこのスレが2つある意味って?
416:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 09:39:13
>>413
乙!シンジには無意識プレイボーイがよく似合う。
>>415
LAS小説を投下するスレが2つあるんだよ。
ここはイタモノとかでも何でもOKなLAS小説投下総合スレ。
落ち着いてLAS小説を投下するスレは、イタモノ禁止なスレ。
417:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 11:43:18
なんであのスレはLASが全角なのさ
418:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 13:24:37
>>400
もう聞く気ないみたいだからほっとけ
419:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 14:54:00
というか>>400自体が問題発言だわなw
420:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 16:39:39
と、言った。
って書き方嫌いだから極力書かないようにしてんだけど、やっぱ無いと読みにくいし分かりにくい?
421:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 16:41:45
>>420
その究極的な形が>>91だからなw
流石にちょっとそれは多用しない方向で上手くやってくれたほうが良い
422:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 16:48:59
>>420
まぁ、>>400な書き方は論外だけど、誰が誰に言ったかは工夫次第。
423:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 17:05:12
つーか投下来なくなったなwww
424:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 17:23:55
どんな頻度で来てほしいんだよ
425:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 17:47:01
落ちLAS投下にも同棲スレにも来てるしな
作家さんは多い方がいい
426:軒亜
09/08/22 18:53:14
昨日まで沖縄行ってたので、沖縄ネタというか修学旅行ネタを。
視点がややこしく、シンジ→アスカ→シンジみたいな感じです
背景設定は特にありません;
題名は「夏の夜に」 (´・ω・`)
427:軒亜
09/08/22 18:56:07
―修学旅行―
ミサトさんの説得に難なく成功し、僕達は沖縄へ来た。
エヴァや他の事も忘れて少しは楽しむ事ができそうだとシンジはバスの中で期待に胸を膨らましていた。
「ね、シンジ!海が見えるわよ!」
ふと、隣のアスカに声を掛けられた。窓の外を見るとそこにはコバルトブルーの海が辺り一面に広がっている。
「うわぁ…きれいな海…気持ち良さそう」
「ちょっとはアタシに感謝しなさいよ、ミサトを説得したのはこのアタシなんだから」
といっても酔っ払って上機嫌の内に説得なんて別に難しくもなかったが。
「シンジぃ、お前も修学旅行来れて良かったなぁ」
「前日まで来れないかと思ってたよ」
トウジ、ケンスケも話し掛けてきた。
「あ~あミサトさんも来たら良かったのになぁ~」
トウジがそんな独り言を言う。
「ホント、勿体無いよ…」
ケンスケまで。
「そんな事できっこないよ…」
とシンジが返すと、「何言ってんのよ、この3バカトリオ!」
アスカとヒカリが突っ込む。
他のクラスメイトも随分テンションが上がってきているようだ。
バス内からあちこち楽しそうな喋り声が聞こえる。
428:軒亜
09/08/22 18:58:20
とはいえ、バスの中からでも見える景色は最高である。
青い空に雲が3つ程ぽつりと浮かんでいる。
「もう少しで着くから、自分の席に座りなさい」
ゴホンと担任の先生が指示する。
(海なんて、久しぶりだな…というか来たことも無いかもしれないなぁ…)
ぼんやりと窓際で頬杖をつきながらシンジは思った。
「な~に にやついてんのよ、バカシンジ!」
アスカが見透かしたような事を言う。
笑ってごまかすと、今度は余計に罵倒された。
気付くともうバス停だった。
一歩外へ足を踏み出すと潮風の心地よさに包まれた。
だが、この猛暑に長時間耐えつづけてきた事もあり、みんなすでに限界がきている様子だ。
一旦集合、そして班別行動だと言われると皆即解散した。
班のメンバーはというと、3バカトリオにアスカ、ヒカリである。
綾波は使徒警戒中のため、1人で残ると言ってきかなかったのだ。
自由という思想の末辿り着いた場所はやはり、浜辺。
太陽がじりじりと照りつけ輝く浜辺を目の前にすると心がまるで落ち着かない。
みんなはそれぞれ水着に着替えると、我先にと海へ走り出した。
429:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 18:59:14
(海がこんなに気持ち良いだなんて知らなかったな…)
シンジは全身で波を受け止めながら思った。
しかしさっきからアスカばかりが目に入る。ブロンドの髪、水着は赤と白の横縞模様に胸元はチャック付き、というシンジにはあまりにも刺激が強いというか、本能で目がアスカの方へいってしまうのだ。
それをトウジやケンスケに悟られないようにやり過ごす。
アスカはヒカリと楽しそうに水を掛け合っている。
「おいシンジ!、なんやぁさっきから惣流の方ばっか見て」
トウジに気付かれてしまっていたようだ。
「え?いや、さ、その…何でも無いよ」
顔が赤くなりそうなのを必死で隠しまた海中へと潜ってみる。
海中はまるで別世界のようで熱帯魚が目の前を通り過ぎていく。
サンゴ礁や海草までもがこの楽しい一時を共有しているみたいだった。
ぷはぁ、と顔だけ出すと周りにはトウジやケンスケはおらず、砂浜に目をやると4人でお城を作っている最中だった。
「シンジー!早く早く!」
いつにもなく楽しそうなアスカが自分を呼ぶ。
5人がかりでようやく完成したお城は実にそれぞれの性格が合わさったように見えた。
430:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 19:00:02
「まぁ上手くできたかな」
とシンジが言うと、
「碇くんって器用よねぇ、鈴原なんかとは大違いよね」
とヒカリが言うのに対しトウジが即座に
「なんやて!?」
と言い返す。
しかしヒカリの発言に対し、もう1人トウジと同時に、
「そんなの、あったり前じゃなーい」とアスカが言ったのだ。
堂々かつ誇らしげに語るアスカを、不思議そうに見つめるシンジ。
アスカがシンジに気付くと、顔が段々と赤くなるのが分かった。が、アスカは
「いや、同居人だしそれくらいアタシにも分かる事よ!」と誤解されないように付け足した。
「なんか…変だよ?アスカ」
シンジが追求すると
「うるっさいわね!そんな事より次、買い物でも行きましょ」
アスカは軽く流してみんなに呼びかけた。
431:軒亜
09/08/22 19:00:46
それからの買い物は悲惨であった。アスカはともかくヒカリまでもがこんなに買い物好きだとは…。
今晩泊まる旅館に着いた時はもはや男子達は完全にダウン状態であり、両手にはアスカやヒカリが買った物を持たされている。
「まったく人使いの荒いヤツ…」とケンスケが半泣きで言う。
「ま、旅館に着いたんだし先生に部屋の鍵もらってくるわね」委員長であり班長のヒカリが言う。
指示された部屋へ入ると中は和室だった。畳のにおいが旅館という雰囲気を出している。
「じゃあ、僕達お風呂に入ってくるよ」
シンジがそう言って他の2人も一緒に部屋を出た。
部屋に残ったヒカリとアスカはいわゆる恋バナをしているところだ。
「ね、アスカ…あたし、鈴原と仲良くできてるかな?」
大丈夫よヒカリ、とアスカが言う。
「…あと、アスカの好きな人って碇くん?」
これにはアスカも意表を突かれた。
「えぇっ?!なんでそーなるの?」
「…だって、碇くんはアスカの事好きみたいだし…」
「そんなことあるわけないわよ、シンジとは義務でいるだけだし」
そう。義務だから。
なんだかそうやっていつも逃げているような気がする。本当は嬉しいのに、何でだろう…
432:軒亜
09/08/22 19:01:32
晩御飯はごちそうだった。しかし気分がいまいち乗っていないアスカに、「どうしたの?アスカ」
と心配そうにシンジが声を掛けてきた。
内心ドキッとして「あんたのせいよ!バカシンジ」
と言ってしまった。
シンジは結局訳がわからず。
とはいえ後は寝るだけだし、と準備に取り掛かろうと布団を敷くシンジに黙って手伝うアスカ。
目の前でそんな光景を見た他の3人は異様な空気に耐えられず何も出来なかった。
―そして夜。
時計の針はもう深夜を指しているというのにアスカはなかなか寝付けない。
ふと、シンジが布団から立ち上がり、部屋を出るのがわかった。
(トイレは部屋にあるのに…)不審に思ったアスカは気付かれずに跡をつける事にした。
シンジが夜遅く向かった先は、昼間遊んだ砂浜だった。
今は月の光が海全体を美しくしく照らしている。
433:軒亜
09/08/22 19:02:15
シンジが砂浜に座ると、アスカは黙って隣に腰を下ろした。
「アスカ…」
シンジが気付くとアスカは、「星、綺麗ね」とごまかすように言った。
実際、夜空に広がる星はとても綺麗で、息を呑む程だった。
「ホント、寂しいヤツね」
「…アスカがいるから、寂しくない」
どういう意味なのか、わからなかった。
それって―、と言おうとした時、シンジの手が重なった。
黙っていてやる代わりに、シンジの手をぎゅっと握った。
もう離したくない。
修学旅行が終わればまたいつもの日常に戻ってしまう。
今はそれがなによりも辛かった。
434:軒亜
09/08/22 19:03:10
次の日の自由行動は2人で。
2人で誰もいない浜辺を見つけた。
青く澄んだ海、誰にも邪魔されない空間がそこには広がっていた。
アスカは大きく伸びをしながら、
「んーっ気持ちいい~」
それに対しシンジは「うん、そうだね」
とだけ言っておく。何故か段々と鼓動が早くなる。
―海が紅く染まっていく―
シンジはそんな気がして落ち着かなかった…
終
435:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 19:13:41
GJ!砂のお城でのツンデレが良かった
だが男女の部屋は分けなきゃダメだぞ!w
436:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 19:26:23
GJ!
和むw
437:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 19:37:36
乙
最後が、ん?てなったけど・・
438:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 22:16:18
視点がバラバラ
修学旅行で男女の部屋は普通分けます
オチがわかりにくい
439:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 22:17:21
>>397
の続きです。
次回で終わりですから嫌な人はもう少し我慢してくださいね。
440:Another Way ?全編
09/08/22 22:17:44
「い...、きて...、大尉...。大尉ってばさ。」
誰かが呼んで居る。マリなの?
目を開けると、心配そうにアタシをのぞき込むマリの顔が有った。
「ここは、何処なの?」
「さぁーね。あの世だとは思うんスが...、これだけ、殺風景だと天国とは思えませんね。」
確かに、ガラーンとした部屋だ。
「それにね。変なのが居るんスよ。あっち。」
「変?確かに変っていうか、これだけ居ると不気味ね。あれって、如何見てもエコヒイキの集団だわ。」
マリが指さした方向には、あの女が20人以上立っている。しかも、4、5歳位の幼児まで居る。でも、
特徴ある青い髪は正しく、あの女だ。
「アンタ達は何者よ?」
「綾波レイと呼ばれる存在......。」
声を合わせて言われると、結構不気味だ。
「て、事は姉妹って事?」
「あんた、ばかぁ?そんな訳無いでしょ。大方、クローンか何かじゃないの?」
「冗談スよ。多分、そんなとこでしょ。」
「ちょっと、待って?と言う事は、この中でアタシと会って居るのは二人って事?」
「ええ、一番長く会って居たのは私...。」
手に沢山の絆創膏をした、女が答える。
「私は、病院で有っただけ。」
「やっぱり、すると...アタシは、アンタを...。」
プラグを砕いた時の嫌な感覚が蘇ってくる。
「そう、貴女は私の体を破壊している。でも、気にする事は無い、何故なら、私達の生と死は同じだから。」
アタシは、全身から汗が噴き出すのを感じる。
「それに、貴女には感謝しているわ。あの時、碇君が背負う苦しみを貴女は代わりに背負ってくれた、
それだけじゃない。碇司令が背負う苦しみまで背負ってくれた。貴女は碇君の未来を変えてくれた。」
「ちょっと、解んない事、言わないでよ。第一、未来なんて自分で作るものよ。決まっているモノじゃないでしょ。」
「いいえ、決まっている。無論、全てでは無いけど、大きくは変えられない。あの時、誰かが使徒に取り込まれる
事は決まっていたし、その為に、碇君と司令に離別が訪れる事も決まっていた。でも、貴女の碇君を救いたい
と言う思いが、碇君と司令の未来を変えてしまった。」
「その代償として、アタシが二人分の苦しみを背負う羽目に成ったと...。」
441:Another Way ?全編
09/08/22 22:19:00
「あのー、お取り込み中ですけど...。もっと、大事な事があるんスよ。」
「うるさいわね。今話している所なのよ。」
「いや、そこに大尉の愛しの彼が寝てるんですよね。」
マリに言われた方を見ると、確かにシンジが居た。
「どうして、それを先に言わない。」
アタシは、シンジに駆け寄る。
「会いたかったよ。ねぇ、何時まで寝てるの?起きてよ。」
どんなに、ゆすってもシンジは起きない。
「ねぇ、マリ...。死んで無いよね。」
「多分、我々も死んでいるので、死人が死ぬって有るんですかね。放って置けば起きる気もしますが...」
アタシもそうだが、マリも良く解らないんだろう。死後の世界なんて初めてだもんね。
「まぁ、良いか。一度、やってみたかった事やってみるか。」
そう言うと、アタシは正座をしてシンジの頭をアタシの上に乗せた。膝枕と言う奴だ。この状態で、シンジの
髪の毛をいじると、けっこう楽しい。
「ねぇ、マリ?アタシ達本当に死んでると思う?」
「さぁ?でも、あの状態で生きているとは思えないスよ。仮に、催眠系のガスだとしてもこんな場所に連れて来て
何になるのかにゃ。」
「じゃぁ何で、足がしびれるの?死んでるから足も痺れないと思ったけど、凄く...、辛く...成ってきた。」
「止めれば良いしょ。」
「ああもうダメ。」
そう言うと、足を崩す。それでも、シンジの膝枕は止めない。起きるまで続けるつもりだ。起きた時に驚く顔が
見たいから...。
「大尉も意地っ張りスね。」
「あれ?一寸、変だよ。だって、アタシが殺しいたエコヒイキは一人だけ、他のは生きてる筈じゃない?」
「はぁ?まぁそうっスね。」
「解った!マリ、アタシ達は死んで無い。ここは、初号機の中だよ。良かった...。シンジは、アタシを助けて
くれたんだ。あの女だけじゃなくて...。アタシの事も守ってくれたんだ。」
442:Another Way ?全編
09/08/22 22:20:15
「シンジ君が君を助けたのは確かだけど、ココは初号機の中では無いよ。」
何の脈絡も無く、いきなり現れた銀髪の少年が語り出す。
「な、な、な、な、何なのよ。行き成り現れないでよ。第一、ドッカら入って来たのよ?」
余りに唐突な出現に、アタシは目を丸くしてこう言うのが精いっぱいだった。
「ここは、シンジ君を迎えるために僕が作った場所だからね。出入りは自由だよ。」
「良く解んないけど、シンジはまだ寝てるわよ。」
「ああ、それは寝てるんじゃ無くて、僕が作った魂が入って無い肉体だ。今、シンジ君の魂は別の所にいるからね。」
「えーーー、じゃあこれは、死体なの?」
「死体とは違うよ。まぁ、人形みたいなものだと思えば良いかな?心配しなくても、間もなくやってくるよ。」
443:Another Way ?全編
09/08/22 22:20:29
「でも、何でアタシ達をこんな変な場所へ連れ込んだの?」
「シンジ君の新しい門出を祝うためかな?ココにいるのはシンジ君と関係の深い人間ばかり、何せ、僕たちはシンジ君の
恋敵だからね。」
「エコヒイキはそうだけど、待ってマリもそうなの?...、何時、手を出したのよ!」
「何もして無いですって。一度しか会ってないし...。もしかして、あの時にゃ?」
「何かやったの?」
「やったと言うか、不可抗力で彼の顔をこの胸で挟んだんスよ。」
「何て事してくれるの?巨乳に目覚めたら、どうすんのよ!あれ?僕達って言ったよね。アンタ...、男...だよね。」
「愛に性別は関係ないだろ。」
「関係ある。大あり、シンジを変な世界に引き込まないでよ。」
「それは、君たちの世界の話だろ。シンジ君はもう君たちの世界には戻らないから問題ないさ。」
「一寸、どういう事よ。シンジを変な所へ連れて行かないでくれる?」
「仕方がないだろ。シンジ君は君たちの世界では幸せになれないんだ。だったら、もうそっちの世界に行かなくて
済むようにするんだ。」
「何、言ってんのよ。幸せに成れるかなんて、先の事は解らないわよ。」
「解るさ。色々、やってみたけど、結局は最後は不幸に成るだったら、もう君らの世界には居ない方が良いんだよ。」
「もう、訳の解んないことばっかり言ってないでよ。良い?今居る所で不幸だからと言って、別の所へ行っても幸福に
成れる訳無いでしょ。」
あれ?これって、アタシに言うべき言葉だよね。
「では、聞くけど、君はシンジ君を幸せにする方法を知っているのかい?」
「解るわよ。シンジは家族と暮らしたいだけ、父親との和解が出来れば良いわ。」
「それは、無理だよ。僕でも他人の心に干渉は出来ない。そんな事ができるなら、直接シンジ君を幸せにするさ。」
444:Another Way ?全編
09/08/22 22:22:00
「他人の心以外なら何とか出来るの?だったら、シンジの母親を戻せば良いわ。そうすれば、上手く行く。何せ、
母親の料理の味だけで打ち解ける位の間だもの。あの二人にとって、あの人の存在は相当大きいわよ。」
「それは、出来るけど。そんな簡単な事で本当に可能なのかい?もし、不幸に成ったらどうする気なのかな?」
「良いわ、煮るなり焼くなり好きにして。」
「その言葉わすれないでね。望みどおり、そんな世界へ連れて行って上げるから。」
「の、望むところよ。」
「一寸、大尉。変な約束しない方が良いスよ。コイツ、遣りかねませんぜ。」
「良いわよ。アタシはね。シンジと会う為なら地獄へ堕ちても構わないって思いで、ココまで来たんだからね。」
「解った。でも、これが最後のチャンスだと思ってくれたまえ。じゃぁ行くよ。この場所はもう消す。君らもじきに
戻れるよ。」
445:Another Way ?全編
09/08/22 22:22:20
「一寸、待った。」
「何だい?やはり、止めるのかな?」
「違うわ。これって、賭け事だよね。だったら、上手く行った時の儲けを提示されて無いんだけど。」
「何が欲しいんだい?」
「シンジの心が欲しい。シンジがアタシ無では生きていけない位にアタシの事を思うようにして。」
「君は、人の話を聞いて居たのかい?僕は他人の心を自由には出来ないんだよ。」
「何よそれ。役に立たないわね。」
「その代わりに、私が消えるって言うのはどう?」
「行き成り何を言い出すの?エコヒイキ。」
「私がもう、貴女達の世界にはもう戻らないわ。そうすれば、碇君を好きな人は貴女しか居ないわ。」
「身を引くって事?それで良いの?」
「私は貴女達の世界に居れる時間は短いの碇君とは、いずれ別れなければいけない。だったら、早い方が良いわ。」
「一寸、待ちなさいよ。されじゃぁまるで、アタシが惨めじゃないの。アンタなんかに憐れみをかけて欲しくないわよ。」
「気にする必要はないわ。貴女は碇君が背負う苦しみを肩代わりしてくれた、貴女はそれ以上苦しみを背負う必要はない
もの。」
アタシの手には、プラグを潰した感覚が蘇ってくる。これは、シンジを愛した証と言う事なんだろうか?
ならば、この痛みを大事にしたいな。
「では、本当に行くよ。また、何時か会えると良いね。」
「べーだ。絶対にシンジには近づくな。一昨日来やがれ。」
「一寸、大尉。滅多な事を言うと怖いスよ。」
「良いのよ。シンジを悪の道から守らないと、駄目だもの。」
「消えちゃいましたね。」
「あ゛ーシンジが消えてる。何処よ。何処行ったのよぉ?」
「ていうか、大尉も消えそうで...。」
「そういう、アンタも消えそうよ。」
そして、また意識が遠のいて行く。
続く...。
446:Another Way ?全編
09/08/22 22:22:58
と言う事で、次回は?後編です
次回で最後ですのでもう少し我慢してくださ
447:ふぅ。
09/08/22 22:59:57 0NXnIYA+
「ハハ、結局二人になっちゃったね。
アスカも来ればよかったのに。」
「惣流さん?碇くん、仲良いものね。」
「親同士がが同じ研究所で働いてるから、
アスカとは昔から知り合いなんだ。
そういや、父さんと母さん今日は遅くなるって言ってたけどアスカんち大丈夫かな…。」
「碇くん、惣流さんのことばっかりね。」
「そうかなぁ?昔からずっと一緒だから自然にそうなってるのかも。」
「そういうの、羨ましいわ。
私、転校ばっかりでそういう人いないもの。」
「バカシンジはもう帰ったのかな?」
昨日もこんな感じで天井見上げて考えてたんだっけ。
レイと一緒なんじゃん。
ま、あたしには関係ないけど。
昔こんなときはシンジんちに泊まりなさいって
おばさまが言ってくれてたんだっけ。
―ピンポーン
448:ふぅ。
09/08/22 23:21:48 0NXnIYA+
「…ママ?」
もしかして
―ピンポーン
「はーい!」
シンジ…?
「なによ!いきなり…。」
「アスカ、今日なんか変だったから。」
「大丈夫よ。ちょっと熱があるだけ。」
「そうなの!?」
やだ、おでこ…
「ちょっと熱っぽいね。顔も赤いし。」
顔…赤い?
「今日父さんも母さんも遅いんだ。
だから今日、泊まってくよ。
さっき母さんからアスカんちも今日は帰ってこないって聞いたし。」
「いいわよ…あたし一人で大丈夫よ。」
「だって、アスカ料理とか苦手だし…。」
「あたしだって料理くらい一人でできるわよ!!」
「ほら、熱あるんだからじっとしてなよ。
今おかゆ作るから待ってて。」
久しぶりに食べたい。
「…ハンバーグ。」
「え?」
「ハンバーグがいい。」
「だめだよ。治ってからまた作るから。」
治ったら、治ってもまた作ってくれるの?
449:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 23:45:15
中途半端すぎwww
まあ乙
450:ふぅ。
09/08/22 23:46:39 0NXnIYA+
「…ありがと」
「え、アスカ?今なんて?」
「余計な御世話だって言ったのよ!」
「へへ、そっか!」
なんにも変わってないのかも、昔と。
あたしだけが、変わっちゃったのかも。
なに…?この感じ…
「アスカー、できたよー。」
「ねぇシンジ、今日は綾波さんたちと勉強してたんじゃないの?」
「うん…結局ふたりだったんだけどね。」
え?なに?やっぱりこいつ…
「でも、アスカが心配だったから早めに帰ってきたんだよ。」
なによ、なによ。
そんなに振り回さないでよ。
「そうだったんだ」
でも、うれしい。
451:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/22 23:49:50
投下中だったのね
サーセン
452:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:16:03
このスレって、投下してる人より読んでるだけの側が偉そうだよな、常に
453:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:19:46
個人的にはちょっと辛口なほうが嬉しいよ。上達しそうで。
454:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:24:06
最近ひどい作品が多すぎ
反応薄い所で需要がないんだと察してほしい
455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:33:49
>>454
いきなり辛口すぎるw誰だって最初から完璧な訳じゃないんだから
いろんな作品があって良いと個人的には思っているけれど…
ちょっとしたネタを書き込むのも恐くて躊躇してしまう性分なので
このスレに限らずLASを提供してくれる人に感謝してます
456:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:47:54
>>455
同意
自分の厨房のときに書いた小説まがいもんとか、このスレに投稿したらやばいぐらいにおもろいと思う(別の意味で)
その頃よりはまだマシなものは書けてるみたいなので、一概にひどいと決め付けるよりは生暖かく時に厳しく見守ってくれると嬉しい
457:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 01:59:27
左様。
458:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 02:10:58
書き手にいろんな人がいるように読み手にもいろんな人がいるからね
クオリティの高いものだけ読みたいって人もいるだろう
そういう人たちの批評が書き手のスキル向上にもつながるし
そこからクオリティの高いSSが生まれてくるだろうから
自分も初めから全否定するんじゃなく様々な作品があっていいと思っているよ
459:if
09/08/23 07:23:26
いつみても、小説レベルが高いな
はい、みなさん。また、俺が来ましたよ。
タイトルは
昼飯
投下
460:if
09/08/23 07:24:18
<昼飯>
これは午後12時から午後1時までの話である。
居間に置いてある壁掛けの時計が、午後12時を回ろうとしている。
「シンジ、遅いわね。買い物するのに何時まで掛かっているのかしら、もう1時間よ」
そう言いながら、コップにオレンジジュースを注いでいると、玄関のドアが開く。
12:05:59
「ただいま。うぅ、暑いよ。アスカ、水を頂戴」
両手に荷物を抱えたシンジが、その場でへたり込んだ。
「お帰りシンジ。大丈夫?はい、ジュース」
アスカは自分が飲もうとしたジュースを、シンジに渡した。
「ありがとう、アスカ」
シンジはジュースを一気に飲み干す。
「美味しい」
「うん、美味しかったよ」
シンジはコップをアスカに渡し、両手に荷物を持って台所に向かった。
「アスカ、昼ごはん何が食べたい?」
台所から顔を出して、アスカに聞いた。
アスカはタンクトップと短パン姿で、扇風機を胸に当て涼んでいる。
「アスカ!聞いている?」
「ん、あ、ごめん聞いてなかった」
「昼ごはん、何にする」
「そうね……」
シンジはアスカを見ている。
いや、正確的にはアスカの胸元を見ていると言う方が正しい。
461:if
09/08/23 07:25:45
アスカの首の辺りから流れでる珠のような汗が、鎖骨に伝わり胸元に流れている。
その光景を見たシンジは、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「シンジに任せるから、何か作って」
「ん」
シンジは、まだアスカの胸元を見ていた。
声は聞こえているが上の空だ。シンジは目をつぶり、その余韻に浸っていた。
「シンジ!!聞いているの?」
アスカは立ち上がり、シンジの肩を揺らす。
「え、何か言った」
「だ・か・ら、シンジに任せるから、何か作ってと言っているでしょ。聞いているの」
「ご、ごめん。ちょっと違う世界に行っていた」
「はぁ?」
「独り言だよ。……それじゃあ、そうめん、とか食べる」
「え、そうめん、何それ?」
「日本の食べ物だよ。暑い時に食べる涼しくて美味しいものだよ」
シンジはアスカに麺を見せて説明した。
「うん、それでいいよ。シンジ」
12:30:01
「出来たよ、アスカ。これが、そうめんだよ」
シンジはテーブルにそうめん、麺つゆ、細かく切った卵焼き、ハム、ネギ、生姜、
焼き海苔、最後にわさびを置いた。
アスカはそれらを頷きながら見て、
「ねえ、これは何?」
わさびを指差す。
「ああ、それね。わさびだよ」
「わさび?」
「殺菌効果があって、食品や野菜の抗菌や、消臭とか鮮度を保つために使用する。
て、何処かの雑誌か、テレビで見た記憶がある」
462:if
09/08/23 07:28:03
「へぇ、そうなの。じゃあ」
「アスカ、辛いから……」
アスカはワサビを少し食べた。
その瞬間、
「辛い!辛いよ。み、水」
アスカが口を押さえて走り回った。
「……気をつけてね。と、言いたかったけど、遅かったね」
シンジは走り回るアスカを見て、腹を抱えて笑っている。
「あすか、ははは。はい、水」
シンジは笑いながら水を渡す。
「うぅ、涙が出ちゃう。辛いし、鼻がなんだか、ツーンとする」
水を飲み終えたアスカは、笑っているシンジの頭を軽く殴った。
「ふふふははは。痛い、アスカ殴ること無いだろ」
「辛い物と言いなさいよ、バカシンジ!」
「ごめんね、ごめんね。」
シンジは平謝りをした。
12:45:49
「じゃあ、食べますか」
「そうね」
「「いただきます」」
シンジはそうめんに薬味を入れ啜る。
「シンジ、音を立てないで食べてよ」
「え、これが、そうめんの食べ方だけど」
「え、そ、そうなの!」
「アスカもやってみなよ」
アスカも同じように薬味を入れ啜る。
463:if
09/08/23 07:29:28
シンジは横目で見て、ニヤニヤしていた。
「これで良いの、シンジ。ん、何がおかしいの。間違った食べ方をしたの?」
シンジは黙っていた。
「シンジ?」
アスカは小首を傾げた。
まだニヤニヤしている。
「ん!まさか」
アスカは気が付いた。
シンジが自分の胸を見ていることを。
「シンジ!あんた、何処を見ているのよ!」
「え!」
「この、エロシンジが」
「アスカ、し…・・・ごげ。また、こ、の蹴り」
アスカの蹴りが、顔面にめり込む。
シンジは、本当に違う世界に旅だった。
そしてアスカは、そうめんを啜る。
「美味しい」
13:00:00
終
464:if
09/08/23 07:31:45
以上です
465:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/23 07:34:33
うざすぎる
466:ふぅ。
09/08/23 07:41:13 bk5HffgW
需要無いとの厳しいご意見ありがとうございます(笑)
具体的にここがいけないってご指摘いただけると助かります。
才能ないんじゃこのやろー!ってのは
まだ高校生なので発達段階ということでお許しください…。
にしても読んでいただいて本当にありがとうございます!
つまらない作品を読むってことは想像以上に苦痛なことだと思いますので。