09/07/09 19:32:19
万年常夏である日本は、私にとって不可解の連続だった。昼に照りつける太陽はもちろん、夜の寝苦しい熱帯夜、そして今一番不可解、否。不快なのがーー
ーープゥゥン
ばちん!
ーープゥゥン
ばちんばちん!
「……、ぬぁぁぁ!腹っ立つわねー、こんの蚊めぇぇ!!」
蚊、襲来。この家、葛城家にはエアコンはリビングに一個だけしかなく、自室で寝る場合、必然的に窓を開ける事になる。だがその際にヤツらが部屋に忍び込むわけである。
「ちぃっ…、まだ部屋に何匹かいるわね。蚊取り線香も切らしてるし……」
ーーさて、どうするべきか。このまま一晩中彼らと戦うのか、それとも気にせずに眠りにつくか。
「…後者はムリよね。私はミサトみたいに神経図太い女じゃないし。
前者も却下。明日学校あるってーのに、こんなのに構ってられないわ……まぁ、シンジと一緒だったら別に苦でもないっていうか、むしろ幸せっていうか…ゴニョゴニョ」
……シンジ?
そうか、その手があったか!!
「シンジの部屋で寝ればいんじゃない!」
かくして、この熱帯夜によって単純になった私の思考を正す者など誰もいなかった。