09/09/07 23:54:48
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作戦当日。
シンジは赤くなった頬をさすりながらミサトやリツコと発令所に詰め掛けていた。徹夜に近かったので、かなり眠い。
目ざとい加持はすぐに気がついた。
「おや、シンジ君。その頬は誰にぶたれたんだ?」
「……惣流ですよ」
起き抜けにアスカに平手打ちを食らったのだ。シンジは自分は悪くないと抗議したものの、弁解を許さないアスカに結局は謝罪することになった。
レイのほうは何も言わず、何もなかったかのように振舞っていた。実際特に何も感じていないのだろうとシンジは考えている。
それはそれで少しさびしいような気がしないでもない。
「君は女の子を怒らせるタイプなのかな? そうは見えないんだがなぁ」
「僕が悪いんじゃないんですよ!」
「……女の子を怒らせるタイプは加持君、あなたでしょ」と、ミサトが冷たく口を挟む。
「俺は君を怒らせるようなことをした覚えはないんだがな。むしろ喜んでもらえるような」
「あーはいはい、黙った黙った! もう、今日は作戦決行の日なんだから! ふざけていると出てってもらうわよ!」
加持はシンジと目を合わせると、大仰に肩をすくめてみせた。
……零号機と弐号機の蹴りが使徒のコアに同時に突き刺さり、破壊した。
「やった!」ミサトはガッツポーズを取り、振り返った。「シンジ君も大変だったでしょ」
ミサトはシンジを見て、くすりと笑った。リツコと加持も微笑を浮かべている。
緊張の糸が切れたのか、シンジは座り込み、壁に背をもたせかけて穏やかな寝息を立てていた。
「お疲れ様、シンジ君」
(続く)