09/07/03 04:04:49
80年代くらいまでは、それぞれの時代や場面を象徴する国民的歌謡曲ってもんがあって、
それを聞けばどんなに主義信条の違う人でも、とりあえずお約束として同じ方向を向くことができた。
でも90年代くらいから音楽の世界が細分化・分断化され、
国民の共通認識を担えるような歌の生まれる下地が失われてしまった。
00年代に入ると著作権管理が行き過ぎたせいもあり街から歌自体が消え、
歌が時代の空気を象徴することは、もはや完全にできなくなってしまった。
いまや流行りの歌を聞いても想像できるのはせいぜい、それが主題歌として使われたドラマの内容くらいのものだろう。
で、今回庵野の誤算だったのは、80年代以前の音楽の世界を知っている世代なら
ある程度メジャーな曲を使えば自動的に皆が同じ空気に入ってくれると踏んでいたのに、
90年代以降しか知らない世代にはお約束としての国民的歌謡曲という概念が欠けているため、
数ある良く知らない懐メロの一つとしてしか認識されなかったという所じゃないだろうか。
そこではもはや、絶対的座標軸としての国民的歌謡曲ではなく、
相対化された、古くてマイナーでセンスの悪い歌としてしか認識されていない。