LAS小説投下総合スレ18at EVA
LAS小説投下総合スレ18 - 暇つぶし2ch350:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/29 23:18:28
教訓
バカを甘やかすと、碌なことはないw

351:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/29 23:39:16
両方共ゆーな(怒)

352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/29 23:44:10 ci66qBdN
やはり馬鹿は馬鹿だったか
煽りとかそんなの抜きで、if氏は2年ROMるべきだと思う

353:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/29 23:55:10
>>346
ネタスレにこんなの書き込まれちゃ困るだろ
質の問題

354:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 00:03:17
夏だな...

355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 00:40:23
この板ではROMってるつもりだったけど、雰囲気悪くなってるから投下。

赤い海辺で・1


「気持ち悪い……」
 見下すように、拒絶するように、惣流アスカラングレーは言葉を吐き出した。
 彼女の視線が向かう先で、碇シンジはただひたすら嗚咽を繰り返している。
「殺すなら、せめてちゃんと殺しなさいよ」
「僕は……僕はぁ……」
 彼女の言葉を聞いても、少年は泣き続けていた。
 なんで、こんなことになったんだろう。
 アスカは、顔だけをゆっくりと動かして赤く染まった海を見た。
 赤い海の向こうには、自分がもっとも嫌悪していた少女の顔面が転がっている。
 異様なのは、その顔面の大きさがエヴァよりもはるかに大きいことだ。
 自分たちの世界に何が起きてしまったのか、彼女にはそれを正確にうかがい知る
ことは出来ない。今、自分の上に乗っている少年ですら説明できないだろう。
 ただ、一つわかることは何かが確実に終わってしまったということだけ。
「重たいから、いい加減降りてちょうだい」
 少年の腕を、手のひらで軽く叩いてからアスカがささやくく。
「いつまでも、こうしているわけにいかないでしょ」
「アスカ、許してよ……僕を許してよ……僕を殺さないで……僕を見捨てないで……」
 彼女の言葉を聞いているのかいないのか、少年はとても自分を殺そうとしていたとは
思えないような台詞を絞り出しつつ、少女の胸に顔をうずめて泣き続けている。
 降りる気配はまったくない。アスカは、もう何も言わないことにした。
 どれほどそうしていたのだろうか。やがて少年は泣きつかれたらしく、静かに寝息を
立てて眠りだした。
 人の上で呑気なものね。
 アスカは、諦めと呆れが入り混じった感覚を抱きながらシンジの寝顔を見る。
 その顔を見た彼女は、すべてを悟ったような気がした。
 少年は14才とは思えないほどの苦渋に満ちた表情で眠っている。
 彼は、人類の原罪を一身に背負ってしまったのだ。この絶望的な世界で。

356:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 01:54:59
終わりかな?
とりあえずGJ!
首しめ後ってやっぱり想像膨らむなぁ

357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 01:57:40
いや、続きはあるけど眠くてかけんw

358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 02:02:53
>>357
あーごめんなさい急かしてwゆっくり書いて下さい。楽しみにしてます。

>>295
そして順調ですか?

359:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 04:08:45


360:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 05:19:09
>>358
下書き終わったから、今日か明日の夜には投下するつもり。
取りあえず。>>355が終わるか、中断してからにします。


361:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:04:38
またLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry

362:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:05:27
【星空に 愛を こめて】


「ケガを早く治す方法?」
「リツコなら詳しいでしょ。教えてよ」

コーヒーの注がれたカップをデスクに置き、リツコは此方の少女の姿に眉を顰める。
滅多に技術部の研究棟に寄り付かないアスカが、今日に限ってリツコの研究室を訪れたことが、その原因である。

「そうね……。対処法は、ケガの種類や度合にもよるけど」

いきなり何を言い出すの? とばかりに。
一応はリツコも管轄は違えどミサト同様にアスカにとっては上司に当たる存在だが、
このユーロ空軍のエースたる少女はエヴァの整備以外に、赤木研究主任とは接点を持とうとはしなかった。それなのに、だ。

「た、例えば、なんだけど……包帯を巻くくらいのケガで……。かと言って、骨折ってワケでもないんだけど……」

アスカの言っているコトは、ちぐはぐだった。それ以前にリツコは医者ではない。
本来なら医療班に相談すべき事柄だ。かと言って、まだ日本に来て日の浅いアスカがネルフ内で頼れる人間など、ごく僅かだろう。
言いかえれば、ミサトにも相談が出来ないのでリツコのところに来た、と解釈すべきか。

「と、とにかく、傷が早く塞がるような方法ないの!?」
「……ビタミン、タンパク質、鉄分の摂取、かしら。野菜類、肉類、あとは乳製品で補えるわね」

と。とりあえず頭の中に浮かんだ食物をリツコは羅列する。
何となくだがアスカの魂胆が言葉の端から読み取れたらしく、リツコは小さく哂った。

「そうね。焼肉なんか喜ぶんじゃない? ……シンジ君が」
「なっ……!」

そうして段々と少女の頬が朱に染まっていった光景は、中々の見ものだった―――と、後にリツコは語る。

363:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:06:24
****************


「焼肉かぁ……」

ネルフの長い廊下をトボトボ歩きながら、少女が指折り、何やら呟いていた。
言わずもがな。エヴァ2号機のパイロット、式波・アスカ・ラングレー大尉である。

「肉は当然として……牛肉と豚肉、鶏肉……どれがいいのかしら」

ユーロにも焼肉に準ずる料理はあるにはあったが、日本の焼肉という料理がアスカにはイマイチ分からない。
ネットで検索して調べた限りでは、一般的に牛肉が人気とのこと。
人造肉の中でも牛肉はやや値が張るのだが、エヴァパイロットであるアスカの給料なら問題なく購入は可能だった。

「やっぱり牛肉かな……。あとは野菜だけど……バカシンジは、どういう野菜が好きなのかな」

セカンドインパクト以来、地軸が傾いて年中夏並の気温になってしまった日本では専ら夏野菜が好まれる傾向にあるという。
そして焼肉でスタンダードな野菜は、キャベツ、ニンジン、タマネギ、ジャガイモなど。変化球で豆腐やシイタケ、コンニャクを焼いても美味いらしい。

「まあ、ただホットプレートに油ひいて焼くだけなら……アタシにも出来そうだし」

火加減さえ見誤らなければ素人でも手軽に楽しめる、それが日本の焼肉の醍醐味とのこと。
バーベキューのように屋外に出て炭火などで焼くような手間もなく、これなら料理がほぼ未経験なアスカでも大丈夫そうだ。

「……よし」

シンクロテストが終わって、小一時間も経っていない。渦中のシンジもシャワーを浴び終えて、もう着替えも済んだところだろう。

「ア、アイツのためじゃないのよ。アタシがただ、無性に焼肉を食べたい……それだけなんだから!」

上昇の一途を辿る胸の鼓動を抑え込むように。キョロキョロと周囲を確認した上で、アスカは1人、息を整えた。

364:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:07:07
「今日は焼肉を食べるわよ、バカシンジ!」
「え……や、焼肉?」
「ぼーっとしてないで、さっさと材料を買いに行く! グズグズしないでよね!!」
「ちょ、ちょっと、アスカ!?」

シンジが面喰らうのも無理はない。シンクロテストを終えて休憩所でのんびりと缶コーヒーを啜っていたら、
アスカに「今日は焼肉を食べるわよ!」と早口で捲し立てられ、あれよあれよと言う間に、気がつけば。

「ね、この『ホルモン』って何?」
「牛の腸の部分だけど……」
「ちょ、腸っ!? 日本人ってそんなトコロまで食べるの?」
「焼くとコリコリして美味しいんだけど……」

彼氏彼女は、ミサトのアパートから程近いスーパーに赴いていた。

「アスカ、腸は嫌い?」
「何て言うか……夢見が悪そうだからパス。あ、こっちの『骨付きカルビ』っいうの美味しそうじゃない?」
「じゃ、買ってこう。牛脂も」

人工的に創られ、再現された肉と言っても種類は多い。
普段からあまり料理に興味を示さなかったアスカだけに、牛や豚の部位を聞けば解説してくれるシンジが、不思議と頼もしく見えた。
尚、シンジの両手の包帯が“未だ取れていない”コトを考慮してか、買い物カートを押すのはアスカの仕事だったりする。

「野菜はどれにするの?」
「キャベツとかニンジン、タマネギあたりが焼肉じゃ一般的だけど……ミサトさんやペンペンの分も考えると
 野菜の他にも色んな材料を買っておいた方がいいかも。ジャガイモとか、シイタケ、コンニャク……あ、焼き豆腐もいいなぁ」

食糧難のセカンドインパクト直後ならいざ知らず、今は食の供給も安定している。ある意味、贅沢な子供達であった。

「あ、牛乳も買い忘れちゃダメよ!」
「? うん」

365:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:07:57
******************


「ただいまー」

使徒殲滅の事後処理に追われる作戦部長のミサトだが、今日は早番だったらしく。
ちょうどホットプレートをテーブルに乗せ、温度の上がったプレートに油をひく直前という、ベストなタイミングでの帰宅であった。

「おかえりなさい。ミサトさん」
「おかえりー」
「あら、何? もしかして今日、焼肉だったりする?」
「もしかしなくても、そうよ」

ミサトが自室に戻るがてらキッチンを覗くと、ホットプレートの上で牛脂を走らせるアスカと、野菜を刻むシンジの姿を確認できた。

「アスカのアイディアなんです。何か、今日はすごく焼肉が食べたい気分なんだ、って」
「へー。アスカが焼肉、ねぇ」

口元に手をやって「ウププ」と訝しむミサトの視線を浴び、「な、何よ」と、アスカが憤る。

「しかも今日の買い物の代金全部、アスカが支払ったんですよ」
「あらあら。太っ腹だこと」
「し、失礼ね! アタシ、太ってなんかないわよ!!」
「気前がいい、ってコトよ。一体どーゆー風の吹き回しなのかしらねぇ~?」

確かに前代未聞なだけに、シンジもアスカの真意は伺いしれない。
スーパーで代金を払おうとした時も「ユーロ空軍のエースを舐めないでよね!」などとワケの分からない理屈をごねられ、
結局アスカがクレジットカードで全額支払ってくれたのも今思うと、ちょっと引っかかる。

「それよりシンちゃん、その手で包丁持って大丈夫? 痛くない?」
「だいぶよくなってきてるし、このくらいなら平気です」

366:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:08:49
「(あ……しまった)」

ミサトの指摘に、アスカも思わず心の中で呟く。
野菜を包丁で刻むくらいならアスカとて出来る。無理にシンジにやらせる必要はなかったのに、と。
かと言って、今になって交代するのもミサトに勘繰られそうで、出来ない。

「アスカ。ホットプレートの具合、どう?」
「え? あ、そ、そうね……そろそろ野菜、焼いてもいい頃かもね」
「なら、先にジャガイモとか火の通りにくいのを焼いてこっか」
「う、うん」

両手に包帯を巻いた痛々しい姿ながらも家事をこなすシンジは、主夫の鑑だ。
何だかんだで、いつもはシンジに任せっきりのアスカも率先して具をホットプレートに乗せている。

「(なーるほど。大体分かったわん)」

ミサトもアスカの意図が読めたらしく、早々に部屋に引き揚げて行った。

「……いっぱい食べなさいよね」
「え?」
「今日は、その……アタシの奢りだから。肉も野菜も、いっぱい食べなさいって、そう言ってんの!」
「? う、うん」

よく分からないが、たくさん食べていいらしい。
普段は食の細いシンジだが、アスカがそう言うなら遠慮なく食すのもいいだろう。皆で焼き肉を囲むのも悪くない。
そう言えば海洋研究所での昼食時でも、アスカは「生き物に感謝して食べなさいよね!」と言っていた気がする。なら、今日はアスカに感謝する日だろうか。

「よく分かんないけど……ありがとう、アスカ」
「ふん! アンタはただ、ガツガツモリモリ食べてれば、それでいーの!!」
「そ、そうするよ……(何で怒ってるんだろ……?)」

367:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:09:40
*******************


「ぷっはー! やっぱ、この一杯のために生きてるって感じよねーっ!!」
「アンタ毎回それ言ってるじゃないの……」

ラフな部屋着に着替えたミサトも交え、いよいよ3人(と1羽)で焼肉を囲む。
ミサトがテーブルに着いた時には程良い感じに肉も野菜もジュウジュウと焼けていて、気を利かせたシンジによって缶ビールも用意済み。
白米を茶碗によそぎ、各々の皿に焼肉のタレを注いで、いざ。

「ほら、シンジ。この骨付きカルビ、よく焼けてるわよ」
「あ、ありがと」

「いただきます」の開口一番、焼けたカルビを箸で摘み、アスカがシンジの皿へと移す。

「野菜も食べなきゃダメよ。好き嫌いは許さないわ」
「う、うん……」
「(甲斐甲斐しいわねぇ)」

シンジが茶碗の白米に手をつけている間、ヒョイヒョイとシンジの皿にアスカが肉と野菜を持っていく光景は
まるで新婚夫婦のようで実に微笑ましい。敢えて長時間視線を落とさず、チラリと盗み見る程度だったが、ミサトも伊達に同棲を経験してはいない。

「牛乳も飲みなさい。やっぱ牛乳でしょ!」
「そ、そうだね」
「(新婚って言うより、世話好きなお姉さんって感じだけど……楽しそうだし、いっか)」

アスカの我が強いあまり、当初はシンジと打ち解けられないのでは、と内心は気に病んでいたミサト。
が、どうにも杞憂だったようで。シンジと共に使徒を殲滅し、シンジと同じ釜の飯を食う、というのが存外、アスカは気に入ったようだった。

「さっさと両腕治して、次の使徒戦に備えるのよ! シンジにはエヴァパイロットとしての、気概が足りないわ!!」
「無茶苦茶だなぁ……」

368:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:10:31
*********************


「ミサトさんは?」
「部屋でペンペンと寝てた」
「あれだけ飲んで食べれば、ね……。明日、遅刻しなきゃいいんだけど」

食後の後片付けの後。
腹八分目を越える分量の肉と野菜をアスカから(無理矢理に)食べさせられたシンジは、
夕涼みも兼ねてベランダに佇んでいた。そのシンジを追うカタチで、アスカもサンダルを履いてベランダに出る。
吸い込まれそうな満点の星空の下ではセミも鳴き止み、眼下の第三新東京市は夜の顔を垣間見せていた。この街には、満月と星が似合う。

「ねぇ」

どちらからともなく隣同士で寄り添っていた時。
手すりに頬杖を付いて何気なく夜景を眺めていたシンジに、アスカが問い掛ける。

「今日の焼肉……美味しかった?」
「? うん、ちょっと食べ過ぎたけど」

ポンポン、と。やや普段より苦しそうな腹を擦り、シンジが苦笑いを浮かべる。
アスカの好意を無碍にするワケにもいかず、差し出されるままに肉と野菜を食べ続けた結果だった。

「ま、アタシの奢りだもの。当然と言えば当然よね」
「はは」

興味深げにアスカも、シンジの腹を擦ってみる。包帯の巻かれた、シンジの掌の上から。

「……手、まだ痛い?」
「大丈夫……だと思うけど。医療班の人は、もう生活に支障は無いって言ってたし……」
「……そ」

369:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:12:22
言葉少なな中で、アスカは想いを巡らせていく。シンジの両腕が“こうなった原因”が自分にあるコトを、未だ引き摺っているせいもある。
第八使徒との会敵で2号機が着弾点にもう少し早く到達していれば。或いは、使徒のコアを1秒でも早く破壊出来ていたら、と。

「……気にしなくていいよ」
「……気にしてなんかないわよ。自惚れないでよね」

言葉とは裏腹に、アスカとシンジの距離は狭まっていく一方。

「戦いの時に足引っ張られると迷惑なだけ……それだけなんだから……」

アスカの頭がシンジの胸元に置かれる。互いの背が同じくらいなので、アスカが姿勢をやや丸めての逢瀬。
まだ風呂に入る前なので、年頃の少女特有の“いつもの”甘い匂いより、焼肉の匂いが強い。

「……焼肉臭く、ない?」
「アスカは……良い匂いしかしない」
「ば……馬鹿ぁ」

少し悪戯っぽく笑って、シンジがそっと両腕でアスカを抱きすくめると、
アスカも腕を伸ばし、シンジの身体を包み込む。夜になって気温は下がってきたはずなのに、互いの体温は上昇を止めることを知らない。

「……保安部の人達、きっと見てるよ」
「見せつけちゃえばいいのよ……アタシ達に文句言える奴なんて、誰もいないもの」

自分達がエヴァで戦っているからこそ、今の安寧のひと時があるんだ、と。

「世界で唯一のアタシの居場所……。エヴァ以外に、もう一つだけ……見つかりそうな気がする。もう、唯一って……呼べないかもね」
「それって……どこ?」
「ふんだ。バカシンジになんて……誰が教えるもんですか……」

煌く星。それぞれの歴史が輝いて―――この星空に愛をこめて。
教えてほしかったら、もっとアタシを大切にしなさいよね、と。温かなシンジの胸の中で、アスカは無邪気に微笑んだ。           【終 劇】

370:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/07/30 06:13:05
タイトルは「帰ってきたウルトラマン」の44話から拝借
時系列的には「破」の第8使徒戦~シンジの腕が完治するまでのパラレルで(>>212-219の補完)
ばいちゃ

371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 07:55:32
>>370
保安部「あまーい!」
素晴らしかった!!乙乙(^ω^)

372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 08:47:20
GJ

373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 09:49:43
素晴らしいけどこの後バルに…

とりあえず乙です

374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 12:23:16
円谷さんGJ!
いつも楽しみにしてます!

375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 14:18:25
>>219の買い物に行った話も見たいな

376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 15:56:51
リッちゃんの一言がいいな(´∀`)
かいがいしいアスカ可愛かったです!GJ!

377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 20:59:34
これは良いな~GJ
かわいい2人が見れましたw

378:if
09/07/30 20:59:40
素晴らしい
円谷さんの話は、すばらしい
一日の疲れが吹き飛ぶ
ありがとうございます

379:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 21:06:59
>>355さんの流れをぶったぎるのも悪いと思って自重していますが、続きを
書かれないなら、投稿しようかな?
内容は>>225の続編だけど、前回書けなかったシンジとの
絡みを中心に書いたんだけど


380:199
09/07/30 21:19:48
2話投下します

381:199
09/07/30 21:20:53
目を覚ますと。
天井の白さは掻き消え。ただの白さがあるだけだった。
単純な白い色。
気分が悪い。もっと白く白くなければ。
ぼくの世界に何もないように。
あまりに気分が悪いから。気色が悪いから。
その部屋を出て。廊下に出てしまった。
誰に会う事になるかを思い出せないまま。



382:199
09/07/30 21:21:36
廊下に出て少しだけどうでもいいことを。本当に心の底からどうでもいいことを考えてしまった。
そのせいで。
使徒に会ってしまった。
人間の皮をかぶった使徒に。
使徒は問いかける。
「何故?」
ぼくにそう問いかける。
淡さとは正逆の強さを持つ声で。
彼女は何の理由を聞いているのだろう。
わからないしわかりたくない。
わかる意味もない。

「どうでもいいからさ。」
答えた。
淡さと、同質の消え入るような弱い声で。

「そう。」
ただそれだけ。
「そう。」
ただそれだけで。
うたかたの会話はそれで終。ほんの泡沫、交差して。終わる。
今の会話には何の意味もない。ぼくは何の意味もこめてない。
ただ会話をしただけ。ただそれだけ。どうでもいい事柄。
愉快はない。

けれど。もう一つの出会いは愉快なはずだった。
その事を思い出して。
葛城さんを待った。


383:199
09/07/30 21:22:56
「お待たせ。碇君…。シンジ君でいい?」
出来るだけの優しさといたわりらしきものをこめた声。

「ご自由に。」
出来るだけ、虚しく響く声で。

「そう。あの…体…大丈夫?」
そう。ぼくの右目は眼帯に覆われ、左腕は吊られている。
シンクロ率が功を奏し、あれは、ぼくの体に痛みを残してくれた。
後遺症はないというのが、どうでもいいということを、いやましたけど。
ないよりはあったほうがいい。
あったほうが愉快だ。
「大丈夫です。あれに乗ることは出来るでしょう。
乗るためだけにぼくはここに呼ばれたんでしょう?だったら大丈夫といっていいはずです。」
あの時の顔で。いつかいつだったか覚えていないけれど、あの人の手を振り払った時の顔で。
きっとこうしていれば。いいはずだ。
何もボクは感じてないし。望んでない。

葛城さんは何故だか哀しげな顔でぼくを見た後。
口を開きそうにしたけれど。
僕は無視して。どうでもいいから。
踵を返して、エレベータへ。


384:199
09/07/30 21:25:35
僕の後に続く葛城さん。
エレベータに向かうのは、あの男に会う為。

静かな音を立てて、エレベータが開き。

狭くはない空間にたった一人だけで立っている男。
あの男がいる。


僕は迷わず乗り込み。
葛城さんが入る前に。ドアを閉め。
狭くはない部屋の。狭い世界で二人になる。
楽しもう。短い時間を。ただ言葉だけで。
あの時のもあの時のもあの時のも。
かえしてあげよう。
かえしてあげよう。

ゆかいだ。
三千世界の烏を消すほどに愉快だ。

385:199
09/07/30 21:27:33
5階
エレベータは無音。
同乗者は無言。
響くのは僕の声だけ。世界に響くのは僕の声だけ。
口を開いたのはぼく。
「ねえ。あのロボットの中で女の声を聞いたよ。凄く愉快な声だった。
聞いてて気が狂いそうなくらい」
眉も動かない。気になって仕方がない癖に。
4階
「なんだか”憎い””復讐””許さない””裏切り”とか言う言葉が聞こえたんだよ」
さすがに振り向くか。あのヒトにだけは嫌われたくないんだろ。
自分の価値をそこに丸投げしてる。悪くも無いけどね。別にどうでもいい。
3階
「誰かの声に似てるんだよね」
2階
沈黙
1階
「誰の声だ。言え」
岩のような声。まさしく岩のような。
ただし今にも崩れ去りそうな。
砂へと還りそうな岩のような声。
「誰が教えるかよ。血も繋がってない親父に」
そう言った。
勿論嘘だけど。
こんな救いようも救われようもない僕の、父親はこれしかありえない。
だけれど、あの自分も信じられない男には。これでいい。
せいぜいこの言葉で苦しめ。
救いの神の碇ユイも信じられなくなって。
誰にもすがれずこの世を生きろ。
きっと、お前の中ではもはや意味のなくなった、補完計画なんて世迷いごとの舞台で、赤い靴を履いて踊り続けろ。


386:199
09/07/30 21:28:54
音もなく開いたドア。
男を置き去りに、何か問いかけたげな雰囲気だけは感じたけれど。
いつか誰かにされたように。
一瞥もせずドアを出て。
哂いながら。哂い転げながら。なき哂いながら。
愉快さに自分の体はどうにかなってしまったかのように、世界が極彩色に見えてくる。
そのまま、病院のドアを潜り抜けて。
あの時言われたはずの。
ネルフの、割り当てられているはずの個室へと向かった。
後ろからは当然何の気配も無かった。
誰の気配も。

ネルフの割り振られていた部屋で。
僕はベッドに横たわり。
愉快な一日を終えた。
あの時の答えがわかったので。
祈りたくなった。
きっと悪魔に祈るしかないんだろう。
この僕の願いは。
もっと愉快でたまらない一日に明日がなりますように。
と。

387:199
09/07/30 21:29:36
2話
おわりなのです。


388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 21:31:27
>>387
アスカはで無いんですか?

389:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 21:53:18
スレタイ読めんのかね。
オナニーはよそでお願い。

390:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 21:57:02
LASじゃないし
スレチだな

391:ある、週末
09/07/30 21:58:21
>>225を投下します。

392:ある、週末
09/07/30 21:59:01
間違いました。
>>225の続編を投下します。

393:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 21:59:38
ドゾー

394:ある、週末
09/07/30 21:59:47
「ちょ、アスカ早過ぎ、死んじゃうよ。」
「大丈夫です。ワタシはこう見えて元は空軍のエースですよ。車なんて停まってるのも同じです。」
「でも、わー、もう止めてくれ。」
真紅のBMWで峠を攻めているアタシは、碇アスカ。専業主婦である。
そして、ナビ席で喚いている男こそアタシのダンナ、碇シンジだ。
元エヴァンゲリオン初号機の天才パイロットにして、現NERV事務局長と言う要職を務めている。
NERVと言っても...。え?知ってる、じやー省略ね(知らない人は>>225を見てね)。
人類の救世主にして再生者と言う世紀の英雄であるが、こうしている姿は、単なるヘタレ
男でしかない。
あ、でも誤解の無い様に言っとくけど、アタシはダンナを世界一愛しているよ。これは本当。
ただ、今日は、無茶苦茶腹の立つことが有ったので、気晴らしにダンナと楽しくドライブ
しているだけ。付き合わされている、ダンナには迷惑だろうけど、少しぐらい付き合って
くれても良いんじゃないかな。

「何言ってるんですか?アナタは、エヴァで音速を越えた男でしょ。こんな速度で
ビビらないで下さい。」
「エヴァと車じゃ全然違うしぃー。ちょと、タイヤが鳴ってるよぉーーーー。」
「それが、良いんじゃ無いですか。アナタもやってみます?」
「こんな車、アスカ以外に運転できるわけ無いだろ。」
そう、この車はBMWの最上級クラスの7er。Fセグメント車体の上にドイツから直輸入したMT車、
AT車が主流の日本人でこう言う車を乗りこなせる人は少ないかもしれない。
「大丈夫でしょ。こんな色のBMWなら、向こうが避けて行きますよ。」
「そんな事言って、少しでも傷付けたら、アスカに殺されるよ。アスカは、僕より車が大事だから。」
「そ、そんな事、無いですよ。ワタシは、...アナタの方が大事に決まってます。」
「なんで、そこで一瞬、ためらうんだよぉぉぉぉぉ。」

395:ある、週末
09/07/30 22:01:54
「アスカぁ、そこのローソン寄ってくれる?あ、ごめん、遅いか。」
「いえ、大丈夫。」
「え?」
アタシは、ミラーで後続車が居ないことを一瞬で確認して(この速度で付いてくる車は有るわけ無いんだけど)、
クラッチを踏みヒールアンドトウで、ブレーキを操作つつアクセルを煽って、エンジン回転数を一瞬レッドゾーン
まで突っ込むと、一気にローへシフトチェンジした。
これにより、強力なエンジンブレーキがかかり、車が急速に速度を落とす。強力なGでダンナの顔が恐怖に
引き攣り
「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
と悲鳴を上げる。
ドリフトの要領で車をスピーンさせる。アタシの計算に狂いが無ければ、270度ほど回転してコンビニの
手前で止まるはずだ。90度回った所で、コンビニの駐車場や侵入口に人が居ないのを確認する。
思った通りに、スピーンが停まると
「ドンピシャ。」
と思わず、アタシは叫んでしまった。そのまま、バックにギヤを入れて、ハンドルで微調整しながらコンビニの
駐車場にBMWを押し込んだ。
余りに、上手く行ったのでアタシは大満足で、どうよって顔でダンナの顔を見た。
固まっているダンナを見て、アタシはやってしまった事に気づいた。
ダンナは、小声で
「もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。もう嫌だ。」
と繰り返して居た。
その場を取り繕う方法も思いつかずに
「あのぉ、アナタ、コンビニですけど.....。」
と言うのがやっとだった。しかし、ダンナは(無言)だった。
ダンナの反応がが限りなく0へと近づいて行く。

396:ある、週末
09/07/30 22:04:07
「アーズーガー。」
ダンナが地獄の底から戻ってきたような低い声で呻く。
「は、はい。」
アタシは、観念して背筋を伸ばす。
「君は、何処でこう言うテクニックを覚えたんだ?」
「そ、そのぉ、大藪春彦とか読んで、参考に...。」
「すると、君はぶっつけ本番でやってみたと?」
「い、いえ。その...、この辺でよく走って練習してます。」
アタシは小声で言った。
「聞こえない。もっとはっきり言って。」
「ゴメンナサイ!この辺で、よく練習しました。」
「最近ね。この辺りを管轄する警察署長さんと話す機会が有ったんだけど、半年位前まで、真っ赤な
フェラーリが走り回っていて、それが居なくなったと思ったら、同じ色のBMWが走り回ってるって
言っていたんだが、やっぱりアスカだったんだ。」
半年前、そうダンナにオネダリしてBMWを買って貰った時と一致する。その前は、確かにフェラーリー
に乗っていた。アタシはこの辺の有名人だったんだ。しばらくは、自粛しよう。
「大丈夫。レーダ積んでるし、覆面は直ぐに解るし、捕まっても優しいアナタが違反を取り消して
くれるから...。」
アタシは上目づかいに言う。
「あのね。幾ら、僕でも人身事故まではかばいきれないよ。事故起こしてからじゃ遅いから、
頼むから、無茶しないでよ。第一、ドリフトやってる子持ち主婦が何処に居るんだよ。」
「ゴメンナサイ。気を付けます。」
「やめるとは、言わないんだ。」
「でも、そのぉー。」
「もう、良いよ。取りあえず、買い物してくるから待っていて。」
「あ、はい。」
「あ、でも、あれか、囚人服のアスカってのも見てみたいな。刑務所でしおらしくしているアスカも
魅力的かも。」
「もー、何バカなこと言ってるんですか?早く買い物してきて下さい。」

397:ある、週末
09/07/30 22:06:31
ダンナが買い物に行ってる間に、アタシが怒っている理由を説明しておこう。
話は、1ヶ月程前に遡る。例のピクニックでアタシがVTOLの操縦が出来ると知った、ダンナの悪友、相田ケンスケの
奥さんユリコがとんでもない話を持って来たのだ。

「だから、ユリコさんってイベント会社の社員でワタシ達に映画の上映イベントに参加して欲しいって言うんですよ。
ね、親友の奥さんのお願いですよ。受けましょうよ。」
アタシはダンナにユリコが持ち込んだ話をした。
「いや、良いけど。アスカ、解ってる?メインは上映会だよ。アスカの興味は全然違う所に有るみたいだけど。」
「ギク、いえ。そんな事は...。」
図星である。この映画は実を言えばアタシ達の使徒との戦いを元にした映画で、上映イベントの一環として、
その主演の男女(要するにダンナの役とアタシの役をやってる人ね)をアタシの操縦するVTOLで試写会の会場へ
降ろそうと言う企画だ。街中にVTOLを降ろすと言う素敵な話を逃す訳には行かないのだ。
しかも、使用するのは、使徒戦にも活躍した往年の名機YAGR-3Bである。この機会を逃せば、平凡な主婦であるアタシに
操縦出来る可能性は二度と無いだろう。だから絶対、操縦したいんだ。
「まぁ、良いや。アスカが行きたいなら、僕には反対する理由がない。スケジュールは何とかするよ。でもね、
一つだけ覚えておいてほしいんだけど。」
「何ですか?」
「使徒との戦いは、公式には真実は殆ど出されていないんだ。だから、使徒戦を元にした物語は映画に限らず、
事実と全く違う。だから、ストーリーが事実無根でも絶対に怒らないこと。」
「そんな事で、怒る訳無いじゃないですか。」
全くもって、根拠のない自信だ。アタシの堪忍袋の許容量は極めて小さいから内容いかんでは、ブチ切れる
可能性は十分にある。でも、VTOLイベントしか頭の無いアタシには、その問題はとても小さく思えた。
「それと、もう一つ。感想を聞かれたら、映画の悪口は言わないでね。」
「そんなの当たり前ですよ。」

398:ある、週末
09/07/30 22:08:13
翌日から、アタシは毎日のようにイベント会社に通い、VTOL機を赤く塗る事を手始めにアタシの要望の多くを
受け入れさせた。断っておくけど、その間、アタシはチャンと家事もやっていたし、娘の幼稚園の送り迎えも
やっていたよ。アタシはこう見えて、けっこう真面目な奥さんなんだ。え、当たり前だって?

イベント当日、アタシはイベント会場のレッドカーペットのすぐわきにVTOLを降ろしてやった。ここまで、
近くに降ろせるとは誰も思わなかったみたいだ。そして、コックピットのアタシをダンナがお姫様だっこ
で持ち上げてくれる。アタシは、真っ赤なドレスにパンプス、そして付けている宝石は全てルビーやガーネット
と言った赤系ばかりと言う拘りの衣装だ。勿論、アタシ達は脇役なのでそこで、主演の二人が出てくるハッチが
開くのを待つ。その彼らと、レットカーペットを4人で歩くと言う夢の様な体験が出来た。
はっきり言って、ここで帰るべきだったのだ。なまじ、その後、映画を見たお陰で.....。

別に、CGがショボイとか、アタシ役の娘が来ているプラグスーツがどう見てもビキニだとか、そんな事はどうでも良い。
ダンナが無茶苦茶カッコ良く描かれていたのは大歓迎だ。しかし、アタシの役は何だよ。出たら、直ぐやられるし、
シンジに助けられて泣きついてばかり、大もてのシンジを影から見ているとか、単なるバカキャラにされているじゃないか。
アタシはあんな情けなく無かったわい。
上映後、舞台に上げられたアタシは、ダンナの腕にしがみ付き小刻みに震えていた。アタシの身長は150cmほどしか無いので
180cmを超えるダンナと並べば、例え10cmのヒールで有っても頭はダンナの肩より低い。腕にしがみつくていれば、はた目からは、
緊張して、夫に頼っている可愛い奥さんに見えるだろうが、実際は怒りを抑えるのに必死になって居ただけだ。
何を聞かれても裏返った声で、
「あ、いえ....。その...。」
と言うのが精一杯だった。それを、司会者や他の出演者は口々に可愛いとか言ってくるので、余計に腹がたって
また、震えると言う悪循環を繰り返した。まぁ、傍目にはそう言う可愛い奥さんが必死になっている姿に映った
事でイベントそのものは、無事に終えられたけど。

399:ある、週末
09/07/30 22:11:37
「何買って来たんです?」
「あ、うん。色々。」
アタシは、車をスタートさせようとギヤーを入れて、クラッチを繋ごうとした。
「ねぇアスカ、二人っきりの時ぐらい普通に話せば。」
「え゛」
いきなり、変な事を言われたので、クラッチペダルから足がはずれ、エンジンが止まってしまった。。
「へー、アスカでもエンストさせるんだ。」
アタシは、ダンナの方を向き、大口をあけた段階で、喉まで出た言葉を深呼吸とともに飲み込むと、
前を向き、エンジンをかけ、今度は慎重に車を発進させる。息を整えようやく口を開いた。
「イジワルな事、言わないでよ。」
「あんた、ばかぁって、怒鳴らないんだ。」
「それは、絶対に言わないって決めたの。娘に大泣きされたら反省するわ。」
「見たかったな。アスカの啖呵を切る姿。」
「イジワルね。そんなに、アタシが敬語で喋るのって変?」
「カワイイとは思うけど、痛々しくもあるかな。」
「仕方がないじゃない。何時までも子供みたいな事言ってられないもの。それに、アタシはアナタと言う人に相応しい
奥さんをやりたいの。」
「アスカは真面目すぎるんだよな。それで、色々貯め込んじゃうんだよな。」
「違う。アタシは、いい加減だから普段からチャンとして無いと駄目に成る。結局、アタシは、見た眼も中身も子供の
ままだから。」
「アスカは随分、変わったよ。僕なんかより、大人だよ。」
「そんな事、無い。アタシなんか、身長と同じく中身も変わってない、真っ赤な乗り物を乗り回しては、喜んでる子供。
エヴァのパイロットの時から進歩して無い。」
「でも、アスカは優しくなったと思うけど。」
「それは、アナタが立派に成って、アタシを守ってくれるから、アナタの広い背中に付いて行けばどんな強い風からも
守ってくれる。だから、アタシはとんがる必要が無くなっただけ。アタシ自身は何も変わってないわ。」

400:ある、週末
09/07/30 22:12:59
「僕が立派に成ったか、それこそ誤解だな。男はね。肩書きで一応、立派に見えるけど、実際には中身は変わってないんだよね。」
「そんな事無い。アナタは何時もアタシを守ってくれている。アタシを見てくれている。」
「君を守って居るのは、僕の地位だろ。しかもそれは、自力で手に入れた物じゃない。全て、成り行きだよ。」
「でも、アナタは今は立派に今の仕事をこなして居る。それは、アナタがその地位に居るのにふさわしいからよ。」
「とても、そうは思えないけどね。ただ、逃げずに居るのは、アスカのお陰かな。アスカが背中を温めてくれるから、
その温もりを失いたくないから、逃げずに済んでいる。」
「ふっ、アタシ達似たもの同士って事かしら。お互いに傷を舐めあえるから一緒に居る。」
「まぁ、そんな所だね。」

401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 22:13:40
私怨

402:ある、週末
09/07/30 22:14:18
「義父様、今日はありがとうございました。」
家に帰ると、義父がテレビを見て待っていた。
「レイはもう寝ました?」
「ああ、問題ない。まった、良く出来た娘だ。」
「父さん今日は、泊まっていく?」
「しかし、着替えが無いぞ。アスカ君が嫌がるだろ。」
「大丈夫、買って来たから。」
「どうして、そう言う事を教えてくれないんですか?ワタシ一人が悪い見たいブツブツ....。」
アタシは、少しむくれて言う。

全員が風呂から出た所で、アタシはリビングにビールとコップを持って行って
二人に注いだ。
「アスカも飲めば?コップ持っておいでよ。」
ダンナは優しいね。本当はアタシが飲みたかったのちゃんと解ってくれる。
アタシが、貞淑な妻を演じられるのはダンナのお陰だ。
「え?良いんですか、頂きます。」
と言ってニッコリ笑う。
結局、大ビン三本開けて、アタシが二本分飲んで居た。

403:ある、週末
09/07/30 22:16:00
子持ち主婦の日曜日の朝は早い。7:00に起きて娘とアニメ鑑賞をしなくてはいけない。
ダンナと義父は寝たままだ。9:00過ぎ位から、テレビを見ながら朝食の準備を
始める。と言っても、サラダと冷蔵庫にある適当な物にトーストなので、
大した手間はかからない。アニメ番組の梯子が終わる10:00時頃にダンナと義父
を起こして朝食にする。

「良いものがあります。」
朝食が終わると、ダンナが言った。
「なに?」
娘のレイが聞いてきた。
「昨日、パパ達が見て来た映画のディスクだよ。関係者だけに配られるらしい。見る?」
何でそんなもん貰ってくるかな?アタシが怒って居るの知ってるよね。
「見る。見る。」
「ワシも見る。」
オイオイ、父親までか。
「あ、じゃぁ、ママは後片付けするから、三人で見なさいね。」
「じゃぁ、おてつだいするから、いっしょに見よ。」
何て、良い娘なの?でもね。そう言うのは有難迷惑よ。
「ママはね、恥ずかしがり屋さんだから、自分と関係のある映画は、離れて見たいんだよ。」
「ほんとう?」
「うん、本当、だからね。三人で見てね。ママ、キッチンで後片づけしながら見るから。」

404:ある、週末
09/07/30 22:17:15
映画が始まると、娘が静かに成った。気に入っていったのか、かなり真剣にみているっぽい。
そんなもの真剣に見なくて良いよ。
アタシは、洗い物に集中しようとするが、はやり、気になって見てしまう。カウンターキッチンなので
洗い物しながらでも、リビングのテレビが丸見えなのだ。
あ、もうやられたよ。弱すぎ。怒られて落ち込んでるし、しかもシンジに慰められてる。シンジは
カッコいいな。昔は、もっとウジウジしていたよね。いかん、いかん、こんな物を見ないで家事をしないと、
あ、でも後片づけ、終わっちゃった。
そうだ。コーヒを淹れよう。豆引きからやれば、少しは時間が稼げるね。

アタシは、コーヒと娘用にアイスココアを作り、リビングテーブルへ運ぶ。
ダンナはにっこり笑って「有難う。」って言ってくれたたけど、他の二人はがん無視だ。
余程、真剣に見ているみたいだ。アタシは、そそくさと、キッチンに逃げ込みカウンター越にコーヒをすすりながら
テレビを見る。

こっからが、一番嫌いなシーンだ。クラスからバカにされるアスカ、何で反撃しない。そこへ、シンジが登場、
相手を殴ろうとする。ところがアスカは止めちゃうんだよね。情けないな、アタシならボコボコにしてやるのに。
で、このあと、アスカがやられながら頑張って、シンジの登場まで時間稼ぎ、それで最後にアスカがシンジに
泣きながら抱きついて終わり。あー情けない。

405:ある、週末
09/07/30 22:20:54
エンドロールが始まると娘が手を叩いて喜んで居た。余程、気に入ったみたいだ、嫌だな、こんなん気に入って。
結局、二人は飲み物には手を付けて居なかった。
「あ、義父様、コーヒ淹れなおしますか?」
「かまわんよ。それより、砂糖とミルクをくれたらもっといいんだが。」
「いけません。ウチに来た時ぐらいブラックにして下さい。」
この男、見かけとは裏腹に缶コーヒーはUCCミルク&コーヒ250mlが好きで、一日4~5本ぐらい飲んで居た。
(一説には、旧NERVにおいて、セキュリティエリア内に無理して、缶コーヒの自販機を置かせたのは司令自身
と言われている。まぁ、今のこの人をみれば多分、本当だろう。)
余りに体に悪いんで、本数を減らさせて、ウチに遊びに来た時はブラックしか出さないようにしている。
「レイは?」
「これで、いい。」
「じゃー、氷入れてあげるね。」
「うん。」

406:ある、週末
09/07/30 22:21:22
「で、父さん、どうだった。」
「そうだな。CGが全然だめだ。実写部分との合成も全く合ってない。ストーリーも中だるみが有り過ぎ、退屈だ。」
えー、あんだけ真剣に見てそこまで言うの?でも、やはり子供騙しって事ね。
「まーぁ、戦闘より恋愛が中心だからね。父さん好みじゃないかもね。レイは如何かな?」
「面白かったよ。シンジはカッコいいし。アスカもすてきよね。」
「えー、でもやられてばっかりじゃん。」
アタシは口を尖らせて言う。
「そんな事無いよ。アスカは自分よりも強い相手でも逃げて無いもん。本当に強いのはそう言う人よ。」
この娘、どこでそんな事を覚えて来るのか解らないけど、良い事、言うじゃない。うん、その通り、偉いよ。
親バカと言いたければ言えばいい、単純でもいい。娘がアスカを誉めた事がこんなに嬉しいとは思わなかった。
「アスカとシンジどっちが、素敵かな?」
「アスカ。」
「ああ、アナタは良い娘ね。」
アタシは娘を抱きしめて言った。そして、ダンナに勝ち誇った顔を向けると、カレは優しく笑っていた。
もしかして、最初から解って居たんじゃ無いの?
「それにね。アスカはどんなに馬鹿にされても絶対に手を出さなかったでしょ。ママみたいに優しいんだよ。」
え、アタシみたいに?そっか、あのアスカは今、アタシが世間体から演じている貞淑なアタシそのものなんだ。
そして、シンジも今、世間が思っているダンナ....。

407:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 22:22:10
支援

408:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 22:24:20
内容はいいがアスカの敬語に違和感

409:ある、週末
09/07/30 22:25:17
使徒との戦いの真実を知っている人間は殆どいない。公式に発表されているのは、嘘ばかりだ。
アタシ達だって本当の事は知らない。知りたいとも思わない。
NERVのメンバーだって死んだのを良い事に最初から居なかった事にされている人も居る。
パイロットはアタシとダンナしか居なかった事に成っている。ファーストチルドレン、アタシの娘と
同じ名前のあの女は、アタシと共に戦った事も有ったのに、4才の時に事故死とされている。確かに
デリケートな存在ではあるが、そこまで情報を隠す必要は有ったのか?アタシは、今でもアイツが嫌いだけど
この事には、納得できないでいる。
そして、生き証人であるアタシ達が当時の事を殆ど語らないから、今のアタシ達を見て映画が作られるのは
当然だよね。

本当の事を知って居るのは、おそらくここに居るダンナの父親とそのパートナーの冬月元副司令だけだろう。
彼らは、多分、墓場までその秘密を持って行くつもりだ。彼らは、この世の理や、これから先、何百年も後に
何が起こるかすら知って居るんじゃ無いだろうか。でも、それを知る事に何の意味は無いと思う。変えられな
い未来を知って何になると言うのか?魂や神様という、人の概念でしか無かったものを科学で解明する事に何
の意味が有るのだろうか?

そんな事より、アタシにはもっと大事な事が有る。今日を生きて行く事だ。ダンナの為、娘の為に今日を
精一杯生き抜く。真実なんて、知らなくても生きて行けるんだ。いや、生きて行かないとダメなんだ。
それが、ヒトだと思うから.....。

410:ある、週末
09/07/30 22:29:06
てな感じです。今回は下書きを書いたので、前回よりも呉字は少ないかな?

411:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 22:34:44
GJです!

412:ある、週末
09/07/30 22:35:57
>>410
訂正、呉字→誤字です
下書きしないと全然ダメじゃんorz

413:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 22:37:17
>>410
>前回よりも呉字は少ないかな?

お約束なボケかw

414:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 22:45:32
いい話だった。GJ!

415:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 23:12:34
なんか不思議な雰囲気な話だなぁ
すごい良いよこれ

416:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 23:29:53
独特のセンスがありますよね

417:if
09/07/30 23:41:07
399と400はなんか来ますね
グッとくる
なんか心に残る


418:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/30 23:56:20
>>417
精進しろw

419:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 00:30:12
>>417
もういいよお前は

目障りだからせめてコテはずせ

420:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 00:42:58
つーか>>399-400は一番中だるみしてる部分だと思うんです。
いや、全体としては好印象なんだけどね。

421:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 01:39:13
GJ!
好きだなぁ、こういうまったりとした雰囲気の日常モノ


422:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 02:58:16
とりあえず、投下してみます。
LASです。けど、現段階ではアスカの出番は殆どないです。
AEOEです。よければどうぞ。
NGワードは、「夜を独り」です。

423:夜を独り・1
09/07/31 02:59:59

 赤い海は繰り返し、
 蒼い空は語らない。
 ただの終わりのその続き、
 終局の果てそのもので、
 始まりと云う言葉もなく、
 そこにあるだけの。

424:夜を独り・2
09/07/31 03:00:37
 純白の海岸。打ち寄せる赤。
 此処には此処しかなく、広がるも平坦だけ。
 波間に彩るは、かつての日々の名残。崩れ落ちた人々の暮らしの堆積が、まばらに散る。
 世界を包む静寂を知る者は、ただ二人。
 少年と少女のみが、世界の住人だった。
 彼の名は碇シンジ。
 彼女の名は惣流・アスカ・ラングレー。
 少年と少女は、ただ、海岸に横たわっていた。二人とも、茫洋とした表情で視線を中空にさまよわせ
ている。互いの距離は、手を伸ばしたとして届かない程度には離れている。
 波が寄せ、引いた。
 少年はゆっくりと、体を起こす。いまだ不安定なその体が、ふと一つの方向を向き、固まった。その
先には、幻影がある、碧い髪、紅い瞳。彼の視線は幻影を捉えたまま微動だにしなかったが、瞬きをし
た次の瞬間、少女の姿は掻き消えた。静かに少年は視線を落とす。
 その先には少女がいる。少年はぎこちない足取りで近づいた。それほど経たずに、彼の影が、少女に
重なる。未だ少女は虚ろだ。自らの姿に少女の反応がないことを少年は理解する
と、ためらいがちに彼女の上に跨り、首に手を掛けた。
 再び波が寄せ、引く。
 力は篭っている。少女の首にしわが寄る。少年は俯いていた。手を緩めようとはしない。手は震えて
いる。力みながら、華奢な首を絞め続ける。
 かすかな気配。少年が振り向くと、果たしてそれは彼女の右腕だった。包帯で、過剰なほどに覆われ
ているその腕が、静かに持ち上がると―そのたおやかな手のひらで、少年の頬を、撫でた。
 途端、彼の手から力は抜け、嗚咽がこぼれだした。少女の顔に、少年の涙が頼りない雨のように、細
々と零れ落ちる。
 うずくまる少年。次第に嗚咽は激しくなっていく。波の音は、遮らずに繰り返す。
 少女の瞳が、ようやく明確な視線を紡いだ。ただ、彼を見ている。薄氷のように鋭利なその眼差しに、
しかし少年は咽ぶだけだった。
 少女が、云った。
 「―気持ち悪い」

 空と海は語らない。
 云葉で、想いで、語るのは、いつも人だ。


425:夜を独り・3
09/07/31 03:01:23
 終末から、四年が経った。
 青い星が、その大部分を紅く染めてから―

0.
 失望、だった。
 あの全てのヒトの心を繋ぐ、三度の報いの時―サード・インパクトは失敗に終わった。
 全てのヒトの心の壁は失せ、皆がL.C.L.に還った。それは心地いい安息の世界。自らだけ
が気持ちいい世界。誰にとっても、そこは理想であり、夢想のようなそれは、確かに一度成
されたのに、消えてしまったのである。
 それは一人の少年の意志によるもの。傷つけあい、恐れあい、怯えあって、それでもまた
他人を望んだ少年の意志が、再び心の壁を生み、今一度、厳然たる世界を構築したのだ。
 そう―彼は望んだはずだった。自らを傷つける他人を。自らを形作る他人を。しかし、
再び目を醒ました彼が、真っ先に取った他人への行動は、至極単純だった。
 首を、絞めた。それだけだ。
 その後、彼の胸に去来したのは失望だった。あれほど他人を求めておきながら、結局は拒
絶してしまった自分への、ただただ失望の一念。
 あの時、彼女に言われた言葉が今も胸に深く刻まれている。気持ち悪い。キモチワルイ。
きもちわるい。
 当然だ、と彼は今に至るまで思っている。首に手をかけておきながら、殺すわけでもなく、
ただ一度頬をさすられればそれだけで泣き出す。彼女からしてみれば、気持ち悪い人間以外
のなんだったというのだろう。
 だから彼は―碇シンジは、まだ、あのあの日にいるようなものだ。
 それは文字通りの意味ではなく、彼の心の半分は、今も赤い海のほとりにいて、そのまま
だということ。あの時、隣で横たわるかつて自らを拒んだ少女にどうすればよかったのか、
まだ、ずっと、考え続けている。
 それが、18歳の碇シンジの、おおよそだった。全てを犠牲にした少年の。

426:夜を独り・4
09/07/31 03:02:25
1.
「センセ、おはよーさん」
「よ、碇」
 いつも通りの時間に、トウジとケンスケの声がインターフォンを通して響く。今日も二人
でいるみたいで、そのことに改めて僕は安心してしまう。やっぱり、何かあってはほしくな
いんだ、あの二人の間には。それはこの四年間ずっと思ってきたことだけれど。
「今行くから」
 と返事をしながら、一通り制服をチェックする。細かい汚れや傷は、三年間使ってきた証
だ。これもまたいつも通り。念のためと鞄の中を見て、弁当と学習用具が一通り揃っている
ことも確認して、戸を開ける。
「お、おでましやな」
「どうせまたいちいち身辺整理してたんだろ? そろそろ神経質なの直そうぜ」
「はは、ごめんごめん。おはよう」
「おう」
「おはよう」
 挨拶をして、二人と一緒にマンションを下りる。今住んでいるのは、昔住んでいたところと
は違うマンションなので、昔よりも上り下りに時間がかかる。それでも面倒くさがらずに、毎
朝迎えに来てくれるのはこの二人くらいなものだ。独り暮らしをしていると、そういう友人の
何気ない心遣いが、胸に響くのだ。
「あんなシンジ、ちょいといわなあかんことがあんねんけどな」
 他愛もない話題で間を持たせつつ、ようやく1階まで下りたところで、トウジが急に何かを
言おうとして振り返ったけど、すぐにケンスケに遮られてしまった。
「どうしたのトウジ。それに、ケンスケも」
「や、なんでもあらへん!」
「そうそう。トウジのヤツさ、最近委員長とあまり進展がないからイライラしてんだ」
「そないなこと誰もいっとらんやないけ!オノレが独り身やからっちゅーてそないな嫉妬は見苦
しいんや!」
 トウジがごまかすように歩き出すと、僕らはそれに追従した。間髪入れず、ケンスケが茶々を
入れる。
「あれまー。図星を突かれると誰でも激高するよね。特にトウジは単純だからさ」

427:夜を独り・5
09/07/31 03:03:27
「図星やない、図星やないで、だからワイは怒っとらんのや。せや! ただ声を荒げただけな
んやで」
「はいはい」
「トウジ、それって怒ってることになるんじゃないかな……」
 二人のちょっとした漫才じみた会話に、ちょっとわざとらしさを感じたけれど、それは僕の勝
手な疑りかもしれない。まだ一方的に言い連ねているトウジを横目に、これはクールダウンまで
時間がかかるだろう、僕は歩道の周りの風景に視線をやった。
 街の姿は、枯れ木の虚のようにいびつで、ところどころ崩れた信号や歩道橋、ビルがアクセン
トとして散らばっている。元々セカンドインパクトの後からそれは多くの街の特徴だったけれど、
サードインパクトもそれに習ったらしく、益々侵食は進行していた。それでも、学校が出来るま
でに回復したのは、前に比べて、街が街の形を保てていたから、だと思いたい。それでも、視界
の端々には赤色が存在するのだけれど。
「なんやシンジ。また建物みとるんか」
 いつの間にやらクールダウンを終えたのか、トウジが話しかけてきた。その奥でケンスケが痛
そうに右頬を押さえている。また手を出したんだな、トウジ。
「うん。ちょっと、気になっちゃってさ」
「……ま気にすんないうんはワイらだから言えるんしなぁ。せやけど、最近人戻っとんのも確か
やと思っとるで」
「実際、クラスの人数だって増えてるだろ?」
「……うん。そうだよね」
 "あの"日、僕が赤い海から還って来てから、僕にとっての世界は次第にその姿を取り戻してい
った。最初は食料を探すので精一杯だったけれど、場所が場所、緊急時のための食料やら生活用
品やら、あるところにはしっかりとあったのだ。それを見つけるまでは、文字通り死ぬ思いをし
たけれども、今は、こうやって生きている。

428:夜を独り・6
09/07/31 03:04:30
 もちろん、何もかもが元通りというわけにはいかない。あそこから、戻ってこない人もいる。
ネルフの人たちもそうだ。日向さんと伊吹さんは、今の今まで戻ってきていない。冬月さんもそ
うだ。結局、あれからしばらくして、ぽつぽつと戻り始めた人で、何とか暮らせる環境まで立て
直すのに、三年ほどかかった。食べ物は備蓄品を使い、水は予めあった水の生産プラント(まさか
こんなものがあるなんて)、でなんとか賄っていくことになり、どうにか最低限生きていける環境
が整い、次に建物や家などを出来る限りもとの形に戻していき、その上でまた新たなシステムで
社会を運営していく。予想以上に早く進んだのは、元々この町が、常日頃死と隣りあわせだった
ことも、少なからず影響しているのだろう。
 今年の春―そう、春だ。あれ以来の何よりの変化として、四季が戻ったことがあげられる―
、僕たちはまた、学校に行きだした。昔のような管理された組織ではなく、ただ学校に行って、
先生(もちろん普通の人だ)の授業に近いお話を、学年を問わず生徒が机を寄せ合って聞くという、
青空教室のようなものだ。それでも、学校に行くという習慣を通じて、誰かに会えればいいな、と
いう気持ちがあったし、何か縋るものがほしくて、トウジたちと一緒に、僕は毎日通っている。
それから三ヶ月。また、あの日々を思い出させる夏が今、此処に着ている。
「だーもう、シャキッとせいや!」
「うわぁ!」
 黙考に浸っていた僕が落ち込んでいるように見えたのだろう、トウジが僕の背中を思いっきり叩い
てきた。当然痛い。そりゃケンスケだって顔をしかめるはずだ。ますます力が強くなってるんじゃな
いだろうか。
「シンジが、そんなに落ちこんどるとワイらまで暗くなってまうて。何度ゆうたらええんや、シンジ」
「だから委員長とうまくいってないの」
「じゃかしぃ!」
 またじゃれあいだした友人たちに、また心配させてしまったかな、と申し訳なくなる。
 学校まで、また三人で言葉を交わしていくのだろう。
 かけがえのない、僕の守れなかった日常が、今はある。

429:夜を独り・7
09/07/31 03:05:17
「あ、三バカトリオ」
「……ふん!」
「おはよ委員長」
「委員長、おはよう」
 今や懐かしくなった名前で呼びかけてきたのは、委員長、洞木ヒカリだった。彼女は紆余曲折を経て、
なんとここでも委員長をやっている。僕にはない、人徳と云うものが、やはりあるのだろう。年下の幼
い子供たちから先生に至るまで、殆ど誰にも分け隔てなく好意を持って接し、接されるのは、委員長の
風格と言って、言い過ぎではないだろう。おかげで、この学校もまとまりをみせてきている。
 その殆どから洩れた人が、目の前に、いた。
 僕の前の席を陣取っている鈴原トウジその人だ。
「やっぱりトウジ、なんかやっただろ」
「ワイはなんもしとらん。なんもや」
「ホラ俺の言ったとおりだろ。こいつ機嫌悪いって」
 また余計な油を火に注いだケンスケを遮って、僕が聞く。
「だったら、さっきのあのそっけない言葉はなんなんだよ。それにトウジの返事も」
「何もない! ワイは悪くないしヒカリも悪くない。何もおこっとらん。なんもしとらん」
「碇、いまコイツ"俺が悪い。何かが起こりました。委員長に何かしました"って言ったぜ」
「……そこまで、なのかな?」
「きっとこいつのことだから、サカって襲って返り討ちにされたんだろうな。俺はそれに賭ける」
「僕は単なる痴話喧嘩だと思うけど」
「オノレら、なんもないっつーワイの言葉をどうして信用せえへんのや……」
 登校中のケンスケとのじゃれあいで流石に懲りたのか、今度はトウジはケンスケにも僕にも突っかかっ
てこなかった。なんだか疲れ果てたような顔をして、窓の外を見ている。なんというか、トウジらしくな
い。
「あのさ、力になれるんだったら、なってもいいかな。その、友達だし」
「その気持ちは嬉しいで。でも、これはちょっとシンジには無理な相談や」
「そうなの?」
「こればっかりはセンセだと無理なんやな、ホンマシンジが頭ようても悪うてもや」
「なんなんだよ、それ」
「ま、確かになぁ。碇じゃどうにもなんないな」
 と、ケンスケがトウジに同調したので、流石に反論したくなった。僕"には"って何だ、にはって。

430:夜を独り・8
09/07/31 03:07:26
「どこがどう無理か教えてよ。なるべくなら、無理じゃなくしたいからさ」
「そないに前向きなこと言う様になって、ワイ嬉しいで」
「茶化すなよ……」
「茶化しとらんで。ホンネや」
 トウジが僕に目を合わせてきた。その瞳は、とても彼女との痴話喧嘩や、日常の雑談を話す時のものでは
なくて。
「それだけいえるんやったら、問題ないんかも知れへんけど」
「おい、トウジ」
 またもケンスケが止めに入ったけど、トウジはそれを遮った。
「実はな、今日―」
「みなさん、おはようございます」
 丁度、トウジの声にかぶさるようにして、先生の挨拶が教室に入ってきた。それにつられて、今まで僕た
ちのように喋っていたグループが静かになる。あわせて二十数名しかいない教室に、先生が入ってきた。す
かさず委員長が号令をかける。
「きりーつ。気をつけ、礼」
 よろしくおねがいしまーす、と少し寂しい礼に、先生も穏やかによろしくお願いします、と返す。いつも
ならここからさて、と間をおいて、出欠を取るのだけれど、今日は違った。先生は一旦教室を出て行ったの
だ。トウジがやってしまった、と顔を覆っている。なんだろう。
 二、三分経って、再び先生が教室に入ってきた。
「今日は、この学校に、皆さんの新しい仲間がやってきました」
 教室がざわつく。確かに、これからこの学校の生徒は増える一方になると思っていたし、実際こうして増
えているのだけども、それでもやはり、新しい人物は緊張するものだ。僕が第二中学校に転校してきた時、
トウジたちもこんな気分だったのかと、その瞬間。
 名前が聞こえた。

431:夜を独り・9
09/07/31 03:27:50 MMDDk7yi
「惣流・アスカ.ラングレーさんです。いらっしゃい、惣流さ
ん」
 耳を疑う。耳を疑う。その名前を、どうして此処に言うのだ
ろう。どうして此処で聞くのだろう。全く関
係ないじゃないか。全く関連しないじゃないか。どうしてだろ
う。
 恐る恐る目を上げる。先生の手に引かれたその姿が、教室の
中に現れる。
 碧の、異彩を放ちながらも人を射抜く瞳。
 髪留めのない、赤褐色を流した様な長髪。
 痛々しく閉じられた片目。
 うっすらと傷跡の残る右腕。
 それは、記憶にある姿とは違っていたけれど。
 間違いなく、惣流・アスカ・ラングレーだった。

432:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 03:29:13
ageてしまったすいません。
一応、続きが出来たら投下します。

433:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 06:05:39
>>432
いいね、本格派だね。
続き待ってるよ。

434:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 06:36:19
続きが楽しみです
二人が幸せになれると良いね

435:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 08:14:09
続き書いてないんだ…

とりあえずwktk

436:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 10:40:51
続きwktk

437:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 13:31:51
GJ!
文章が書き馴れてる感じがする

438:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 15:07:57
>>410
ゲンドウが庵野でワロス

439:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 18:00:47
本格派つか厨二っぽい・・・

440:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 18:28:38
>>439の厨二っぽくない作品マダー?

441:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 18:31:16
>>439
それ言ったらエヴァ自体厨二じゃ(ry

442:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 18:53:23
真っ当なもん書いてくれりゃ満足よ

>>440
お前それ擁護になってないぞ

443:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/07/31 20:16:23
>432さん乙です。
続き楽しみにしてます。

444:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 00:29:32
夏だなw

445:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 02:20:44
でました夏だな厨w

446:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 03:02:04
えーと、初投稿させていただきます。
読み飛ばししたい方はNGワード

アイスと夕立ち、蝉時雨

でどうぞ。

たぶん2回分けになると思います。

447:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:03:36
「あつーーい、あついあついあつい、なんっで日本の夏ってこんなに暑いのよ!信じらんない!」
「仕方ないよ……夏なんだから」
 シンジがぶら下げている体操着の入った袋をポンポン蹴りながら、私はいつものように毒づいた。
「そんなに暑い暑いって言ってると余計に暑くなっちゃうよアスカ」
「うっさいわねえバカシンジの癖に!」
 ひときわ大きく袋を蹴り上げるとバカシンジは一瞬むっとしていたけど、実際昼過ぎぐらいから
今日は元気が無い。体育のときにはしゃいでいたから、結構消耗していたのかも知れない。 
「でもさすがに今日はうんざりだなあ…体育あったし」
「あー、アイス食べたいアイス食べたぁーい」
「家に帰るまで我慢しなよ。買い食いは良くないし…」
「はぁ?アンタこの前鈴原達と買い食いしたとか言ってなかった?アンタは良くて私はだめなんて
不公平じゃない」
「そんなこと言っても…」
「決めた、今日はここでアイス買って食べる!」
 ちょうど通り過ぎた店の前でそう宣言した。気付かれないようにバカシンジの顔を盗み見すると、
ちらちら廻りを気にしていたが、小さくため息をつくと渋々従うことにしたようだった。
 岡部菓子店という店のテントは、前々から通りすがりに気になっていた。
 同じ中学校の子や、その辺の小学生がいつも連れだって店を出入りしていたからだ。
 店の客はいつも楽しそうにお喋りしていて、きっととても楽しい店なんだろうと思っていた。
 今日はバカシンジといういい連れもいることだし、心行くまで堪能できる訳で、期待に胸を膨ら
ませ、意気揚揚と店の中に入った。


448:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:04:31

「アスカ、何にする?」
 さっきまで買い食いを渋っていたくせに、いざアイスを目の前にするとバカシンジはヘラヘラ
笑いながらそんなことを私に聞いてくる。
 どんな店なのかと思って一歩踏み込んだとき……正直ドン引きした。薄暗い店内、原色も毒々
しい怪しいお菓子と、信じられないくらいに安い値段。極めつけはバカシンジが声を掛けるまで
そこにいるのすら気がつかなかった店のおばあちゃん。
「おばちゃん、僕これ」
「あいよ。そっちのお嬢ちゃんは?」
「ひ…人がいた」
「へ?何言ってんのアスカ?」
「ななな、何でもないわよ!私はこれでいいから」
 碌にモノも見ずに慌ててバカシンジにボックスの中のアイスを差し出す。
「はいおばちゃん。これと2つで」
「ありがとねえ、2つで210円だよ」
 シンジは後ろポケットから地味ーーなサイフを取り出そうとした。私はその手を止める。
「なに?」
「ま、私に付き合わせるんだからおごったげる。これ遠慮なく使いなさいよ」
 ちょっと誇らしげにアメックスのゴールドカードを出した。けれどなぜかシンジは怪訝な顔を
している。
「なによ…遠慮なく使ってもいいのよ?」
「あのねアスカ、ここ、カード使えない店…なん、だけど」
 後ろを郵便屋のカブが通り過ぎていく。
 ……私はこの後どういうリアクションをしていいか分からなくなってしばらく固まった。

449:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:06:48
 *

 結局お金は全部出してもらって、お目当てのアイスはバカシンジが持っている鞄の横の
ビニール袋に納まっていた。
 暑さのせいもあって機嫌が直下降になった私を、バカシンジはなだめすかして、
『ケンスケに前教えてもらった結構涼しい所あるんだ、そ、そこ行こうよ』
とか言いながら案内してくれた。
 バカシンジは心配そうにこちらをちらちら振り向きながら、私がついて来ているか確認する。
ま、これは以前、私がつむじ曲げて買い物途中にばっくれたことがあるから仕方がない。
 それから五分近く歩いて罵倒の一ダースもぶつけた所で、バカシンジは車道から石畳の道に
入っていった。
「こっちだよアスカ。もう少しだから」
「いやらしいわね……人目につかない所連れて行って何しようってのよ?」
「そ、そんなんじゃないよ!」
 精一杯の笑顔を作って気を使うバカシンジ。正直もう機嫌は直っていたんだけれど、その
困った顔をもう少し見ていたくて演技を続けることにした。

450:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:08:52

 石畳の道はすぐに高い木立に囲まれた。学校でも鬱陶しくなるくらい良く聞こえていた蝉の鳴き
声が、ここでは更に一段と強く聞こえる。
 バカシンジの二歩後ろを、背中を見ながら歩く。
 いつも台所に立っている時と雰囲気が違うもんだなと思った。
『それにしても陰気臭い所ね。ま、根暗なバカシンジにお似合いの場所よね…。と、確かこれは
トリイとかいう日本の寺院の門だったはっ、ず!』
 上ばかり見ていたので足元がおろそかになっていた。石段につまずいて、そのまま思いきり
鼻からシンジの背中に激突した。頭の奥にドスンと鈍い衝撃が走る。
 慌てて掴んだシンジの袖でほんの少し鈍い音がしたが、シンジは驚きつつなんとか踏みとど
まった。意外と反射神経いいのよねこいつ…
「だ、大丈夫アスカ?」
「ったー、ぃたたたたた」
 痛みを誤魔化すためにシンジのシャツを思い切り握り込む。丁度胸に顔を埋める様な形に
なっていた。
「アスカ…アスカ大丈夫?ちょっと見せてみなよ」
「んーー……」
 何も考えずに顔を上げると、そこにシンジのどアップが。
「な、泣いてるのアスカ?」
『いやいやいや、痛すぎて涙でただけ。いつもなら言い返してやるんだけどさすがに今は無理』
 と、思いつつ、涙目の向こうのシンジをじっと見つめてしまった。
「あ、あのあぁアス…カ?」
 シンジの顔がみるみる紅潮していく。

451:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:11:15
 私は私で今の状況を冷静に捉えつつあった。両肩に熱の塊を感じるということは、たぶん
シンジが両手を置いている。というか掴んでる感じがする。
 私は未だに両手をしっかりシンジのシャツが変形するくらいに握り込んでいる。シンジの心臓が
早鐘を打っているのがわかった。そんなことより、息がかかる位置にシンジの顔があって、蛇に
睨まれた蛙よろしく私をじっと見ている。

 ………というか、これって半分ハグされてない?

 自分の顔がシンジと同じように紅潮していくのがわかった。蝉の鳴き声がさっきよりさらに
激しくなった気がした。
 どうしようか頭の中でぐるぐる考えているうちに、頭の中とは相反して私の唇はシンジの唇に
向か…

 だら……

 っている間に鼻血が出た。

452:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:13:53
 *

「ほら、そこ座ってて、ハンカチ濡らしてくるから」
「ん」
 ポケットテぃッシュで鼻の頭を押さえながら、シンジに『危ないから』と言われてここまで手を
ひかれて来た。手を放すのは惜しかったけど、離さないわけにはいかない。
 久々の2人の帰り道で我儘言ったのが原因で赤っ恥を掻き、今こうしてシンジに手をひかれて
きたのと、さっきのニアミスで頭の中がてんやわんやになっていた。
 シンジが戻ってくると、血まみれのティッシュのかわりにハンカチを当ててくれた。ひんやりとし
た感触と水分で、重かった頭が少し軽くなった。
 聞こえたかどうかは分からないけど、ありがとうと口を動かしてみた。
 シンジは私の顔色が少し良くなったので安心したのか、ほっとした表情になる。
「あ、そうだ」
 何に気づいたのかと横眼でシンジを追うと、さっきの店で買ったアイスを取り出した。
「大丈夫?アイス食べれる?」
「たびる……」
 …なにこの変な声、うまく喋れない。もう喋りたくない。鼻つまんでるから声甲高いし……
 シンジは並んで建物の階段に腰掛けて、私のアイスを袋から出すと『はい』と言って渡して
くれた。店を出てからだともうだいたい10分くらい。すでに溶け始めている。
 片手で鼻の頭を押えながら食べるので少々不便だったけど、ラムネの味が渇いた口の中にゆっ
くり広がっていく。
 人目がないと禁止されてることもノビノビと堪能する。横でいい顔でアイス頬張るシンジは
そういう奴だ。

453:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:15:15

「あれ、もうヒグラシが鳴いてる」
「ひぐらじって、なに?」
「蝉の種類だよ。ほら、あのカナカナカナって鳴いてるの」
 あーそう、どうでもいいわ。でもなんで日本人って虫だとか鳥だとかの鳴き声好きなんだろう。
煩いだけなのに。
 蝉の大合唱の中からヒグラシの鳴き声を探してみる。賑やかな蝉の鳴き声の中で、ヒグラシの
鳴き声はどことなく哀調が滲む。日本人が好きそうな音だ。
「アスカのそれ、何味?」
「ラムネ。あんだのは?」
「宇治金時だよ」
「ぢょっと貰っでいい?」
「じゃ、一口交換しようよ」
 あ、これ間接キスだなって頭の中でぼうっと考えていた。
「甘ぁい。ごんな甘々好ぎなんで、あんだも子供ねぇ」
「好みだよ。大人とか、子供とか……関係ないじゃんか」
 口をつんとさせて拗ねてしまった。不貞腐れるシンジが可愛いいので、こうやってついからかって
しまう。そんなことを考えて上機嫌でいると、手に持ったアイスから溶けたぶんが腕を伝って下降を
始める。
「あ、アスカ、垂れてる」
「あ…」
 何故か咄嗟に右手のハンカチを使うより流れ落ちる滴を舐め取った。
 制服に染みを作ってしまうと、隣の小姑がまた染み抜きのときにぶつぶつ文句を言ってくる。
ヤレヤレそれだけは回避できたと思っていると、小言の一つでも言い出すかと思っていたシンジは、
バツが悪そうにこっちをみていた。

454:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:16:20
「なによ?」
「い、いやぁ、なんでも…ない」
「あんだバカぁ?そうやって曖昧に誤魔化してるってだけで、周りの人イラ付がせるっていい
加減気付きなさいよ」
『あぁ、我ながらへんに甲高い声でこんなこと言ってると滑稽だわ』
 そこまで言っても相変わらずシンジは言い淀んでいる。
『私何か変なことした?今のこの場に繋がるミスはしてないと思うけど…』
 興味もあるし、できるだけトーンを抑えて訊いてみる。
「別に怒らないがら言いなさいよ」
「いやぁそのぉ、アス…カがね、」
「うん」
 因みにさっきから溶けたアイスの飛沫がシンジのズボンにぼたぼた落ちている。
「アイス…をさ、舐めてたの…」
「うん」
「見てたら……そのぉ…」
「なんなのよ」
「その、なんか、何て言うか、ぃぃなって」
 何を言っているかよくわからない。
「バカじゃないの?なにが言いたいかわかんない」
「だ、だおあからその、か、か、可愛いなって思った!……そう、思った」
「ふぅん……」
 叱られた子供が言い訳するときこういう顔するよなって思いつつ、私の心臓がばくばく鼓動が
速くなっているのも自覚していた。ていうか、垂れたアイス舐めるのって……それとかわいいを
どう結び付けろというのだろうか?男心がわからない。

455:アイスと夕立ち、蝉時雨
09/08/01 03:17:56
 アイスの最後のひとかけらを食べ終えると、傍らに棒を置いてハンカチで腕を拭う。
 こちらの反応に戦々恐々としているシンジをじっとみてみる。少しは余裕ある態度に見えてる
だろうか?主導権はこっちですって思わせることが出来たろうか?そういった姑息なことを考え
ながら、おどおどしたままのシンジの膝に頭を預けた。
「ア……スカ?…?」
「頭痛いからちょっと寝かせて…」
「あ、うん……そのさっきの……うん。いい…けど……」
 顔は見ていないけど、何の返事も聞かされず、その癖甘えられるのはちょっと複雑な気持ちだろ
うなと思う。逆の立場なら胸倉掴んで問いただしてる頃だろう。
 照れ隠しと悪戯心で膝枕要求したのだけれど、不覚にもそのまま寝てしまった……
 今日の私は、色々と油断しすぎだ。

つづく

456:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 03:26:29
読みやすいし、ふいんき(ryもいいし早く続きが読みたい作品だな
GJです

457:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 03:48:36
ちと冗長でねえか?

458:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 05:53:08

めっちゃスキ
アスカもシンジも可愛いし
アスカ描写特に可愛い

459:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 07:09:25


460:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 07:18:32
>>431の続きが超読みたい

461:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:00:57
またLAS投下しちゃうけど、いいよね? 答えは聞いて(ry

462:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:01:55
【あなた は だぁれ ?】


「だーかーら、そこはそーじゃないって何度も言ってるでしょーがっ!」
「ご、ごめん」

少女に檄を飛ばされ、少年は慌ててノートの上に消しゴムを走らせる。
解答を間違える度、比例して少女の怒声も大きくなっていく。

「馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、ここまで馬鹿だったのね。ウルトラ馬鹿よ」

人類を使徒の脅威から守るエヴァのパイロットとて、学生の本分がある。
休日を利用して今後の授業の予習と復習をやろう、とアスカに持ちかけたものの、開始して1時間足らずで“コレ”だった。

「ハァ……シンジ。アンタ、ちゃんと授業聞いてたワケ?」
「き、聞いてたよ……」

シンジが間違った箇所をトントンと人差し指で叩き、アスカは辟易する。
ドン臭いシンジの性格は勉強にまで影響を及ぼしているのか、飲み込みが悪い。

「こんな英語、初歩中の初歩じゃないの」
「だって僕、日本人だし……よその国の言葉なんて解んなくていいよ……」
「アンタねぇ……」
「アスカだって古文と日本史、苦手じゃないか!」
「そ、それは……アタシはいーの! ついこの間まで外国育ちだったんだから!!」

低俗ないがみ合い。五十歩百歩とは、こういうコトを言うのかもしれない。
シンジもアスカも互いに苦手分野が存在するので“その克服のための勉強会”のつもりだったのが、
結局はこうなってしまうらしい。と言うより、そもそもアスカは他人に物事を教えるコトに不向きなように見受けられる。

463:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:02:45
「……ちょっと休憩しましょ」
「……うん」

とうとう2人とも一旦、筆を置くコトと相成った。
今日も炎天下。空に燦々と輝く太陽に対抗して冷房をガンガンに利かせたアスカの自室で、両者ともに床へと項垂れる。
引っ越し当初、大量にあったアスカの私物は未だにシンジの部屋にあるため、2人で勉強するのは“いつも”此処。

「(1時間も経たないうちから休憩なんて……やる気なさ過ぎよ)」

人間の集中力は3時間続けばいい方だと言われているが、1時間足らずでこのザマでは先行きは怪しい。

「(アタシには解り易く教えたクセに……どうしてアタシが教えると『解らない』ばっかなのかしら……)」

今でこそシンジを指導していたアスカだが、実は最初の30分程はシンジの指導を甘受していたりする。
先程シンジが指摘していた古文と日本史について、だ。結果の方は、あまり芳しくはなかったが。

「アスカ」

だらりと薄着を纏った四肢を広げて床で寛ぐアスカに、同じく床に寝転がっていたシンジが声掛けする。
先刻までいがみ合っていたはずなのに、もう彼の声に怒気は含まれてはいなかった。

「何よ」

シンジに対してツンとした姿勢を崩さないのがアスカ嬢である。
時間を共有するコトで態度は軟化したように見えても、見えざる彼女の心の壁―――ジェリコの壁は、未だ健在の様子。

「手……握ってもいい?」
「……いちいち聞かないでよ」

が、まるで最初から壁など無いかのように、容易く彼女の領域に踏み込める行為こそ、碇少年の真骨頂だった。

464:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:03:47
「アスカの指って綺麗だよね」
「当たり前でしょ。いつも手入れしてるもの」

適度に切り揃えられ、光沢を放つアスカの爪。指は細く、掌は柔らかい。
少女から女性への成長過程を隠さないアスカへ、シンジは忌憚の無い賛辞を贈る。

「軍って銃の訓練とかもあったんじゃないの?」
「まーね。まあ、下手なうちは指にタコ作っちゃうヤツもいるけど」

アタシは違うのよ、と。
少女の手を取り、自身の手と重ねて眺める少年に誇示するように、アスカはふふんと鼻を鳴らす。
「へぇ……」とシンジは流すが、“もう何度も見慣れている”はずなのに、相変わらず彼女の手は魅力的だった。

「アスカ……」

不意に指の間を互いの指で埋め、体温を分かち合う。
アスカは抵抗の素振りも見せなければ、拒絶の言葉も吐かない。シンジの行為を、暗に黙認している証。

「……手だけで、満足なワケ?」

意味深にアスカが呟く。
「アンタ、手だけで満足しちゃうようなヤツだっけ? ……違うわよね」と。そう言いたげに、薄い桃色の唇が微苦笑を零す。

「……え、いいの?」
「い、いちいち聞かないで、って言ったでしょ」

淡々と、それでいて情熱的に。
距離を詰め(この場合、シンジが一方的にアスカとの距離を狭めているのだが)、顔を近づけ合う。
見開かれたアスカの青い瞳は徐々に閉じられていき、シンジもまた彼女の唇まで残り一寸程の距離で、眼を閉じた。
こんな零距離で、やるコトは一つ。手に続き、今度は互いの唇を重ね合う。俗に言う、キス。
瞬間、心、重ねて。心臓が高鳴りっ放しのまま、互いを求める。鼓動すら伝わるように。

465:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:04:40
「ん……」
「んっ、んぅ……んん……」

初めてのキスより、もっと上手くなったキスを捧げたい。“どちらがそう思っているのか”なんて、溶け合ってしまえば関係は無かった。
この行為はそれ程に刺激的で、愉しく、悦びに満ちている。

「……ぷはっ」

先に唇を離したのはシンジ。隙間なく重なり合わせた唇から糸が引かれ、伸び切った後、床にポタリと落ちた。

「ふぅ……」

お互いの前歯が出来るだけぶつからぬよう、大胆な中にも慎重を規すせいで、呼吸が疎かになりがちになる。
かと言って鼻で呼吸をするのをアスカが嫌うので、緩急をつけて息継ぎの必要があった。
それくらい、キスの間は互いを貪るのに夢中になってしまう。啄ばむのがせいぜいだった頃が懐かしくすら思える程に。

「シンジ……?」
「ご、ごめん。もう一回……」
「ぁ……。ふぁ……ん、んっ……」

アスカに促され、シンジは再び少女の唇を吸う。。
ミサトがいつ帰って来るか分からないリビングでの“勉強会”より、“こちらの勉強会”の方が楽しいコトを両者は知っている。
キスを覚えたての頃はアスカの肩を抱くのも躊躇していたシンジからすれば、目覚ましい進歩と言えるだろう。

「んくっ……!」

眉間に僅かな皺を寄せ、アスカが白く小さな喉をゴクリと鳴らす。
アスカを組み伏せるような姿勢だったシンジが唇を離すと、短い呼吸の後、

「けほっ……また飲ませたわね。バカシンジ」

466:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:05:29
外気にも引けをとらぬ熱い吐息と共に。二度目の口付けから解放された少女は、怨嗟で以って少年を小さく非難する。
シンジから唾液を流し込まれるのが“何度目かは”覚えていないが、やられる方のアスカは少し苦しいらしい。

「嫌……なの?」
「い、嫌じゃないけど……飲ませるなら、もうちょっと……ゆっくり飲ませてよ」

がっつき過ぎなのよ、と。戒めの言葉で返す。
舌を絡め合う、または互いの歯茎を舌で突き合っていると、急に流し込まれた時、対応が遅れてしまうとのこと。

「今度から……気をつける」
「そうしなさい」

申し訳なさそうな表情のシンジに、これ以上責め立てるのも可哀想かとアスカもそれ以上は言及しなかった。

「(身体の奥が……熱い)」

冷房を利かせているはずなのに。剥き出しになっているアスカの肩は、少し汗ばんでいるように見えた。
端的に言えば“この二人の周囲だけが”暑(熱)いのだが。

「アスカ……。もっと……」
「え……? ちょ、ちょっと、シンジっ!?」

もっと先へ。もっと愉しいコトを。
唇だけでは物足りず、アスカそのものが欲しい。本能が疾走する。手に倍以上の力を込め、再び少年は少女を組み伏せる。
部屋着とは言え、上半身も下半身も程良く露出したアスカの日本人離れしている肢体は、14歳のシンジにはあまりに扇情的だった。

「いい……?」
「よくないわよっ! まだ日も明るいうちから、ぬゎ~に考えてんの、アンタはぁっ!?」
「じゃあ、夜ならいいってコト?」
「夜もよくなーいっ!!」

467:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:06:13
*******************


「引っ叩くコトないだろ……」
「ふんっ! 性欲もコントロール出来ない、バカシンジが悪いんじゃない!!」

シンジの左頬に赤く腫れ上がったモミジが一つ。
いくらシンジが男とは言え、軍属のアスカが組み伏せられて黙っているはずもなく。
あっと言う間に形成は逆転し、ユーロ空軍仕込みの痛烈な右ビンタが、シンジに炸裂していた。
部屋が冷えていただけに、バチン!と、音もよく響いたという。

「あーもう、これだから男の子ってダメなのよね! 頭の中、ホントどーなってんのかしらっ!?」

アスカは不機嫌を絵に描いたように御立腹だ。
つい少し前までシンジに解き放っていたジェリコの壁は再形成され、彼から距離を置き、更には胸元も手で隠している。
実のところ、アスカもシンジがキス以上のコトを望んでいたとは夢にも思わず、まだ少し混乱しているのだが。

「キスならいいわ、アタシだって嫌じゃないもの。……でも、その先は絶対ダメ!」
「何でさ」
「ダメなものはダメだからよっ! も、もしアタシが妊娠したら……アンタ、責任取れるワケ!?」
「に、妊娠って……ごめん、取れない」
「ほら見なさい! そりゃ……使徒を全部殲滅して、戦わなくていいようになったら……ひ、一人か二人くらいなら、考えてあげなくもないけどっ!」

もしアスカがシンジの子供を身籠ったら、どうなるのだろうか。
ミサトからこっぴどく怒られるのは目に見えているし、エヴァに乗れなくなるコトを危惧され、中絶を強いられるかもしれない。
最悪、シンジと別居させられるだろう。それだけは嫌だ。シンジの隣は、アスカが見つけたエヴァ以外での“世界で唯一の居場所”なのだから。

「でも、今は無理なの。……アタシの身にもなってよ」

ただ、人を好きになって一緒に居たいと思うだけなのに。
どうして、こんなに難しいのか。

468:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:07:07
「……シンジ。アンタ、アタシのコト好きなのよね」
「い、今更、何言ってんのさ」
「ホントにホントに、好きなのよね?」
「す、好きだよ。アスカが好きなんだ」

Do you love me ?(私のこと、好き?) アスカはシンジに問い質す。彼の想いが本物なのか否か。

「アタシの傍に居るの、好き?」
「うん……。アスカの傍に居ると……元気になれるから」

溢れる生命力こそ、彼女の魅力なのだとシンジは思う。

「アタシを見てるの、好き?」
「授業中、気がついたら前の席のアスカを見てる……気になっちゃうんだ」

退屈そうに授業を受ける彼女は、何故か儚げで美しいとシンジは思う。

「アタシのコト考えるの、好き?」
「学校に居る時も、ネルフに居る時も、家に戻って来た時も……アスカが頭から離れないんだ」

頭の中がアスカで埋め尽くされて嬉しい反面、勉強が手に付かないのでちょっと困るとシンジは思う。

「アタシの匂いを嗅ぐの、好き?」
「……ミサトさんや母さん、綾波とも違う。……アスカの匂いが、一番好きだ」

ボディソープとシャンプーの匂いに混じって、ふわりと香るアスカの甘い匂いが好きなのだとシンジは思う。

「アタシに触るの、好き?」
「アスカは軟らかくて……その、何て言うか……さ、触ってると気持ちよくなれるから……す、好き、だよ」

抱き締めると暖かくて。軍属とは思えない程に軟らかく、“女の子”を意識させてくれるから好きだ、とシンジは思う。

469:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:08:26
「……とんだ変態だわ。馬鹿な上に変態ってサイテーよ、アンタ」
「アスカが言わせたんじゃないか……」

誘導尋問の後、シンジを待っていたのは「変態」の2文字。アスカに応えるべく思いの丈を述べたにも関わらず、現実は非情である。
一方的にシンジがアスカを好きなだけで、アスカはシンジが好きではない―――そんな解釈すら出来そうだ。

「……勉強会、今日はこれまでにしときましょ」
「え……」
「ほら。早く出てってよ」
「ア、アスカ? 待っ――――――」

とうとうアスカはピシャリとスライドドアを閉め、無理矢理シンジを部屋から追い出す。
ドア向こうのシンジからすれば生殺しもいいところだが、機嫌を損ねたアスカの怖さは誰よりも知っている。
少し焦り過ぎたことを反省してか、何も言わず、次第にシンジの気配はドアから遠ざかっていった。

「はぁ……はぁぁぁ~。あ~、もうっ」

シンジの気配が去るのを確認すると、アスカはふらふらとベッドに横たわり、そのまま枕に顔を埋めた。

「アイツ……アタシのコト、そんなに好きだったんだ……」

シンジの言葉を頭の中で反芻させるだけで胸の奥が熱くなり、身悶えてしまう。冷房など無意味なくらいに。

「アタシの傍に居ると、我慢出来なくなっちゃうくらい……好きなんだ」

勝気な少女が“意中の少年を思い描きながら”ベッドの上でゴロゴロするなど、誰が想像し得えるだろうか。

「アタシ……シンジに愛されてるんだ」

アタシの心を掻き乱し、波立たせ、ざわつかせる――――あなたはだぁれ?
その胸の甘い痛みの真実に気づいた時。自分が既に孤独でなくなっていたことを、式波・アスカ・ラングレーは悟るだろう。        【終 劇】

470:円谷 ◆bgvu1ECAmM
09/08/01 08:09:10
タイトルは「ウルトラセブン」の47話から拝借
「破」を ベースにしただけで時系列は特に決めてなし(>>189が甘いのがいいと言うんで独自の解釈入れたらこうなった)
ばいちゃ

471:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 09:48:36
作風が変わってもGJ

472:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 09:52:54
乙!

473:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 09:58:11
gj

474:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 10:18:11
甘いよ~w素晴らしいですGJ!

475:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 10:59:29
>>189の俺歓喜
甘すぎてニヤニヤが止まらなかったです。
相変わらず素晴らしい話をありがとう
超GJ

476:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 11:07:27
ジージェイ!
ちょっとタガが外れかけたシンジも良かった

477:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 12:33:25
円谷さんの作品一番好きだぁぁぁ!

これからも頑張って下さい!

478:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 13:05:38
嫁アスカを書いてる人だけど、サイドストーリーに結婚式編も
書いてみました。異論が無ければ、夕方位に投下します。

479:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 13:08:12
異議あり

480:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 13:14:26
>>478
異議なし!
楽しみにしてます

481:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 13:15:08
意義なし!楽しみにしてます

>>479
なぜww

482:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 13:16:39
投下の許可とか求める必要ないから

483:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 13:29:04
щ(゚Д゚щ)カモーン!
速筆でうらやましい……

484:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 13:31:50
>>482
まあ投下予告っていうことで
最近勢いあるから、誰かと投下タイミング被っちゃう可能性もゼロじゃないし…

485:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 14:02:46
>>478
描写がクドイからイラネ

486:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 14:08:14
異論出たし投下は無しか
余計な事聞かなきゃいいのに

487:式日
09/08/01 15:31:02
今日、アタシは世界で一番幸せな女の娘になる。

アタシは、中古で買った赤のミニクーパーSをこの街で一番のホテルへと走らせていた。こんな車一つ買うにも
爪に火を灯すようにしないといけないアタシにとって、5つ星クラスのホテルなんて、カレとの結婚式でも無けれ
ば入る事も無かっただろう。
日曜日の早朝なので、道路は空いている。何時ものアタシならアクセルをガンガンに吹かして爆走さえる
けど、今日は初心者の様に慎重に運転をする。こんな日に事故を起こしたり、パトカーに捕まったら目も
当てられないからね。

ホテルの車寄せで、ベルボーイにキーを預けて車の移動を頼むと、アタシはホテル内の美容室へ向かう。アタシを見つけた
支配人がすっ飛んできて、挨拶をする。
「アスカ・ラングレー様、今日は、おめでとうございます。天気が良くて何よりですね。」
「ええ、本当ですね。」
蹴り殺してやりたいのを必死に抑えて、笑顔で応える。
最初の頃は、ボロイ中古の小型車なんて、ホテルの駐車場に停めさせてもくれなかったが、碇シンジの婚約者と知ったら
この変わりようだ。本当に、腹が立つ。もっとも、アタシの格好は確かにこの高級ホテルに似つかわしくは無いのは
確かだけどね。
中古車とは言え、状態のいい車はそれなりに金がかかる。しかも、乗り方が無茶苦茶なのでエンジンや駆動系に負担がかかり、
維持費が馬鹿に成らない。稼いだ金の大半を車に使って、衣食住をなおざりにしてしまっているアタシの衣裳では、
ホテルの入口で止められても文句は言えない。こうまでして、車にこだわるのは、エヴァが無くなった今でもパイロット
への拘りを捨てらない子供だからだ。

488:式日
09/08/01 15:32:52
美容室で、ウエディングドレスを着せてもらうと一挙に、お姫様気分になる。先刻の怒りもいつの間にか収まってしまった。
着替えが終わると、カレが支度を終えて待っていた。まぁ、結婚式での男の準備なんて有って無い様なものだけどね。
でも、長身のカレのタキシード姿は他の誰よりもカッコいい。アタシのアタシだけの王子様だ。

「ねぇ、シンジ感想とか無いの?」
「か、可愛いよ。て、言うか奇麗だね。うん、凄く奇麗だ。」
カレったら思いっきり照れて可愛いね。一寸、からかってやろうかな?
「どう奇麗なのかしら?適当に言ってるだけじゃないの?」
「そんな事無いよ。アスカは、世界一奇麗だ。何て言うか、そう、童話のお姫様みたいだ。」
言えば言うほど無茶苦茶ね。あんまり、イジメるのも可哀そうに成ってきた。普段ならもっと、イジメる
アタシだけど、今日は幸せモード全開で優しく成っているみたいだ。
「ありがと。」
と素直に言えた。

489:式日
09/08/01 15:34:50
招待客が来る前に、二人だけでの写真を撮ってもらい。控室へ入る。
「もう暫くすると、皆さんお見えになります。暫くですが、リラックスしてくださいね。
今日は、一日、忙しいですからね。」
と言って、ブライダル担当の従業員が部屋を出て行く。
二人っきにに成った。チャンスだ。
アスカ、行くよ。
気合いを入れた、アタシは立ち上がりカレの前で深く頭を下げる。
「い、碇シンジさん。」
「は、はい。」
「フツカな嫁ですが、これからよろしくお願いします。」
決まった。鮮やかに決まった。アタシは、満足げに顔を上げる。
あっけに取られたカレが我に帰ると、予想に反して大声で笑い出した。
「あんた、ばかぁ、なんでそこで笑うのよ。」
「ごめん、アスカ、でもね。フツカって何だよ、それを言うなら不束だよ。」
「え、マジ?」
「知らなかったの、アスカ。意外と可愛いね。うん、すごく可愛い。」
アタシは、途端に惨めな気分に成り、気づくと、大声で泣き出して居た。
「なんで、こうなるの。一週間だよ。これ、ずーと練習したんだ。凶暴で我儘なアタシを卒業して、大人しくて控え目な
可愛い奥さんになる為の、第一歩の、記念する一言だったのに、これじゃー、何なのよ。もう、嫌だ。」
「アスカ、今、泣くのはヤバい。」
「え?」
アタシはそう言われて我に帰ると、鏡を見た。アイシャドーが流れ、顔じゅうに筋が出来てる。
アタシはムンクの叫び状態になった。

490:式日
09/08/01 15:36:54
異変を感じて、すっ飛んできた従業員が、メイク担当を呼んでくれた。手慣れた手つきでメイクを直してくれる。
「すいません。ご迷惑をおかけします。」
「ごめんなさい。」
カレとアタシは恐縮して言う。
「あ、お気になさらないで下さい。花嫁さんは、ナーバスになるんで時々、こう言う事もあるんですよ。でも、大声で
泣かれたのは、わたくしは初めてすけどね。」
「ご、ごめんなさい。」
「いえ、貴女には、色々と体験させて頂いて、勉強に成りましたから。」
アタシは胸に手を当ててみた。思い当たる節がありすぎる。慌てて手を離す。
とても、今日は話せる内容では無い事ばかりなので、いつか機会が有ったら話す事にしよう。

491:式日
09/08/01 15:37:43
「いや、おめでとう。君らが結婚するとは正直意外だったが、こうして見ると似合いの夫婦だね。」
「あ、冬月副司令...、じゃなくて、冬月さん。今日は、挨拶よろしくお願いします。」
冬月元副司令、今は、カレの良き相談相手に成っている。カレが親子続けて世話になっている人だ。今回、
お祝いの挨拶をお願いしている。挨拶に行った時、家に変なお面が飾ってあった、一体どういう趣味の人なんだろう?
NERVでは一番、真っ当な人だと思っていたけど、やはり、NERVに居ただけあって普通の人では無いんだね。

492:式日
09/08/01 15:39:36
「はぁー、こうして見ると、本当、普通のお嫁さんね。あのアスカがこんなに大人しくしているとは意外だわ。」
「シンジ君も良かったな。これからは、彼女を一生守ってやれよ。」
仲人をお願いした加持リョウジとミサト夫妻。こんな、酔っ払いのガサツな女に仲人をお願いするのは
どうかとも思ったが、アタシ達の上司だったことも有り、一番適当な人物では有る。
「はい、加持さんもミサトさんと仲良くしてますか?」
「多分、尻に敷かれているわ。」
アタシは少し声を落としたが、わざと聞こえるように言ってやった。
「失礼ね。こう見えてもアタシはチャンと旦那を立ててるわよ。ね、リョウちゃん。」
「うん、まぁな。」
明らかにあやしい。
二人ともNERVできな臭い仕事をしていたお陰で、今のNERVには用済みの存在だ。もっとも、用済みと言う意味では
アタシも同じだけどね。
加持さんは内務省に戻り、情報局長をやっているって話をしていた。問題は、ミサトだ。
こっちも、防衛省に戻ったのは仕方ないとして、統合幕僚長にまで上り詰めた。要するに軍人のトップだ。アタシは結婚に伴い、
国籍を日本に移すが、はっきり言って、こんな女が国防のトップをやって居る国に運命を託すのは怖くて仕方がない。
「それより、シンちゃんも尻に敷かれないように気を付けなさい。」
「アタシは、カレに尽くす良い奥さんに成るって決めてるの、ミサトと同じにしないで。」
アタシは思いっきりむくれて言う。

493:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 15:41:32
支援

494:式日
09/08/01 15:41:40
「おお、馬子にも衣装やな。立派に見えるわ。」
「アスカ、きれいよ。本当に良かった。ゴメン、少し泣けてきちゃった。」
「おお、これは凄い。」
「凄い、凄い。」
カレの悪友がそろって家族を連れてやってきた。ヒカリ以外は無視しておこう。今日は、晴れの舞台だ、キレて
大喧嘩してはいけない。
「子供さんも連れて来てくれたのね。」
「当たり前よ。こんな奇麗な花嫁さんを見せない手はないわ。」
ヒカリはあの野蛮人との間に三人の子供を儲けている。幸せなんだろうな。あの野蛮人の何処が良いんだろう?
「アスカ、幸せに成りなさいよ。絶対にだよ。約束だよ。」
アタシは、コックリうなずく。
「シンジ君、アスカを泣かせたら承知しなからね。解ってるわね。」
「いや、泣かされんのは、センセの方だろ。」
どういう、意味よ。

495:式日
09/08/01 15:44:07
最上階のレストランを貸し切りにして行われる披露宴会場に入って、碇シンジと言う男の元に嫁ぐ意味を思い知らされた。
200人を超える来賓の中には、現役閣僚や経済団体の偉い人が居る。テレビでしか見た事無い様な人ばかりだ。
「ねぇ、アタシ上手にやってけれるかしら?」
「大丈夫だよ。僕みたいに流されて生きて来た人間でも相手が出来るんだ。アスカ見たいに何時も、全力でいきてる
人なら楽勝だよ。」
カレは、優しく微笑んでくれた。うん、カレに守ってもらえばチャンと進めるね。

「じゃ、ここでキスの写真を撮ろうよ。」
「そうそう、キス、キス。」
アタシ達の席にカレの悪友がやってきて、お決まりのショーを進めて来る。
「じゃ、皆さん、御唱和を。キス、キス、キス......。」
もう、やめてよ。恥ずかしいじゃん。
「良い?」
カレが聞いてきた。アタシは、小さくうなずく。
カレがキスをすると、フラッシュがたかれる。直ぐに離れると、ブーイングの嵐だ。
「アンコール、アンコール、...。」
アタシ達が長めにキスをする。そして、離れたら再度、催促される。
こうやって、延々とキスを晒す事になった。

496:式日
09/08/01 15:44:59
お色直しで、アタシは真っ赤なドレスを着せて貰う。
腰まである金髪も降ろしてもらった。頭には、大切にとっておいた、エヴァのシンクロ用インターフェイスヘッドセットを付ける。
色々な事が有った、カレを拒絶して逃げ続けた事も有った。
ファーストの代わりにされるのは嫌だった。逃げ場所にされるのはもっと嫌。
カレの全てが欲しかった、全てが手に入らないら、全てを壊してしまいたかった。
アタシは、カレをどんなに傷つけたろう。死にたい位に嫌な女だと自分でも解って居る。
でも、そんな嫌な女であるアタシをカレは優しく守ってくれた。我儘なアタシを受け入れてくれた。
今は、カレに感謝している。今、カレを世界で一番、愛しているのはアタシだと胸を張って言える。

そう、今日、アタシは世界で一番幸せな女の娘になるんだから....。

497:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 15:45:43
結局書いてんじゃん

きも

498:式日
09/08/01 15:46:39
こんな感じです。
>>486
ごめんなさい。誤解を受けるような表現でしたね

499:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 15:52:25
なんつーか少女漫画の読みすぎって感じなんだよね。設定が荒唐無稽すぎて。
権威や金が大好きな人なのかな?

500:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 15:57:26
GJです!
タイトルは庵野作品のパロかな

501:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 16:06:08
GJ!!
アスカとシンジの関係というか立ち位置が今までに無い感じだね。
本編の後の世界なのに、異世界に感じる。不思議な世界ですな。

502:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 16:26:23
なんだかなあ

503:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 16:55:16
乙です

504:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 17:32:38
GJ!

505:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 19:01:18
まぁ、このスレは拙い作家の習作の場でもあるからなw

506:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 20:42:21
GJです!
やっぱ結婚前は元のアスカなんだね

507:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 22:01:34 zr+xyqQc
神GJ!
らぶらぶなものを書かせたらやはり上手いなあ

508:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 22:03:52
ageるなよカス

509:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 22:35:17
続編まち

510:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 23:00:47
神GJ(笑)wwwww

511:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/01 23:05:02
sage進行でマターリ行こうぜ

512:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:06:51
キャラに統一感がないw>嫁アスカ

513:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:10:20
前日談だからでしょ
アスカが敬語になる前なんだし

514:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:17:37
まとめサイトで作品って全部読める?

515:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:21:58
ここ最近のは無理だなぁ

516:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:24:15
そっか
最近来たからログ無いしどうしようと思って
まあいいやありがとう

517:if
09/08/02 01:34:46
突然ですが
投下よろしいですか

518:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:37:07
話がちゃんとLASなら別にいいと思うけど

519:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:38:20
ダメ、絶対

520:if
09/08/02 01:38:51
期待しないでください
では投下

521:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:40:12
結局投下すんなら聞くなカス

522:if
09/08/02 01:40:42
                エヴァ3号機起動実験 前夜前 会事食波綾
シンジは狭苦しい自分の部屋で寝ている。
襖がそろりと開き、その開いた襖から物音を立てないように人影が入ってくる。
電気は点いていないが、豆電球が点いているだけだ。
人影は辺りを見渡し、寝息を立てているシンジの枕元にあるラジオ見る。
ラジオのスイッチが入ったままで、ラジオのボリュームは小さく絞ってあるが、微かに爽快な音楽が流れているのが分かる。
ラジオを聞きながらいつの間にか寝ていたのだ
「もう!!またラジオを点けっぱなしで寝て、このバカシンジ!!」
と、いつもの様に呟き、いつもの様にラジオのスイッチを切る。
そして人影は寝息を立てているシンジの側に来て、枕を置いて寝転ぼうとして肘が軽く当たる。
「やばっ!!」人影は呟き、急いで立ち上がったがバランスを崩し、シンジを踏んだ
「ぎゃー!!!」
シンジはマンション中に聞こえるぐらい悲鳴を上げた。
幸い、マンション内には誰も住んでなく、ミサトは外出中だ。
人影は部屋の電気をつける。

523:if
09/08/02 01:41:42
明かりを点けると、シンジは大事な所を押さえてのた打ち回っていた。
「痛いよー!!痛いよー!!誰だよー?!すっごく良い夢を見て楽しんでいたのに・・・誰だ・・・アスカじゃないか!!
もしかして僕を起こしたのはアスカ?」
人影はアスカだ。アスカは両手を合わせて申し訳なさそうに謝る。
「御免なさいシンジ、起こしちゃった」
「「御免なさい」じゃないよ!!、アスカ!!起こすんだったら、普通に起こしてよ。今日は君に何にもしていないよ!!
いや・・・もしかして僕の作ったお弁当が不味かったから・・・」
「違うわよ!」アスカは首を横に振る。
「それで腹が立って僕の大事な所を潰そうとしたんだ。・・・御免よ、明日からもっと料理を美味しくするために頑張る。
だから、寝ている僕を毎晩・・蹴りに来るのだけは勘弁してよ。アスカ~」
シンジはアスカに謝り倒した。
「だから違うわよ!!」
アスカは少し強い口調で言う。
「うぅっ、もう蹴らないで~」
シンジはガタガタ震えた声で言う
アスカは落ち着かないシンジを怒鳴る。
「もう、バカシンジ!!!聞いてー」
シンジはビクッと肩を上げて返事をした。
「はい~」

524:if
09/08/02 01:43:35
今度は普通の口調で言う。
「誤解よ!」
「何が誤解?」
シンジは聞き返す。
「あの~その~・・・・よこ・・た・・・」
アスカは返答に困った顔をして口ごもる
「え!!何?なんて言ったのアスカ?」
またシンジは聞き返す。
「いや・・あの・・・だから・・・」
アスカは、また口ごもる。
今度はシンジが怒った口調で言う。
「はっきり言いなよ!!アスカ!!!」
シンジの言い方が気に食わなかったのか、アスカは怒鳴りながら言う。
「あんたばか~!!バカシンジの横で寝たかったからよ!!!!いつも寝てあげてるでしょ。・・・安心して眠れるから」
最後の「安心して眠れるからは」は小さな声で言う。
その言葉を言い終わったアスカの顔は少しずつ赤く染まる。
[その「いつも寝てあげてるでしょ」はアスカが勝手に寝にくるからだよ]
と、シンジはその言葉が喉から出かかったが我慢した。
「ところで明日は、エヴァ3号機の起動実験だよね。」
シンジが話題を変えるように聞いてきた。
「そうよあんたも明日、エコヒイキのお食事会じゃないの」
「うん、綾波がどんな食事をご馳走してくれるのかな楽しみだよ。」
シンジは楽しそうに答える。「そう、良かったじゃない」
そう言いながらアスカは後ろを向いた、シンジにムスッとした顔を見せないために。
そして、アスカは一呼吸して、シンジの方に振り向き手を出した。
「何この手は、アスカ」シンジは不思議そうに手を見て、アスカの顔を見みる。
「あんたバカ~!!握手に決まってんでしょう!!あんたと・・・エコヒイキの食事会が成功するように」 シンジはアスカの手の意味を数秒考え、そしてアスカの手を握る。
「エヴァ3号機、起動実験成功に」「食事会成功に」
アスカとシンジはお互いに手を強く握った。
                           終わり
 

525:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:48:07
一定の水準に達してないって自分でわからんかなあ……

これ一回でも読み返した?

526:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:48:46
普通にいいと思うけど、ところどころキャラの性格がつかめてない感じがした。


527:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:51:04
セリフ回しか不自然なんだよな。
めちゃくちゃ下手な役者が棒読みで芝居やってるみたいな違和感。

528:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:52:38
>>526
いや、おかしいところが結構あるぞw


529:if
09/08/02 01:55:15
やっぱりダメだったか
また一から勉強してきます
読んでくださってありがとうございます

530:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:55:53
描写が稚拙とかはまあ差し置いてだ
会話文に感嘆符が異常に多いし
そのくせ使い方が下手だからすごい間抜けに見えるわけよ

あとーと~も多い
より間抜けに見える

マジで小学生位じゃないんか?

531:名無しが氏んでも代わりはいるもの
09/08/02 01:59:02
>>529
やっぱり駄目ってなんだボケ
せめて自分で納得出来てから投下しろ


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