08/08/13 10:50:43
>>817じゃないけど見逃して
「…あなたが助けてくれたの?」
「違うよ!綾波が助けてくれたんじゃないか!忘れちゃったの?」
「いいえ、知らないの…私、たぶん三人目だから」
三人目…?綾波が?僕の知ってる綾波じゃないの?
漂わせる空気の硬質さ、僕に向ける視線の空虚さ。まるで、最初に会った
時みたいだ…またあの時みたいに僕を無視するの!?僕を拒絶するの!?
「…帰るわ」
そう呟いて彼女は立ち上がった。
「い、家まで送るよ!」
そう反射的に口から出た。だけど綾波は、まるで僕の言葉が聞こえなかった
みたいに、僕の前を通り過ぎ、ドアの外に出て行った。
プシュー
ドアの向こうに綾波の背中が消えた。やっぱり、違うんだ…
双子山で微笑んだ綾波。主婦が似合うと言ったら恥ずかしそうに俯いた
綾波。部屋の掃除をしてあげたら、ぎごちなく「ありがとう…」と言った
綾波。柔らかい空気を纏った綾波。あの綾波は、もういないんだ…
僕は茫然として部屋を出た。だけど、そこで見たのは、ついさっき見た、
綾波の背中。その背中が振り返って僕に言う。
「帰らないの…?」
待っててくれたの…?僕は慌てて彼女の横に並んで歩き出した。
帰り道、僕は第十六使徒戦の話をした。使徒に侵食されたこと、綾波が
自爆して使徒を倒したこと。彼女は聞いているのかいないのか、俯いた
きりだった。