08/06/06 15:29:21
>>183>>189>>191
楽しそうに話すリツコの言葉に、心なしかレイの頬に赤みが差す。でもシンジの口に押し当てたフォークにちょっと力が籠ったぐらいで、口を開いて弁解するわけでもなければ、表情を崩して照れ笑いするわけでもない。
そんなレイの様子を見るに見かねたのか、リツコが笑いながら助け舟を出した。
「レイ、こういう時はあーんって言えばいいの。そうすれば男の子は大抵言う通りにしてくれるから」
「リ、リツコさ……んむっ」
シンジの口が開いたとみるや、侵入を試みるケーキの塊。
「……あーん」
口に突っ込んでから言っても意味がないように思えたが、彼女にとって細かいことはどうでもいいのだろう。
期待するような眼差しで、もぐもぐと口を動かすシンジを上目遣いに見詰めるレイに、いつもの大人びた雰囲気は何処へやら。年相応の幼さを覗かせるレイの姿は彼女と長い付き合いのリツコにとって、とても新鮮なものに見えた。
「ふふっ。それじゃ後は若い者同士で好きにやるといいわ。私は明日も早いし、ミサトの部屋で休ませて貰うわね」
リツコは満足げに微笑むと、ドアノブに手を掛ける。扉の向こうへ片足を踏み出したところで、思い出したように言葉を続けた。