09/01/23 19:36:51
ハズシたらすんません。
シンジは困惑していた。
正確には「困惑し続けて」いた。
母がいなくなった本当に小さな頃、小さな自分を「せんせい」という人物に預け、年に1・2度しか連絡してこない父。
正直、顔すらよく覚えていない父という人物、その男から不意に直筆の(そう、いつもパソコンの打ち出し文字で手紙は書かれていた)手紙が届いたからだ。
手紙は簡潔だった。今日、あと「そこ」まで数分ほどの時間指定。その時間にここ旧箱根湯本駅、現在の第二新東京市駅に到着せよ、という程度が書かれていた。
同封は汽車の片道切符が1枚。
あとは、写真。
この「写真」がある意味で曲者だ。
若い女性、いや少女が二人、水着姿で写っている。
オレンジ基調のセパレートにパレオの付いた水着の少女は赤毛に薄い瞳の色で、何となく嫌そうな、しかし楽しそうなVサイン姿。
白いワンピース水着の少女はアルビノというものなのか髪が白く、眼も赤く、更に無表情で、それなのに物凄いギャルポーズ。
これだけで結構驚くが、ここに更に女性らしい文字で「お宝プレゼンツ」とハートとキスマークが真っ赤に添えられている。これをはじめて見た瞬間、シンジは「加齢臭……」と呟いたのは内緒だ。
この年代として女の子は好きだ。可愛いなら更に大好きだ。出来ればそれなりのお付き合いをしたい。実際にそうなったら色々と困るにしても。
確かにこの女の子二人は可愛いし、こんな子たちとそういったお付き合いが出来れば凄く嬉しいと思う。しかしこの字とキスマークにはどうしても若さを感じられない。
微妙だ。なぜこんなものが、しかも父からの手紙に同封されていたのか。謎が謎を呼ぶ感じがする。
「父さん……何これ……」
手紙を受け取って以来、何度目かも判らぬ呟きを繰り返す。