08/11/20 00:54:04
『VIER×DREI=ZWOLF!』
二本のプログ・ナイフを構えた弐号機は2倍の高さから更に3倍の回転を加えて急降下する。
その勢いたるやまさに12倍の威力を秘めた真紅の矢そのもの。
『負けてらんないのよ! アンタなんかにぃぃぃぃぃぃぃぃッ!』
アスカ渾身のスクリュー・ドライバーが使徒を襲う。
しかし使徒は動じない。動じず騒がずゆっくりと鉄筒を抜き出したかと思うと、やおらそれを右後方へ構えた。
突入する真紅の矢。鶴のように一本足で鉄筒を構える黒い影。
二つの影が交差。
激突。
『にぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?』
刹那の後、吹き飛ぶ弐号機。
勢いのまま使徒にホームランされた弐号機は遥か第三新東京市郊外までかっとばされ、無様に大地に突っ込むのであった。
「…リツコ。あれのどこがハイパワーライフルなのよ」
「…わ、私じゃないわよ」
使徒が構えているのはまさしくバット。黒塗りを施された特殊合金製のバットである。
埋めてあった棺桶にはぎっしりと「それ」が詰まっていたらしい。
他方、発令区最上段では冬月がゆっくりと首をめぐらせた。
「碇。お前まさか」
「ああ。まさかあれを使徒に逆用されるとはな」