08/11/06 22:08:45
「ゲッター線の異常活性化反応、ですよね」
華奢な顎に指を当て、マヤが首を傾げる。
「でも先輩、ゲッター線が人類の誕生に影響を与えたって論文は私も読みましたけど」
ゲッター線の先駆者、故・早乙女博士が残した「異端の」論文である。
だがリツコの推論は更に斜め上を走っていた。
「今、現在の人類もゲッター線に影響されつつあるか否かなんて……」
「そうね。少し前の私なら鼻で笑っていたと思うわ」
それがリツコの推論であり、今回問うた事例である。
「でも、ね。マヤ」
リツコが語りかけたその時である。発令区の扉が開き、一人の老人の声が響いた。
「こら赤木君。伊吹君! 時間外の使用は許可を取りたまえとあれほど言っているだろう!」
「あ…」
…夜回りをしていた冬月コウゾウ副司令である。
副司令は電気代の節約の大事さについて一通り述べた後、しかし重要な要件であれば許可は出すという事
そしていざモニターを扱う時は、体を悪くしないよう、発令区を明るくして離れて見るように。
と、一通りの説教をして去って行く。
「え……と。先輩?」
「いいわ…続きはまたにしましょう」
すっかり毒気を抜かれてしまったリツコとマヤであった。