09/03/04 02:19:19 WGHcNsQt0
>>268
「いつも弟の相手をしてくれてありがとう」
いつも通り、勉強の時間が近づき、去っていく坊ちゃまを見送り、庭の手入れをしていると、そう声をかけてこちらへと歩み寄ってくる女性がいた。
2度か3度しか会ったことのない相手だが、坊ちゃまの歳の離れた姉だった。
軽くウェーブした金髪をなびかせながら立ち止まり、言葉に反して申し訳無さそうな表情で俺を見ている。
「どうかなされましたか?」
「あなたに謝らなくてはならないの」
何を、と俺は不思議そうな表情を浮かべてしまう。この屋敷での俺の待遇は獣人としては破格と言えるものだ。
人間でもやりたがる筈の仕事を堂々とやらせてもらっている。謝られるような事はなかったはずだ。
「そんな、お嬢様に謝られるようなことなど……」
「いいえ。あやまらないと。あなたを利用してしまったから」
利用、何をどう利用していたのか、獣人の頭では咄嗟に思いついたりは出来ない。
それを察したお嬢様が、本当に申し訳ないわ。と説明しだす。
「あなたから情報を貰って反乱を企てている獣人たちの居場所、保健所へ通報したわ。
かわいそうだけど、今頃は一人残らず駆除されていると思う」
「な、お嬢様、何を・・・・」