福本漫画バトルロワイアル part.7at CSALOON
福本漫画バトルロワイアル part.7 - 暇つぶし2ch2:マロン名無しさん
10/04/12 22:44:33
336 :抜道21/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:31:09

佐原の表情がさっと曇る。
「…何だよ、これ」
「棄権の権利だ」

佐原は怒りを露わにして黒崎に詰め寄った。
「権利だとっ…!?こんな封筒一枚っ…!今すぐ元の世界に戻せよっ…!汚ねえぞ…!!」
「文句を言うのは、とりあえず中を見てからにしたらどうかね」
黒崎の言葉に、佐原は一旦怒りの矛先を収め、封筒から一枚の紙を取りだした。

 『※棄権の権利チケット※
 ゲームが終局を迎え、島から主催陣が引き上げるとき、
 このチケットを持っている者は主催陣と共に島から帰還出来る。
 このチケットを持つ者は、その権利が行使できる時が来るまで
 無くさぬよう大切に保管すること。再発行不可』

「……このゲームが終わるまで…!?」
「ああ、それまでは我々もこの島からは出られぬのだから。
ゲームが終了次第、迎えが来る。その時まで券は無くさぬように」
「じゃあ、それまでの間、俺はどこで待っていれば…?」
「何だ、そんなことを心配していたのか。
安心したまえ、安全に待機できる場所を用意してある。すぐに案内させよう」

3:マロン名無しさん
10/04/12 22:45:45
黒崎が示した黒服を見ると、黒服は頷き、佐原に付いて来る様に言った。


337 :抜道22/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:33:10



数十分前。
南郷は佐原と別れ、黒服の一人と共にエレベーターに乗った。
エレベーターは地下からすぐに一階まで上がったが、黒服がボタンを操作しドアを閉めたままだ。
南郷が訝しげな顔で黒服を見ると、黒服は言った。

「今から、お前はゲームに戻るわけだが、いくつか注意点がある。
先ず一つ目は、他の参加者にこの場所を教えぬこと。
地下に潜って棄権場所を見つけるのは、参加者一人一人が自分で気がつくべきことだと我々は考えているからだ。
だから、地下に降りると首輪の電波が届かぬようになることもみだりに口外せぬように。
もしお前が他の参加者に話し、ゲームの進行を妨げるようなら相応の処罰を下す。首輪を爆発させることも有り得る」
南郷は、額に脂汗をかきながら頷いた。

「二つ目、ここはお前もわかっていると思うが、禁止エリアだ。
首輪の電波が届かぬのはこのエレベーターの内部のみ。ここから外に出たら、当然首輪は作動する」
「ああ…!?」
「さて、この首輪の基本性能をお前に教えておこう。
この首輪は、禁止エリアに入ると警告音を出し始める。最初の警告音から、爆発までの間隔は10秒間。
このエレベーターは外に繋がっている。ドアが開いたら、真っ直ぐ正面に見える裏門めがけて走れ。
裏門を出たら、そこがちょうど禁止エリアと隣のエリアとの境目になっている。裏門までの距離は約50メートル。
平坦な地面だから思い切り走れば十分間に合うだろう」
「ちょ、ちょっと待ってくれ、俺は足を…」
「三つ目、今お前に話した首輪の事、裏門のことも他言無用だ。これも他の参加者に話せば処罰の対象になる。
これで説明は全てだ。さあ、行け」
黒服はそこまで言い切ると、開くボタンを押した。

4:マロン名無しさん
10/04/12 22:46:10
338 :抜道23/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:34:17

ガーッ……
エレベーターの扉が開き、呆然とする南郷の首輪が反応を始めた。

ピーッ… ピーッ…

「う、うわああ!!!」
南郷は慌てて無我夢中、全速力で走り始めた。


ピッ…    ピッ…   ピッ…  ピッ… ピッ…ピッピッピピピピピピピ


ザアッ…!!
一心不乱に走り抜け、裏門に滑り込むと…、首輪からの音は消えていた。

「……っ……ハアッ……ハアッ……!」
物を考えられる状況ではない。体中が熱い火花のようになり、心臓の音が五月蝿い程に耳の奥で打っている。
しばらくすると、太腿から鈍痛が襲ってきた。

「くそっ…傷口が……」
無理に動かした為、撃たれた場所から再び血が滲み出していた。

しかし、ずっとここでへばっている訳にもいかない。
南郷は痛みをこらえながら起き上がると、身を隠せそうな場所を探して歩き出した。

5:マロン名無しさん
10/04/12 22:46:36



339 :抜道24/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:36:12

黒崎とのギャンブルに勝利し、棄権の権利を得た佐原は、黒服の後についてエレベーターに乗った。
エレベーターは上昇し、ある階で止まる。

「さあ、出ろ」
「ここは……?」
エレベーターを降り、佐原はきょろきょろと周囲を見回した。
「棄権者待機専用のVIPルームだ。ゲームが終わるまで、お前はここで好きなように待っていればいい」
「はあ…」

そこは開会式の会場や、地下の交換所とは比べ物にならぬ程豪華な内装だった。
エレベーターが開いた場所は10畳程の広さの休憩スペースになっており、そこから廊下が見える。
廊下には個室のドアが点々と並んでいるが、ドアとドアの感覚からして一部屋の大きさが相当な広さであることが伺える。

ふと廊下の奥を見ると、一人のスーツ姿の男がこちらへ向かって来た。
黒服と違ってサングラスをかけていない。外見年齢からいって黒服の上司だろうか。

「最初の棄権者を連れて参りました。後はよろしくお願いいたします」
「これはこれは…。お待ちしておりました。首を長くして…」
黒服と、そのスーツ姿の中年は手短に挨拶を交わすと、すぐに黒服は下がり、エレベーターに乗って階下に降りて行った。

「……佐原様ですね。ここからは私が案内いたします、どうぞ」
先程の黒服と比べてずいぶん言葉遣いの丁寧なその男は、物腰も柔らかく佐原にお辞儀をした。
「あ、アンタは…?」
こんな扱いをされることに慣れていない佐原が、戸惑いながらその男に名を尋ねる。

6:マロン名無しさん
10/04/12 22:47:09
340 :抜道25/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:40:14

「私は袋井と申します。ゲーム棄権者のVIPルームへの案内を仰せつかっておりますので、どうぞ肩の力を抜いて下さい」
そう言うと、袋井は薄く笑った。

二人は廊下の最奥、他のドアとは造りの違うドアを開け、中に入っていった。
再び真っ直ぐな廊下が現れ、その奥にまた重厚なドアが現れる。袋井はその重厚なドアをノックした。

「袋井です。最初の棄権者を連れて参りました」
部屋の中からは返事が無かったが、袋井は構わずドアを開け中に入った。

ドアの奥は薄暗く、だが陰気な雰囲気ではない。淡い色つきの照明が壁に当たり、小さなカウンターバーが設置されている。
部屋の中はビリヤードやダーツ、チェス盤、ルーレット、自動麻雀卓等、あらゆる道具が絶妙な間隔で並べられていた。
まるでギャンブルルームの様な雰囲気である。
佐原はギャンブルルームに入る機会が無かったので、そういった感想は抱かなかったのだが。

「簡易ですが休憩室も備えております。是非ご利用を」
「あ、ああ…どうも…」
予想以上の優遇ぶりに、佐原は面食らいながら答えた。
ふと、背中に軽い寒気を感じ、佐原は反射的に後ろを振り向いた。

「君が…佐原君かね…?」
奥のドアがキイと開き、中から少しくぐもった老人の声が響いた。

「待ちくたびれたよ…。帝愛の話では、もう少し早く棄権者が出るだろうという話だったのに、ずいぶんかかったようだからね」
奥の部屋から現れた老人は、どこか人を圧する独特の存在感があった。
威厳があるとか、気品を漂わせているのとは少し違うのだが、得体の知れぬ雰囲気を身に纏っている。
薄ら笑いを浮かべ、ぼんやりと焦点の合わない目をこちらに向けている。

7:マロン名無しさん
10/04/12 22:47:38
341 :抜道26/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:42:30

「佐原君、ゲームが終了するまでの間、ワシの話し相手になってもらえんかね…?
何、簡単なことだ。佐原君がゲームの中で経験したこと、感じたこと、それを語ってくれるだけで良い。
ゲームの中にいた臨場感、空気の片鱗を、ほんの少しでも感じることが出来たらそれで良いのだ」



「ただ今、袋井に佐原を引き渡して来ました」
「ああ、ご苦労」
黒服からの報告を受け、黒崎は銜えたタバコに火をつけると、煙をゆっくりと吐き出した。

袋井に、つまり蔵前に棄権者を引き渡すのは、ゲーム開始前から蔵前の要望で決めていたことであった。
だが、なかなか棄権する人間が出ず、蔵前が痺れをきらし、そのうち袋井を通じてメールで催促して来るようになった。

所持金が一億に足りない佐原を「慈愛のゲーム」で勝たせたのは、その辺りの事情があったからである。
『最初の者だけの特典』と理由をつけたり、じゃんけんで最初の一回目には多少リスクを負わせたのは理由がある。
形だけでも尤もらしく取り繕っておかなければいけなかった。
逆に何のリスクも負わせずに佐原を棄権させたのでは都合が悪い。
『何が何でも棄権させなければいけない事情があるのではないか?』と、主催側の事情を知らないギャラリーが余計な詮索をする事態を避けたかった。
これ以上余計な火種は起こしたくない、というのが黒崎の本音であった。

(あの老いぼれめ…。弱き者を肴に宴に興じる、悪趣味な物の怪め…)
黒崎は、フッと息を吐き、黒服が差し出した灰皿にタバコを押し付けた。

(まあいい。これでまた一つ仕事を終わらせた…。奴に“生贄”を差し出すという仕事をな…。)



8:マロン名無しさん
10/04/12 22:48:01
342 :抜道27/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:44:33

「は、話を…?」
「そうだ…。何、佐原君の手を煩わせるんだからタダでとは言わん。そうだな…。
今から一時間程付き合ってくれるのなら100万出そう。無論、キャッシュでだ」
蔵前は懐から無造作に札束を取り出すと、佐原の目の前のテーブルにポンと放り投げた。

普段の佐原なら考え無しに飛びついていたかもしれない。
だが、殺し合いのゲームから離脱したばかりの佐原には、その100万はナイフや銃の類に見えた。
まして相手は主催者側の、その中でも見るからに地位の高そうな爺さんである。

「何を考えてる…?何か裏があるんじゃないかっ…?もうコリゴリだっ、騙し合いの類はっ…!」
佐原の剣幕に、蔵前は分かっているという風に頷いて見せた。

「おお、おお、急かしてすまなかった。まだゲームを降りたばかりで、疲れも溜まっていることだろう…。
休憩室でしばらく休むといい。儂も眠くなってきたところだ。明日の朝、ゆっくりと話をしようじゃないか」
蔵前の口調はどこまでも穏やかで、だが逆にそれが不気味に感じられ、佐原は顔を強張らせたまま返事をしなかった。

「もしかして、儂が佐原君に危害を加えるとでも思っているのかね…?そんな事はありえないのだよ。
棄権の権利を持つ者に、危害を加えてはならないというルールがあり、儂はそれを犯すことは出来んのだ。
だから、安心して体を休めるといい」
「……本当なのか、その話っ…?」
「本当だとも。我々は嘘はつかん」

それでも何か言いたそうにしていた佐原だが、敵の陣中にいる今、あまり相手の機嫌を損ねるのは得策ではないと考えた。
佐原は、袋井に促されるまま、休憩室に入り、体を休めることにした。

9:マロン名無しさん
10/04/12 22:48:22
343 :抜道28/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:46:00



蔵前の寝室で、袋井と蔵前は小声でひそひそと囁き合っていた。
「喉元過ぎれば熱さ忘れる、とな…。しばらく奴の好きなようにさせてやれ」
「かしこまりました。…明日が楽しみでございますね」

袋井の言葉に、蔵前は下卑た笑いを漏らした。
「緊張が解け、弛緩した気分の中で大金をちらつかせてやれば、必ず乗ってくる…!
最初は話を聞くだけで、いくらか金を掴ませてやる…。
そのうちレートの低いゲームに誘い、うまく乗せてレートを引き上げる…!
危害など加えんさ…負けが積もれば、ここから帰還するときには奴は儂のペットとなっておろうからの…。
可愛いペットに、危害を加えるはずも無かろう…!」

頷いていた袋井もまた、蔵前の様に酷薄な笑みを浮かべていた。
「楽しみですね、奴が崩壊していく様を眺める、その時が来るのが…」
「ククク…。平井銀二、森田鉄雄が破滅したというニュースを早く聞きたいものだが、
それまでの暇つぶしとしては十分楽しめる…!」
「そうでございますね…。平井、森田は、つい先程合流したそうです」
「おお、そうか…。今後どうなるか、楽しみで眠れんわ…!」
「ええ…。ですが、あまり起きていらしたら体に毒でございます。もうお休みになられたほうが…」
「そうだな。明日に備えて…。だが、奴らのニュースが飛び込んできたら直ちに知らせるのだぞ」
「かしこまりました。必ず…。ではお休みなさいませ」

袋井は蔵前の寝室の照明を落とし、静かに出て行った。

10:マロン名無しさん
10/04/12 22:48:44
344 :抜道29/29 ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:47:53

【C-3/草むら/黎明】

【南郷】
 [状態]:健康 左大腿部を負傷  疲労
 [道具]:麻縄 木の棒 一箱分相当のパチンコ玉(袋入り) 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:生還する 赤木の動向が気になる 森田の首輪集めを手伝うか迷っている  森田ともう一度話したい
※森田と第3放送の一時間前にG-6のギャンブルルーム前で合流すると約束しました。
※一条をマーダーと認識しました

【D-4/ホテルVIPルーム/黎明】

【佐原】
 [状態]:健康 首に注射針の痕
 [道具]:棄権の権利チケット(他の佐原の持ち物は全て黒服に回収されました)
 [所持金]:なし
 [思考]:生還したい 今は体を休める 主催者側の人間を信じない
※森田が主催者の手先ではないかと疑っています
※一条をマーダーと認識しました
※ゲームを棄権しました。首輪を外されました。

【佐原 棄権】
【残り 23人】


345 : ◆6lu8FNGFaw:2010/04/12(月) 02:48:37
以上です。

11:マロン名無しさん
10/04/12 22:50:14
途中から、代理投下が消えていた…
コピーミス申し訳ない。

12: ◆6lu8FNGFaw
10/04/12 22:51:03
新スレありがとうございます。
代理投下お疲れ様です。助かりました。

13: ◆zreVtxe7E6
10/04/13 04:13:36
こちらに投下で良いんですかね…?
間違えでしたらお許しください。

毎回投下が遅くて申し訳ございません。

では、投下させて頂きます。

14:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 04:21:59
この男、村岡隆は絶望の淵に立たされていた。
 開始早々に所持品を全て奪われ…。行く先々で散々な目に遭い…増えていくのは誓約書と言う名の足枷ばかり。
そして、今。
その足枷を解く、唯一のチャンスにも勝負に負け続け、流れを失った村岡には何の意味ももたらされ無かった。
 
黒崎に嘆願をしてから約20分…。時間と言うものは実に律儀な物で…確実に、その針を進めて行く。
遠の昔にその20分を使い果たした村岡は、100万円のチップを上乗せし、更に30分の猶予を得ていた。
 
が、しかし…。
 「どうして…どうしてざんすか…っ!!黒崎さばぁぁああっっ…!!」
本当の最後…。
生と死さえも左右するであろう、この期に及んでも、黒崎からの返答はまるで皆無だった。
 
 「ワシに…死ねと…そう…仰るざんすか…!?それは余りにも…酷い……っ」
呪う…!自身の完膚無きまでの不運を…!
そして、何の反応も見せぬ黒崎を…!

 「時間だ…即刻立ち去れ…!!」
無情にも響き渡る、黒服の声。
しかし、村岡には素直に応じられるだけの心の余裕は残されていなかった。

 「黒崎様っ…!!どうか…どうか…お慈悲をっ…!!」
その場に膝を付き、床に頭を擦り付け懇願…!!
引き剥がしに掛かる黒服を諸ともせずに、村岡はその額を床に叩き付けた。
当初は呆気に取られていた黒服。
しかしこのままにもして置けず、村岡の後ろに回り込み、身動きが取れないよう羽交い締めにし、その身を拘束した。
 
 「アンタ…死にたいのか…!首輪が爆発する前に早く立ち去れ…っ!!」
村岡の顔色がみるみる失せていく。後ろからでも分かるくらいに、急速に…。


15:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 04:31:59
 「うぐっ…!!がっ…!ぐぅっ…しかし…けど…でも…っ!!」
最早言葉にすらならぬ羅列を吐き出し、尚も抵抗しようとする村岡。黒服の願いや虚しく、もう冗談では済まされない状態に陥っていた。
 
金もなく、5分以上ギャンブルルームに留まってしまったのだ。金で払えぬ以上、その身で精算する他無い…。

 『ククク…何か問題でも起きたかね…?』

それは、諦めかけていた天の声。
唐突に…突然に響く、希望の福音…。

 
―――
 
 『ククク…ッ!!クカカカッッ…!!!!』
この小一時間…。村岡にとってはあっという間に過ぎ去った時間に思えたが、実は意外に長いもの。
 少なくとも、この男…兵藤和尊にとっては実に劇的…且つ、充実した物であった。
驚喜に狂った笑い声とも、奇声とも付かぬ声を高らかに上げ、その実感に存分に浸っている。
 
黒崎…っ!!良いぞ…実に…愉快っ…!!
宣戦布告までしてきたのだ…。それなりの…覚悟も自信も…あると言う事…!!
ワシは…そう言った輩の鼻を…根本からへし折るっ…!!
 『クゥ~ッ!!クゥ~ッ!!クキキッ…!!これ程の舞台…っ!!そう、巡り遭える物ではないからの…!!』

礼は…たっぷりとな…!!それこそ…持て余す程にっ…!!
もっと…もっと…ワシを高みに…!!絶壁の淵へと…追い詰めて見せよっ…!!!!

 『クカカッ!!…ワシは…その絶壁から…逆に貴様等を叩き落としてやろう…!!クフッ…クヒッ…クカカカ…ッッ!!』
 
だらしなく涎を垂らし、焦点の合わぬ黒目を晒す兵藤…。
その姿は、最早人とはかけ離れ…悪魔染み…獣染み…化物染みている…。


16:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 04:35:36
その出立ちに、本来ならば見慣れている筈の側近である黒服も思わず言葉を失う。
兵藤の命じに、暫く気付けない程に…。
 
 『何を呆けておるっ…!!さっさと動かぬかっ…!!』
 痺れを切らした兵頭が、その右手を唸らせ決して安くは無いステッキを振り上げた。
それは一直線に、黒服の額目掛けて降り下ろされる。
その衝撃を受け、黒服は漸く意識を兵藤に向けた。
 「あ…も…っ申し訳ありませんっ…!!つい…その…」

 『言い訳は良いわっ…!!それより…嘆願の映像じゃっ…!!早く出さんかっ…!!』

矢継ぎ早に命令を下す兵藤に、頭の痛みも忘れ、一心不乱にキーボードの上に指を走らせる黒服。
 「お待たせ致しました…!!こちらに…」

画面が切り替わり、スクリーンの大画面には一刻前の嘆願の映像。
そして、分割された小画面には今現在の映像が映し出された。その数は悠に十を越え、様々な角度から村岡を捉えている。
 『ほぉ…まだ粘っておるのか…ククク…良かろう。黒崎への礼はコイツだ…!
 …監視カメラの配信を一時停止…ギャンブルルームの黒服と、黒崎が連絡を取れぬ様にしておけ』

この老獪の思惑には、まだ誰も気付く事は出来ない。
 
―――

 「え…?え……!?黒崎様…?黒崎様ざんすか…っ!?」

否。そうではない。
 「違う…この声は…会長だ…」
答えを出したのは黒服。
希望の光にも思えた天の声。しかし、黒服には分かる…!
この老獪に目を付けられてしまっては、逃げることなど不可能であると…!



17:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 04:44:10
 『なんだ…?ワシでは不満かの…?忙しい黒崎の代わりに…お主の要求を呑んでやろうと思ったのだが…』
音声を流しているのは、防音設備のなされたギャンブルルーム内に於いても、定時放送を聞けるよう設置されたスピーカーから。
兵藤はこれを介し、村岡と接触を図っていた。
 「いやいや…まさか!この村岡隆…感謝の気持ちこそあれ、不満なんて思いは…これっぽっちも無いざんす…!!」
そう、諦めかけていた村岡に取ってみれば、黒崎だろうが兵藤だろうかは大した問題ではない。
主催者側の人間…自分を、この窮地から救い上げてくれるのなら、誰でも良かった。
 『ククク…そうか…。ならば…お主には死んでもらうぞ…村岡隆…!』
 
しかし、返ってきた言葉とは…あまりにも、望むものからとはかけ離れていた。
 「今…なんと…」
恐る恐るその疑問を口に出してみる。
一縷の淡い期待…聞き間違いかも、と言う半ば現実逃避に近い物を胸に秘めつつ…。
しかし、勿論ながらそんな期待は、水泡の如く呆気なく消え去ってしまう。
 『当たり前ではないか…。情報によれば…お主、軍資金はもう…使い果たしたのだろう…?
 時計を見てみろ…。払えるのかね…?一文無しの、今のお主に…!』
含みのある笑いに乗せ、自身の立たされている現状を惜しむ亊なく…遠回しに言い聞かせる。
そう、当然と言えば当然なのだ。

“ギャンブルルームは30分の利用につき100万”
“違反者は首輪が爆発する”

帝愛側がそう明言している以上、知らなかったでは済まされないだろうし、どんな弁解をしようが全く意味を為さないだろう。
言ってしまえば、自業自得に過ぎないのだ。

18:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 04:48:52
たかが5分…されど5分。その代償は不釣り合い過ぎるほど、重い…。尤も、そうなるように仕向けたのは、他ならぬこの兵藤自身なのだが…。
こうなってしまってはもう、村岡はその場凌ぎの姑息な手段に走るしかない。

 「か…必ず…必ずお返し致しますっ…!!そう…そうっ…!!武器さえ…武器さえ頂ければ、それで誰かのっ…!!」
苦しい…あまりにも苦しすぎる言い分。当然の如く、兵藤がその要求を快諾する筈も無かった。
だがこの悪足掻き、意外にも功を奏し、思わぬ好機を自身にもたらす事となる。
 『…そうだな…武器をやることは出来ぬ…。
 が…しかし、ただ殺すのでは…良心が痛むと言うもの…!!』
心にも無いような、白々しい台詞。
それは、相手に己の置かれた立場、恩着せがましく思わせるための口実でしかない。
しかし、こう言った状況ではその効力が存分に発揮されるのだ。
拒否権を与えず、未曾有の大チャンスを与えて“やる”と…暗に含ませて。
 「会…いえ、兵藤様…なんと…慈悲深いっ…!!チャンスを…与えて下さるざんすね…!?」
今すぐに死ぬことは無くなった、と確信した村岡は、実に単純な物で…先ほどの情けない必死の形相は何処へやら。
すぐさま回復し、得意の大振りなリアクションを織り混ぜて、恭しく腰を折っている。

 『そうさな…やはりここは…ギャンブルで決めようではないか…!!』
兵藤の語色が、明らかに黄色味を帯びた。
良い退屈凌ぎ…そう、まるで体の良い暇潰しを見付けたかのような…。


19:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 05:01:14
 「おぉ…!して、どの様なギャンブルざんすか?」
急かす村岡に、そう焦るなと一言。
兵藤はあるギャンブルをするべく、まずは場所を移動するよう伝える。
 『そこのギャンブルルームに…黒い麻雀卓がある筈だ。まずはそこに移動して貰おう』

その発言に、眉を潜ませたのは黒服。
表情を輝かせたのは村岡である。
 ―麻雀は無いと思ったざんすが…まさに僥倖…っ!!

 『最期のギャンブルになるかも知れんのだ…やはりここは…自信のある麻雀が良かろう…?』
村岡としては願ってもない麻雀での勝負。
今まで負けに負けて来たが、やはり麻雀以外に、自信を持って受けられるギャンブルと言えば他には無かった。

が、対称的に黒服の表情は冴えない。
何を隠そう、この黒服…初心者顔負けの麻雀下手なのだ。
 『何をしておる…時間がないのだ。さっさと案内しろ…黒服よ』
困惑する黒服であったが、兵藤の思惑など考えるだけ無駄と言うもの。

ギャンブルルームの角の隅。然程需要が無いのか、軽く埃を被ってそれは佇んでいた。

 『さて…ギャンブル内容について…だったかの』
一瞬の間を置いて、兵藤の言葉は続いた。 『ククク…“振り込み麻雀”…!!お主には、これをやって貰おう…!』
 
兵藤の提示したギャンブルは、至って単純な物だった。恐らく、村岡が得意とする十七歩以上に。
 『要はそこの黒服に、和了牌を打ち込めば良いのだ。
 親である、お主の第一打で下家の黒服が和了事が出来れば…お主の勝ち…!!』


20:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 05:06:21
 「え…は…?第一打…って…河に牌が一つも無い状態で何を…」
ここで漸く、尤もらしいことを口に出した村岡。そうなのだ…捨て牌が無ければ相手の手配…待ちを読むことなど不可能。
しかし、兵藤は心配には及ばんと一笑し、言葉を続ける。
 『ワシもそこまで馬鹿では無い…。ククク…勿論、捨て牌は無い…有っては困るのだ…が、代わりにヒントをやろう…!』
それと同時に、村岡の座す麻雀卓が唸りを上げた。どうやら自動卓の機能が起動したらしい。
 『準備が出来たようだな…。では…ヒントだ…っ!』

漆黒の卓の四面に沿うように、ぱかりと溝が開かれ、するりと黒い段が持ち上げられる。
カチッ…と小気味良い音を立て、全ての音が止んだ。
律儀に並び伏せられた、卓と同じく黒い麻雀牌。

 『聴牌は役満…待ちは6面…!数えは…言わずもなが…役満とは言わぬな。役満は一般的な物を使う。
 制限時間は30分…牌を開いた時点でスタートだ。質問はあるかね…?』

暫しの考察を挟み、そして確認するように村岡は口を開いた。
 「このギャンブルに勝てば…反則行為は不問…。嘆願の件も聞き入れて下さる…。間違い無いざんすね…?」
村岡にしてみれば、多少の誤算は有ったものの、結局は求めるものに手が届く。
要は…
 『ククク…そうさな…!勝てば良いのだ…勝てば…!』
代弁したのは兵藤。
結局は拒否することなど不可能。ならば腹を決めるしかない。
 ―勝てばまるっと全部…完璧に終始万全…解決ざんす…!!
 
深い深い…一つの溜息を吐き出し、覚悟…と言うより観念と言った方が近い感情を腹の底に沈め、己の手を伏せられている14枚の麻雀牌に伸ばす。


21:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 05:09:44
 「文字通り最後のチャンス…必ずや解いて見せるざんすよ…!!」
両手を使い、手慣れたように一発で牌を開く村岡。
 『ククク…!振り込み麻雀…スタートだ…っ!期待しているぞ…』

こうして村岡は、己のこの後の人生…その全てを賭けたギャンブルに最期の望みを託す事となった。
 
 下家に座す黒服は、不安で一杯だった。麻雀を打つ必要性は無くなったものの、一抹の不安が頭を過り離れない…。

無理もない。彼の上司は黒崎であって兵藤では無いのだ。
人事権を握っているの黒崎であり、首を吹き飛ばすのも黒崎である。
 ―勘弁してくれ…!ゴタゴタは…!!責任取る…と言うか…取らされるのは…俺っっ…!!

本部からのメールで、何か異変があれば早急に連絡をしろと、念を押されていた。
勿論そんな暇も無ければ、意識も向いてはいない。
主催者、それも会長直々のこのギャンブル…これが異常でなければ何が異常だと言うのか…。
黒崎の憤怒に満ちた表情が思い浮かばれる。
 ―そんな中でもし…この男が死んでしまったら…。黒崎様がどんな立場に置かれるか…!!
  

悶々と自論を立てる黒服を余所に、村岡は14枚の牌の中から、一つの牌を絞り込んでいた。

 まず最初に思った事、それはこの卓の特性…配牌が自由に選べるのではないか…といった漠然としたもの。
 ―でなければ…明らかに異常ざんす…!この配牌…!

 『もう、気付いているとは思うが…その卓は特殊での。遠隔操作で…全ての牌の位置が指定出来るのだ。よって…下家の手牌も聴牌済み…役満手がな…』
牌を開いてからも兵藤の説明は続いた。どうやら、必要最低限の情報だけは得られるようだ。


22:マロン名無しさん
10/04/13 05:11:38
支援

23:マロン名無しさん
10/04/13 05:48:56
おぉ…こんな時間に…!
全力で支援!!

24:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 08:22:09
要約すると、“振り込み麻雀”のルールはこう言った物である。
 
・村岡の第一打で黒服を和了させる事が出来れば村岡の勝利。
・聴牌は役満。待ちは6面
・和了牌は全て村岡の手配に入っている。無いものは必然的に和了牌ではない。
・制限時間は30分
・通常麻雀における反則行為は自動的に敗北。
 
全ての説明を終えた兵藤は、“健闘を祈る”の言葉を最後に通信を断った。

一見すれば、簡単に思えるこの振り込み麻雀。しかし、ルール程単純な物ではない。
少なくとも、黒服にはまず、6面張役満手…と言うものが思い浮かばなかったのだ。

 ―6面張…?6面全てで和了れる役満…?そんなもの…無い…有るわけ無いだろ…!
しかし、今まで17歩と言う、麻雀を糧に荒稼ぎをしてきた村岡は違った…!
 ―役満6面張…ざんすか…。上手いざんすね…が、しかし…甘い…甘いざんすよ…!!
 「黒服…!別の麻雀牌か…紙とペンっ…!!早く持ってくるざんす!」
そう、既に村岡の頭には一つの役満手が浮かんでいた…!

黒服は近くにあった麻雀卓から、通常の白色の牌だけを拝借し、簡易なワゴンに乗せ村岡の横に置く。
因みにこの黒服、自身の手牌には全く手をつけず、伏せられたまま。
黒崎と自身の保身のために、この男をここで死なす訳にはいかない。
口出しが出来るように、敢えて自身の配牌を開かなかったのだ。

 「な…なぁ、役満で6面張なんて…不可能だろ…?」
会長の動きを見るために、黒服は問う。
結果は黙認…。
会長から咎めの言葉は無かった。
ほっと胸を撫で下ろし、黒服も一緒になって考え始める。 


25:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 08:27:46
 「何故…そう思うざんすか…?」
逆に質問を投げられた黒服は、手持ち沙汰に一萬を手に取りつつ自身の解釈を述べた。
 「え…普通に考えたら…他面張役満なんて…13面国士無双か…、純正九連宝燈…。
 6面全てで上がれる役満なんて…有り得ないだろ…」
そんな事を言いつつ、黒服は村岡の手牌として余った牌を並べてみる。
 
一萬、一萬、一萬、
二萬、二萬、
三萬、三萬
四萬、五萬、六萬、七萬、
八萬、八萬、
 
以上の計14枚。
通常の麻雀ならば、まず有り得ないような配牌。村岡がこの卓の特性に気付くには十分な材料だっただろう。
そして、場に捨て牌が一枚も無い以上、これが唯一の足掛かり…ヒントの筈だ。

しかし、この手牌を見ても、黒服には何も思い付かない。謎が謎を呼ぶだけである。
頭を悩ませる黒服を余所に、村岡は白い麻雀牌を順序良く並べて行く。
ただし、黒服からは背しか見えていない。
 「…まぁ、そうざんすね…。確かに、まともに考えてたら…6面張役満なんて…有り得ない。
 と言うか不可能ざんす…!」

言葉とは裏腹に、不敵に口角を吊り上げ、村岡は麻雀牌を揃えていく。
カチャリ…
麻雀牌同士が擦れる小気味良い音を立て、村岡の手が止まった。
どうやら聴牌が完成したようだ。

 「が、しかし…!出来るざんすよ。聴牌までは…!」
言うや否や、刮目せよ!と言わんばかりに自信を込めて牌を倒し、興奮を孕んだ口振りでその名を発す。


26:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 08:30:02
 「それは…四暗刻…単騎っっ…!!」

それを視界に捉えた黒服は、脳内に走る電流に弾かれ、思わずその腰を浮かせてしまう。
 「四暗刻単騎…っ!?」

三萬、
四萬、四萬、四萬、
五萬、五萬、五萬、
六萬、六萬、六萬
七萬、七萬、七萬 

開かれたそれは、確かに紛れもない…役満…!
四暗刻…それも単騎…!!

 「カカカッ…!そうざんす…確かに、形としては…四暗刻単騎…!が、しかし…っ!待ちは…6面…!」
自信満々に笑い声を上げる村岡をよそに、黒服は率直な意見を述べる。
 
 「ちょ…ちょっと待てよ…!確かに、6面待ちにはなる…けど…でも、三萬以外じゃ…役満とは言えないんじゃないか…?」
恐らく、大多数の人間が抱えるであろう疑問に、これ見よがしに溜め息を吐く村岡。 
時計を見やり、麻雀牌をみやる。
 
 「…仕方ないざんすね…。まぁ、時間も残ってるし…教えてやるざんすよ…!」
 
 「まず…会長さんの言葉を思い出すざんす。…会長、一言も役満手を和了させろとは言って無いざんすよ…」
そう。確かに、兵藤は明言していない。
黒服を和了させろとは言ったが、役満で…とは明言を避けたのだ…!
 「言うまでもなく…6面全てで上がれる役満なんて存在しないざんす…!だから…“聴牌は役満…黒服を和了させろ”
 そう言ったざんすね…。言わば逃げ道のある言い回し…。
 もし、相手が“6面待ちの役満なんて無い…!”とか言った時に、誰も“役満で和了させろ”とは言っていない…!とか何とか言えるざんしょ…?」


27:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 08:40:30
一旦ここで言葉を切り、村岡は視点を麻雀牌に戻す。
 「そしてこの四暗刻単騎形の聴牌…三萬は文句無しの役満和了…。問題は…その他…!
 恐らく、単騎以外の和了牌は…さっきとは逆に、それは役満とは言わない…!
 とか難癖を付けて反故にする筈ざんす…!」
 
この考え、実は図星…!完璧に読見切っていた。しかし内心で、兵藤はほくそ笑む…! 
 ―ククク…ここまでは…辿り着いて貰わねばな…!だが…まだ甘いな…。
 
  「えっと…この待ちは…二、三、五、八、と…えーと四、六…か?
 あ…そうか…一萬は3枚持ってて…、二、三、八萬は2枚…。
 四暗刻の絶対条件は暗刻4つ抱え…。
で、6面張にするなら暗刻は…連番で揃えなきゃ駄目…と」
 
 「そう言う事ざんす…!更に、蛇足するなら…待ちが九萬も駄目…。
 何故なら、手牌に丸々含まれて無いざんすからね。」
 配牌を見れば、一目瞭然。
四暗刻単騎形にさえ気付いていれば、何て事無かったのだ。
例えば

一萬、一萬、一萬、一萬
二萬、二萬、
三萬、四萬、五萬、六萬、七萬、
八萬、八萬、八萬、


28:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 08:48:23
この様な手牌であったなら選択肢が一つ増えていた。
二萬単騎の以下連番暗刻。

二萬
三萬、三萬、三萬、
四萬、四萬、四萬、
五萬、五萬、五萬、
六萬、六萬、六萬

と言ったような形。
更に、九萬が一枚も含まれていないため、
八萬、
七萬、七萬、七萬、
六萬、六萬、六萬、
五萬、五萬、五萬、
四萬、四萬、四萬

九萬が待ちになってしまう、この形も否定される。

 「つまりは、三萬単騎以外あり得ないって事ざんす…!」
 「な…成る程…けど…」
この解説には黒服も感心するしかない。

しかし、どこかしっくり来ない。何かが引っ掛かる…。
黒服の杞憂をよそに、村岡は黒い牌…打ち込めば最期かも知れない…その牌に手を掛けていた。

 「お…おい!ちょ…待てって…!!」
三萬を掴む右手を、衝動的に引き留めてしう。
村岡を助けたいとか、そんな浮わついた感情からではない。
圧倒的に困るのだ…死なれては…!


29:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 08:52:08
 「もう少し良く考えてみろよ…!場を見て…何か良く分かんねぇが…余りにも…単純過ぎないか?」
他に手など無い筈なのに…。
しかし、言い知れぬ何かが邪魔をする。
その一言は、村岡の決心を揺るがすには十分すぎる物で…。

 「う…煩いざんすねっ…!!大体…なんでアンタみたいなのが帝愛の黒服なんかやってるざんすか…!」
三萬を戻しつつ、悪態を付く。
しかし、黒服の言葉にも一理あった。

確かに、ものの数分で辿り着いた6面張役満手。
そもそも何故、6面待ちなどと比較的特定しやすい物にしたのだろうか…?
それこそ、指運に任せても当たるような…。

思えば…そう、席位置ここからして違和感があった。
これは二人麻雀なのだ。何故、対面では無く上家と下家に…。
配牌にしても、もっと字配を入れるとか…ここまで分かりやすくする必要があったのだろうか…?

上家…下家…
第一打で…捨て牌があっては困る…?
聴牌は役満…
役満は…一般的な物…

 「え…?あっ…ああぁぁっ…!!」
村岡に走る、圧倒的閃き…!
 「俺は…まぁ、腕っぷしだけは良かったから…」
恐らく先程の質問に答えたのだろう。だが村岡は眼孔鋭く睨みを効かせ、それを黙殺する。

違う…全てが逆だった…。
 “6面張役満、黒服を和了”…
ここから既に逆だった…!!


30:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 09:02:47
 「ククク…カカカカッ……!!危うく…危うく見落とす所だったざんすよ…!!」突如として笑い声を上げる村岡を前に、黒服は困惑した様子で声を掛ける。
 「え…?どう言う事だ…?」
 「つまり…」
村岡は黒服に、自身の考えを伝える。
 「…!!」
 「どうざんす…?これなら…何もかもに説明が付く…!!」
 「アンタ…良く気が付いたな…確かに…突拍子もないが…理に叶っている…」

こうして、残り時間…3分。
ここで漸く至る…!全ての答えに…!!

手牌の中から、その1枚を拾い上げ、勢い良く打ち込む…!
それと同時に、兵藤の声がスピーカーから発信された。
 『さて…時間ギリギリまで使い込み、至った答え…説明してくれぬかね…?』
村岡が打ち込んだのは…唯一暗刻として抱えていた一萬…!
 「いやはや…流石は兵藤様…!この村岡、危うく終わる所だったざんす…!!
 がしかし…!!最後の最後に…降りてきたざんすよ…神が…!!」
ニヤニヤと嫌悪感を誘う笑みを浮かべ、勿体つけるように放つ村岡。
興味無さげに続けろ、と促され、口角を上げながら先を話す。
 「最初…言ったざんすね…“聴牌は役満。待ちは6面”…。ククク…つまりは…ここから既に罠…ブラフ…!!
 一見頓知めいた謎かけに見せるための…!」
そう…つまりは先程話した解説、四暗刻単騎形…それこそが兵藤の狙い…!
確実に和了牌以外を打ち込ませるための…ブラフだったとしたら…!!
 「考えてみれば…そう、6面待ち…。この時点で気付くべきだったざんす…!
 単騎や2面待ちを特定させる方が、圧倒的に至難の筈ざんす…!じゃあ…何故わざわざ有利であろう、6面待ちにしたのか…?
 答えは簡単…本当に役満が聴牌していると思わせたかったから…!!
 だが…実際はまるで逆…!!役満なんか聴牌していない…!!」


31:マロン名無しさん
10/04/13 09:04:50
再開してるっ!支援だ!

32:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 09:08:37
このままでは矛盾してしまうのでは、と思われた村岡の解説。
この時点では、まだ核心には至っていない。
 「ここで漸く、分かったざんすよ…!“聴牌は役満”“待ちは6面”“黒服を和了させろ”…。
 “上家の第一打で”“下家に振り込む”…その意味が…!!!」
決定打はここで打ち込まれた。

 「人和ざんすよっ…これ…っ!!」
たった一言…!!たった2文字…!!全てがこの2文字で片付いてしまった…!

人和…子が配牌の時点で聴牌し、最初のツモより前に捨てられた牌でロン和了した際に成立する役満手。
成る程確かに、役満が聴牌してなくても役満で和了する事が出来る訳で、兵藤の言い回しにもなんら矛盾はない。

 『…………』
押し黙る兵藤を前に、自らの持論を説く村岡。自信満々に勝ち誇った表情を浮かべている。

 「役満で和了させろと明言しなかったのは気付かせないため…。それと同時に、別の意味も持たせられる…!
 そして、この席順…!更には配牌…!!確信を持てたのはこの配牌ざんす…!ミスリードさせる為とはいえ、
 わざわざ抜く必要無いざんしょ…?この九萬…!!当たり牌ではないとは言え、まるまる入れない理由にはならないざんす…。
 なら…逆…!!入れなかった…のではなく“入れることが出来なかった”だとしたら…!」
視線を落とし、先程四暗刻単騎を型どっていた白い麻雀牌を並べ直していく。
 「九萬4枚使いの…6面待ち!!」

二萬、三萬、四萬、五萬、六萬、
七萬、七萬、
八萬、八萬、
九萬、九萬、九萬、九萬


33:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 09:21:01
 「一、四、七、二、五、八待ち!!…人和がある以上、何でも良いとは思ったざんすが…一萬なら…高目ざんしょ?
 加えて、三萬が和了牌に無い…!これが核心に至った答えざんす…!!」
カカカッ…!
高笑いをすると、村岡は黒服に向き直り、手牌を見るよう促す。
兵藤は相変わらず押し黙ったまま…。
 「さぁ早く…開くざんすよ…黒服!」
言われるまでもなく、黒服は伏せられた自身の手牌…村岡から見て右側の伏せられた配牌に手を伸ばす。
 ―助かった…!黒崎様も…俺も…!!
黒服は村岡の閃きに確信を持って、手際よく牌を開く。

しかし…
 「………え?」
声にならない叫びは…兵藤によって代弁された。

 『………クッ…ククク…ッカカカッ!!』
 「…嘘だろ…」
自信と確信を秘めた一萬を前に、黒服は手牌を倒すことが…出来ない…!!

倒せない…

倒せない…!

倒せない…っ!!
 『ククク…!!いやいや…際どい物だったぞ…!黒服よ、お主の“助言”のお陰だ…。
 負けるかとも思ったが…救われたぞ…!まさにファインプレー…!』
反論できない…。
まさか…こんな事が…。
 「…え?…え…?」
困惑の表情を隠せない村岡に、兵藤は嬉しさを含めた口調で言い放った…。
 『ククク…当たっていた…途中までは…!だが…黒服の言葉で揺らぐような決意では…このワシには勝てん…!
 負け続けて当然と言うもの…!』


34:マロン名無しさん
10/04/13 09:26:35
しえん!

35:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 09:35:54
村岡の脳髄に…フラッシュバックする…!赤木…原田、井川…そして伊藤開司…!
負け続けて来た…。確かに、負け続けて…。だから…勝ちたかった。
勝てば、見返せた…見返す筈だった…!

 『黒服…山牌を引くが良い。結果を見せてやれ…ククク…』
そう言われれば引くしか無い…。
もっとも、村岡の手牌を見知っている黒服には結果は目に見えていた訳だが…。
 「……っ」
晒される…三萬…!!

倒される…黒服の手牌……!!!

 「四暗刻単騎…ツモ…」
三萬、
四萬、四萬、四萬
五萬、五萬、五萬、
六萬、六萬、六萬、
七萬、七萬、七萬
四暗刻単騎…!!
あろうことか…一度は捨てかけた三萬…!!
 「あ…あぁ……」
視界が歪む。焦点が合わない。
頭の中は真っ白。顔はきっと蒼白…。

当たっていたのだ…!余計な亊などせずに、ただ己のみを信じ、打ち込んでさえいれば村岡は助かっていた…!
 「貴様っ貴様…貴様ぁぁああっっ…!!余計なことを…!!余計なっ…ぐぅぅっ… 騙したざんすか…!!全部…すべからく…!!ワシを…負けさせる為にっっ…!!」
黒服の皺一つ無い一張羅のスーツを鷲掴みし、これでもかと顔を寄せ詰め寄る。
血色は失せ、眼孔は血走っていた。
無論、黒服にそんな気は無かった。
必死だったのだ黒服なりに。ただ、裏目に出てしまっただけの亊。


36:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 09:54:13
全てが…兵藤の思惑通りだった。
村岡が四暗刻6面待ちに辿り着く事も、人和に気付く亊も…。
そうなるように仕向けた、と言うべきか。
黒服との会話を黙認したのもその一貫。黒服の行動さえ読んでいたのだ…!
彼ら現場を押さえるのは黒崎の直属の部下達…。従順な下僕は、何時でも最善を選ぶ筈だ…!
そして決定的な差は…確信の差。
兵藤は決して自身を疑ったりはしない。
他人の言葉に決断を委ねたりはしない…。
三萬以外を村岡に打ち込ませていれば、兵藤は必勝であった。
何故なら、人和はゲーム等に掲載されほどメジャーな役満手に思われ勝ちだが…。
実はこれ、地域によって取り決めが区々…所謂ローカルルールなのだ…!
ローカルは即ち…一般的な役満には相当しない…!!
もし、これを持ち出して役満だと言い張れば、これで玉砕する…!
だが…兵藤は敢えてこう答える…。

 『ククク…何故、別々に考えたのだ…?聴牌は役満…態々明言したと言うのに…! 四暗刻と人和…2つが重なって初めて条件に合う…!他に無いではないか…6面全てで和了出来る手など……!!』

つまりは…無駄…。
無意味な発見…下手に裏を読む必要は無かった。
結局、ごっそり…根刮ぎ引っ掛かってしまったのだ。罠と言う名の網に…。
見透かされていた…自身の本質を…。

だが…だがしかし…!
余りにも悔やまれる結果…!!
 『では…約束だからな…爆破だ…!』
その言葉と、耳に響く電子音。
突如として現実が押し寄せる…!


37:マロン名無しさん
10/04/13 10:06:22
まだまだ支援!

38:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 10:18:38
そして案の定、村岡は宣う。
 「こんなっ…こんなもの……無しっ…!!ナシ…なーしっ!!無効ざんすっ…!!」
 ―終わり…?本当に…これで…?
 『残念だったな…!そこの黒服が…余計な事さえ言わなければ…!ククク…』

 「かはっ…くはっ…!!こんな…そんな馬鹿な…っっ」
電子音は、次第にその間隔を狭めていく。まるで自身の心音の如く…。
 ―そうだ…!あの黒服さえ…いなければっ…!!

 「…ククク…カカカ…!!ただで…死んでたまるか…!!お前も道連れにしてやるざんす…!!」
そう叫んだかと思うと、村岡は勢い良く黒服に掴みかかる。
その腹に、首輪を密着させる様しがみついた。

今の村岡を支配するのは…憎悪と…明確な殺意だ…。
全ての矛先は、その場にいた黒服へとむけられる。
 「なっ…離せっ…!!やめっ…」

振り払う間もなかった。

頭が吹き飛ぶ程の衝撃なのだ…密着していれば巻き添えを喰らうに決まっている…。
一際長い電子音…続けて発破音が響き渡る。
鮮血が…肉が…頭蓋が…ぶちまけられた。 「う…あ…ぁ…」
ぐちゃり…
呻き声を上げられるのは黒服だけ。
返り血と…自身の肉が裂けているのをその手が確認した。
崩れ落ちる頭部の欠けた村岡と、腹膓を抉られた黒服…。


39:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 10:22:01
迸るは朱…

流れる涙も…頬の返り血を吸い込み血涙となって落ちる。
壁を頼りに、這うようにして助けを求める。
 ―どうして…何で…こんな…。
 「黒…崎さ…ま…」
バックルームへ足を入れ、内線電話に手が届くかといったところ。
彼はそこで、力尽きた…。

―――

 『ククク…カカカッ…!!これだからやめられんのだ…命を賭けたギャンブルと言うものは…!!』
その凄惨な猩々の有り様を、兵藤は感嘆の声を洩らし眺めている。

それにしても、何故これだけのために態々大掛かりな下準備を施したのだろうか。
その疑問は、側近の黒服からもたらされる。
 「あの…これだけの為なら…タイムラグの映像を流しておいた方が良かったのでは…?」

歯並びの揃った前歯を剥き出しにし、兵藤はその質問に答える。
 『ククク…それでは反目の糸が切れてしまうではないか…』

黒崎にも与えてやらねば…反抗の糸口と言うものを…!!でなければ張り合いが無さすぎる…。
 「と…言いますと…?」
イマイチぴんと来ない黒服は、兵藤の言葉を待つ。
 『わからんか…?卓に残る、対主催の立場を取る参加者への暗号…。
 態々カメラの配信をストップさせたのは…黒崎に嗅ぎ付かれない為だ…』
兵藤は決して、対峙する者を過小評価をしたりはしない。念には念を…入れすぎると言う事は無いのだ。


40:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 10:26:54
 『息子だけが有利では詰まらんからな…!あの四暗刻の待ちは…数字の若い順に並べると…武器庫の鍵となる…!!
 しかし…カメラの配信が復旧された時、ギャンブルルーム内に死体があればどうなる…?
 当然…言うまでもなく…ギャラリーの怒りを買うだろう…!!
 そうなれば卓に転がる、麻雀牌などどうでも良い話…!ククク…』

兵藤の思惑は、想像異常にスケールが大きいものだった。
後にギャラリーに説明するために、敢えて村岡と時間が過ぎてから接触した。
契約違反と言う大義名分を得るために。

黒服と連絡が付かぬようにしたのは、ギャンブル中に余計な水を差されない為。
そして、不慮の事故を想定しての事だ。
管理人が死んだと悟られれば、そこはすぐに禁止エリアにされてしまう。

ギャンブル内容に至っては、どちらでも良かったのだ。
村岡が助かれば、それはそれで自身の駒としていくらでも利用価値はあった。
カメラが動作不能になった事情も、何とでも理由をつけ、客に説明…言いくるめられる。

だから、比較的単純な物にしてやったのだ。
まぁ…少なからず至るところに罠を仕掛けてやったのだが…。

 『ククク…こうも上手く…事が転がるとは…跳満から役満に化けたような心地だぞ…!!』
結果は最高の形で迎えられた。
村岡は裏の読みすぎで自爆し、事故と言う形で真実を知りうる、黒崎の手先を片付ける事も出来た。
その卓に暗号を含ませ、黒崎を窮地に追いやる。

そして黒崎に、この状況を打開する術はほぼ皆無…。


41:猩々の雫 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 10:29:51
 『見ものだぞ…黒崎が、この窮地をどう脱すのか…!』

叱責の嵐…!
罵倒の数々…!
焦る黒崎の滑稽な有り様…!!
考えるだけで笑みが込み上げてくる…!!!
 『ククク…無論…ワシは持っておる…!』

チラリと黒服をみやり、目を細める。

 「は…っ!証拠の映像は、こちらで制作致しました。会長のご要望通り、ギャンブル中の映像は一切省いたものを…」

 『ククク…それで良い…。ギャンブルは補足…突っ込まれれば口頭で答えれば良い…』
これは、やはり黒崎に勘づかれ無いため。チャンスを与える為にギャンブルをさせたが…とでも言っておけば問題はない。

 『嘆願と…ギャンブルルームに居座ろうとした姿勢が伺えれば…。客も然程突っ込んだ質問はしないだろう…。
 肝心なのは…ワシは黒崎とは違う…依怙贔屓も…特別扱いもせん…!!客にそう見せ付けられるかだ…。
 そうすれば…理解する…!信用に足る人物は…どちらなのか…!』

ただし、この切り札はすぐには出してやらぬ。
頭を垂れ、土下座でもしてみれば…考えてもやるがな…!!

さあ抗え黒崎よ…。

この窮地…どう脱す…?

42:マロン名無しさん
10/04/13 10:31:32
ほうほう。

43:猩々の雫/完 ◆zreVtxe7E6
10/04/13 10:33:08
【D-1/地下王国/黎明】

【兵藤和尊】
 [状態]:健康 興奮状態
 [道具]: ?
 [所持金]: ?
 [思考]:優勝する 黒崎の足を引っ張る 主催者達を引っ掻き回す 積極的にゲームに介入する

※次のようにスパコンの予測が出ました。
何らかの要因で予測が外れることもあれば、今後条件を満たせばさらに該当者が増えることも考えられます。

大型火災が発生したことで、高熱となった建物の内部及びその周囲にいた参加者の首輪は電池の水分が蒸発し、失われた。
それによって、0時30分現在、田中沙織は約18時間。遠藤勇次は約2時間30分後に首輪が機能停止する。
※在全が兵藤の思惑を察していると考えております。
※全ての監視カメラで、一時的に映像の配信を停止させました。
※ギャンブルルームの黒服と、本部へのメール送受信及び電話等の通信は、暫くの間シャットダウンされます。兵頭サイドが解除しない限り、復旧には最低4~5時間は掛かる模様です。
※客を納得させられる、証拠捏造VTRがあります。嘆願と黒服に掴み掛かるシーンが収録されています。詳しい内容は次の書き手様にお任せします。

【村岡隆/死亡】
【残り22人】

44: ◆zreVtxe7E6
10/04/13 10:56:25
途中3時間も開けてしまったにも関わらず、長文、拙い文章の中、数々のご支援有り難うございました。

麻雀歴3ヶ月の書き手が書いたものでしたので、結果が読めてしまった読者様、申し訳ありません。

また懲りずに書かせていただきます。
有り難うございました。

45:マロン名無しさん
10/04/13 11:36:40
>>44 お疲れ様でした。
社長、自信を持って挑んだギャンブルに悉く負け続け
誓約の枷をいくつもぶら提げながらも
必死でもがき奮闘する姿は見ごたえがあったなぁ。

主催者側トップが次から次へと提示してくる黒い思惑。
参加者たち(及び側近の人たち)は
あとどれだけ踊らされることとなるのか…

46:マロン名無しさん
10/04/13 12:54:34
お二人とも投下乙です。

抜道
佐原、良かったね、首輪外れて。
良かった、良かった…って、これは良かったのか…?
却って悪化の一途を辿っているようにしか思えない…。


猩々の雫
社長頑張ったのに…。

黒崎は苦労人認定されてもいいと思う…。

そして、今夜、某スレが葬式に…。

個人的に黒服が可愛くてしょうがなかった…。

47:マロン名無しさん
10/04/13 13:03:31
まだ、貼っていないため。

【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
優勝賞金は10億円。
また、1億円を主催者側に払うことで途中棄権の権利が購入できる。
参加者には食料などの他1000万円分のチップが支給され、
他者からの奪取やギャンブルルームでのやりとりが許されている(後述)。
ちなみに獲得した金はゲーム終了後も参加者本人のものとなる。

【支給品】
数日分の食料と水、1000万円分のチップ、地図、コンパス、筆記用具、時計
以上の物品が全員に均等に振り分けられる他、
ランダムに選ばれた武器や道具が0~3品支給される。

【ギャンブル関連】
主催者側が管理する「ギャンブルルーム」が島内に点在。
参加者は30分につき1人100万円の利用料を支払わなければならない。
施設内には様々なギャンブルグッズが揃っており、行うギャンブルの選択は自由。
また、賭けるものは、金、武器、命など何でも良い。
ギャンブルルーム内での暴力行為は禁止されており、過程はどうであれ結果には必ず従わなければならない。
禁則事項を破った場合、首輪が爆発する。

48:マロン名無しさん
10/04/13 13:03:54
【首輪について】
参加者全員に取り付けられた首輪は、以下の条件で爆発する。
・定時放送で指定された禁止エリア内に入ったとき
・首輪を無理矢理取り外そうと負荷を加えたり、外そうとしたことが運営側に知られたとき
・ギャンブルルームに関する禁則行為(暴力、取り決めの不履行等)を犯したとき
なお、主催者側の判断により手動で爆発させることも可能である。

【定時放送】
主催側が0:00、6:00、12:00、18:00と、6時間毎に行う。
内容は、禁止エリア、死亡者、残り人数の発表と連絡事項。

【作中での時間表記】 ※ゲームスタートは12:00
深夜:0~2
黎明:2~4
早朝:4~6
朝:6~8
午前:8~10
昼:10~12
真昼:12~14
午後:14~16
夕方:16~18
夜:18~20
夜中:20~22
真夜中:22~24

49:マロン名無しさん
10/04/13 13:08:07
抜道 佐原君 とりあえず爆死の可能性がなくなってよかった。
佐原君はこれから、蔵前に飼われることになるんだろうか。
神経を尖らせた佐原君を見るのは気の毒だったけど、
まだ、いろんなアンテナ立てたままのほうが安心して読んでいられる。
「若いもの」に容赦ないな、福本漫画のご老人は。

50:マロン名無しさん
10/04/13 13:09:12
【主催者】
兵藤和尊(帝愛グループ)@賭博黙示録カイジ
蔵前仁(誠京グループ)@銀と金
在全無量(在全グループ)@賭博覇王伝零

【参加者一覧】

【アカギ ~闇に降り立った天才~】6/8
 ○赤木しげる(19歳)/○南郷/●安岡/○市川/●浦部/○治/○平山幸雄/○鷲巣巌
【賭博黙示録カイジ】3/7
 ○伊藤開司/○遠藤勇次/●船井譲次/●安藤守/●石田光司/○利根川幸雄/▲佐原(棄権)
【賭博破壊録カイジ】1/4
 ●大槻/○一条/●坂崎孝太郎/●三好智広
【賭博堕天録カイジ】1/3
 ●坂崎美心/●村岡隆/○兵藤和也
【銀と金】3/8
 ○森田鉄雄/○平井銀二/●有賀研二/○田中沙織/●神威秀峰/
 ●神威勝広(四男)/●吉住邦男(五男)/●川松良平
【天 天和通りの快男児】3/4
 ●天貴史/○井川ひろゆき/○原田克美/○沢田
【賭博覇王伝零】1/4
 ○宇海零/●板倉/●末崎/●標
【無頼伝涯】1/3
 ○工藤涯/●澤井/●石原
【最強伝説黒沢】3/4
 ○黒沢/○仲根秀平/○しづか/●赤松修平

【残り22/45名】

51:マロン名無しさん
10/04/13 13:09:41
【予約について】
キャラ被りを防ぐため、任意で自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
したらばの「予約スレ」に、トリップ付きで予約するキャラクターを宣言をしてください。
有効期間は予約当日から一週間。
期限が切れても投下はできますが、混乱を招くため歓迎されません。
間に合いそうにない場合は、【期限が切れる前に】延長を申請するか、予約破棄宣言をお願いします。
延長申請がない場合、予約は解消され、そのキャラクターはフリーになります。

【他、書き手の注意点】
作品投下はトリップ必須(捨てトリ可)。
内容に自信がなかったり、新たな設定を加えたりした場合は
本投下前にしたらばの「一時投下スレ」に投下するとアドバイスをもらえます。
さるさん規制を喰らった場合もそちらにどうぞ。

52:マロン名無しさん
10/04/13 13:53:24
>猩々の雫

投下乙です
面白かった。深読みし過ぎて爆死…最後まで哀れな。でも黒服まで巻き添えとか、さすが悪役。
まぁあの状況じゃ黒服の言葉聞いて罠かと疑っても仕方ないよなぁ…それで駄目だったから黒服が嵌めたんだと考えても仕方ないよなぁ。
話の演出が良くて引き込まれた。

ところで兵藤会長が言った武器庫の暗号というのは、村岡の死体かあるギャンブルルームの金庫だけの暗号ってことでいいのかな。
暗号は345678か。
和也のギャンブルルームの金庫の暗号は五文字(37564)だったし。ギャンブルルームごとに暗号が違ってもおかしくはないね。

黒崎がまだこの事態を知らないから、参加者が先に村岡の死体のあるギャンブルルームにたどり着いて暗号解読、という展開もあり…?

53:マロン名無しさん
10/04/13 13:59:23
>>52
暗号間違い、234567だった

54:マロン名無しさん
10/04/13 15:31:17
面白い…
面白いんだけど…
圧倒的に有利な主宰が、参加者を陥れたり殺したりする展開が続くと
初期から参加者同士の戦いを期待してた身としては、少し複雑な心境

55:マロン名無しさん
10/04/13 15:50:36
参加者も多数のキャラが結構早い段階から対主催者なスタンスを取ってるから仕方ないんじゃないかな

56:マロン名無しさん
10/04/13 16:11:03
確かに対主宰多いし、主宰に刃向かった末破れる、ならわかるんだけど
主宰が一方的に弱い参加者を潰していくのはロワとしてどうなのかな、と
それでこそ福本作品らしい気もするけど

57:マロン名無しさん
10/04/13 17:39:16
>>54 >>56
その意見も分かる。今現在、兵藤と黒崎の戦いや、主催者たちの都合に参加者が巻き込まれている話になってきているから、そういった意見が出るのだろう。
福本作品らしさを重視しているということで…。今主催者が強いのは、そのうち対主催VS主催になるまでの、伏線になるんじゃないかと思っている。
他の色々な作品を混ぜたロワに比べ、身体的に一般人ばかりの福本ロワは、参加者同士に常識のずれや誤解が生まれにくいので仲間が作りやすい(殺し合いに発展しない)のだと思われる。
参加者同士が殺し合う理由の一つに、参加者の作品の背景からくる常識の違いからくる思い込み、意志疎通のずれがあると思う。
他のロワは魔法が使えるようなファンタジーな作品や、元々殺し合いをする作品から来たキャラと、一般人キャラとの認識の違いから悲劇が生まれやすい。
福本作品の参加者は、ギャンブルによる命の取り合いやケンカによる戦いはするが、戦争や殺し合いを背景にした作品はない。
それに中学生や高校生キャラもかなり人間ができており、安易に殺し合ったキャラは初期退場している。
つまり初期に参加者同士の戦いの段階は済んでしまっていて、次の段階にストーリーが移行したのだと考えて欲しい。
ただ帝愛組など、まだまだ参加者同士が戦う話の作られる余地も充分に残されているので、がっかりせずに気長に読んでいってほしい。まだ24時間経っていないのだ。
長文失礼しました。一書き手の主観なのであまり大げさにとらないでください…。

58:マロン名無しさん
10/04/13 18:11:04
最近の主催者はアクティブだよね。
初期のゲームを公平にというよりお互いの覇権争いを行っているって感じ、このゲームを通じて。
それはそれで面白いと思うし、足並みの乱れが対主催が主催に漬け込む要因になれればいいと思う。

ただ、ルールって制限をそれを監視する側が自分達の勝手で取っ払うのはギャラリーも読み手も苦痛に感じるのは確か。
制約の中で裏をかくというのがバトロワや福本作品の醍醐味だから。


今の展開も面白いけど、介入しすぎ感があるから、ちょっと主催者は自重した方がいいかも。
主催者はギャラリーに一度怒られた方がいい。

59:マロン名無しさん
10/04/13 19:06:22
確かに、各作品の主人公各キャラ同士の疑心暗鬼や殺し合いが少ない。
共闘もいいけど、せっかくのパロロワなのにって感じもする。

まだまだこれからっていうのもあるけれど、読み手も書き手も、
彼らには人殺しをして欲しくないって思いがあるのかもしれない。
例の銀さんの名言があるし。

60:59
10/04/13 19:09:01
主人公各→主人公格
恥ずかしい。。。

61:マロン名無しさん
10/04/13 21:47:58
キャラの性格を考えるとこういう展開になるのは必然だと思うけどな
キャラ崩壊してマーダーになってるアカギとか見たくないし

62:マロン名無しさん
10/04/13 22:12:57
極力キャラを壊さず、ここまで話を進めた書き手さん達って、
本当にすごいよね。

63:マロン名無しさん
10/04/13 22:30:28
いやーほんと福本キャラの味が出てるよな
キャラ崩壊しがちなパロロワでそれは珍しい
三好とか田中沙織は精神崩壊して原型なかったけど

64:マロン名無しさん
10/04/13 22:36:26
キャラクターの尊重って難しいな。
「このキャラはこんなことしない!」っていっても一人一人の解釈は違うわけだし、
「やっぱこのキャラならこうなるよな。」ばかりではいまいち面白くないし。

原作では決して出会うことのないキャラが出会うわけだから、
それぞれのキャラに変化が生じるのはパロロワの魅力だと思うが、
それによって出てくる違和感も消さなくてはならない。

書き手のみなさん本当にお疲れ様です。

65:マロン名無しさん
10/04/13 22:44:37
その二人だけにとどまっているのが、かえって奇跡。

今だから話せるけど、佐原、赤松、涯は話の選択肢によってはマーダーになると思っていた時期もあった…。

>>61
ニコロワβでマーダーアカギに会えるよ。
斜め上の狂気の沙汰で大暴れしていた。

66:マロン名無しさん
10/04/13 23:47:21
三好や田中沙織も、「このキャラでこういう状況にあったらこういう思考回路になってもしょうがなあなあ」という
整合性というか、読者が納得出来るように展開を持って行くところが書き手さんってすごいなと思った
マーダーはある意味バトロワの華だし、バトロワに独特のヤマが出来て読み応えあるから
自分はマーダー絡み結構期待してる派

>>65
アカギ出てるの知らなくて今ちょっと見に行ったけど、ああいうアカギも面白そうだw
漫画ロワのアカギは滅茶苦茶格好良かったな…あっちもそうとう引っ掻き回してたがww

67:マロン名無しさん
10/04/13 23:48:40
なあなあってなんぞ…
一行目はしょうがないなあのタイプミスです

68:マロン名無しさん
10/04/14 06:44:27
キャラ崩壊の話題に変わっているけど、正直『抜道』は納得いかない
一億集めたら棄権、っていう一番最初に決まったルールがあるのに
最初にたどり着いた人はギャンブルして勝ったらOK、って特殊ルールが
突然でてくるのはちょっと強引すぎでは?
書き手がオリジナルルール作って良かったら、はっきりいってなんでもアリになってしまう
同じ書き手として、できたら事前に相談が欲しかった

69:マロン名無しさん
10/04/14 08:08:03
ただ、抜道は一時投下スレに事前に投下されていたし、
話としては強引さはあるかもしれないけど、矛盾はなかったと思う。
第一話の地下にあるって伏線も活かされていたし

70:マロン名無しさん
10/04/14 13:21:20
◆6lu8FNGFawです(アク禁に巻き込まれたのでレス代行していただいてます)
>>68
ご意見ありがとうございます。
したらばの作品議論スレで話し合いさせてください。
こちらで議論をすると、他の作品の感想を書きたい人が書きにくくなってしまうと思いますので。
あと私自身が規制で、こちらに書き込めないので。

71:代理投下
10/04/15 22:06:11
◆6lu8FNGFawです。
議論の結果、前スレ>>642(「抜道12/27」の部分まで)で、あとは破棄させていただきます。
新スレに渡って代理投下していただいたのに申し訳ありませんでした。
まとめサイトの管理人様、すいませんが「抜道」の本文は自分で修正できるのですが、他の部分(現在位置など)の修正方法がわかりません。
修正お願いいたします。お手数をおかけします。

状態表を書き直しました。こちらの状態表でお願いいたします。

【D-4/ホテル地下・交換所/黎明】

【佐原】 
 [状態]:健康 首に注射針の痕
 [道具]:レミントンM24(スコープ付き) 弾薬×29 懐中電灯 タオル 浴衣の帯 板倉の首輪 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:首輪を集める これからチップを稼いで脱出する 自力で生還する 森田を信用しない 遠藤と会いたくない
※森田が主催者の手先ではないかと疑っています
※一条をマーダーと認識しました
※佐原の持つ板倉の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は失っていません

【南郷】
 [状態]:健康 左大腿部を負傷
 [道具]:麻縄 木の棒 一箱分相当のパチンコ玉(袋入り) 懐中電灯 タオル 支給品一式
 [所持金]:1000万円
 [思考]:生還する 赤木の動向が気になる 森田の首輪集めを手伝う  森田ともう一度話したい
※森田と第3放送の一時間前にG-6のギャンブルルーム前で合流すると約束しました。
※一条をマーダーと認識しました

72: ◆zreVtxe7E6
10/04/15 22:10:55
>>52
一応、いろいろとフラグを立たせて頂きました。
実は会長を出し抜けるフラグもあります。
52様の仰有る通り、その様な展開もアリですね。
生かすも殺すも、次の書き手様次第です。
どうなるのか、自分が一番ワクワクしております!


そして、前作・今作とご感想頂き、有り難うございました。
今回の事を念頭に、更なる作品作りをしていきたいと思います。


73: ◆uBMOCQkEHY
10/04/15 22:11:29
>>71

了解しました。
残りの箇所は本日中に修正します。
また、修正が終わり次第、本編を投下をしたいと思います。

どうか、その時は皆様、支援をお願い致します。



74: ◆uBMOCQkEHY
10/04/16 00:14:47
すみません。
本日中にと言いながら、仕事疲れから転寝してしまい、次の日の日付に・・・。
これから作品を投下します。

75:偶然と誤解の末に 1
10/04/16 00:23:26 6evkP1JO
遠藤は目の前に建つ民家を見た。
民家は一階建ての安い借家のような建物で、乾いた畑を連想させるようなやや煤けた壁とこげ茶色の屋根が印象的である。
周囲が闇に包まれていることもあって、人間の生活臭が感じられない外観はどこか不気味さを覚えてしまう。

少し前に遠藤のパソコンに参加者のデータが送信された。
一時間前、黒沢は石田と治と共に沙織から逃れるために民家へ逃げ込んでいた。
そのまま朝方まで身を潜めているかと思われていたが、ショッピングモールが炎上した直後、
石田は突然、ショッピングモールの方面へ移動してしまったのだ。
現在、黒沢もその後を追っている。

なぜ、石田が燃え盛るショッピングモールの方へ向かったのか。
明らかに危険であると認識する場所に赴くにはそれなりの理由が必要である。
主催者はその理由を断定できなかったらしく、パソコンのデータでは経緯についてしか触れていない。
しかし、今までの石田の行動から判断すると、石田は道中、ダイナマイトをいくつか紛失している。
ショッピングモールの火災はそれが原因であると考え、さらなる二次被害を防ぐために・・・。

ここで遠藤は頭を振る。

―行って何になるっ・・・!
   ダイナマイトを回収しようというかっ・・・!
第一、あの火災は沙織が給湯器を撃ったことによって起こったもの・・・!
ダイナマイトとは一切関係ないっ・・・!
仮にダイナマイトが付近に落ちていたからといって、あの火災を鎮火できるとでも思っているのかっ・・・!


76:偶然と誤解の末に 2
10/04/16 00:32:01 6027zSI1
あくまで、遠藤が考えた石田の行動理由は推測でしかない。
しかし、石田がショッピングモールへ向かった理由が二次災害を防ぐためならば、それは己の罪を滅ぼした気に浸るための自己満足以外の何物でもなかった。

何よりも遠藤には気がかりなことがあった。
石田の位置を確認した時、もう一人の人物の姿を確認することができたのだ。
その人物は遠藤にとっては忌まわしき――

―田中沙織っ!!

マシンガンで撃たれた時の痛みと血飛沫、
己の真上を過ぎていく銃弾、
牙を剥いたオオカミのような沙織の形相、
燃え盛る室内、息苦しさ、骨折の激痛・・・。

ショッピングモールでのおぞましい出来事が、フィルムのコマ送りのように遠藤の脳裏に蘇る。

遠藤は己の肘の下にあるキャリーワゴンを見た。
キャリーワゴンは木の組み方がしっかりした作りで、高さはバーのカウンターぐらいであろう。
今の遠藤は右肩負傷、左足首が骨折という重傷を負っている。
そこでこのキャリーワゴンに両肘を置き、それに寄りかかりながら移動することによって、右肩と左足への負担を軽減させている。

―あいつのせいで、俺はこんな目にっ・・・!

遠藤は歯がゆさと苛立ちが入り混じった重々しい表情を浮かべる。

77:偶然と誤解の末に 3
10/04/16 00:35:34
熱を持った爆弾のような精神状態の沙織の至近距離に石田はいる。
石田がこのままショッピングモールまで進んでいけば、おそらく沙織と接触し、その命を狙われるだろう。
そして、石田を追っている黒沢も・・・。
もし、そうなれば、石田と黒沢は殺されるか、瀕死の重傷。
仮に重傷を負ってしまい、この民家に戻ってくれば―

―守ってもらうどころか、お荷物が増えちまうじゃねぇかっ・・・!

遠藤が黒沢たちに目を付けたのも、ほかの参加者に対して何の見返りもなく介抱すること、
腕力に期待できる黒沢がいること、
何より治はともかく黒沢と石田は無傷であり、遠藤を受け入れた時、その介抱に回る余裕があると判断したためである。
しかし、二人が沙織によって負傷されれば、遠藤に目を向ける余裕などない。
それどころか、もし、沙織が追いかけてきたら、遠藤達は沙織のマシンガンで蜂の巣にされるだろう。

―早くここから離れた方が無難なんだが・・・

それでも遠藤はこの地へ来てしまった。
理由はただ一つである。

―ダイナマイトっ・・・!

78:偶然と誤解の末に 4
10/04/16 00:38:40
黒沢は石田を追いかける時、何を思ったのかダイナマイトを民家に置いていったのだ。
遠藤は武器としてコルトパイソンを所持しているが、弾数が心もとない。
そこで身を守るための新たな武器として、このダイナマイトを奪ってから、ここを離れようと考えたのだ。

右腕が不自由で尚且つ、ライターなどの点火器を持ち合わせていないが、
相手に脅威を与えることは可能であるし、どこかで某かの点火器を発見するかもしれない。
また、石田と黒沢は現在、D-6とC-5と民家から離れた位置にいる上、幸いなことに周辺には他の参加者が存在していないのだ。
つまり、長居しすぎると危険だが、短い休憩拠点としては悪くない場所。
しかも、武器が隠されている。
こんな都合のよい状況を遠藤が見逃すはずがなかった。

遠藤はキャリーワゴンを入り口前に一旦置いておくと、やや痛みが和らいできた左足を引きずり、民家の中へ入っていった。

玄関の正面には台所へ続く廊下が伸びている。
廊下には光を受け入れる窓がないため、玄関を閉めれば、探索するのに一苦労するだろう。
しかし、他の参加者の侵入を防ぎたいという無意識の防衛本能から、遠藤は玄関を閉めてしまった。
廊下は墨のような闇に浸される。
しかし、例外的に廊下の先にある台所、廊下の左側にあるわずかに扉が開いた部屋、この二か所には窓があるためか、扉の隙間からぼやけたような光が漏れている。
遠藤はその光に導かれるままに、廊下を歩きだした。

手始めに、扉が開いた部屋を覗き込む。
遠藤はその部屋の光景を見て、一瞬、言葉を失った。
部屋中に鮮血がぶちまけられ、まるでB級スプラッター映画の惨劇が起きた直後の様相を呈していたのだ。
遠藤は呆れたような溜息をつく。

「これは・・・やりすぎだろ・・・」

79:偶然と誤解の末に 5
10/04/16 00:46:18
状況を分からない人間であれば、殺人が起きた直後の現場と認識する可能性もあるが、
それを差し引いても、まるで熊が部屋に侵入して大暴れした後のような荒れ具合である。
あまりにも過剰演出すぎて、却って怪しまれてしまう可能性の方が高かった。
黒沢の侵入者対策はある意味、初めから頓挫していたと言える。

「それになぁ・・・」

遠藤は部屋の中央に横たわる物体を見た。
物体の上には毛布がかけられており、もともと赤い毛布なのかと誤解させんばかりに血糊がべっとり染みついている。
遠藤は赤い毛布を捲った。
そこには蒼白した表情で眠る青年がいた。

「こいつが・・・治か・・・」

黒沢達と同行していた青年で、道中、嘔吐と頭痛を訴え、倒れた。
原因は不明。
パソコンでの履歴を確認すると、どうもゲーム開始早々、末崎さくらという男に頭部を殴られたのが原因のようであるが、遠藤には治の病状などどうでもよかった。
むしろ、気になったのは・・・

「これじゃあ、“彼は生きています”と言っているようなもんだろ・・・」

毛布は部屋のどの場所よりも血糊が集中しているのに、肝心の治自身には血糊が降りかかっていない。
部屋中に血糊をぶちまけたのも、事情を知らない参加者がこの現状を見れば、碌に確認せずに逃げ出してくれるという考えに至ったからこその戦略なのだろう。
しかし、そんな肝の小さい参加者はほんの一握り。
ほとんどの参加者は生き残るため、死体から犯人―殺し合いに乗っている参加者の特徴を特定しようと治を探り始めるだろう。
毛布を捲って、治にまったく血が付着していないことを確認してしまった参加者は・・・

「血糊はブラフと判断、優勝に近づくため・・・治を殺すだろうな・・・」

80:偶然と誤解の末に 6
10/04/16 00:53:04
治を庇うどころか、治を更なる危険にさらしてしまう戦略。
この詰めの甘さに、黒沢という男の底が見えてしまったような気がした。
遠藤は毛布を投げ捨てる。
手についた赤い塗料を忌々しく睨みつけたまま呟いた。

「あの男に頼ろうとした俺がバカだった・・・」

黒沢達の唯一のメリットであるダイナマイトだけ拝借し、早々に立ち去ろう。
遠藤はそう決心すると、治の周辺を見渡し始めた。





ズル・・・ガタ・・・

耳元で物音が聞こえる。
治はうっすらと目を開け、辺りを見渡した。
治の目に飛び込んできたものは壁から滴り落ちる鮮血によく似た塗料。

―あ・・・赤い・・・

治の意識は泥の中に溶け込んでいるかのように、現実と夢が交錯するまどろんだ状況である。
そのため、なぜ、赤い液体が壁に付着しているのかという考えまでには至らない。

―僕は・・・

混濁した記憶から、倒れる直前、黒沢と石田と行動を共にしていたことを思い出した。
横を見ると、黒沢と石田とも該当しない背格好の男が自分に背を向けている。


81:偶然と誤解の末に 7
10/04/16 01:02:30
―黒沢さん・・・石田さん・・・は・・・どこに・・・

「くろさ・・・」
治は彼らを探そうと勢いよく身体を持ちあげようとする。
しかし、その動きは途中で止まった。

脳の奥が絞られるようにズキンズキンと鈍く疼く。
それに刺激されたかのように、胃の奥で何かが押しあがる。

―この感覚は・・・

治はその場でうずくまり、口を大きく開けた。





「何っ!」
遠藤は反射的にコートの下に隠し持っていたコルトパイソンを引き抜き、音の方へ標準を合わせた。
そこには物言わぬ人形も同然であった治が半身を起こし、吐瀉しようとゲェゲェと激しい過呼吸を繰り返していた。
しかし、胃に内容物がないのか、涎だけが床に零れ落ちる。
治は標準の定まらない瞳で遠藤を見つめる。
「あ・・・あなひゃ・・・わ・・・」

82:偶然と誤解の末に 8
10/04/16 01:05:12
治の表情が凍りつき、喉に手を添える。
「あ・・・かは・・・」
言葉を発することができない。
自分の身に何かが起き始めている。
しかし、それを考えようとすればするほど、拒むように体中に激痛が走る。
治は身体の痛みを抑えるように、再び、その場に倒れこんでしまった。

遠藤は治の様子を見て一つの結論に行きつく。
「・・・脳挫傷か・・・」

脳挫傷とは、頭部を強打するなどの要因によって外傷を受けた際に、脳組織が損壊してしまう病状を指す。
これで脳の一部が機能しなくなり、治癒したとしても、言語障害などの麻痺が残る場合があり、今の医療技術では回復は難しいとされる。
さらにこの時、頭蓋骨が骨折しているとなお厄介であり、骨折により脳内の血管が傷つけられ、血が溜まり、
嘔吐・意識障害・運動知覚麻痺・痙攣発作・視野の欠損などの症状が起き、重症では昏睡状態になることもある。
治の症状はまさにそれであり、頭部の瘤は頭蓋骨骨折でせき止められた血液が溜まったものだった。

遠藤はコルトパイソンを下した。
「哀れだな・・・」

治の状況は事故が起きてから12時間ほどしか経過していない。
しかし、病状はすでに言語障害まで進んでいる。
つまり、急性脳出血。
すぐに医者に見せなければ、治の身体は更なる麻痺、酷ければ知能障害の可能性もある。
治に待っているのは死か、人格を失った人形になるか。
どちらにしろ、人間として欠陥品になることだけは確かであった。


83:偶然と誤解の末に 9
10/04/16 01:09:55
通常の人間でも苦しい体勢である。
脳に血液が刻一刻と溜まっていく治の肉体とって、どれほどの重荷となっていたのかは想像に容易い。
病状が異常な早さで進展してしまったのは至極当然のことであった。

遠藤はパソコンのデータから治が安静とは程遠い状況下にいたこと、黒沢達が最善を尽くそうとしていたことを理解している。
しかし、全てのタイミングがかけ違えたボタンのようにずれていき、修正が効かないところまで転がってしまった。
遠藤が口にした“哀れ”とは、誰の“努力”も“思い”も報われない結末への無慈悲さに対してであった。





「哀れだな・・・」
“この無能者がっ・・・!”
遠藤の一言は治にそう誤解させ、精神を引き裂く破壊力があった。

―僕は・・・僕の身体はっ・・・!

治の心は抉られたように悲鳴を上げ、慟哭する。
治自身、自分の身に何が起きているかは把握しきれていない。
しかし、直感的に自分の身体はこれから悪化の一途を辿っていくだろう。
それだけは理解できた。

84:マロン名無しさん
10/04/16 01:25:47
支援

85:偶然と誤解の末に 10
10/04/16 01:37:51
機能しなくなっていく肉体は黒沢や石田に負担をかけさせるだけである。
彼らに迷惑と思われたくはない。
迷惑に・・・

治は思考を止め、室内を見つめる。
壁は鮮血が滴り落ち、惨劇が繰り広げられていたことを物語っている。
また、目の前の男の右手は血に染まり、拳銃が握られている。

なぜ、壁に赤い液体が垂れ流れているのか、
なぜ、黒沢と石田がいないのか、
目の前の男は誰なのか。
疑問を突き詰めた時、パズルの最後のピースを当てはめたように、全てのヒントが一つの真実を導いた。

―黒沢さんと石田さんは・・・この男に殺されたっ・・・!!

実際は全くの間違いである。
黒沢達がいなくなったのは、石田がショッピングモールの火災に責任感を感じたため。
部屋の血糊はほかの参加者を治から遠ざけるため。
遠藤の手が血に染まっているのは治に掛けられていた毛布を握っていたため。
遠藤がコルトパイソンを所持していたのは己の身を守るため。

これらの偶然は、治が“二人は遠藤に殺された”というシナリオと構築するには十分すぎるパーツであった。

治の中で憎悪がたぎってくる。
黒沢と石田のために一矢報いなければならない。
治が覚悟を決めた瞬間、その機会が訪れてしまった。
遠藤があるものに気付いたのである。

86:偶然と誤解の末に 11
10/04/16 01:41:02



「あれは・・・」
遠藤の目にとまったのはディバックであった。
遠藤がここへ来た目的はこの民家にあるダイナマイトを頂くためである。
勿論、手に入れれば、すぐにでも退散する。
ここで善良な偽善者がいれば、治という弱者を見捨てる気かと説教をするかもしれない。
しかし、遠藤とて、他人を保護するまでの余裕はない。
遠藤は自分の身を守ることを選んだ。

「悪いが・・・このディバックもらっていく・・・」
遠藤がディバックに手を伸ばした瞬間だった。

「う・・・うおぉっ!」
突如、治が遠藤の左足に絡みついたのだ。
「なっ・・・!」
遠藤の身体がバランスを崩す。
「うがぁぁっ!!」
床に叩きつけられた途端、遠藤は苦悶の声をあげた。
治が掴んだ足は遠藤の急所―骨折した箇所であったからだ。
ドリルで穴を空けられているような無骨な痛みが遠藤を苦しめる。

なぜ、治が足に掴みかかったのか、遠藤には理解できない。
それもそうである。
治は直感的に感じたのである。
あのディバックにはダイナマイトがある。
二人を殺した男に取られてはいけないと。
“偶然と誤解の末に”決めた覚悟を貫いているのだから。

87:偶然と誤解の末に 12
10/04/16 01:42:50
痛みに耐える遠藤に治の心情を汲みする余裕などない。
遠藤は治の頭を掴み、足から引き離そうとする。
「離れろっ!!!」

しかし、治はそれを聞き入れない。
治にとっては弔い合戦なのである。
ここで退いては、天国にいる黒沢と石田にどんな顔向けをすればいいのか。

―僕は・・・二人の仇をっ!

治はあらん限りの力を振り絞って遠藤の左足に噛みついた。
ブッと肉がちぎれる音がする。
その音は遠藤の激痛に悶える悲鳴にかき消される。

「この野郎っ!!!」
ここが遠藤の我慢の限界だった。
遠藤は近くにあった毛布を治に被せる。
視界が暗くなったことに治が驚いた瞬間だった。
遠藤はコルトパイソンの狙いを治の頭部に定めた。
淡い月明かりとそれを呑みこもうとする闇が混じり合う静謐の空間に、乾いた銃声が轟いた。



部屋の中には血臭と硝煙の残り香が立ちこむ。
遠藤はしばらく呆然としていたが、我に返ると足を毛布から抜いた。
不幸中の幸いなのか、病状がかなり進行していたため、治の顎は本来の力を発揮しきれていなかった。
左足の傷は歯型が浮かぶものの、血がぽたぽたと滲む程度で済んだのだ。
しかし、足にはその傷で生まれた血とは別物の血がべっとりついていた。
遠藤はその血の主を見る。

88:偶然と誤解の末に 13
10/04/16 01:44:34
治は毛布を被ったまま横たわっていた。
部屋に入った状況に戻ったと言えるが、毛布に広がっていく血痕は映えるような血糊の赤とは異なり、濁った赤茶色という表現がしっくりくる。
治は部屋の状況にふさわしい姿となった。

遠藤は身体を伸ばし、ディバックを手にした。
治がこのディバックを守ろうとしていたのはこの中にダイナマイトが入っていることを知っていたが故であろう。

「さっきのもみ合いは・・・オレとあいつが生き残りをかけた戦い・・・
そして、オレが勝者になった・・・それだけだ・・・」

遠藤はどこか自分に言い聞かせるように、治を殺したことに意味を見出すと、ディバックを開けた。

「え・・・」
中身を見て、遠藤の心の中で何が落下した。
「う・・・嘘だろ・・・」

ディバックの中には、コートと拡声器、一般支給品のみで、肝心のダイナマイトがないのだ。
ちなみにダイナマイトは黒沢が民家を出る直前、台所の床下収納に隠しているが、パソコンのデータはそこまで情報を密に記載していない。

「ふ・・・ふざけるなっ・・・!」
遠藤はディバックを床に叩きつけた。
遠藤と治はこのゲームの流れを大きく覆す恐れのある“ダイナマイト”を手中に収めるために泥仕合をしたのだ。
こんな結末では、わざわざ手を汚した遠藤の行為も、治が命をかけて守った理由も・・・

「無駄じゃねぇか・・・」

89:偶然と誤解の末に 14
10/04/16 01:47:28
遠藤の心に罪悪感がじわじわと浸食していく。
もし、治が最低限の戦闘能力を持ち、且つ、殺意を向けていた青年であれば、遠藤も割り切っていただろう。
しかし、治は怪我に身体を蝕まれた病人、弱者であり、遠藤に立ち向かったのも、ディバックを守ろうとしたためである。
遠藤にとって、生き残るためとは言え、弱者を一方的にいたぶったという行為は不愉快極まりない。
だからこそ、自分を納得させる理由が欲しかった。
しかし、その理由は根底から崩れてしまった。

「畜生っ・・・」

治を殺害する直前に毛布をかけたのは、死体の直視を避けることで、己の罪の意識を少しでも霞ませようとしたため。
佐原には散々、殺し合いに乗ってみろと脅しておきながら、いざ、自分が殺し合いに乗ると、その罪の重さに押し潰されそうになっている。
はっきり言って、人を殺す前にその重さに気付いた佐原の方がよっぽど賢い。

「おかしくなったのは・・・強運を手放してから・・・いや・・・見放されてからだ・・・」
森田と決別した後から、遠藤の歯車が狂い始めた。

沙織の来襲、
ショッピングモールの炎上、
肩の銃痕と左足の骨折、
そして、治の殺害。

遠藤は森田を手放した代わりに、誰よりも神に近い目を手に入れた。
しかし、運命はそれをあざ笑うかのように、次々と試練を与えてくる。
それは神に近づきすぎた罰のようでもあった。
遠藤は呟く。

「哀れだな・・・」
この“哀れ”とは守る必要のなかったディバックを守って犬死した治に対してなのか、
“全てのタイミングがかけ違えたボタンのようにずれていき、修正が効かないところまで転がってしまった”自身に対してなのか。
それは本人にも分からない。

90:偶然と誤解の末に 15
10/04/16 01:48:52
【C-4/民家/黎明】

【遠藤勇次】
 [状態]:右肩銃創(痛むが腕を軽く動かすことは可能) 左足首を複雑骨折(応急処置済)と噛み傷 頬に火傷
 [道具]:参加候補者名簿  コルトパイソン357マグナム(残り4発) キャリーワゴン(島内を移動する為に使う)
     ノートパソコン(データインストール済) バッテリー多数 CD-R(森田のフロッピーのデータ) 不明支給品0~1 支給品一式
 [所持金]:800万円
 [思考]:ダイナマイトを持って逃げる 沙織、森田、南郷、佐原から逃げる
※森田に支給品は参加候補者名簿だけと言いましたが、他に隠し持っている可能性もあります。
※森田の持っていたフロッピーのバックアップを取ってあったので、情報を受信することができます。 データ受信に3~5分ほどかかります。
※キャリーワゴンは民家の表にあります。



【治 死亡】
【残り 21人】


91:マロン名無しさん
10/04/16 01:51:19
治かわいそうに・・・・
アカギに会ってほしかった

92: ◆uBMOCQkEHY
10/04/16 01:55:13
こちらで以上です。

救いようのない話でごめんなさい。

93: ◆uBMOCQkEHY
10/04/16 05:52:36
すみません。
抜けている箇所がありました。

94:偶然と誤解の末に 8.5
10/04/16 06:03:56
本来なら、短時間で、ここまで悪化するのは稀な例である。
悪化の要因の一つに、黒沢達の対応が的確でなかったことがあげられる。
まず、脳内出血を起こしたら安静に横にし、脳に振動を与えないように配慮すべきであった。
しかし、彼らは隠れる場所を探すため、治を“おぶって”移動した。
しかも、追い打ちをかけるように沙織に襲われ、全速力でD-5の別荘からC-4の民家へ移動した。
揺さぶられた移動という時点で脳にかける負担は大きい。
その上、黒沢達は逃げることに全神経を集中させたため気付かなかった。
背負っていた治の頭がのけ反っていたことを。



以上です。
寝ぼけたまま、投下したがゆえに・・・
本当にすみません。

95:マロン名無しさん
10/04/16 07:43:22
投下乙です…!

凄い…!
あのフラグからこんな事態になるなんて…!!

まさかの遠藤マーダー化か!?
続きが楽しみですっ

96:マロン名無しさん
10/04/16 10:02:00
おおお乙です!

仕掛けが空回りなところが黒沢らしい…
石田さんも治も亡くなった黒沢はこれからどうさていくんだろう

97:マロン名無しさん
10/04/16 12:33:04
乙です!

治ぅうううううううう!!!!!!!

体調に異変が出た時点で悪い予感しかしなかったがここで退場か…
せめて一度くらいアカギに会って欲しかったよ、ほんと
次の放送で治の名を耳にしたアカギは何かしらの反応を見せてくれるだろうか
スルーされる可能性も否定できないけどね

98:マロン名無しさん
10/04/16 22:54:19
治…お疲れさま
これぞロワって感じですね
遠藤も苦しいし、どうなるか…

残り人数ってあってますかね?
佐原棄権が無くなったから社長の時のも…

99:マロン名無しさん
10/04/16 22:54:58
と、忘れてた

乙です

100: ◆uBMOCQkEHY
10/04/17 08:33:20
皆様、ご感想ありがとうございました。

そして、治、ごめんなさい。

生存者人数ですが、
まとめサイトにアップした際に修正しました。

101:マロン名無しさん
10/04/17 09:48:33
ちょっと見ないうちに投下が三つも
テンションがめっちゃ上がったわww


そのあとめっちゃ鬱になった


102:マロン名無しさん
10/04/17 13:43:47
村岡、治・・・
ていうかギャンブルルームて村上以外もいたんだな

103:マロン名無しさん
10/04/17 17:32:05
え?

104:マロン名無しさん
10/04/18 01:11:59 +d3gpV+d
え?

105: ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 10:57:46
本スレでは、はじめまして。
一時投下スレにてご指摘頂いた点も含めて修正したものを、投下させて頂きます。

106:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:01:35

「――引き続き、諸君の健闘を祈る」
二回目の定時放送が終わったその時、仲根と別れた市川は、商店街を抜けて足裏の感触だけを頼りに、舗装された道を無造作に歩いていた。盲である彼にはあずかり知らぬところであったが、方向としては病院の方へと向かっている。
そう、盲人が一人、杖もその代わりになるものも持たずに、闇雲に歩く。
市川は半ば自棄になっていた。なるようになれ。そうさ、なるようになるものさ。
赤木に殺され、無為に過ごして来たこの6年間、そのうち野垂れ死ぬだろうと立った流浪の道で、なぜだか自分は生き続けてきた。そして今、この馬鹿げたゲームに放り出されてもなお、己は生き続けている。

―つい今さっきあった放送によれば、また4人が死んだ。
生き死にというのは市川の考えではとても簡単なものだったはずだ。それはこのバトルロワイアルという異常な環境下に限らず、それぞれ、おのおのにとっての「日常」の中でも変わることはない、と市川は思っている。

望めば望むだけ、死ねないものなのか。ならば、拒めば拒むだけ、死に近づけるとでも?

市川は、この島に来て以降、あまりに不安定にたゆんでいる己のツキに、思わず苦笑を洩らす。



◆◇◆

市川という男は6年前のあの晩に、赤木しげるによって殺された。
市川が己のものとして自覚している「死」というのは、何も、13のガキに負けたという結末ではないし、また、それにより己の代打ちとしての名に傷がついたことでもない。

ああいう人間の存在することそのものが、市川を打ちのめした。

何十年も裏の世界にいて、そこで5本の指に入るとまで言われていた、そんな高みに住んでいた市川をしても、なお、想像だにしなかった世界があった。
ぽっかりと口を開けて市川を飲み込んだ闇は、盲目の彼をしても足の竦む闇、もしかしたらそこは地獄の淵、それが赤木しげるという―化け物だった。

市川の心はあの瞬間、赤木に食われてしまった。そうして脱け殻になった市川には、いじけることしか出来なかった。
結局のところ―そういう6年間だったのだ。

市川は、ひっそりと思った。そうだ、認めなくてはならない。
わしはあやつが憎いのではない、あの鬼の子が、怖いのだ。


107:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:02:43

◆◇◆

ふと、背後から人の足音が市川の耳に届いた。
不思議な足音、軽快とでも言い表せそうな、ひどく場違いな足音。
しかしこの足音の主は、決して危機管理のなっていない能天気な間抜けではない。
むしろ逆。全てに注意を巡らし警戒しながら、それでいて、どうあっても避けようのない危機に出くわしたとしたら……その時は、己をすっぱりと諦めきれる、そういう準備と覚悟のある人間。
捨て鉢なわけでも強がっているわけでもない、最善を尽くすことを当然とし、そしてそれ以上に、人事を尽くしたところで天命が来るとは限らないことを当たり前としている心持ち。

常人の神経ではない。

市川は後ろから来る人物の足音だけでそれだけのことを読み取って、そしてほくそ笑んだ。

そうだ、こいつだ。これこそわしが望んだ相手よ!

市川はピタリと歩みを止めて、言った。
「誰だ」
待ち望んだ獲物がいると思えば、知らず口元には笑みが浮かぶ。

そして、突然誰だと問われて馬鹿正直に答える者もいないだろうと思って、後ろを振り返り―己が盲目であることを告げようとしたその時、信じられぬ声を聞いた。

「久しぶりだな、市川さん」

――赤木しげる!

赤木は村岡とのギャンブルを終え、使い様によっては己の身も滅ぼしかねないカード、鷲巣との待ち合わせに、病院へ向かっている最中だった。
鷲巣との約束では、二回目の放送後に病院でという話だったが、その放送は先程終わってしまっている。

やれやれ、完璧な遅刻だな。

赤木は心中ひとりごちる。今から急いで向かったところで遅刻は遅刻であるし、病院はもうすぐそばだったから、赤木は、市川から何か得る物があるかもしれないと考え、少しばかり寄り道をすることにした。


108:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:04:00

◆◇◆

市川を一瞥し、「アンタ、生きてたんだ」と続けた赤木の声はあまりにも平坦。平静そのものだった。市川の動揺と比較すると、市川が哀れなくらいだ。
無論、今の今まで背後の相手が誰だか分からなかった市川とは違い、目明きの赤木にとっては、歩く自分の前方に見覚えのある影を見つけ、方向が同じだったからそのまま後ろを歩いていたというだけのことではある。
―いや、動揺したとか平静であるとかいう話ではなく、今、両者の再会というこの場面に、赤木が、情報収集以上の意義を見出していない点が、市川にとっての酷であったか。



◆◇◆

市川は、赤木には会いたくなかった。仲根には恨み言を吐いたし、腹の中でも、幾度も赤木を思い起こしては、面白くない、はらわたが煮えくりかえる、と怒りをため込んでいた。けれども、市川は二度と赤木には会いたくなかった。だのに、出会ってしまった。
この島には、赤木に会うことを目的にしていながら未だ出会えずにいる参加者が多くいる。そんな中、赤木しげるにだけは会いたくないと願っていたはずの市川が、今こうして赤木とはち合わせてしまう。

やはり、望めば望むだけ願いは遠のき、拒めば拒むだけ、そいつはにやにや顔でこちらに近づいてくるのか。

めぐりあわせの不幸はあまりに皮肉に出来ている。


109:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:05:36
◆◇◆

赤木はぽつぽつと何やら話をしているようだったが、市川の頭には、その言葉はほとんど入って来なかった。そんな市川の様子を気にする風でもなかったから、赤木の話とやらも、大した話ではなかったのだろう。

―市川の耳には赤木の言葉が入っていかない。
市川が眼前にいるのは赤木と知って、真っ先に湧き上がった感情、それは恐怖だった。
つい先ほどひっそりと認めた己の感情を真正面から突きつけられる。
市川はそれをそっと自嘲の笑みとともに受け入れた。アレが化け物であることは、このわしがこの身をもって体感したことだ。

しかしだからと言って、市川も、やられっぱなしで黙っていられるような性質ではない。
それに赤木の異常性に恐怖したと言っても、この男を憎む気持ちが萎えたわけでは決してない。

市川は、話を続けている赤木の声を頼りにその距離と位置をつかみ、そうそれはいつか、6年前のロシアンルーレットでのことのように、しかしあの時とは異なり今は胸倉を、掴みかかろうと手を伸ばした、が、その手はパシンといとも簡単に、赤木によって軽く払われてしまった。

「今のアンタはちっとも怖くない」

赤木はそう言った。そして、何がおかしいのか「フフフ、」と小さく笑い、続ける。
「もっとも、6年前のアンタが怖かったかと言えば……。ククク、答えかねるがね」
そして赤木はまたしばし、独りで笑う。市川は払われた手もそのままに茫然としている。


110:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:06:07

◆◇◆

笑いをおさめた赤木は口を開いた。
「アンタのそれはニセの怒り…。自覚しているんだろう?分かっていながら道化を演じるのは感心しねぇな」
「…フン、わしなど貴様に負かされたその瞬間から道化さ」
「―それでアンタは、このゲームを自分の死に場所に選んだのか」
「…何か、言いたそうだな」
「いや別に。道化らしい最期なんじゃないか」

しごくあっさりと赤木はそんな感想を口にした。
赤木のその言葉の裏の、蔑むようなニュアンスに、市川は激しい怒りを覚えた。カッと頭に血が上る。しかし赤木はそんな市川の様子に頓着しない。

「じゃあな、市川さん。俺、急ぐんだ」

それだけ言って、立ち去っていく。赤木は、市川への興味を失っていた。サクサクと、来た時と全く同じような足取りで、市川からどんどん離れていく。
残された市川は、その場に立ちすくみ、ただブルブルと拳を震わせている。
赤木に対する怒りはほんの一瞬だった。今は、道化であると自ら認めた矜持の低さに、突然に強い恥を覚えていた。


111:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:06:51

◆◇◆

市川は立っていた。ただ立っていた。立ち尽くしていた。頭の中をめぐるのはこの島に来てからの、数々の言葉。

(ダメッ………!ダメですよ……自殺なんて………何があったかは知らないですけど……
 希望を持っていれば誰かが助けてくれることだってあるっ………!)

(アンタ、死に場所を求めてきたと言ったよな……
 たかが参加者数人道連れにしたところで、満足か?
 雀ゴロやただの中年、そんな奴らばかり殺して満足するのかよ)

(‥‥‥このゲームに参加してたら、死ぬことなんて簡単なのに‥‥、わざわざ、あんなことを言った‥‥‥。
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥きっと、ただ普通に死ぬのは嫌だったんだ‥‥‥‥‥‥。)

(うふふふっ………慌てない慌てない………いつでも殺してあげられるんだから……今回は見逃してあげるよ……)

(俺から見たら、アンタはただふてくされてるだけにしか見えねえ)

(いや、いいや…。どうでもいい…)

(今のアンタはちっとも怖くない)



(分かっていながら道化を演じるのは感心しねぇな)




どいつもこいつも、好き勝手言いやがってっ……!!


112:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:07:59

◆◇◆

やり場のない感情を胸に、市川は背負っていたデイパックを力任せに地面へと叩きつけた。
手榴弾は上着のポケットに入っているが、デイパックの中にはICレコーダーのような精密機器も入っている。―そんなこと、今の市川の頭にはない。よしんばあったとして、ICレコーダーが壊れたところでどれほどのものかという気分でもある。

市川は、脱け殻の人生に嫌々している。飽き飽きしている!
誰が、好き好んで道化など演じるものか。そこまでわしを追い詰めたのは、赤木しげる、貴様だろう!

しかし、ここで市川は悟る。赤木が憎いわけではない。むしろ―市川は赤木を羨んでいた。己の持ち得なかったものをたかが13の子供の身体に宿した赤木しげるという奇跡を、ずっと、恐怖しながらも羨望していた。

市川の憎いのは、運命とも言うべき何か。
己と赤木しげるを出会わせ、戦わせた、その「力」!
人は常に、それに抗うことも許されず、生かされ、殺され…。

市川は標を思い出した。聡明な子供、全てを見透かすかのような瞳は赤木を思い起こさせて不愉快であったが、未来ある、可能性に満ちた、抜きん出た子供。
それが十に一つの一つに殺された。
不運だった。
あわれな。


同じことなのだろう。
わしが赤木しげるに出会ってしまったことは、不運。

ただただ、不運だったと。

それだけのことだったのだ。


113:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:08:34

◆◇◆

生きるか死ぬかという、このバトルロワイアルの中に長時間いて、また、多くの、多様な人間とぶつかり合って、そして何より赤木しげるとの6年ぶりの再会を果たして、市川の精神はかつてない境地にいた。
人や自己や命、生、人生とかいったものを、真に無造作に、他人事のように考える。
一度そちら側に足を踏み入れてみれば、これまでの自分がいかに薄っぺらい偽物だったのか、強く思い知らされる。

結局、わしはわしが一番かわいかったのだ。
それで、それがいけないということではない。大物を気取っていながらそういう己の甘さ、不平等さを自覚していなかったことが、今となってはお笑い草なのだ。
誰もが等しく死ぬときは死ぬ……口でそういいながらも心のどこかで「しかし自分は違う」という考えがあった。
それは意志を持ち思想を抱き未来を見ることの出来る人間にとって、決して消しえぬ感情。死をすっかり受け入れることなど不可能である。
だから、否定するのではない。
受け入れるのだ。あるいは、諦めるのだ。
共存しえたその時、人間は人間としての殻を破る……!

「フ、フフフフ、クックックック……」

市川は笑った。市川は今、赤木をニセの感情でもっても憎いと思わない。
それどころか、この6年間どうやってもぬぐいきれなかった「みじめさ」すら消え去っている。
まるでそれは、6年前に死んだ市川という男が、今、生まれ変わったかのような。



114:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:09:22

◆◇◆

心に一陣の風が吹きぬけていった。

それは地獄から来る風。

市川は風の来た方を見据えた。

あれ程までにこだわってきた赤木のことが、今ではさほどでもなかった。

地獄の淵は臨めるだろうか。




狂気―偽物ではない、相手を脅すための見せかけでも、トリックでもない、本物の狂気が、市川の心を覆っていた。




115:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:10:04

【E-5/路上/深夜】

【赤木しげる】
 [状態]:健康
 [道具]:五億円の偽札 ロープ4本 不明支給品0~1(確認済み)支給品一式 浦部、有賀の首輪(爆発済み)
 [所持金]:500万円
 [思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す 死体を捜して首輪を調べる 首輪をはずして主催者側に潜り込む

※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※五億円の偽札
五億円分の新聞紙の束がジェラルミンケースに詰められています。
一番上は精巧なカラーコピーになっており、手に取らない限り判別は難しいです。
※2日目夕方にE-4にて平井銀二と再会する約束をしました。
※鷲巣巌を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※鷲巣巌に100万分の貸し。
※鷲巣巌と第二回放送の前に病院前で合流する約束をしました。
※第二回放送後に病院の中を調べようと考えています。(ひろにメモが渡ったのは偶然です)
※首輪に関する情報(但しまだ推測の域を出ない)が書かれたメモをカイジから貰いました。
※参加者名簿を見たため、また、カイジから聞いた情報により、
帝愛関係者(危険人物)、また過去に帝愛の行ったゲームの参加者の顔と名前を把握しています。
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
 接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
 それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※カイジを、別行動をとる条件で味方にしました。
※村岡隆を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと村岡のみが知っています)


116:本物と偽物 ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:12:11

【市川】
 [状態]:健康 軽い興奮
 [道具]:モデルガン 手榴弾 ICレコーダー ライフジャケット 支給品一式
 [所持金]:0円
 [思考]: ダイナマイトを取り返す ゲームを覆す才覚を持つ人間を殺す 

※有賀がマーダーだと認識
※6年前赤木に敗北したことから始まる、全ての精神的しがらみを克服しました。
※克服により、市川の思考が上記状態とは変わっている可能性もあります。(次の書き手さんに任せます)

117: ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 11:15:43
以上になります。
粗相はない…と思います。

118:マロン名無しさん
10/04/19 14:45:19
乙です。

本当に初投下の方ですか?
文章が綺麗すぎて驚きました。
…私もそんな文章を書ける人間になりたい…。


ここでまさかの支援伝説アカギの再来ですか…。

市川さんにまさかのエンジンがかかってしまうとは…。

沙織とはまた違った火種の持ち主。
今後、どうゲームに影響を及ぼすのか期待です。

119: ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 20:57:20
感想ありがとうございます!
そのように言って頂けると、とても嬉しいです。

個人的に趣味で小説を書くことはあったのですが、パロロワやリレーは初体験です。
独りで好き勝手に書くのとは違った楽しさがありますね。
ハマってしまいそうです。

書き手の皆様が、アカギを漫画ロワのアカギとは違う道を歩ませようとしていることは、一読み手としてひしひしと感じていました。
しかしそれと同時に、このロワでの市川にとって、アカギに敗北したことがその後の人生にどれほど影響を及ぼしたのか、というのも大変に強く感じられ、アカギと再会することによって覚醒(?)する市川というものを書いてみたくなってしまいました。

結果は…ご覧のとおりですw
実のところ、へろでの、まさかの市川生きてた!に衝撃を受け、市川にスポットを当ててやりたくなったのです。

…長文失礼しました。

120: ◆zeQAuI6x.c
10/04/19 21:05:49
……一部日本語が変ですね。
酔っ払いの粗相です。失礼しました。

121:マロン名無しさん
10/04/19 21:05:56
というか市川さん気にしすぎだよな
勝負は互角だったわけだし

まあ勝負後のアカギの倍プッシュに応じず抜け殻になってるあたりが
本物かどうかの境目なんだろうな 鷲巣とは違うところ

ロワの鷲巣にもワシズのワジズ並に滅茶苦茶やって欲しいというのは叶わぬ願いか・・・

122:マロン名無しさん
10/04/19 22:17:53
そうそう、「手札」での、赤木に対する鷲巣の反応には感動すら覚えたなあ。
赤木に負けてもなお、委縮せず立ち向かう鷲巣はすごくよかった。

いや、鷲巣は現状でも、あれだけ体ボロボロにしながらよく頑張っていると思うよ。
と言いつつも、確かに、「鷲巣ならきっと」と、期待している自分もいる。

123:マロン名無しさん
10/04/19 22:38:33
おおっと、失礼。
そして投下乙です。
個人的に、なんとなく市川に対してモヤモヤ~っとしたものを感じていただけに、
今回の展開は白黒ついたかんじがしてスッキリしました。
これから市川は「狂気」のままに突き進んで行くのか。楽しみです。

124:マロン名無しさん
10/04/19 22:55:31
投下乙です
これは初投下とか凄まじいな…
市川は…勝負には負けたが一皮向けた
これからが怖いわ…

125:マロン名無しさん
10/04/25 04:25:26
わく…
てか……

126:マロン名無しさん
10/04/27 21:53:35
                , '  ,.へ、    \     _|__  ゝ
              /  ./  v\     ヽ     |, -‐ 、
               ノ   〈 u \、  ヽ..___, 1 ',  .<|   _,ノ  来いっ……!
         ,.. -一''´ /⌒i 〉 v v゙ヽ ヽ.__,. !. }
      ∠_-‐    l(7//u { \、l,,`ー'' レ  _|__  ゝ  来いっ……!
_,,.. -‐'' " ̄,二ニ=‐、 ヽ/'∧ヾ:ヽ._。ン,,  _'.ニラ"´   |, -‐ 、
` 、,,. -‐'' "   │ i.  l |ヽヾ:ミ;;彡  <。_ノ   .<|   _,ノ
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.   ',        | l │U\,.、`'ー`ュ、 :|      _|__  ゝ
   |.       |  !. |.\. ~`'ー= ェェシ`’        .|, -‐ 、  来いっ
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  /        |.  |)// ./    |          .|, -‐ 、  来いっ……!
、/          |  |/ / /     l        <|   _,ノ
 \         |.  l. /,.イ       l_,,. ‐''"           来いっ……!
   \       |  l /'  l     l         -─-、
    \     | l∠..‐''"レ''" ̄``ヽ           __ノ
.       \ _,,. ‐''"     /      \      o 投下よっ
      , ‐'''`ー-、      {. /´⌒ヽ. ヾ.l i.゙、      o   来ぉいっ……!
ヽ.   /      `‐、     ヽ.)   } .」 } } }     o
.  ` (         、_ \       r'_,ノノ.ノ/       予約でもいいからっ…
.   \  、 \ \、 ヽ       `         「|   来いっ……!
保守…


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