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天下無双柳生石舟斎の実力
師はこう言った。「我が剣は天地とひとつ。」
この言葉に近づく為に剣を振る。
自身がこの剣を会得し、広める事が出来れば世に無駄な血が流れずに済むからである。
天地とひとつ。それは繋がりである。
大地の上に立ち、天の光の恩赦を受ける我々動植物の食物連鎖や人間同士の繋がり。
我々は決して一人で生きているのではない。お互いが繋がり合ってこの世はひとつの物として成り立っているのである。
そして、これらを感じ取る事が出来れば自身に敵意を持つ相手とも繋がる事ができ、動きも感じ取れる。
さらに言えば相手の動きは自分の動き。相手の剣は自分の剣。自身に振り下ろされる刀を受け取るのも容易である。
かつて訪れた武蔵はその繋がりを持てる才能を持ち合わせていた。
意識レベルで石舟斎と武蔵は繋がり、石舟斎の偉大さを感じる事ができたのである。
お互いを理解したった時、石舟斎は思う。こやつの殺気は凄まじいものだが、やがてはわしや師の様に剣を天地とひとつまで昇華し、無駄な争いをしなくて済むのではないだろうか。
そういった期待をこめて石舟斎は言った。
「天下無双はただの言葉だ。」