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草加拓海は、我が見聞が広まるにつれ、この世界の思いがけない広大さに驚愕の念を隠しきれなかった。
なんと我が世界は、昼間の社会の中では隠れ蓑を着て佇んでいた。友情だとか、同志愛だとか、博愛だとか、師弟愛だとか、兄弟愛だとか
また、対立だとか、好敵手だとか、闘争だとか、競争だとか、親の敵だとか、弱肉強食だとか、
それからまた種々雑多の職務や地位…社長だとか、秘書だとか、芸能人だとか、親分子分だとか、従兄弟同士だとか、
伯父甥だとか、土木作業員だとか、スポーツ選手だとか、運転手だとか、作家だとか、画家だとか、音楽家だとか、
勿体ぶった大学教授だとか、会社員だとか、学生だとか、 軍人だとか、自衛隊員だとか、
兎に角、男の世界のありとあらゆる隠れ蓑を着て佇んでいた。
自分たちの至福の世界の到来を願い、共同の呪われた利害要求で結ばれ、最終的には彼らは一つの単純な
公理を夢みていた。即ち男は男をほっするものだという公理が、男は女をほっするものだという古い公理
をくつがえす日を夢みていたのである。
「それが、ジパングなのだ…」
「貴様、そんな事を本気で!」
~完~