美少女戦士セーラームーン連載中 ☆4at CSALOON
美少女戦士セーラームーン連載中 ☆4 - 暇つぶし2ch69:マロン名無しさん
09/03/24 00:28:31
胸に黒バラが咲くとなんで血まで黒くなるんですかセンセイ!
…いま思ったんだが、黒い血ってアニメで再現されたら相当グロいだろうな

70:マロン名無しさん
09/03/24 00:31:01
>>69
ヘモグロビン涙目

71:マロン名無しさん
09/03/24 16:32:42
アルテミスまで変態に目覚めるとは思わなかった…。

72: ◆P9MoonSjzo
09/03/25 21:44:54
Act43-2

「しっかし ほんとうに今年の夏は暑いわね☆」今日は美奈子達四人で十番商店街に偵察にやって来ていた。
「なんだか街の中がますます荒れてきたわね☆」
商店街の隅にはたくさんのゴミが捨てられていて―美奈子達は気づいていないが、そこにはレムレス達がわらわらと潜んでいたのだった。
「デッド・ムーンサーカス!とにかくあのテントをつぶさないとな!どうする?いっそ奇襲でもかけるか!?」まことが意気込む。

おもむろにレイが見覚えのある手鏡を取り出した。「それ?」
「みちるさんの鏡ちびうさにかりてきたの このみちるさんの鏡でなにか異変を感じとれるかと思って 最近暑いだけじゃなく不穏な空気を感じるのよ」
亜美も険しい顔つきになる。「サーカス団を中心に異様な気(オーラ)が十番を包んでるわ 結界か洗脳波か」―結界!?
美奈子は内心驚き、動揺を悟られぬよう、胸の前で帽子をぎゅっと握り締めた。
―まさか そのせいであたし変身できないんじゃ…… でもそれにしたっておかしいわよね あたしだけなんて……

「美奈?」「あ ううん なんでもっ その結界ってあみちゃん自分で調べたんだ スゴーイ!」
「そう せつなさんにもらったプログラムでね」その言葉に、美奈子はピクリと反応した。
不意に、空からヘリコプターの音が聞こえてきた。まことがサングラスを前髪の上にずらしながら、懐かしむように空に微笑んだ。
「―ヘリの音をきくと つい はるかさんたちじゃないかって思っちゃうんだよな
はるかさんたちみたいにヘリを足に使えたら 調査もラクにできるんじゃないか?…なんちゃってー 免許ももってないクセにー」「……五回」



73: ◆P9MoonSjzo
09/03/25 21:45:36
「え?」「きょう集合してから あの三人の名まえがでた回数が 全部で 五回」イライラが頂点に達してしまった様子の美奈子。
「いない人のこと考えてたって しょーがないと思う!」「美奈?」「三人がいたらたよれるってハナシだよ」美奈子がムキになって言い返す。
「どうせあたしは たよれないリーダーよ!」亜美達は当惑してしまう。「そんなコトいってないじゃない」「美奈 ヘンよ きょう」
美奈子はしばらく沈黙していた。「美奈?」「……どーせヘンよ ヘンでケッコー!コケコッコーッッ!!」
美奈子は力一杯に捨て台詞(?)を吐くと、どこかへ駆け出していってしまった。

走りながら、美奈子の目にはじわりと涙が滲みでた。「……これじゃリーダー失格だわ☆」―ああ サイテーッ!
―ああ どうしてこんなにイライラするの?どうしちゃったの?あたしの力 なんで変身できないの?
―こんなんじゃ敵があらわれたってどうやって戦えってゆーのっ!?
美奈子がティッシュを取り出し、思いっきり鼻をかんでいると、スーツを着た男が近づいてきた。
「きみ アイドルのオーディションうけてみない?」

「スカウトされたあ!?」寝耳に水の話に亜美・レイ・まことにルナ達はびっくり。美奈子は優雅に髪を?き上げてみせる。
「そ!と いうワケで あたしこれからオーディションうけにいって あたしの夢だった!!アイドルにっ!!なにがなんでも!なってみせますv」
レイは一人だけ興味なさそうに「……なれば?」と突っ込んでいる。

亜美が眼鏡を取り出し、目を光らせた。「あやしいプロダクションじゃないでしょうね スカウトマンの名刺見せてっ」
そこには【(株)デッド・ムーン興業 Mr.Xenotome】の文字があった。「デッド・ムーン興業ッ!?」「美奈~~ あんたコレッッ」
「いってきまーすっv」「美奈ッ!?」美奈子はそんなことどこ吹く風で、笑顔で出かけていってしまった。





74: ◆P9MoonSjzo
09/03/25 21:46:18
―あたしだってバカじゃないわ デッド・ムーンのワナだってコトぐらいわかってるわよ
アルテミスが慌てて追いかけてきた。「美奈ッ!まてよ!ナニ考えてんだよ!一人でのりこむ気が?変身もできないクセにっ」
「うるさいわねっ」怒り心頭の美奈子は、アルテミスの口にテープを張ってしまった。
―これはあたしの力を発揮するチャンスなのよ!あたしはリーダーよ!行動あるのみ!のりこんでやるわ デッド・ムーンに!
―セーラーヴィーナス!シュミと実益かねて戦わせてもらいます!

こうして美奈子はたった一人でデッド・ムーンのアイドル・オーデイション会場に乗り込んだのだった。
―いつのまに まわりにこんなデッド・ムーンのビルが……!?このごろやけにムシ暑いせいか ここはとくに息苦しいカンジがする
―熱気だけじゃないわ たしかに異様な空気がただよってる ―あたしたち 知らないうちにやつらに侵略されているんじゃ
……よし!てってー的に調べてやるのよっ!

会場には、美奈子含め水着を着た少女達で溢れかえっていた。―え~~っ☆こんなに女のコたちが集まったの!?
不安に駆られた美奈子はセーラーV時代のコンパクトを取り出した。―あたし一人じゃみんなをたすけるのはムリだわ
やっぱり亜美ちゃんたちにレンラクを…… ―でも―― あたしが変身できないことがみんなにバレちゃう―!
―ううん!弱気は禁物!“弱くても相撲取り”よ!美奈!あたし一人で戦ってやる!そう決めたのよ!

「みなさん!オーディション会場であるテントの中へどうぞ!」広いテントの中は、まるで熱帯雨林が再現されているようだった。
「さあ!サバイバルオーディションの開始です!このオーディションはストーリー仕立てとなっています ひとりひとりが勇者となり
ジャングルをぬけ あの塔の上の子どもたちを救うのです!」なんと、鉄柱で作られた塔のてっぺんには、あまりの恐さに泣いている子供たちが見えた。
―あんなところに子どもたちを!!
「一位のかたには賞金500万円と!TV・映画の主役!CM出演 CD発売などが決まっています!!では!!スタート!!」


75: ◆P9MoonSjzo
09/03/25 21:47:02
少女達は、我先にと凄い勢いで走りだした。ジュンジュンがこの様子を木の上から傍観していた。
「ふふっv怒れ怒れ もっともっとエネルギーを放出しな そのエネルギーとおまえたちの夢を レムレスどもが悪夢にかえてく
こんなに大量に悪夢をふやせるなんてうれしいねv」

美奈子が慌てて止めに入った。「みんなおちついて!このオーディション変よ!テントからでるのよ!」「うるさい!あたしたちはアイドルになるのよ!!」
ところが少女達は全く聞く耳を持たない。「まってみんな!!」

後を追おうとした美奈子の前に、突如大きな岩石が転がってきた。「あぶない!!」
咄嗟に美奈子の盾になり、素手で岩石をはね退けたのはジュピターだった。「ジュピター!?」
「美奈!もうこういうのはナシだぜ!」「そうよ!のりこむときはみんないっしょよ!」マーズとマーキュリーも駆けつけてきてくれていた。
「美奈!変身よ!」美奈子は一瞬ためらうが…。「ヴィーナス・プラネット・パワー!メイクアップ!!」
やっぱり、何の変化も起こらない。「美奈!?」―ダメだ!やっぱり変身できない このままじゃみんなの足手まといになるだけだ!!
「先にいく!」「美奈!!」美奈子は皆の止めるのも聞かず、ジャングルの奥へと走っていってしまった。

草木を掻き分け進んでいくと、目の前には先に行った少女達が倒れていた。周りにはレムレスが蔓延っていた。
「みんなしっかりして!!」―どんどんふえてくコイツら!まさかコイツらがみんなのパワーをすいとってる!?
美奈子はぎゅっと拳を握り締めた。―みんなアイドルになりたいだけ そのキレイな夢を利用してえじきにしようなんて!!
―ゆるせない!こんなイベントぶっつぶしてやる!デッド・ムーン!!助けてみせる みんなを!!
美奈子は子供達を助けるために、果敢に塔をよじ登っていった。






76: ◆P9MoonSjzo
09/03/25 21:48:45
ところが、そんな美奈子の頬をナイフが掠めた。塔の頂上にはゼノタイムが待ち構えていたのだった。
「さすがくさってもセーラー戦士 レムレスのえじきにならず ここまでくるとは!」

「美奈!あぶない!」マーズ達が助けに行こうとするが、突然、威嚇するようにたくさんのナイフが飛んできた。
「オーディション参加者じゃない者がいるようね」ゼオライトが鋭いナイフを宙に浮かし、追い込まれた三人を脅す。
「ヘタに動くと 変身できないおまえの仲間の命の保障はないよ」どこからかわらわらとレムレス達が湧いてきた。
「さあ レムレスども セーラー戦士をくいつぶしておしまい!あはははっ」

そのころ、美奈子は自力で塔の頂上までよじ登ることに成功していた。「やった!みんな いま助けてあげるからね!」
ところが、なんと子供達は恐ろしい目をしたかと思うと、レムレスへと姿を変えたのだった。―子どもじゃない!しまった!!
突然、大量のナイフが飛んできて、美奈子は床に貼り付けになってしまう。ベスベスが笑顔で擦り寄ってきた。
「おめでとう!数々の難関をクリアーし あなたがダントツ一位でここまでたどりつきました!
さあ!アイドルまであと一歩!最後に特別な宝さがしをしてもらうわ ―レムレスちゃんたちv」―レムレス!?

レムレスは動けない美奈子の頭の中にどんどん入りこんでいく。「うふふvおまえもこれでデッド・ムーンの一員よ」
むくりと起き上がった美奈子の目は、正気ではない。「さあ 仲間たちのところへいき “幻の銀水晶”をうばっておいでv」
美奈子はにんまりと笑った。「“幻の銀水晶”を われらデッド・ムーンの手に…… くすっv」



77: ◆P9MoonSjzo
09/03/25 21:50:14
物影からバッとアルテミスが飛び出してきたかと思うと、美奈子の顔をバリバリと引っ掻いた。美奈子は痛みで正気に戻ったようだ。
「しっかりしろ!美奈ッ」「アルテミス!?」ベスベスは舌打ちをすると、ダンッ、と床を踏みつけた。
その時だった。なんと美奈子の居た床がパカッと開いたのだった。―うそっ……おちるう~~~

みるみる落下していく美奈子の腕を、すんでのところでアルテミスが掴んだ。「アルテミス!?」……だめ… うでがちぎれそう……!!
「このへんであたしにもおたのしみをちょうだいv」この場に不釣り合いな微笑みを浮かべて、パラパラがふわりと現れた。
「玉あられ!!」パラパラが唱えると、なんと必死に美奈子を支えるアルテミスの上に巨石が降ってきたのだった。
「アルテミースッッ!!いやあああ」
●to be continued●




78:マロン名無しさん
09/03/25 22:17:37 FRo26cDF
えーと… 新リーダーはウラヌスあたりでよくね?

79:マロン名無しさん
09/03/25 22:20:49
珍しく引っ張ったな
アルテミスは猫の身なのに人一倍頑張ってて(というか無理してて)えらい
これで風呂覗いてなければ人気鰻登りだったのにもったいない

80:マロン名無しさん
09/03/25 22:22:33
主役とヒロインはどうした

81:マロン名無しさん
09/03/25 22:26:16
鼻かんでる時にスカウトされるとかwww
でも何十メートルも(しかも水着でw)よじ登っていける美奈子はすごい根性の持ち主だよな

82:マロン名無しさん
09/03/25 22:28:48
今回ばかりは敵が容赦なさすぎて笑った
ところでうさぎは衛の看病に明け暮れているんだろうか

83:マロン名無しさん
09/03/25 22:31:40
>>79
単行本に収録される時に、アルテミスが変態に書き換えられてたりして

84:マロン名無しさん
09/03/25 22:34:06
怪力ジュピターすげええええええ
まこちゃんはこれから先そのキャラを押し通すつもりなんだろうか

85:マロン名無しさん
09/03/25 22:36:02
次回、実ははるかみちるせつなの内の誰かがアイドルのオーディションを受けていて、助けにくる展開希望

86: ◆P9MoonSjzo
09/03/27 21:30:48
Act44 夢6 ニュー・ソルジャー・ドリーム

一人の少女が、寝ころびながら詩集を広げている。
「“―たしかに なにか啓司が近づいている たしかに「再来」の時が近づいている”
“―「再来」そのことばを口にするやいなや 「世界の霊」からの巨大なイメージが わたしの視界を乱す―”
“―砂漠のどこかで 獅子の胴体をもち人間の顔をもつ怪物が 太陽のようにうつろで非情なまなざしで凝視し
ゆっくりと足を動かし そのまわりには怒れる砂漠の鳥たちの影が旋回する―”」

―あたしの夢はね 愛する人とその人の子どもと お花のさいてるかわいい家で 幸せにくらすことなの
はるかは、信号を待ちながらうさぎのことを想っていた。―君の夢は?そうたずねたら 君はそんなふうに答えるだろうか
横に付いた車の男が、はるかを見て口笛を鳴らした。―青いフェラーリ ―F512-M 十二気筒最高出力440PS 最高速度315km/h
―風をあやつる最速のマシンだ その風にふさわしく青いメタリックのボディ
―“AZZURRO HYPERION” ―紺碧の彷徨の巨人神(ハイビリアン)―か  ―男かな 女かな
男は、はるかの耳に光るピアスに気がついた。―女だ!

男はサングラスを外しながら、はるかに声を掛けた。
「ねえ ひとりなの?よければいっしょに走らない?そのあとお茶でも……」信号が変わると同時に、はるかはアクセルを全開にした。
「―このはるかさまに声をかけるなんて 百億光年早い!」
風のように駆けだしていった青いフェラーリを見て、男は目を回してしまうのだった…。


87: ◆P9MoonSjzo
09/03/27 21:52:03
その頃みちるは、大きな花束を持って、店でCDを見ていた。みちるの姿を見つけて、男が声を掛けてきた。
「あのっ 海王みちるさん―ですよね?ああっやっぱりホンモノだあっ!オレ大ファンなんです!CDぜんぶもってます!
あくしゅしてください!このCDショップよくこられるんですか?あ!この近くにおすまいとか?」

横からスッと差し出された手。はるかは笑顔で、しかしとんでもない力を込めて男の手を握った。
「やあやあCDぜんぶ買ってくれてドーモドーモ」痛みのあまり絶叫する男を放置して、はるかは渋い顔のみちるの肩を抱いた。
「おまたせv」「……☆」「まっ白いバラか いいね ファンにもらったの?」
「ざんねんでした 買ったのよ あたしたちの新生活スタートちょうど半年めのお祝いに」「―もう半年か」はるかは感慨深げに呟く。

連れ添って歩く二人の華やかな姿は自然と人目を引いた。“見て!バイオリニストの海王みちるよ!”
“帰国してたの?海外に移住してってウワサだったじゃない?”“あれがアツアツの彼氏 F1テストドライバーの天王はるか?”
“カッコイーイッ!!いっしょにすんでるってほんとうかしらっ”“見て見て!二人の左手のくすり指!”“うそ― あの二人ケッコンしてたの!?”

帰りの車の中で、はるかは薬局に目を止めた。「みちる!おむつと粉ミルク大特売だって!すげーやすいよ」
みちるは運転しながら笑みを見せた。「はるか まだなれてないわね ウチのおヒメサマは ミルクもおむつももうとっくに卒業したでしょ?」

家ではせつながパソコンに向かっていた。その左手の薬指には、はるかやみちると揃いの指輪が光っていた。
すると突然、ガシャーンと派手な音が響いた。続いて聞こえてきたのは、激しい子供の泣き声。
「キッチンだわ ああもう☆さっきまでおとなしく本読んでたと思ったら おねがいだからあの二人が帰ってくるまで大ケガしないでちょうだい」
キッチンで泣きわめいている少女の腕には皿の欠片で切ったのであろう傷が出来ていたが、なんと少女は一瞬で傷を消してしまった。



88: ◆P9MoonSjzo
09/03/27 21:53:32
「ただいま―v」「あち―っ 今年の夏の暑さはイジョーだよ」二人の声に気づき、少女はぴたっと泣きやむと、玄関に向かって駆けだした。
「はるかパパ!おかえりっ!きのうのゲームのつづきしよっv」
「きょうはみちるママとバイオリンのおけいこの日!」「え――っ」「えーじゃない さっさと着がえる!」

「……やられた」キッチンの惨状を見て、みちるは頭を抱えた。「ラリックとロイヤルコペンのおさらが……こなごな」
「……ごめん ついさっきまでおとなしく本読んでたんだけど」せつなが詫びる。仕方なく、みちるは素手で割れた皿を拾い始めた。
「ムリもないわ あの子書斎の本をとっくに読みきっちゃってるんだもの このあいだなんてウェルギリウスの詩を暗唱したのよ
目の玉がとびでたわ あたし」「―ほんとうに 毎日のことながら ほたるの成長速度のはやさには ついていくのがたいへんだわ」
「毎日が夢のようさ」とはるか。「ほんとうね」少女を着替えさせながら、みちるが相槌を打つ。

「びっくりしたわ この子(ほたる)がとつぜん 朝おきるたびに恐ろしいほどのスピードで成長しはじめて この半年でこんなに大きくなるなんて」
「あたしたちが新生活をはじめて きょうでちょうど半年め―」みちるは白薔薇を花瓶に生けてテーブルの上に飾った。
「あたしもずっと夢を見てるみたいだわ」「おしめをかえてやってたころはおとなしくていい子だったのに
ぐんぐんでかくなってこんなやんちゃなガキになるとは」足を元気にバタつかせるほたるを抱っこしながら、はるかがぼやく。
ちなみにしつけ・教育係はせつな、食事・健康管理はみちる、おしめと遊び相手がはるかだ。

―そう ほんとうに 毎日がまるで夢を見ているよう ―あの日食も―せつなは半年ほど前の日のことを思い出していた。
―四人で暮らしはじめて 数週間後のあの皆既日食の日 ―あの日 あたしは東京湾天文台で観測をしていた
―不吉な予感がしたの 四人での生活をはじめて 最初の ―いやな予感



89:マロン名無しさん
09/03/27 23:07:47 H0j83WRM
「一次接触(※日食の開始)―確認」白衣のせつなは祈るような気持ちだった。―なにごともおこらないで
「二次接触(※皆既日食の開始)―確認」―闇が どんどんおりてくる
突然、目の前の観測員がぐにゃりと歪んで見えた。―え!?

「……つなさん せつなさん?」観測員に肩に手を置かれ、せつなははっと我に返った。
「汗びっしょりですよ 皆既日食ぶじおわりましたよ」―ぶじ!?いいえいまのは!一瞬空間がゆがんだわ!だれもなにも感じなかったの!?
―なにかが異空間から侵入したわ―!敵!?調べてみなければ 変身して調べてみなければ
一人になったせつなは、変身のスペルを叫んだ。「プルート・プラネット・パワー メイクアップ!!」ところが、せつなは変身することはなかった…。

「…つなママ せつなママ?」我に返ったせつなは優しくほたるの頭を撫でた。「ごめんね なんでもないわ」
―もう半年 ―わかっていたことだわ あのとき戦いはおわり あたしたちはべつべつの道を選んでしまった
―変身できない それはきっとあたしたちの使命がおわったしるし―
―なのに あの日食の翌日から ―ほたる あなたは毎日みるみる恐ろしい速さで成長をはじめた
―ほたる あなたのその力は ―目ざめのしるしなの?あなたはなにを伝えようとしてるの?なにがおこるの?

「こんにちはーっ」「みちるせんせーいっ」家に訪れた子供たちを、みちるが笑顔で出迎えた。「いらっしゃい きょうも時間どおりね みんな」
みちるは子供達に順にレッスンを施した。「はい よくできました じゃあつぎはほたるちゃんね」“くるぞくるぞ”子供達はひそひそと話しあう。
「さん はいっ」ほたるがバイオリンを奏でると、なんと背後に翼を広げたエリオスの幻が現れたではないか。
「でた!ペガサスのユーレイだ!!」子供達が悲鳴を上げる。「せんせい!まただよ!先週もあのユーレイでたよね!」
「どうしてほたるちゃんが弾きだすとでるの?」「みんな静かにっ…」





90: ◆P9MoonSjzo
09/03/27 23:10:19
しばらくすると、なんとエリオスに続いてちびうさの幻も現れた。みちるは呆然と見つめるしかない。―あれは スモール・レディ!?
エリオスとちびうさの幻は、廊下へと駆けだしていく。「まって!」「ほたる!?」ほたるもその後を追っていく。
廊下の角を曲がると、そこには動かなくなったエリオスを前に、泣き崩れているちびうさの幻があった。

後を追ってきたみちるは、ほたるの表情を見て不安に駆られてしまう。―まえからは想像もつかないくらい 明るく元気に育った ほたる
―でも一瞬 凍るような 冷たいひとみになるときが ある まるでサターンのように―
「―あの子 見たことある みちるママといっしょに写真にうつってた あの子泣いてた あのペガサスが死んじゃったからだ かわいそう……」
みちるは哀しげな眼をすると、ほたるを後ろから抱き締めた。―この子は また 目ざめてしまうのかしら

みちるは皿洗いをしながら、はるかは窓の景色を見やりながら、せつなはパソコンと向かい合いながら、薬指の指輪にキスを落とした。
―ずっとこの家で 四人で暮らせたら― ―でも 心がさわぐ 夢からさめる その時が 近づいてくる―

部屋の一室で、ほたるが目を瞑って力を集中させている。目の前には、太陽系の星々のミニチュアのようなものが浮かんでいる。
それを見守るはるか。冷たいドリンクを用意したみちるが部屋を訪れた。「太陽系を育てるゲームは順調に進んでる?―はるかの役目はなんなの?」
「ほたるひとりじゃ力が暴走しちまうんだ 力をコントロールする“おさえ”の役だな」
「すごい…!きのうあんなにたくさんあった微惑星がぜんぜんなくなったわね ガスもどんどん消えてゆく……」
「過去からのできごとを高速でシュミレートしているの いまねちょうど四十
六億年 完全な現在の太陽系になったわ」
「なにか小さく光ってる これは?」「小惑星たち― 自分の意志とはカンケーのない ―新しい生に 生きるべきか死ぬべきか とまどってる光よ」





91: ◆P9MoonSjzo
09/03/27 23:11:58
「―この白く光るのは 月ね ……キレイ まるで真珠のようだわ」みちるが思わず見とれてしまう
「まるで青いガラス玉の地球をつつんでるみたいな光だ」はるかの脳裏に甦ったのは、笑いかけるうさぎの姿。“はるかさあん”
―あの子をいつもつつんでいた光だ
はるかの目から涙が零れた。「はるか……!」みちるがそっとはるかを抱きしめる。「……会いたいな」
「あいつら…… みんな元気でやってるかな」空は雲行きが怪しくなり、遠くで雷が鳴りだした。

「―いま ちょうどこないだの皆既日食をすぎたわ」はるかとみちるは太陽系の異変に気が付いた。
「―地球がどんどん黒くなってゆく……!」「日食はおわったんじゃないのか―?」「―月の光が…」「まっ黒に……!」
「ほたる!」不意に呼びかけられ、ほたるはびっくりしてホログラムをパァンと消し去ってしまった。
「―きょうはこのへんでおしまいにしよう おふろへ入ってからゆっくりおやすみ」「うん」はるかはそっとほたるの頭を撫でた。

「皆既日食のあとの 闇につつまれる地球と月― それがほたるの見たビジョンなのね
東京上空に出現した時空のゆらぎ 異常な気温の上昇 各地での植物の異常増殖 ―原因不明の街の荒廃
それらがすべて新月に支配されていることがわかったの そして異変はすべてあの皆既日食の日からはじまっている―!敵が侵入してきたのよ!」
「わかっているわせつな!だけど」みちるが叫んだ。―あなたはあの日東京湾で あたしはそのあとウィーンの公演中で はるかはアフリカのレースで
―闇につつまれ荒廃しはじめる街や人の中に たしかに敵の影を察知した ―でも変身できなかった!








92: ◆P9MoonSjzo
09/03/27 23:12:39
「―もう変身できないのよ!もうあたしたちには 外部太陽系戦士としての力はないのよ」
「―もう必要とされてないってことか わがプリンセスに 見はなされたってことか」はるかが呟いた。
「―もうあいつらは あたしたちがいなくてもりっぱに戦ってゆける」―プリンセスを守ってゆける
―変身できない それは ―あたしたちは必要じゃない そのしるしなの―!?
●to be continued●






93:マロン名無しさん
09/03/28 00:00:15
ほたる、ご都合な成長してるなw
この分だと本シリーズ中に4人一緒に参戦しそうだ。

94:マロン名無しさん
09/03/28 00:44:45
ほたるがちびうさを覚えてなかったことがショックだ

95:マロン名無しさん
09/03/28 00:49:13
みちるさんは指が命のバイオリニストなんだから素手で割れ物持っちゃだめでしょ
それにしても生活感溢れるはるかさんとみちるさんを見れてなんだか嬉しい
せつなさんは家族というよりなんか事務員ぽいw

96:マロン名無しさん
09/03/28 00:51:50
部屋の中で太陽系を作るほたるスゲー
…そういえばドラえもんでそういう話があったな

97:マロン名無しさん
09/03/28 00:55:41
>>93
ほたるは三つのタリスマンが揃わないとサターンになれないんじゃない?
ちびうさがみちるさんに鏡を返さないと

98:マロン名無しさん
09/03/28 01:00:02
※この間美奈子はずっと宙吊りになっています

99:マロン名無しさん
09/03/28 01:02:22
アニメでは確か土萌教授生きてたよな
どうするんだこれ

100:マロン名無しさん
09/03/28 01:08:46
ほたるは何歳位の設定なんだろうか
キッチンで悪さするってことは幼稚園とかその位か?

101:マロン名無しさん
09/03/28 01:16:14
>この子はまた目ざめてしまうのかしら

サターンとして目ざめる=自分の身を犠牲にして世界に再生をもたらす
ってことだよね
…これ早くもほたるちゃん死亡フラグ??((((゜д゜;))))

102:マロン名無しさん
09/03/28 01:33:39
せつなは、はるか・みちるみたいな熱々カップルと一緒に暮らしていると、なにかと苦労もあるだろうな
自分だったら色々気を使うと思うし居心地悪いと思う
心中察するわ

103:マロン名無しさん
09/03/28 01:41:29
>>102
ほたる「せつなママ、どうしてうちにはママが二人いるの?」
せつな「………」

みたいなことはありそうだ
頑張れせつなw

104:マロン名無しさん
09/03/28 06:28:55
URLリンク(seramyuantics.takaginaosama.com)
実写版タキシード仮面・・

105:マロン名無しさん
09/03/28 09:19:15
はるかに声掛けたナンパ君が、耳のピアスで女と確信してたけど、今だったら男か女か見分けられなかったんだろうな。

106:マロン名無しさん
09/03/29 21:24:04
百億光年早いって言われてもなぁ…

107: ◆P9MoonSjzo
09/03/29 21:40:50
Act44-2

ほたるが脱衣所で服を脱いでいる。雷の音が聞こえ、ほたるは思わず短く悲鳴を上げて大きな鏡に触れた。
ほたるはビクリと体を震わす。鏡の向こう側に映っていたのは、静かに微笑むセーラーサターンだった。
『―こわがらないで』「……だあれ?あなたは だあれ?」『―わたしはあなたの中の ねむれる あなた』「ねむれる あたし?」
『―目ざめのときがきたのです― 新たな使命の はじまりの時が』―目ざめなさい わが星土星の守護のもと ねむれるわたしの魂よ―

ほたるは本を持ったままゆっくりと湯船に浸かった。―目ざめなさい
閉じた瞼の裏に、パワーアップしたマーズ達や抱き合ううさぎと衛の映像が駆け抜けてゆく。―見える いろんなビジョンが―… いそがなければ
ほたるはザバッと湯船から出ると、脱衣所の鏡の前に立った。その中にいるサターンと、ほたるの背はぴったり同じになっていた。

「―“そして再び闇…… だが いまのわたしにはわかっている 石のようにねむっていた2000年の歳月が
ゆらゆらとゆれるゆりかごによって 悪夢をもたらされたことを」闇夜にカッと稲妻が走り、ほたるの大人びた横顔を照らした。

「ほたる?」はるか達三人は、部屋のドアを開けて入ってきた人物を信じられない思いで見つめた。
「―人は自分以外のもののために生きられるようになって はじめて生のスタートをきる―」
ほたるの額に光るサターンのマーク。「アルベルト・アインシュタインのことばよ」「……その 姿は……!」
「―時がきたのよ あたしたちの新しい目ざめの時が 何度生まれかわろうとも あたしたちはだれのために生きてゆくか きまってるの」
「ほたる…… それは……!」「―思い出したの?以前の記憶を……!」
「もうまえのあたしたちじゃない もう遠くから孤独に戦う必要はないの
あたしたちはあのときあたしたちのプリンセスとともに新しく生まれ変わったそしていまやっと時は満ちた」


108: ◆P9MoonSjzo
09/03/29 21:41:42
ほたるは子供らしくにっこりと微笑んだ。「ここまで育ててくれてありがとう はるかパパ みちるママ せつなママ
こんどはあたしが三人を導くばんよ みんなのもとへ!」ほたるは四人分のクリスタルを差し出した。
「新しい戦士としてのしるし あたしたちのクリスタルよ」突如、ほたるの前に聖杯が現れた。
聖杯の蓋が開き、うさぎと衛の幻影が揺らめく。二人とも青白い顔をしている。「―プリンス!プリンセス!?」
「―二人のようすがヘンだわ!」「これはいったい……!どういうことなの?」

ほたるは花瓶に生けてある白薔薇を一本抜きとった。すると、薔薇はみるみる枯れていってしまった。
「あたしたちの プリンスとプリンセスに 危機がせまっている ―いかなければ!」
四人の額に、守護星のマークが煌めいた。―ほたるを育てることをちかいあった 三人の約束の指輪 もう いらない
―いこう あたしたちのあつまるべき場所へ だっていつでもそこが あたしたちのほんとうの夢のある場所だから

美奈子の左腕に血が滴っている。アルテミスは巨大な岩石の下敷きになってしまったが、その腕は、決して放すことがなかった。
「アルテミス……!」―ごめんねアルテミス―!あたしいつもあんたにひどいこといってばっかり いじめてばかりだった
―いまわかった いまあたし体じゅうがこんなにいたい こんなに苦しいよ
―アルテミス!あんたはいつだってあたしと一心同体 あたしの分身だったのよ―!

美奈子ははっとして自分の左手を見つめた。握り合っているのは、人間の手同士だった。
長髪の男が、荒い息をしながら岩石を持ち上げた。「……いま わかった 美奈 キミが変身できなかったのは
パートナーであるぼくの力がたりなかったからなんだ」男の額には、三日月のマークがあった。「……アルテミス?」男はニコッと笑ってみせた。





109: ◆P9MoonSjzo
09/03/29 21:43:09
……体じゅうに力がみなぎってくる さっきよりもずっと強く つながってるあたしとアルテミス
「きみのヴィーナスクリスタルだ 美奈 さあ変身だ!」「ヴィーナス・クリスタル・パワ― メイクアッップ!!」
今度こそ無事に変身した美奈子は、宙吊りの状態から、塔の頂上に舞い戻ることに成功した。
「ヴィーナス!」アルテミスが頷いてみせる。「アルテミス!」ヴィーナスは感激のあまり涙ぐむ。

「よくもこのあたし 愛と美の女神ヴィーナスさまを さんざんいたぶってカスなあつかいしてくれたわねっっっ!
無敵の金星の女神の愛のムチ!!うけてみよ!!ヴィーナス・ラブ・アンド!!ビューティ・ショ―ッックッ!」
薔薇をモチーフにしたムチが乱れ飛び、ベスベスは姿を消したが、残されたゼノタイムは呆気なくやられてしまった。
「おのれっ」ゼオライトが投げナイフで応戦するが、ヴィーナスは上手く避け、ムチを振るった。ゼオライトもついに消滅してしまったのだった。

「マーキュリー!マーズ!ジュピター!」ヴィーナスが急ぎ三人の元へ駆け寄った。
「ヴィーナス!!変身できたのね!?」「みんなごめんね でももうだいじょうぶっ!」ヴィーナスは明るくVサインをした。
ヴィーナスはついさっきまでいた塔の頂上を見つめた。―アルテミス あんたのおかげよ

「せっかくの大イベント!このアマゾネス・カルテットが もりあげてあげるわ!」
「パラパラ!」「わかってるわセレセレ!玉かずら!!」パラパラが玉に力を込めると、なんと樹木の太い根が動きだし、
四守護神の体に巻きつくと動きを封じてしまった。「きゃあああっ」
「あたしたちはアマゾンの伝説の最強戦士アマゾネスの血をひく!」「アマゾネス・カルテット!!」
「アマゾンの密林 アマゾンの熱帯夜」「そしてわれらがアマゾネスにつたわる のろわれた石アマゾンストーンが」
「新月の闇のもと真の力を見せるのはこれからよんv」動けない四人に大量のレムレス達が襲いかかった。「いやっ!!」―アマゾネス・カルテット!?


110: ◆P9MoonSjzo
09/03/29 21:43:55
「みんな!?」ヴィーナスが叫ぶ。マーズ達三人は意識をレムレスに支配されつつあった。「しっかりして!みんな!」
「アルテミス!!」「美奈!」―やっぱりあたしの力だけじゃダメなの!?たりないの?あたしたち!―もっともっと力があれば
―敵をたおすために たいせつな人を守るために 力(パワー)よ あつまれ!!

誰かの声が聞こえた気がして、家にいたちびうさははっと顔を上げた。―胸さわぎがする 今夜もまた 星が一つも見えない
ちびうさはエリオスの言葉を思い出した。“あの黒いところはあなたのいた街ですよ”ちびうさの背筋に冷たいものが走った。
―これも敵のしわざなの?星が見えないくらい闇がひろがってるの?
“幽閉されているのです”―会いにいきたい ―いますぐ助けにいきたい エリオスはどこにいるの?―エリュシオンはどこにあるの!?

カタッと物音が聞こえ、ちびうさは振り返った。「うさぎ?」うさぎは苦しそうに咳きこんでいる。
「おそかったね まもちゃんのぐあいどお?」「うん だいじょうぶみたい…… ゲンキだったよ もうねるね」
うさぎはフラフラした足取りで部屋へと戻っていった。ちびうさは心配そうにその背中を見守った。―うさぎ?
●to be continued●





111:マロン名無しさん
09/03/29 21:53:19
アルテミスロン毛・・・

112:マロン名無しさん
09/03/30 01:55:30 px3yazK9
鏡に映るサターンにドキッとした
この演出好き

113:マロン名無しさん
09/03/30 01:59:43
ルナ→幻の銀水晶と聖杯の力で人間に
フォボスディモス→レイの意識の中で人間に
アルテミス→現実世界で自力で人間に

アルテミスすげーwww

114:マロン名無しさん
09/03/30 02:01:01
ルナ「髪長い男ってムサくてイヤ」

115:マロン名無しさん
09/03/30 02:02:26
亜美同様、ほたるもアインシュタイン厨だった件

116:マロン名無しさん
09/03/30 02:04:36
美奈子とアルテミスが絆を確かめ合っている間、待ってくれてる敵は優しいと思ってしまったw

117:マロン名無しさん
09/03/30 02:09:47
ほたるが風呂から上がったら、鏡(ガラス?)の中のサターンと身長がぴったり同じになったようだが
はるか達のいる部屋を訪れた時には少し身長縮んでないか?

118:マロン名無しさん
09/03/30 02:12:27
まさかと思っていたが変態はうさぎに呪いを移したっぽいな
戦わずしてなお迷惑をかける変態…

119:マロン名無しさん
09/03/30 06:22:33
>>117
前者は精神的な成長を表していて、
実際はそこまで伸びていないんじゃないか。

120:マロン名無しさん
09/03/30 06:27:06
>もうまえのあたしたちじゃない もう遠くから孤独に戦う必要はないの
ほたるはうさぎとかちびうさとか四守護神達に守られてなかったか?


121: ◆P9MoonSjzo
09/03/31 21:44:43
Act45 夢7 ミラー・ドリーム

四守護神は樹木の根に絡みつかれて身動きが取れない。―セーラームーン!!

もう駄目かと思った瞬間、息を切らした四人がテントに乱入した。「暑いわね あたしたちアマゾンへでも迷いこんでしまったのかしら」
「バカいっちゃいけない レース中のあの五十度近い地獄にくらべれば こんなジャングルはニセモノだね」
「そう ここはこの世にあってはならないものだわ」「破滅 あるのみ」アマゾネス・カルテットは一斉に振りかえった。「だれだ!?」
「ネプチューン・クリスタル・パワー」「ウラヌス・クリスタル・パワー」「プルート・クリスタル・パワー」「サターン・クリスタル・パワー」
「「「「メイクアップ!」」」」ヴィーナス達は信じられないように目を見開いた。―まさか……

「―深海の星 海王星を守護にもつ 抱擁の戦士 セーラーネプチューン」「天空の星 天王星を守護にもつ 飛翔の戦士 セーラーウラヌス」
「時空の星 冥王星を守護にもつ 変革の戦士 セーラープルート」「沈黙の星 土星を守護にもつ 破滅と誕生の戦士!セーラーサターン!」「参上!」
「天界震(ワールド・シエイキング)」ウラヌスの放った攻撃で、ヴィーナス達はやっとのことで呪縛から解放された。
「破滅喘鳴(デッド・スクリーム)!!」しかしアマゾネス・カルテットはすんでのところでかわしてしまった。―にげられたか!?
「おのれ セーラー戦士ども!」

「―ウラヌス ネプチューン プルート……!サターン……!……どうして……!?」ヴィーナスの目からぽろぽろと涙が零れた。
「サターン……!成長を……!?」サターンは力強く微笑んだ。
「美奈!」アルテミスが戦士達の元へ駆けつけてきた。「アルテミス!」―ネコの姿にもどったのね
「セーラームーンに知らせなきゃ!」「そうよ セーラームーンに!」口ぐちに叫ぶ四守護神に、ウラヌスが重い口を開いた。
「……彼女に いま君たちの声はとどかないかも……」




122: ◆P9MoonSjzo
09/03/31 21:48:42
その頃、うさぎは自宅のベッドで青い顔をして伏せってしまっていた。苦しそうに荒い息をするうさぎの元に、ちびうさが心配して付き添っている。
「うさぎ!うさぎ!?」「……だいじょぶ ねればなおるから……」「まもちゃんのとこから帰ってきてから なんだか苦しそううさぎ」
「あたし!みんなをよんでくる!」ちびうさはうさぎの部屋から飛び出した。

「玉あられ!」パラパラがセーラー戦士達の真上に巨石を出現させた。「深水没(ディープ・サブマージ)!!」
瓦礫と化した岩石が降り注いだが、戦士達はなんとかかわした。「なぜセーラームーンにわたしたちの声がとどかないの!?」
「ウラヌス ネプチューン プルート サターン ―なぜもどってきてくれたの?あたしたちのところへ」

ネプチューンがやっと口に出した。「あたしたちのプリンスとプリンセスに危機がせまっている」四守護神は衝撃を受ける。
プルートが続ける。「そのためにあたしたちは集結したのです その運命をさけて通ることはできない
だから全力であの二人をお守りし その運命をうけとめのりこえ 新しい運命を切り開く それがあたしたち十戦士の真の使命」
「玉はがね!」ベスベスが鋭く光る石つぶてを投げて攻撃してきた。「でも ひとまずこいつらをぶっつぶしてからの話だけどな」ウラヌスが剣を構える。
「宇宙剣乱是風(スペースソードブラスター)!!」

サターンはそっと跪くと、目を閉じて神経を集中させた。―スモール・レディ
部屋を出ようとしていたちびうさははっとして立ち止まった。“スモール・レディ”―この声は……!まさか……
“スモール・レディ”―でも この声は!“スモール・レディ”―この声は―!
ベッドの中のうさぎも、全身で十戦士の力を感じ取っていた。―感じる!あの三人が戦っている!!みんなが集結している!!
うさぎの目から涙が溢れた。

ネプチューンの手鏡が光輝き、外部太陽系四戦士が映し出された。“小さなプリンセス かならずまたあなたがたのもとへ帰ってくるわ 約束のしるしよ”
ちびうさも堪え切れず涙を流した。―約束通り四人が 帰ってきた―!?
「うさぎ!」「わかってる……!」うさぎは苦しげに咳き込んだ。「あたしにも

123: ◆P9MoonSjzo
09/03/31 21:49:33
「うさぎ!」「わかってる……!」うさぎは苦しげに咳き込んだ。「あたしにも見えたわ……!!」―みんなの姿が!!
「あたしもすぐおいかけてくわ!だからさきにいきなさいちびうさ!」ちびうさは決意の表情を見せた。
「ムーン・クライシス!!メイクアップ!!」ちびムーンは手鏡を取り出した。「サブマリン・ミラーッ!ネプチューンのところへ!あたしもすぐいく!」
手鏡は光を放ったかと思うと、フッと消えてしまった。ちびムーンはみんなのもとへと駆けだした。
手鏡は無事にネプチューンの手元へと辿りついていた。鏡に映ったちびムーンを見て、ネプチューンは微笑む。―スモール・レディ!

「―いかなきゃ あたしも」うさぎは重い体を引きずりながら、ルナの制止も聞かずに飛び出していった。
うさぎが必死で走っていると、向こうから衛が駆けてきた。「まもちゃん……!」「うさ!」
「きこえたんだ おまえのよぶ声が」「……あたしならだいじょうぶ……」うさぎは衛と手を重ね合わせる。「―うさ!?」
ところが、うさぎはガクッと崩れおちてしまった。「うさ!」衛はぎゅっとうさぎを抱き締める。
「まさか おまえの体…… ―まさか おまえの肺の中もおかされて……!」

「……いかなきゃ みんなが集結してる なにかがおこるんだわ」それでもうさぎは力強く前を見据えた。
「いかなきゃ 敵をたおすのはあたしの役目よ」
●to be continued●



124:マロン名無しさん
09/04/02 10:52:50 FrKt+I6Y
変態おまえよりによって主戦力に呪いを移すなよw

125: ◆P9MoonSjzo
09/04/02 23:49:57
Act45-2

「プリンスとプリンセスに危機……!?」―そのために全戦士が集結を……!
ヴィーナスがウラヌスに詰め寄った。「なにがおこるの!?あの二人はどうなるの!?」
ところが、ヴィーナス目がけて投げナイフが飛んできた。「きゃあっ」
「寝言をいっているヒマはないわ!」ネプチューンが一喝する。「見なさい!」ネプチューンが手鏡を上空へと向けた。
「深海鏡射(サブマリンリフレクション)!!」ネプチューンの手鏡から放たれた攻撃は、勢いよくテントを突き破った。
テントにぽっかりと開いた穴から見えるのは、重く垂れこめる新月だった。

「このサーカス団の上空に出現した あの巨大な新月― いいえ 新月の闇の中にぽっかり口を開けた異空間―
あそこから悪夢がどんどん地上へふきだしているのよ」
ヴィーナスは愕然とする。―そんな……!このテントに入ったときはなにもなかったのに
―ううん ずっと以前からすでに外は異様な空気と闇が蔓延してた……!!
「世界中の人びとが 街が やつらのあやつる悪夢にのまれだしている」外部太陽系四戦士は語る。
「この星のまわりはもうとっくに異常な暗黒バリアにおおわれている やつらはこの星を征服し 死の星とするつもりよ」

ちびムーンは一人、十番商店街をひた走っていた。街では喧嘩が横行し、浮浪者の姿も見える。
―闇がこくなってゆく 世界はこんなに暗かった?―いつからこんなに荒れた街になっちゃったの!?こんなの十番じゃないよ!
ちびムーンはテントの上の大きな新月に気が付いた。―あれはなに?まっくろい月……?ううん まるでブラックホール……

誰かに後ろから肩を叩かれ、ちびムーンは振り返った。そこにはセーラームーンとタキシード仮面の姿があった。
程なくして、三人はテントの中へと駆け付けた。
「ウラヌス ネプチューン プルート!―サターン!」



126: ◆P9MoonSjzo
09/04/02 23:50:46
「小娘どもめ てこずりおって!おあそびもそれまでじゃ」怪しげな老婆が目の前に立ちはだかり、セーラー戦士達は身構えた。
「クククッ よくきた セーラー戦士ども わたしは女王ネヘレニアさまにつかえる 霊魂導士ジルコニア
白い月の王国の者たちよ おまえたちがこの星に生まれかわっていたとは!だがもうおそい この街はとうにわれらのもの
この星もわれらの支配下にあるも同然 こんなもろい星 悪夢を無防備に受け入れる人間ども 呪いを自ら受け入れる弱い者どもに守られた星など!
赤子のクビをひねるようなもの!」ジルコニアの背後にはネヘレニアの巨大な影が透けて見えた。
セーラームーンとタキシード仮面は苦しげに咳き込むと、崩れ込んでしまった。

セーラームーンは精いっぱいの表情でジルコニアを睨みつけた。「ゆるせない……!弱さにつけこんで思いどおりにしようなんて……!」
「もう とうに白い月の王国はないのだ」ジルコニアはスッと杖をこちらに向けた。「消え去るがいい!呪われた者どもよ!」
「あぶない!!」ウラヌスが叫ぶ。杖から放たれた魔術は、セーラームーンとタキシード仮面両者に降り注いだ。

ペガサスの姿のエリオスは、二人の危機を察知した。―いけない!王子(プリンス)と王女(プリンセス)が!
エリオスは急いで二人の元へ現れたが、間に合わなかった。二人の体は抱き合ったままどんどん縮んでいってしまった。
「プリンス!?プリンセス!?」子供の姿に返った二人は苦しみながらも懸命に呪いと戦っている。
「じわじわと苦しんで息たえるがいい ククッ アハハハッ」

ジュピターはガクリと跪いた。「―まさか これがエリオスのいっていた 呪いの第二段階!?」
―呪いによって さらにペガサスの姿へ……
「こんな…… ひどい!」ちびムーンは涙を零しながら、ジルコニアをキッと睨みつけた。「ゆるせない!」
「これでこの星はもう守れない!ククッ アハハッ」そう捨てゼリフを吐いて引き返すアマゾネス・カルテット。
その後を追って、ちびムーンとサターンが揃って駆けだした。「ちびムーン!?サターン!?」


127: ◆P9MoonSjzo
09/04/02 23:53:46
―どんどん抵抗力がなくなってゆく!このままではお二人の命が……!
「エリオス!?」エリオスはパアッと光を放つと、なんとうさぎと衛と一緒に何処かへ消えてしまったのだった。

ちびムーンは前を走るサターンの後ろ姿を見つめた。―ほたるちゃん ―ううん セーラーサターン
「―大きくなったのね」サターンはピタリと足を止めた。「あたしはあたしの使命をはたすために そして」
サターンは力強く微笑んだ。「スーパーセーラーちびムーン あなたといっしょに戦うために!」

サターンとちびムーンがテントの一角に突入すると、そこではアマゾネス・カルテットが曲芸をしながら待ち構えていた。
「ようこそ!」「ようこそ!」「ようこそv」「今世紀最大のアマゾンからの神秘のデッド・ムーンサーカス!
大スター・アマゾネス・カルテットのショーのはじまりよんv」

「玉納豆!!」パラパラが術を唱えると、二人の体に粘液が纏わりついた。
「きゃははっvいいザマですわんv新月の闇の力をもつアマゾンストーンが おまえたちを地獄へゴショータイ!ってトコかしらんv」
サターンが懸命に説得を試みる。「その魔性の闇の力こそ おまえたちを地獄へしばりつけるもの 目をさましなさい!」
「玉ぐすり!!」「不動城壁(サイレンスウオール)!!」ジュンジュンの攻撃を、サターンはバリアを張って防いだ。
「おまえたちもその心を悪夢に支配されているのよ!わからないの!?」
「なにをいうの!?デッド・ムーンに生まれたときから あたしたちはこの神聖な新月の闇の力で 悪夢を自在にあやつってきたのよ!」
「その力はおまえたちのねむれる力がゆがめられたもの 利用されているだけよ!目をさませ!」




128: ◆P9MoonSjzo
09/04/02 23:55:24
「沈黙鎌奇襲(サイレンスグレイブサプライズ)!!」アマゾネス・カルテットは霧のようなバリアを張って凌いだ。
―にっくきシルバー・ミレニアムの者ども!われらの野望は白い月と青い星をわが手にすること
「!?」ちびムーンは耳を疑った。―暗黒の中サーカスの中 夢を見ることなんてゆるされなかった ―にくい!すべて白い月の者どものせいだ!
ちびムーンの頭の中にアマゾネス・カルテットの悪夢が流れこんでくる。―でもこの悪夢はすこしかなしい こいつらは敵じゃないの?

サターンは冷たい目をして死神の鎌を構えた。「目をさませ さもなくば死 あるのみ」
サターンは左手で鎌を構えつつも、右手をスッと差し出した。
「おまえたちは亡者にあやつられているだけよ」アマゾネス・カルテットが戸惑いつつも、その手を取ろうとした時。

「未熟者め!!」「ババさま!」アマゾネス・カルテットは恐れおののいた。「ゆるしてババさま!」
ジルコニアは四つの石を取り出すと、なんとアマゾネス・カルテットをその中へと封じ込めてしまった。
「わしが手塩にかけて育ててやった恩も忘れ 邪魔ばかりしおって ―おおジルコン そこの侵入者どもにも おいたをしたバツをせねばな」
ジルコンの目が妖しく光輝き、散らばっていた二つのガラスの破片が浮き上がった。
ちびムーンは咄嗟にカレイドスコープを取り出す。「ムーン・ゴージャス・メディテイ……」

ところが時すでに遅く、ちびムーンとサターンはそれぞれガラスの破片に閉じ込められてしまった。
ジルコニアは不気味に笑いながら四つの石と二つの破片を拾い上げると、ネヘレニアの住まう鏡の中へと投げ入れてしまったのだった。
●to be continued●





129:マロン名無しさん
09/04/03 18:44:19
原作セラムンでこんな風に敵と和解フラグって初めてじゃね?

130:マロン名無しさん
09/04/03 19:37:27
あたしはあたしの使命をはたすために-
すっかり凛々しくなったな~新生サターン

131:マロン名無しさん
09/04/04 00:36:18
もしアマゾネス・カルテットの4人が改心したらどうするんだろうか。
アニメでのあやかしの四姉妹みたいに普通の人になるのかな?

132:マロン名無しさん
09/04/04 08:46:37
原作じゃ普通に考えりゃ死ぬだろ

133:マロン名無しさん
09/04/04 13:57:42
改心してやっぱり死ぬwwwさすが原作すごく後味悪いですwww
悪役に同情の余地など無いとwww

134:マロン名無しさん
09/04/04 20:15:22
うーん…
アマゾネス・カルテットは意外にも生き残る気がするなあ
死ぬなら「許してババさま!」のところであっさり殺されてそう

135:マロン名無しさん
09/04/04 20:17:19
つーか誰か主人公とヒロイン(笑)の心配してあげてください><

136:マロン名無しさん
09/04/04 20:21:32
死に神と呼ばれるサターンに見込まれたアマゾネスカルテットは死なないと見た

137:マロン名無しさん
09/04/04 20:22:37
ほたるちゃん、ちびうさのこと思い出したんだね°・(ノД`)・°・

138: ◆P9MoonSjzo
09/04/04 21:44:11
[受験戦争編]
第3話 レイと美奈子の女子校バトル!? (「るんるん」1995年11月号掲載)

―あたし 愛野美奈子 十五歳ちゅーさんっvただいままこちゃんちで受験勉強まっさいちゅー゚・*:.。. .。.:*・゜
誕生日は十月二十二日(プレゼントちょーだいねっ(^^)v)てんびん座 のーてんきなB型ちゃんv
好きな色は黄色と赤 趣味はアイドルの青田買いとおっかけ 好きなものはカレーとラーメン キライなものはシイタケ☆特技は遊ぶこと……

気づけば、時計は22時25分を指していた。「あら もうこんな時間 じゃあ今夜はこのへんでエンドにしましょうか」
亜美の一言に、とっくに限界が来ていた美奈子は泣きながら万歳をする。「バンザーイ べんきょ― おわりっっ!」
この様子に、亜美はわなわなと震え、鉛筆をバキっと真っ二つにしてしまった。―そんな泣くほどよろこばなくても やる気あんのっ!?みなこっっ

「みんなー アップルパイあるけど食べる?」とまこと。「あ 食べる 食べるっv」アップルパイを頬張りながら、美奈子はすっかり元気を取り戻した。
「ねーねー テレビつけてもいいっ?」美奈子は思いだしたとばかりにH×Hの14巻を取り出した。
「あ うさぎーっ このまんがおもしろかったー つづきかしてーv」美奈子とうさぎはテレビを見ながらゲラゲラ笑っている。
「あー 勉強さえなかったらこーゆーのっていーよねえv」「女のコどーしで気ぃ遣わないし女子校みた―いv」
正直なヤツ、とまことはお茶しながらニコニコ見守っているが、亜美はすっかりご立腹の様子。―勉強さえなかったらっ!? だれのためにっっ

「あしたは日曜だしさ とまってけば?みんなv」まことが笑顔で提案する。「え―っっ うそ―っ とまりた―いっっv」
「じゃ― お夜食ナニがいいっ?vvv」―まこちゃんのつくるごはんは天下一品 お姉さんみたいで大スキv
「そーねっ 一晩かけてこの問題集みんなでおわらせましょ―かっ!」―あーみちゃんは…… ちょっとコワイケド 勉強カンケーたよりになるし
「ねーねーみなP しんやばんぐみでキレてるヤツあるのよお きょー見よーね」―ゲームとまんがとテレビのハナシはうさぎがいちばん!


139: ◆P9MoonSjzo
09/04/04 21:45:32
「―あたしは」レイは読んでいた本を静かに閉じた。「あしたお祓いがあるからパスするわ 朝早いの」「何時から?」「四時」
「四じ~~~っ!?」「いつものことよ」周囲が驚くのも気に留めず、レイはずずっと日本茶をすすった。
美奈子は横目でそんなレイを見やる。―いつも四じにおきてんの?マジッ??

―そして 火野レイ 同じく十五歳 中三 四月十七日生まれ ガンコな牡羊座のAB型 趣味はたぶん占い(よくやってるから)
だだっぴろい神社に おじーちゃんと二人ぐらしのブルジョワちゃん
―じつはこいつだけはちょっとズルイヤツである
「レイちゃんの好きな食べものってナニ?」美奈子が聞いてみる。すると「ん― フグかなあ」となんともシブい答えが返ってきた。
「特技は?」「座禅」美奈子は頬杖をつきながら、じっとレイを見つめる。「……レイちゃんてさあ」

「お ナ ラ と か す ん の ?」うさぎ・亜美・まことは盛大にお茶を吹きだした。レイは相当頭に血が昇ってしまっている。
「……ケンカ売ってんの?」「えー だって座禅のときでないのかなーって思って」悪びれる様子のない美奈子。
レイは亜美の眼鏡を借り、どこからかマイクを取り出した。まるで芸能レポーターかなにかのようだ。
「エキゾチックストレートロングが売りのレイちゃん!複数の男子校におっかけがいるってウワサですけど!」
「アタシ 男ってバカだと思ってるから」ツンとそっぽを向くレイに、美奈子はそこまでゆうっ?と呆れ顔。

―レイちゃんてばおじーちゃんと二人ぐらしでテレビだって見ほーだいのクセに
「家にいるとあんま見ないのよねえ うるさいしくだらないし」(ちなみにカルピスこども劇場とデビルマンは見ていたらしい)




140: ◆P9MoonSjzo
09/04/04 21:46:46
「ねえ レイちゃん もしかしてあたしたちに 気 遣ってる?」勉強できる環境を求めて帰ることにした亜美が、玄関で靴を履きながらレイに尋ねた。
「レイちゃんとこ受験ないし もっと有効な時間の使いかた……」レイはにっこり微笑んだ。「なに 気 遣ってんのよ いいのヒマだから」
―そう なにがずるいって レイちゃんには ―受験がない!こんなずるいことってあるっっ??
―ヒマだから受験べんきょーしてんのか―っ キサマは―っっ

「それはさ― レイちゃんトコ 小中高大一貫教育の私立の女子校なんだから あたりまえなんでない?」とまこと。
「天下ムテキの都内一等地の(六本木まで徒歩0分ッ!)ブライド私立 短大まであそんでてもいけるエスカレーター式!うらやましーっv」
うさぎとまことはキラキラと目を輝かせる。
「あっ きたきた おそーい レイちゃん」「ごめーん そうじが長びいちゃって」
麻布前派出所の警官が、レイを見て鼻の下を伸ばしている。「あ T.A女学院のコだぜ」「美人!あそこのセーフクいーよなーっv」
二人の警官は、傍に立っていた美奈子に気づくと、フッと鼻で笑って通り過ぎていった。
「キサマら~~っ いまハナでわらったなああっっ あたしだってぢょしちゅーがくせーよおおっっっ」
美奈子はまことが押さえていなければ暴れ出しそうな勢いだ。
―ちなみに あたし愛野美奈子の苦手なもの ママとおまわりさん ―ちなみに レイちゃんにはうるさいクソババア
―失礼 ママがいない そしておまわりもファンの天下のT.A女学院生 ……ずっこい ……なんか差ァつけられてる☆

やる気が起きず、ぐったりと机に突っ伏した美奈子を、亜美が覗き見る。「美奈ッ さっきから一ページもすすんでないじゃないっ」
美奈子はパラリと高校受験ガイドを広げた。「……アタシ 女子校うけよーかなあ……」
レイがクールに言い放つ。「わるいけど ウチのガッコは高校からの募集ないわよ」「ゆるせんっ」美奈子は本を真っ二つに割いてしまった。





141: ◆P9MoonSjzo
09/04/04 21:47:46
「このごろこればっか だれかなんとかしなよ」まことが呆れる。「受験からの逃避の矛先を受験のないレイちゃんにむけたわね」と亜美は冷静に分析する。
うさぎはにっこり微笑む。「なあんだ美奈Pvレイちゃんとおんなし高校いきたかったんだ―v」
「どーせ地球がひっくりかえってもはいれないわよっっ」美奈子がヒステリックに叫ぶ。
「まあ そりゃボシューしてないんだからムリだよなあ」まことが宥める。

さすがのレイも呆れ顔。「ないないってゆーけど ウチだって入試ぐらいあるわよ 毎年おちて高校上がれないコだっているし
だからあたしもここきてるのよ」「キサマーッ ヒマだからってゆってたぞーっっ」飛びかからんばかりの美奈子をうさぎが押さえる。
「女子校なんて 変化ないし生ぬるいし つまんないわよ 規則ばっかりキビシくて」
「へー キビシイんだ」「つまんないの?」ふーんと聞き入るまこととうさぎ。ところが美奈子は……。「ウソよっ」
「そんなのウソッ」あんたその自信はどっから、とまことは心の中で突っ込む。レイが冷めた目で言い放った。「じゃあ きて 見てみれば」

―とゆーわけで きたわよ―っ レイちゃんっv
T.A女学院の門の前ではレイが腕組みをして待っていた。まさか本気で来るとは思っていなかったようだ。
美奈子はセーラーV時代のコンパクトを取り出した。―こーゆーときのためにこのコンパクトはあるのよおおっv
「ムーン・パワー T.A女学院生にへんしーんっv」ボボン、と音がして、美奈子はおさげ髪に眼鏡の生徒に変身した。
「アラッ アラッ もちょっと美人にしてくれても~~」コンパクトは、ワガママッと内心悪態をついている。

「昼休みのあいだだけよ あんまし大さわぎしないでね」―女子校 それは女のコのステイタス ヒミツの花園゚・*:.。. .。.:*・゜
「わああーいっ アコガレの女子校のローカだああっ」美奈子はバタバタと廊下を走りだした。「みっ 美奈ッ いってるそばからっっ」



142: ◆P9MoonSjzo
09/04/04 21:48:52
「そこのあなたッ!なんて野蛮なっ おまちなさいっ」恐ろしい顔をしたシスターが、ビシッと十字架を突き付けてきた。
「ろうかを走るなんて神への冒涜!学年 組 出席番号即答なさいませ!」とっさにレイが美奈子を庇った。
「もっ もーしわけございませんシスター  ゲ リでトイレにいきたかったんですっ 以後気をつけますっっ」「そーなんですうっ もれそうでっっ」
レイが小声で美奈子に打ち明けた。「バカッ シスターにつかまったら反省室いき ムチでおシリたたかれて反省文の刑なのよっ」
まあっ キャンディのセカイッッ!と美奈子はびっくり。

レイと美奈子は豪華な食堂へとやってきた。「え― スッゴーイ!食堂があんのっ!?」
「ひええ~~ レストランみたいーっ キレイ―ッッv」美奈子は大声で話しながら昼食をがっつき始めた。
「おいしーいっvレイちゃんてば まいんちこんなゴーカなお昼食べてんのっ?ずっる―い」
すると、またもシスターがビシッと注意を投げかけた。「そこっ なんて野蛮な!食事はしずかに!」
「「もっ もーしわけございません シスタ―ッ」」
ちらっと覗き見ると、レイは優雅にスプーンを口に運んでいた。美奈子はドキッとしてしまう。……レイちゃん なんて……
「なんてまずそーに食べるの」「……よけーなおセワよっ」

校舎の外に出ると、生徒達が上品にバレーボールを回しあって遊んでいた。「あっ 火野さーん ごいっしょにやりませーん?」
「きょうは遠慮しておきますわ」ホホホ、と笑うレイに、美奈子はカルチャーショックを受ける。―でたっっ!女子校コトバッ
代わりに美奈子が元気に名乗りを上げた。「クラスメイト?ハイハーイッ 食後のハラごなしにあたしやるざますっ なんたってバレー部ざますよっ」
誘ってくれた生徒達は、まあっどなたっ?何語ッ?と困惑している。

「いくわよ―っっ これならあたしもなじめるわっっv」体操着に着替えた美奈子が力一杯にアタックを打つと、
ボールはぐんぐん伸びていき、なんと校舎の窓ガラスに激突してしまったのだった。「なんてやばんなっっ」シスターが窓から怒鳴り声を上げる。
「……いい あたしあやまってくるから」レイは怒りで顔を引きつらせた。


143: ◆P9MoonSjzo
09/04/04 21:50:13
「やっぱあたしにむいてない世界かも」肩を落としながら、美奈子がボールを探して校庭を散策していると、
ボールは古めかしい井戸の近くに転がっていた。「こんな奥にこのガッコになんてミスマッチ井戸?」
美奈子がカパッと蓋を開けてみると、もの凄い煙が噴き出てきた。そうしている内に学校のチャイムが鳴りだした。
「やばいっ はやくもどんなきゃっ」美奈子は咳き込みながらも急いでその場を後にした。

美奈子がみんなのところへ戻ると、レイは生徒達に囲まれていた。「ええっ火野さまが職員室のガラスをっ?」
「お昼休み何度もシスターに注意をうけてらしてっ 火野さまらしくないですわっ」
みんなと楽しそうに笑いあうレイを見て、美奈子はなんだか寂しくなった。―レイちゃん ……なんか しらないヒトみたい
「美奈」レイが戻ってきた美奈子に気づいて呼びかけた。「だれ?」「いやだ」泥だらけ埃まみれの美奈子を見て、生徒達はくすくすと笑った。
「やだ ドロだらけ」レイも思わずクスっと笑った。

美奈子はついに堪忍袋の緒が切れた。「……わらったわねっ」「え?」「どーせアタシはレイちゃんとちがって やばんよっパンピーよっ」
「レイちゃんなんかダイッキライッ」美奈子はそう言い捨てると逃げるように走って行った。―あ いまレイちゃんが ちょっとかなしそうなカオした

“野蛮ですわっv古井戸から解放されて 三百年ぶりのシャバの空気は 野蛮な空気がぷんぷんしますわっv”
空中に浮かんだ地霊の目に入ったのは、美奈子を探して走り回るレイだった。“おおっ なんて野蛮な服装の女子っv”
“野蛮な世の中を生きるには あのように野蛮な肉体が必要ですわっ”
「美奈!?」地霊は、視線に気づいて振り返ったレイの無防備な背中に一瞬にして入りこんでしまった。



144: ◆P9MoonSjzo
09/04/04 21:51:21
「あのっ!レイおねーさまっ!」一人の生徒がレイを呼び止めた。「……なあに?」
「調理実習でつくったクッキーですっ わたしわたし入学したときからずっとおねーさまのことをっ」「まあっ」
「なんて野蛮なっv」正気を逸したレイは、ぐいっと唇を突き出した。「野蛮なコはおねーさまが食べちゃいますわっ クチビルをおだしv」

……いいすぎちゃったかな、と美奈子がショボくれながら歩いていると、どこからか悲鳴が聞こえてきた。
「火野さまがあぁぁっ 下級生をっっっ みてしまいましたわっっっ」必死に此方へ走ってくる生徒の肩を、追いついたレイが掴んだ。
「まv大声をおだしになって野蛮ちゃんっv」レイは生徒の片足を抱き上げて唇を突き出してきた。
「野蛮なこねこちゃんは食べちゃいますわっvさvクチビルをおだしv」美奈子はどん引き。―レイちゃああんっ!!

―妖気ッッ 「ヴィーナス・プラネットパワ―― メイクア―ッップ!!」
「クレッセントブーメランッ」「はうっ」レイは一瞬怯んだ。「超野蛮ですわっっ どこのどなたですのっ!?」
「あるときはしがない受験生 またあるときは悩めるT.A女学院生!でもそれは仮の姿ッ!
その実体は!女子校生の友 愛と美の戦士セーラーヴィーナスッ!参上ッ」

「レイちゃんにとりついた悪鬼ッ!ショータイを見せなさいっ」地霊は一瞬レイの体から離れた。
“まv野蛮な子ザルちゃんっvわらわは花゚・*:.。. .。.:*・゜のお江戸のむかしからこの女の園に巣くう地霊 ゴーストシスターンvv”
“野蛮な子ジカちゃんはっ”地霊はシュワンッと再びレイの体を乗っ取った。そして、なんとそのままキスを迫ってきた。
「あたくしが食べちゃいますわっvんーっっっv」「ひえええっ」

「悪霊たいさ―ん」ヴィーナスによって顔にバシッとお札を貼られ、地霊は無事に消えさり、レイはばったりと倒れ込んでしまった。
「あ゛~~~っ レイちゃんごめん~~~」




145: ◆P9MoonSjzo
09/04/04 21:52:23
すると、歓声を上げて生徒たちがわらわらとヴィーナスの周りに集まってきた。「すてきっおねーさまっっ」「ヴィーナスさまーっv」
「さわらせて―」「写真とらせて―っ」ヴィーナスはなんだか照れてしまう。
「やっだ~~んっ もしかしてあたしって めちゃくちゃ女子校向き―ッ?vたのし―いっvまたきたーいっvあっ シスターッ?」
倒れていたレイは、その瞬間確かに嫌な予感を感じ取った。そしてそれは見事に的中してしまったのだった……。

「……美奈 このたいせつな時期に シスターににらまれて高校あがれなかったらあんたのせいよ」「……ごめん」美奈子はシュンとうな垂れる。
うさぎ・まこと・亜美が後ろでひそひそと話し合っている。
「美奈Pおーさわぎして大ヒンシュクだったんだって?」「ケ―サツざた寸前だったって 不法侵入で」

美奈子が泣きながら目をキラキラさせて詫びる。「あたしずっとずっとT.A女学院のセーフクってきてみたかったの アコガレだったの
ただそれだけだったのっっっ ブルマーもはけちゃったしーっ まんぞくしたーっっ」
レイはピキッと眉間に皺を寄せた。「……美奈ッ ひとついい忘れてたけど」
「ア タ シ お ナ ラ っ て し た コ ト な い か ら あ ん た と い っ し ょ に し な い で ね っ っ 」
実はしたことがある美奈子は顔を赤らめた。「命の恩人の戦友をみすてんのっ?」「みすててやる アタシの技無断で使いやがってっっっ」

「あたしにキスしよーとしたクセにっv」「してないわよっ」―いじっぱりなレイちゃん ホントはそのままでもダイスキよんv
「あんたなんかキライよ もうっ」
●The End●


146:マロン名無しさん
09/04/04 22:12:19 fawtDj+A
レイちゃんへ

つ胃薬

147:マロン名無しさん
09/04/04 22:16:26
レイのデビルマンといい、ヴィーナスのキューティーハニー風の名乗り口上といい、
今回は永井豪御大をリスペクトしてる?w

148:マロン名無しさん
09/04/04 22:58:30
武内センセイ自重w

149:マロン名無しさん
09/04/04 22:59:51
どうした直子
なんか悪いものでも食べたのか?

150:マロン名無しさん
09/04/04 23:01:52
アニメのみちるさんVS原作のレイちゃん

のお嬢様バトルが見たいw

151:マロン名無しさん
09/04/04 23:03:39
アニメはまこと&亜美のコンビをプッシュしてるみたいだけど
原作はむしろレイ&美奈子押し?

152:マロン名無しさん
09/04/04 23:06:23
神社の子なのに他の神様の学校行ってよいの?

153:マロン名無しさん
09/04/05 01:06:12
オ〇ラしたことないレイちゃん、凄すぎ…。

154:マロン名無しさん
09/04/05 01:35:30
美奈子のオ○ラってあれか?
「コードネームはセーラーV」で焼き芋大量に食べた話あったけどやっぱりあれはオナ○だったのか?
美奈子は必死に金星のガスの匂いって誤魔化してたけど

155:マロン名無しさん
09/04/05 01:45:01
T.A女学院って六本木だったのか

156:マロン名無しさん
09/04/05 01:52:07
さりげなくレイおねえさまが女の子に告られてる件

157:マロン名無しさん
09/04/05 14:39:02
TAのコはモブでもいちいち可愛いな~

158:マロン名無しさん
09/04/05 18:19:18
>美奈子は思いだしたとばかりにH×Hの14巻を取り出した。






旦那の作品宣伝ktkr 。

159:マロン名無しさん
09/04/06 00:50:34
>>152
やおよろずの神に他の国の神も含まれるんだろ

160:マロン名無しさん
09/04/06 01:04:42
あまり気にしない家なんだろう。
じいちゃん南無阿弥陀仏唱えるし、孫はマンダラ使うし。
つーか神社自体宗教と言うより、形だけという気が。

161:マロン名無しさん
09/04/06 01:22:33
それが日本の宗教のいいところよ

162: ◆P9MoonSjzo
09/04/06 21:43:25
Act46 夢8 エリュシオン・ドリーム

…まぶしい…… ……おひさまの光だ 気持ちい―い… ……ああ まもちゃんのおふとんの中だわ いっつもふかふかで おひさまと緑のにおい……

「うさちゃん」うさぎが気持ちよく眠っていると、だれかが起こす声が聞こえてきた。「うさちゃん」「……ん まもちゃん?」
二人とも、体が小学生サイズに縮んでしまっている。「おはよう うさちゃん」衛少年は、うさぎにお目覚めのキスを降らせた。
驚きのあまり、うさぎはガバッと起き上がる。「さあ シャワーあびてきがえて」エプロンを付けた衛がにこやかに微笑みかける。
「たまごは めだまやきゆでたまごオムレツ どれにする?」「……おむれつ」「おっけ―v」衛は鼻歌を歌いながらキッチンへ駆けて行った。
……あ あれっっ?―あたし なんか夢を見てたよーな気がするんだけど……

うさぎは眠い目を擦りながらキッチンへと足を運んだ。「…おはよう まもちゃん」「あ うさちゃんvきょうはフレンチトーストだよ ジャムぬる?」
「あたし ライムのマーマレードッv」ここでうさぎは我に返った。「ってそんなのんきに食べてるヒマなんかあたしにはっ」
しかし衛は表情を崩さない。「だいじょうぶ 始業までまだちょうど一時間あるよ」「いっっ 一時間!?」……まえにおきたのっ?このあたしがっっっ
尚もうさぎは慌てふためく。「あ~~~っっっ しまったああっっ さんすーの宿題ッ 今朝早くおきてやろーと思ってってっ」「うさちゃん」
衛はにっこりと笑う。「宿題ならぼくがやっておいたよ 教科書もかばんにそろえてはいってるからねv」

「……これって 夢かなあ」「うさちゃんてば ヘンなの 歩きながら夢なんて見れないよ」「そうだよねえ」
うさぎと衛が仲良く手を繋ぎながら歩いている。衛はスキップをしながらうさぎをリードする。
「うっれしいなっ ぼくね うさちゃんといっしょにくらして毎朝いっしょに登校するのが夢だったんだ 夢がかなってほんとにうれしいなっv」
うさぎはきょとんとしてしまう。……あれっ?そうだったっけ?
「ぼくね うさちゃんの夢をぼくがぜんぶかなえてあげたいんだ うさちゃんはなんにもしなくていーんだよ ぼくにあまえてくれるだけでいいのv」


163: ◆P9MoonSjzo
09/04/06 21:44:14
……まもちゃんて こんなにあまかったっけ ―いつものまもちゃんはもっとこう クールでキビシくて もちろん宿題もやってくんなくて
うさぎは横目で衛をじっと見つめた。「……まもちゃんの夢って お医者さんになることじゃ ……なかったっけ」
衛は元気よく答えた。「ぼくの夢は うさちゃんとケッコンすることだよ」うさぎ、一時停止。
言葉がうまく出てこないうさぎに、衛が笑顔で問いかける。「うさちゃんの夢は?」「あっ あたしっ?」……あたしの夢は……

「うさ」眠り続けるうさぎを、衛が揺り起こす。「うさ」「……ん」「だいじょうぶか?」「……まもちゃん?」うさぎはがっくりと肩を落とす。
……ちくしょーっっ やっぱし夢かっっっ まもちゃんかわいかったのに―っ りそーだったのに―っ あのシチュエレーションッッ
「お体はだいじょうぶですか?おふたかた」二人の傍には人間の姿のエリオスが付き添っていた。うさぎと衛はすっかり元のサイズに戻っている。
「あ あれっ あたしたち たしか体がぐんぐんちっちゃくなってったよーな……」

「しっ」「!」エリオスが指を唇に押し当てた。
「声をなるべくひそめて ムダなことかもしれませんが すこしでもネヘレニアに気づかれぬように 神殿までゆきたいのです」
二人はその言葉で一気に現実に引き戻された。
「ここまでくれば地上の悪夢もすこしはやわらぐ この地にまだのこっている浄化の力が あなたがたをもとの姿にもどしたのです」

目の前に広がるのは、不気味に朽ち果てた土地。「―ここは……」うさぎと衛は思わずしっかりと抱き合った。
「―エリュシオンです」衛は目を見開いた。―まるで 夜の荒野
「―まもちゃん」ここにも黒いバラが茂っているのに気づき、うさぎはドキッとした。
「―黒いバラは呪いのしるし あの美しかったエリュシオンがこんな悪夢の地になってしまうなんて」






164: ◆P9MoonSjzo
09/04/06 21:46:15
エリオスは二人を神殿へ案内した。そこには二人の女性がクリスタルに包まれ、立った状態で眠っていた。二人ともお団子頭をしている。
「わたしのほかに いまはたった二人のこの地の住人 神殿につかえる巫女 メナードたちです
このクリスタルはこの地の浄化作用のひとつ 呪いから守られ 二人はねむっているのです」

衛は懐かしむように神殿内を見渡した。―なつかしい オレはこの建物を ―ここのにおいを知っているような気がする
「王子(プリンス) この神殿はずっとあなたの一族が守ってきたもの―
エリュシオンは いまは亡きあなたの王国 ゴールデン・キングダムのあった場所です」―ゴールデン・キングダム―!
―そうだ オレはここを知っている 緑濃く地上と同じ風がふくこの星の守護聖地エリュシオン オレはこの地に住み ここが好きだった

「王子はここから地上へゆきこの星を守り わたしは神殿の奥深くいのりをささげこの星を守る
わたしと王子は会うことはなかったけれど いつでも心はひとつでした ―わたしたちのねがいはいつでもひとつ
そしてあなたがたがひかれあうのもまた おなじねがいをもっているから」―立場のちがう 通じあってはいけない二人だった あのときも
―同じ使命をもち 同じ力をもち 同じ心をもっていた あなたがた 「同じ使命?……同じ力?」衛が聞き返す。

「シルバー・ミレニアムは外から そしてゴールデン・キングダムは内から この星地球を守ってきました
そしていまその使命を負うふたつの王国の聖石(クリスタル)は 聖石“幻の銀水晶”はシルバー・ミレニアムのプリンセスの聖石となり
聖石“ゴールデン・クリスタル”はゴールデン・キングダムの王子の聖石となり 力を発する」
―ゴールデン・クリスタルが まもちゃんの聖石―!?







165: ◆P9MoonSjzo
09/04/06 21:47:30
「ここは―」「神殿の中心部 いのりの塔です わたしはいつもここでいのりをささげ さまざまな形の啓示をうけとるのです」
―あれも この塔でうけた啓示でした
『―エリオス』ある時エリオスが跪いて祈っていると、目の前に炎のような幻が現れた。
『―聖石ゴールデン・クリスタルの封印がとかれるときが近づいてきました』 煌々と輝く幻は、次第に額に月の印を持った女性へと変化していった。
『―しかしそれはエリュシオンとあなたにとって 最大の試練のときとなるでしょう』

『わたしはいまはこれを告げることしかできません ―でも 乙女はいつでもあなたの味方です』「乙女―?」
―美しい夢をもつ 月の光に守られた 王女(プリンセス)にして戦士 そしてゴールデン・クリスタルの封印をとく聖石をもつ乙女―
「あなたは……」お団子頭の、ドレスを着た美しい女性が答えた。『―わたしは プリンセス レディ・セレ二ティ』

―プリンセス レディ・セレ二ティ―
「その啓司は あなたのことを告げていました ―そのお名まえとお姿も
時がやってきたのです プリンセス あなたの聖石の力で ゴールデン・クリスタルの封印をとく日が」
「―エリオス ゴールデン・クリスタルは いまどこに?」「―ゴールデン・クリスタルがどこに封印されているか だれもしらないのです」
―このエリュシオンのどこかなのか あるいはべつの場所なのか
「プリンセス あなたなら すでに聖石を手にしているあなたなら その場所を」



166: ◆P9MoonSjzo
09/04/06 21:48:51
―あたしと同じ 封印されている まもちゃんの聖石―
うさぎはあることに思い当った。「まさか ゴールデン・クリスタルは まもちゃんの体の中に……!」「―オレの 中に?」
「そうよ!ゴールデン・クリスタルは まもちゃんの中にずっと封印されているのよ!」―オレの中に―… ゴールデン・クリスタルが!?

「―まさか そんなバカな」「わかるの あたし!まもちゃんはずっとあたしに 力を注ぎこんでくれてたわ
いつでもその力が あたしの“幻の銀水晶”の力を強く導いてくれた」
―まもちゃんのその力こそ まさにゴールデン・クリスタルの力だったんだわ!
「その聖石の力が 結晶となって解放される時がきたのよ」「―このオレに 聖石の力が…… いつも君の足をひっぱってばかりの オレに……」

うさぎは優しく微笑んだ。「……さっき 夢を見てたの」―まもちゃんに あたしの夢は?ときかれて 目がさめた
「あたしの夢は みんなが幸せにくらせるように この星を守っていくことなの まもちゃんと二人で」
「―まもちゃんの夢は?」「……オレの夢も この星を守っていくことだよ」衛はうさぎを抱き寄せた。「二人でいっしょに」
うさぎも衛に頭を擦り寄せる。「……うれしいっ おんなじね」
―いつでも 夢はひとつ―
●to be continued●





167:マロン名無しさん
09/04/06 22:01:11
 >まさか ゴールデン・クリスタルは まもちゃんの体の中に……!



            ____
           /      \
          / ─    ─ \
        /   (●)  (●)  \     ないない
        |      (__人__)     |
         \     ` ⌒´    ,/
 r、     r、/          ヘ
 ヽヾ 三 |:l1             ヽ
  \>ヽ/ |` }      モリ    | |
   ヘ lノ `'ソ             | |
    /´  /             |. |
    \. ィ                |  |
        |                |  |


168:マロン名無しさん
09/04/06 22:50:35 z9Nvh24+
~お団子頭のバーゲンセール~

169:マロン名無しさん
09/04/06 22:51:47
変態がかわいい…だと……?

170:マロン名無しさん
09/04/06 22:53:22
初めて素直にまもちゃんと呼ぶ気になったわw

171:マロン名無しさん
09/04/06 22:57:05
ライムのマーマレードって見たことないけど美味しそう
以前レイちゃんが欲しがってたプラムジュースも聞いたことないけど美味しそうだし
直子のセレクトする食べ物は美味しそうなのが多いな

172:マロン名無しさん
09/04/06 23:00:52
衛は地底王国の王子だったのかw
なんか「地球国」に突っ込まれて苦肉の策で後付けしたっぽいな

173:マロン名無しさん
09/04/06 23:11:00
おそらく衛の涙が結晶化するんだろうが、どうやって泣かす展開に持っていくんだろうか
セーラー戦士全員で一芝居打って、うさぎが死んだふりしたら笑える

174:マロン名無しさん
09/04/06 23:15:52
というか月の王女が銀水晶で地球の王子がゴールデンでおもいっきり対になるクリスタル持ってるけど
第一部を見るに2人はお互いに好きになっちゃいけない禁じられた恋だったんだよな
それっておかしくね?

175:マロン名無しさん
09/04/06 23:20:14
体が小さくなったのはなんだったんだ

176:マロン名無しさん
09/04/06 23:24:21
>>174
内と外と役目を分けてるのに一緒になったらいけないとか。
ドッジボールで外野無しになるようなもの。

177:マロン名無しさん
09/04/06 23:45:20
…尿結石を連想した

もうそろそろクライマックスかな?
タキシード・ドリームとかやるんだろうか

178:マロン名無しさん
09/04/06 23:55:53
>>177
ちょwwwその発想はなかったwww
変態がトイレに行って戻ってきたら、ゴールデン・クリスタルgetしてたらやだな
まだ涙の方がいいわw

179:マロン名無しさん
09/04/07 00:00:25
もしかしてエリオス×ちびうさフラグ立った?
今回、エリオスは見た目の割にとんでもなく長生きなことが発覚したし
いつまで立ってもチビな者同士気が合いそう

180:マロン名無しさん
09/04/07 00:02:14
>>177
俺は思いついたけど自重したのにw

181:マロン名無しさん
09/04/07 00:05:22
>>176
いい例えだな
自分はなんか納得した

しかし地底人×宇宙人のカップルってよく考えたらすごいな

182:マロン名無しさん
09/04/07 00:10:49
プリンセスレディセレニティって普通に考えたら千年以上後のちびうさなんだろうけど
だとしたら母親のことを「乙女」って表現してるのが引っかかる

183:マロン名無しさん
09/04/07 00:13:55
誰かバーローをエリュシオンに連れて行ってあげてください><

184:マロン名無しさん
09/04/07 00:16:59
>>182
過去の、それこそ大昔の母親なら乙女って呼んでもおかしくないと思う
それにしても大人になったちびうさが出てきたって事は転生後ほたるみたいに急成長するフラグ?

185:マロン名無しさん
09/04/07 00:20:06
>>174
ゆくゆくはちびうさ(=プリンセスレディセレニティ?)が
ゴールデン・クリスタルと幻の銀水晶を両方受け継ぐってことになるよな
ちびうさ最強w

186:マロン名無しさん
09/04/07 00:27:43
>>177
今回うさぎと衛の夢は明らかになったので、
アマゾネスカルテット・ドリームかレディセレニティ・ドリームと予想

187:マロン名無しさん
09/04/07 00:35:23
>>184
そ れ だ

だけどそうなるとうさぎとキャラが完全に被っちゃうから、
話の都合上、多分未来に帰っちゃうんだろうな…サミシス

188:マロン名無しさん
09/04/07 00:47:21
シルバー・ミレニアムがメタリアとベリル達の手で滅ぼされたのは知ってるが
なんでゴールデン・キングダムまで滅亡してるんだ?

189:マロン名無しさん
09/04/07 00:51:47
>>187
案外、成長したちびうさとエリオスは二十世紀のエリュシオンで一緒に暮らし始めるかも

190:マロン名無しさん
09/04/07 00:57:16
>>188
サターンが仕事した結果だと思われる@第三部

191:マロン名無しさん
09/04/07 02:30:20
>>188
エンディミオンが死んで血筋が絶えたからじゃね?

192:マロン名無しさん
09/04/07 02:33:30
>>188
変態の一族だから、なにか不祥事を起こしたんじゃ
痴漢・覗きetc…

193:マロン名無しさん
09/04/07 02:37:20
>>175
幼児化させることによって抵抗力を落として
呪いの効き目を早めるのが敵の目的だったような描写があった
結局は浄化作用がある(らしい)地底に逃げられちゃったけど

194:マロン名無しさん
09/04/07 04:55:56
エリオスはそれこそ神話の時代から生きてるっぽいな
しかもルナやアルテミスのように
長きに渡って眠りについてわけではなく
普通に生きてたなんてスゲーw

195:マロン名無しさん
09/04/07 05:05:01
第一部で出てきたと思うんだが、確か月の王国にも「祈りの塔」ってあったよな
月と地球の王国はほんと何から何まで似てる気が
二つの王国は、元を正せば一つだったのかも
…もしかして、前世の二人が通じてはならなかったのは血縁だったからか?

196:マロン名無しさん
09/04/07 05:21:35
>>194
衛とエリオスと地球とエリュシオン この4つの心と体は繋がっている(エリオス談)
すなわち地球誕生=エンディミオン誕生
つまり エンディミオンは……















人類ですらなかったんだよ!!

197:マロン名無しさん
09/04/07 06:06:53
な、なんだってー!!

198:マロン名無しさん
09/04/07 08:23:49
>>193
なるほど

199: ◆P9MoonSjzo
09/04/08 22:12:38
Act46-2

衛の腕の中にいたうさぎの視界に、ある光景が飛びこんできた。それは、神殿の隅に置かれた大きな鳥籠に囚われた、ペガサスの姿。
「エリオス!?」―エリオスの体はあそこに捕らえられて!?
「プリンセス」エリオスが止めるのも聞かず、うさぎは鳥籠に走り寄る。ところが、鳥籠に触れた瞬間、うさぎの体はバチバチと弾かれてしまった。
鏡の中のネヘレニアは、その瞬間目ざとく反応した。“ネズミどもがはいりこんでおったか”
ネヘレニアは暗い闇の世界から鏡の外へズブズブと体を潜らせていった。

エリュシオンに突如黒いバラの花弁が吹き荒れた。驚き身構えるうさぎ達。
“わたしのかわいいカゴの小鳥は ネズミどものエサではないぞ クククッ”
床まで伸びた長い黒髪をズルズルと引きずりながら、ついにネヘレニアが姿を現した。
「エリオスはわたさないわ!」強い決意を持ってネヘレニアの前に立ちはだかるうさぎと衛の胸から、熱く輝く光が生まれた。
エリオスはそれを見て驚く。―あの輝きは!
“いやしいネズミどもめ!”ネヘレニアは今にも攻撃を繰り出そうとしている。

―エリュシオンよ!我に力を!!
エリオスは額の印から力を放ち、うさぎと衛を光で包みこんだ。そのまま二人の体はスウッと浮かび上がり、みるみる上昇してゆく。
「あうっ」エリオスはまともにネヘレニアの攻撃を浴びてしまった。「エリオス!」二人は上方から叫ぶことしかできない。
「早く地上へ!いまのあなたがたなら地上の悪夢にもうちかつことができる!二人でこの星を守るのです!」
そう聞こえたのを最後に、うさぎと衛はフッと消えてしまった。ネヘレニアは舌打ちをする。





200: ◆P9MoonSjzo
09/04/08 22:14:43
うさぎと衛が消えてしまってから、残されたセーラー戦士達は何が起こったのかと、ただただ立ち尽くしていた。「プリンス……!プリンセス!」
しかし程なくして、皆の前に光が突如出現したかと思うと、うさぎと衛が無事に生還してきたのだった。
「プリンス プリンセス!」「みんな!」うさぎが元気に答えた。
二人は繋いだ手を上に突き出し、スペルを唱えた。「ムーン・クライシス!メイクアップ!」「セーラームーン!タキシード仮面!!」
セーラームーンははっとして皆の顔を見た。「サターンとちびムーンは!?」「!!」
―しまった!!アマゾネス・カルテットをおいかけて奥へいったきり―!もどってこない!?

“手こずらせおって!だが もうどんな悪あがきも手おくれだ”
「ネヘレニアさま エリュシオンのガードが弱まりましたぞ!いまこそチャンス!―この霊魂導士ジルコニアにおまかせを!」

街の様子を伺ったセーラー戦士達は戦慄する。街並みはすっかり変貌し、鬱蒼としたジャングルが広がっていた。―このジャングルは!!
草むらの影には無数のレムレス達が蔓延っている。―街の人たちが!
「―暑い……」「……息が できない……」熱気にやられ、セーラー戦士達は次々と倒れていってしまった。
「みんな!?」セーラームーンが呼びかける。「しっかりして!」ところが、セーラームーンの胸にあの痛みが湧きあがってきた。
セーラームーンとタキシード仮面は黒い血を吐いて苦しみ出す。―たおれるわけにはいかない みんなを助けなきゃ
―だけど…… ……苦しい 息が……できない………!エリオス……!

エリオスもまた、悲鳴を上げる体と戦っていた。―プリンス プリンセス!
―聖なる力を秘めたエリュシオンよ どうか 浄化のその力すべてを地上へ!

―わたしの最後の祈りを ききとどけたまえ―!!






201: ◆P9MoonSjzo
09/04/08 22:15:48
エリオスの祈りに応えるように、エリュシオンの神殿が光輝いた。すると、地上にクリスタルが出現し、倒れていた人々を覆っていく。
セーラー戦士達は重い体を起こした。―熱気がおさまった!?なにがおこったの!?
見れば、街を乗っ取ったジャングルは全てクリスタルに封じこめられていた。

『……プリンス』「エリオス?これはエリュシオンの浄化作用なのか?」『長くはもたないかもしれません ですがこれがわたしとエリュシオンの限界―』
「エリオス!?」『……王子(プリンス) あなたに会えてよかった……』
衛は、一心同体だったエリオスが、静かに体から離れていくのを感じた。「エリオスッ!!」

―そして 小さな乙女にも 会えて……

“クククッ”「とうとう力つきたか!」ジルコニアは黒く笑うと、新月を背後に従えてぐんぐんと巨大化していった。
マントには怪物の顔のような紋様が見える。―巨大化した!?
続いて怪物の顔の口が大きく開き、放射状に攻撃が放たれた。そのレーザーのような光線は、タキシード仮面とセーラームーンの胸を正確に射抜いていた。
「プリンス!!プリンセス!!」二人は、胸から血を流しながら、闇の中へと堕ちていった。
●to be continued●




202:マロン名無しさん
09/04/08 22:46:59 PDHrT60t
まーた夢オチだろ?












…ですよね?gkbr

203:マロン名無しさん
09/04/08 22:50:12
なんでエリオス死んだのに変態は生きてるんだ?
心と体が繋がっているんじゃないのか?

204:マロン名無しさん
09/04/08 22:53:39
いまググってみたが、ジルコニアってイミテーションのことを指すんだな
ところでジルコニアのマント(?)の顔が、なにかに似ているのだがどうしても思い出せない

205:マロン名無しさん
09/04/09 10:20:01
まーたなぜか生きてるんだろ?

206: ◆P9MoonSjzo
09/04/10 23:41:56
Act47 夢9 デッド・ムーン・ドリーム

セーラームーンとタキシード仮面は胸を撃ち抜かれ、ドサリと地面に倒れ込んだ。「プリンス!!プリンセス!!」
ヴィーナスが駆け寄り、抱き起こすが、セーラームーンの皮膚はドロリと溶け、グシャッと醜く変貌してしまった。
「いやあぁっ」「プリンセス!」セーラー戦士達は狂ったように叫び声を上げる。
気丈なウラヌスでさえも何が起こったのかわからず呆然としてしまっていた。―こんな こんなバカな
マーズが頭を抱え込んだ。「こんなの!悪夢だわ!!」ウラヌスはその言葉にはっとする。―悪夢!?

セーラームーンはズルリと手を滑らせ、重い体を起こした。―なにがおこったの?
目の前には、夥しい血を流して倒れているセーラー戦士達の死体が転がっていた。「!? みんな!?」
「まもちゃん!?ちびムーン!?サターン!?」そして、セーラームーンの顔もドロドロに溶け、まるで骸骨に皮膚が貼りついたような顔に変貌していた。
「いやああっ」―うそ…… これは 悪夢だわ………

巨大化したジルコニアのマントの紋様から、怪しげな術が放たれていた。―ホホホッ この星は永遠にわがデッド・ムーンのものだ
―弱き者どもよ 永遠にさまよい人となれ!新月の闇と悪夢の中でな!

クラウン・ゲームセンターの地下にある司令室で、アルテミス達がモニターを見つめていた。
「見ろ!地球が暗黒につつまれてゆく!このままでは地上にかけたエリュシオンのクリスタル・バリアはやぶられ 地上があの新月にのまれてしまう!」
「だれも応答しないわ!アルテミス!」ルナが叫ぶ。二匹を見守っていたダイアナは、ぽろぽろと涙を流した。―まさか みんなやつらに―!
―スモールレディ……!そばをはなれなきゃよかった!
「あたし!デッド・ムーンサーカスへいってきます!!」「まって!ダイアナ!」ルナが呼び止めた。
「あたしたちはもうすこしここで 待機しましょう」「ぼくらの戦士たちはこんなことでは負けない!信じて まとう!」
―セーラー戦士たちはかならずこの星を守ってくれる―!


207: ◆P9MoonSjzo
09/04/10 23:43:57
「うさ!」タキシード仮面がセーラームーンの頬を叩いた。続いて、ヴィーナスとマーズの頬も叩く。
「しっかりしろ!これはやつらの悪夢だ!!」「まもちゃん!」セーラームーンは頬を押さえながら、驚いてタキシード仮面を見つめた。
「プリンス!?プリンセス!?」他のセーラー戦士達も驚いて正気に返ったようだ。

「見ろ!!」タキシード仮面の視線の先には、嵐のような威力の呪術を放つジルコニアがいた。
「心を強くもて!この星をやつらに渡してもいいのか!?やつらを倒してこの星を守るんだ!!」
外部太陽系三戦士はじっとタキシード仮面を見つめた。―プリンス―!あのすさまじい悪夢をご自分の力でうちやぶって―!?

セーラームーンは心動かされた様子でタキシード仮面を見つめ返した。―まもちゃん……!
―ああ そうだ この星のみんなの幸せを 永遠に守ってゆくとあなたに誓ったばかりだった
―そしてそれは夢なんかじゃない この星を守る それはいつだってあたしたちの現実(リアル)
―悪夢なんかに そして自分の夢なんかに こんなところで負けるわけにはいかない―!

「―あたしたちセーラー戦士が負けるはずないわ!」セーラームーンは自信に溢れた表情で仲間達の方へ振り返った。
ウラヌスは思わず見とれてしまう。―そう プリンセス あたしたちのすべて
―生も死も絶望も希望も夢も― いつだって そうやって光輝くあなたのところにある
「プリンス!プリンセス!!あたしたちは どんなことがあろうともあなたがたを守ってみせる!」







208: ◆P9MoonSjzo
09/04/10 23:46:15
「セーラープラネットパワ―ッ」「ウラヌス!」「ヴィーナス!」「ジュピター!」「マーズ!」「マーキュリー!」「プルート!」「ネプチューン!」
「「「「「「「メディテイション!!!」」」」」」」
守護戦士達は立て膝の姿勢で円状に並ぶと、手を繋いだ。すると、円の中心から強力な光の渦が放たれ、ジルコニアに直撃した。

「くっ……!おのれ……!!」地面に崩れ落ちたジルコニアは、突然飛びあがると、姿を消してしまった。
セーラー戦士達は後を追って、デッド・ムーンサーカスのテントへとテレポートした。
「マーズ!フレイム・スナイパ―ッ」「ヴィーナス!ラブ・アンド・ビューティ!ショ―ッック!!」
セーラー戦士達はテントに乱入した。マーキュリーがゴーグルを装着し、敵の位置を計算する。「いたわ!」

セーラー戦士達はやっとジルコニアの姿を見つけるが、ジルコニアはこちらに気づくと、大きな鏡の中へと逃げ込んでしまった。
セーラームーンも後を追いかけて鏡の中へ入っていく。「セーラームーン!?」
ヴィーナスも続けて入ろうとするが、鏡は固く閉ざされてしまっていた。
●to be continued●





209:マロン名無しさん
09/04/11 00:10:22 G/1qBk0q
あれ?変t…まもちゃんがかっこいいんだけど

210:マロン名無しさん
09/04/11 00:11:48
変態GJ
…で、ゴールデンクリスタルはどうなった

211:マロン名無しさん
09/04/11 00:14:06
すっかりウラヌスがリーダーみたいになってるな
ヴィーナスはこのままではヤムチャになっちゃうぞ

212:マロン名無しさん
09/04/11 00:15:16
へんたいは レベル2に なった!!
ひらてうちを おぼえた!!

213:マロン名無しさん
09/04/11 00:16:39
~変態確変中~

214:マロン名無しさん
09/04/11 00:18:47
冒頭の絵が少女漫画にしてはグロすぎるんだが…
悪役がああなるのはともかく、主人公側が醜い死に顔晒すとか…
トラウマになるぞ

215:マロン名無しさん
09/04/11 04:06:13
鳳凰幻魔拳をくらったみたいだ…

216:マロン名無しさん
09/04/11 20:10:33
>>215さん!やっぱり来てくれたんだね!

217:マロン名無しさん
09/04/11 20:11:29
直子はホラー漫画家に転向しるw

218:マロン名無しさん
09/04/12 07:28:32
鏡には鏡でネプチューンのアクアミラーが効きそうなんだけどなぁ

219:マロン名無しさん
09/04/12 11:10:30
>>218
そういえば「かぐや姫の恋人」で外部太陽系3戦士が
ネプチューンの鏡の中に入って宇宙にワープしてたな
あんな感じでネヘレニアの城に乗り込めばいいのに

220:マロン名無しさん
09/04/12 11:20:00
>>218
ネプチューンの手鏡は最近までちびムーンが借りて持ってたから
なんとなく重要なアイテムになりそう

221: ◆P9MoonSjzo
09/04/13 00:41:09
Act47-2

ジルコニアを追って、セーラームーンは鏡の中に突入した。そこは宮殿内部のような造りになっており、無数のガラスの破片が散らばっている。
その中央には、女王ネヘレニアが鎮座していた。―ここは?―あいつは―!?
“ククククッ なんという力(パワー)―!ここへ入りこんでくるとは やっと その輝ける無敵の星の力が
この女王ネヘレニアのものとなる時がきたのね クククッ”その薄気味悪い姿に、セーラームーンは思わず身震いする。―女王 ネヘレニア―!?

セーラームーンははっとしてあちこちに目を走らせた。―感じる 星の輝きの力を 星の守護の輝きの力を!!―どこから!?
セーラームーンは、床に落ちているたくさんの破片の内の二つと、その傍の四つのアマゾンストーンに目を止めた。
―あの四つの石と ガラスの破片から―!?
セーラームーンが意識下に呼びかける。―ちびムーン!!サターン!!

二つのガラスの破片にそれぞれ封じ込められていた二人は、ぱっと目を開けた。―ここは!?
二つの破片が呼びかけに答えるように光輝く。―ちびムーン!サターン!そこなのね!?
ちびムーン達は声の主に気が付いた。―セーラームーン!!

ネヘレニアは床に落ちていた無数の破片を宙に浮かせ、撹乱する。
“くくくっ あはははっ”宙を舞う破片には、不気味に笑うネヘレニアの姿がいくつも映りこむ。「ちびムーン!サターン!」
セーラームーンは無心でカレイドスコープを構えた。「ムーン・ゴージャス・メディテイション!!!」
すると、辺りのガラスの破片は砕け散り、ちびムーンとサターンは無事に解放された。
「ちびムーン!サターン!」セーラームーンはひとまず安心する。



222: ◆P9MoonSjzo
09/04/13 00:41:57
“おのれ!”セーラームーンとちびムーンは揃って攻撃を繰り出した。「「ムーン・ゴージャス・メディテイション」」
ところが、割れたのは周りのガラスの欠片だけだった。ネヘレニアの姿は幻のように揺らめき、ダメージを受けた様子が見られない。

そのとき、セーラームーンの頭の中にヴィーナス達が呼ぶ声が聞こえてきた。『セーラームーン!!』―みんな!!
―ちびムーンとサターンを助けだしたわ!カガミを割って!
「マーキュリー アクア・ラプソディー」鏡の表面にピシッと亀裂が入る。「まかせろ!」そこへ、ジュピターが鏡に素手で上段突きをお見舞いした。
すると、鏡にヒビが広がっていくと同時に、ネヘレニアの顔も中心からピシッと裂けてしまった。

「!?」ネヘレニアの姿はどんどん薄くなっていく。ジルコニアも苦しそうだ。
「おおお!美しきデッド・ムーンの女王ネヘレニアさまは死なぬ!」―まだ死なぬ!こんどこそすべてを手に入れ 永遠に宇宙に君臨するのじゃ!

鏡の中の宮殿がガラガラと崩れ始める中、サターンはスッと屈むと転がっていた四つの石を手に取った。「サターン!?」
鏡はバラバラに砕け散り、セーラームーン達はその中から飛び出すことに成功した。

「セーラームーン!!」鏡の前に居たヴィーナス達と合流したセーラームーン達。
ところが、いきなりいままでいた巨大なテントは幻のように消えてしまったのだった。
あのサーカス団の飛行船は、まるでただのオモチャのように転がっていた。
「セーラームーン!!ちびムーン!サターン!よかった無事で!」辺りはクリスタルに覆われたまま、シーンと静まりかえっている。
「―デッド・ムーンサーカスが消えた……?」「……街も あの異空間にも変化はない―」とプルート。
「―やつらは」「どこに消えたの!?」セーラームーンとタキシード仮面を嫌な予感が襲った。「―まさか!」―エリュシオン!?
―エリュシオンがあぶない!




223: ◆P9MoonSjzo
09/04/13 00:42:43
「―エリュシオンへいってくる!地上をおねがい!」「あたしたちもいくわ!」他のセーラー戦士達が意気込むが、セーラームーンが静かに制する。
「―いいえ ここでまってて」そう言われ、ちびムーンははっとする。「―エリオスに エリオスになにかあったの?」
エリオスの死を直感していたセーラームーンは、何も答えることができなかった。
「あたしもいくわ!エリュシオンへ!」タキシード仮面がそっと手を差し伸べた。「―いこう」―エリュシオンへ!!

結局、セーラー戦士達は全員で手を繋いでテレポートを行い、荒廃したエリュシオンへと降りたった。
湖の中央にある神殿へと向かうと、お団子頭をした二人の女性が皆を出迎えた。
「おまちしておりました」「―わたしたちは この神殿におつかえする 巫女メナード」
「―エリオスは…」ちびムーンが心配そうに尋ねる。メナード達は哀しげな目をして答えた。「こちらへ」

そこには、鳥籠の中に力無く囚われたままの、ペガサスの姿のエリオスが倒れていた。
「エリオス!!」取り乱し、駆け寄ろうとするちびムーンをセーラームーンが制する。「ちびムーン 鳥カゴにふれてはダメ キケンよ」「エリオス」
「エリオス!どうして返事をしてくれないの?目をあけて!」

タキシード仮面がぽつりと切りだした。
「―エリオスは そのすべての力をふりしぼり 街や人々を敵から守ってくれたんだ そして ―力つきた」「―死んだの?」
「…うそよね うそよ!エリオス!返事をして!」ちびムーンが力一杯泣き叫んだ。「エリオス!」
カシャン、と空しく鈴が床に落ちた。「……死んでなんかいないわ エリオスは まだ死んでない!力つきてなんかいない!
だって まもちゃんもエリュシオンも地球も 生きてるもの!」




224: ◆P9MoonSjzo
09/04/13 00:43:30
その時、ネプチューンとマーズは同時に妖気を感じ取った。―だれかがどこかであたしたちを見てる!?
ウラヌスが気を引き締める。「―そうだ やつらもまだ死んじゃいない」―戦いはまだおわっていない!

「きゃああ」メナード達が抱き合い、悲鳴を上げた。なんと、空間に黒く穴が空き、デッド・ムーンの飛行船が侵攻してきたではないか。
ジルコンがパタパタと飛びまわり、湖に突如大きな鏡が出現した。―あの鏡は!!
ガラスがバラバラに砕け散った後のあの鏡の奥では、女王ネヘレニアが薄く笑っていた。
●to be continued●


225:マロン名無しさん
09/04/13 01:02:02 8ChyQBIy
素手>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>ジュピターオークレボリューション

226:マロン名無しさん
09/04/13 01:05:44
ほたる久々だよほたる
しかしアマゾネスカルテットは石に閉じ込められたままか…

227:マロン名無しさん
09/04/13 01:08:32
次回最終決戦?

228:マロン名無しさん
09/04/13 01:10:56
ネヘレニアの本体はあの大きな鏡自身だと思っていたが、
バラバラに砕けても活動できているということは違うんだな

229:マロン名無しさん
09/04/13 01:15:11
レイちゃんとみちるさんは抜群に第六感が研ぎ澄まされてるんだな
巫女と芸術家だから感性豊かなのも頷ける

230:マロン名無しさん
09/04/13 01:18:05
デッドムーンが今度こそ地球を我が手に!って言っているのは
前世から因縁があったりするからだろうか
そういえばネヘレニアはベリルに似ているが…

231:マロン名無しさん
09/04/13 17:11:31 NhKXWPrQ
レイと星野はアニメではかなり性格ちがかったな・・・・

232:マロン名無しさん
09/04/14 16:52:37
>そういえばネヘレニアはベリルに似ているが…
本人じゃないとしても姉妹とか関係者筋なのは充分ありうるな
ベリルも本当はエンディミオンが好きだったとかあったし
ネヘレニアもなにかしらエピソードが用意されてたりして

233: ◆P9MoonSjzo
09/04/14 22:09:14
Act48 夢10 プリンセス・ドリーム

突如出現した鏡を中心に波紋が広がり、瞬く間に湖は荒れ果て、黒いバラの花で埋め尽くされた。
“わたしは 新月の闇の王国デッド・ムーンの美しき女王ネヘレニア セーラームーン いいや 白き月の王国シルバー・ミレニアムの幼き王女よ
そなたの母君も考えたものよのう そなたをこの星に新たな姿で転生させようとは
生まれかわった姿とはいえその姿 ありし日のクイーンに瓜二つ ホホホ”

セーラームーンは身震いしつつも鋭い眼差しを向けた。「―クイーンを …知っているの?」
“わたしもまた月の王国の女王 そしてこの星は月の王国のもの!この星の真の支配者はだれなのか きまるときがきたようね”
「この星はこの星の人たちのものよ!邪悪な心と悪夢をまきちらすおまえなど!
このセーラームーンが月にかわっておしおきするわ!おまえはここで悪夢とともに消えるのよ!」

“私の呪いに おまえは勝つことはできぬ”ネヘレニアは余裕の笑みを見せる。セーラームーンの胸が、またもズキンと痛みだした。「なぜ!?」
“知りたいか?かわいいプリンセス クスクス”鏡の亀裂が更にどんどん広がっていく。―鏡が!!
「ムーン・ゴージャス!!メディテイション!!」セーラームーンは鏡の中のネヘレニアに向かって必殺技を放った。
ネプチューンがはっとして叫ぶ。「セーラームーン!!」

なんと、セーラームーンの攻撃は鏡によって反射し、セーラー戦士達に向かってきた。「!?」
なにが起こったのか分からず、セーラームーンは武器を構えたまま一瞬固まってしまう。
セーラー戦士達は、鏡の破片のようなものがいくつも浮いている、闇の中に包まれていた。
「―これは」「まるで…… 万華鏡の中にいるみたい―!」ちびムーンが唖然として呟く。ネプチューンは一人、焦燥感に支配される。
―しまった!反射されて!セーラームーンの攻撃の中に!?


234: ◆P9MoonSjzo
09/04/14 22:10:00

「セレ二ティ セレ二ティ」不意に名前を呼ばれ、セーラームーンは後ろを振り返った。
そこには、クイーンセレ二ティと、赤ん坊の頃のプリンセスセレ二ティの映像が、まるで映画館さながらに大きく映し出されていた。
「セレ二ティ かわいいわたしのムスメ あなたが生まれてほんとうにうれしいわ」―クイーン!?このビジョンは… 前世の!?

「さあ お祝いをしましょう みんなを招いて」そのとき、セーラームーンは違和感に気付いた。―ネヘレニアの鏡!?どうしてクイーンの部屋に!?
「おめでとうございます クイーン!」ちびムーンよりも、もっともっと幼い四戦士達がここに集結した。
「まっていましたあなたたち マーキュリー!マーズ!ジュピター!ヴィーナス!プリンセスセレ二ティの四守護神たちよ!」
「クイーン この時を指おり数えてまちこがれておりました あたしたちが命をかけて守ってみせます!いつかクイーンとなるべきたいせつなお方を!」
クイーンはにっこり微笑んだ。「すぐに大きくなってあなたたちに追いつくわ たのしみね どんなプリンセスになるのでしょう」
大勢の人々が、プレゼントを持って城を訪れた。「クイーン お祝いを!」「お祝いを!」「お祝いを!」

“あたくしも お祝いを”長い髪をズルズルと引きずって、闇とともに現れたネヘレニアを見て、四守護神はバッと身構えた。
“月いちばんの祝いごとに このあたくしだけ招いてくれないなんて”クスクスとネヘレニアは笑った。
その映像を見て、ヴィーナスは少しずつ記憶を取り戻した。―そうだ あの時のただひとりの招かれざる客 ―黒い影をひきずってやってきた
―あれはまさに闇の世界の生きもの!

「―神聖な宮殿(パレス)を汚す者!何者!?」ヴィーナス達が身震いしながらも立ちはだかった。
“まあ わたしだって月に住む者 月の奥ふかくからわざわざ出向いたのに”
「うそだ!月に住む者なんて!」「―そうか おまえね!人知れずこの星に入りこみ この星に闇を広げようとしてる邪悪な魔物の化身は!!」




235: ◆P9MoonSjzo
09/04/14 22:10:59
プルートも記憶を取り戻した。―思い出したわ ―記憶の中に封じこめた いまわしいあの日の出来事
あのころ月はまだ かげりひとつない白い光の星だった 平和と幸せしかなかったわ
―あいつがどこからやってきて いつから月の奥深くに住みついたのか ―だれも気づかなかった
―だれも ―光の力が闇をひきよせることを ―知らなかった

「招かれざる客よ」クイーンが呼びかけた。「やすらぎをもとめてこの星におりたったのならば むかえましょう けれど
この星に邪悪な闇をもたらすことを許すわけにはいきません1」
“おかしなことを おまえたちもまた はるか彼方の銀河から この星へともたらされた者たち わたしたちの源は同じではないか
クイーン 闇は必要なのよ そなたがほんのすこし手をかしてくれれば”―闇をうけいれてくれれば―

マーズが炎で威嚇する。「異形の者!いますぐ立ち去りなさい!!」“光あるところに闇はある 闇は光をよび 光もまた闇をよぶ!!”
いまにも力を暴走させようとするネヘレニアを前にして、クイーンはムーン・スティックを素早く構えた。
一瞬のことだった。クイーンはムーン・スティックの先の銀水晶にネヘレニアを封じ込めた。
「封印します!永遠に闇の世界へ!」クイーンはムーン・スティックを部屋の鏡にかざすと、ネヘレニアをその中へと封印してしまった。
“祝いのプレゼントを!!わたしの美しい呪いをうけとるがいい!!この王国はやがて滅びる
美しい王女(プリンセス)は王国を継ぐことなく死ぬ それがわたしのプレゼントよ!”



236: ◆P9MoonSjzo
09/04/14 22:11:47
“そしてわたしの呪いは成就し シルバー・ミレニアムは 滅んだ”―ネヘレニアの呪いで シルバー・ミレニアムが滅んだ―!?
ネプチューンが懸命に否定する。「王国が滅んだのもプリンセスの死も呪いなんかじゃない!運命だったのよ!!
おまえごときに運命をあやつれるわけがないわ!」
サターンはこの様子を冷静に見守っていた。―そう ―あの時は ―いくつもの悲劇がドミノのように重なり 滅びの運命をたどってしまった
―すべて消去し再生したと思ったが こんなところにコマがひとつ残っていたなんて!

“あの時 月はすべての光を失い 王国の者どもも銀水晶もろともに滅び去った だが たやすくやつらが滅びるわけはない どこに消え去ったのだ!?
―ずっと手に入れようと思っていたこの星―!この星の支配こそ真の月の女王のあかし!銀水晶に負けぬ未知の力を秘めた星!”
―その胸で銀水晶が輝いていようとは!
ネヘレニアの目が妖しく光った。次の瞬間、セーラームーンの胸のブローチがパァンと割れ、なんと銀水晶がネヘレニアに奪われてしまった…!?
●to be continued●



237:マロン名無しさん
09/04/14 22:15:41 CnJ5qmLB
ネヘレニアの脳内にも黒いお花畑があるような気がしてならない

238:マロン名無しさん
09/04/14 22:17:02
月=日本
ネヘレニア=在●

239:マロン名無しさん
09/04/14 22:34:16
>すべて消去し再生したと思ったが こんなところにコマがひとつ残っていたなんて!

KAKKEEEEEEEEEEEEEEE

240:マロン名無しさん
09/04/14 22:38:35
これなんて眠り姫?

241:マロン名無しさん
09/04/15 03:06:49
>>240
こう考えるんだ
これは王子活躍フラグだと

242:マロン名無しさん
09/04/15 03:13:07
クイーンセレニティktkr
ムーンスティックが忘れられてなかったことがなんだか嬉しい

243:マロン名無しさん
09/04/15 03:16:10
※ネタバレ※

ネヘレニアの正体は闇ベリル


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