美少女戦士セーラームーン連載中 ☆3at CSALOON
美少女戦士セーラームーン連載中 ☆3 - 暇つぶし2ch501:マロン名無しさん
09/02/09 00:19:15
師ファラオ90の器化って誰の体を乗っ取るんだ?
土萌父?

502:マロン名無しさん
09/02/09 00:44:14
>>501
どうせまた変態が寝返るんだろ

503:マロン名無しさん
09/02/09 00:45:37
>>501
冷凍保存しておいたほたるの母の体に入るんじゃない?

504:マロン名無しさん
09/02/09 00:46:41
>>501
天王はるか

理由:男女どちらも楽しめるから

505:マロン名無しさん
09/02/09 06:57:08
>>501
大穴でセーラームーン

506:マロン名無しさん
09/02/09 09:09:20
>>501
デス・バスターズ編はちびうさがヒロインみたいな感じだからちびうさに一票

で、ちびうさの体を守ってる変態もついでに捕まって洗脳されるパターンだろ

507:マロン名無しさん
09/02/09 09:12:02
>>495
破滅の神の魂はゴキブリ並みにしぶといから

508:マロン名無しさん
09/02/09 20:01:27
つーかほたるちゃんが本気でかわいすぎる…
あんなに健気で頑張ってるなんて本当に泣けるわ
戦えないのに頑張ってちびうさを守り続けるとかすごく萌える
「他人に見せてもダメ」って諭すのがすごくかわいい

509:マロン名無しさん
09/02/09 20:02:30
×すごく萌える
○すごく燃える

の間違いね

510:マロン名無しさん
09/02/10 08:18:17
ほたるがちびうさの魂を懸命に守ってるのを知ったら
ウラヌス達も考えを改めるかもしれないな
でもそしたらセーラーサターンが目覚めて地球が滅ぶか…うーん

511:マロン名無しさん
09/02/10 08:28:20
二手に別れるのになぜ四守護神がセーラームーンと別グループになったのか謎
プリンセスを守る戦士じゃなかったのか

512:マロン名無しさん
09/02/10 18:58:05
どうせ4人一気にやられる為だろ…(´A`)

513: ◆P9MoonSjzo
09/02/10 21:43:06
Act35-2

スーパーセーラームーンと三戦士の乗ったエレベーターは静かに地下へと降りていく。「うっ」突如スーパーセーラームーンはずりずりと崩れおちていく。
「……はっ はきそう」「だいじょうぶ?セーラームーンッ」プルートが心配する。ウラヌスは腕組みをしたままくすりと笑った。
「スーパーセーラームーンも エレベーターにのれば重力にはさからえないらしいな」

……どんどんはやくなる ―まるで 底なしの ―地獄へおちてゆくみたい…… ―こわい…
「……ヴィーナスたちは だいじょうぶかな」スーパーセーラームーンがぽつりと尋ねる。ネプチューンがクスッと笑って励ましてくれた。
「ついていきたかった?彼女たちならだいじょうぶよ」「……三人は こわくないの?」
スーパーセーラームーンはおどけたように笑った。「あたしはダメ☆なんかもうすぐびびっちゃって☆ ―こんな無人のゆうれいビルや
とまらないエレベーターにとじこめられちゃったりするとコーカてきめん☆」―これから大きな敵とたたかう そう思っただけで
「―まるで ひとりぼっちみたいな気がしてきて ―こわいの」―いやな不安ばかりおしよせてくるの……

「こんなものを孤独とはいわないよ 孤独とはもっと 無限にひろがるものなんだ あたしたちのいた場所みたいに」とウラヌス。
「―おしえて ウラヌスやネプチューンやプルートがいたところはどんなところだったの?」
三人は驚いたようにこちらを見ている。やがてウラヌスが静かに口を開いた。「さびしいところさ」
―だれもいない たったひとりぼっち だれも助けてくれない孤独な場所―……

―でも どんなときでも わたしたちはかなたの美しいシルバー・ミレニアムを 美しいクイ―ンとプリンセスの姿を思いうかべた
それはわたしたちにとって ひとすじの光だった


514: ◆P9MoonSjzo
09/02/10 21:43:48
ネプチューンは手鏡にセレ二ティの姿を映して微笑んだ。「―そう その光がさしこむと力がわいてきて できないことはなかった」
プルートもこちらを見据えて力強く微笑む。「その光はいつも だいじょうぶあきらめるなって わたしたちを導いてくれるのよ」
その言葉にスーパーセーラームーンは救われた思いだった。

「―長いな」「長すぎるわね」スーパーセーラームーンははっと我に返った。「……四人が心配だわ……」プルートが考え込む。
その瞬間、エレベーター内に耳をつんざく様な音が響き渡った。するとバッと底が開き、四人は暗黒の中に投げ出された。
「セーラームーン!」三戦士はぐんぐん闇の中へと堕ちていく。「ウラヌス!ネプチューン!プルート!」

― 一面の……闇――!?

―こわい……!ウラヌス!ネプチューン!プルート!声がでない―!みんなどこ!?
ヴィーナス!ジュピター!マーキュリー!マーズ!不安になるくらいならあそこで別れなければよかった ―まもちゃんちびうさ!
あたしいつもみんながいなくちゃなにもできない どうしたらいいの!!?こんな暗闇でたったひとりぼっちであたしになにができるの!?

―ひとすじの 光だった―
その光がさしこむと力がわいてきて できないことはなかった その光はいつも だいじょうぶあきらめるなって わたしたちを導いてくれるのよ

スーパーセーラームーンは闇の中に光明を見出した。―そう いつでも……みんながあたしをてらして導いてくれる
おしつぶされそうなときいつも思い出す ……あたしも胸の中に光をもっていたんだわ
それはみんなのひとつになった心― 信じるだけでいい 一瞬のうちにその光が輝きだす―!
あたしは スーパーセーラームーン ―みんなのさずけてくれた力で光輝く戦士―!あたしがこの闇をてらす光になる!
どんな暗闇にだって幻覚にだってまけない―!!「虹色月心激(レインボー・ムーン・ハートエイク)!!」


515: ◆P9MoonSjzo
09/02/10 21:44:20
闇は消え去り、四人はガクンとエレベーターの床にしゃがみこんだ。すると、ポーン、と音がしてエレベーターの扉が開いた。
「ようこそわたしの研究室(ラボ)へ まちかねていたよ ククッ わたしのカワイイダイモーンたちが腹をすかせてね」
エレベーターの前で待ち構えていた土萌教授の背後のダイモーンが、奇声を上げて襲いかかってきた。
「時空嵐撃(クロノス・タイフーン)!」「深海鏡射(サブマリン・リフレクション)!」
ダイモーンを二体撃破されても土萌教授は余裕の笑みを浮かべている。「クククッ!まだまだ!ダイモーンならいくらでもつくりだせるぞ!あはははは」
巨大な実験装置の中で、ダイモーンが今にも生まれ出そうとしている。

「もうやめて!!」スーパーセーラームーンが凛々しく立ちはだかった。「ここであなたたちと戦う気はないわ!ほたるちゃんはどこ!?」
「ほたる?―もとわたしの娘なら いまごろは聖なる神殿で タイオロン・クリスタルに近しい光 “幻の銀水晶”のパワーを
師(マスター)ファラオ90(ナインティ)にささげているところさ!」―師ファラオ90!?

地の底からズズズズと何かがせり上がってくるような音が聞こえてきた。「―おお!いよいよ師の胎動が始まる!」
ネプチューンが気付いた。「地下よ!」教授は白衣をバサッと脱ぎ捨てた。「残念だがここがおまえたちの墓場だ!」
メキメキと教授のシャツが破れ、筋肉がはち切れんばかりに盛り上がっていく。「このわたしの最初のえじきとなるのだ このゲルマトイドのな!」
そこにいたのはもはや人間ではなく、額に黒い星のマークが付いた怪物だった。「ダイモーン!!」

「わたしはダイモーンなどとはちがう!わたしこそ超生物!異生物と人間との融合体なのだ!死ね!」
教授の激しい攻撃を、戦士達はなんとかかわした。スーパーセーラームーンはロッドを構えたものの、攻撃を躊躇してしまう。
―これは数秒まえまでたしかにほたるちゃんのお父さんだった!
そうしている間にも、凄まじい攻撃がスーパーセーラームーンを襲う。



516: ◆P9MoonSjzo
09/02/10 21:45:11
「ヤツはもう人間じゃない!ダイモーンだ!敵だ!宇宙剣乱風(スペース・ソードブラスター)!!」
ところがウラヌスの体はバチッと弾かれてしまった。「ウラヌス!!」スーパーセーラームーンは意を決した。
「虹色月心激(レインボー・ムーン・ハートエイク)!!」「ぎゃあああああ」教授はグシャグシャに潰れて絶命した。

『―パパ ―ママが死んでからのやさしいパパは あたしをすくってくれたパパは もうすでにパパじゃなかったのね』
教授の残骸を見たほたるは俯くと、ふわりと消えていってしまった。『さよならパパ……』
「だれ!?」スーパーセーラームーンが振り向くが、そこにはだれもいなかった。―いま―だれかがそこに いたような……?

次第に地響きが大きくなり、プルートのタリスマンが光って危険を知らせた。―なにかくる!「時空球(ガーネット・ボール)!!」
プルートがタリスマンを掲げて自分達の周りに球体のバリアを張った瞬間、轟音と共になにかが天井を突き破って出て行った。
スーパーセーラームーンははっとして上空を見上げる。―上には四人が!!マーキュリー!マーズ!ジュピター!ヴィーナス!?

内部太陽系四戦士は異変を感じ、警戒しながら地面を見下ろしていた。―下からなにかくる―!?
その瞬間、ドオンと爆発音がしたかと思うと、四戦士の体は弾き飛ばされ、力なく宙を舞った。

なんの前触れもなく、シュン、とセーラームーンのコスチュームが通常のものに戻ってしまった。「セーラームーン!?」
―スーパーセーラームーンのパワーアップが解けた―!心のつながりがたちきれた―!?―四人の身になにかおこった!?

セーラームーン達がそのまま上昇していくと、空に黒い雲が立ち込めているのが解った。ガラス張りのビルの中には、
ミストレス9と巨大な化け物―ファラオ90がいたのだった。
―あいつは―!あれは……!ほたるちゃん!?
●to be continued●


517:マロン名無しさん
09/02/10 22:27:31
四戦士…
>>512の通りになったな
いいかげんヤムチャより酷い扱いに思えてきたのは気のせいだろうか

518:マロン名無しさん
09/02/11 00:14:12
土萌教授…あっさり死んだな

519:マロン名無しさん
09/02/11 01:20:24
やられやすいよう
化け物になる教授

520:マロン名無しさん
09/02/11 12:11:01
めっちゃ親切だな。

521:マロン名無しさん
09/02/11 12:14:12
戦闘が始まってから次回まで生き残ってる敵ってどれくらいいたかな…。

522:マロン名無しさん
09/02/11 19:21:19
>>521
変態とか

523:マロン名無しさん
09/02/12 12:36:27
あれは敵じゃなくて変態

524: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:49:59
≪かぐや姫の恋人≫
(1994年11月単行本かきおろし作品)

“―さびしかったわ ―わたしの最初のカケラを手にしたあなた ―あなたがわたしの永遠の伴侶”

「―彗星だわ」みちるの手鏡に大きな彗星の姿が映し出された。せつなが後ろから覗きこむ。
「ホントだ!太陽系のおおむかしの住人のご帰還ね」「おかえりなさいってとこかしら」「まねかれざる客にならなきゃいいけど」
はるかが目覚まし時計を二人に見せる。「きゃあ☆もうそんな時間!?」三人は急いで家を出ると、タクシーに乗り込んだ。

クラウンゲームセンターではうさぎやちびうさ、衛・美奈子達が三人を待っていた。
「おっそーいっ はるかさんvみちるさんせつなさんvやっときたきたv」「ハッピーバースデー 美奈子まことv」はるかは大きな花束を持っている。
さすが女子大生。せつなはワインとシャンパンを持ってきていた。「みんなvせっかくパーラークラウンかしきってくれたんだからいっぱい食べてね」
宇奈月が大きなケーキを手に微笑んでいる。元基も一緒だ。

うさぎはジュースを手に、乾杯しようとするが……誰か足りない。「―ごめん 大ちこく☆」「ルナ!アルテミス!ダイアナ!おっそ~~い!」
「アルテミスのせいよ☆むかえにくるのおそいんだもん」「なんだよっ いっつもボクがむかえにいってばっかでさ
たまにはルナのほうからむかえにきてほしーよな」喧嘩を始めた二匹を、美奈子が「ふーふゲンカはキリンのおさしみ!」という格言(?)で止める。
「とにかく はやく宇奈月ちゃんの手料理とまこちゃんのケーキを食べるために」衛がウインクして見せる。
「カンパーイ ハッピーバースデーッ!まこちゃん美奈子ちゃんv」

窓の外は雪が降り始めていた。“―ふふっ クスクス”薄い衣を纏った妖しい女が、この様子をどこからか見て黒く笑った。


525: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:51:20
十二月がやってきた。雪が舞い散る中、ルナは一匹でうさぎの家を出た。“ルナって一度も美奈子ちゃんちいったことないよね”
“そーいや いつもてってーしてアルテミスがむかえにいく役だよね”“へー ルナって女王サマなんだ―”……そんなつもりじゃなかったんだけど☆
“たまにはルナのほうからアルテミスのとこいってやったら?あいつきっとよろこぶぜ”……まもちゃんにいわれたんじゃしかたないわよね

―アルんとこいきたくないのはね理由があんのよ☆どうしても通らなくちゃならないこの大通り
むかしここで悪ガキに 額の三日月のバンソコはられた超やな思い出があるのよ~~

そうしている内も、子供達がルナの傍に寄って来た。ルナはひらりと身をかわす。ところが、子供はルナのしっぽをムギュっと掴んだ。
「つかまえた!」「見て見て―ヘンなのっ 三日月ハゲがある!」「ホントだ!」「ちょっとイタヅラしちゃおーぜっ おいだれかバンソコもってる?」「あ あたしある!なかよしのふろくーっv」
―おねがいそれだけはやめて~~ そこにバンソコはられると力(パワー)が……っっ

ベタッ

ルナの願いも空しく、子供たちによって額にセーラームーンの絆創膏を貼られてしまった。ルナはふらふらしながら逃げだした。
……ああ… 力がでない…… ……もうダメ……
ルナがよろけた拍子に、なんと車がこちらへ突っ込んできた。「あぶない!」……ああ ……死ぬ前に一度 アルをむかえにいってあげればよかった……

……なあに?あまーいいいニオイがする ここは天国かしら ……なんだか ……おナカがすいてきたわ
「あ 目 あけた いまおナカがなったよ黒ネコちゃん こんぺいとう食べるか?」ルナは信じられない思いで目の前の白衣の若い男を見つめた。
ルナが擦りむいた前足にはハンカチが巻いてあった。「しかしおかしな所にバンソコはってるな ケガでもしたのかな どれ」
彼は一気に絆創膏を剥がした。「―こりゃまたキレイな三日月ハゲだなあ ムリヤリはがしていたかったかい?ゴメンゴメン」


526: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:52:09
「おい宇宙(おおぞら)!」別の男が勢いよく部屋に入ってきた。「姫がもどってきてるぜ」「ホントか?」
その瞬間、彼は胸に痛みを感じて顔を強張らせた。女がドアをコツンとノックする。
「スペースマンは体力第一!あいかわらずしろいカオしてるわね 翔(かける)!」「オレはしがない地上勤務だよ ―姫」

宇宙開拓事業団の職員は姫子登場にどっと沸く。「ひさしぶり!姫!どうだったの?クリスマスイブの月世界旅行のクルーの最終選考は」
「ケッカまちよ 一週間後」姫子は宇宙飛行士になりたくてケネディ宇宙センター勤務まで希望したらしい。
「クルーに選ばれるよ 姫ならぜったい 今度のスペース・プレーン“ルナ・フロンティア”計画(プロジェクト)の
ペイロード・スペシャリストに 二十二歳の最年少宇宙飛行士の誕生はもうすぐだな」と翔。
「あたりまえよ!ぜったいなってみせるわ 体力と腕力根性なら自信あるのよ!」

“あいかわらず名夜竹(なよたけ)姫子は 姫というよりサムライだな それにくらべてどっちかってーと
姫の幼なじみどの 宇宙翔ハカセのほうがまるでおヒメサマみたいだな”“あいつまた彗星発見したんだって?”“さすがハカセ!”
“しかもその彗星にさ 「プリンセス・スノー・カグヤ」って命名したんだって”“オレ見たよ テレビのインタビュー
彗星が月から流れてきたみたいに見えたからなんだってさ”“博士というより 「宇宙少年」”職員達はくすくす笑っている。

姫子はその様子を見て少し寂しく思った。―翔ったらきこえてるクセに 男らしくおこればいいのに ―ムカシはあんなじゃなかったのに
―最年少で アメリカで 航空宇宙工学 科学 物理 生物 医学の博士号をとろ いままでにないカンペキな資格で
宇宙少年団からの初の宇宙飛行士になるはずだった翔 でもスペース・プレーンの最終選考で ―クルーには選ばれなかった……
みんなびっくりしたっけ だれもが翔は確実って思ってたから ―でももっとびっくりしたのは
それきり翔が一度も宇宙飛行士の募集にチャレンジしてないこと ―なぜ?


527: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:52:54
―宇宙(おおぞら)さんか ホントに宇宙飛行士みたいな名まえ
宇宙開拓事業団では緊急会議が開かれ、ルナは窓の外から会議の様子を眺めた。「―まだ極秘であるが
数日まえ わが宇宙開拓事業団職員であり工学博士である 宇宙翔の発見した彗星プリンセス・スノー・カグヤ このとつぜん現れた彗星が
信じられないことだが 地球衝突軌道にあることが今期判明した」―なんですって!?
「直径10キロメートル― 恐竜絶滅の時とまったく同じ大きさの彗星の地球衝突― 各国で緊急会議が開かれている ―なんとかしなければ」

「彗星が地球に衝突!?」ルナの報告にうさぎ達は唖然とする。「―まさか パーティーのとき せつなさんやみちるさんがいってた彗星―!?」
「―直径10キロクラスの天体との衝突なんて一億年に一度の確率よ そんななことがおきるなんて」亜美は信じられない様子。
ルナははるかに電話を掛けた。「軌道計算したの 発見時から軌道が変化してるわ たしかに地球衝突軌道で―」「わかってる」

みちるはじっと手鏡を見つめた。「―彗星の輝きが なくなっていく― ―見えなくなったわ ―安心して消滅したみたい」
うさぎ達はアルテミスから彗星消滅の知らせを聞いて安心する。ルナもまた笑顔を取り戻した。

「まさか“プリンセス・スノー・カグヤ”がとつぜん消えてしまうなんてな」ルナは再び宇宙開拓事業団を訪れた。
「太陽に急激に接近してもえつきたって発表だ 大さわぎしなくてよかったよ」「……流星雨が見れなかったな おっかしーなー
もえつきたなら見えるはずなのに」―いた 宇宙さんだわ 「おヒメサマの残がいが見れなくて残念だったな翔」
ルナが窓の淵にハンカチだけ置いて帰ろうとすると、職員に見つかってしまった。翔が手招きする。「―オレの客だ やあよくきたね」

「もえつきて消滅した か 残念だな」……また 部屋の中へいれてもらっちゃった  ルナはハンカチを口にくわえ、なんだかそわそわしてしまう。
「コレ……もしかしてあのときケガにまいてやったハンカチ?すごいなきみのご主人はとても礼儀正しくきみを育てたんだな
こんなレディーにははじめて会ったよ」


528: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:53:37
翔はミルクのお供に、とこんぺいとうを差し出した。ルナは赤くなる。―紳士だわ あたしこそこんなふうにあつかってもらえるなんて
「おまえの名まえは」「ル」―っととあぶないっっ しゃべっちゃいけないんだった!
ルナは何か名前のヒントになるものはないかと辺りを見渡し、開かれた雑誌のページに気が付いた。ルナはトントンとそのページを叩く。
「え?ナニ?ルナ・ローバー? ―ルナ!ルナっていうのか?そっか!―ルナか 今度フライト予定のスペース・プレーンも
“ルナ”って名まえなんだよ いい名だな オレの名まえは宇宙翔だよ よろしくなルナ」―すごい コミュニケーションできちゃったわ

ふと机の上を見ると、シャーレの中に幻の銀水晶のような形の結晶が収められていた。「キレイだろ?彗星を見つけた夜ひろったんだ」
翔はシャーレを光に透かして覗きこむ。「あのときあの彗星もこのカケラも ちょうど月からおちてきたように見えたんだよな
かぐや姫のおとしものかな オレ 月にはかぐや姫が住んでるって信じてるんだ」

「それで彗星に“プリンセス・スノー・カグヤ”なんて名まえつけたの?」部屋の前に姫子が立っていた。
「夢みたいなことばっかいってるから みんなにカゲで“宇宙少年”なんていわれるのよ もうすぐ三十になろうってヒトが☆」
「翔!姫!ミ―ティングはじめるぞ」姫子は翔を置いてさっさと行ってしまった。「姫―」そのときまた翔の胸に激痛が走った。
ルナは慌てて駆け寄る。「…だいじょうぶ ルナ いつものたちくらみさ… ―-このこんぺいとうのふくろについてるリボン
ルナににあいそうな三日月色だな」翔はルナの首にリボンを巻くと、額をチョン、と突いた。「また遊びにこいよな ルナ」ルナは完全にのぼせてしまった。

最近ルナの様子がおかしい、とダイアナがうさぎに訴えた。なんでも話しかけてもうわの空で毎日一人でどこかへ行っているのだという。
しかもこのごろこんぺいとうばかり食べているらしい。「ルナならたまにウチきてじっと本読んでるケド?」と亜美。
そのころルナは亜美の家で竹取物語を読んでいた。―ナルホド かぐや姫ってのは 月からきて月へかえってくお姫サマのことなのか



529: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:54:57
「結晶が成長してる―!―信じられない」―断定はできないが ものこの結晶があの彗星の核から飛来したものなら
太陽系発生のナゾがいっきに明らかになるぞ あの彗星が消えるまえにサンプルリターンできたらよかったのに 残念だな
翔は顕微鏡で結晶を観察していたが、疲れたのかそのまま机で眠ってしまった。ルナはクスッと笑って毛布を引きずってきて掛けてやる。

宇宙開拓事業団から帰宅するルナは、家の前でのうさぎと衛のキスシーンを目撃してしまった。顔から火が出そうなルナ。

風呂上がりのうさぎからはなにかいい香りがした。「ポプリよ ひきだしに入れてあるからパジャマににおいがついたんだわ」
ルナがさりげなく尋ねてみる。「…うさぎちゃんて まもちゃんと二人でいるトキさ いつもどんなハナシすんの?」
「まもちゃんていっつもムズカシイ本ばっか読んでて相手なんかしてくんないわよ あたしばっかししゃべってんの で すぐソファでねちゃう」
……なんか 翔さんとそっくり 「でもさ そーゆーマイペースさって 気をゆるしてるからなんだって思うのよね」―そう?―そうかしら
ルナはドキッとする。「まぁもちゃんのネガオって子どもみたいでかあわいいのよっっv」「わかる!でしょでしょ?」
「……ルナ だれのコトいってんの?」ルナは我に返った。「アルテミス?」「いっいーじゃないっだれだってっっ」「ふぅーんv」

「……ねえ うさぎちゃん キ ―キスってどんな味がするの?」
予想もしなかった質問に、うさぎはカアーッと耳まで赤くなってしまった。「あ あまいっ 味 かなっ なんちゃってーっ」笑ってごまかすうさぎ。
―あまい味…… ―あまい味って こんぺいとうみたいな味かしら

「またそんなもの食べて!糖尿病になるわよ翔!」「姫 好きなんだよこんぺいとうが 星のカケラを食べてるみたいでいーだろ?」
「もう十一時よ!さっさときりあげて帰りなさいよ あしたにひびくわよ」姫子は部屋に入ってくると、ルナをつまみ出そうとした。
ところが、姫子はルナを抱いたまま足元の分厚い本に躓いてしまう。「あぶない!」翔が駆け寄ろうとするが、不意に痛みを感じ、床に座りこんでしまった。




530: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:56:03
「翔!?どうしたの!?」「―いや… ちょっと立ちくらみ…」「―ちゃんと自己管理してるの?―そんなんじゃ宇宙飛行士なんて ゼッタイ ムリね」
「……オレのぶんも見てきてくれよ 宇宙を さ もうアメリカもどるんだろ?」
姫子は悲しそうにしばらく翔の顔を見つめた。「……そのぶんじゃ知らないのね 気にもかけてくれないんだあたしのコトなんて」
姫子がテレビをつけると、ニュースでは選ばれた四名のクルーが紹介されていた。その中に姫子の姿は無かった。

「あたし おちちゃった 最終選考に ……またアメリカもどって一から出直しよ 部長と局長にいわれちゃった 女のコはヨメにいったほうがいいって」
「チャンスなんかまたいくらでもあるさ」「もちろんよ!本気だものあたし 一回おちたくらいで あきらめたりしないわ」
「……あなたとちがって あたしは夢を忘れたりしないんだから」姫子は感情を爆発させると、バタバタとその場を後にした。

―どっ どうしよう☆
ルナがおろおろしていると、翔は優しくこう言った。「……おナカすいたかい?帰ろっか」―宇宙さん……
「粉雪だ 今年はさむいな たしか冷蔵庫にミルクが…」翔が自宅の冷蔵庫を開けたとたん、またも胸を激痛が襲い、翔は座りこんでしまった。
「―だいじょうぶだよ ルナ…… 薬を……」ルナに取ってきてもらい、翔はたくさんの種類の薬を飲んだ。
―なんの薬なんだろう ああこんなトキ まもちゃんやあみちゃんたちがいたら適切な処置をしてあげられるのに
翔はソファに横になると、眠ってしまった。ルナはソファの傍の壁に飾ってあった宇宙の写真に気づき、見とれてしまう。……キレイ… 日がのぼる瞬間ね

「ルナ」呼ばれて、ドキッとする。いつの間にか翔が目を覚ましていた。「おまえ ずっとおきてついててくれたのか?」「ニャーオ」
翔はルナを抱き上げ、窓の外の光景を眺めた。「雪がやんだな もう夜明けだ ごらん 美しい地球の朝だ」
「ルナ ―宇宙から見る夜明けはもっとスゴいんだ もっとずっと 美しい― おまえにも見せたいな ルナ 二人で見にいけたらいいな」
にっこり笑いかける翔に、ルナの心臓は高鳴った。



531: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:56:36
「おまえはいいニオイがするなあ 花のニオイ?」翔はルナに頬ずりをした。「ポプリのニオイだ ご主人サマのかい?」
翔はベッドに寝転んだ。「おまえといるとホッとするよ おまえとならなんでもわかりあえそうな気がするな」翔はそのまま眠ってしまった。
―あたしも そう思うわ……
ルナはドキドキしながら、眠っている翔にそっと近づいた。顔を顔が近づいてゆく。

……チュ

ルナは恥ずかしさのあまりパッと顔を上げると、急いで翔の部屋を出て行った。―ああ 世界はなんて 美しいのかしら……
……キスしちゃった ……あたし ……あのヒトが ……好き  翔さん……

翔が起きると、もうルナはいなかった。「ルナ?帰ったのか」暖房を入れようと、翔が立ちあがると、壁に飾ってあった宇宙の夜明けの絵ハガキが目についた。
画鋲を外し、裏返して見る。それは姫子が翔に送ったものだった。「……有休いっぱいあまってたっけ」翔は勤務先である宇宙開拓事業団に電話を掛けた。

―翔さん もう出勤してるかしら
ルナが翔の職場に赴くが、翔の姿は無かった。「もしもし?宇宙?あさってまで休暇?わかったいっとくよ いきさきは?ケネディ宇宙センター?」

ほどなくして、翔の乗った飛行機の翼に乗る黒ネコ―ルナの姿があった。子供がそれに気づいて騒いでいるが、翔は考え事をしていて気づく素振りもない。

―なんだか消えちゃいそう… どうしてきゅうにケネディ宇宙センターへなんて……?
翔はケネディ宇宙センターの近くでただ空を見上げるばかり。「ニャーゴ」振り向くと、草むらの中からルナが現れた。
「ルナ!?まさか☆でもこの三日月ハゲはっ☆まさかおまえのご主人はNASA勤務なのかっ!?」翔はルナを抱きよせた。
「信じられない…… ホントにルナなのか こんなところで会えるなんて……
―オレを おいかけてきたのか?」翔はクスッと微笑んだ。
……どうして わかっちゃうの? そうよ おいかけてアメリカまできちゃったわ……


532: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:57:22
「……オレも未練たらしいヤツだよな いまさらこんなところへきて …おまけにオレはやなヤツさ 姫がクルーに選ばれなくて ホントはホッとしてる」

“あ!流れ星だ!”“ホントだ!”“宇宙飛行士になれますよーに!”“あたしもあたしも!なれますよーにっ!”
“なんだよ 姫子も宇宙飛行士になりたいのかよ”“そーよ あたしだって見てみたいもん 月にホントにかぐや姫がいるかどーか”
“じゃ 二人いっしょに宇宙飛行士になろっか”“ホント?”“そいで二人でかぐや姫がいるかどうかたしかめるんだ”
“約束よ 二人でゼッタイ宇宙飛行士になって 月へいこーね”

「……あんなにカンタンにたくさんのヤツが 宇宙へいける時代になったんだなぁ」翔は切なげに空を見上げて呟いた。
“あなたとちがって夢を忘れたりなんかしないわ”……このヒトは 夢を忘れてなんかいない
宇宙飛行士になりたいのね 翔さん……

「―う!」突然、翔は胸を押さえてその場に倒れ込んでしまった。―翔さん!?―どうしよう!―だれか!よんでこなきゃ!
ルナは懸命にケネディ宇宙センターの姫子の元へ走った。「あらっ!?このネコちゃんはまさか―!?―まって!どこいくの!?」
走り去っていくルナを追いかけていくうちに、姫子は倒れている翔を見つけたのだった。

「拡張型の心筋症―!?」姫子は目の前が真っ暗になった。「しかも不整脈をともない手術もできない 宇宙飛行士なんてとんでもないのさ ヤツは
無理は禁物だ 日本へ帰って早く入院させろよ」姫子はその言葉に従い、翔と共にアメリカを後にした。
「―姫 ごめん おまえまで日本に…」「あたりまえでしょ ほっとけるわけないじゃない あなたが入院してちゃんとよくなるまで日本にいるわ」

ルナは翔が所持していた薬の一部を亜美に見せた。「この薬はジキタリス 利尿剤血管拡張剤 パラパミル心臓の薬ね その人―心筋症じゃないかしら」
―心筋症― ―心臓の病気だったの!?翔さん……




533: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 21:58:05
「恋ね ルナはカンッペキ恋をしてるわよ」美奈子の言葉にアルテミスは大ショック。「ル ルナがこいっ!?だれにっっ!?」
「すくなくともあんたじゃないわねきっと」アルテミスは白目を剥いて放心してしまっている。
「ポーッとしてる回数が多い 行動がつかめない オシャレになった リボンをしたりポプリのにおいとかさせたり」はるか達三人もそう言って同意する。
「それにいまさらあたしとまもちゃんのことをいまさら気にするよーになるなんてっ 恋しかないわよ!ねえ?」とうさぎ。

「だいたいあんたが手ヌキしてるからいけないのよアルテミス!さあんじゅっせいきの未来でいっくらケッコンして
ダイアナちゃんって子どもまでいるからってアグラをかいてるよーじゃダメね!未来なんていくらでもかわるんだから」
美奈子の強烈な一言にアルテミスは完全にノックアウトされ、すごすごと去っていった。

「ルナが恋かあ…… なんかわかるような気がするな ……センパイ…v」「そうねえ たしかにこんな季節はむかしの恋なんか思い出しちゃうわね」
「……初恋… バレー部の東センパイ…v(でもあたしがころしちゃたんだっけ)」まこと・レイ・美奈子はみんなしんみりしてしまっている。
「どっどーしたのよみんなまできゅうにっっ」「うさぎにはわかんないわよ あたしたちの気持ちなんてさ」
「クリスマスまえはね だれでも恋をしたくなるのよ イブの夜にひとりぼっちなんてさびしいもの」とまことは溜息をつく。
みちるははるかにぴったりとくっついた。「そうよねえ」「さびしいのはイヤよねえ」

“―クスクス ―ふふっ ―そうよ ―さびしいのは イヤ”

「そっかもうすぐクリスマスかあ ……パパ ママ……」ちびうさまでしんみりして泣き出してしまった。「なんだなんだちびうさまでっ」
うさぎと衛は困惑する。そこで亜美が提案をした。「みんなでクリスマスパーティ0しない?きっと楽しいわよ」「ホントッ!?」
さっそくちびうさが食いついてきた。


534: ◆P9MoonSjzo
09/02/12 22:00:32
「あのね毎年クリスマスにはね 主役をきめるの」「主役?」「そう それで主役にはパーティーでいちばんほしがっているものを
みんなでプレゼントしてあげるのよ」とちびうさが楽しそうに答えた。
“スモール・レディ 今年のクリスマスの主役(ヒロイン)が あなたよ さあ目をあけて みんなからのプレゼントをうけとって”
“はじめましてスモール・レディ あたしはダイアナ よろしくね”“すごーい どうしてあたしのほしいものがわかっちゃったの?パパママありがとーっv”
「楽しかったな みんなでやったクリスマスパーティー 今年はだれを主役にしようかな」とちびうさはうきうきしていたが……
また両親が恋しくなって泣き出してしまった。衛はおろおろするばかり。

「入院の手続きはしといたわ お見舞いにいくわ なにか必要なものある?」姫子が翔と電話を掛けた。
「ありがとう 姫 だいじょうぶ これから研究室によってから病院へむかうよ」

翔が研究室に向かうと、なんと結晶が何十倍もの大きさに成長していたのだった。―結晶が……こんなに巨大に成長してる―!?バカな……!
―まるで人の形のようだ……!これはいったい……!?
またしても翔を胸の痛みが襲った。―苦しい… このごろ発作の回数がふえた オレもそろそろおはらい箱ってところか

J医科大学病院のベッドで翔が寝ていると、いつの間にか窓が空き、冷気が入ってきた。翔は一気に意識を覚醒させる。
“―さびしかったわ”「…だれだ?」なんと開いた窓にあの結晶が現れ、次第に女の形になっていった。
“―わたしのカケラを最初に手にしたあなた わたしはスノー・カグヤ あなたに名をもらった者”
「……オレを むかえにきたのか…?」女はただ妖笑を浮かべている。「……オレはもうすぐ死ぬのか ……そうか
……心配しなくてもオレの両親はずいぶんむかしに死んだし ほかに悲しむ人もいない… 思いのこすことはなにもないよ いつでもつれていってくれ」
“―さびしいのね あなたのさびしさが すこしわかる ―わたしも孤独だったわ 45億年たったひとり……”
●to be continued●



535:マロン名無しさん
09/02/13 02:15:10 UfDpIxhS
未来を覆す真の破壊の神=ルナ

536:マロン名無しさん
09/02/13 02:18:49
まさかのルナ主役番外編
しかも長編ぽい
あと初恋エピが消化されてないのは亜美だけか?

537:マロン名無しさん
09/02/13 04:09:05
ああ映画の奴か
一冊書き下ろしって宣伝のレベル超えてるだろ

538:マロン名無しさん
09/02/13 23:11:55
時系列的にはデスバスターズを倒した後なのかな。
それともパラレル?

539:マロン名無しさん
09/02/14 02:05:11
>>537
原作だ原作。

540: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:44:23
粉雪が舞う中、ルナはじっと目の前の病院を見つめていた。―翔さん…… ネコのあたしはなんにもしてあげることはできないけど
…… でも あいたい……

看護師が軽くノックをして、病室に入っていく。翔の病室にいたのは、翔と、今にも襲いかかろうとしている人間の女の形をした異生物だった。
看護師の悲鳴を聞きつけたルナは木の上から病室を覗き見て、異生物―スノー・カグヤが口から冷気を吐き、看護師を氷漬けにしているのを目撃した。
―あいつは!?あの姿は― まさか ―敵!?

ルナは急いで月野家に戻り、寝ていたうさぎを叩き起こした。ルナとうさぎは病院に駆け付けるが…。
「なんですあなたたち!面会時間はとっくにおわってますよっ おまけにネコなんかつれこんでっっ」あっさりつまみ出されてしまった。
「ルナッ☆場所はどこなのっ」「内科病棟四階CCU!」「よお―し!ムーンパワーッッ」うさぎは変身ペンを取り出すと、高く空に掲げた。
「科学技術庁長官に!へんしーんっ 宇宙開拓事業団の最高責任者よっ!!」うさぎいわく、科学技術庁初の女性大臣らしい。
そのあまりにケバい格好にルナ脱力。「大臣なら面会もフリーパスよっっ」「そんなバカなっ」
廊下を走りぬけると、問題の病室が見えてきた。「ムーン・コズミック・パワ― メイクアップ」

「愛と正義の星 月を守護にもつ神秘の戦士!美少女戦士セーラームーン参上!!」
“なにやつ!?”有無を言わせず、セーラームーンは必殺技を放った。「ムーン・スパイラル・ハート・アタ―ッック!」
その威力にスノー・カグヤは怯む。“くっ!!ひとまず撤退じゃ!”スノー・カグヤはあの結晶に姿を変えると、窓の外へと消えた。


541: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:45:06
「翔!?」一足遅れて病室にやって来た姫子は異変に気づき、倒れている翔を抱き起こした。
「どうしたの?なにがあったの?あなたはいったい!?」「あたしはセーラームーン 翔さんがおそわれたのよ」―セーラームーン!?…
そのとき翔が息も絶え絶えにうわ言のように呟いた。「あの結晶が……」「結晶!?」「とつぜんあらわれてそこから…… スノー・カグヤが…」
―スノー・カグヤ!?

姫子はCCU(集中治療室)の前の椅子に座り、横に立つセーラームーンに話を始めた。
「―翔のいってた結晶って 彗星を見つけた日に空からふってきたものらしいわ おそろしいはやさでその結晶は成長してるの
まったく未知の結晶なの 未知の結晶の成分が強い作用で翔に幻覚を見せてるのよ あの結晶はキケンだわ!」
ルナは考えを巡らせる。―スノー・カグヤ…… 彗星の名まえ…… ―まさか

「幻覚じゃないわ 姫子さん」「ルッ ルナッ!?あなたいましゃしゃべってっっ」
「信じられないことかもしれないけど 侵入者よ しかもあの彗星からの」「侵入者って…… まさか未知の生命体ってこと?」
「その結晶もたぶん侵入者の一部だわ 翔さんねらわれているのかも…… 結晶は始末したほうがいいわね」
「そんなバカな…… 翔が未知の生命体にねらわれてるっていうの?」姫子は言いようがない恐怖を覚えた。
セーラームーンは気を引き締める。―翔さんだけじゃない この星もねらわれているかも……

翔を心配してやまない様子の姫子を見て、ルナはズキンと胸が苦しくなり、思わず顔を背けた。
これを見ていたセーラームーンはピンときてしまった。―まさか ルナの恋の相手って……?

深夜、司令室に集結したはるか達三人は、みちるの手鏡に皆で手をかざした。「座標は?」「―彗星プリンセス・スノー・カグヤの消滅地点へ!」
三戦士は一瞬のうちに宇宙へと飛んだ。


542: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:46:01
三戦士は目を疑う。消滅したはずの彗星がたしかにそこに存在していた。“―だれじゃ!?わたしの道行きに立ちはだかる輩は!”
「外部太陽系三戦士!セーラーウラヌス!」「セーラーネプチューン!」「セーラープルート!」「「「参上!!」」」

「消滅したと見せかけ姿をかくしていたわね!目的はなに!?侵入者よ!いますぐここから立ちさってもらうわ!―天界震(ワールド・シエイキング)!!」
「深海没(ディープ・サブマージ)!!」「破滅喘鳴(デッド・スクリーム)!!」“ホホホ 赤子のようなおまえらなどになにができる!!”
スノー・カグヤの強力な雪の攻撃で、三戦士は堪え切れず、宇宙から地球へと舞い戻されてしまった。
“姿をかくしゆっくりこの星をと思っていたが 四十五億年の孤独のエネルギーでいまこそ この星をつつんでくれようぞ この星はわたしのものよ”

はるか達三人は手鏡の中を通じて司令室へと戻ってきた。手鏡は割れ、はるか達は床に座り込んで肩で息をしている。
遅れてやってきたうさぎ達にはるか達は告げる。「彗星は消えてなんかいない!スノー・カグヤはこの星をねらってる」

―このままでは予定通り彗星は地球に衝突する!この星があぶない!―

彗星が再び現したことは、瞬く間に大スクープになった。姫子は雪の中を宇宙開拓事業団へ俯きながら足を運んでいた。
―侵入者だなんて… 未知の生命体(エイリアン)だなんて信じられない…… 翔がおそわれるなんて…
暗い気持ちで姫子がカチャリとドアを開けた瞬間、職員達はどっと沸いて姫子を歓迎した。
「姫!いま科学技術庁を通してNASAから連絡が 二十四日のスペース・王レーン“ルナ”のフライト
目的変更で増員されたんだ きみがクルーに選ばれたよ姫!」

“―新たにクルーのメンバーとなった日本人宇宙飛行士 ミス名夜竹姫子は初のフライトとなり 日本人女性では最年少の宇宙飛行士で―”
翔はテレビのニュースを複雑な表情で食い入るように見つめていた。




543: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:46:57
―姫 ―ルナ みんなオレをおいていってしまう おいていかないでくれ ―さびしいんだ
……だれだ? ……かぐや姫?

翔が薄らと目を開けると、彼の顔をじっと覗きこんでいたのはかぐや姫ではなく、姫子だった。
「―宇宙飛行士(アストロノート)のきみがどうしてこんなところにいるんだ いまごろはアメリカじゃ……」
「いくわ あなたのぶんまでいって見てくるわ 宇宙を」「……はやくもどれよ もうおまえはこんな自由行動がゆるされる身じゃないんだぞ」
「……おめでとうっていわなくちゃな ―うっ」「翔!」翔は起き上がると激しく咳き込んだ。
「……オレはもうダメみたいだ」「翔」「長くはない 自分でわかるんだ」

「あたし フライトから帰ってきたらだれがなんといおうとあなたのそばにいる そばについてあなたの心臓をなおして
もう一度 ―今度は二人で宇宙へいくの そして二人で 月にかぐや姫がいるかどうかたしかめるのよ」「……姫…!」
姫子の目からぽろぽろと大粒の涙が零れた。「……ひとりで苦しまないでよ なんでもいってよ あきらめるなってあなたいったじゃない
……あたしたち小さいころから ゼッタイ宇宙飛行士になろうってきめてたじゃないの」

姫子は力一杯翔に抱きついた。「二人の夢だったでしょ?」
「…姫……!」翔の目からも涙が零れる。―宇宙へいきたい 「……こんなオレでもいけるかな」「あたりまえじゃない ……あたしがつれてってあげる」
二人は固く抱き合うと、長い長い口づけを交わした。

ルナはそんな光景をドアの隙間から見てしまったのだった。ルナはタッと駆け出し、一目散に司令室へと向かった。
―おたがいわかりあえる運命のヒトだと思った でもあなたにとって それはあたしじゃなかった

人間になりたい― もしも人間だったら…… こんなもどかしい思いをしなくてすんだのに……
―苦しい ……こんな苦しい気持ちがあったなんて……


544: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:47:32
司令室にはアルテミスが一匹残っていた。「―こっ こんなおそい時間までいたの?」慌てて涙を引っ込めるルナ。
「彗星のことをね いろいろ策をねってたんだ さっきまでみんないたんだよ」ルナははっと顔を上げると、ぷるぷると首を振った。
―あたしったら…… どうかしてた こんな非常時に  アルがこんなにがんばってるのに……

「……ねえルナ おナカすいてない?こんぺいとうあるよ好きだろ?ちびうさとダイアナがさ どーしてもルナにっていっぱい買ってきたんだ」
(←ウソばっかし じぶんでかってきたクセに  ちびうさ&ダイアナ談)
ルナの胸がズキンと痛んだ。―こんぺいとう……
カリッとかじってみると、ルナの目から自然と涙が零れた。「……なんか 苦い」
“ルナは恋をしてるわよ”美奈子達の言葉がアルテミスの頭の中でこだまして、アルテミスも泣きたい気持ちだったのだが…。

「まったくさ!オレがいっしょうけんめいいろいろ対策ねってんのに みんなして ルナの意見がいちばん!
ルナがいないと作戦会議はできない!って帰っちゃうんだぜ☆―オレたち やらなきゃ 地球を みんなをすくわなきゃ!」
アルテミスがルナを力づける様子を、物影からうさぎ・衛・ちびうさが温かく見守っていた。

“臨時ニュースです きのう国防省がNASAと各国首脳陣との緊急決議により 12月24日フライト予定のスペース・プレーン”ルナ“に核弾頭を搭載し
彗星“プリンセス・スノー・カグヤ”とランデブーさせ 彗星を爆破し 衝突を回避することを正式発表 爆破による地球への影響はさけられず……”
ルナやうさぎ達もこのニュースを緊張した面持ちで眺めていた。―スペース・プレーン“ルナ” ―姫子さん!

姫子は宇宙開拓事業団の翔の研究室へやってきていた。結晶を手元に置いて調べたいと、翔が姫子に頼んだのだ。
―これが あの結晶―!? ―翔を誘惑する まるで雪の女王……!あの人を守ってみせる!魔物が巣喰う彗星なんか
―あたしがぶちこわしてくるわ!
姫子は結晶をガシャンと床に叩きつけた。



545: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:48:10
姫子が新東京駅に赴くと、物影でセーラームーン達が姫子を待っていた。「セーラームーン!?ルナ!」「―姫子さん」
「―あたし いってくるわ 記念すべき初フライトが 彗星爆破だなんてとんでもなく責任重大なことになっちゃったけど
がんばって任務をはたしてくるわ」姫子は笑って強気にVサインして見せた。
「―“プリンセス・スノー・カグヤ”は手ごわいわ でもあたしたちにまかせて 彗星爆破なんて目的じゃなく 姫子さんが最初の予定通り
月世界旅行にぶじいけるように 侵入者はあたしたちがたおす!そのためにあたしたちいるんだから」―セーラームーン……!
姫子は心を動かされた様子だった。姫子は元気に手を振ると、アメリカへと旅立った。

“―おお ―ゆるせぬ このわたしのカラダをこなごなにうちくだきおって!わたしの永き夢!いまこそ!実現のときじゃ!”
スノー・カグヤが息を吹きかけると、たちまち海は凍り、高くそびえ立った氷の塔からスノー・カグヤの手下たちが生み出された。
“ふふふっ さあスノー・ダンサーたちよ おまえたちの吹雪の舞を 見せておあげ”

「アル!たいへんだわ!」ルナがモニター越しに見た街は大きく変貌してしまっていた。吹雪が吹き荒れ、人々が氷漬けにされてしまっている。
「みんな!緊急事態よ!敵よ!」ルナが力強くうさぎ達に呼び掛けた。

J医科大学病院の病室では、激しい発作が翔を襲っていた。―まるで心臓が焼かれてるみたいだ……!苦しい……!
突如、静かに窓に結晶が出現し、スノー・カグヤへと姿を変えた。“むかえにきたわ ―美しいガラスのような心臓をもつあなた
―わたしと二人で氷の世界に君臨しましょう やがて一面氷の世界と化す この星とこの宇宙に 永遠に―”
スノー・カグヤは翔を抱き上げ、口づけを迫った。

「そこまでよ!」「マーキュリー・プラネットパワー」「マーズ・プラネットパワー」「ジュピター・プラネットパワー」「ヴィーナス・プラネットパワー」
「ネプチューン・プラネットパワー」「ウラヌス・プラネットパワー」「プルート・プラネットパワー」「ムーン・コズミックパワ―!!」
「「「「「「「「メイクアップ!!」」」」」」」」


546: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:49:12
「プリンセス・スノー・カグヤ!あたしたちセーラーソルジャーズが 月と星にかわっておしおきよ!」
“ホホホッ なにも知らぬ若造めら!この太陽系はもともとわたしのもの ―わたしの分身!
四十五億年まえ!わたしが君臨するはずだった星系 ―だがわたしはこの太陽系から異端とみなされはじきとばされた
わたしが育てあげるはずだった 青い宝石だったのだ”「―四十五億年まえ…!原始太陽系星雲の みにくいなれのはてか!」とプルート。
“―長かったわ 気の遠くなるような四十五億年の放浪をおえて やっと帰れたわ 美しく育ったわたしの星のもとに!”

セーラームーンの指示で、ウラヌス達は翔を保護し病院へと飛んだ。
“さあ わたしのかわいい雪の踊り子(スノー・ダンサー)たち かわいがってあげなさい”
スノー・カグヤが息を吹きかけると、吹雪が吹き荒れ、セーラームーン達の体がパキパキと音を立てて凍っていく。
“さびしく死んでゆくのはイヤでしょう?あまくしあわせな夢を永遠に見せてあげる もう さびしくないわ”
ジュピターは二梃木先輩と、マーズは両親と、ヴィーナスは東先輩と、そしてセーラームーンは衛とクリスマスを祝う夢を見ながら、眠りに落ちていった。

看護師が翔の具合を見に病室を訪れると、なんと全開になった窓から吹雪が吹き抜け、翔はベッドの上で布団も掛けず力なく横たわっていた。

“本日 12月24日フライト予定のスペース・プレーン「ルナ」は 地球上空の強力な磁気嵐を猛吹雪のため 現在カウント・ダウンを中止しており―”
ルナは司令室にこもり、モニターと睨めっこしながら、なんとか打開策を打ちたてようとしていた。
―きょうは もう十二月二十四日― 姫子さんのスペース・プレーンのフライト予定時刻はもうすぐ…… 
このまま打ち上げされれば 戦いにまきこまれてしまう―!

そのとき、ルナの首のリボンがはらりと落ちた。―リボンが ―翔さんにむすんでもらったリボンが……!?
―胸さわぎがする ―翔さん!?


547: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:49:53
リボンを握り締め、カタカタと小さく震えだしたルナを見て、アルテミスが口を開いた。
「ルナ 外へでて街のようすを見てきてくれないか?」「……アル?」「―はやく いってこいよ」―アル……
ルナの心にアルテミスの優しさが沁みた。「―いってくる!」「気をつけてな!」
「オレたちもいくぞ ちびうさ」「うん!」司令室にいたちびうさと衛も後から外へと出て行った。

看護師がバタバタと通路を走る。「先生!きてください 個室の宇宙(おおぞら)さんの容体が……」

スペース・プレーンの中で待機していた姫子もなにかを感じ取った。―翔!?
「CAPCOM(キャプコン) カウントダウンはまだ再開できないのか!?」
「とつぜんあらわれたこの強力な磁気嵐がいっこうにおさまらない 原因が不明なんだ おまけに吹雪は強くなるいっぽうだ 
フライトは中止になるかもしれない」
「磁気嵐や吹雪なんてたいしたことじゃないわ!アポロ12号は雷雲の中とびたったのよ!さっさといきましょう!!」
「勇ましいな 姫 ……きみはこわくないのかい?」「―こわいわよ」―こわいわ
―でも翔 あなたにこのフライトを見せたいの あなたに元気になってもらいたいの
姫子の瞳から涙が溢れた。―とんで!おねがい いまいかなければいけないような気がするの 翔のために ―いきたいの 宇宙へ  翔――!

ルナは懸命に走ってやっと翔のいる集中治療室までたどり着いた。「ネコよ!窓にネコが……」看護師の声に、翔がふっと目を開けた。「……ルナ?」
翔はルナに微笑みを向け、手まねきする仕草を見せた。「ルナ……!」―翔さん―!
「……先生 あのネコを中へ入れてください… オレのたいせつな親友なんだ」窓がカラ、と開けられ、ルナは勢いよく翔のもとへ駆け寄った。



548: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:50:47
“スペース・プレーン「ルナ」のフライトはほぼ中止とみられ 彗星の地球衝突はさけられない絶望的な事態に―”
ルナは振り返ってテレビの画面を見つめた。―セーラームーンがあの彗星をうちくだいてくれるわ
そして ぶじ姫子さんのスペース・プレーンがフライトできれば そのニュースを聞けば 胸の苦しさなんてきっとふきとぶわ 元気がでるわ
そうよね翔さん!「―みんな みんな 戦ってるから 翔さんもがんばって ―がんばって!」

「深海鏡射(サブマリン・リフレクション)!」「時空嵐撃(クロノス・タイフーン)!!」「宇宙剣乱風(スペース・ソードブラスター)!」
三戦士がスノー・ダンサー達を破壊し、セーラームーン達はがばっと起き上がった。

ちびムーンとタキシード仮面は氷漬けにされた街の人々のもとへ駆けつけた。「ピンク・シュガー・タキシード・アターッック!!」
スノー・ダンサー達は打ち破られ、ぱったりと吹雪が止んだ。空は雲が切れ、美しい満月が顔を出した。
“―くっ!!”スノー・カグヤは上空へと飛びあがり、ひとまず撤退しようとした。「スノー・カグヤ!」

ヴィーナスやウラヌス達がセーラームーンを後押しする。「セーラームーン!おいかけるのよ」皆は手を重ね合わせた。
―力をあわせて!スノー・カグヤを!!
聖杯が光輝いた。「クライシス!メイクアップ!」

スーパーセーラームーン達はスノー・カグヤを追って宇宙に向かった。“!! 追ってきたか!ここまで!おのれ!”
「みにくくゆがんでしまった氷の放浪者!プリンセス・スノー・カグヤ!原始の空間のちりと還るのよ!」
―この白い光は ―四十五億年まえ ―あのときもこの星を包みこむ白い光がわたしをはじきとばした ―まさか……
「虹色月心激(レインボー・ムーン・ハートエイク)!!」―まさか 銀河を統べる“幻の銀水晶”の光―!?
スノー・カグヤの体はまるで氷のようにパリンと砕け散った。



549: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 21:51:29
姫子はあまりの眩しさに目を細めた。―なに!?この光は
「彗星が一瞬のうちに消滅したぞ!!」「すごいエネルギーだ!」「なにがおこったんだ!?もえつきたのか!?」
姫子は信じられないように目を潤ませる。―まさか セーラームーン……?あなたたちが……?

「磁気嵐がやんだぞ!!」「吹雪もとまった!晴れてきたぞ!」「核弾頭をはずせ!いそげ!調整できしだいカウントダウン再開だ!」
「プログラムを当初の予定通り“ルナ・フロンティア”計画(プロジェクト)にきりかえる!
スペース・プレーン“ルナ”は予定通り月基地(ムーンベース)へ!!」姫子の目に涙が光る。―月へ

ルナはずっと翔に付き添っていた。―翔さん いまね 姫子さんののったスペース・プレーンが月へむかって 飛びたったのよ
医師がルナの頭を軽く撫でた。「身内はキミだけだったね ネコちゃん」「ミャウ」
「点滴もIABPもやった だが血圧がもどってこない わたしたちはやるだけのことはやったよ ―今夜が峠だな」

絶望の淵に立たされたルナを残し、医師達は病室を出て行った。「……あたし ……なにをしてあげたらいいの?
……こんなカラダじゃなんにもしてあげられないわ 人間だったら…… 人間だったらよかったのに……」―翔さん……!

戦いを終えたセーラー戦士達が病院へとワープしてきた。「タキシード仮面 ちびムーン!翔さんは?」「……ルナがずっとつきそってるよ」
病室の中の様子を見ていたちびムーンは涙を流した。「―今年のクリスマスの主役は ルナだよ みんなでルナにクリスマスプレゼントをあげよう!」
「スーパーセーラームーン ルナを人間にしてあげて “幻の銀水晶”と伝説の聖杯の力で 今夜一晩だけ ルナを人間の女の子の姿に」
ちびムーンの言葉を聞いて、スーパーセーラームーンは優しく微笑んだ。



550: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 22:02:03
伝説の聖杯から放たれた光がルナを包んだ。まぶしいっ!!この光は!?「―ルナ 目をあけて」―え!?

メリークリスマス ルナ

窓ガラスに映った美少女の姿を見て、ルナは驚く。―これは だあれ?あたし……?人間の女の子……?
アルテミスはルナのあまりの可愛さに鼻血を出して萌え死んでしまった。
「ルナ あたしたちかたのクリスマスプレゼントよ ……翔さんについててあげて」―スーパーセーラームーン……

“…さん”“……翔さん”―だれだ?
翔がふっと目を開けると、首にリボンを巻いた髪の長い美少女がふわりと浮かんでこちらを見ていた。
「……かぐや姫?」「―ええ そうよ翔さん 目をあけて見て」二人は一瞬のうちに光輝く星々に囲まれていた。
「―ここは…… ―まさか オレは ―いま宇宙にいるのか? ……星くずがこんぺいとうみたいだ」
無邪気に喜ぶ翔を見て、ルナの心臓の鼓動がどんどん速くなる。

「……すごい ―夜明けだ ―こんな光景が見られるなんて……」翔はこちらに振り向くと微笑みを浮かべた。
「……もう これで なにも思いのこすことはないよ」―翔さん…… ……胸の中に星くずがふるような
こんなせつない思いを人間の女の子はみんな経験するのかしら 

「―あなたをつれて…… このまま二人でどこかへ消えてしまおうかと思った
―でもあなたは 生きなければだめ あなたのほんとうのかぐや姫が 宇宙からやがて地球へ帰ってきたときに
家の明かりをつけてでむかえてあげなきゃ そしてまた あなたの夢だったこの宇宙へ くるために……」ルナは微笑みながらも涙がぽろぽろと零れてくる。
…こんどくるときは きっと姫子さんと二人で 夜明けを見るのね……



551: ◆P9MoonSjzo
09/02/14 22:03:02
「……きみは」―その額の三日月は…… まさか…… 「ル……」
ルナは翔の唇に指を当てると、星くずの降る中で甘いキスをした。
「月にあたしがいるかどうか見にきて」……大好きよ あたしの宇宙少年(スペースマン)
「約束して きっと見にくるって」「―約束するよ!」翔の目からも涙が零れる。―生きて そして必ずまたここへ 美しい夜明けを見に

「―血圧がもどってるぞ!心電図も正常だ!やったな宇宙くん!」医師が嬉しそうにベッドの翔を覗きこむ。
―そして月へ かぐや姫をさがしに……  ……ルナ……!

姫子は宇宙空間から翔を想った。―翔― 見える?この美しい夜明けが もうすぐスペース・プレーン“ルナ”が月へおりるわ
月はもう目の前よ 翔 ―こんどは三人で ここへこようね そして 月へいこうね翔 ゼッタイよ

朝が来て、ルナはもとのネコの姿に戻っていた。―片手にリボンを抱きしめて。
「―さて 家へもどんなくっちゃ やっぱりこの姿のほうがおちつくわ 地面も近いし」
ルナが家路につくと、月野家の門の前には頭に雪を乗せたアルテミスがいたのだった。
「……アル」「おかえりルナ」「いつからここにたってるの?雪まみれじゃないっっ」「ちょっとまえからさ そろそろルナが帰ってくるころだと思って」
(←ウソばっかし ゆーべからずっとまってました ちびうさ&ダイアナ談)
「……あたしをまっててくれたの?」ルナは温かい気持ちに包まれた。「あたりまえだろvさ!なかへはいろーぜv」―アルテミス……!

「きょうはクリスマスパーティーだ こんどこそ遅刻しないようにいかなきゃな」「そうね」
●The End●



552:マロン名無しさん
09/02/15 09:31:36 HBK4k+sc
アルテミスの株急上昇

これ実はアルテミスの人気上げるために書かれた話じゃね?

553:マロン名無しさん
09/02/15 09:33:44
>ピンク・シュガー・タキシード・アタ―ッック!!

wwwww

554:マロン名無しさん
09/02/15 09:34:36
ルナ人間バージョンの可愛さは異常
健気なのがまたよい

555:マロン名無しさん
09/02/16 00:04:00
猫なのに(宇宙猫だけど)人間の姿の方が好みかアルテミスwww
そういえばルナって月の猫だっけ?だったらかぐや姫っていうのも当たらずとも遠からずだね
これが実は猫星(仮)出身だったら笑うけど

556:マロン名無しさん
09/02/16 01:48:29
姫が、今度は3人で宇宙を見に来ようって言っていたが、3人のうちもう1人は誰のことだ?

557:マロン名無しさん
09/02/16 02:58:03
お腹に手ぇ当てながら言ってたじゃない
つまりそういうこと

558:マロン名無しさん
09/02/16 07:38:27
ルナのことかと思ってた‥
自分まだまだだな

559:マロン名無しさん
09/02/16 12:32:55
妊婦が宇宙?と突っ込んだらいけないんだろうな

560: ◆P9MoonSjzo
09/02/16 21:50:54
Act36 無限10 無限大―上空

―あいつは―!あれは……!ほたるちゃん!?
無限洲の上空がみるみる歪み出し、プルートは戦慄する。―空間に異常が生じている―!?
「ほたるちゃん!?」セーラームーンの声はほたる―ミストレス9には届かない。―いいえ あの姿は ダイモーン!?

地面に生じた亀裂が、みるみる無限学園のビルの方へ進んでいく。次の瞬間、轟音を立てて、無限学園のビルが真っ二つに裂けてしまった。

スウッと浮かびあがった水鏡の傍に四つの光が浮かんでいる。―あれは!?マーキュリー!マーズ!ジュピター!ヴィーナス!
セーラームーンが四人の元へ駆け寄るが、バシッと弾かれてしまった。―近づけない!―みんな!?
「―見ろ!あれは……!?」ウラヌスが叫ぶ。―なにかが海を覆っていく―!あれは―!?

“これより国家緊急放送に切り変わります!非常警報発令です!東京湾岸地区に第一級戒厳令が発令されました!
東京湾岸にて謎の大爆発が起こりました!中心地の三角洲は正体不明の激震にいまもおそわれ 戒厳令がしかれました!住民はただちに避難し……”

ミストレス9は妖しく笑う。
「ククク 時は きた いまこそ力をたくわえた師ファラオ90自身がこの星と同化する “器化”のとき!
この“器化”が完了すれば この地は師と一体化した第二のタウ星へとかわる この星はわれらの母星となるのだ!」
―この星と同化!?―そんな……!!

手鏡を見ていたネプチューンは思わず振り返る。―波が一気にひいてゆく 津波の前兆!?
ウラヌスは上空を見上げた。―空のようすがどんどん異様になってく ―嵐がくるか ―それとも空間をとびこえなにかがやってくるか―
プルートは真下の無限洲を見下ろした。―このままでは大地震がおこる―!


561: ◆P9MoonSjzo
09/02/16 21:51:47
三戦士はそれぞれ三つのコンドミニマムビルの上に立つと、高くタリスマンを掲げた。
―守らなければ この地を やがて君臨するネオ・クイーンセレ二ティ ―われらが女王のうまれた この星を
―あらたなるシルバー・ミレニアムとなるこの星を守らねば!それがわたしたちの使命!
三戦士はタリスマンの力で無限洲を覆う結界を作った。「!?結界をはったか!ムダなことを」

「師の“器化”が完了すれば もう人間の体の中になぞいる必要はない!」ミストレス9はメキメキと音を立てて体を突き破ろうとした。
―!? 自由がきかない!?でられない!?
『逃しはしないわ!!』
「―だれだ!!」なんと魂となったほたるがミストレス9の体を後ろから押さえつけていたのだ。
『このカラダはまだわたしのカラダよ この中から出しはしない!おまえの自由になんかさせないわ』

「とうのむかしにわたしの中で糧となり消え去ったと思っていたが しぶとく生きていたか ちっぽけな聖体(オスティー)め
幻の銀水晶をのみこみパワーアップしたいまのわたしを おまえなぞが支配できるわけがない」―この体くいちぎりこなごなにしてやる!!
ミストレス9は体を引き裂こうとますます力を込めた。ほたるは苦しそうに目を閉じる。―カラダがひきちぎられる!バラバラになりそう!

ほたるはちびうさの魂と銀水晶を胸に抱いたまま懸命に耐えた。
―でも ちびうさちゃんの魂と“幻の銀水晶”だけは なにがあっても守ってみせる!―負けるもんですか
ミストレス9はその間もバキバキと体を引き裂こうとしている。「なまいきな人間ども だれにもわれらのジャマはさせぬ!」


562: ◆P9MoonSjzo
09/02/16 21:52:24
「ムーン・スパイラル・ハート・アタッッック!」ところがミストレス9はセーラームーンの攻撃をバシッと跳ね返してしまった。「きゃああ」
「とりこんだ“幻の銀水晶”からパワーがすいとれぬ!パワーだ!もっとパワーを!」―セーラー戦士どもの“聖体”を!
ミストレス9は力なく浮かんでいる四守護神に襲いかかった。「マーキュリー!マーズ!ジュピター!ヴィ―ナスッ!」四戦士の体はドサッと崩れおちた。
セーラームーンが駆け寄る。「みんな!しっかりして!」ミストレス9はペロリと舌舐めずりをしている。
―まさかあいつに四人の魂をぬきとられた!?うそ……!!
●to be continued●



563:マロン名無しさん
09/02/16 22:43:47
「戒厳令」ってどうなんだろ
まさかセレニティ独裁の布石か?

それはさておき、ほたるがけなげだ
だから四守護神がよけい…

564:マロン名無しさん
09/02/17 00:34:47 gihuV0Vs
前にもでてたが、ほたるがこんなに必死にちびうさを守ってるのを知ったら
ウラヌス達もほたるを殺せなくなるだろうな

565:マロン名無しさん
09/02/17 00:36:57
ヴィーナスにはもっと頑張ってほしかったな
セーラーV含め一番経験豊富なんだし
このままじゃリーダーの座をウラヌスに取られるぞw

566:マロン名無しさん
09/02/17 00:40:21
ほたるの聖体(魂)はなぜこんなにも強いのか
ちびうさや四戦士の魂はされるがままだというのに

567:マロン名無しさん
09/02/17 00:46:49
映画見てきた
結構見応えあってよかったけど
姫の性格が大分変わってて萎えた
「かぐや姫なんて科学的に考えてありえないじゃない!!」って‥
いや、林原めぐみの演技はよかったけどさ

568:マロン名無しさん
09/02/17 00:52:44
もしほたるの体がミストレス9に引きちぎられたら
セーラーサターンはもう永久に目覚めないよな
まさかバラバラの肉片から誕生するなんてことは‥gkbr

569:マロン名無しさん
09/02/17 07:39:38
外部の中でネプチューン辺り鏡とかでもほたるに気付きそうなんだけどなぁ
闘いでそれどころじゃないか

570:マロン名無しさん
09/02/17 11:16:18
あー乗り遅れた。
飛行機の強風にも負けず翼に乗れるルナは腕・肩・首の筋肉強すぎだろwお前も戦えよww
セーラー服戦士と一般人の会話シュールw
アニメ映画のルナは任務を忘れすぎイクナイ(´A`) 少しは気にしろw

571:マロン名無しさん
09/02/17 13:22:20
事件が起きてから戒厳令まで
官僚の行動が早いなw

572:マロン名無しさん
09/02/17 20:24:37
すでにネコの手下なんだろうな<内閣

にしても擬人化ルナかわえええええ

573:マロン名無しさん
09/02/17 20:36:51
ルナが人間になったのにキャットウーマン(みたいなボディコン)じゃないのな
残 念 

574:マロン名無しさん
09/02/17 21:58:47
>>573
変態乙

575:マロン名無しさん
09/02/17 23:15:31
>>570
そういえば普通にセーラー戦士の存在受け入れてたな姫子

…あ、その前にセーラーVが有名だったからか

576:マロン名無しさん
09/02/17 23:59:22
セーラー戦士またはルナに頼めば月なんて楽に行かせてもらえるけどそれじゃダメなんだよな
宇宙飛行士になるための血を吐くような訓練が否定されるw

577:マロン名無しさん
09/02/18 00:03:33
月にいった姫子は蘇ったムーンキャッスルを見て度肝を抜かすんですね、わかります

578:マロン名無しさん
09/02/18 00:06:10
>>575
セーラーV以外にもセーラームーンとタキシード仮面(笑)は
新聞に載ったことがあるのでそれなりに有名なはず

579:マロン名無しさん
09/02/18 12:33:20
いくら有名とはいえ、あんなところにセーラー戦士がゾロゾロいたら
かなり異様な光景wwwルナも他に人がいそうなところで喋るなw

580:マロン名無しさん
09/02/18 20:20:51
>>579
確かに異様だが‥変態があの場にいなかったのは喜ぶべきことだなw
やつがいたら異様どころの騒ぎではないw

581:マロン名無しさん
09/02/18 20:26:58
他の漫画を参考にするのはまずいが、
骨董品からアイディアを得るのはいいと思う
ちゃんと元ネタはっきり記載してるし

アニメが大成功したのはもちろん素晴らしいアニメスタッフのおかげだが
直子の感性も大いに貢献してると思う

582: ◆P9MoonSjzo
09/02/18 21:50:32
Act36-2

ほたるは少し離れたところに浮いているヴィーナス達四人の魂に気がついた。急ぎ駆け寄ると、ほたるはそれらをかき集め、胸に抱いた。
「わずらわしい虫め!“聖体(オスティー)”をわたしによこせ!」ミストレス9はそんなほたるを握り潰してしまおうとする。
「あうっ」バチバチと激しい痛みがほたるを襲った。―わたしの力じゃ“幻の銀水晶”も ちびうさちゃんと四戦士の魂も守れないかもしれない―!

……フシギ わたしはこうして魂となっている カラダは異生物にのっとられてしまった ―わたしは死んだってことよね
―なのに どうしてわたし こんなにいっしょうけんめいなの?
パパももういない もう わたしはなにもない なのに どうしてまだわたしに力がのこっているの?

わたしはこんなに強かったかしら

―わたしの奥にもうひとりの もっと大きな“わたし”を感じる その“わたし”が“命をかけてみんなを助けよ”といっているの
―そう いまのわたしにできることは ―この五人の魂と“幻の銀水晶”を ここから助け出すこと―!

押さえつけられていたミストレス9の体がふっと軽くなった。ミストレス9は忌々しげに空を見上げる。―しまった!!聖体ごともっていかれたか!?
―だが これでわたしは自由だ!!

水鏡の淵に倒れていた四守護神の上に白い光が降りかかった。魂が無事に肉体に戻り、四人はゆっくりと眼を開けた。
「みんな……!」セーラームーンは安堵する。すると、光の中にスウッと一糸纏わぬ少女が現れ、こちらを向いてにこりと微笑んだ。―ほたるちゃん!
ほたるの魂は上空に舞い上がり、そのままどこかへ行ってしまった。




583: ◆P9MoonSjzo
09/02/18 21:51:09
うたた寝をしていた衛は、べランダの柵に一糸纏わぬ少女が座っているのに気づいてドキリとした。「―だれだ!?」
ほたるはベッドの中のちびうさに向けて、幻の銀水晶とちびうさの魂をふわりと返した。
すると、キラキラと光り輝く中、ちびうさが眼を開けた。「ちびうさ!」「まもちゃん……」

ちびうさは少し離れたところに浮かんでいる人影に気が付いた。『……よかった…』「ほたるちゃん!?」ほたるは手を組んで大粒の涙を零している。
『ちびうさちゃんを助けることができて ……うれしいの ……よかった… 女のコ同士なのに ヘンかもしれないけど
……運命の出会いだって 思ったわ』
笑顔を作りながらも、ちびうさも泣いてしまっている。「……あたしも そう思ったよ」

ちびうさとほたるは互いに手を差し伸べた。―ほたるちゃん……

その瞬間、無限洲ではミストレス9がほたるの体を派手に突き破って外へと出てきた。ほたるは額に激痛を感じて呻く。「ほたるちゃん!?」
『……会えてよかった ……友だちになれてよかった ちびうさちゃん ―ありがとう ……さよなら』
ほたるの魂はまるで蛍火のように儚く消えてしまったのだった。
「ほたるちゃん!?まって消えないで!!」

ちびうさは嗚咽を上げて泣き出した。……こんな こんなかなしい運命もあるんだ ……ほたるちゃん……
―その運命を生きなきゃいけない人もいるんだ

「ちびうさ ―セーラームーンを助けて いっしょに戦えるか?」ちょっと前まで涙でぐしゃぐしゃだったちびうさは、決意したように顔を上げた。
「…戦えるよ」―もう泣かない ……あたしだって セーラー戦士だもん ほたるちゃんに助けてもらったこの命で せいいっぱい戦う!!
「ムーン・プリズム・パワー・メイクアップ!」ちびムーンはごしごしと目をこすると、にっこり笑ってみせた。
「まもちゃん!力を注いでくれてありがとう!まってて!セーラームーンみたいに力はないけど がんばっていっしょに戦ってくる!」


584: ◆P9MoonSjzo
09/02/18 21:51:40
部屋を飛び出したちびムーンの後ろ姿を眺めて衛は苦笑した。―まるでムスメをヨメにだす気分だな
―ふしぎだ パワーがあふれてる まるでオレのほうがちびうさからパワーを注いでもらってたみたいに そして ほたるちゃんのパワーも
衛は光を浴びて、タキシード仮面へと変身した。―うさ オレもすぐいく!

「おおおおお」ほたるの体を引き裂いて外に出てきたミストレス9の様子がおかしい。苦しそうに呻いている。
それに気を取られていると、ミストレス9が隙を突いてグアッと襲いかかってきた。―しまった!!

「ピンク・シュガー ハート・アターッック!」ちびムーンの必殺技を喰らい、ミストレス9はひるんだ。
一同は驚きを隠せない。「ちび……ムーン!!」「ちびムーン!!どうして……!」「……ほたるちゃんが助けてくれたの 命をかけて あたしを守ってくれたの」
セーラームーンの瞳からぽろぽろと涙が零れた。―ほたるちゃんが命をかけて…… ……もう いない… ほたるちゃん……

「なにをしてる!はやくスーパーセーラームーンへ変身するんだ!」タキシード仮面も戦場へ駆けつけた。
「ぐずぐずしてたらこの星はあいつに侵略されてしまう 三人の結界も膨大なパワーを使う はやくあいつらをたおすんだ!」

―そうだわ 守らなければ! ―この星を 救わなければ!「聖杯よ!いでよわが手に!」―あつまれ 聖戦士たちの 聖なる力よ
ちびムーンは強い憧れを抱く。―セーラームーン……!!あたしもいつかいつかセーラームーンみたいに……
すると、なんとちびムーンの額にも三日月の印が浮かび上がり、二つ目の聖杯が出現した。「クライシス・メイクアップ!」
スーパーセーラームーンとともに、ちびムーンも二段変身を遂げることができたのだった。「スーパーセーラーちびムーン!!」戦士達が喜んで迎える。

スーパーセーラームーンとちびムーンは視線を交わすと、二つのロッドをクロスさせて構えた。
「いくわよ!スーパーセーラーちびムーン!!」
●to be continued●


585:マロン名無しさん
09/02/18 22:06:12
あーん、ほたる様が死んだ!
まさかサターンとして覚醒する前に死ぬとは・・・。

586:マロン名無しさん
09/02/18 22:39:51 z336/F/I
ほたるううううううううううう°・(ノД`)・°・
もう破滅の神でも死に神でもなんでもいいから生き返ってくれー

587:マロン名無しさん
09/02/18 22:42:25
みんなが愛したほたるは死んだ!なぜだ!

588:マロン名無しさん
09/02/18 22:52:43
ほたる>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>マーズジュピターマーキュリーヴィーナスちびムーン

一人で五人の盾になったんだからすごいよな

589:マロン名無しさん
09/02/18 22:54:20
さんざん期待させといてサターンは回想のみかよ

590:マロン名無しさん
09/02/18 22:55:37
>パパももういない もうわたしはなにもない

ここで涙腺崩壊した

591:マロン名無しさん
09/02/18 22:57:18
変態がほたるの全裸を見た件

592:マロン名無しさん
09/02/18 23:00:36
ウラヌス「これで心置きなくほたる(ミストレス9)を殺せるな」

593:マロン名無しさん
09/02/18 23:11:02
四戦士の技の名前がどんどん記憶から薄れていくんだが‥

594:マロン名無しさん
09/02/18 23:12:43
変態がwww自力で変身しやがったwwwなにあのヌードのコマwwwぅえwwwww

595:マロン名無しさん
09/02/18 23:17:24
未来の地球の王の輝かしい遍歴

・変身能力を持たないただのコスプレイヤー(初期)
・夜な夜な怪盗の真似事
・女子中学生にいたづら
・マスコミに犯行予告
・悪の組織に荷担
・何の落ち度もない遠藤を殺害
・女子中学生を拉致
・幻の銀水晶強奪
・女子中学生に刺される
・なんちゃって失明詐欺
・生身で月面旅行
・タキシード・ラ・スモーキングボンバー
・熟女と不倫
・「うさこ…!かならずオレが助け出す(口だけ)」
・再び悪の組織に荷担
・近親相姦
・DV
・税金泥棒疑惑
・娘と合体
・小学生の女の子の全裸をガン見←NEW!!
・変身シーンが卑猥←NEW!!

596:マロン名無しさん
09/02/19 07:50:30
ほたるちゃん胸有杉

597:マロン名無しさん
09/02/19 08:36:10
>>596
きれいな胸してるだろ?サイボーグなんだぜ、それ

598:マロン名無しさん
09/02/19 12:52:51
小学生らしからぬきょぬーは教授のこだわりということか

599:マロン名無しさん
09/02/19 14:20:58
―わたしの奥にもうひとりの もっと大きな“わたし”を感じる
ほたる死んだけど覚醒フラグ?

600:マロン名無しさん
09/02/19 16:40:00
>>599
はるか達は当初ほたるの肉体を殺すことでサターンを封印しようとしていた
つまりほたるの肉体が滅びた今、サターン復活はない
‥多分

601:マロン名無しさん
09/02/19 16:43:02
>>594
前世でセーラー戦士だった奴らがいまもセーラー戦士なのはわかる
だが前世で王子様だったやんごとなきお方が
どうしてあんな変態に変身するようになってしまったのか解せない

602:マロン名無しさん
09/02/19 16:45:49
>>589
いや、俺の予想ではラスボスとして立ちはだかるはずだ

603:マロン名無しさん
09/02/19 16:49:14
>>563
首脳官邸に忍び込んだルナが、時計型麻酔銃で閣僚を眠らせてだな‥

604:マロン名無しさん
09/02/19 16:52:16
ミストレス9(完全体)が気色悪すぎる
あれでメスだなんて詐欺だ

605:マロン名無しさん
09/02/19 16:53:50
>聖戦士たちの 聖なる力よ



606:マロン名無しさん
09/02/19 16:57:17
デスバスターズ編はちびムーンのパワーアップが半端ないな
ほたると初めて出会ったころは、自分の武器すら持ってなかったのに、
いまやスーパーちびムーンだもんな

607:マロン名無しさん
09/02/19 19:43:53
>>596
あんな小学生が居たら、俺でもドキッとする。
変態のこと馬鹿に出来んわ。

608:マロン名無しさん
09/02/20 01:54:33
セラムンスレは基地外のスレだってほんとですねww

609:マロン名無しさん
09/02/20 03:48:04
>>608
ヒロインが変態の漫画だぞ?
何を今更

610:マロン名無しさん
09/02/20 08:31:24
ヒwロwイwンwww

611:マロン名無しさん
09/02/20 12:30:05
戦闘面で役立たず、守られポジション、敵にさらわれて洗脳etc.

612: ◆P9MoonSjzo
09/02/20 21:45:36
Act37 無限11 無限大―審判

アメーバが地を這うようにして、ファラオ90が三角洲を覆い隠さんとしている。ミストレス9は苦しみ悶えながらも、上空のセーラー戦士に襲いかかってきた。
スーパーセーラームーンとスーパーセーラーちびムーンがロッドをクロスさせ、それに立ち向かった。
「「虹色双月心激(レインボー・ダブルムーン・ハートエイク)!!」」

「おおおおぉ」光がミストレス9を貫き、あまりの威力に、三戦士が三角洲に張った結界がビリビリと振動する。
ところが、ミストレス9は滅びるどころか、幻の銀水晶のパワーを浴びて体が成長してしまっているようだ。
―もっと力を!バラバラにふきとばすほどの力(パワー)を!

「みんな!」ヴィーナスが内部太陽系戦士達に呼びかける。「あたしたちはあいつを!あいつの巨大化を止めるのよ!あたしたちもこの星を守るのよ!」
「ヴィ―ナス・ウインク・チェーン・ソードッッ!!!」「蛇火炎(マーズ・スネイク・ファイア)!!」
「ジュピタ―・ココナッツ・サイクロンッッ!!!」「水蜃気楼(マーキュリー・アクアミラージュ)!!」
「タキシード・ラ・スモーキングボンバ―ッッ!!」

四守護神とタキシード仮面が合わせた力は大きく膨らみ、三角洲の地にへばりついたファラオ90に直撃した。
“おおお!このエネルギー これが星の守護をもつものの力か!なんと強烈な力!もっとエネルギーをよこせ!そのパワーをわたしに解放するのだ!”
―びくともしない!?
“ククク おまえたちにこの星と同化したわたしをふきとばせるわけがない!”
ドプ、とファラオ90が更なる地を求めて動こうとすると、行く手を結界に阻まれた。“!? 動けぬ!結界か!?”
「この三角洲から外へはいかせない!!」「ここがおまえの墓場さ」ウラヌスとネプチューンが凛々しく宣戦布告する。



613: ◆P9MoonSjzo
09/02/20 21:46:12
プルートははっとして上空を見上げた。なんと歪んだ空間を突き破り、宇宙空間に浮かぶ銀河のようなものがこちらに迫ってきていた。
“―おお!はるか忘れ去られたかなたのわが母星系タウ星系よ!この星をおおいつくしわが星系へこの星を第二の故郷としてもってゆくのだ ククク!”
「そんなことさせないわ!」スーパーセーラームーンはさらに力を込める。―この星をわたしはしない!!

一方ちびうさの力は尽きてきてしまっていた。―もうダメ…… パワーが……
上空で戦っていたちびムーンの体がガクッと傾いた。「ちびうさ!!」落ちていくちびムーンを、間一髪、タキシード仮面が受け止めた。

ミストレス9の体はメキメキと成長を遂げていく。
「おおおお ―師ファラオ90!わたしは師のパートナーとなるのだ わたしもこの星と師と“器化”し一体となり わがふるさとへ……」
突然、ミストレス9の額に激痛が走った。ミストレス9は奇声を上げながら遥か下まで落ちていき、ドプッとファラオ90に飲み込まれた。
すると、ミストレス9が落ちた地点から血が吹き出たように、不気味な黒いしみが広がっていった。
―師ファラオ90― やつがどんどん黒くなってゆく!?
“おおお どうしたことだ カラダが…… カラダが……”

ふっと結界が消え去り、それぞれ三角洲の三点のビルの屋上にいた三戦士はガクッと崩れおちた。
プルートは荒い息をつく。―もう だめ…… 力がでない
ウラヌスが悔しそうに上空を見上げた。―くそっ ここまでか

こうしている間にもタウ星系が無限洲上空に迫ってくる。スーパーセーラームーンは戦慄する。
―死のにおいの黒い溶岩が地表をおおってく…… ―この星がやつらのものになってしまうの!?
―いいえ!これ以上は自由にはさせない!!
「虹色月心激(レインボー・ムーン・ハートエイク)ッ!!」


614: ◆P9MoonSjzo
09/02/20 21:46:59
スーパーセーラームーンと四守護神は渾身の力を込めてファラオ90に攻撃を浴びせるが、やはりびくともしない。
……あたしたちの……無敵の力(パワー)が 暗黒にのまれてく―
「―くっ」四守護神はバランスを崩し、上空から落下していった。「ヴィーナス!マーズ!ジュピター!マーキュリーッ!!」
ヴィーナスはウラヌスの、ジュピターはプルートの、マーキュリーとマーズはネプチューンのいるビルの頂上にドサリと落ちた。外傷はないようだが…。

……みんな限界まで きてる…… ……もうこれ以上力はのこってない
スーパーセーラームーンはそっと胸に手を当てた。……いいえ まだのこってる あたしの中にまだみんなの力がのこってる
いま 力をだしきって 体あたりで戦えるのは あたしだけ ―あたしと“幻の銀水晶”だけ―!

「―伝説の聖杯(ムーン・カリス)よ いでよわが手に!」―力をかして ―九人のセーラー戦士の最後のパワーをたたえた伝説の聖杯よ―
ちびムーンを介抱していたタキシード仮面は驚いて上空を見上げた。―セーラームーン!!「うさ!?」―なにをする気だ!?

聖杯を抱えたスーパーセーラームーンはタキシード仮面に気づくと、にっこりと微笑んだ。
そしてそのまま、遥か上空から自ら真っ逆さまに落ちていった。
●to be continued●


615:マロン名無しさん
09/02/20 23:23:26 AeVPneJa
ビル群より高い上空に浮かんでの戦闘カコイイ
アニメでも取り入れてほしいけど難しいかな

616:マロン名無しさん
09/02/20 23:33:43
ムーンカコイイ

そして四戦士に紛れていたことで不覚にもタキシード・ラ・スモーキングボンバーが少しまともに見えた

617:avextrax
09/02/21 06:34:56
鈴木亜美
☆Taku Takahashiプロデュース
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618:マロン名無しさん
09/02/21 06:35:14
ちびうさのスーパー化ってやる必要あったのか?

619:マロン名無しさん
09/02/21 19:14:52
ついにちびうさもスーパー戦士に!2人のスーパー戦士共闘!!
「「虹色双月心激(レインボー・ダブルムーン・ハートエイク)!!」」
しかしどうにもならない!!!
それがセラムンクオリティ

620:マロン名無しさん
09/02/22 15:10:24
新しいパワーを授けますって強くなったと思ったら
さらに強いウラネプが出て来たしな

621:マロン名無しさん
09/02/22 19:43:16
プルート‥(´・ω・`)

622: ◆P9MoonSjzo
09/02/22 21:38:51
Act37-2

スーパーセーラームーンは聖杯を胸に抱き、上空から真っ逆さまに堕ちていった。
―あたしが ―伝説の聖杯(ムーン・カリス)と“幻の銀水晶”の力(パワー)をあいつの中で 開放する―!
「うさあぁ」タキシード仮面の絶叫がこだまする。スーパーセーラームーンの体はグチャ、と音を立ててファラオ90の中へめり込んでいった。

そのときだった。三つのタリスマンが眩い光を放った。残された戦士達は一斉に振り返る。―タリスマンが!?
ネプチューンはデイ―プ・アクア・ミラーを、ウラヌスはスペース・ソードを、プルートはガーネット・オーブを天に掲げた。

ファラオ90の中に横たわるミストレス9の額がピシッと割れて、光輝く球となった。それはファラオ90から分離するとスウッと浮かびあがった。
光の中には、鎌を持ったセーラー戦士の姿があった。……あれは……「……まさか…」

「―わたしは 死の淵よりの使者 破滅の星土星を守護に持つ 沈黙の戦士 セーラーサターン」
ウラヌス始め、戦士達は絶望的な気持ちで呆然と彼女を眺めた。「……めざめてしまったのか…」……もう おわりなのか―……!?
ヴィーナスが跪きながら呟いた。「……セーラームーンは… スーパーセーラームーンは……?死んでしまったの!?」

サターンはしばらく沈黙をもって彼女達を見つめていたが、やがて語り始めた。
「……わたしが 以前に引き金を引かれ よばれてから まだそう長い時がたっていないような気がします いつでもわたしは招かれざる客のようですね
いくつかの偶然が徐々に重なりあい 事象面に異変が生じ いつのまにか歴史がすこし狂ってしまったようですね」
サターンは素早く飛び降り、ファラオ90に鎌の持ち手の先を突きたてた。“!? 動けぬ!!おおおお!パワーが パワーがすいとられてゆく!”



623: ◆P9MoonSjzo
09/02/22 21:39:27
「―この無限洲でおこった事故で 永遠の眠りをむかえるはずだった“ほたる”が
半機械人間(サイボーグ)としてありえない人生をおくりはじめたこと
それは彼女の肉体にも そしてめざめるはずのなかったわたしの魂にもショックを与えました
そして― そのカラダが“器化”をされたまま生きはじめたこと そして土萌教授のゆがんだ心が この異界の者たちをよびよせてしまったこと
でも……しかたがない わたしたちがここへひきよせられたのも 異界の通路がここに開いたのも この地がえらばれた場所だったから
この地にこれほど多くのパワーが集結したことも ―そしてすべてが破滅へと歩きはじめたことも すべてさだめられた運命―
……めざめた以上わたしは この“沈黙の鎌(サイレンス・グレイブ)”をふりおろさねばなりません」

ネプチューンはサターンをただ見つめることしかできない。―“沈黙の鎌”―死の女神の鎌を
「セーラーサターン!!」プルートは叫んだ。―それをふりおろすことは すべての消滅を意味する―!
ウラヌスは剣を固く握ったまま目を瞑った。「そんなバカな!!うそだ!!」―なぜこれがさだめられた運命なんだ!?「やめろ!サターン!!」

―じゃあ あたしたちに 未来は ないの?

「死世界変革(デス・リボーン・レボリューション)!」サターンが叫ぶと、リボンがサターンの体に巻き付いた。
そして彼女を中心にザァッとリボンが伸び、ファラオ90の体を覆った。
“おおおおお パワーがパワーが!!すいこまれる!この巨大な負のオーラは!?
このオメガ・エリアをつつんでいた眠れる最大のパワー!そのパワーが破滅を導く光としてめざめたのか!?おまえなのか!?おおおお”
サターンを中心に起こった巨大な力の渦は上空にも広がった。なんとタウ星系にも届かんばかりの勢いだ。
タキシード仮面達は驚くばかり。―やつが地表から離れた!?なんて力(パワー)だ!!



624: ◆P9MoonSjzo
09/02/22 21:40:02
「忌むべき存在よ!侵略者よ!無に帰せ!そしてこの世界に終焉を」
ウラヌスは呆然とその様を見つめた。―おわりだ!もうとめられない あいつとともに世界もおわる!

―セーラームーン!!

沈黙の鎌がゆっくりと、優雅に振り下ろされた。
●to be continued●


625:マロン名無しさん
09/02/22 22:04:34
ほたるは先週死んだはずだが・・・、
ほたるとサターンは、同じ肉体に潜む別人って解釈で良いだろうか。

目を開ける直前のポーズなんかいい

626:マロン名無しさん
09/02/22 22:22:01
これってつまり、セーラームーンが力を開放したことがきっかけでサターンが目覚めたってこと?
タイミングといいそうとしか思えない…

627:マロン名無しさん
09/02/23 17:47:31
クライマックスなのに何だこのスレの静けさは

見開きで鎌振り下ろすサターンカコイイ

628:マロン名無しさん
09/02/24 17:15:01
またプルートが時間止めてしまうん?(´・ω・`)

629:マロン名無しさん
09/02/24 17:18:04
血の海(?)に横たわる骸骨みたいなミストレス9(本体)から生まれたサターン
さすが死に神にふさわしい

630:マロン名無しさん
09/02/24 17:18:47
サターンのピアス凝ってて可愛い

631:マロン名無しさん
09/02/24 17:20:52
>>625
ほたるのことを「彼女」って呼んでるところを見ると別人・あるいは別人格なのかも

632:マロン名無しさん
09/02/24 17:22:56
サターン強すぎワロタ

他のセーラー戦士9人+変態が束になっても叶わなかったのに‥

633: ◆P9MoonSjzo
09/02/24 21:42:12
Act38 無限12 無限大―旅立ち

サターンが鎌を振り下ろすと同時に、巨大なハリケーンが起こり、轟音とともに周囲のビルが一瞬にして瓦礫に変わっていった。
ハリケーンの中心ではサターンがファラオ90に強力な攻撃を与え続けている。

―みんな みんな ―消えてゆく― 世界が……おわってゆく……

「……うさ…」タキシード仮面は力無く跪きながらぽつりと呟いた。「うさこ……っ!」―おまえだけさきに逝かせた ……守れなかった 「―っ…!!」
ちびムーンはそんなタキシード仮面にぎゅっとしがみ付いた。「―セーラームーン…」じわりと涙が滲みでてくる。「……ママぁ…!!」

「……こんなバカな……!なにもかもムダだったのか…!?」……すべてがほろんでゆく
「あたしは……っ あたしはただこの手であの子を守りたかった ただそれだけだったんだっ……!!」あの気丈なウラヌスまでもが泣き崩れてしまった。
ヴィーナス達はその様を呆然と見ているしかできない。ウラヌスの脳裏に甦るのは、元気なうさぎの姿。

セーラー戦士達が絶望に暮れていたその時だった。
ファラオ90がサターンによって引きはがされた無限洲の地から、キラキラと光の珠が浮かび上がった。
光の中にいたのは― 「―セーラームーン……!スーパーセーラームーン!?」額に光輝く三日月のマーク。
スーパーセーラームーンは眠りから覚めたように、ゆっくりと目を開けた。「―スーパーセーラームーン……!!」タキシード仮面に笑みが戻ってきた。
その途端、サターンを除くセーラー戦士達のコスチュームがチェンジし、肩の部分のデザインが変わり、背中のリボンが長くなった。
スーパーセーラームーンは瓦礫の上に降りると、信じられないようにぼんやりと上空を眺めた。「……あたし…?」

“おおおおお せめてせめてわが母星系へ!暗黒さえものみこむ重力の墓場となりはてた わが死のふるさとタウ星系よ!”
サターンはうっとりとその様を眺めた。「―美しいわ 滅びる刹那のその悶え―」


634: ◆P9MoonSjzo
09/02/24 21:42:43
“ぐああああああ”「さあ!もうすぐよ!死への案内人このセーラーサターンが導く静寂と無の世界へ!」
「サターン!?」―あのままいったらいっしょに異空間にのまれてしまう!

―まさか いっしょに―!?

「―絶望を感じることはありません いつでも終焉とともに希望と再生があるのです ―それをもたらすのはあなたですスーパーセーラームーン」
「セーラーサターン……!」「―セーラームーン あなたが伝説の聖杯(ムーン・カリス)と“幻の銀水晶”のパワーを開放してくれたおかげで
この星を救うことができます わたしは再生のために滅びと死を消し去る戦士―
―やがてシルバー・ミレニアムの建つTOKYOの この選ばれた地に宿る 聖なるパワーはあなたたちの味方です」

そろそろサターンも持ちこたえるのがきつくなってきたようだ。「セーラープルート!」サターンが短く叫んだ。
「この異界へのありえぬ通路を永遠に閉じて!」「サターン!!」「はやく」

「―偉大なる時空の守護神われらが父クロノスよ!われに力を!裂かれた禁忌(タブー)の扉を閉じよ!冥空封印(ダーク・ドーム・クローズ)!!」
フッと時空の扉が現れ、タウ星系とファラオ90、それにサターンを飲みこんでパタンと静かに扉が閉まった。
サターンは最期に穏やかな微笑みをたたえてこちらを見守っていた。
●to be continued●


635:マロン名無しさん
09/02/24 21:50:34
セーラーサタン
「やっぱ どう考えても これしか… 地球が助かる道は 思い浮かばなかった…」
「バイバイ みんな…」

636:マロン名無しさん
09/02/24 22:03:16
なんかよくわからんが
ほたる以外は救われた

637:マロン名無しさん
09/02/24 22:48:33 Oj3loa4G
「この世界に終焉を」とか言ってたサターンが
セーラームーンが復活した途端、
「セーラームーン あなたのおかげでこの世界を救うことができます」と発言を翻したのはなぜなんだせ?

638:マロン名無しさん
09/02/24 22:50:42
サターンめっちゃいい子じゃん
外部太陽系三戦士はサターンのことを誤解してたってこと?

639:マロン名無しさん
09/02/24 22:56:22
セーラー戦士が前世の記憶を取り戻す=戦士とのしての覚醒
しかしほたるの体は記憶を取り戻す前に死んでしまった
そのため前世の記憶によって作られた人格が一人歩きしたのが今回現れたサターンなのではないか

640:マロン名無しさん
09/02/24 22:57:50
>>636
ブウ涙目

641:マロン名無しさん
09/02/24 22:58:47
>>638
ウラヌス「間違えちゃったwてへっ☆」

642:マロン名無しさん
09/02/24 23:02:18
スーパーセーラームーンがファラオ90の中にダイブして力を開放したおかげでこの地を救える
というのはサターン一人ではファラオ90を無限洲の地から引き剥がせなかったってことなのか
とてもそうは見えないけどなあ

643:マロン名無しさん
09/02/24 23:06:15
ん?無限洲って将来クリスタルパレスが立つ地だったのか?

644:マロン名無しさん
09/02/24 23:07:28
ちと古いが、サターンの死に方はアトムの最終回を思い出した

645:マロン名無しさん
09/02/25 00:14:36
サターン…ほたる…(´・ω・`)

646:マロン名無しさん
09/02/25 04:00:09
>>641
そのウラヌス俺の俺の。

647:マロン名無しさん
09/02/25 10:56:49
>重力の墓場となりはてたタウ星系

つまりブラックホール?

648:マロン名無しさん
09/02/25 10:59:06
~ほたるは二度死ぬ~

649:マロン名無しさん
09/02/25 11:05:57
>>637
セーラームーン=未来のネオクイーンセレニティが死んでいたなら
クイーンと守護戦士たちを転生させるためにこの世界に終焉をもたらすつもりだった
ところがセーラームーンがかろうじて生きていたのでその必要はなくなった

‥とか?

650:マロン名無しさん
09/02/25 11:11:13
>そして土萌教授のゆがんだ心が この異界の者たちをよびよせてしまったこと

真のラスボスはほたる父だったのか‥

651:ネプチューン
09/02/25 11:14:03
>>646
いえ私のですから

652:マロン名無しさん
09/02/25 11:17:44
外部三戦士は随分サターンのことを誤解していたみたいだな
ほたるが死のうが結局サターンは目覚めたし
サターンの優先順位は
再生(セーラームーン)>>>>>>>>>>>破滅(自分)
だったし

653:マロン名無しさん
09/02/25 11:20:25
「破滅の神に救われた地球」がこの先伏線になってきそうな予感

654:マロン名無しさん
09/02/25 11:23:10
自殺、ダメ、ゼッタイ。

655:マロン名無しさん
09/02/25 11:42:54
「―美しいわ 滅びる刹那のその悶え―」
けっこうプッツンな性格みたいだなサターン(笑)
そうじゃなきゃ破滅の神なんてやってられないか。

656:マロン名無しさん
09/02/25 23:23:57
それにしても変態は何をやっても変態だな

657:マロン名無しさん
09/02/26 02:16:55
変態のシルクハットに続きマスクまでもが行方不明になった件
みんな変態に恐れをなして逃げてゆくw

658:マロン名無しさん
09/02/26 02:22:37
娘ほたると師ファラオ90が心中するなんて
土萌教授から見たら最悪の結末だったな

659: ◆P9MoonSjzo
09/02/26 21:41:47
Act38-2

「サタアアアン」プルートの涙の絶叫がこだまする。時空の扉は静かに消えて行った。

“―いつでも終焉とともに 希望と再生がはじまるのです”
瓦礫の上に跪いていたスーパーセーラームーンはサターンの遺した言葉を思い出し涙する。セーラームーンはふわり、とセレ二ティのドレス姿に変化した。
柄の部分が長く伸びたハートムーン・ロッドをかざすと、なんとみるみるうちに街が、人々が甦っていった。

―ネオ・クイーンセレ二ティ……?

タキシード仮面は夢に見たその光景に見とれてしまう。―救世主(メシア)― ……きみだったのか セレ二ティ……!

不意に赤ん坊の泣き声が聞こえ、ネプチューンが声のもとへと駆け付けた。ウラヌスとプルートも後を追う。
そこには何も身にまとっていない赤ん坊が寝かされていたのだった。額に一瞬サターンのマークが光る。
「……ほたる?」「……生まれかわってきたのか…?」ネプチューンはじっと抱き上げた赤ん坊を見つめていたが……
「……もしもこの子がひとりぼっちなら ……あたしたちで育てましょう あたしたち三人が親になって」「そうね」

「ウラヌス!ネプチューン!プルート……!」「プリンセス……!」「その赤ちゃんは……」
三戦士は神妙な面持ちになった。「あたしたちはいきます ―また新しい使命をさずかったから たいせつなあなたから……!」ウラヌスの目に涙が光った。
「いっちゃうの?」「……そうね 遠くかもしれないし 近くかもしれない」「……また会える?」
「ええ もちろん スーパーセーラーちびムーン……!わたしたちは仲間ですもの かならずまた会えますわ」
「……そうだよね 仲間だもんね 同じセーラー戦士だもんね すぐにまた会えるよね ゼッタイ……!」
セーラー戦士達はみんな知らず知らずのうちに涙を零す。


660: ◆P9MoonSjzo
09/02/26 21:43:15
「小さなプリンセス あなたが大好きだったわ かならずまたあなたがたのもとへ帰ってくるわ 約束のしるしよ」「ネプチューン…!」
ネプチューンはちびムーンにタリスマンであるディ―プ・アクア・ミラーを手渡した。
「この鏡にたくさんあなたをうつして いつか会うときまでにもっともっと強い戦士になって あたしたちのたいせつなプリンセスを守って」
三戦士と赤ん坊の姿は風とともに消えてしまった。「ウラヌス!!ネプチューン!プルート!!」
スーパーセーラームーンは溢れる涙を止められなかった。

変身を解いたうさぎ達は天王洲のはるかの部屋を、亜美と美奈子は海王洲のみちるの部屋を、レイとまことは冥王洲のせつなの部屋を訪れた。
しかしそこはすでにもぬけの殻だった。バリバリバリ、と音を立てて上空の三つのヘリコプターが飛び立った。
うさぎ達はそれを眩しそうに見つめる。

―またきっと会えるわ はるかさん みちるさん せつなさん ……そして ほたるちゃん  また きっと かならず……!
●to be continued●





661:マロン名無しさん
09/02/26 22:49:52 xEv+XO5Y
セラムン世界における人気キャラの復活は生き返るのではなく生まれかわるんだね

662:マロン名無しさん
09/02/26 22:51:55
ほたるが生まれ変わってきたのは嬉しいけど、両親はだれ―?

663:マロン名無しさん
09/02/26 22:53:52
ウラヌス→ほたる父代行ネプチューン→ほたる母代行

あれ?一人余るけど…?

664:マロン名無しさん
09/02/26 22:55:29
外部太陽系がログアウトしました

665:マロン名無しさん
09/02/26 23:33:15
俺の好きだったほたるは
やはり帰ってこないようだ・・・

666:マロン名無しさん
09/02/26 23:36:12
>>663
年齢的におばあちゃん代行で

667:マロン名無しさん
09/02/26 23:53:01
>>665
まぁ、もうでっかくはならないからな

次は新章だが、このスレ来ると読み返してみたくなるから不思議w

668:マロン名無しさん
09/02/27 00:14:35
>>666
いくらなんでも酷すぎるだろ
年長者は敬わないと



















ひいひい婆ちゃん代行で

669:マロン名無しさん
09/02/27 00:17:23
>>666
奥様は高校生




お婆様は大学生w

670:マロン名無しさん
09/02/27 00:19:19
ほたるには土萌教授の遺伝子は必要無かった件

671:マロン名無しさん
09/02/27 00:21:53
成長したほたるとちびうさの感動の再開が見てみたいけどそれまで連載続くかなー

672:マロン名無しさん
09/02/27 01:43:35
別次元にサターン行ってしまったのに、どっから来たのほたる…

673:マロン名無しさん
09/02/27 02:14:13
>>672
タウ星系は重力の墓場(=ブラックホール?)らしいから、吸い込まれたら助からないんじゃない?
で、速効生まれ変わってきた、と。
両親はどうしたのっていう疑問は残るけど

674:マロン名無しさん
09/02/27 02:17:29
>>672
三つのタリスマンに引き寄せられた可能性が大きいと思う

675:マロン名無しさん
09/02/28 15:07:41
ネプチューン、サブマリンミラーをちびムーンに渡しちゃったけど、今度行った先で戦いがあったらどうするんだろう…。
サブマリンリフレクション撃てなくなるよ…。

676: ◆P9MoonSjzo
09/02/28 21:50:21
≪ちびうさ絵日記≫ 
虫歯にご用心! (「るんるん」1995年3月号掲載)

とある月野家の一日。
3:00 PM ちびうさ帰宅。ママがたくさんのおやつを用意して待っていた。「きょうのおやつはドーナツとレモンパイよvチョコレートもあるのっv」「わあっ」
8:00 PM 夕食後、育子ママは皆にデザートを勧める。「夕食後のデザートは プリンとアイスクリームよっv」「わあいっv」
9:30 PM うさぎとちびうさはそろそろ宿題をやる時間なのだが…。「ねえみんなv栗むし羊羹とシュークリームあるんだけど…どっちたべる?」
「「「もちろん両方!!!」」」

朝が来て、ちびうさが桃子と一緒に登校するも、ちびうさの顔は腫れてひどいことになっている。
「……ちびうさちゃん だいじょうぶ?頭痛だなんて ガッコやすめばよかったのに」「カゼかなあ」
「も―もっ!」ジュースを飲んでいた桃子は、九助にスケッチブックでどつかれて思わず吹きだす。
「いた――いっ!九助ッ!ナニすんのよーっ」「買い食いセンセーにいーつけてやろっv」
「このジュースは家からもってきたのよっ!」桃子が笑顔でちびうさに缶ジュースを手渡す。
「ちびうさちゃん?飲む?つめたいジュース スッキリするよ」ところがちびうさがジュースを口に含んだとたん、歯にしみて激痛が走ったのだった。

亜美がちびうさの口の中を診察する。「……ちびうさちゃん コレは 頭痛やカゼじゃなくて 虫歯よ」
亜美によって、うさぎまで虫歯ということがバレてしまった。ちびうさはきょとんとする。「ムシバ?……ムシバってナニ?」
「え―ーっ ちびうさいままで虫歯になったことないのっ?すごいじゃんっっ」と美奈子。「歯にあながあいて痛くなるコトよ」レイが説明する。
「ええっっ!?歯にあなっっ!?なにそれっっ そんな原始的なビョ―キッ 三十世紀にはなかったわっっ」
ちびうさがネオ・クイーンセレ二ティに食べさせてもらっていたおやつは、糖分は合成化学甘味料で
ビタミン・カルシウムたっぷり、かつ太らないお菓子だったらしい。


677: ◆P9MoonSjzo
09/02/28 21:51:16
「ちびうさちゃん 虫歯っていうのはね ストレプトコッカス・ミュータンスと乳酸桿菌っていうコワーイ細菌が
口の中の砂糖をエサに繁殖して そのせいで歯にあながあく病気よっ」歯医者もたのしそーねーふふっ、と亜美が怖い目つきでほくそ笑む。
美奈子も一緒になって脅かす。「ちびうさ!虫歯はほっとくといつかアゴの骨がドーロドロとけて死ぬ コワーイ病気なんだぜっ」ちびうさは大ショック
―そんなオソロシー奇病が世の中にあったなんてっっっ あたしは30セーキのプリンセスよっっ そんな太古の奇病にかかってしまったのっっっ
「とにかくすぐ歯医者へいかなきゃ」亜美の一言にうさぎは泣きつく。「おっお代官さまそれだけはおゆるしを~~~っっ」

「それというのも みんなみんな育子ママのおやつコーゲキのせいよ~~っっ」うさぎはそう言い訳する。謙之パパは一か月で五キロ太ってしまったらしい。
「あなたたち」振り返るまでもなく、背後に鬼の形相をした育子ママが立っていた。
「虫歯ですって?ママがあれほどいったのに 歯みがきをきちんとしなかったわね?」
「「ごめんなさ~~いっ だってめんどくさくて~~っ ハミガキキライ~~ッッ」」
「食べたあとちゃんと歯をブラッシングするのはオトメの身だしなみ!」なんと育子ママは生まれて36年間一本も虫歯がないという。
「しばらくおやつはヌキッ!あしたパパに歯医者へつれてってもらいますからねっ」うさぎ大ショック。

部屋のベッドで泣きじゃくるうさぎをよそに、ちびうさはほっと安心する。「なあんだ はいしゃへいけばなおるのねムシバって
はやくなおしてもらわなきゃ!こんな奇病で死にたくないわっっ あたしは30セーキのプリンセスだものっっっ」
うさぎはだらだら冷や汗を流しながら、こちらを振り向いた。「ちびうさっっ わらっていられるのもいまのうちよっ
歯医者ってゆーのはねぇ ものすごーくっ オソロシイトコなのよっっ 歯医者へいって生きて帰ってこれると思ったらおーまちがいよっっ」
さすがにちびうさとダイアナもそれを聞いてびっくり。





678: ◆P9MoonSjzo
09/02/28 21:52:03
次の日、うさぎとちびうさは謙之パパに連れられて十番歯科医院にやってきた。寛永六年からここで歯科医をしている由緒正しき超一流の歯科医だそうだ。
一行は泣きながら病院を出てきた子どもたちとすれ違った。「ママはボクを殺すつもりなんだ あんなゴーモンうけさせるなんてっっ」
「砂糖は悪魔の粉 悪魔の粉 もう一生クチにしてはいけない」尋常ではないその様子にうさぎとちびうさは息を呑んだ。

「いらっしゃ~~い 何名様?」中からヨボヨボの老人が出てきた。「にっにっ二名ですうううっ」「一分まってて いま歯をぬくとこだから」
なんとその年老いた医者は、長いタコ糸の先を患者の虫歯に結びつけると、そのタコ糸を開いたドアのノブに縛り付けた。
その状態でドアを勢いよく閉めれば苦しまずに(?)抜けるという寸法らしい。

これを見てしまったちびうさは放心状態で木にしがみつき、うさぎはびーびー泣き出した。
「かえる―っっ あたしかえるうっ アゴがとけてしんだほーがましよおお~~っっ」
ちびうさもシクシク泣きだした。「……こんなにオソロシイところがあったなんて」
「まあまあ二人ともキゲンなおして ホラあんみつでも食べてくか?」謙之パパが誘う。「だってあまいものはダメだってママが……」
「ママにはナイショなvそのかわりあすはぜったいいけよ 歯医者」謙之パパの計らいで、うさぎとちびうさは至福のひとときを満喫したのだった。
帰り道、うさぎと謙之パパはがっくりと肩を落とした。
―あーそれにしても若くてカッコイイ医者が
―美人な助手さんが
―いるとこを歯医者っていうんじゃなかったっけ

すっかり日が落ちた十番歯科に邪悪な気配が漂っていた。“わらわはこの地に巣くう地霊(ゲニウス・ロキ)レジン
寛永六年からこの地でぬかれてきたあわれな虫歯たちの怨念がわたしの養分 さいきんどうも怨念があつまらないわっ
もっともっと虫歯をふやさねば!”レジンの指先から出た光が十番歯科を包みこんだ。




679: ◆P9MoonSjzo
09/02/28 21:52:37
「うさぎっ!あれから十番歯科いった!?すごいカッコイイ若い院長になったんだって!?チラシ見た?あたしも実はムシバだらけなのよおっっv」
興奮した美奈子から電話があり、謙之パパとうさぎ・ちびうさ・美奈子はこぞって十番歯科へと赴いた。

「え――っ いつこんなキレイなビルになっちゃったの―」うさぎ達はびっくり。
謙之パパな美人助手に鼻を伸ばし、うさぎ達は美形の院長に胸をときめかせる。
「おいしいケーキとチョコレートをどうぞvこれからどうせ治療ですし 安心してお食べになってv水わりつくりましょーかっ?」
美人助手に勧められるまま、うさぎ達はお菓子とお茶をいただいた。
謙之パパはまったりくつろいでいる。「ああっ 白い待合室 お茶の香り さりげないBGM なにげなくラリックのおきものなんかおいてあったりして
美人助手のさわやかな青年医師 歯医者はこーでなくっちゃな」しかしダイアナだけは、なんだか怪しいと疑っている。
うさぎ達はなんだか気持ちよくなって、ソファに倒れ込むように眠りこんでしまう。

「月野うさぎさん 診療室へどうぞ」ちびうさじゃトロンとした目で診療室に入っていった。
可愛いゾウさんの椅子に腰掛けると……なんと椅子から拘束具が出てきてちびうさの手足を固定してしまった。
院長と助手は大きなノコギリと注射器をもってにやにやしながらこちらを見つめてくる。「さあ~~あ はじめましょうか」―ひえええええ~~っ
「安心してね あたしたちぬいたりしないから だって虫歯ちゃんばかりイジメちゃかわいそーだもの
まずこの虫歯ゴーストを注射してぜーんぶの歯を公平に虫歯ちゃんにしてから たのしい治療をしましょーかっv」
「ぎええ~~っ パパ―っ うさぎ~~っ 美奈P―ッ ルナP―ッ ダイアナ~~~ッ」

「スモール・レディッ!!」ダイアナはなんとかドアを押し破ると、口にくわえたケーキを助手の顔面に投げつけた。
「ダイアナッv」ダイアナは拘束具のスイッチをOFFにした。「スモール・レディ!!変身よっっ」
「ムーン・クライシス!メイク・ア―ッップ!」


680: ◆P9MoonSjzo
09/02/28 21:53:57
「大好物はプリンッ!あまいものを愛するここをやさしきおとめっ!愛と正義のセーラー服美少女戦士ッ!
スーパーセーラーちびムーンとはこのあたしのことよっっ!正体をあらわしなさいッ!あやし―ヤツッ!」
“わたしはこの歯医者に巣くう地霊(ゲニウス・ロキ)レジン 歯医者の必殺アイテム!このタービン攻撃にたえられるかしらっ!?”
「いたたたっ 音が歯にひびくう~~っ」

「イタ~~イッ ムシバがっ ムシバがっっ うずくよ~~んっっ」ちびムーンが泣きだすと、髪飾りが反応し、超音波が放たれた。
「くそ―っ 超音波攻撃かっ 泣くのをやめろーっっっ」

院長がさっきのおかえしとばかりにケーキをこちらに向けて投げつけてきた。ケーキは見事ちびムーンの顔面に直撃。
「ああっ ケーキがっ なんてもったいない!ああっもう三日も食べてないプリンがっ!そーいえばさっき食べたケーキなんて五日ぶりっっ!」
ちびムーンはふらふらしながら溶けかけのプリンに手をつけようとした。「ああっvこのあまい香りっvちょっとだけ……」

そこへダイアナに叩き起こされた二人が駆け付けてきた。「まちなさ~~いっ!」
「おとめとおやつの友ッ!!愛と正義のセーラー服美少女戦士」
「コードネームセーラーV!!」「スーパーセーラームーン!!」「「よっ」」
「ちびムーン!あんたまだまだ修行がたりないわよっ!!」「デブのセーラー戦士になってもいーのっ!?
二人がケーキやパイを投げつけると、機器類が糖分で溶けていった。「ちびムーン!!いまよっっ!」
「ピンク・シュガー・ハート・アターッック!」
「わあっ ピンクの砂糖がっっっ」美人助手ことレジンは砂になって消えてしまった。美形院長は年老いた院長が若返っただけだったようだ。
「セーラーマーズがいないても 悪霊退散できたわっv」
ところがスーパー戦士二人を虫歯の痛みが襲ったのだった。

「―それで?どーしたの?そのムシバ」「……ぬいてもらいました 十番歯科で もちろん例の方法で」
「うさぎちゃんっ シンプルな治療にはあたしも大賛成よっっ」と後ろで亜美が言っている。美奈子は恐れをなして近所の別の歯医者に行くようだ。



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