08/12/22 18:33:19 mEg8ZwA50
朝日新聞2008年12月14日(日)読書欄 山脇麻生 コミックガイド より全文引用
■ココナッツピリオド 1 山田玲司[作] 小学館・550円
師走というのに蚊が飛んでいる。南極の氷が海に溶けるシーンはテレビでしか見たことなくても、
「地球、あったまってきているな」と感じることは日常茶飯事。
その半面、「エコ」という言葉の衣だけまとった企業CM、妄信的な自然保護団体(そうじゃない団体もあるが)に
うんざりして、環境問題にアレルギーを持っている人も多い。しかし、アレルギーを持っている人や無関心層を
そのままにしておいては、何も始まらない・・・とばかりに生まれたのが、地球温暖化の現実とファンタジーをブレンドした本作。
今まで、環境問題を内包した作品がなかったわけではないが、本作のアプローチは〝どストレート〟。
舞台は人間と動物が共に暮らす仮想世界。そこで、天才ウサギ、ココナッツピリオドが
地球温暖化を解決する大発明をするのだが、何者かにデータを奪われてしまう。
5年後、日本の大学に教授として現れた彼の元に、エコ技術を学ぼうと世界中の学生が集まった。
その中には「モテたい」という不純な動機の学生、村野民夫の姿も……。
各地で20世紀の毒素排出中の地球のいまと、様々な立ち位置から環境問題に関与する人々を描きつつ、
大上段に構えたもの言いにならぬよう作者の苦心の跡が見て取れる。
人類がつくってきた文明そのものに赤信号がともっている。
が、そのシグナルを変えようという動きも文明からやってくるようだ。(コラム終わり。この文章は山田センセイが書いたわけじゃありませんが。)