【邪気眼】二つ名を持つ異能者達at CHARANETA2
【邪気眼】二つ名を持つ異能者達 - 暇つぶし2ch56:氷室 霞美@代理
10/06/18 06:38:53 O
>>55
できうる限り気配を殺し、電光石火の如く素早く突き出された手刀。
並の異能者であればとてもかわせるものではないだろうが、
女性はそれを紙一重とはいえ、無傷でかわしてみせた。
氷室は反射的にフリーのもう一方の手を女性がかわした方向へと差し出しかけるが、
目は、銀色の光が横に弧を描いて迫ってきているのをしっかりと捉えていた。
手を引っ込め、咄嗟に顎を浮かせて背を反る氷室。
人間の身体など容易く切り裂く銀色のそれは、
正に閃光の如くのスピードで氷室の喉元を掠め、彼女の視界から消えていった。
体勢を戻した頃には、女性は既に彼女から二メートル程離れた位置に移動していた。

氷室が粉塵を巻き上げて姿を消してから、僅か2.8秒程の短い攻防。
それでも、氷室は女性に対して、予想以上の手応えを感じていた。
(一瞬の殺気を感じ取り、あのタイミングで放った手刀をかわすとはね……)
殺気と呼ばれる気配をほんの刹那に抑えることのできる氷室の奇襲─
それを無傷でかわし、間髪いれず反撃に転じる……これは中々できることではない。
今度は氷室の口元が弧を描いた。
ガラにもなく、まるで久々に出会えた強者(つわもの)との戦闘を楽しむかのように……。

「予想以上に私とあなたとの差は激しい。だからいきなり全部使う破目にはなりたくありませんでしたが、仕方ありません。
…………一気に全力です」
女性の目つきが変わった、その瞬間、またしても銀色の光が……
いや、銀色の光を纏った風が、氷室の横をかすめて吹きぬけた。
その正体は、古今東西のあらゆる刃を揃えていると言っていい、“刃物の一群”だった。
その内の一つの剣に女性が飛び乗るのを視認すると同時に、スキャナーは再び数値の上昇を告げた。
(──)

「……いきます!!」
女性が叫び、剣に乗ったまま突進を開始する。
同時に他の刃達もその切っ先を全て氷室に向け、不規則に舞いながら接近する。
氷室はバックステップをしながら一本、一本、迫る刃を流れるような動きでかわしていく。
「……!」
だが、不規則な動きをする刃の軌道をそう容易く見切れるものではない。
刃の切っ先が小さく頬を切り抜け、また右腕のジャージの裾を裂く。
これではいずれ急所に突き刺さるのも時間の問題である。
とはいえ、刃の嵐に身を包む本体に切り込むのも、そう容易な話ではない。

「仕方ない」
そう呟くと、氷室はその足を止めた。
途端に周囲に蠢く刃達が隙ありといわんばかりに一斉に向かう。
しかし、氷室はその瞬間を待っていたかというようにゆっくりと両手を刃に向けると、
素早く腕を横に振り抜いた─。


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