【邪気眼】二つ名を持つ異能者達at CHARANETA2
【邪気眼】二つ名を持つ異能者達 - 暇つぶし2ch2:テンプレ2/2
10/05/21 17:15:19 0
*FAQ
Qキャラには二つ名が必要なの?
A絶対に必要というわけではありません。あればいいという位の認識で結構です。

Qオーラってなんだよ?
A異能者にしか見えない、使えない、特殊なエネルギーを指します。
 異能者はそれを物質化したり飛ばしたり……まぁ、某ジャンプ漫画の「念」みたいなもんだと思って下さい。

Q最低ランクがDの常人並なのはなんで?
Aオーラが使える分、非異能者より肉体が強化されている為です。

Qここは「二つ名を持つ異能者になって戦うスレ」?
A違います。戦うスレは当スレの前身スレではありますが、世界観等は踏襲されておりません。
 戦うスレについては【避難所】>>1のまとめサイトをご覧下さい。

*避難所(前身スレの避難所を引き続き使用しております)
P C:URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
携帯:URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

3:名無しになりきれ
10/05/21 23:43:25 0
「食物連鎖というのがあるだろう?
 草をシマウマが食べ、そのシマウマを虎が食べる。
 プランクトンを魚が食べ、その魚を鯨が食べる、というアレだよ。
 人間がこの星の支配者だといわれているのは、その虎や鯨を狩ることができるからさ。

 では、草食獣を捕食する肉食獣が如くヒトを狩れるのは?
 それは同じヒトではない。我々のような『異能者』だよ。

 おかしいと思わないか?
 我々はヒトより優れた『力』を持っているにも関わらず、彼らと同じ支配階級に甘んじている。
 それどころかその力を持っているが故に、時に迫害され、あろうことか否定もされる。
 他でもない我々より遥かに脆弱で劣っているはずのヒトにだ。

 力なき者が我が物顔で君臨する……数千年来続くこの矛盾に終止符を打たねばならない。
 そう、我々の……我々『カノッサ』の手でな。

 ……だが、それにはまず見つけ出さなければならない。
 『始祖』……その力を受け継ぐ『化身』をな……」


─舞台は現代の東京に似た巨大都市。
物語は、ここから始まった。

─ 【邪気眼】二つ名を持つ異能者達 ─

4:氷室 霞美 ◆ICEMANvW8c
10/05/24 20:16:52 0
100万ともいわれる人口を抱える大都市、『角鵜野市(かくうのし)』。
街の中心はここ数十年の内に建てられた高層ビル群が並ぶ新興都市の様相を呈しながらも、
東は海に面し、西には湖があり、南には緑豊かな山が聳え、
北には古い史跡や町並みが残る、歴史ある観光都市として有名である。
しかし、まさか人々で賑わうそんな大都市で、凄惨な戦いが勃発することになろうとは、
この時、誰が予想したであろうか……。


─街の中心部から少し北に外れること1km。
そこのとある市街地に、小さな椅子に腰掛けながら、道行く人をぼーっと見つめている若い女性がいた。
青い髪と少々釣り上がった目、そして部活帰りの学生のような紫のジャージ姿が特徴のその女性の傍らには、
「占い・一回千円」記された小さな看板がある。
どうやら客が来ないので暇を持て余しているらしい。
と、そこに季節はずれの黒いコートを羽織った長身の男が、閑古鳥の鳴く客用の椅子にどかりと座り込んだ。
「占ってもらおうか」
待ち望んでいた客である。が、彼女の表情は相変わらず冴えない。
それもそのはず、彼女にとって男は顔見知りで、しかも客ではなかったからだ。
「客じゃない奴を占う気はない。それに、どうせ占ったところで結果は前と同じだ」
途端に男がクククと笑い出す。
「良く言う。人の顔を見てその印象だけで物を語るのが占いとはな」
「だが、私の勘は良く当たる。知ってるだろ?」
「……フン」
彼女の切り返しに、男は返す言葉を見つけられないと言ったように歯切れの悪い言葉を残すと、
一つの間を置いた後、即座に話題を変えた。
いや……彼女の店に立ち寄った本当の目的、本題に入ったと言うべきだろう。

「─『化身』がこの街のどこかにいる」
男を見る彼女の目つきが一瞬、変わる。
「この俺、直属の諜報部隊が掴んだ情報だ。間違いない」
神妙な顔付きのまま放たれた言葉は、充分な真実味を帯びていた。
まさか、こんな近くに……
そうは思いながらも、彼女は彼の言葉を信じざるを得なかった。
「灯台下暗し……といったところだな。まさか私達の膝元に降臨されていたとは」
「だが、この街、どういうわけか我々以外の『異能者』の反応が数多く確認されている。
 これでは特定するのは困難……そこで炙り出すことにした。
 ……既に多数の戦闘員をこの街に送り込んだ」

5:氷室 霞美 ◆ICEMANvW8c
10/05/24 20:18:59 0
「戦闘を誘発させて、その中で一際大きい反応を見せた奴を見つけ出す……ってわけ」
男は正解というようにニヤリと笑って見せた。
「だけど、だったら私がわざわざ出向く必要はないだろ?」
男は小さく首を振った。
「どうやらこの街の『異能者』どもの中には、通常では考えられんほどの力を秘めた奴らがいるらしい。
 オーラを使えるというだけの戦闘員どもだけでは不足なのさ。
 既に他二人の四天王はこの街で探索を始めている」
「四天王『筆頭』のあんたは? また高みの見物かい?」
「ククク、そう言うな。これでも他にもやることがあるのさ」
そう言うと、『筆頭』と呼ばれた男は席を立ち、彼女に背を向けて歩き出した。
が、何かを思い出したようにすぐにその足を止め、背を向けたまま言った。

「あぁ、最後に訊いておこうか。─俺とお前─『氷室 霞美』との相性はどうだ?」
彼女は、『氷室 霞美』は間髪入れずに即答した。
「前にも言ったろ。相性は最悪─」
「そうか……。ククク……」
男は何ともいえぬ不気味な笑い声だけをその場に残し、人ごみの中へと消えていった。
一人残された氷室は、ふぅと小さく溜息をついて、やがて店仕舞いを始めた。
もはや、趣味にかまけている暇は、氷室にはないのだ。

【下級戦闘員(銃やナイフで武装した非異能者。通称「雑兵」)×200
 中級戦闘員(オーラだけが使える能力無しの異能者。)×100
 上級戦闘員(能力を持つ異能者。)×不明
 四天王(上級以上の精鋭異能者。)×3
 が角鵜野市に送り込まれる】

6:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/05/24 20:38:53 O
 ポ イ ズ ネ ス
毒に愛された女

それは都市伝説のようなものであった
「体が毒でできている女」
それがその伝説である
シンプルで他の人に伝える面白さはない
だがその伝説はなかなかとだえず一部の人の間で語りつがれるのだった
--------------------
「お譲ちゃん金持ってない?」
「持ってません」
「本当に持ってないの?」
一人の女性が四人の男性にとりかこまれていた
「持ってません」
女性はきつく言い返した
「ふーん、じゃあこのバッグ見せてもらうね」
女性が持っていたバッグを一人の男性が奪う
「金はいってそうなバッグじゃん」
男性はバッグをあける
「この女、ナイフ持ってるぜ」
男性はバッグの中からナイフをとりだして他の男性に見せる
「護身用かな?」
男性はそのナイフを女性につきつける
「やめてください」
「やめなーい」
その次の瞬間女性は服の中からナイフを取り出す
「まだ持ってやがったのか」
そして女性は自分の手のひらをナイフで切る
「おいおい、気が狂っちまったのか?」
女性は血がついたナイフを振る
そのナイフは男性の腕をかする
「結構扱いなれてるんだな、だが四人相手に勝てるとでも?」
そういったのは切られた男性とは別の男性である
次の瞬間切られた男性が倒れる音がする
「お前……何しやがった…」
一人の男性が殴りにかかる
女性はまたナイフを振り、男性をかすめさせる
そしてその男性も地面に倒れる
二人の男性は後ずさりをしはじめる
「おい……こいつ……まさか……」
「まさか……なんだよ?」
         ポ イ ズ ネ ス
「こいつ……毒に愛された女じゃないのか?」
「そんな……まさか……そんなはずが……」
二人の男性は女性に背を向け逃げ始める
女性はバッグに入っていたナイフを拾いそのナイフにも血をつける
そして二本のナイフを二人の男性に向けてそれぞれ投げる
ナイフは背中にサクッとささり次の瞬間二人の男性が倒れる音が響く
-------------------
          ポ イ ズ ネ ス
『聞いたか? 毒に愛された女がでたらしいぞ』
『ああ聞いたさ、四人殺されたらしいな』

7:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/05/24 21:13:37 O
哀は臨時収入に顔をほころばせていた
哀の主な収入はスリである
森で暮らし食料などは自分で調達しているのだがそれでも金は必要だ
スリで得た金は服や消耗品につかう
たまに入る臨時収入ではちょっと値段の高いものを買うのだ
哀の持っているちょっと高そうなナイフとバッグは臨時収入で買ったものである
「今回は何買おう」
今にもスキップをしだしそうな勢いだ
この臨時収入での買い物が唯一の哀の楽しみとなっていた
それでも哀が殺人鬼にならないのは楽しみはたまにあるからいいと理解しているからであろうか
「……また……?」
哀はいきなり姿勢を低くし、建物の陰に隠れる
そして隠れながらちらりとまた道を見る
その視線の先にはオーラを持つ人間がいた
哀は今までオーラを持つ人間を何回も見てきた
しかし今日はおかしい
オーラを持つ人間を見る頻度がいつもとは段違いだ
哀はオーラを持つ人間を見たらすぐ逃げるようにしている
「ああ……買い物はまた今度か……」

8:棗遼太郎 ◆R9F5WG6Bjw
10/05/25 00:21:28 0
薄暗いオフィスの肘掛け椅子に一人の男が座っている。
大きな机と椅子、それ以外は木のクローゼットと簡易キッチンしかないオフィスは全体の半分は何も置いていなく質素、いやむしろ殺風景と言うべきであろう。
ここは棗探偵事務所、その男とは事務所の主である棗 遼太郎である。
今のご時世探偵なんてものに頼る人物は殆どいない、よって遼太郎は日々暇をもてあましていた。
その静寂を破るように携帯の着信メロディが鳴り響く、退屈な日常を壊す音。
「やれやれ、携帯ということは依頼ではなさそうですね」
一人ため息をつくと、通話ボタンを押す。
「はい、棗です」
「狩りを始めろ、」
その一言だけで電話はきられた、だが遼太郎にはそれが何を意味するものか充分に理解できた。
静かに立ち上がると、机から黒い手袋、すっかり色あせた木のクローゼットからは黒のコートを取り出し身に纏う。
「面白くなってきました、久々に暴れてくるとしましょうか」
端正な顔に小さく笑いをうかべて遼太郎は事務所の扉を開けた。
眩い日差しが遼太郎の黒を照らす、その黒は光りを吸収し影を作り出す。
「鍵は必要ありませんね、どうせ何もありませんし」

【棗遼太郎: 角鵜野市へ能力者狩りに繰り出す】

9:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/05/25 01:44:49 0

「これがかの大都市『角鵜野市』か。」

黒い野球帽と同色のタンクトップを着た長身の女性から感嘆の言葉が漏れた。
とあるビルの屋上の幅数センチのフェンスを囲む枠の上に、彼女は佇んでいた。

「流石は人口100万人超。ここまで人が犇きあっているのを見るのは初めてだ。」
朝の通勤ラッシュによってわらわらと混み合っているスクランブル交差点を見ながらそんなことを呟いた。
彼女は片手に大きめのギターケースを持っているのにも関わらず、バランスを崩すことなく大きくノビをした。
朝の新鮮な空気と輝かしい朝日はどこの街でも同じものだと彼女は再認識した。
ただ少しばかり空気の方は汚れているか、と嫌味ではなく感想としてそう思った。

「この街で旅も最後になればいいですね。ね、父上。」
彼女は少しだけギターケースの口に隙間を作ると、その間からケースの長さギリギリに収まっていた刀が一本、
?ひとりでに?ケースから抜け出し彼女の右手に納まる。
「『無間刀』……それさえ取り戻せば、また緩やかな生活に戻れる…」
そう呟き、もう二度と取り戻すことの出来ない父の姿をまぶたの裏に浮かべる。
しかしそれに甘えることは無く、ただ尊敬と子としての愛情の念をその刀に宿らせた。

「では……行ってきます。」
刀は又ひとりでに宙を舞い、ケースの中へと戻っていく。
ギターケースを肩で担ぎなおし体を百八十度回転した後に跳んだ。
彼女はフェンスから軽々と屋上に着地し、そして………………………………清掃のおばちゃんに怒られた。

10:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/05/25 01:46:45 0
――PM09:30 マクドナルダ 某店
「さすが都会だな。あんな朝から出勤して働いている人が居るとは、今までのビルではなかったことだ。」
正確には清掃員は雇われの外部の者で、更に清掃時間はむしろ遅い方であったが、彼女……海部ヶ崎 綺咲は
持ち前の思い込みの強さでなんの違和感も無く納得した。
というより、そういう知識は無かったので勝手に想像するしかなかった。
                                      アレ
「これから先はビルに登るのは控えるべきか……しかし、あまり人目のつくところで刀を取り出すのはまずいだろうし…」
海部ヶ崎は朝食であるサラダとチキンを店内で頬張りつつ、これからの生活プランをたてた。
一番の心配は寝床であった。今回は長期の滞在になりそうなので部屋を借りてもいいのだが問題があった。
彼女は幼少期より山に暮らしており、更に唯一の身内である父親がすでにこの世の人間ではない。
その為に保護者どころか保証人になってくれる人が居らず、正規の手続きで部屋を借りることは出来ない。

(居ないことはないけれど……あの人には頼みたくないなぁ……既に『無間刀』の情報で多大な貸しがあるし。)
ホテルという手もあるが、ここら辺は今まで滞在してきた街よりランクがいくつも上だ。
ホテルもそれに合わせて値段のランクが高い。短期ならともかく、何ヶ月も泊まるには適さないだろう。

「……いっそのことキャンプセットでも購入して、南の方の山に住むとするか…」
何気なく呟いた一言だったが、意外といい案かもしれない。
自分は街を渡り歩いた期間より山で暮らした期間の方が長いため、今でも難なく山暮らしが出来るだろう。
山でのキャンプを半ば本気で考えつつ、朝食を食べ終わると海部ヶ崎はあることに気がついた。

自分を監視する者の目線に、そして隙を窺っているような気配に。

トレーやゴミを回収箱に運びつつ、自然に店内を見回す。
どうやら店の奥の方に座っているスーツ姿の三人が不穏な気配のモトらしい。
しかし幸いなことに向こうはこちらが気付いたことに気がついていない。
ということは、
(誘い込むか……奴ら、気配の消し方や目配りからして一般人ではない…機関か)
「なら、好都合だな。」
三人に背を受け、自分にだけ聞こえるように小さく呟く。
ギターケースを肩に背負い、店を出ると数秒遅れて三人も自然に行動を開始する。
(しかし、この街中でどこに誘い込むべきか……)
通勤ラッシュも終わって人が疎らになった歩道に出ると、とりあえず住宅街や繁華街とは逆方向へ歩き出した。
悩んだ結果三人が付いてきている事を確認しつつ、とりあえず適当に街を歩くことにした。

【海部ヶ崎 綺咲:機関の下級×2、中級×1を人気の無いところへ誘い込むため移動中】

11:諫早 六見 ◆6LsGmK0rgs
10/05/27 00:51:31 0
─am10:00─角鵜野市某所:雑居ビル3階“新都市出版本社” 

「なあむーちゃん、最近噂の幽霊バイク、知ってるかい?」

整理整頓とは程遠い、雑然としたオフィス。
書類が積み上がる鬱蒼とした森のようなデスクの奥から、
くたびれた雰囲気も露わな記者の男─緑川(みどりかわ)に声を掛けられて、
丁度茶の用意をしていた諫早六見(いさはやむつみ)は振り返った。

「……何ですか?それ。」

「ま、良くある怪談さ。静かな夜道を車で走ってる、そこに聞こえてくるエンジン音。
何だろーな、バイクかなぁなんかやだなーと思ってると、前方に一台のバイクが現れる
ってわけ。お決まりのごとく、フルフェイスのメットで顔は分からねぇ。
それがそのまま凄ぇスピードで突っ込んできて──、あわや正面衝突、
大事故かってとこで……すり抜けていくんだってさ。気付いたら何事もなかったように
後ろにいて走り去っていく、と。」

……どこかで聞いたような話だ。
特に面白味も新鮮さもないそれに、六見の片眉が綺麗に持ち上がる。
感想を求めるように首を傾げる男のその所作に、馬鹿馬鹿しいと軽く溜め息を吐き出し、
六見は元の作業─湯呑みに茶を淹れる作業に戻る。

「むーちゃんもバイク乗ってんじゃん、見たことねぇの?」

黙々と作業を続ける六見の背に向かって尚も呼び掛ける緑川。
無言を返していると、ジッポライターを点ける音がした後、
緑川の座る古い椅子の背もたれが苦しそうな悲鳴を上げた。
適当に湯を入れた急須を揺すってから、歴代総理の名前がずらりと書かれた
変な湯飲みに緑茶を淹れる。若干濃い気もするが問題ないだろう。

「お知り合いだったりしたらさ、連れてきてよ。ネタねぇんだよ、今、全然。」

そう繋げる緑川の汚い机の上に総理湯呑みを置くと、そのまま横目で男の顔を見つめる。
疎らに生えた無精ヒゲ、ボサボサの髪はやや白髪交じり、銜えた煙草から紫煙が立ち上っている。

「……知り合いも何も、それあたしの事ですから」

酷くあっさりとした六見の口調に、緑川の唇から煙草が零れ落ちた。

「─なんて。ビックリしました?……じゃ、お使い行ってきます。」

その表情をしっかり堪能した後、にこりと邪気のない笑顔でおどけてみせる。
固まったままの緑川の後ろを通り過ぎ、六見は自分の席の背に掛けてあった黒い
ライダースジャケットを手に取るとオフィスを飛び出した。

12:諫早 六見 ◆6LsGmK0rgs
10/05/27 00:54:05 0
弱小零細出版社たる新都市出版が本社を据えるこのビルに、エレベーターなんて洒落た
便利なものがあるはずもなく、六見はいつものように軽い足取りで階段を下っていく。
ジャケットのポケットに突っ込んでいた革のグローブを手に嵌めながら最後の一段を降り、
太陽光の下に一歩踏み出した六見の足が止まった。

(何……?)

それはほんの僅かな違和感だった。
見慣れた街の空気が、いつもと違うような気がする。
眉間に皺を寄せて考える─異能の者の、オーラの気配が濃い。

(警戒してし過ぎる事は、ない。……気を付けるべきね。)

そう思いながら止めていた足を動かし始める。
いつもの癖でビルとビルの間、愛車のある駐輪場への近道である仄暗い裏道に入って
─六見は自分の認識の甘さを後悔することになった。

「ハーイ、こんにちはァオネーサン。」
「馬鹿、今はまだおはようの時間だ。おはよう、お嬢さん。」

チンピラ風の男と、スーツ姿の男。
笑顔で挨拶をした二人の男に、六見が言葉を返すことはなかった。
項の辺りがゾワゾワして気持ち悪い。

(こいつら……、異能者だ。)

そう確信すれば、自然と二人を見る六見の視線が鋭いものになる。

「……出会って早速で済まないが、死んでもらうよ。」

スーツの男が全く済まないと思っていない、柔らかな口調でそう言った。

「ごめんなさい。あたし仕事中なんで。」

対する六見は、ナンパを断るような口調で男の言葉を斬って捨てる。
路地裏特有のどこか淀んだ空気が、重くなった気がした。

【諫早六見:路地裏で機関の初級×1、中級×1と対峙中】

13: ◆3LPMHhiq9U
10/05/27 19:40:42 0
>>10修正
PM9:30⇒AM9:30

14:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/05/28 02:13:35 0
機関の尾行者達を引き連れ、街中を歩き回ること数分。
辺りは真新しいマンションやモデルハウスなどが立ち並ぶ、新開発地区へと姿を変えていた。

(空き家ばっかりで人が居ない・・・・・・別荘地なのでしょうか?)
またも間違った結論を脳内で浮かべるも、突っ込む人間が居ないためにまたも簡単に彼女は納得してしまった。
(あんなビルみたいな別荘まで建っているとは、余程の金持ちが建てたのでしょうね・・・)
彼女は建物の判別が苦手で未だにビル、マンション、アパートなどが区別できない。
そのため彼女の中では三階以上の建物は無条件でビルなのだ。
しかしこの勘違いは、大抵は正解なのでまだマシな勘違いなのだが……

新開発地区に入ると人の往来は激減する。
暇そうな大学生や散歩のお年寄り、買い物途中の主婦など、ここにくる途中に何人もの人間と遭遇したが
歩くにつれてその数は減っていき、遂に周囲には自分と背後の機関員のみとなった。
それと一回、野球帽で目線を隠して背後を確認すると尾行者の人数が減っており現在は二人だけだった。
減った一人は恐らく後方以外の位置で海部ヶ崎を付けているのだろう。
つまり、今この場には計三人の人間しか存在していないのだ。
(向こうも流石に誘導されていると気付く頃でしょうし。先に動かれる前に動きますか。)
するとなんの前振りも無く、唐突に海部ヶ崎は近くの電柱を”垂直に駆け上がり”、モデルハウスの屋根へと飛び乗った。

彼女の能力は自身のオーラによる磁力の発生とその操作。
彼女の作り出す磁場は自然界にあるものより指向性や力そのものが格段の差がある。
そのため足の裏を電柱の芯となっている鉄筋にコンクリ越しで引き寄せて、今のような芸当が出来るのだ。

彼女の突如の行動にスーツ姿の二人は数瞬だけ動揺するが、すぐさま行動を尾行から追跡に移した。
片方は小型の無線機でどこかに連絡し、もう片方は懐からサイレンサー付の拳銃を取り出して地上から追いかけてくる。
海部ヶ崎が屋根から屋根へと八艘飛びのように渡っていくと、前方に一つの影が立ち塞がった。
スーツ姿であることから、途中で姿を消した機関員だろう。
おそらく役割通りに尾行のバックアップに来たのだ。
男はオーラを纏った拳をボクサーのように構え、殺気を放ち始める。
海部ヶ崎は走るスピードも方向も変えることなく、前進を続けた。
そして、二人がぶつかり合うと思われた瞬間、海部ヶ崎の姿が消えた。
「……!?」
男はすぐに下に降りたものだと思い屋根の淵まで移動して姿を確認するために頭を突き出した。
すると、その動きは突如現われた銀色の影に拘束された。

「動くと確実に死ぬように喉を斬りますよ。」
いつもの口調で放たれた言葉は、いつものようなどこか調子の抜ける内容では無かった。
彼女は電信柱に垂直に立ちながら、そのギターケースとおよそ同じ長さの刀を男の喉もとに突付けている。
後追いの二人が追いついてすぐさま拳銃を構えるも、海部ヶ崎はすぐさま男を盾にするように屋根に飛び乗る。

「動かないでください。こっちはあなた方に傷一つ、痣一つもつける気はありません。
 だから、ただ質問に答えてください。それだけです。」
傷一つ、痣一つ付ける気はない。その言葉の意味は別に彼女が不殺主義者や心優しいという訳ではない。
ただ単に必要ないと、そう決め付けたからである。
大人が怒った子供を優しくなだめる様に、高校生が幼稚園児に腕相撲を挑まないように。
力の差がありすぎるためにまず力を必要としない、そういう判断なのだ。
下の二人はともかく、拘束中の男はその意図を彼女の言動や雰囲気で読み取り、抵抗する気が既に失せていた。
もう海部ヶ崎の質問に男は簡単に答えるだろう。機関への忠誠心が許す限り、だが。
そして、数秒で何から聞き出すかを決めて、口に出した。

【海部ヶ崎 綺咲:男から情報を聞き出そうとする】

15:棗遼太郎 ◆R9F5WG6Bjw
10/05/28 18:19:10 0
事務所から当てもなく歩いて数分、未だにお目当てのモノが見つからない。
人通りの多い大通りの方を歩いてみるが一向に見つかる気配が無い。
(おかしいですね、もう少し居ても良さそうですのに……。 尤も私が探れない程の能力者しかいないという事もあり得ますが)
遼太郎のような異能者はオーラという独特の気を身に纏っている、この気は普通隠せるものではないが、使い手であればあるほど上手く気を隠すことが出来る。
だから自分より強い異能者を見つける時には戦っている時以外は分からないのだ。
何か情報が無いかと、他の戦闘員に連絡を付けようと携帯電話を開く。
すると、視界の隅に慌ただしく駆けているスーツの男が映る、僅かだがオーラを感じなくもない、確実とは言えないが異能者だろう。
遼太郎はその男が向かう先に何かがあると踏んで、後をつけていくことにする。
次第に人通りが減っていく、新開発地区へ向かっているようだ、あの場所はまだ空き家が多いため戦うにはもってこいの場所だと言える。
(私の読みは当たっていましたか)
戦闘員らしき男と一人の女性が戦っている、まだ幼さを残した美しい顔つきの女性。
その容姿には似合わず、黒い野球帽、黒いタンクトップ、ジーンズという男の様な格好をしている。
勝負と言っていいのか分からないが、その勝負の決着は一瞬でついた。
電信柱に垂直に立ちながら長い刀を男の喉もとに突付ける女性、そして男を盾にしながら屋根に飛び移る。
(強い、私でも戦えばただではすみそうにありませんね)
遼太郎は彼女が立っている屋根の近くにある電信柱の影の上に立つ、その影は屋根の上、彼女の真後ろまで伸びている。
遼太郎の身体が影に溶ける、刹那、遼太郎の身体は女性の後ろに現われる。
「物騒ですね、そんなものを持っていては可愛らしい顔が台無しですよ、お嬢さん」
男の喉もとに突きつけられていた刀を手でやんわりとどかす。
そして、男の身体を蹴り飛ばす、鈍い音とともに男は吹き飛び屋根から転げ落ちていった。
すぐさま遼太郎と距離を取る女性。
「初めまして私は棗 遼太郎、貴女のお名前は何ですか? いや、そんなに睨まないで下さい、私は美しい花を摘み取ったりはしません。 もし花に棘でもあれば話は別ですが」
遼太郎は微笑むと手を胸の前に持っていき仰々しくお辞儀をした。

【棗遼太郎: 海部ヶ崎の名前を聞く、出方によっては戦闘意思あり】

16:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/05/28 23:26:05 O
買い物をあきらめた帰り道
哀は人気のない道を選んでいた
哀はオーラを視覚以外で感知するすべをもたない
オーラとは何か、能力とは何かさえわかっていないのである
もちろんオーラを隠すすべも持っていない
しかし哀は幸運にも体液にオーラがある程度溶け込むので体外に出るオーラは普通より少ない
そのことが今まで哀を生き延びさせてきたのかもしれない
オーラについてもっと知っていたら、何事もなく帰ることができていたかもしれない
哀は一人の女性を見てしまったのだ
電信柱に垂直に立っている女性を

(あれ……どうやってるの……)

哀は物陰に隠れ様子を見ることにする
見ていると女性に一人の男性が話し掛けている
哀は妙な予感がした
今にも戦闘になりそうなその空気を感じ取ったのだ
しかし哀はそれに興味を持った
今まで感じたことのない空気に
これから始まるかもしれない光景に

【阿合 哀:海部ヶ崎と棗を陰から見ている】

17:氷室 霞美 ◆ICEMANvW8c
10/05/29 04:26:23 0
それは正に一瞬の出来事だった。
男が彼女と出会い、対峙して、殺気を放ってから攻撃に移る、ほんの僅かな間。
そんな瞬きほどの刹那に、男は首をかつてない方向へと曲げられ、地に伏していた。
恐らく、男は死に至るまでの残りの数秒間、途切れ行く意識の中で漠然と考えることだろう。
何があったのか、何をされたのかと。
そして永久に気がつかないだろう。
今この時、地に伏す彼の足元に佇む女に、氷室 霞美に殺されたのだということに。
「やっぱりハズレか。まぁいいけど」
戦闘相手は目的の人物ではなかったが、
氷室は特にリアクションもなく、何事もなかったように瀕死の男に背を向けた。
彼女にとって人間を殺めるのは人間が虫を払うのと同じ感覚なのだ。

『カノッサ』の実質的リーダーである四天王『筆頭』と別れてから僅か数分。
氷室は早々に一人の異能者をこの世から葬り去った。
この恐るべき早業は彼女の戦闘能力の高さの証明ともいえるが、
実はもう一つ、この結果を生み出したのには大きな要因があった。
それは彼女の左耳から左目にかけて装着された特殊な片眼鏡である。
通称『スキャナー』と呼ばれるこの片眼鏡、実はコンピュータが内蔵された小型レーダーなのである。
感知するものは通常の人間には一切ない特殊なオーラ。
つまり、異能者を発見する為の機械なのである。
スキャナーは電圧操作によって感知した異能者の居場所、そこまでの移動距離、
そしてオーラの多寡によって強さまでもレンズ上に数値化してくれる上、
通信機能までついている優れモノで、その利便性からカノッサ戦闘員の大半が装備している。
いくら異能者が多い街とはいえ、氷室がこの広い角鵜野市で早々に異能者を発見できたのも
その小型レーダーを装着しているからなのだ。

しかし、その高性能なレーダーでも、無数の異能者の中から特定人物を見つけ出すことは難しい。
そう、激しい戦闘でも起きない限りは……。
氷室は再びレーダーに目を通した。
「ピピピ」という電子音と共に、レンズに無数の○と特殊記号が浮かび上がる。
探知した中から少しでも強い反応を見せたオーラをレーダーが絞り込んでいるのだ。
(それにしても……)
氷室は思った。
通常、一都市に存在する異能者は、三人居れば多い方と言われている。
しかし、この街はどうだ。レーダーはその100倍以上の膨大な数を捉えている。
カノッサの戦闘員の数を差し引いても、これは異常ともいえる数値だ。
(……何か、厄介なことにならなきゃいいけどね)
氷室が目を細めていると、レーダーが一際大きな電子音を発してレンズに結果を映し出した。
レンズには五つ、六つほどの反応と、それぞれまでの距離を算出していた。

「さて─ここから一番近い反応は─」

氷室の目が、遥か南の空を捉えた。

【氷室 霞美:中級レベルの一般異能者一人を瞬殺。各PCの反応を捉え、そのいずれかに向かう】

18:虹色 優 ◆K3JAnH1PQg
10/05/30 17:39:42 0
角鵜野市にある双綱(ふたつな)高校。そこの生徒である虹色 優は部活を終えて帰る途中だった
「ん…やっと終わった。帰るか…」
彼の家は学校から近いので徒歩で帰ることになる
「何だアレ?」
何かを見つける虹色優。どうやら小学生が不審者に襲われているようだ
「…ああいうのが居るから僕たちロリコンの未来が暗くなるんだ…」
ブツブツ言いながら不審者のほうに近づいていく
「君何してんの?そんなことしてもいいと思ってる?」
「何だ? お前も死にたいのか? だったらお前から先に殺してやるが?」
包丁を光らせる不審者
「…不審者どころじゃなかったか。危ないよねそんな物振り回しちゃ? 」
「危なくないと思ってたら…凶器にするわけねーだろ!!」
包丁を振りかざす殺人鬼。そんなのには目もくれず、虹色優は絵を描き始める。
「さよなら…」
突如、虹色優の目の前に巨大な鷲が現れ…殺人鬼を攫って行ってしまった…
「よし。君達、怪我は無いかい?」
笑顔で小学生達に尋ねる。
「だいじょーぶだよ。ありがとうおにーさん」
「兄ちゃん名前なんていうの?」
「僕は虹色優。小学生の味方だよ! 今度からは変な人について行っちゃ駄目だよ?」
「「はーい!!」」
「分かればいいんだ。それじゃあ、バイバイ!」
「バイバイ!」
「バイバイ、おにーさん!」
小学生と別れた後…
「ふふ…おにーさん、か…。可愛かったなー。ぜひ今度遊んでやりたいものだ…!」

19:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/05/31 00:27:20 0
>>15
海部ヶ崎の口から質問が発せられる――その直前。
「物騒ですね、そんなものを持っていては可愛らしい顔が台無しですよ、お嬢さん」
その突然現われた声の主は男に掛けられた刃の拘束を解き、更に解放された男を地面へと蹴り落とした。
目の前の出来事に海部ヶ崎は、すぐさま距離をとるべく後方へ低く跳んで刀を構える。
「初めまして私は棗 遼太郎、貴女のお名前は何ですか? いや、そんなに睨まないで下さい、私は美しい花を摘み取ったりはしません。 もし花に棘でもあれば話は別ですが」
突如現われた男……棗 遼太郎は自己紹介と共に丁寧にお辞儀をした。

(……どうやって現われた?)
突如現われた棗に、海部ヶ崎は当然の感想を抱いた。
(瞬間移動系?それとも気配を消すような能力……どっちにしろ、逃げるのは難しいか…)
とりあえず会話を続け、相手の目的や出方を伺うことにした。
棗に返事をする前にスーツの三人に目をやると、既にその姿を消していた。
彼らは十中八九機関の人間だろう。確証はないが自分は機関のアジトを狙ってこの街に来たのだから。
なら彼らを逃がしたことによって、自分の事は機関に知られることだろう。
(初日から顔を覚えられたくは無かったが……まぁ、遅かれ早かれ知られることになるなら気にする必要はないか…)

「私は海部ヶ崎 綺咲と言います。花が何とかって言いましたが、私の貴方への警戒心は変わりませんよ。
 助けてもらったわけではありませんし、逆に折角のチャンスをあなたが文字通り足蹴にしたのですから」
と言ってもそれに対しては特に焦りも怒りもない。
何回か機関の連中と対峙したことはあるが、経験上あの程度の人間は百単位で配置される。
おそらく街を散策したら、また簡単に出くわすだろう。

「こっちからも質問です。あなたは機関か、それと似たような所の出身の人間なのでしょうか?
あなたの行動や身体から出る雰囲気が一般の人間のものとは思えません……あなた、何者です。答えてくれませんか」

相手の能力を警戒して、気付かれぬように左手のギターケースをいつでも開けられる用意をしておく。
(街に着いた初日で、全て使うような戦闘にならなければいいのですが……)

【海部ヶ崎 綺咲:棗 遼太郎の正体に疑問を持つ】

20:棗遼太郎 ◆R9F5WG6Bjw
10/05/31 21:46:51 0
「私は海部ヶ崎 綺咲と言います。花が何とかって言いましたが、私の貴方への警戒心は変わりませんよ。
 助けてもらったわけではありませんし、逆に折角のチャンスをあなたが文字通り足蹴にしたのですから」
「こっちからも質問です。あなたは機関か、それと似たような所の出身の人間なのでしょうか?
あなたの行動や身体から出る雰囲気が一般の人間のものとは思えません……あなた、何者です。答えてくれませんか」

綺咲の白い喉仏から奏でられる音律は凛と澄み渡り遼太郎の耳まで届く。
その瞳にはありありと警戒の色を滲ませていた。
遼太郎は自分の返答が殆ど正体を告げているようなものだということを理解しながら口を開く。
「私が紳士である事が分かって貰えませんでしたか……。 それと綺咲さん、私は貴女の質問には何一つ答えることはできません」
わざとらしく肩を落として見せかぶりを振った。
「でも貴女のような美女に迫られたらおもわず喋ってしまうかもしれませんね」
薄く笑みを浮かべると一気に綺咲との間合いを縮め、彼女の胴体めがけ横薙ぎに鋭い蹴りを繰り出す。
並の人間なら反応も出来ない速さだが綺咲は当然のように躱し、攻撃を避けられ僅かに体勢を崩した遼太郎に袈裟懸けに斬りつけてくる。
遼太郎は軸足に力を込め、片足だけで大きく後ろに跳躍する。

「おっと、危な―っとと」
大きく跳躍しすぎたのかそこには足場はなく、遼太郎は無残に地上へと落下する。
落ちた体勢は悪かったものの二階建てだったことに加え、落ちた場所に植物が植えてあったことで全くの無傷であった。
しかし、これほど大きな隙を見逃すほど甘い相手では無かった。
遼太郎が落ちるとすぐさま電信柱を垂直に渡り、刀で遼太郎を串刺しにするべく迫ってくる。
重力による加速で鋭さを増す綺咲の刃が深く突き刺さる。

「やれやれ、危ないですね。 でも、貴女の手によって死ねるな―うぼぁ」
遼太郎は影に溶け綺咲の刃を避け、綺咲の真横に現われるがそれを見越した綺咲の蹴りによって言葉を遮られる。
そして地に突き刺さった刀を引き抜き、再び剣を振るう、その見事な剣舞は思わず戦うことを忘れて魅入ってしまうほどに美しかった。
遼太郎はただひたすら攻撃を避け続ける、何の意味もない回避に見えるが遼太郎は綺咲の影が自分の前に伸びるような立ち位置になるように誘導しつつ回避していた。
精一杯回避しても綺咲の剣戟が遼太郎に幾つもの傷をつけていく、遼太郎は迫り来る白刃を気にもとめず唐突に動きを止める。

「貴女は強い、しかしこのままでは貴女は私には勝てませんよ」
綺咲が肉薄してくる、その影が遼太郎の足下に触れた途端その動きは止まる。
口に笑みを張り付かせ、綺咲に問いかける。
「私の能力は分かりましたか? ヒントが欲しいようでしたら差し上げますよ、尤も次の一撃を耐えることが出来たらですけどね」
遼太郎は前に踏み込み踵を軽く上げると、片足を軸として体重の乗った鋭い回し蹴りを綺咲の腹部に叩き込む。
まるで鞭のようにしなる足から繰り出される蹴りに綺咲の身体は埃のように吹き飛んだ。

「もっと美しく啼いて下さい、ゲネラルパウゼにはまだ早いですよ」
【棗遼太郎: 海部ヶ崎 綺咲に戦いを挑む】

21:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/06/01 16:59:25 O
海部ヶ崎と棗の戦闘
それは哀にとっては恐ろしいものであり興味深いものであった
おそらく彼らにとってはお互い小手調べであろうが能力者を見たことがない哀にとっては新鮮だ
そして彼らの会話にも哀は興味を持っていた
特に二つの単語、「能力」と「機関」が哀の耳に残っていた

(能力……おそらく今彼らが使っている力のことか……
そうすると……私の毒も能力?
もしかしてたまに見るオーラのようなものは能力を持っていることの証?
それに機関ってなんなんだろう……
あの女の人は好いていなさそうだけど……
でも能力に関する機関である可能性は高い……
じゃあその機関に接触すれば能力について知ることができるかも……)

哀はいろいろと考えた
仲間が欲しい
その欲望が哀の好奇心を助けていた
そしてその好奇心はここにいたら危ないという危機感をもかき消すものとなっていた
しかし陰からでたら危ないという最低限の危機感をかき消すことはなかった

22:氷室 霞美 ◆ICEMANvW8c
10/06/03 04:14:18 0
>>18
氷室は屋根から屋根へと、まるで普通に道を歩くかのような涼しい顔で飛び移っていく。
その超人的ともいえる移動スピードはスキャナーが捕捉した目標との距離をグングンと詰めていく。
目標まで残り50m─40m─30m─20m─
接触まで秒読み段階に入ったその時、氷室の頭上を大きな黒い影がかすめた。
「─!?」
頭上を見上げた氷室は、思わず目を大きく見開いた。
影の正体、それは巨大な鳥─
見たこともない程の巨大さを誇る怪鳥が一人の男を掴んでどこへともなく羽ばたいてゆく姿だった。
(誰かの能力……)
異様な光景に、氷室はすかさずそう直感した。
そしてその能力を持つ者こそ、スキャナーが捕捉した異能者であろうということも……。

スキャナーが電子音と共に大きな矢印を表示し、その方向に補足した目標がいることを告げる。
氷室が目線を移すと、そこには痩せた高校生くらいの少年の姿があった。
一見すると異能者に見えないほどひ弱な体格をしているのだが、
彼の体から微かに立ち昇るオーラは、スキャナーが捉えた異能者であるという紛れも無い証拠であった。
「……あんな冴えないのが『化身』とは思えないけど……」
浮かない顔をしながら呟く。
だが、かといって確かめもせずに目算だけで済ませるわけにもいかない。
氷室は一つ大きく深呼吸をした後、何を思っているのか不敵に笑いながら
「ふふ…おにーさん、か…。可愛かったなー。ぜひ今度遊んでやりたいものだ…!」
と漏らす少年の背後に、静かに降り立った。

「そんなに遊びたい? なら相手してあげようか? この私がね」
声には殺気も怒気も、その他の感情も一切込められていない、乾いたような声に少年が振り向く。
その顔はいきなり現れた女に驚いているような、
何を思っての言葉なのか理解するのが難しいといったような、そんな感じだ。
氷室は、そんな少年が抱いた疑問を見透かしたように、目を細めて言った。
「私が何者か、その質問に対して言えることは一つ。私はあなたの命を狙う敵だということ。
 お解かり? 解ったなら──初めから全力でかかってきな。
 万が一にも生き延びたいなら、あなたはそうするしかない……」

【氷室 霞美:虹色 優と接触】

23:海部ヶ崎 綺咲@代理
10/06/03 04:18:53 0
>>20-21
「私が紳士である事が分かって貰えませんでしたか……。 それと綺咲さん、私は貴女の質問には何一つ答えることはできません」

……なんだか正直に名前を答えた自分が馬鹿なような気がした。
それと女性をいきなり名前で呼ぶのも紳士として如何なものかと思われるが、海部ヶ崎はその手のマナーに疎いので気にしなった。
しかし、その返答はやはり棗は表の世界に生きる人間ではない事を表している。

「でも貴女のような美女に迫られたらおもわず喋ってしまうかもしれませんね」
その言葉が終わると既に棗は海部ヶ崎の目前まで迫り、鋭いミドルキックを放とうとしている。
海部ヶ崎は僅かに身を後ろに引くことでそれを回避し、そのまま右手の刀で袈裟斬りを仕掛ける。
だが、相手は片足でいとも簡単に後方へと跳躍して凶刃から逃れる。
(さっきの歩法、今の跳躍力。これは能力?それとも鍛錬によって獲得したものだとしたら、相当の実力者だ……)

「おっと、危な―っとと」
棗は自らの意思とは関係なく地上へと落ちていった。
それを機に海部ヶ崎は攻勢へと転じた。電柱を蹴って、棗の喉元を目掛けて刀の切っ先を突き出す。
その切っ先を相手は姿を消し、自分の真横に現われることで回避した。
「やれやれ、危ないですね。 でも、貴女の手によって死ねるな―うぼぁ」
運良く一瞬で反応して、相手の腹に蹴りを叩き込み、そのまま凶刃を片手で振るって相手に斬りかかる。
刃は致命傷とはいかずとも、徐々に棗の衣服やその肌に切断していく。しかし唐突に海部ヶ崎の体が固定される。
「私の能力は分かりましたか? ヒントが欲しいようでしたら差し上げますよ、尤も次の一撃を耐えることが出来たらですけどね」
張り付いたような笑みでそう言い終えると、先程と違って一つ一つの動作をじっくり行ってのすさまじい威力のミドルキックを放った。
(く……防御も出来な――)
棗のつま先は吸い込まれるように海部ヶ崎の脇腹に突き刺さり、そのまま体をつま先の延長線上に吹っ飛ばした。
「もっと美しく啼いて下さい、ゲネラルパウゼにはまだ早いですよ」

24:海部ヶ崎 綺咲@代理
10/06/03 04:21:03 0
ガシャアァ!!と、180cmもあるその体は数m先に停めてあった車のドアにキャッチされることになった。
ガラスに少しばかりヒビが入り、その蹴りの威力を物語っている。
海部ヶ崎は蹴られた箇所を片手で押さえ、もう片方の手にある刀を杖にして立ち上がろうとする。
「……紳士というのは、女性をやさしく扱う人種の中で最上級の者だとあの人から聞いていたのですが…
 そうでも無いみたいですね…まぁ、紳士でもいろんな人が居るとも言っていましたが…」
視線は相手に向けたまま、ゆっくりとその場に立ち上がろうとする。
そして彼女にとっては珍しく、戦闘中に意味も無く長々とした台詞を放った。
勿論ゆっくりした動作も長い台詞も時間稼ぎである。普段はこんな事はしないが相手の性格と強さを判断しての行為だ。
その行為によって得た数秒で、これからの事を考える。
(正直ここまで手強いとは……能力は突きの回避と身を削ってまでの立ち回りで使ったあの技から見て影を扱う能力か)
ここまでに1.79秒。
(そうすると、これはこのまま逃げてしまった方がいいかもしれない。影から影へ渡る能力があったとしても、逃げかた次第で
どうとでもなるし。なによりここで大怪我をしてまで戦うのはデメリットが多いし、メリットも0に近い)
3.68秒経過。
(何より最初に仕掛けて来たのは、向こうだ。それを無利益で最後まで付き合うのは、それこそ馬鹿正直な行為だろう。
それに私は戦闘に快楽を感じてるわけでもない。あくまで、目標は『無間刀』のみ…)
4.73秒経過。
考えが纏まると同時に、海部ヶ崎は完全に立ち上がり、刀を両手で構える。
「……決めました。もうあなたと戦う理由が見つかりません。なので、これでさよならです」
棗はその言葉の意味を考える前に、気付いたのだろう。ある“違和感“に。
そしてその違和感の原因――ギターケースは棗の後方二m付近に落ちていた。
海部ヶ崎は蹴られた時に彼の回転の向きとは逆の方向、つまり彼の死角を使って能力によってあそこに配置したのだ。

(飛花落葉――!!)

能力で止め具を外すと、ケースの隙間から飛び出したのはフリスビーサイズの両刃斧一本とナイフ二本であった。
その四つの刃は高速回転し、棗の体を切断するべく不規則な軌道を描き飛来する。
だが、これしきは簡単に避けられる…………のは分かっていた。
棗が全て避けきった後、再び海部ヶ崎の方角を向いたとき、棗の視界は複数の飛来する車体によって埋め尽くされていた。

ドガシャァアギャガギャギャガガガ――!!!!

凄まじい轟音と大量の部品を周囲に撒き散らし、車はスクラップの山となっていた。
そして、そこには当然の如く海部ヶ崎の姿も武器もギターケースも、全てが全て姿を消していた―――

25:海部ヶ崎 綺咲@代理
10/06/03 04:22:42 0
「……このまま逃げるのも勿体無いかな」
海部ヶ崎は棗より、家数軒分ぐらい離れた場所に身を潜めていた。
刀や斧もギターケースに入れて、息を殺し、気配を消す。
彼女は山暮らしの期間中に戦闘訓練を一通り受けてきたのだが、その中で気配の消し方はずば抜けて上手かった。
おそらくあの山で気配を消した彼女を見つけられる生き物は父と、あの人だけだろう。
だから、見つかる心配は無い…はずなのだが……
(これからあいつを尾行すれば、機関のアジトの位置が――ん?)
少し場所を変えようと移動すると、そこには少女が自分と同じく物陰に隠れるように身を潜めていた。
少女と言っても、自分の背が高いだけでおそらく自分より一つ二つぐらいしか違わないだろう。
その黒髪ショートの女の子は驚いたような顔……というか、驚いている。
(しまった、人が居たなんて気付かなかった……って、まずい!!)
慌てて、海部ヶ崎はその少女の口を手で覆った。そして空いてる手の人差し指を鼻に当て、静かにするようジェスチャーで伝える。
今相手は自分を探している筈、自分はしっかりオーラも消してあり、少女も能力者ではないのかそれとも自らの意思で
消しているのかは分からないがオーラは微弱だ。
なら、この少女が驚きと動揺で気配が大きくしなければ、見つからないはずだ。
(少しだけ我慢してください。なんとか逃げ出せたのですから……)
そう小声で少女に語りかけ、棗の様子を伺った。

【海部ヶ崎 綺咲:棗 遼太郎から姿を消し、阿合 哀と共に身を隠す】

26:名無しになりきれ
10/06/03 18:41:45 O
>>25
ドガシャァアギャガギャギャガガガ――!!!!
その轟音に哀は思わず顔を伏せる
そしてまた顔をあげるとそれまで戦っていた女性の姿が消えていた
哀はスクラップの山周辺を目で探す
しかしどこにも女性の姿はない
そして少し嫌な予感がする
(私のことに気付いたんじゃ……
とりあえず……場所を変えよう……)

哀は物陰に隠れながら少しずつ移動する
そして驚愕した
先ほど消えた女性が目の前にあらわれたのだ
そして女性は自分に手をのばしてくる
殺される、一瞬そう思うがその手は自分の口を覆う
もう一方の手の人差し指を鼻にあてているのを見て静かにしろと言いたいのだと気付く
そこで哀は落ち着いたようでバッグに手を突っ込む

「(少しだけ我慢してください。なんとか逃げ出せたのですから……)」

女性が話し掛けてくる
言われなくても暴れようなどという気はない
もしそうしたいのならすかさず口にあてられた手を噛んでいる
哀は息をひそめるようにした

【阿合 哀:海部ヶ崎に遭遇し一瞬驚くがすぐ落ち着き息をひそめる】

27:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/06/03 18:42:26 O
名前忘れ

28:棗遼太郎 ◆R9F5WG6Bjw
10/06/04 18:56:32 0
目の前には何台も積み重なった車体の山。
対象を完全に見失ってしまった。

「磁力ですか……やられましたね、私とのダンスはお気に召さなかったですか」

気配を探ってはみるがうまく隠されているのか全く感じることが出来なかった。
遼太郎は踵を返して新開発区域から立ち去ろうと歩き出すが、すぐ歩みを止め後ろを振り返る。

「一つ言っておきますが、貴方が私達を追っているとしてもそこらの下っ端からではなんの情報も得られませんよ。
私くらいのレベルでなければ何も知らないでしょう」

これは勿論はったりで遼太郎も機関の何かを知っているという訳ではない。
実際に戦い、遼太郎の強さを感じた相手からすれば信憑性のある情報になるであろう。
それだけ言うと遼太郎は再び背を向け歩き始める。

(お腹が空きましたね、何か食べに行きましょうか)

行き先を大通りに決め、少し早い昼食を取ることにする。
遼太郎はジャンクフードと呼ばれるもの全般があまり好きではない。
しかし、そんな我が儘を言っていられるほど財布に余裕があるわけでもないので仕方なくファーストフード店に入る。

「さて、これからどうしましょうか……さっきの獲物を取り逃がしたのは痛手でした」

そう呟くが遼太郎に選べる選択肢は多くない。
何にせよ狩りを続けなければならないのだ。
全く肉汁のない固い肉の入ったハンバーガーを平らげると、遼太郎は静かに席を立った。
そしてまた当てもなく街を彷徨い始める。

【棗遼太郎:再び街に繰り出す】

29:虹色 優 ◆K3JAnH1PQg
10/06/04 18:57:47 0

>>22

「…ごめんなさい。年上には興味ないんです」
そう言いながらも絵筆を手に取る
(僕を殺す? どうして?)
画用紙に大きなカラスをたくさん描き襲い掛からせる
(とにかく何とかしないと…!)
巨大なハゲワシ、狩猟用鷹、鳶、梟も描く
(これで何とか…)

30:氷室 霞美@代理
10/06/05 19:57:34 0
>>29
てっきり、奇声なり何なりあげて、飛び掛ってくるかと思っていた氷室だったが、
少年の反応は意外にもというか、あまりに予想外のものであった。
少年は画用紙を広げて呑気にも絵を描き始めたである。
まるで、学校の美術の授業にでも迷い込んだかのような戦闘とは程遠い眼前の光景に、
氷室はしばし、毒気を抜かれたようにぽかんとせざるを得なかった。
しかし、現実では確かに戦闘の火蓋は切って落とされたのである。
氷室がそれに気付いたのは、画用紙に描かれた無数の鳥達が一斉に飛び出し、
それらが周囲を囲んでからだった。

それでも氷室は特に驚く様子もなく一羽一羽を睨め回す。
「なるほど……やっぱりさっきの鳥もあんたの能力。
 要するに自分で描いた絵をオーラによって現実世界に具現化する……ってとこだろ?
 ……これだけの物体を一度に具現化できるということは、
 ハズレにしては中々の力があるみたいだけど……」
鳥達に向けられていた視線がゆっくりと少年へと戻る。
この時、既にその目はまるで針のような鋭いものへと変わっていた。
「言ったはず。初めから全力でかかってきなってね」
その言葉と共に、氷室が纏っていた微量なオーラが一瞬の内に膨れ上がる。
まるで爆発が起こったように瞬時に膨張・拡大したそれは、
強烈な波動となって周囲に群がっていた鳥達を一斉に跳ね飛ばした。
オーラの膨張はその後急速に収束し、また再び微量なものへと変化していったが、
それでも、それだけでも、少年に力の差を思い知らせるのにはもはや充分であった。

「無力な凡人ども相手ならいざ知らず……
 異能者相手に、ましてやこの私に、鳥などが通用すると思ったら大間違いさ。
 覚えときな。異能者を倒そうと思ったら、せめて爆弾ぐらいは具現化しなきゃ話にならないってね」
悪魔のような微笑を見せながら、氷室は一歩、また一歩と少年との距離を詰める。
それはまるで蛇に睨まれた蛙が成す術なく蛇の接近を許す光景そのものであった。
後は蛇に飲み込まれるを待つが如く、ただ死を待つのみ……
しかし、そんな少年の窮地を救ったのは、皮肉にも彼女と同じカノッサの人間であった。

「確かここら辺で大きな反応があったが……」
「だが、ほんの一瞬だけだぜ?
 この街の異能者どもにしてはやけに反応がデカかったし、故障かもしれんぞ」
「かといって確認怠ったのが上に知れたらそれこそ大目玉だ。とにかく確かめて……」
突然の声に、氷室は足を止めた。
見れば、少年の後ろの路地から、二人の黒服が姿を現したではないか。
彼らの顔に見覚えはないものの、その身なりからカノッサに所属する中級レベルの
戦闘員であるということは直ぐに判った。
「あ……あぁっ……! こ、これは……!」
彼らは氷室の顔を見ると、突然その顔色を変え背筋を伸ばして見せた。
任務を果たす為に現れただけの彼らに非はないのだが、
氷室にとってはその堅苦しい連中の登場によって正に水を差された格好である。
完全に毒気を抜かれた彼女は、急速に少年に対しての興味を失っていた。

「……私はもう行く。こいつの始末はお前らに任す」
「は、ははっ!」
氷室は彼らと少年に背を向けると、二度と振り返ることなくその場を去った。
彼女には、既に次の戦闘のことしか頭にないのだ。

【氷室 霞美:次のPCへと向かう。代わって中級戦闘員×2(NPC)が虹色 優の相手を務める】

31:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/06/06 01:04:41 0
>>26-28
「一つ言っておきますが、貴方が私達を追っているとしてもそこらの下っ端からではなんの情報も得られませんよ。
私くらいのレベルでなければ何も知らないでしょう」

それだけ言い残すと、棗はあっさりと引き上げていった。
立ち去った後も、用心深く周囲の気配を確認するもどうやら本当にこの場を去って行ったらしい。
はぁ、と安堵の息を漏らした後に慌てて少女の口から手を放した。
(この人、別荘地にいるって事はもしかして、この辺りのどれかの家の持ち主?となると、お嬢様ってことになるのかな……)

「す、すみません!!とっさの事だったので……お怪我とかしておられないでしょうか?
 気分が悪くなってしまったりとか、体調がすぐれなかったりとか……」
海部ヶ崎の口調は元から丁寧の方だが、今は勘違いによって更にバカ丁寧なものへと昇華していた。
あまり同世代で、しかも初対面の相手に使わないだろう言葉遣いでなおも少女の身を案じた。
必死に心配する長身の女性に見上げる形になっている少女が何か言おうと口を開いた、その時……

ファンファンファンファン―――

遠くからパトカー用のサイレンが木霊しているのに気付いた。
(……そうか、しまった!!車があるということは近くに人が居るって可能性もあるから、誰かに通報されたのかも。まずい……)
チラ、と振り返ると山となっている廃車達。
そして目の前には金持ちのお嬢様(勘違い)。
(確か、父上が言っていたな……ヤバくなったら逃げろ、と。)
ギターケースの紐をギュッと握りなおし、野球帽を深く被りなおすと少女に顔を合わせた。

「すみませんが、ちょっとこっちに!!事情は後でお話しいたしますので、いまはこっちに!!」
そう言いながら、海部ヶ崎は少女の手をサイレンと逆の方角へと引っ張っていく。
やはり体格の差か、それと事態が飲み込めていないのも合わさって
少女は言われるがまま、引っ張られるがままに海部ヶ崎と共に住宅街の方角へと走る羽目となった。

――AM11:30 とある公園 ベンチ
随分な距離を走破し、二人は住宅街の隙間に出来た小さな公園に行き着いた。
遊具らしきものは何も無く、ただ住宅を守るグリーンのネットとベンチが二脚設置されているだけの広場だ。
「飲みもの買ってきました。お茶でよかったですか?」
そういって、片方のアルミ缶を少女に手渡す。
相変わらず丁寧な口調だが、幾分か緊張も疲れによってほぐれてきた様だった。
二人は冷たいお茶で一服し、落ち着いてきたところに海部ヶ崎が話を切り出した。
「さっきはすいませんした。警察に捕まったらいろいろと私が困るので、こんな無理やり連れてくる形になってしまって。」
ほぼ元の口調に戻り、最初に謝罪を述べてから、
「こっちが喋ってばっかりで悪いのですが、あなたは見ていたのですよね?私とあの男の戦闘を。」
それに少女は肯定の意を述べる。
「それで逃げなかったのは、やはり……チカラを?」
その問いに少女は…………

【海部ヶ崎 綺咲:阿合 哀に能力者なのかどうかを尋ねる】

32:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/06/06 18:30:16 O
>>31
「す、すみません!!とっさの事だったので……お怪我とかしておられないでしょうか?
 気分が悪くなってしまったりとか、体調がすぐれなかったりとか……」
女性は口から手を放したあとそう話し掛けてくる
あまりにも丁寧なその口調に哀は少しとまどう
そしてとりあえず気を遣ってもらったことに対してお礼を言おうとするがその瞬間

ファンファンファンファン―――

パトカーのサイレンの音が聞こえてくる
その音に目の前の女性はびくりと反応する
そして女性は哀の手をとり引っ張りだす
「すみませんが、ちょっとこっちに!!事情は後でお話しいたしますので、いまはこっちに!!」
その緊迫した言い方に哀は何も言うことはできなかった

――AM11:30 とある公園 ベンチ
「飲みもの買ってきました。お茶でよかったですか?」
軽くありがとうございますと言い、女性からお茶を受け取る
「さっきはすいませんした。警察に捕まったらいろいろと私が困るので、こんな無理やり連れてくる形になってしまって。
こっちが喋ってばっかりで悪いのですが、あなたは見ていたのですよね?私とあの男の戦闘を。」
落ち着いたところで女性が話し掛けてくる
ここで嘘をつく理由もないので素直に肯定する

「それで逃げなかったのは、やはり……チカラを?」
この質問には少し答えるのをとまどった
質問されてから一瞬時間をあけたあとで曖昧な返事を返す
「逃げなかったのは……ただの好奇心です
あんなのを見るのは初めてでしたから
それにあなたたちが話していることに興味があって……」
嘘は話していない
何かあれば自分の毒でなんとかしようという気は全くなかったのである

「教えてください
能力って何なんですか?
機関って何なんですか?」

【阿合 哀:海部ヶ崎に能力、機関について問う】

33:虹色優 ◆K3JAnH1PQg
10/06/06 20:59:39 0
>>30
「…鳥で目を眩ませている隙に逃げようと思ったんだけど…」
弾かれた鳥たちを見てそう呟く優
「それにしても…怖いおば…女性だったな」
本人の前だったら、もしかすると殺されかねない発言をしかける
「ってそんなこといってる場合じゃないよね…」
中級戦闘員の方を向き、
「ここは見逃してくれませんかね?」
そんなことを言い出す優
「お前…職務怠慢って知ってるか?」
「…まあ、そうなりますよね」
そういいながら絵筆を手に取り…
「それなりのものを出さないとまずいみたいだね…」
マンモスの絵を描き、背中に乗る
「な…何だ、あれ」
「見ればわかるだろ。マンモスだ」

34:棗遼太郎 ◆R9F5WG6Bjw
10/06/07 01:23:02 0
>>28
もうそろそろ正午になろうかという頃、遼太郎は大通りを歩いていた。
綺咲に逃げられて以来能力者を見つけられていなかった遼太郎だが、つい先ほど遼太郎でもはっきりと分かるほどの大きなオーラの反応を感じた。
その地点を目指して歩いていくうちにオーラの主がはっきりした。

「この冷たいオーラは・・・・・・彼女ですか」

近づくにつれどんどん大きくなるオーラ、これほどのオーラを持つ人物はそう多くない。
ふと遼太郎は近くの花壇に咲いていたマーガレットを見つけると、口元に笑みを浮かべた。
白いマーガレットを一輪摘み取ると懐に仕舞う。
道の先には目立つ青髪が見えてきた。
遼太郎は影を伝い一気に接近すると、懐から先ほど摘み取ったマーガレットの花を取り出し、跪きながら捧げる。
女性は遼太郎の接近には気づいていたようで特に驚いてはいなかった。
そして遼太郎は上目遣いに彼女を見上げ軽く微笑みながら口を開いた。

「お久しぶりです霞美さん、早速ですが今日は手土産があります。
恋を占う花マーガレット、どうです私の恋の占いをしてくれませんか?」

【棗遼太郎:氷室の前に現れ挨拶】

35:虹色優 ◆K3JAnH1PQg
10/06/07 07:48:29 0
突然現れたマンモスに多少驚きつつも、冷静に身構える中級戦闘員たち
「さて、もう一度聞きますけど、見逃してくれませんかね?」
「…何度聞いても答えは同じだ」
「そうですか…なら、仕方ありませんね」
再び筆を取り、今度はロケットランチャーの絵を描き、戦闘員に向けて撃つ。
しかし…
「おっと危ねぇ!」
戦闘員の出したオーラによって防がれてしまう
「…だめか。これはあまり使いたく無かったんだけど…」
爆弾を抱えた鳶をたくさん描き、戦闘員を囲ませる
「さらに…」
不死鳥を描き、鳶たちの方に飛ばす。不死鳥が羽ばたいた時に落ちた火の粉が爆弾に移り…
「芸術は、爆発だ」
大爆発を起こし、爆煙と爆風が戦闘員を囲む
(さて、どうなる? …オーラで防いで無傷だとかいうオチはやめてくれよ?)
画用紙と筆を構えながら爆発した方を見る
「さて、今の内に…」
爆煙で視界を封じている間に、紙に強力なスタンガンを装備した自画像を描く
「げほ…ごほ」
爆煙が晴れて、傷を負った戦闘員が姿を現す
「…!」
次の瞬間、バチン!という大きな音とともに、二人の戦闘員が倒れた
「ふぅ…何とか作戦成功」
具現化した自分にスキャナーを一つだけ奪わせて、

36:虹色優 ◆K3JAnH1PQg
10/06/07 08:22:47 0
自宅へ帰っていく優
【虹色優、中級戦闘員×2に勝利】

「ただいまー」
「お帰り…ってどうしたの兄さん! 土だらけだよ?」
優を迎えたのは虹色 詞音(しおん)。彼の双子の弟である
「ああ、ちょっと帰りに異能者に襲われてね…」
「…全く気をつけてよ兄さん? 僕たち異能者は何かとねらわれやすいんだから…。能力はなるべく隠さないと…」
弟に注意されて、
「だって小学生がピンチだったから…つい…」
そう答える優
「そうか…ならしかたないね」
どうやら詞音も優と同じ趣向を持っていたようである
「何なんだよ全く…本ぐらいゆっくり読ませてくれよ、兄ちゃんたち…」
赤ずきんちゃんの本を抱えながらでて来たのは虹色 御伽(おとぎ)。優たちの一つ下の弟である
「ああ、兄さんが異能者に襲われたらしいんだ」
そう答える詞音
「ふーん。本当ねらわれやすいものだね僕たち異能者は」御伽がそう言うと、
「でもその代わりお土産もって来たから!」
鞄からスキャナーを取り出す優
「ど、どうしたのそれ!?」
「…一つしかないみたいだね」
スキャナーを見て、そう反応する詞音と御伽
「中級戦闘員と戦って…ちょっとね。数の方は僕に任せて」
そう言いながら

37:虹色 優 ◆K3JAnH1PQg
10/06/07 08:54:23 0
二階の自分の部屋に戻る優
「えーと…まず、此処がこうなってて次に…」
スキャナーをよく観察しながら設計図とスケッチを描く優
そして、30分後…
「出来た…。初めて見る機械だったから時間がかかっちゃったよ」
具現化させた二つのスキャナーを持って下りていく優
「おまたせー。出来たよ」
「ありがと」
「サンキュ」
こうして、虹色三兄弟はスキャナーを手に入れた…

【プロフィール】
名前:虹色 詞音(にじいろ しおん)
性別:男
年齢:17歳
身長:160cm
体重: 48kg
職業:双綱高校軽音楽部
容姿:兄と殆ど同じ。こちらはいつもヘッドホンとマイクを付けている
能力:歌を歌う、または曲を演奏することで、その歌詞や音楽になぞらえた現象を起こすことが出来る
(例:ロンドン橋:橋を出現させ、崩して落とす、ゴ○ラのテーマ:ゴジ○を召喚、等)。また、音を具現化して攻撃できる
キャラ説明:性格は穏やかだが兄よりは明るい。兄同様ロリ&ショタコン。歌が非常にうまく、老若男女あらゆる声を出せる程
声域も広い。腹筋、肺、喉が他人より発達しているため、かなり長い時間歌っていられる。ポップス、ロック、演歌、オペラ、ラップ
、アニソン等、どんな歌でも歌える。また、楽器も得意で、管楽器、弦楽器、打楽器と、いろいろな楽器を演奏できる
常にキーボードを入れたバッグを持っている。また、声真似も得意
好きなもの:音楽、ロリ、ショタ、芸術的なもの
嫌いなもの:演奏の邪魔をする奴、20歳以上の女性、芸術的でないもの

【パラメータ】
(本体)
筋  力:C(腹筋はS)
敏捷性: D
耐久力: C(肺の耐久力はS)
成長性: C
(能力)
射  程:歌の内容による
破壊力: 歌の内容による
持続性: B
成長性: C

38:虹色 優 ◆K3JAnH1PQg
10/06/07 09:09:34 0
【プロフィール】
名前:虹色 御伽(にじいろ おとぎ)
性別:男
年齢:16歳
身長:157cm
体重:45kg
職業:双綱高校アニメ研究会&図書委員
容姿:兄達と殆ど同じ。兄達よりも小柄。眼鏡を掛けている
能力:本やテレビの現象、登場人物、道具などを具現化できる(ただし二次元に限る)。媒体となる本やビデオを持っていないと使えない
また、本人や、本人が指定した人を二次元に連れて行くことも出来る。本の内容になぞらえた能力を使うことも出来る
キャラ説明:冷静で穏やかな性格。だが結構妄想力がある。読書好きでいつも本を持ち歩いている。活字の本もかなり読むが、
漫画、アニメ、ラノベが好きなオタクっぽい一面もある。本を読むのも好きだが、話を作るのも得意。速読が出来る

【パラメータ】
(本体)
筋  力:D
敏捷性: D(本を読む速さはS)
耐久力: D
成長性: C
(能力)
射  程:本の内容による
破壊力:上に同じ
持続性: B
成長性: C

39:氷室 霞美 (代理)
10/06/09 00:06:02 O
>>34
目標までおよそ1kmの道のりを、氷室は自動車顔負けのスピードで駆け抜けていた。
スキャナーに表示された目標との距離がグングンと縮まっていくが、
同時に氷室は、もう一つの反応との距離も縮まっていることに気が付いていた。
しかもその反応、氷室に負けず劣らずの大きなものである。
だが、敵ではない。カノッサの幹部である彼女には反応が誰なのかは大方の察しがついていたのだ。
「やれやれ」
氷室は敢えて“そいつ”に聞こえるように大げさに溜息をついてみせた。
それでも、既に彼女の傍まで接近してたそいつは、黒い髪を靡かせたその男は、
性懲りも無く軽く口元を歪めてキザったらしく一輪の花を彼女に差し出して言った。
「お久しぶりです霞美さん、早速ですが今日は手土産があります。
恋を占う花マーガレット、どうです私の恋の占いをしてくれませんか?」
氷室は無表情で花を受け取ると、
「嫌い、好き、嫌い、好き……」
と交互に繰り返しては一枚一枚、無造作に花びらを千切っていく。
これは最後に千切った花びらが「好き」であれば、
思いが成就するという古くから伝わる単純な占い遊びの一種である。
要するに、男は氷室自身に自分との恋の相性を確かめさせたいのだろうが……
「嫌い……」
男の思惑通りにいかなかったか、無情にも「嫌い」の一言を残して最後の一枚が千切られた。
ただ、実はこれは、氷室が予め花びらの枚数を数えていて、
敢えて最後に「嫌い」が来るよう逆算しての結果なのである。
「お目当ての娘はあなたのこと嫌いだってさ。
 言うまでもないと思うけど、占いは有料。口座に振り込んでおきなよ」
氷室は花びらのなくなった花を投げ捨てると、冷たく言い放った。
そうやって彼に対する心情をそのまま態度に表すも、
当の男は慣れっこといった感じなのか、それとも右から左といった感じなのか、
その微笑む顔に変化は見られない。

40:氷室 霞美 (代理)
10/06/09 00:07:20 O
そんな男の名は『棗 遼太郎』。上級ランクに位置するカノッサ構成員の一人である。
その実力と戦闘好きの性格から「カノッサの剣」と畏敬の念を持って呼ばれてはいるが、
一部ではそのキザな言動から「軟派くん」「女たらし」などと言われることもしばしばな、
氷室の性格からすれば溜息だけが出るような人物なのだ。
そこで氷室が
「……いつまで付いてくる気だ? 互いに油を売ってる暇はないだろ?」
と、任務という理由をつけて体よく棗を追い払おうとする言葉を口にするが、
その時、突然鳴り響いたスキャナーの電子音が、それを遮った。
自然、氷室の足が止まり、つられるように傍にいた棗の足も止まる。
スキャナーはこれまでとは違った方向に反応を、
それも非常に微弱な、極めて小さなものをキャッチしていた。

オーラはそもそも生物なら誰しもが秘めている潜在エネルギーである。
普段、オーラを体に纏っていない一般人でも何らかの拍子に体から微量に放出される例がある為、
あまりに小さい反応はオーラを認識してない一般人か小動物かとスルーされるケースが多いのだが、
今回に関しては、氷室はその小さ過ぎる反応が逆に気になった。
というのも、体に纏うオーラはその量を訓練次第で自在にコントロールすることが可能で、
小さい反応ほど逆に実力者であるという可能性も否定できないからだ。
特に、上級以上の異能者が容赦なく狩り出されるこの街ならば、それは尚のことであろう。
(反応は一つ……いや、同じ場所に二つか。一般人が偶然キャッチされたにしては出来すぎね)
棗を見て、氷室は自分が向かわんとしていた方向を顎でしゃくった。

「あの方向へ800m程先に私が追っていた異能者がいるけど、そこはあんたに任せる。
 私の所に来たのも他に感じた異能者が居なかったからだろうから、調度いいだろ?
 私は今キャッチした反応の方へ行く。
 何かあったら…………あ、いや、止めとく。
 連絡しろと言ったら、あんたの場合何もなくても、連絡入れてきそうだからね」

呆れたような視線を投げかけながら、氷室は棗に背を向け、小さな反応のもとへと走り去っていった。

【氷室 霞美:棗に向かう場所を指示し(相手はPCでもNPCでも構いません)自分は海部ヶ崎らのもとへ向かう】

41:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/06/10 02:06:32 0
>>32
「逃げなかったのは……ただの好奇心です
あんなのを見るのは初めてでしたから
それにあなたたちが話していることに興味があって……」

(つまり、異能者じゃないってことですか。異能を知らず、しかも一般人の女の子があの光景を眺め続けていられたとは、
好奇心旺盛というか、怖いもの知らずというか……)

「教えてください
能力って何なんですか?
機関って何なんですか?」

「……ダメです。あなたには教えられません。」
少女の問いを、海部ヶ崎はハッキリと拒絶した。
それは海部ヶ崎と棗の出会い頭でのやり取りの様で不快な気持ちになったが、仕方が無いことだ。
ベンチから立ち上がって、彼女に背を向けると海部ヶ崎は拒絶の理由について説明していく。
「チカラも持たないあなたが、その二つを知るのは危険でしかありません。
 先ほどの光景を見ていたなら分かるでしょうけど、彼らは生半可な連中ではないのです。
 あなたが異能者だったのなら、教えることで身を守る手助けになりますけど、そうでないなら知らない方が確実に安全です。」

これは彼女の身を案じての事。それは彼女も分かってくれることだろう。
ただの女の子が興味本位で首を突っ込むには相手が悪過ぎる。不良やヤクザどころではない。
機関にとって殺しの一つや二つは、必要があれば即実行可能なことなのだ。
出会った間もないが、自分と同世代の少女が死ぬようなことは出来れば避けたい。
しかし…………

「……でも、己の命を危険に晒してでも知りたいという理由と覚悟があるのなら、私の知る範囲の事をお話します。」
振り返り、彼女の眼を真っ直ぐに見つめながらそう問いただした。
これはやはり甘さなのだろうか、と海部ヶ崎は考える。
しかし、何も知らないというのが辛い事だという事を自分は理解している。
何故なら、自分も無間刀と共に真実を求めにこの街に来たのだ。
『父の死』と、『父を殺した犯人』という真実を。

【海部ヶ崎:阿合 哀に問いかける】

42:黒部 夕護 ◆9DmPnTSErk
10/06/10 03:01:32 0
時間遡ること数時間前、角鵜野駅の改札口から出て来た大柄の男が居た。
名は、黒部夕護。
歩くだけで人目を引く程の巨躯の男は、外の眩しい光に一瞬目を細める。

(良い天気だな。長期任務は流石に辛かったが、…やっとゆっくり休めるか)

そんな事を思いながら、自宅のある方角へとゆっくり歩いていく。
彼の仕事はフリーのボディガード。呼ばれれば誰の護衛でも行う、さながら傭兵のような仕事である。
要人の長期海外視察に伴い、専属護衛として依頼を受け、この町に帰るのは実に2ヶ月ぶりだった。

(…しかし、なんだ。この町はもっと平和だった気がするが…)

(物騒な輩が多い。私が居ない間に、何か起きたのか?)

彼はオーラの多寡を肉眼で見ることが不得意であるが、経験からの勘が、すれ違う一般人の中に
高い戦闘能力を持つ者が居ることを告げていた。

(ふん、それに私についてくる者も5、6人…いや、もう少しいるか?)

(視線は感じるが、場所までは解らんな。さて、どうしたものか…)

そんな事を考えながらも、全く外見上に変化は無い。
しばらく歩き、大通りから人気が無い路地へと歩を進めていく。

―突如、一定のリズムで歩いていた彼の歩みが止まった。
周りに人気は…一般人の気配は無い。物陰からぞろぞろと戦闘員が姿を現す。

「けっ、食えねぇ男だぜ、あれだけのオーラを隠しもせずに纏い続けやがって、
俺らをおびき寄せる為のエサって訳かい。」

「だが、見ての通りだ、これだけいりゃぁあんたでも苦労すんだろ。俺らをハメるつもりで
路地裏に誘ったのが仇になったな!増援は呼んであるから、覚悟しろッ」

戦闘員達が言い放ち、全員が戦闘態勢に入る中、夕護だけが首を傾げていた。


43:黒部 夕護 ◆9DmPnTSErk
10/06/10 03:06:42 0

「…いや、路地裏というか、此処は私の家の前だが…お前達、仕事の依頼では無いのか」

一瞬の沈黙。何を言い出すのか、この男は。

「…オーラについてはすまない、隠し方を知らないんだ。誰かに習った訳でも無いからな。」

ぽりぽりと頭を掻きながら、本当にすまなそうに男は呟いて。

「どうやら私と闘うつもりらしいが、私は特にお前達と戦う意思は無い。出来れば見逃してくれないかな。それと…」

「今から仕事の依頼に切り替えてくれても良いぞ。?」

あっけに取られた戦闘員達だが、次第にその顔が怒りに染まる。

「黙って聞いてりゃ言ってくれるじゃねーか、増援なんぞ必要ねぇ、今此処で死にやがれッ!」

跳躍し、素早く夕護を取り囲む戦闘員。しかし夕護はため息を一つついただけだった。

「かかれェッ!」

ある者は背後から、ある者は飛び掛り、ある者は馬鹿正直に真っ直ぐ…そしてその攻撃は、
『彼の体に傷をつけられなかった』。
予想外の反動に、地面に叩きつけられる数名の戦闘員。何が起こったか解らない彼らに、夕護は静かに言い放つ。

「悪いな、私は過剰装甲(アルティメットシールド)…生半可な攻撃は意味が無いんだ。さて、今から正当防衛に入らせて貰う。」

彼の体の周りに、透明な箱型の障壁が展開されていた。それらは直ぐに消え去り、そして男は構える。
その拳は、決して素早くは無かった。ただ、オーラの強化も手伝って、圧倒的な、壊滅的な、その殴打の重さ。
まるでゆっくり迫る銃弾のように、対象に死を植えつけるほどの剛拳が、放たれた。
爆発のような、凄まじい音と共に、男の拳が近くに転がっていた戦闘員の顔の真横のアスファルトに突き刺さる。
障壁を拳に纏うことで攻撃力の増強と拳の防御を同時に行っていたのだ。

「おっと、外してしまったか。しかしお前達がまだこの町で戦うのなら…」

無表情のまま男は呟き、そして一言。

「次は、当てるぞ?」

数秒後、男の周りには人っ子一人居なくなっていた。

「…今のような奴等が街中に大量にいるとなると、まずいな。さて、私は誰を護るべきか…」

独り言。そして彼は町の中心部に向かう。
そこに強力な異能者の気配を、うっすらと感じ取りながら。

44:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/06/10 18:19:55 O
>>41
「危険なのは……知ってますよ……」
哀は女性の眼を見つめかえしそう答える
「あなたのいうチカラというものなのかどうかはわかりませんが……
特殊な体質のようなものなら……あります……
といってもあなたやもう一人の男の人と戦って自衛できるほどのものでもないですが……」
哀は女性のことを信じ、自分のことについて話しだす
「毒に愛された女(ポイズネス)って知ってますか
結構マイナーな都市伝説みたいなんですけど……
それが私なんです
体が……厳密に言うと体液が毒なんです
今までこの毒で何人もの人を殺しました……
母もこの毒で私を産んですぐ……」
哀は少し下を向き自分の胸に手をあてる
「父は私の毒を知るとすぐ私を咸簑山に捨てました……」
咸簑山(みなみのやま)とは角鵜野市の南にある山である
「まだ幼かったので父のことはほとんど覚えてません
覚えているのは父の名前と最後に言った言葉のうちの三つの単語
『能力』『機関』『化身』だけです
それであなたたちの話にそのうちの二つが出たので気になったんです」
哀はまた顔をあげる
「私……父に会いたいんだと思います
ずっと父は私を捨てた悪いやつだと思って父を忘れようとしてきたんですが……
なぜか父を知りたいと、父が最後に言った言葉を最後まで思い出したいと思ってしまうんですよ
父を知れば父に近付けるから
だから知りたい
知りたいんです」

【阿合 哀:海部ヶ崎 綺咲に自分の能力と過去を打ち明ける】

45:黒部夕護 ◆9DmPnTSErk
10/06/11 00:41:55 0
「向こうだな」

夕護は呟いて、更に足を進める。その時、向かう先には、氷室と棗が居た。
オーラを感知したのでは無く、ただ単に気配を感じただけ。つまりは勘である。
しかし、彼はこれまでそのような勘に多く助けてこられた事を自覚しており、
信じるに足る、と判断していた。

(…気配が薄くなった。分散したか。…何かと出会いそうな、そんな予感だな。)

(鬼が出るか、蛇が出るか…おっと、これは)

その距離、100m。向こうから歩いてくる、男に目を留めた。
黒髪のその名は、棗。

(…手強そうだな、これは…蛇か。)

誰が見てもわからない様な表情の変化。彼としては少し笑ったつもりなのだが。
驚くほどの無表情のまま、夕護は棗へと接近していく。そして。

「…すまない、お前は…この街の敵か、それとも味方か?」

ある程度近付いたところで、唐突に質問した。

「今日は何だか街がおかしい、オーラを纏った者がたくさん蔓延っている。
先程も私は襲われたのだが。…襲った奴の、仲間か?」

一歩、近付く。

「知らないならそれで良い」

更に、一歩。

「知っているなら、教えて欲しい」

歩くごとに、威圧感が桁違いに上がっていく。

「…仲間なら、即刻立ち去れ。」

厳然とした声が、棗に届いた。

【黒部夕護、路上にて棗 遼太郎と接触。】

46:棗遼太郎 ◆R9F5WG6Bjw
10/06/11 17:32:55 0
「お目当ての娘はあなたのこと嫌いだってさ。
 言うまでもないと思うけど、占いは有料。口座に振り込んでおきなよ」

そう言い花びらが無くなったマーガレットを放り投げる霞美。

「残念、振られましたか。
相変わらず可愛いお方だ」

遼太郎何食わぬ顔では立ち上がるとさりげなく霞美について行く。
そんな遼太郎の気配を察してか嫌そうな顔で霞美は振り返った。

「……いつまで付いてくる気だ? 互いに油を売ってる暇はないだろ?」
「あの方向へ800m程先に私が追っていた異能者がいるけど、そこはあんたに任せる。
 私の所に来たのも他に感じた異能者が居なかったからだろうから、調度いいだろ?
 私は今キャッチした反応の方へ行く。
 何かあったら…………あ、いや、止めとく。
 連絡しろと言ったら、あんたの場合何もなくても、連絡入れてきそうだからね」

「私のことをよく分かっていますね、嬉しい限りです。
そちらの方向にいる能力者は恐らく磁気を操る能力者です、先ほど戦いました。
手強いのでお気をつけて、あと今夜ディナーでも一緒にどうです?」

遼太郎の声が届いたか分からないまま霞美は走り去っていった。

「随分と嫌われているのか、それとも好意の裏返しですかね」

何とも気持ち悪い独り言を呟きながら霞美と反対方向に歩いていく遼太郎。
ふと目の前から強いオーラを感じた。
強いオーラを纏った男は遼太郎目指して一歩一歩近づいてくる。

「…すまない、お前は…この街の敵か、それとも味方か?」
「今日は何だか街がおかしい、オーラを纏った者がたくさん蔓延っている。
先程も私は襲われたのだが。…襲った奴の、仲間か?」
「知らないならそれで良い」
「知っているなら、教えて欲しい」
「…仲間なら、即刻立ち去れ。」

威圧感のある声、歩き方を見ても素人ではない事が分かる。

「おやおや、いきなり何ですか?
貴方を襲った人が誰なのか分からない以上私の仲間かどうかなんて分かりませんよ。
それと街の敵か味方かという質問にも答えかねます、街に聞いてみないと分かりませんから」

夕護の威圧感のある態度とは裏腹に微笑む遼太郎からはまるで威圧感は感じられない。
しかし、その笑みはどこか空々しいものがあった。

「貴方こそ何者なのです? この街の正義の味方とかですかね。
私が貴方にとって敵か味方か試してみますか?」

相手を馬鹿にするような態度で挑発する遼太郎。
戦うかどうか聞いておきながら遼太郎にはこの獲物を逃がすつもりなど毛頭無かった。

【棗遼太郎: 夕護に敵意があるかどうか聞く】

47:黒部夕護 ◆9DmPnTSErk
10/06/11 18:09:54 0
「おやおや、いきなり何ですか?
貴方を襲った人が誰なのか分からない以上私の仲間かどうかなんて分かりませんよ。
それと街の敵か味方かという質問にも答えかねます、街に聞いてみないと分かりませんから」

空虚な声が通りに響く。

「貴方こそ何者なのです? この街の正義の味方とかですかね。
私が貴方にとって敵か味方か試してみますか?」

あからさまな挑発。そこに敵意と、そして言葉とは裏腹に逃がす気配が無いことを感じ取った。
しかし、彼の返答は決まっている。

「確かにそうだな、お前が敵か味方か、私を知るはずが無いのに答えられないのは当然だ、悪かった。」

さも当然のように頷きながら。
この状況でもマイペースを貫いていく。

「正義の味方、というのは違うな、雇われればどちら側にもつく…が、この街は居心地が良いのでね、
自分の為に騒ぎを鎮めに来た、といったところかな。そして試すのは…」

言葉を切り。

「よしておこう。私は専守防衛。お前から仕掛けるというのであれば別だが。それに、まだ情報が無い。出来れば逃がして欲しいものだ。」

そしてそのまま、棗を通り過ぎようとする。
彼にとっては、攻撃とは自己防衛の手段であり、自ら行うものでは無い。

「ところで、向こうの方に何か大きな気配を感じたのだが、…知り合いか?」

夕護の指差した先は、氷室が向かった公園の方角。

【敵意は今のところ無し】
【黒部夕護:遼太郎に逆に質問する。】

48:氷室 霞美 ◆ICEMANvW8c
10/06/11 21:11:51 0
>>41>>44
角鵜野市中央区から少し南に外れた場所にある小さな公園。
そこに、二人の人物がいた。
一人は無地の野球帽を被った長身の女性に、
もう一人は日本人らしい黒髪を短く切りそろえた同じく女性である。
二人とも年齢は10代後半といったところだろうか、とにかく若い。
先程から何かについて夢中で話し込んでいる様子だが、
どうやらその内容は、年頃の女性が嬉々とするような、世間話や雑談の類ではないらしい。
そう、雰囲気からすれば、むしろ神妙な、深刻な話の類であるようだ。
だが、会話に熱中するあまりか、二人はまだ気が付いていなかった。
その話以上に深刻な事態が自らに差し迫っていたことに……。

「お話はすんだかしら?」

突然の声に、そしてその声の方向を振り返ってみて、二人は驚いただろう。
何せ二人のいるベンチから僅か数メートル後ろという位置に、
いつから居たのか、一人の女性が腕を組みながら二人をじっと見据えていたのだから。
何を隠そうこの女性こそ氷室 霞美。
そして彼女ら二人こそ、氷室のスキャナーが捉えた異能者であった。
氷室のスキャナーが自動的に二人にセットされ忙しく詳細データを導き出していく。

「異能値(オーラレベル)50に65……」

異能値とは体外に放出されたオーラの量を計測し数値化した値である。
中級クラスの異能者の場合でも、全力時に纏う異能値は平均しておよそ400程度、
通常時でも200前後と言われているから、二人のその値は驚くほど低いものだ。
それこそ偶然放出し体に纏うに至った一般人と見られても仕方がない。
それを狙って敢えてオーラを抑えているのだとしたら実に巧妙であるが、
それも見た目の数値に相手が騙されればの話であって、
氷室のようにその目で直に確かめようとする人間には、通用しないのだ。

「さて、本当にこの数値の通りかどうか確かめなきゃね。
 力を隠し持ってるなら出し惜しみはしない方がいい。実力を出し切れないまま死にたくないだろ?」

鋭い眼光を二人に叩きつけながら、氷室はゆっくりと一歩、また一歩と歩み寄る。

【氷室 霞美:海部ヶ崎らと接触】

49:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/06/13 00:11:00 0
>>44>>48
……そうか。彼女が求めていたのも私と同じ、父の真実だったのか。
彼女の父が機関の関係の人間ならば、あの人に聞けばなにか分かるかもしれない。
それに化身というのも気になるし、一度あの人に連絡を取ってみるか。
その旨を伝えようとしたが、お互いまだ名前も知らないことに気付いて先に自己紹介を行うことにした。
だが、それは新たな声によって阻まれる。

「お話はすんだかしら?」

振り向くと声の主は海部ヶ崎達の僅か数メートルの所に立っていた。
紫のジャージを着用し、腕を組んだ体勢でこちらを窺っている。
(ッ!! さっきの機関の男と同じで能力か何か? いや、これは違う)
単純に格が違う……今の私では確実にヤられる。それを一瞬で思い知らされた。

「異能値(オーラレベル)50に65……
さて、本当にこの数値の通りかどうか確かめなきゃね。
 力を隠し持ってるなら出し惜しみはしない方がいい。実力を出し切れないまま死にたくないだろ?」

どうやらこちらがオーラを隠していることに各章は無いらしいが、“殺す”ことは決まってるらしい。
(さっきの言葉通りだと、彼女があのジャージの女性と戦うのは無理だ。逃げるとしても、先程よりキツイこの状況では……)
考えている間に一歩ずつ、一歩ずつとジャージの女性は近づいてきている。
この状況で海部ヶ崎が思い浮かんだ手段は一つしかなかった。

「数値? 力? 私にはあなたが何を言ってるのか分かりませ……」
そう言い終える前に海部ヶ崎は二つの行動に出た。

一つ、公園の周りのグリーンネットを張っている鉄の支柱、計八本を『飛花落葉』でジャージの女性に発射する。
金属製の重低音を響かせ、鉄柱は標的の周辺に突き刺さりグリーンネットのお陰もあって数秒だが視界を奪う。

二つ、背後の少女に「逃げてください。後で絶対に合流しますから」と告げてベンチごと公園の外へ『飛花落葉』で発射する。
ベンチは少女を落とさぬように少し傾きながら、低空飛行で疾走し、そのまま住宅の影へと消えた。

この二つを同時に行うことの意味は単純。少女を逃がし、その後の逃走時間を稼ぐためだ。
ジャージの女性の方に向き直ると、当然ながら簡単に鉄柱とネットの塊から脱出していた。
「……どうして機関の人間は会話の邪魔ばかりするのでしょうか…順番ぐらい守ってください。」
右肩に背負っているギターケースをぐるん、と縦に一回転させるとその一瞬でケースから抜き身の刀を取り出した。
それからギターケースの紐をタスキ掛けにすると、刀を両手で構える。
(能力使用による疲労は無いけれど、さっきの機関の男にやられた脇腹が多少痛むか。
逃げるのがよさそうだが、戦いに集中しなければ、一瞬で決まってしまう……!!)
死ぬわけにはいかない。
彼女の父への道を探してあげるまで、そして何より私の父上の真実と無間刀を取り戻すまで――

【海部ヶ崎 綺咲:阿合 哀を逃がし、氷室 霞美と対峙】

50:名無しになりきれ
10/06/13 13:48:36 O
「お話はすんだかしら?」
後ろから突然声が聞こえる
驚き後ろを見ると顔に異様な機械をとりつけた女性が立っていた
「異能値(オーラレベル)50に65……
さて、本当にこの数値の通りかどうか確かめなきゃね。
 力を隠し持ってるなら出し惜しみはしない方がいい。実力を出し切れないまま死にたくないだろ?」
その言葉を聞きバッグの中に手を突っ込みナイフを二本つかむ
(戦わなきゃ……多分逃げられない……)
ナイフをバッグからだし太ももを切る
太ももには二本の平行な傷ができ、ナイフには哀の血液がつく
そしてそのナイフを後ろにいた女性に向けようとしたとき
「数値? 力? 私にはあなたが何を言ってるのか分かりませ……」
公園の周りのグリーンネットを張っている鉄の支柱が飛んできて後ろにいた女性のまわりにささる
「逃げてください。後で絶対に合流しますから」
先程まで横にいた女性がそう話し掛けてきたかと思うとベンチが動きだす
哀はそのベンチに乗り飛ばされる
(私を逃がすために……)
哀は自分の血液がついたナイフをベンチの元の位置の方に投げる
「使ってください」
そう叫ぶと哀はベンチとともに住宅の影にに消えていった

【阿合 哀:自分の血液のついたナイフを残し逃げる】

51:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/06/13 13:49:16 O
また名前忘れ

52:棗遼太郎 ◆R9F5WG6Bjw
10/06/14 17:37:43 0
>>47
「確かにそうだな、お前が敵か味方か、私を知るはずが無いのに答えられないのは当然だ、悪かった。」
「正義の味方、というのは違うな、雇われればどちら側にもつく…が、この街は居心地が良いのでね、
自分の為に騒ぎを鎮めに来た、といったところかな。そして試すのは…」
「よしておこう。私は専守防衛。お前から仕掛けるというのであれば別だが。それに、まだ情報が無い。出来れば逃がして欲しいものだ。」

そう言い、遼太郎の横を通り抜けようとする夕護だったがふと思い直したように止まり、先ほど分かれたばかりの霞美を指さし口を開いた。

「ところで、向こうの方に何か大きな気配を感じたのだが、…知り合いか?」
「ええ、私の美しい上司ですよ、でも照れているのか中々構ってもらえないのですよ」

両腕を大きく開き、首を振りながら苦笑する遼太郎。
そして、遼太郎の横を通り抜けようした夕護の前に再び回り込む。

「貴方はこの街が好きなら何もしない方が良いでしょう。
それでも何かを探るのでしたら・・・・・・」

刹那、遼太郎は夕護に肉薄すると、その大柄な肉体へと蹴りを叩き込む。
夕護は微動だにせず、それを受ける、綺咲を吹き飛ばしたのとあまり威力は変わらないはずだったが夕護は1ミリも動かなかった。

「消しますよ、って言おうと思ったのですが・・・これじゃあかっこつきませんね」

自分の攻撃が通用していないことを感じた遼太郎はすぐ夕護から距離をとる。
そして拳を構え夕護と相対する。

「正当防衛はするのですか?」
【棗遼太郎:夕護に戦いを挑む】

53:氷室 霞美 ◆ICEMANvW8c
10/06/14 18:04:09 0
>>49>>50
ピピ!

スキャナーが発した電子音に、氷室は思わずその足を止めた。
ほんの僅かな一瞬の内に、長身の女性の異能値が、大きく跳ね上がったのだ。
必殺技を持つ異能者は、その技を発動する瞬間、
どうしても平常時より多くのオーラを練らなければならない。
威力の高さはオーラの使用量に比例するからだ。
(─さて)
故に氷室の視線が、女性の一挙一動に注がれることになったのも、至極当然の流れであった。
「─!?」
しかし、不意に眼前を緑の網が覆う。
反射的に後方にジャンプするも、時既に遅し。
氷室の体を囲むように配置されていた網は、彼女の行く手を完全に阻んでいた。
(これは─公園の周囲に張られていたネット! あいつが操作したのか!)
攻撃の瞬間を見極めんと自らの視界を狭めてしまったことが、
かえって攻撃を許す要因となってしまったのだ。
だが、それでも氷室に微塵も動揺はない。
氷室は手刀の形に変えられた手で素早くネットを切り裂いて見せた。

「何のつもりだ? こんなもので私を……」
言いながら、再び女性に視線を向けた氷室は、その目を一瞬大きく開けた。
そこに立っていたのはどこから取り出したか、いつの間にか刀を構えていたあの長身の女性。
いや、驚くべきはそこではない。もう一人の、あの黒髪の女性がいないのだ。
スキャナーの表示を確認すると、一つの反応が高速で氷室から離れていっている。
咄嗟にその方向を見るが、既に建物の影に入ってしまったのか、彼女の姿は視認できなかった。

「……逃がす為の時間稼ぎか……」
氷室は小さく舌打ちしながら呟いた。
だが、その言葉に悔しさや怒りは滲んでいない。
スキャナーさえあれば、いずれは探し出せるからだ。
「だけど……私の動きが止まったあの一瞬の時間を攻撃に使わなかったのは間違いだったな。
 さっきの異能値がほとんど全力時のものだったとしたら、これから先、あんたに勝ち目はない。
 私の隙を突かない限りは……ね」
「フッ」と小さく笑い、またジリジリと距離を詰めていく。
「でも、私はもう隙を作らないし、作らせない。
 もっとも、まだ力を隠してるんだとしたら話は別かもしれないけど……さて、どうかな─?」

瞬間、氷室の足元で粉塵が巻き上がった。
同時に彼女の姿がその場から消え、次の瞬間には、女性の背後に回り手刀を繰り出していた。

【氷室 霞美:戦闘開始】

54:黒部夕護 ◆9DmPnTSErk
10/06/14 20:34:12 0
「貴方はこの街が好きなら何もしない方が良いでしょう。
それでも何かを探るのでしたら・・・・・・」

回り込まれた、その事を認識する。そして、放たれる鋭い蹴り。
生身での防御は間に合わず、反射的に夕護は体の周りに障壁を張った。
速く、そして重い衝撃。
障壁に受けたダメージ量から、戦わずに去れるような甘い相手では無いことを読み取る。

「消しますよ、って言おうと思ったのですが・・・これじゃあかっこつきませんね」

そして、反撃の隙も無く身を引くという、徹底した戦い方。
夕護は解る者にしか解らない僅かな苛立ちの色を見せる。
本来なら、この段階で能力を悟られるようなヒントは出さなかった。
しかし、能力を発動「させられた」のだ。

「正当防衛はするのですか?」

その問いに。

「…しなければ、此処から帰れそうに無い、な。…『纏拳』」

苦々しく答えると同時に、薄青の光が彼の体を包み込んだ。
踏み込み、開いた距離を詰める。
一歩ごとに足元のアスファルトが弾けて散る。

「それに私に攻撃するならば、戦わぬ理由も無いだろう」

片手を引き、拳を開く。
押し出すような動作で、前に突き出す。

「まずは蹴りのお返しだ、―『衝打』ッ!」

小細工無し。ただただ真っ直ぐな攻撃を繰り出す。
青い光に包まれた掌が、棗を弾き飛ばそうと迫る。

55:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/06/17 02:29:05 0
>>50>>53
「使ってください」
その叫びと共に、先ほどまでベンチがあった場所に二本のナイフが残された。
(彼女の血が付着している? 彼女の能力は体液が毒であること、ならこれは毒塗り刃か)
視線の端でそれを捉えると、ナイフは金属製のベルトの装飾に吸い寄せられ、海部ヶ崎の腰に固定された。

「……逃がす為の時間稼ぎか……」
「だけど……私の動きが止まったあの一瞬の時間を攻撃に使わなかったのは間違いだったな。
 さっきの異能値がほとんど全力時のものだったとしたら、これから先、あんたに勝ち目はない。
 私の隙を突かない限りは……ね」
「でも、私はもう隙を作らないし、作らせない。
 もっとも、まだ力を隠してるんだとしたら話は別かもしれないけど……さて、どうかな─?」

「……機関の人間はよくしゃべる」
小さい声でそう呟いた直後、ジャージの女性が粉塵を残して視界から消失する。
正確には粉塵をおこした後、姿を消したのだが、一瞬の出来事にその二つが同時に起きたかのように見えた。

そして、背後からの殺気。

(後ろ……っ!!)
とっさに身を捻り、相手の攻撃を紙一重で逃れる。
(手刀!? さっき、容易くあの網を切り裂いた……)
海部ヶ崎はそのまま体の向きを半回転させつつ、その回転を利用して相手の首へ横一文字に刀を振る。
しかしそれは予測されていたかのよう避けられ、刀は虚しく空を切った。
至近距離は危険だと判断し、即座にバックステップを踏んで相手と約二メートルの間合いを取る。
それはたった数秒の間の出来事だった。
だが、この一連の動作が海部ヶ崎にある決心をさせた。

「……ダメですね。どうやら私の考えは甘かった」
その発言と共に海部ヶ崎は肩に背負っていたギターケースを自分の目の前に突き立てた。
そして金具を開けつつ、
「予想以上に私とあなたとの差は激しい。だからいきなり全部使う破目にはなりたくありませんでしたが、仕方ありません。
…………一気に全力です」
その台詞と同時に通常より大きめのギターケースの内側より銀色の突風がジャージの女性へ吹きぬける。
一直線の軌道の為、その線上を離れることで簡単に避けられる。
ジャージの女性が銀の風の軌跡を眼で追うと、そこには風の正体が姿を現していた。
それは刃。
手斧、剣、ナイフ、鎌、日本刀、刀身のみの刃―――
どれもがゲームや漫画で見かけるサイズよりは一回り小さいものだったが、刃の光は充分の威光を放っている。
そしてそれらはまるで棘の如く、切っ先を全てジャージの女性一点に向けられている。
その刃たちのうちの一本の剣の上に、ケースを背負い、刀を持った海部ヶ崎がジャージの女性を見下ろしている。

「……いきます!!」
その声と共に海部ヶ崎は地を駆けて、相手へ突進する。
そしてその周りを無数の刃たちが直線かつ、不規則に飛び交う。
それはまるで刃の鎧。切り裂くではなく、突き刺すことを重点とする攻撃。
宙を舞う無数の刃は相手の動きを封じ、手に握り締めた刀が命を狩る。
刃の嵐に身を包み、海部ヶ崎は自分の持てる力の最大に近い技を放つ。

百花斉放―――!!

【海部ヶ崎 綺咲:氷室 霞美に攻撃】

56:氷室 霞美@代理
10/06/18 06:38:53 O
>>55
できうる限り気配を殺し、電光石火の如く素早く突き出された手刀。
並の異能者であればとてもかわせるものではないだろうが、
女性はそれを紙一重とはいえ、無傷でかわしてみせた。
氷室は反射的にフリーのもう一方の手を女性がかわした方向へと差し出しかけるが、
目は、銀色の光が横に弧を描いて迫ってきているのをしっかりと捉えていた。
手を引っ込め、咄嗟に顎を浮かせて背を反る氷室。
人間の身体など容易く切り裂く銀色のそれは、
正に閃光の如くのスピードで氷室の喉元を掠め、彼女の視界から消えていった。
体勢を戻した頃には、女性は既に彼女から二メートル程離れた位置に移動していた。

氷室が粉塵を巻き上げて姿を消してから、僅か2.8秒程の短い攻防。
それでも、氷室は女性に対して、予想以上の手応えを感じていた。
(一瞬の殺気を感じ取り、あのタイミングで放った手刀をかわすとはね……)
殺気と呼ばれる気配をほんの刹那に抑えることのできる氷室の奇襲─
それを無傷でかわし、間髪いれず反撃に転じる……これは中々できることではない。
今度は氷室の口元が弧を描いた。
ガラにもなく、まるで久々に出会えた強者(つわもの)との戦闘を楽しむかのように……。

「予想以上に私とあなたとの差は激しい。だからいきなり全部使う破目にはなりたくありませんでしたが、仕方ありません。
…………一気に全力です」
女性の目つきが変わった、その瞬間、またしても銀色の光が……
いや、銀色の光を纏った風が、氷室の横をかすめて吹きぬけた。
その正体は、古今東西のあらゆる刃を揃えていると言っていい、“刃物の一群”だった。
その内の一つの剣に女性が飛び乗るのを視認すると同時に、スキャナーは再び数値の上昇を告げた。
(──)

「……いきます!!」
女性が叫び、剣に乗ったまま突進を開始する。
同時に他の刃達もその切っ先を全て氷室に向け、不規則に舞いながら接近する。
氷室はバックステップをしながら一本、一本、迫る刃を流れるような動きでかわしていく。
「……!」
だが、不規則な動きをする刃の軌道をそう容易く見切れるものではない。
刃の切っ先が小さく頬を切り抜け、また右腕のジャージの裾を裂く。
これではいずれ急所に突き刺さるのも時間の問題である。
とはいえ、刃の嵐に身を包む本体に切り込むのも、そう容易な話ではない。

「仕方ない」
そう呟くと、氷室はその足を止めた。
途端に周囲に蠢く刃達が隙ありといわんばかりに一斉に向かう。
しかし、氷室はその瞬間を待っていたかというようにゆっくりと両手を刃に向けると、
素早く腕を横に振り抜いた─。

57:氷室 霞美@代理
10/06/18 06:41:21 O
─ギャキィィィイイイイイン……ッ!!

瞬間、金属音が辺りに轟き、銀色の鉄の破片が周囲の空間に舞い上がる。
ある刀は刀身ごと吹き飛ばされ公園の遊具や地に突き刺さり、
ある剣や鎌は切っ先を切断され無残に落下した。

「能力は使わない気でいたんだけど、私も甘かったよ。まさかこれ程の量のオーラを操作するとは」
と言って女性に見せ付けたその手の指先からは、透明な刃状のオーラが形成されていた。
『アークティッククロー』─氷室の能力である冷気を刃状に圧縮。
それを指先に形成することで鋭い爪を持つ猛獣が如くの斬撃を繰り出し、
敵の体に裂く・凍るの二つのダメージを同時に与える技である。
ただ、どれ程の威力を持っていても、媒体は柔らかい生身の手。
不規則な動きをする刃の動きを見誤ったか、右手の甲は真一文字に大きく切り傷をつけられていた。
氷室はその傷をペロリと舌で舐めると、再び女性の視界から姿を消した。
そして彼女に視認されるより早く、氷室は冷気の爪を彼女の左脇腹に繰り出した。

─ビリィィイ!

服の裂ける音が響き、四つの爪跡が彼女の脇腹に残る。
しかし、それは深くはない。瞬間的に腰を捻ったか、傷はかすった程度のものに過ぎなかった。
間髪入れずにもう片方の左手で今度は腹部の中心目掛けて爪を差し出す。
それも今度は刀で弾かれる。だが、その時には既に、
初めに繰り出された右手が心臓部の左胸目掛けて振り下ろされていた。

─ズバッ!

今度は浅くは無い。
彼女の左胸から腹部中心にかけて、傷口が凍りついた大きな爪跡がくっきりと刻まれた。
だが氷室にも息をつく間はない。彼女の反撃も必死である。
元々、二人は総合的な身体能力では思ったほど大きな差はない。
無傷でかわすことは難しいと判断した氷室は、終いには後方に大きくジャンプをして距離をとった。

「どこで身に着けたか知らないけど、全く見事な腕よ。
 カノッサ四天王の一人、この氷室 霞美に対して真っ向から闘える力があるなんてね。
 ……あなた、一体何者?」

【氷室 霞美:名を訊ねる】

58:名無しになりきれ
10/06/18 22:23:50 O
    . . ....-‐…‐-. . .. .
                        /.:.:.:::::゚.::::::::::::/.:::::::::::`: . .、
                        , ′.:.:.::::::::::::::::::/.:::::::::゚:::::__:::::丶
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.                /     )ーく  }      .,;;;;;;;;:=''"/,,,  ヽ三三::ヽ
               /     厂  ゝ {、     -・=ュ ; | "''=:;;;ヽ ーニ彡′
               ,.ヘ/     /`ヽィ八 ノノ     、__ノ.  | r・=-/
               /:::::::\   /     /   ヽ、    i. |ヽ__ノ
           ,../::::::::::::::::::\     /;;.,       ィ´ ' .ヽ r'
        ,.く::::\::::::::::::::::::::::\ ...イ::.、\; ....       `⌒iT゙ /
       /::::::\::::\::::::::::::::::::::::>'\\:`::::ヽ:.;.....   ,_ノ_二ヽ
      /.::::::::::::::::ヽ.:::::ヽ.:::::::::::/ヽ.\\\:::::::`ト ;;.:;.:.ヽヾ土|ナ゙/
    /.:::::::::::::::::::::::::::\.:::\ノ    ヽ.\\\{:川::::\ \__,.ノ

59:棗遼太郎 ◆R9F5WG6Bjw
10/06/19 16:02:55 0
>>54
「…しなければ、此処から帰れそうに無い、な。…『纏拳』」
「それに私に攻撃するならば、戦わぬ理由も無いだろう」
「まずは蹴りのお返しだ、―『衝打』ッ!」

オーラを纏った拳が遼太郎へと迫る。
馬鹿正直な直線的な攻撃、常人なら避けるのも難しい攻撃ではあったが遼太郎には何てことのない攻撃だった。
その攻撃を避けると直ぐに反撃体勢に入り、拳と脚での連撃を叩き込む。
完璧に攻撃後の隙をついたはずであったが、全て何かに防がれていた。

「これはやっかいですね。
私の攻撃が何も通用しない、このまま戦っても私の体力が先に尽きることは明白ですね」

遼太郎は懐からナイフを取り出す、そして夕護に投げつける。
しかし、またもや効果がない、夕護が防御するまでもなく外れたのだ。
ナイフは夕護の後方の地面に突き刺さっていた、夕護の影が伸びている地面に突き刺さっていた。
ふいに夕護の肩が切れ、血が滴る。

「影縫い。
貴方が守らなければならないものは自分の身体だけではありませんよ」

遼太郎は素早く夕護に肉薄し、蹴りを繰り出す。
夕護はまたもそれをオーラで防ぎ、カウンターとして遼太郎の脇腹へと拳を振り下ろす。
遼太郎は身体を捻り回避を試みるが、攻撃直後では上手く避けられず直撃とまではいかないものの吹き飛ばされる。
その時にナイフを回収すると、再び構え直す。

「中々重い攻撃ですね、結構効きましたよ。
さあ次は何も見せてくれます? もっと私を楽しませてください」

【棗遼太郎:戦闘中】

60:阿合 哀 ◆DniA.t9cN6
10/06/20 22:09:54 O
――PM00:00 角鵜野駅
「こっちにも……」
公園から逃げた哀は角鵜野駅で物陰に隠れていた
哀の太ももには包帯がぐるぐると巻いてある
「なんでこんなに……」
角鵜野駅にはオーラを持った人が多く集まっていた
たまに先ほども見た機械を顔につけている人もいた
哀はそのような人を見るたび息を殺し身を隠した
逃げないといけない
でもどこに逃げればいいのかわからない
哀が唯一知っている逃げ場所は咸簑山だけである
咸簑山に行く一番楽な方法は今いる角鵜野駅から電車で咸簑駅まで行く方法である
しかし今はそれも難しい
バスやタクシーなど他の交通機関を利用すればいいのだが哀は電車以外に乗ったことがない
(歩いて咸簑山までか……頑張ってみるか……)
哀は角鵜野駅の外に出て、歩きはじめる
(あの人……大丈夫だよね……)
自分を逃がしてくれた女性の無事を祈りながら哀は歩く
(また会える……絶対に)
哀の歩く速度が少しずつ速くなり、しまいには走りだす

61:海部ヶ崎 綺咲@代理
10/06/22 12:34:03 O
>>56-57
『百花斉放』は海部ヶ崎がギターケースに隠し持っている武器を全て使用する大技。
使用する武器の総数二十三。総重量四十キロもある鋼の刃たちはこの時代、この国では異質な存在だ。
この手の非実戦的な武器は主に、カノッサ機関などが属する“裏の社会”に流通しており、それには異能力が関係している。
異能力者が珍しくない“裏社会の人間達”の戦闘において、銃火器はオーラの使い方次第で簡単に捻じ伏せられるものなのだ。
その為オーラの使い手達は戦闘の主軸や補助に、銃よりオーラの力を付加しやすい打撃の武器を選ぶ。
斧や刀、鎌などの武器を『そういう理由』で作る職人や密造者が多く存在する。
海部ヶ崎が所有している複数の武器もそのなかでも一級品の業物なのだ。
だが、

「仕方ない」
─ギャキィィィイイイイイン……ッ!!

激しい金属音と共に、刃の嵐はガラス細工のように砕け散った。
青髪の女性はオーラを手に集中させ、それを刃のように操ったのだ。
その刃によって砕かれた断片はまさに花弁のように辺りに降り注ぎ、無残な姿へと変貌した。
実戦の回数はまだ多くはないにしろ、今まで海部ヶ崎の戦闘スタイルの主軸を担っていた武器たちが……あっさりと砕けたのだ。

「能力は使わない気でいたんだけど、私も甘かったよ。まさかこれ程の量のオーラを操作するとは」

八割方、武器としての命を絶たれた己の獲物を見つめていた海部ヶ崎は青髪の女性の声にハッと我にかえる。
(駄目だ、駄目だ。武器はまだ残っている。まだ戦える……)
技が通じないのと、武器があっさりと破壊された事実に怯んだ海部ヶ崎だったがすぐさま構えを整えた。
相手は見たところ、頬や手の甲、それにジャージが所々裂けたこと以外ほぼ無傷と言ってよかった。
しかしこちらも戦力は削がれたものの、今の攻撃では傷は負ってはいない。
そして青髪の女性が自らの手の甲の傷を軽くなめた後、再び姿を消す。

─ビリィィイ!
海部ヶ崎の黒いタンクトップの脇腹にあたる部分が裂け、白い肌が露出する。
それはダメージには繋がらないにしろ、手刀での攻撃時と違い“命中”している。
(スピードが上がった!? 完全に避けきれな……)

─ズバッ!
「くぁ…………!!」
氷の爪痕が海部ヶ崎の体へ袈裟懸けに深く刻まれ、出血に至るよりも速く凍結する。
ギターケースの紐も同時に断たれ、ケースが鈍い音をたてて地面に落下した。
そのたった一撃で、一気に形勢は不利なものへと変わってしまった。
追撃を許さん、と刀で反撃を行うも、あと一歩のところで届かない。
その攻防も長くは続かず、敵にバックジャンプで大きく距離をとられてしまった。
着地際に攻めようも、体が傷のせいでそこまで瞬時に動いてくれなかった。


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