【邪気眼】二つ名を持つ異能者達at CHARANETA2
【邪気眼】二つ名を持つ異能者達 - 暇つぶし2ch115:赤月怜 ◆KvtDeyvrJ2
10/07/21 22:03:36 0
「赤月 怜……漆黒の鉄血鬼……か。なるほど、話を聞く分だとそれなりに有名らしい。
 実際、そうなっておかしくはない程の力はあるようだし、確かな洞察力もある。
 ─あの爪弾の雨の中、右手の違和感を感じ取っていたみたいだからね」
彼女は僕が何かを感じていた右手を振って答える。
だがその手はもう先程の何かは無い。唯の手
あの違和感は何処へ行った。

「これ以上、互いに離れて闘っても、恐らく埒があかない。
 決着を着けるには、やはり接近戦(これ)しかないだろう……」

出来れば生かしておきたかったが此処までの強さだ、殺した方が割が良い。
そう考えた瞬間もう一度彼女は氷を放って来た。
そしてまた先程と変わらない戦闘。
あえて違うところを言えば僕が彼女の指を折ったという所だけ。

「─私の動きについてこれる奴はこれまでにも何人かいたけど、
 あのタイミングからカウンターを放ち、私の指を折った奴はいなかったよ。
 まさか敵に傷を負わせようとして私が負傷するなんてね」

僕も此処までの人とは有った事は無いよ。

そう心の底で溜息を吐く。
氷室の余裕のある笑み、それを見た瞬間また氷室が飛び出してくる
防げず斬られた。
先ほどとは段違いな速度に怜は顔を歪める。
そしてまた氷室の攻撃が迫る。腰を捻ってよけようとするが胸板が斬られた。

「─『急に奴のスピードが増した。今までのは本気じゃなかったのか?』─
 何て思ってるんだとしたら、それは大きな間違いだよ。
 戦闘に夢中で気がつかなかったと思うけど、よぉーく周りを見てみなよ。何か気付かないか?」

そう喋る氷室を見た怜は悟る。先程のはコレか。

「今の気温は氷点下さ。体温の低下は思考を鈍らせ、筋肉の柔軟性を失わせる。
 私のスピードが増したからついていけないんじゃない。
 お前の身体機能が低下したからついていけなくなったのさ」

マズイ。
このままじゃ逃げる事が出来ないだろう。
でもそれ以上に

「残念だよ、君の血が飲めそうにない。」

そう言った怜は右手を前に付きだす。
その右手から生まれたのは先程までの刀や杭ではない。
もっと原始的。
固め、造形するでも無い。
唯ぶつける為に放ったモノ。
怜の腕から出た影の様なモノ、実際はオーラを変質させた物だが。
それを固めて飛ばすでもなくゲル状のモノを放つ。
だが今回の『ソレ』は常軌を逸している。
まるで大津波の様な巨大さがある。だが津波と違うのは色が赤黒い事とその量。
上にも長いがそれ以上に波の様に壁になるのではなくまるでポンプの亀裂から噴き出す水の様に勢い良く溢れ出る。
冷気でも凍らない。凍る前に後ろから新たに跳び出す【シャドウ・ブラッド】に押され前へ進む
逃げ場など与えない。右にも左にも上にも【シャドウ・ブラッド】によって逃げ場は無い。
「【シャドウ・ブラッド】」
さぁ生きて見せろ。
この戦場の全てを蹂躙する津波から。

【赤月怜:オーラのほぼ全てを使って巨大津波を発生。】

116:氷室 霞美 ◆ICEMANvW8c
10/07/23 02:37:14 0
>>115
氷室は鹿を崖に追い詰める獅子のように堂々と歩みを進める。
全てが彼女に有利に働くこの条件化の中では、もはや趨勢は決したかのように見えた。

「残念だよ、君の血が飲めそうにない。」

しかしこの赤月の言葉で、今度はこれまでの雰囲気と、氷室の顔色が一変する。
彼が向けた右掌、そこに先程までとは比にならない、とてつもない量のオーラが集まっていくのだ。
しかも、見る見る変質していくそれは、刀や杭という見慣れた物体と化すのではなく、
赤黒く染まった見たこともない奇妙なゲル状の物体へと変わっていくのであった。
(全力だな……)
氷室はそう直感し、体に力を込めた。
その直後─周囲の大気が鳴動すると共に、氷室の視界が赤黒く覆われた。

それは赤黒いゲル状物質の巨大な津波─。
それが上から、前後左右から、まるで水流の結界となって氷室に押し寄せてきたのだ。
フリジッドゾーンの冷気が表面を凍らせても、
後から際限なく雪崩のように押し寄せてくるそれを止めることはできない。
防ぐことも、逃げることもできない。できることといえば、波に飲まれるのを待つだけ。

「─本当にそうかな?」

だが、氷室は絶体絶命のピンチなどと微塵も感じていないようにぽつりと呟き、
そして何を思ったか、その下の地面を思い切り強く蹴った。
その刹那、「ドッ」と音を立てて、巨大な波が氷室のいた場所を飲み込んだ─。
四方からの激流に飲まれれば、圧殺されるどころか、水圧で肉体ごとバラバラに引きちぎられるだろう。
しかし赤月にとっての誤算は、ここが“地上”ではなく、ビルの“屋上”であったことである。

─バゴッ!
突然、赤月の真後ろの地面が音を立てて砕け散る。
それと同時に、そこからコンクリートの破片と、右手を赤月に向けた氷室が舞い上がった。

「地上ならいざ知らず、ここは屋上だよ。床を踏み抜けばそこが脱出口になる」
掌が青白く輝く。そこには、既にこれまでに無いほどの冷気が球体となって集約されていた。
これぞ先程撃ち損ねた彼女の取って置きの技─『ノーザンミーティアー』である。
                   ・. ・ .・ ・ .・. ・ ・. ・ ・ ・ ・
「私の血が飲めそうにない─正にその通りになったな」

─猛烈な吹雪を思わせる冷気の波動が、ビルを飲み込んだ。

【氷室 霞美:ノーザンミーティアーを放つ】

117:虹色 優 ◆K3JAnH1PQg
10/07/23 18:50:20 0
>>111
「ありがとうございます」
魚を受け取った優がお礼を言う
「…雇ってもらうにあたって、確認事項…。基本的に護衛だから一緒に行動するけど、
 何か頼みたいことがあれば別行動も可能。例えば、情報収集とか…。
 あと、これから話す2つは必ず守ってほしい」

「1つ目…。依頼人の言葉がない限り、たとえ目の前で人が襲われてても、助けない。
 つまり、依頼人の言葉以外では動かないということ…。逆に、依頼人である君達が予め言ってくれれば、
 人助けなんかもする…。
 2つ目…。こっちのほうが重要かも…。満月の夜には、絶対に自分に近づかないで欲しい」
「はい、分かりました。基本的には一緒に行動、頼めば別行動も可…っと
僕達の言葉以外では動かない、満月の夜には絶対近づかない(←重要)っと」
鞄から取り出したメモ帳に御月の言葉をメモする優
「…あ、質問は特に有りません。…名前ですか? 僕は虹色優です」
「同じく詞音です」
「…御伽です」
三人がそれぞれ自己紹介をする
「あ、これ、僕からの報酬として受け取ってください」
優が画用紙にミートソーススパゲティを描いて具現化し、手渡す
【虹色兄弟:契約の内容を了解】

118:鳴神御月 ◆21WYn6V/bk
10/07/24 01:37:28 0
>>117
「…あ、質問は特に有りません。…名前ですか? 僕は虹色優です」
「同じく詞音です」
「…御伽です」
「優、詞音、御伽。覚えた…。これから宜しく…」
三人の自己紹介を聞き、頭の中に記憶する。すると
「あ、これ、僕からの報酬として受け取ってください」
と言って画用紙を持った少年―確か優だったか―が何かを描いた。

―ミートソーススパゲティだった。

次の瞬間、画用紙の中から出てきたそれはおいしそうに湯気を立てている。
恐らく優は、画用紙に描いたものを具現化する能力を持っているのだろう、と考えた。
とそこで自分が空腹だったことに気がつく。
「ありがとう…。いただきます」
受け取った皿を一度地面に置き、両手をパン、と軽く鳴らて食べ始める。
「おいしい…。久しぶりの食事…」

「ごちそうさま…」
ここ数日まともなものを口にしていなかった御月は、あっと言う間に食べ終えて手を合わせる。
「さて、それじゃあどうしようか…?遠くの方でいくつか戦闘の気配がするけど…」
そう言って御月は気配のする方を眺めて目を細めた。

【鳴神御月:虹色兄弟に指示を仰ぐ】

119:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/07/24 03:31:08 0
>>105 >>112
「さっきの爆発は一体……方角的には東からですよね」
「機関が乱暴な手を打ちだしたんやろ」
それはほんの数分前、中央地区から北地区へとキャンピングカーがその境目を越える時だった。
突如、爆発音とともに真っ赤な炎と真っ黒な煙が東地区から昇ったのだ。

「今も断続的に小さい爆発音が聞こえるやろ? 今頃向こうは世紀末みたいな弱肉強食の世界とかしとるわ」
「え?……でも、彼らの目的は化身の捕獲なんでしょう? そんなことしたら、化身が逃げたり、誤って化身自体を殺す可能性もありませんか?」
「幾つか考えられるのは、化身は死んでても利用可能か、もしくはこんな作戦を決行しても『化身は絶対に死なない』という根拠があるのかもな」
「根拠?」
ここで一旦会話を区切り、霊仙は運転しながらスラックスのポケットから煙草と取り出し、シガーライターで口に咥えた煙草に火を付けた。
「フゥ……そうやな、四天王まで出張っとるとこ見るに、化身を宿した人間はもう覚醒間際で既に相当の実力者になっとるのかもな。
 ま、なんにしても無間刀を取り返すには最悪の状況やっちゅうことは変わらんけどな」
「そうですね……」
ごそごそ、と布の擦れる音。海部ヶ崎は先ほどの戦闘で大きく破けたタンクトップを脱ぎ捨てて、
霊仙が用意してくれた新しいものに着替えている途中だった。
(……一応、俺には見えない位置で着替えてくれてるけど、どうせ窓開けっ放しなんやろなぁ。
 そういう常識が全くなかった三年前に比べたら、だいぶマシになったんやろうけど……
 最初は、そこら辺の公園で寝てたからなぁ。お金渡してても宿泊施設について教えへんかった俺が悪かったんやけど)
彼女を溺愛している霊仙にとっては、海部ヶ崎の常識のなさには内心心配している。
そんな彼が、今朝の海部ヶ崎が計画していた山でキャンプという案を半分本気で考えていた事実を知ったら、恐らく全力で阻止することだろう。

120:海部ヶ崎 綺咲 ◆3LPMHhiq9U
10/07/24 03:40:03 0
着替えが終わったのを見計らって、霊仙はこう言い出した。
「そうや、キサちゃん。これ見てみ」
霊仙の片手が掴んでいるのは一見ただのサングラス。
相手の意図が分からず、首を傾げる海部ヶ崎に霊仙は補足説明をつける。
「スッキャーナー♪」
「あぁ、さっき化身と一緒に説明したやつですか。って、なんで霊仙さんが持ってるんですか」
「そりゃー、こんな便利なもん付けてる奴が何百人と街にいるんやで、一個ぐらい欲しくなるや……」

――グシャ
「おっと」
車を急停止させると、その肉が潰れる嫌な音ともに落下してきたのは人間だった。
「なんや……」

――ピーピー
続けざまに言葉を遮る突然の音。こんどは件のサングラスからだった。
「……まずい、攻撃や!!」
その叫びが終わるときには、既に二人とも半身、車の外へ飛び出していた。

――ゴォン!!
キャンピングカーに一条の光が突き当たると、それは一瞬で火炎と化して対象を爆発させた。
その飛び火により、周囲の車も幾つか激しい爆音と共に誘爆する。


「あたた……おーい、キサちゃん、大丈夫か~?」
「ええ、なんとか」
情けない呼びかけとは裏腹に燃えさかる車体の向こう側から聞こえたのは、全然平気そうな海部ヶ崎の声。
「あ、そうか、キサちゃんは磁力を使ったから、俺なんかよりよっぽど早く脱出できたわけか。ずっこー。
 俺なんかちょっぴり、燃えかけたで? つうか燃えたで? 二秒ぐらい」
大の字で二車線となりの車のボンネットに倒れていた霊仙は起き上がり、周囲を見回した。
「あーあー。ホンマ派手にやるわ」
霊仙はさっきの爆発でも手放さなかったサングラス型のスキャナーを装着し、攻撃の主を探した。
しかし、その相手は肉眼でも確認することは出来た。
悲鳴をあげて逃げ惑う人々の波を逆らい、こちらに向かってくる黒コートの男。
「ありゃー、こっちに来よるわ」
ボンネットから降りると、こちらを見つけた海部ヶ崎が駆け寄ってきた。
青髪の女性との戦いで多少破れたジーンズ以外は確かに無傷で平気そうだった。
「どうします?」
「そうやなぁ、キサちゃん。なんか武器もって出れた?」
「この刀一本が限界でした……」
「そうか……よし、じゃあここは俺に任しとき」
すぐそこまで迫ってきてる黒コートの男に、半纏男は正面から向き合った。
「えぇ!? でも、霊仙さんの能力は戦闘向きじゃありませんし、私まだ戦えま……」
「ええから、ええから。任しときって。それにキサちゃん、怪我が塞がったばっかりで、フラフラやん?
 ここは、俺の雄姿をその美しい眼(まなこ)に焼き付けて、完璧グレートな俺のことを見直しときな」
海部ヶ崎の肩を、パシっと軽く叩き、黒コートの男へと歩き出す霊仙。
その後は何も言わず、海部ヶ崎はただ黒地に白い線の奇妙な模様が描かれた背中を見つめていた。

「やー、やー、やー、初めまして機関員くん。いきなりの派手な挨拶ありがとさん。燃えるほどビックリしたで。
  ……で、聞いても答えは分かりきってるんやけど、一応聞いとくわ。何か用かな?」
胡散臭さが滲み出てるそのニカっとした笑顔で、そう呼びかけた。

【不知哉川:海部ヶ崎には下がらせ、一人でダークフェニックスと接触】

121:ダークフェニックス ◆vmVAU8BU2zJP
10/07/24 21:56:34 0
>>120
炎上の中、スキャナーが生存を示す2つの異能者はどちらも大したダメージが見られなかった。

「やー、やー、やー、初めまして機関員くん。いきなりの派手な挨拶ありがとさん。燃えるほどビックリしたで。
  ……で、聞いても答えは分かりきってるんやけど、一応聞いとくわ。何か用かな?」
「なに…少し知りたい事があるだけだ」

彼は2本指を立てて、海部ヶ崎を下がらせて近づく不知哉川を指差す。先程と同じ破壊光線を放つのである。
効かない事は想定している。知りたいのはその手段。
特殊な技で防いでいるのか、肉体機能の強化によって避けているのか、食らっていながら効かないのか。
単なる偶然で無事だったのならばこれで死ねばいい。
今俺のスキャナーは壊れて、異能値が正確に割り出せない。力量の程は全く読めない。
だが異能者の位置は確実にわかる。この場所に存在する異能者は俺を含めた3人、標的は目の前の2人だけだ。
この場にいた他の者は皆逃げ出したようだが、スキャナーに反応のない人間をわざわざ標的にして追う気はない。

「俺の弾丸に触れると…」

破壊光線を放つ前口上を呟く。特に何も言わなくても出す事はできる技だが、指差しを行った時の口癖になっている。
指先にオーラが集中する。そのオーラが、不知哉川の持つサングラス型のスキャナーに隠し切れない反応を示す。
そのオーラは光線を放つ寸前で"2つ"に分かれた。
彼は立てていた2本指をVの字に開き、不知哉川だけでなくその後方にいる海部ヶ崎にも向けたのだ。

「火傷するぜ」

ピピッ
そして破壊光線は2人に向かって同時に放たれた。

【ダークフェニックス:不知哉川と海部ヶ崎に同時に破壊光線を放つ】

122:名無しになりきれ
10/07/24 22:24:57 0
板違い

123:ディートハルト・アイエン ◆ICEMANvW8c
10/07/25 03:26:35 0
「お前に言われるまでもない─!」

黒部が高速で接近を開始する。
フェイントの気配すら感じさせない馬鹿正直な突進である。
そこに何かの意図を感じながらも、自分に絶対の自信を持っているディートハルトには
敢えて様子を見るという選択肢はなかった。

「─いいのか? わざわざ俺の間合いに入ってきても!」

再び腕を一閃する。
また目に見えない何かの力が黒部の体を刻まんとする合図であった。
しかし、今度の黒部は、それを許さなかった。
黒部の纏った青みがかったオーラが、目には見えない物理的な攻撃を完全に跳ね除けたのだ。

「─いいのさ。でなきゃお前にダメージを与えられないんでな」
目を丸くするディートハルトの眼前にまで迫った黒部が、
その逞しい体を呻らせ豪快な拳打を放つ。
「チッ!」
無防備な下顎目掛けて放たれそれをディートハルトは後方にジャンプしてかわす。
しかし、四天王の一人と畏怖される存在でありながら、
さして身体能力の高くはない彼には完全に避け切ることはできなかった。
腹部から胸部にかけての服が、拳圧によって引き裂かれていた。
まともに受けていたらもしかしたらこの一撃で勝負はついていたかもしれない……
そう思わせるには十分な威力のあった拳打であった。

「なるほど、自らを強化する典型的パワータイプの異能者か。
 近付けなければダメージを与えられない。それ故、自らの能力を防御に置いているのか」
そう分析してみせるディートハルトの視線は、
黒部の体を覆う青みがかったオーラに向けられていた。
「……一度見ただけで異能者としてのタイプと能力の特性まで解るのか、流石に鋭いな。
 だが、私も解ったよ。お前の技の正体が“糸”だということをな」
鋭く睨み返す黒部に、ディートハルトは眉をピクリと動かし、そしてニヤリと笑った。
「ほう……気が付いていたのか。気が付くまでもうしばらく時間がかかると思っていたがな」
すっと腕を上げるその指からは、太陽光に照らされてキラキラと光る何かがあった。
それは黒部の言うとおり糸─。
細く透明な、それでいてコンクリートをチーズのように切り裂く程の強靭な糸が、
指先から無数に垂れ下がっていたのだ。

「攻撃された瞬間、オーラが無数の細かな何かを弾いた感触があったのでね。
 咄嗟に目を凝らしてみたら……というわけだ」
「なるほど。しかし、解ったところでこのまま俺の『四肢烈斬糸』を防ぎきることはできまい!」
両の指から飛び出した無数の糸が周りの電柱や壁を切り裂きながら黒部の体を包む。
黒部の体の表面を覆う特殊なオーラの壁はそれを次々と跳ね除けていくが、
その耐久力にも限界があるであろうことはディートハルトにも解っていた。

「俺は貴様のオーラを破るまでこうしていればいい話だ!
 間合いで勝るこの俺を貴様は捉えることができまい!」
「それはどうかな……!」

黒部は体中に迫る無数の糸の波に逆らって再び突進を開始した。
オーラが破られる前に近接戦闘で決着をつけようという気なのだろう。
確かに、これでは如何な強靭な糸をもってしてもどうすることもできない。
動きを止めようにも、優に100Kgを超えるその巨体と物理攻撃を弾く特性をもったオーラの前では、
坂道を転げ落ちる岩に向かってホースの水をかけるようなものだ。

124:ディートハルト・アイエン ◆ICEMANvW8c
10/07/25 03:31:56 0
「チッ……!」
バックステップで間合いを保とうとするが、相手はただ前だけを見据えて突進してくる。
これでは勝負にならない。あれよあれとその距離は数十センチにまで縮まり、
先程までとは一転して、今度はディートハルトが黒部の攻撃に対処せねばならなかった。
「―『衝打』!!」
繰り出された拳を掌で受け止める。
しかし、オーラの強化が手伝った圧倒的な衝撃に、手の骨が耐えられない。
「うおっ!?」
流石に眉を顰めるディートハルト。それでも黒部は攻撃の手を緩めない。
「─はっ!」
思わず拳の大きさが倍に膨れ上がったように見えるほどの威力を纏ったパンチが
ディートハルトの顔面に向かって放たれる。
今度は両手で、しかも掌を糸で覆ってそれを受けとめんとするが……

「ぐはぁっ!!」
オーラで練られた強靭な糸のクッションなど、まるで無きが如しの黒部の拳撃は、
ディートハルトを体ごと吹き飛ばし数メートル後ろの壁に叩きつけた。
「やはりな。お前は接近戦はお得意ではないようだ。
 単純な身体能力だけなら先程戦ったあの男の方がまだ高いだろう。
 糸の間合いを生かした闘い方に慣れ過ぎた為か、
 それとも身体能力を犠牲にして手に入れた力なのか……」
「フッフフフッ……」
ディートハルトはゆっくりと体を起こして不敵に笑った。
依然、有利な立場であるにも拘わらず、その不気味な雰囲気に黒部は思わず一歩、後ずさりした。
「確かに……俺より素早く、力強く動ける奴らなど、そこら辺に腐るほどいるだろう。
 俺など身体能力で見れば二流も二流。もしかしたら三流かもしれん。
 ─しかしそんな俺が、何故カノッサで最強を誇る四天王の一人に数えられていると思う?」
「…………」       ハデスマリオネイター
「今こそ見せてやるぞ。『冥界の傀儡師』と呼ばれる俺の真の力をな!」

ディートハルトが右手を開き、その指先を黒部と向け糸を放った。
ただならぬ雰囲気に黒部は技である『障壁』を今度は眼前に展開するが、
何と糸はその壁を紙切れのように容易く突き破り、黒部の体へと突き刺さった。
「……ッ!?」
黒部は驚いた。物理攻撃を弾く障壁をいとも簡単に貫いたのも驚きだったが、
それ以上に妙なのは、体へと突き刺さったにも拘らず痛みがまるでないことだった。
「クックック……これで貴様は俺の操り人形よ」
その言葉で黒部は初めて異変に気が付いた。
体が動かない─手も足も指も、まるで体全体が金縛りに遭ったように動かないのだ。

「こ、これはっ……!」
「─『四肢掌握糸』─。
 例えどんなにパワーがあろうが一度この糸に支配されたら最後、
 抜け出すことは絶対不可能な地獄の糸よ。
 ククク、さぁ貴様はどんな死に方がお望みかな……?」

【ディートハルト:四肢掌握糸によって黒部の肉体の自由を奪う】

125:名無しになりきれ
10/07/26 00:51:46 0
糞スレ


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