10/07/20 23:56:40 0
スキャナーの反応がおかしい。
どうやら先程の少年のケタ外れの異能値の計測、強力な猛吹雪などもあって故障しかけているようだ。
元々異能値の計測よりも、探知機能を重視するように作らせた特注品だ。
先程のような異能値の計測を想定したつくりではないのだから、壊れても仕方がない。
ピピピ
だがそのおかげか、壊れたといっても探知機能に関しては正常に作動している。
…異能値の計測機能は完全に壊れているようだが。
「異能者は…どうやら"上"の方だな」
スキャナー越しに視界に映る生物は2つ。
人型の男と…それを掴んで飛ぶ巨大な鷲。>>18で虹色優によって生み出され>>22で氷室霞美も見たあの怪鳥と男である。
スキャナーの計測機能が壊れているといったが、異能者の探索にはかえって都合の良い状態になったといえる。
スキャナーは巨大な鷲から3000以上の異能値を計測、掴まれた男には全くの無反応。
だがスキャナーをずらして肉眼で見ても、どう見積もっても鷲からそれほどの膨大なオーラは放出されていない。
潜在的な異能値を表示しているという見方もできたかもしれないが、それなら男の方からもわずかなりと異能値が計測されるものだ。
このスキャナーは異能値の正確性はともかく、異能者とそうでない者を明確に現すようになったようだ。
もっとも鷲は正確には異能者ではなく、異能力で作られた存在であるが、彼にその事を知る由は無い。
対象のはっきりしたところで彼は鷲を指差した。
「俺の弾丸に触れると…焼き鳥だぜ」
ピッ
そして指先より放たれる街を焼き尽くした破壊光線。
光線が命中すると、鷲は掴んでいた男を放して、全身が燃えて火の鳥になりながらもがき苦しみ、やがて爆発した。
爆発とともに鷲から観測されていた反応は完全に消失する。
放された男は当然落ちていく。そして落ちた先の大通りは車が行きかっている。
ピピピ
その先にスキャナーが新たな異能者の反応を見せた。
通常よりはるかに大きな異能値として反応するスキャナーは、他のスキャナーでは見つけられない程遠くにいる異能者を察知する事も可能となったようだ。
男が落ちた先、スキャナーが反応を示した場所は>>105の海部ヶ崎綺咲と不知哉川霊仙がキャンピングカーを走らせている場所だった。
空から落ちてきた存在に、キャンピングカーは停止する。
「俺の弾丸に触れると…火傷するぜ」
ピッ
そこへすかさず破壊光線を撃ち込む。命中したキャンピングカーは先程の鷲のように炎上し、爆発する。
後に続く車両も二次災害を起こして次々と炎上していく。
これで死んだはず…普段ならそれで終わっていただろう。
だが壊れたスキャナーは俄然、その場から異能者の生存反応を示したままである。
数値に関しては全く当てにならなくなったが、どれだけ微弱であろうと異能者の有無は確実に示すようになったのだ。
ならば消さねばならない。たとえそれが死にかけであろうと、戦う力が残っていなくとも、標的を見逃す真似を俺はしない。
そして炎上する地獄の中に俺は歩を進めていった。
【ダークフェニックス:巨大鷲に勝利。遠くの海部ヶ崎&不知哉川の乗るキャンピングカーを攻撃、その場に向かう】