10/05/24 17:05:21 0
>>63
「やはり、そうでしたか。」
笑みを浮かべ、御剣の所作を見つめ席へ戻る。
右京も気付いていた。彼が検察局始まって以来の天才検事、御剣怜侍である事を。
1時間ほど食事を愉しんだ右京は、客人たちに会釈をしながらその場を去っていく。
「嫌に、赤い月ですねぇ……」
車窓から眺める月は、血のように赤かった。
右京は怪訝な表情を見せながらも足元に落ちていた書類を見つける。
「……これは。」
―人工地震による被害と実存について
―SL 9号事件について
「おや……誰かが落としたのでしょうかねぇ。2つともまったく
違う内容のものですが……」
書類を拾い上げ、そのまま自室へと戻ろうとした右京を突然の揺れが襲う。
地鳴りのような音と共に、右京は通路の反対側へ吹き飛ばされた。
何とか客室のドアを掴み、体勢を保とうとするが揺れがそれを許さない。
―やがて揺れは収まり、右京はしばらく呆然としながらも立ち上がった。
「……まったく、僕もついてませんねぇ。小野田さんの時もそうでしたが、
僕はどうやら誰かの代わりに嫌な目に会う運命のようです。」
今頃、特命の部屋で呑気に水でも飲んでいるであろう神戸の事を思い浮かべ
右京は苦笑した。
幸い、擦り傷程度で済んでいるようだ。
骨が折れていないかどうか、頭に外傷や気分が優れない点があるかどうかも
確認する。
周囲の散乱した様子を見るに、かなりの震度の地震だろう。
右京は生存者、そして怪我人を助ける為に歩き出した。
「誰か、いませんか!?いたら返事をしてください!」
【救助をする為に行動開始
現在の持ち物:警察手帳、携帯電話、何かの論文(地震、SL9号事件)】