サバイバルTRPG:寝台特急からの脱出at CHARANETA2
サバイバルTRPG:寝台特急からの脱出 - 暇つぶし2ch199:MOBS ◆wRQwHnp5OOVI
10/06/14 21:38:48 0
>>198

「……オメェさん、ワッケ分かんねえ勘してんだな」

次から次へと矢継ぎ早に、メモ用紙を発見していく奈緒子に呆れた視線を注ぎつつ、
金髪ヤクザは自分の手の内で徐々に厚みを増長させていくメモの束を眼前に運ぶ。
トンネルに列車は仄かに冷冽な二重の牢獄と化け、遍く自然光を妨げ、彼と奈緒子の周囲に欠損なき暗闇を取り巻かせていた。
だが彼の手中に収められたメモは、列車内に溜まった冥夜に呑み込まれる事なく、姿と刻まれた文字を晒す。
食堂車にいた、一人の男から無理矢理手渡された、蝋燭の曖昧に揺らぐ灯火によって。
その男は様々な理屈を捏ねて、金髪ヤクザに蝋燭を持っていかせたが、
その内容は、本音を述べるならば薄気味が悪いものであった為、彼は意図して想起する事を放棄した。

「……ともあれ、だ。このメモ、同じ物で幾つか被ってんのがありやがる。
 ご丁寧に日時も書いてあるから、最新の奴以外は捨てちまうぞ。構わねェな」

確認を取り、しかし回答を待つ事はなく、金髪は邪魔な物を見繕い纏めて握り締め、捨て去った。

「とりあえず、このメモに書いてあるのは大体有用なモンばっかだな。客室にある奴に関しちゃ、
 後で食堂車に帰って名乗り出させりゃいい。しらばっくれたり、話も聞かねえような奴がいそうなのは、面倒だがな。
 特にあの糞気に食わねえメタボ野郎だ。非常食があるだなんて知ったら、今度こそ引き篭って、出てこねえぞ」

朧気な輪郭の灯りが、金髪ヤクザの苦々しい表情を暗がりの中から、浮き彫りにさせる。

「隠し部屋ってのも気になるが、そもそもどう言った経緯で、列車の中に隠し部屋があんのかが分からねェ。
 見取り図とか……ここの何処かにねェもんか。それと適時照らし合わせていきゃ、見つけられるかもな。
 ……ともあれ、今はまだ探せねえだろうがな。目の前の事から、潰していくぜ」

差し当たり、彼はロビー車のスタッフルームのドアに、手を掛ける。
ドアは金属同士が噛み合う手応えで、堅固な絆を主張し、
力ずくでは到底引き剥がせぬ態を示していた。

「それに……場合によっちゃ、くたばった奴がドアの鍵を持ってる事も、あり得るだろうな。
 死体漁りは、出来ればしたくねえんだが。……オイ、アンタ。三歩先だ。踏んでやるんじゃねえぞ。足元も照らすな」

何があるかを、彼は明言しない。
言うまでもなく、一体どんな『物』があるのかなど、この暗闇の中でも明白だと言うのに、それでもだ。

「……後で、起きねえ連中もどうにかしねえとな。事が長引く事も、十分あり得るんだ。
 地下道への入り口でもありゃ、そこに突っ込めるんだが。あるわきゃねえよな。
 どっかの部屋に……その内臭い出しちまうか。列車の外にでも放り出して、焼いちまうのが一番だな」

足でやや大きく半円を描き、何かを踏み越え、金髪ヤクザは顔を横に向け尻目で、背後を振り返る。
蝋燭の灯りは、彼自身の身体によって阻まれ、足元に沈殿した闇を払う事は、無かった。

「さて、どうするよ? この先は運の良い奴が引き当てて、今現在最高に運の悪い連中達の部屋が続くぜ。
 一旦帰って刑事共と情報の共有をするか。それとも進むか、だ。まあ鍵が無けりゃ殆どの部屋にゃ入れねえだろうがよ。
 一応、ドアがいい具合にひん曲がってたりすりゃ、俺が蹴りをかましてやってもいいぜ。勿論、それで開くかは分かんねえけどな」

【食堂車からSSルーム方向へ向かってる。って事で良いんだよな?
 熱血警官はこちらを先行していて、刑事さん検事さん方はBツイン~展望車へ。
 こちら側の運転席は全壊で、下半身のない死体が転がってると
 違うようなら……まあ脳内修正を頼む】


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