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「おっせーんだよヒラヒラ! ……つーかテメエら揃いも揃って親方日の丸かよ」
タンスから這い出すや否や金髪は我鳴る。
だがすぐに気難しそうに顔を顰め、暫し沈黙。
「……とは言え、助けてもらった事にゃ礼を言うぜ。助けようとした事にもな。ありがとよ。
こう見えても職業柄義理は固えんだ。嘘じゃねえ。面倒くせーから職種も明かしとくがよ、まあヤクザって奴だな。
……この状況でポリがどうだのヤクザがどうだの言やしねえよな?」
頭は下げないものの謝辞を述べつつ、金髪は彼らから顔を背ける。
人に礼を言い慣れていないが故に、無性に気恥ずかしいのだ。
泳ぐ視線の行先を求め、彼はふと足元のタンスに目をやった。
「しっかしまあ、何だってこんなトコにタンスがあんだよ、マジで。
しかもやたらとクソ重てえと来たもんだ。……あぁ?」
タンスを軽く蹴った金髪は、ふと食堂車の奥の食堂へと視線を推移させる。
誰かがこそこそと、物陰に隠れるようにして動いていた。
却ってその行為が彼を目立たせていたのだが、そのような事には気付く由もない。
「……ひっ!」
岩の裏に這う虫の如く動いていた男は、先の自慢話を繰り広げていた小太り中年だった。
「……おい、お前今何か隠したよな。何隠した」
小太り中年に、金髪が歩み寄った。
小太り中年は必死にお茶を濁そうとしていたが、金髪が一声吼えると途端に隠していたものを曝け出す。
たくし上げた服に乗せて彼が運んでいたものは、食料だった。
「オイ……テメエこりゃどう言うこった?」
「わ……私はSSルームを引き当てたんだ! だからそれだけ贅沢をする権利があった! この食料はその……!」
小太り中年が全てを言い終えるのを待たずして、金髪は跪いていた彼の顔面を蹴飛ばす。
吹っ飛んだ彼に歩み寄り更に胸ぐらを掴み上げ、彼は鬼の形相を浮かべた。
「おう、さっきはクソウゼエ自慢話ありがとうよ。あん時よっぽどテメエをぶん殴ってやろうと思ってたんだがな。
何で抑えてたか分かるか? この列車から摘み出されたくなかったからだ。
けど俺は今、その気になりゃお前をしこたまぶん殴れる。分かるか? もう部屋割りがどうだとか関係ねーんだよ!」
言い切ると共に小太り中年を突き飛ばして、金髪は身を翻した。
苛立ちの篭った溜息を吐くと、壁にもたれかかって右京達を見遣る。
「……で、これからどうすんだ? 皆さんよ。何か方針みてーのはあるのか?
いつまでもここにいる訳にゃいかねえだろ。ってか、乗務員達は何してやがるんだ畜生が」
【金髪はとりあえず協力的。助けたので食料パクってSSルームに閉じこもろうとしてた小太り中年を阻止
彼の剣幕が牽制となって暫くは食料に無断で手を出すような連中もいなくなるかも
NPC助けたらお約束の好転イベントですね。まあ全てのモブがそうなるとは限らんと思いますが
そしてこれから何をするかを尋ねました】