09/12/05 00:26:43 0
>牧街「………もう少し人選…いや、狸選に気をつけてください、あんなのに家の道場のGSは遅れを取りません」
「あっちゃー…やっぱりばれてたか。だから僕は止めようって言ったんだけどなあ。」
『何言ってるんだよ。惣介もノリノリだったじゃないか。』
『丸爺しゃんに任せなかったら、成功してた~のに~!』
ボン!ボン!ボン!と一斉に妖怪変化を解いて、言い合いになる化け狸たち。
「皆さん済みません…。腕試しなんかをしてしまって。
でも妖孤は危険な妖怪で、その上謎の鬼婆も暴れ回ってるわけですから必要かなあと思って…。
あ…決して途中から化かすのが楽しくなったわけではありませんよ。本当に本当です。」
ぺこりと頭を下げる惣介。
化け狸たちは基本的に悪戯好きな妖怪であり、しばしばこういった真似をするのだ。
たまに度が過ぎて、GSに退治されてしまう狸もいるようではあるが。
「あ…ちなみに鍋の具材も鬼婆妖怪の肉じゃなくて山で取れた雉の鍋です。
いくら僕たち化け狸でも、得体の知れない妖怪の肉なんて鍋にしませんって!
まあ昔話なんかでは婆汁を食べてますけどね………あれはあんまりおいしくないそうですよ。」
「――ところで謎の婆妖怪の正体っていったい何なんでしょうね?
実体を持ってるみたいだし、悪霊というより妖怪っぽいですけど……うーん。誰か知ってる?」
惣介が仲間の化け狸に問うと、先程河童に化けていた太郎丸が進み出る。
『赤目山の老婆かぁ……あそこの山の主が零落しちまって妖怪になったんじゃないかねぇ?
山姥って妖怪がいるが、あいつらも元々は山の神だしなぁ。
もしかしたら山霊が祠か何かを壊されて怒ってたりするんじゃないかい?』
「うーん。じゃあ赤目山を調べないと分からないね。」
すかさず、他の化け狸より一回り大きい次郎丸が違う違うと口角泡を飛ばして別の意見を述べる。
『いやいや妖狐だよ!奴の手下ならやりかねないって!絶対そうだ!
最近この辺りをうろついてる“きつねこ”っていう狐だか猫だか分からないのが特にアヤシイ!
まったく…化かすだけならともかく、鬼婆の集団に化けて人間を襲うなんて太ぇ奴らだ!
こうなったら、さっそく皆で西の峰に行って全面戦争だ!』
「やっぱり狐たちが化けて暴れてるのかな…?」
ひと際小さい化け狸、九郎丸も話に乗り遅れまいと輪に加わる。
『そういえば三日前に隣山の歩通ノ山で、何かの呪い(まじない)をしてた怪しい奴を見かけた~でしゅ~!
何だろうと思って後を付けたけど、すぐに巻かれてしまったでしゅ…。』
「歩通ノ山は霊山でもないし、これといったおかしな話も聞かないけどなあ。うーん。
もし狐の仕業じゃないなら、僕たちだけじゃ手に負えないかも知れない…。
あ…そうだった!こんな時の為に凄腕の専門家の方たちを連れて来たんだった。」
惣介は葉っぱを頭に乗せて、再び少年の姿に変化すると床に手をつく。
「牧街さん、カフェさんにお師匠さん、改めてお願いします。
どうか、この辺りの山で起きている異変を解決してくれないでしょうか?
無事に解決してくれたら、僕たちの宝の金の茶釜を差し上げますので……どうかお願いします!」