【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ9at CHARANETA2
【邪気眼】二つ名を持つ異能者になって戦うスレ9 - 暇つぶし2ch178:鳳旋 希一 ◆O93o4cIbWE
09/09/20 21:35:03 0
>>165-167>>171-172
「鳳旋、子供だからって下手に手心を加えているから攻撃の意図が読まれている。
自慢のスピードも心のどこかに躊躇いがあれば容易く読まれる。
相手の背景は考えるな。相手を殺す気で行けないのなら
せめて技と攻撃に全意識を集中しろ。さもないと殺されるぞ。
光龍、よく覚えておけ、これが殺戮のゲームの行き着く果てだ
それに付き合いすぎれば『俺』か、『あいつら』かどちらかになるしかない」
「わかっとる! …そんなことは」
そう、解っている、頭では解っているのだ。

「相手は水使い・・・・・・・・・天候は最悪な事に雨。
だがこんなときだからこそ出来る技がある。
―龍神の灯火に近付く事あたわず!」

『―不知火(しらぬい)』

統治が炎気を開放し、辺りに霧が立ち込める。
霧が晴れると其処には六人の統治がいた。
勿論統治が六人兄弟だったとか、そんな事は断じて無く、
六人の内のいずれかは幻影によって生み出されたものだ。
それは高度な技術と理論に裏打ちされた、まさに神業の域に達する物だったのだが、
鳳旋はその仕組みが全く理解できず、味方に混乱させられる形となってしまった。
混乱している鳳旋を余所に統治達とクローディア達との戦闘が繰り広げられている
「すごい、すごーい! お兄ちゃんたちもまだ遊べるよね?」
クローディアが歓声を上げ、右腕に魚雷を生み出す。
発射と同時に魚雷は何処へと姿を消した。
クローディアの生み出す魚雷は水から水へと瞬間移動する性質があるようだ。
魚雷と接触してその事に本能的に感づいていた鳳旋と、
その様子を観察していた為にその性質に気付いていた光龍は辺りに水が無い為にいきなりの奇襲は無いと気を緩めていた。

―ミシリ、

途端、不吉な音が背後から聞こえてくる。

「―ばぁん」

おどけた様子でクローディアが指鉄砲で樹木を狙い打つ。
鳳旋達が振り向くと、他よりも一回り大きい樹木が彼等の方へ倒れ掛かっていた。
「…ヌぉ………」
頼みの綱の統治は幻影の種を割られたのか、本体が攻撃に遭っている様子で、光龍は足を負傷している。
鳳旋だけならその場から逃げ出す事は容易だった。だが彼には足を負傷している光龍を捨て置く事は出来ない。
「ぬぁー!! 面倒臭いことしおって!!」
止めてやる、といわんばかりに樹木へ突っ込もうとした鳳旋、だがすぐにそんな事は無理だと言う事に気付き踵を返す。
「やっぱ無理じゃ!おぶされ光龍!!」
咄嗟に光龍をおんぶしその場を離れる鳳旋、樹木がピシピシとその体が割れる音を連ねながら鈍い音と共に地面に倒れこむ。
長い年月を経た樹木はクローディアの遊びのためにあっけなくその生涯を終えてしまった。
鳳旋達はその場から離れる事に夢中で統治の姿を確認する事が出来なかった。
「あ、あのガキども…とんでもないことしよる…

 大丈夫か統治ーー!!」

【光龍をおぶって大木を避ける】

179:銀水苑 ◆TF75mpHiwMDV
09/09/21 07:46:27 0
>>171-172 >>178

「くっ、微塵―」

注意深く周囲を警戒していた銀水苑は他の二人よりも早くその事に気付き、
同時に倒木を防ぐ為に異能力を行使しようと―同時に不敵な声を上げるオズワルド。

「みーつけたぁ……。おじちゃんがホンモノだね」
オズワルドの暗い愉悦に満ちた歓声が響く。
「つっ!」
(何れ見破られるとは思ったが此処まで早いとは!)
地中から細い水の奔流が襲い来る。
その危険性を一目で統治は看破した。
水と言って侮れない。
これの原理は工業加工に使われるウォーターカッターと同じだ。
微細な口径より水流を超高速で噴射させる「水の剣」
ウォーターカッターの威力は包丁の薄い刃さえも二枚にスライスしてしまう。
切るための道具でさえ、まるで魚のように斬られてしまうという恐ろしく精緻な切れ味なのだ。
それを回避しようとした統治の動きにあわせて水が曲がる。

「誘導っ!?そうかこいつら、俺の温度を……」

統治の判断は早かった。左手に握り締めていたククリナイフを離す。
能力で熱せられたナイフをデコイとしたのだ。
死の水剣のロックオンが統治から外れ
放った熱を持ったナイフの方を弾き飛ばした。

(ちっ!……折れちゃいないが拾ってる暇はなさそうだ)

180:銀水苑 ◆TF75mpHiwMDV
09/09/21 07:48:41 0
地中からの水による奇襲を間一髪の所で回避する事に成功した銀水苑の前に、
すぐさま次の水が押し寄せる。
しかも此処で踏みとどまれば倒れこむ大木に押し込まれる形の攻撃だ。

(こいつら遊んじゃいるが敵を殺すための攻撃はきっちり織り込んでくる!
下がるか?いや……今下がって受ければ後手に回ってしまう。
古天明平蜘蛛で捌くか?いや、他の異能ならいざ知らず相手は弱点の水…・・・水の刃の貫通性に負ける公算が高い!
ならば……敵を打倒するための活路は九分九厘、自らの前方に有る!)

「前へ!」
躊躇わず前に踏み出す。
背後の空間に巨木が倒れこむ気配を感じ、鳳旋の声が響くのはほぼ同時だった。
先ほどの戦闘で自らの炎を物ともせず踏み込んだ鳳旋の姿が脳裏によぎった。
(前に足を踏み出す事を恐れていたら死んでいた……強敵から学ぶ事の何と多いことか!)
目の前に押し寄せる水の奔流。その数七本。
それに怯まず、炎熱を帯びた小太刀を右手で振るう。
熱を帯びた小太刀が紅い火の尾の軌跡を引いて神速で閃く。
「水に【楔】を打ち込む!」
硬い岩を容易く貫く水の奔流も、その貫通力の源は速度と集中。
炎を纏った小太刀で水の流れを蒸発させながら斬り散らしてしまえば只の水だ。
オズワルドの水流の刃の三本が、瞬く間に威力を殺されて霧に代わる。
統治とオズワルドの間の視界が一瞬不明瞭になる。
だが霧に包まれるその刹那、オズワルドは笑みを崩さなかった。
後続の水流の剣は正確に統治を付けねらう。

「余り大人を舐めるな、見えなくても攻撃できるのはそっちの専売特許じゃない」

181:銀水苑 ◆TF75mpHiwMDV
09/09/21 07:50:51 0
統治も相手の温度で位置を探る事には長けている。
彼の左手がポケットに突っ込まれる。
そこから出された指の間には小さな刃物が四つ握りこまれていた。
刃物と言ってもナイフでは無い。
刃渡りは五寸(約15cm)。小太刀はおろか短刀より短い。
小さいものだが確かに日本刀のようなつくりをした刃……
小柄(こづか)あるいは刀子(とうす)と呼ばれる小刀だ。
小さいとはいえ玉鋼を卸して、鍛え、焼き入れする等、刀鍛冶が刀を作るのとほとんど同じ工程で作られている。
平時では刀の手入れや装具に使われるものだが
戦国時代の戦闘時ならば恐らくその使用方法は・・・・・・投擲である。

「流星が齎す天の回廊に吹き荒れる龍の炎!」

四つの小柄を握りこんだ左手に火珠を発生させる。
思い切り異能の力を込めて、炎気と炎熱を握りつぶさんとするかのように。
炎を圧縮する。
目の前には四つの水流の剣がもう間近に迫っている。

『飛刀術……天尊龍炎!』

水の刃が統治の肩を軽く抉った瞬間。
水の刃とオズワルドを結ぶようにして、統治は左手を開放した。
必殺の水流が、統治の掌から放たれた爆発で消し飛ぶ。
だが、それだけではない。爆炎で防御しただけではないのだ。
これは「カウンター」だ。
爆発で飛ばされた小柄が四つ。
少量の水など意に介さない炎気を纏った刃が
弾かれたような凄まじい速度でオズワルドに向う。

【攻撃を喰らいながらもオズワルドにカウンター。四つの刃を飛ばす】

182:レオーネ ◆GWd4uIuzU6
09/09/21 22:17:59 0
>>176

私が最後の一切れを口へ運び食事を終えると、
丁度ひかるも食べ終えたようだった。
勿論、シヨリ君たちは既に食べ終わっており、それぞれ重い面持で我々の食事を待ってくれていた。
なぜ彼らがこのような表情をするのか、それはまだ解らない。
だが、先程のひかるの言葉の中にキーワードが隠されているような気がする。
私と同じで赦されたい、か。

「それで、これからどうするね?」

ナプキンで口元を拭きつつシヨリ君たちにこれからを問うてみる。
今後の予定を考えているのか、返答はすぐには返ってこない。
仕方が無いといえばそれまでだ。すぐに返事を貰えるとは思っては居ない。
何れにせよ、クリーニング代は払わなければならんし、場合によっては乗せて行ってやらなければならん。
彼らの動向を聞くのは重要な事だった。

―突然のクラシックの音色が沈黙を破る。
携帯のように偽装した機連送を取り出すと、私は席を立った。

「―すまない、失礼するよ」

少し離れた所でひかるに小さく手を振りながら話を始める。

「No.6、今チョイといいかい?」

電話の主は香坂か……。何か問題でも発生したのだろうか?

「No.7とNo.8が医療部の方に運ばれてきたんだ。……残念ながら死亡が確認されたよ」

No.7とNo.8が……? そうか……。
一日でこれだけの成果をもたらすとは……。この街の異能者、流石だな。
素晴らしい成果だ。そうでなくてはな。
全く相槌の一つもしなかった私に不審を抱いたのか、香坂が名前を呼んでくる。
その声を多少鬱陶しそうにして近く似合った窓から外を眺めてみる。

「あぁ、聞いている。解かった、報告をありがとう」

通話を一方的に終わらせると右手で口元を覆い隠す。自然と漏れる笑みを隠す為だった。
そうか、夜叉浪とブリキ君は潰えたか……。
それでこそ、ファーストナンバーを分散させた甲斐があったというものだ。
集結させて一網打尽にしてしまうのは簡単だ。しかし、それでは我々の理想実現は遠退いてしまう。
より多くのメタトロンを欲する炎魔にとって、大量のメタトロンを持つ一桁番号は格好の餌なのだ。
まぁ、最初にこの計画を練ったのは城栄だがね。平時ならばこのような作戦に了承などしないのだが……。
殲滅結社の件も在る。事は慎重に、かつ大胆に運ぶべきだろう。
それに、だ。夜叉浪はともかく、ゴールドウェルの方は私の憎むべき存在である世襲幹部の一人。
世襲幹部が滅んでくれれば私と城栄にとってごの字だ。

席へ戻ると、頼んでいたエスプレッソが運ばれてきていた。
何時の間に……。いや、それよりも冷めない内に飲まなければ。
ソーサーごと手に取り、カップに注がれた黒い水面に口付けをする。
そうだ。シヨリ君たちの今後を聞いて置かなければ。

「それで……どうする? 私たちはこれから中央区に行くが……。
 そこまでならば送っていくよ」

中央区……。ナガツカインテリジェンスのそびえる、街の心臓部。
ひかるの言葉を考えるのは後回しだ。今は自分の使命を果たす、それだけだ。

【レオーネ:現在地 カフェ】

183:木崎 あやせ ◆N8yTRtOcY2
09/09/24 00:30:53 0
>>154-155

>「打て」

キバさんの号令で弓を持った兵士が構え、雷の矢を放った。
突然の号令で大川は身構え、龍頭は自身の主を守らんとその身を盾にしようと動く。
が、その首が動くよりも迅く雷の矢が龍の首を貫き、爆散した。

>「なんだと……!? クッ!」

一つの龍頭が消滅した事で大川自身もダメージを受けたのか、彼は片膝を付き倒れた。
そしてキバさんは好機とばかりに新たな兵士を作り出し、私の横まで移動してきた。

「ありがとう、さっきは助かった。」

「―ッ! 調子に乗らないで……! 一度は助けたけどキバさんに仲間意識を持った覚えは無いよ……!」

突然の私の言葉にキバさんは驚き黙り込む。
そう、異能力者と仲間意識など持たない、持ってはいけない。
私に近付いた人はみんな騎士に殺されるんだから……――

「てめぇらは絶対にぶっ殺してやる……! 俺に黒龍の力をォォ!」

――ゴオオオオォォォォオオオオオオ!

大川の叫びに共鳴した黒龍の咆哮は衝撃波となり、周囲の塀や地面を破壊していく。
私は波動で身を包み、キバさんは独自で盾を持った兵士を作り出しそれを防ぐ。
そして大川の背中から伸びた龍の首は大きく、禍々しい物となっていた。

「ゼェ、ハァ、ハァ……! ここで死んでも……アイツらの敵は取るゥゥゥ!」
「もう、見苦しいだけだよ……」

私は傘を放り投げ、大川に向かって一直線に走り出す。
だが、それを阻むかのように巨大化した黒龍が轟々と風を切りこちらに突進してくる。

「邪魔だよ……。一撃で終わらせる―!」

瞬間、あやせは上に跳躍し、左手の袖に手を滑り込ませる。
そこに忍ばせているのは鞘が付いた小型のナイフ。彼女はナイフを握って身体を捻じり――

「――第一技・抜刀術『円弧・三日月』――」

その場で身体を回しながらナイフを振り抜いた。
勢いよく振り抜かれたナイフの切先から三日月型の刃が飛び、黒龍を切断する。
(障害は排除した! 次で最後――!)
だがあやせは止まらず、着地と同時にナイフを納め一気に大川へと駆け出す。
だが大川は構えもせず、ただあやせを待ち構えていた――

「畜生……。ハッ、こんなガキ如きに殺られるなんてなぁ……」
「最近の女子供を舐めちゃいけないな。その事を、仲間と後悔するんだね。

――第二技・無銘刀『漣』――」

あやせはナイフを抜いて両手で持ち、大川の腹部を突き刺し、横から切り抜けた。
大川はその姿勢を維持しながら、無念の表情を浮かべて倒れていった――

「ふぅ……さて、これで大体片付いてあとはそこで気絶してる男を殺すだけでここに用はなくなるけど。
これからどうするの? キバさん。私はこれ以上あなたと行動する気は無い――」

【才牙に質問】

184:池上 燐介 ◆ICEMANvW8c
09/09/24 02:32:24 0
>>177
>「言わなくても分かるだろ?リースだろ」
廻間はそう答えると、そそくさと俺の横を通り過ぎ、皆が眠る部屋へと向かった。
予想通りの廻間の返答に、俺は「やはりな」というように無言で頷きながら
その後に続いて部屋へと戻り、今後について思いを馳せながら床に腰を下ろした。

(廻間とリースは戻ってきたが、さて……宗方や神重は……。
いずれにせよ……この場所が知れるのも時間の問題、恐らく明日までだろう。
そうなる前に再び闘いを挑みにいくか……)

こうして無言のまま、一人でどのくらいの時間考えを巡らせた頃だろうか。
不意に聞こえてきたか細い声が、俺を思考の迷路から引き戻した。

「……池上……さん? ここは……?」

直ぐに声のした方向に目を向けると、そこには目を開いて意識を取り戻した煌神がいた。

「俺の知り合いの家だ」

そう答えるが、煌神はまだ何が起こったのか理解できない様子で、目をぱちくりしている。

「機関の独房に閉じ込められていたお前と桐北を、俺とその仲間が救出したのさ。
勿論、簡単なことではなかったがな。お前の周りで寝ている連中がいるだろ。それが仲間だ」

これまでの経緯を単純かつ簡潔に説明すると、煌神は顔を動かして辺りを見回し始め、
その内納得したように呟いた。

「そうだったんですか……」
「眠ければまだ寝ていたっていい。
起きていても、どうせもうしばらくはこの場に留まるしかないんだからな」
「はい……。でも、あの……その前に一つ、いいですか……?」
「なんだ?」
「天さんが、今どこで何をしているか……知りませんか?
多分、私を探しているんじゃないかと思うんですけど……私、心配で……」

俺はその問いの回答に躊躇するように、一瞬彼女から視線を外した。
答えが、彼女にとって酷なものになるということは、理解っていたからだ。
だが、同時に隠してもいずれは知れる、ということも理解していた俺は、
無表情のまま彼女の目を見つめ直して、直ぐに事実を告げた。

「─あいつは、死んだよ」

俺の口からあっさりと飛び出た死亡宣告に、彼女は体を硬直させた。

【池上 燐介:目覚めた煌神リンに、戦場ヶ原が死んだことを告げる】

185:ルナ ◆7VdkilIYF.
09/09/24 22:34:19 0
>>153
私と沙羅は男二人を追いかける。
正直放っておいても害は無さそうだが、確かめるに越した事はないだろう。
それにしてもさっきから聞こえるお姉さまという声は一体?

>「うっさい!!小柳!!!」

…いきなり沙羅が切れた。
名前を知ってる事から、どうやら越えの正体を知っているようだ。
沙羅はキレながら振り返る…あ、誰か来た。

「…えーと、知り合い?」

この子は一体誰なんだろう…沙羅は知ってるみたいだけど。

【ルナ:小柳と呼ばれた少女の事を沙羅に聞く】

186:ルナ ◆7VdkilIYF.
09/09/25 12:42:34 0
誤字
越え→声

187: ◆GWd4uIuzU6
09/09/25 22:54:18 0
>>179-181

銀水苑の右手に握られた小太刀が、まるで闇夜に輝く蛍の光のように煌めくと、
オズワルドの異能力『オディール バイ ウォーター』によって形作られた水の奔流は霧へと昇華した。
成分はただの水でしかない『オディール バイ ウォーター』は、
小太刀の熱によってその収束を分散され、結果として脆さを露呈したのであった。

霧に包まれるその瞬間、オズワルドは笑っていた。
―こんなにも楽しい遊びは久しぶりだ。この人にももっと楽しんでもらわなくちゃ……。

今まさにオズワルドの命を受けた水たちは、銀水苑の体温を―正確には彼の纏う熱気を探知し、
その動きをトレースしていく。

>「余り大人を舐めるな、見えなくても攻撃できるのはそっちの専売特許じゃない」

しかし、見えない敵を狙えるのはどうやらオズワルドだけではない様子で、
迫り来る水の刃に物怖じする様子も無い。
こんなにも長く立っていられる人がいるなんて―
これだから、機関の人間と遊ぶのは止められない。普通の異能者はすぐに遊べなくなってしまう。
その点、機関の人間はなかなかしぶといのだ。
オズワルドの高揚はピークに達し、嘲笑はいつしか高笑いに変わっていた。

>『飛刀術……天尊龍炎!』

銀水苑の左手が爆ぜ、その反動を推進剤とした短刀が音速とも言えるスピードでオズワルドを捉えた。

―おかしいな……。血が…血が止まらないや……
―変だ、頭がぼうっとする。白く、霧が掛かったような……。そんな感じだ。

ゆっくり自分の胸を見てみる。そこには短刀が四本、根元まで突き刺さっていたのであった。
オズワルドはそれを引き抜く事もせずに、フラリフラリと糸の切れた人形のように力なく地に伏した。

徐々に霧が晴れ、立っていたのは銀水苑統治その人であった。
彼はこの不明瞭な視界の中での戦いを見事制したのだ。

「ア…アハハハ……おかしい…な、ぁ……。
 ま、まだ、あ…遊び……たりないのに……」

うつ伏せになったオズワルドの顔からは血の気は失せ、
今尚笑みを湛えた口から勢い良く真っ赤な血を吐き出した。
銀水苑を見据え、血を吐きながらも水を操ろうとする。
しかし、その力も最早底を尽きており、雨はしとしととオズワルドを濡らすだけであった。

「ゲホッ、ゲホッ……お、おじちゃんも、楽し…かったよね?
 ハハハハハ……ハ、ハハハ………」

……やがて、その瞳孔から光が失せた。

最後の瞬間まで歪んだ笑みを崩す事は無かったオズワルドの死は、
見る者にこう知らしめるのだった……。

― 一度狂気の扉を開いてしまった者は、最後まで狂ったままなのだ、と。

【オズワルド&クローディア:オズワルド死亡】

188:才牙 ◆vpAT/EK2TU
09/09/28 12:22:06 0
>「―ッ! 調子に乗らないで……! 一度は助けたけどキバさんに仲間意識を持った覚えは無いよ……!」

突然のあやせの言葉に私は驚き考え込む。
ふむ、彼女はただ一匹狼を気取っているわけではないようだ。
もしそうしているのならば、私が異能力者だと知らないにしても私とともに散歩に出るなどとは言い出さないだろう。

>「てめぇらは絶対にぶっ殺してやる……! 俺に黒龍の力をォォ!」

――ゴオオオオォォォォオオオオオオ!

考えていると状況が進行したようだ。
その大川の叫び、そしてそれに共鳴した黒龍の咆哮。
黒龍の咆哮は周囲の物を破壊していく。
それは自分にも向かってきているはずだと思い、剣兵と弓兵を回収し、盾兵を作り出し防御する。
あやせもしっかりと自分でガードしているようだ。
そして大川の背から伸びた黒龍の容貌が大きく禍々しいものに変わる。

>「ゼェ、ハァ、ハァ……! ここで死んでも……アイツらの敵は取るゥゥゥ!」
>「もう、見苦しいだけだよ……」

大川の怒りに燃えた発言、それにものともしないあやせ。
それどころか貶している。
その時あやせは傘を放り投げ大川に向かい一直線に走る。
それを拒むように巨大化した黒龍が風を切りあやせに向かってゆく。

>「邪魔だよ……。一撃で終わらせる―!」

あやせはそう言い上に跳躍し左の袖から何かを取り出し、

>「――第一技・抜刀術『円弧・三日月』――」

その場で身体を回しながらそれを振り抜いた。
勢いよく振り抜かれたそれの切先から三日月の形をした刃が飛び出し黒龍を切断する。
その時やっと取り出した物の正体が分かった。振り抜いた瞬間に見えた物はナイフだった。
そしてあやせは止まらずに、着地と同時にナイフを納め大川に向かい一気に駆け出す。
その時大川は構えもせず、あきらめたようにただあやせを待ち構えていた。

>「畜生……。ハッ、こんなガキ如きに殺られるなんてなぁ……」
>「最近の女子供を舐めちゃいけないな。その事を、仲間と後悔するんだね。

――第二技・無銘刀『漣』――」

あやせはナイフを抜いて両手で持ち、大川の腹部を突き刺し、横から切り抜ける。
大川はその姿勢を維持しながら、無念の表情を浮かべて倒れていった――

「ふぅ……さて、これで大体片付いてあとはそこで気絶してる男を殺すだけでここに用はなくなるけど。
これからどうするの? キバさん。私はこれ以上あなたと行動する気は無い――」


189:才牙 ◆vpAT/EK2TU
09/09/28 12:23:21 0
そしてあやせは無表情に私に問いかける。
私はその言葉に返す言葉などないのだが……どうするかな?
戦っても互いに利はないだろう。そしてただ逃げれば私は臆病者になる。
私は問いかけから数秒もしない内に答えを返す。

「とりあえずその男を殺すのはやめてもらえるかな。僕にとってはとても良い実験材料になるんだ。
もう分かっているとも思うが、さっき僕は医者と言ったそれは嘘だ、だが間違いでもない。
僕はこういった異能力持ちの人間をどうやればなくすことができるか研究しているんだ。人の身体のことを知っているという意味では医者と同じかそれ以上だからね。」

少し長くなってしまったか?まあそれぐらいはどうでも良い。
そして彼女が話そうとした瞬間次の言葉を話し出す。

「ああ、君と戦うつもりはないよ。君と戦っても僕に利はない。
有るとしても君を実験材料にできると言ったものだけになるし、それはこの男だけでも十分だ。
僕は利のない戦いはできるだけしない主義なんだ。
まあ……それでも戦うと言うのなら、容赦はしないけどね。君はかなり強いみたいだし。」

そう言い槍兵を近くに寄せる。

【質問に答え、質問を返す】

190:七草 柴寄 ◆O93o4cIbWE
09/09/28 21:52:35 0
>>181-182

やがてレオーネ達も食事を終え、柴寄達にこれからを問う。
直後、クラシックの音色が沈黙を破る。レオーネは自分の携帯電話を取り出し席を立つ。

「―すまない、失礼するよ」

暫くして、彼が戻ってきた。

「それで……どうする? 私たちはこれから中央区に行くが……。
 そこまでならば送っていくよ」

先程の問いの続き。彼は柴寄達を中央区まで送ってくれるという。

「いえ、結構です、私達はちょうどこの辺りに用が在るので…」

響がそう答えるとレオーネはそうか、と頷いた。
その後会計を済ませ、店を出る。

「ご馳走様でしたレオーネさん、それでは私達はこれで…」

車の荷物入れに積んでいた傘を返してもらった後、彼等は別れた。

「……七草君…」

ひかるの言葉を真に受けた柴寄を心配そうに見る。
響が「大丈夫?」と声をかけると力の無い返事が返ってくるだけだった。

「…あまり、考えすぎない方が良いよ…」

【レオーネ達と別れる】

191:ルージュ ◆3LPMHhiq9U
09/09/29 23:35:51 0
前スレ>>209-210
ビルに突入したルージュは一階の惨状を無視し上階へと移動した。
能力を使い「跳べ、跳べ…」と呟きを繰り返しまるでスーパーボールかのように壁を跳ね、ビル内を上っていく。
「死体ばっかで、つまんなイ…」
その【神野屡霞】という仏教面と【ルージュ】という子供のような声は相変わらず一つの存在に噛みあわなかった。

殴り倒された機関の下っ端達にも眼もくれず(時折跳躍の足場として遊んだが)何事も無くビル内を進んでいた。
(…あ~あ、なんだよ~死体しかないじゃん…ハズレ引いちゃったかな)
何事も無いため、当初の興奮もすっかり冷めてしまいだらだらと歩きながらフロアを移動していた。
「こんなことなら街に居たほうがよか…」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」


突然鳴り響く爆音のような声にルージュは足を止める。
軽く身構えて耳を澄ましてみると、どうやらその声の主は上の階に居ることと同時に戦闘音も混じっていることに気付いた。
            ヤ
「お、ラッキー!! だれか闘ってるみたいじゃん。さっそくボクも…」
足を動かそうとした、その瞬間だった。
突如”自分の右手が自分の体を押して”受身も取れず後頭部から床に倒れた。
「ったーーい!!一体なんなの!!」
(まさか……屡霞…か?)
今までずっと黙っていた背中の刀―『禍の紅』が驚きの声をあげ、質問する。
それに返事するかのように”勝手に動く右手”は背中の刀を抜き、振り上げた。
(戦場ヶ原……の…ところへ…)
微かに脳に響くこの声は確かに神野屡禍本人のものだ。
「嘘だ、ボクが血を使った融解で体の支配を奪われるなんて…ありえない!!」
右手は刀の刃の部分を握り、短く構えると手首を利かせてその輝く刃を一閃させた。
「な!!!」
(ふ、屡禍の腕前をなめるんじゃねーぜ。屡禍が俺を使えばどんなモノだって斬りさせるのさ……例え実体が在ろうとも無かろうともな。)
「そんな…嘘だよネ?……こんなんじゃ…ダメ……金剛様に…嫌われ……あ、ああアアアアアああああアアああ!!」


“神野”が立ち上がると切り裂かれた赤いマフラーが首から滑り落ちていった。
それはまるで呪縛が解けたのを現すかのように。
そして戦友のもとへ走り出した。

【ルージュ:意識が消滅】
【神野:体を奪還。戦場ヶ原の援護に行く】

192:池上 燐介 ◆ICEMANvW8c
09/10/02 10:03:11 0
俺は煌神に、何故山田が死んだのか、
そして何故俺がそれを知っているのか、その理由を説明した。
だが、煌神は彼の死にショックを受けているのか、あるいは説明されるまでもなく
大方察しがついているのか、どこか俺の言葉を上の空で聞いているようだった。

「─奴は自分の命と引き換えにしてでもお前を救おうとした。
だからこそ、囮という危険な大役を自ら買って出たのさ。
奴は死んだが、一先ずお前は生き残れた。この結果にはあいつも納得しているだろう」

そう話を締めくくると同時に、懐から取り出したタバコを銜えて、ライターで火を点ける。
吐き出された煙が俺と煌神の間の空間に舞い、一瞬互いの視界を遮った。
その時、煙の向こうで今まで押し黙っていた彼女が、消え入りそうな声で呟いた。

「納得……? 私は納得なんて……。
……こんなことになるなら、いっそ私も死んでしまえば……」

煙が晴れ、視界が戻る頃には、彼女は俯いて肩を震わせていた。
俺はまた煙を吐き出しながら、淡々と言った。

「死ぬのはお前の勝手だ。だが、死ぬのはこの闘いが終わってからにしてくれ。
今、お前に死なれたら、俺達は困るんだよ。
……城栄の野望を阻止することのできる、重要なカードかもしれんのだからな」

顔を上げ、怪訝な表情を見せる彼女に、俺はこれまでに打ち立てた推理を全て話して聞かせた。
彼女はその推理に概ね納得していたようだったが、
やがて何かの違和感に気がついたのか、眉にしわを寄せて訊ねた。

「炎魔復活にはヤハウェが必要で、その為に機関は私達を連れ去ったいうことは分かりました。
けど、炎魔の餌である私達を、逆に生かしておくことで対炎魔の切り札になるように考えているのは、
一体何故なんですか?」
「万一、炎魔が復活した場合……それを止められるのはお前らヤハウェしかいないと思ったからさ」
「え……? それはどういう……」
「言っただろ。炎魔はヤハウェに封じられたのではないか、と。
そうであれば、復活した炎魔を再び封じることができるのも、また……」
「─!?」
「野望を阻止することのできるカードとは、そういう意味だ」

俺は、タバコを近くにあった灰皿にギュッと押し付けた。

【池上 燐介:炎魔を倒すにはヤハウェが必要と説く】

193:銀水苑 ◆TF75mpHiwMDV
09/10/02 21:03:19 0
>>187

決着は刹那。
狙いは誤らなかった。
死の苦痛を長引かせるつもりは毛頭ない。
だが、銀水苑の表情に勝利の喜びは無い。
例えようの無い哀しみと苦りきった苦悩が滲み出ていた。
「……許せとはいわない。もう……眠れ。
遊びの続きは煉獄で付き合ってやる。
じきに俺も行く」

オズワルドにそう呟くと十字を斬った。
放っておけばこの子の殺戮のゲームは何時までも続いただろう。
救いの無い狂気から開放する。
誰かがやらなければならなかった。
そのためとはいえ……後味は最悪だ。

「光龍、鳳旋……お前たちまで
こんな血みどろで救いの無い修羅の道についてくることは無いぞ。
再三に言うが俺のようにはなるな」

そして、気を緩めることなく
クローディアの方に向き直る。
屍山血河と憎悪に塗れるのが俺の宿命かつ選んだ道だ。
迷いを振り切り、予断を許さぬ次の戦いに備える。

【オズワルドに刹那の黙祷を捧げ、クローディアの攻撃に備える】

194:鳳旋 希一 ◆O93o4cIbWE
09/10/02 21:46:10 0
>>193

やがて統治とオズワルドの戦いにも決着が付いた。
轟く爆音。そして―、オズワルドの胸には四本の短刀が深々と刺さり、やがて彼はその場に崩れ落ちた。
オズワルドは最後までその歪んだ笑みを崩す事は無かった――

「光龍、鳳旋……お前たちまで
こんな血みどろで救いの無い修羅の道についてくることは無いぞ。
再三に言うが俺のようにはなるな」

「………」

鳳旋達はその光景を前に唯立ち尽くすだけだった。

【統治と同じくクローディアの攻撃に備えるが
 オズワルドの死を前にして二人はそれぞれ動揺を抱いている】

195:レオーネ ◆GWd4uIuzU6
09/10/02 22:49:06 0
>>190
>「いえ、結構です、私達はちょうどこの辺りに用が在るので…」

「そうか……」

シヨリ君たちとはどうやら目的地が違うようだな。残念だが、彼らとはここまでだ。
私のミスとは言え、良い時間を過ごせた。
願わくば、彼らの行く先に光が在らん事を……。

―会計を済ませて店を出ると、車の荷物入れに仕舞っておいた傘を彼らに手渡す。
ナナクサ…シヨリか。そう遠くない内にまた会えそうな気がするな。
伊賀を一瞥すると、彼女らに向って一度深く頭を垂れた。
車に乗り込んだ私を、ひかるは上の空で出迎えてきた。
エンジン音が低く唸り、後ろのシヨリ君たちが小さく遠ざかって行く。

「……シヨリという少年は異能者だったな。彼らはこの街で生き残れるだろうか?」

「ええ―心配なの?」

今まで上の空だったひかるが不敵に笑う。その笑みは子供のそれとは程遠く、
どこか魔性さを感じさせる笑みであった。

「そういう訳ではない。だが、この街の状況を見れば彼らの事が気がかりになる」

この混沌とした街の状況も、宇宙が生まれる時のビッグバンのようなものだ。
創世記はここから始まるのだ。

先程も通った交差点を抜けると、カフェへ向う時とは別の世界に迷い込んだような錯覚を覚えた。
なんだ、これは……。妙な―。
信号機、街路樹に道路の反射板……。先程も在った筈の物が、まるで別のモノと入れ替わったような感覚。
―違和感。何かがおかしい。全体としてみれば、確かに何も変わりは無い。
だが、単体としてみると明らかに変だ。

私は後続車にクラクションを鳴らされるのを覚悟で車を停車させた。
案の定、後ろを走っていたワゴン車は勢い良くクラクションを鳴らしてくる。
ルームミラーから後続車を見ると、家族連れなのだろうか、
大きな影と車内をはしゃぎ回る小さな影、合計で5、6人の影が見えた。

止まったままの私に業を煮やしたのか、ワゴン車は対向車線にはみ出してまで私達を追い越して行く。
妙だな……、あの信号機。
さっきは横にライトが並んでいたのに、今は縦に並んでいる。
これが違和感の正体……?

196:レオーネ ◆GWd4uIuzU6
09/10/02 22:50:53 0
>>195

―ドオォォン
突如響く爆発音、甲高い人の悲鳴……。
シンフォニーと呼ぶにはあまりに不細工なそれは私の目の前で起こった。
私達の乗る車の追い越して行ったあのワゴン車が、信号機の所に差し掛かった途端爆発したのだ。
道行く人々は余りにも突然の出来事に言葉も出ず、ただ呆然と炎を見詰めている。
運転席のドアを開け、外に身を乗り出す。あれじゃ誰も助からんな。
子供の影も見えた。気の毒に……。

「よぉく気付いたな、ナンバーシックスゥ。そぉおでなくてはぁ」

変に間延びした女の声が私の裏の顔を呼ぶ。誰だ? 通行人の中に居るのか?
それとなく周りを見渡すが、異質さを醸し出す人物は見当たらない。
だが、声の大きさから察するに近くには居るな。

「狩りの対象はぁオマエとぉ、塚原ぁひかるだったがぁ……。
 妙にカンのいい男だぁ。イハハハハ!」

「貴様、外道院の手の者か……!」

外道院の部下、つまり粛清部隊か。
なるほど、連中なら白昼堂々異能力を使う事に躊躇いを持つ事は無いだろうし、
堅気の人間の命を奪う事も何とも思わないだろう。

しかし、奴の狙いはあくまでも私と、そしてひかるのようだ。
私が違和感を感じて車を停車させたから、先程の親子連れが代わりに……。

「次はぁ、はぁずさないぞぉ……。オマエの異能はぁわたしには効かない。

 わたしの能力はぁ、"透明になれる事ぉ"。だがぁ、透明なのはぁ、わたしだけではないのさあ」

―女の笑い声が聞こえた瞬間、至る所で爆音が響いた。
人も、車も、空を飛ぶ鳥でさえも、その爆音と共に細切れになっていった。

【レオーネ:現在地 市街地中央区】
【粛清部隊隊員 水口 理世(みずぐち りよ)と遭遇】

197:廻間 ◆7VdkilIYF.
09/10/05 13:40:55 0
>>184>>192
俺が部屋へ戻るとそこには、リンが既に目覚めて立ち上がっていた。
とりあえず何か声をかけようとすると、池上がそれを遮るかのように喋りだす。
タイミング的には今二人で何かを喋り始めたから、お前は黙っていろという感じで遮られた…

>「─あいつは、死んだよ」

戦場ヶ原が…死んだ…だって!?
あいつは相当な実力者のはず…それを倒すとなると…それもまた別な実力者にでも…

>「─奴は自分の命と引き換えにしてでもお前を救おうとした。
  だからこそ、囮という危険な大役を自ら買って出たのさ。
  奴は死んだが、一先ずお前は生き残れた。この結果にはあいつも納得しているだろう」

…いや、囮だったのか…あいつらしいような、らしくないような…
戦場ヶ原には、自分の目的のためになら手段は選ばないといった感じが、していなかったわけじゃあない。
しかし、大事な物を奪い返すために自分の命すら捨てるなんて…なんてヤツ…
…こういうのを男っていうのか…?こういうのが男っていうなら、俺は男にはなれるのか…?
リンは肩を震わせて泣きそうになっている、ここは下手に触らない方がいいだろう。
ツバサと俺が戦ったというのは、もう少し後で伝えたほうがいいか。
しかし…何故ツバサは俺を狙ったんだ…?

>「言っただろ。炎魔はヤハウェに封じられたのではないか、と。
 そうであれば、復活した炎魔を再び封じることができるのも、また……」

ヤハウェ…そういえば聞いた事がある言葉。
そしてツバサは…

(―ヤハウェケース―『廻間統時』ッ!貴様には機関の計画の為の生贄になって貰うッ―!!)

こんなことを言っていたな。
つまりこれは…俺がヤハウェだってことだよな?じゃあ俺にも炎魔が封じられる可能性がある…
なるほど、だからツバサは俺を殺そうとしたわけじゃなくて捕まえようとしたわけか。
単純に敵対しているだけ、なら大群を差し向けて殺せばいいだけの話だからな…
…にしても、実感わかないな。何かが変わったわけでもないしな…

「…あれ?みんなどーしたの?」

風呂から上がったのかリースが部屋に入ってくる。

「…ちょっと、な」

リンに同じ説明を聞かせるのも酷だろう…
俺は黙っている事にした。

【廻間:休憩中。 
    自分がヤハウェだと勘付く】
【リース:風呂から上がって部屋に来る】

198: ◆GWd4uIuzU6
09/10/05 22:41:42 0
>>193-194

「あれれぇ? オズワルドは終わっちゃったのー?
 じゃあ、わたしがオズワルドの分まで楽しめるね」

この世でもう唯一となってしまった肉親。その死を目の当たりにしても尚、
歪に歪んでしまった"少女"の心は正される事はなく―

「それじゃあ、続きをやろうよー。今度はおっきいのいくよー」

地面に再び貯まり始めた雨水に暗い影を落とす……。
それは再開の合図、そして"少女"の最後を埋めるピース。
クローディアの目が狙うのは仇である筈の銀水苑ではなく、
手負いの光龍でもなく、ただ一点……鳳旋のみ。
傷を負った光龍と一緒にいれば、それだけ手数が減っていく。

鳳旋の周囲の真新しい水溜りから、"噴水"が湧き出てきた。
否―それは噴水などではない。魚雷がまるで噴水が湧き出てくるかのように、
勢い良く、垂直に、飛び出してきたのだ。
攻撃目標を指定された魚雷たちは、連続的に鳳旋目掛けて襲い掛かって行く。

次で全てが決まる―
途端、クローディアは走り出す。距離を取る為ではなく、詰める為に。
詰める相手は―

「どーして? どーして機関の人が民間人のカタを持つの?」

短刀を前転で避けると、銀水苑の懐へと潜り込む。
目くらましとした鳳旋への攻撃で精神力はほぼ底を尽いた。
一発、多くて二発が限度だろう。だが、クローディアはそれだけあれば十分だった。
……なるほど、彼の熱は雨を寄せ付けない程熱いのが解かる。
これでは周囲に水溜りが出来ない訳だ。
だが、それでも倒す術は在る。

クローディアの魚雷は水から水へ瞬間移動が出来る性質を持っている。
だが、水分は水分でも血液にはワープさせる事は出来ない。
これはどういう原理か解からない。世の中そう上手くは回らないという事なのかも知れない。

―しかし、体液ならば話は別だ。体の中の水分、即ち汗や唾液……。
それらへ魚雷をワープさせる事は可能なのだ。
そして、その為には体が直接触れ合える距離まで接近しなければならない。

その結果、機関という闇に飲まれた者同士が、今完全に拮抗したのである。

「楽しくやりましょうよ……ねぇ? アッハハハハッ!」

猫を思い出させる笑顔は、この世の不純に塗れてしまったクローディアに、
最後に残った良心なのかも知れない。
これさえも失ってしまえば、もはやそれは只の殺人機械でしかないのだ。

魚雷をワープさせるのが先か、銀水苑の小太刀が閃くのが先か……。

【クローディア:鳳旋へ陽動攻撃・銀水苑の零距離へ】
【異能力を仕掛ける直前】


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