08/10/06 01:12:13 0
前スレ>>375つづき
【夜・郊外の森】
【どのくらい時間が経ったか…うつ伏せに倒れた体で、うっすらと目を開けると
まだ月は西の空に沈みかけている時間。場所は、森の入口で、繋がれた馬は大人しく主人が起きるのを待っていた。】
【心臓を抉るような痛みは消えていた。しかし、体に違和感を感じ立ち上がると…己の姿が変わっていることに気付く。
肩にかかるくらいのボブは、ゆるやかなウェーブの長髪に、身に着けていた紳士らしい洋服は禍々しい魔族の鎧に…】
まただ…!あの時と同じ…っ!
【地獄の門番の爪を宿した手甲を見つめながらわなわなと震わせ、呟く。
とある戦場で、狂戦士と恐れられた男と対峙し、心臓を突き刺された時。気がつけば、こんな姿になってしまっていた。】
-お前の命は私の与えた悪魔の魂で繋いでいるだけのこと。もし裏切ったら…-
【盟主の呪いのような言葉を思い出す。もし、エリザベートのことを強く思わなければ、体だけではなく、心も奪われていたに違いない。】
すまんな、『蠅の王』…。まだ…お前にこの魂の全てを食い破らせるわけには…いかないんだ…!
【運命の輪から抜け出せぬ哀しさ。顔を伝う一筋の涙。次の瞬間には、無限の風呂敷を体に巻きつけ、元の洋服の姿を顕す。
短刀を取り出し、長髪を首の近くで片手で束ねると、無造作にそこで短刀を引く。
そして、切り取った銀髪を風に攫わせると森の中を見つめた。】
(約束したんだ…必ず…守ると)
【意を決して、もう一度森に踏み込む。今度はなんの抵抗もなく、森は道を開けた…】