【月面遺跡】クロス・エイジ【ロボバトル】 at CHARANETA2
【月面遺跡】クロス・エイジ【ロボバトル】 - 暇つぶし2ch233:エル ◆GtzExfc62I
08/09/22 11:34:38 O
>「よし、各自損傷をチェックしながら進もう。」
「了解。」
あれ?結構ハデにやらかしたから、それなりに怒ってるかと思ったけど普通だね。
まぁ次は気をつけて撃とう。次があれば、の話だけどさ。フェアリーは撃ち切ったし。
残ってる武装はレールキャノンと機関砲と……荷電粒子砲だけ。
そう言うとハリネズミを見た奴は大抵、『それで足りなきゃ軍艦に乗れ』って言う。
でもね、今の大群を見た後じゃあ正直不安になると思うよ?アタシだけ?
>「さっきの戦闘でお前らが規格外な事はよくわかった。
>ここから先は大回廊ほど広くないからな、味方を巻き込むほど広範囲な攻撃する時は必ずデータリンクしてくれよ。」
あーあ、やっぱり地味に怒ってるんじゃん。ラティフの口調に微かなトゲを感じた。
そりゃ普通は怒るわな。一応これも謝っておこう。
「悪かったね、もうフェアリーは残弾無いから安心していいよ。」

とりあえず機体の損傷をチェックしたが、特に大きい被弾は無かった。
ハリネズミは装甲が脆いけど、それを補って余る弾幕の厚さが機体を守ってくれる。
>「それにしてもあの洗礼の規模は驚いたな。
亡霊どもが混じってなかったのは幸いだったが・・・。」
ラティフの言葉が、苦い記憶を甦らせる。出来れば二度と思い出したくない記憶を…


―4年半前、月面軍第六基地
「姐御、機体の整備が終わりました。弾薬も装填済みです。」
ハンガー内で散歩してたアタシを見付けた整備士が、嬉しそうな顔で駆け寄って来た。
「いつもありがとう、でも『姐御』はやめて。殴るよ?」
「もう殴ってるじゃないですか…嬉しくないんですか?新型ですよ新型!」
殴られて涙ぐむ顔も、後ろに佇む鋼の巨人へと振り返る頃にはニヤけてた。
「いやぁ素晴らしい機体ですよ!見て下さい、あの重厚な存在感!!」
「………そう…だね。」
アタシも機体を見る。確かに今までに見たどの機体よりもゴツい。
一目惚れだった。アタシが求めてた全てが、ギッシリと詰まっている…そう感じた程に。
「テストパイロットのレポートは?」
「ありますよ、これです。評価はA+ですね、スペックはこちらになります。」
手渡された電子ボードを熱心に読んでる途中で、携帯電話が鳴った。

電話の主は月面軍第六基地の同僚、ランディ。同じ遺跡災害救助部隊に所属してる。
内容を聞いたアタシは、すぐに駆け出した。とうとう遺跡から兄の機体が回収されたんだ。


アタシの両親は、20年前に戦争で死んだ。当時2歳だったアタシに両親の記憶は無い。
両親はアタシが生まれる1年前に月に移住した“第八期移民”。
だから月には身寄りが無く、残された肉親は歳が12も離れた兄1人きりだった。
その頃は月の領土関係を巡って、地球の大国が月のあちこちで戦争をしてたそうだ。
もちろんそんな戦争の記憶も無い。覚えてるのは…まだ少年だった兄の、哀しげな横顔だけ。

歳が12も離れると『兄』よりも『父親』みたいな感じだったと思う。
アタシがジュニアスクールを卒業した頃には、既に兄は傭兵として戦場にいた。
月面戦争終結後も、各地で反政府運動が起きてて、月は戦場だらけの地獄だった。
企業連合体を主軸とした『月面独立政府』の発足以来、地球の列強は疲弊したが、
 同じ月に住む人間同士の確執は、戦争が終わった後も消えずに更なる戦火を拡げてたんだ。

アタシには、自分の自由と将来を犠牲にしてきた兄が憐れで仕方なかった。
親代りである責任を背負い込み過ぎた兄に、早く自分の人生を取り戻して欲しかった。
兄が戦場で右腕を失った時は、傭兵稼業を引退してくれると密かに喜んだのに…
結局兄は傭兵から遺跡探索者になった。いくら反対しても、兄は首を縦に振らなかった。
兄にはロボットに乗る以外の生き方が見付けられなかったんだ。
アタシはハイスクールを卒業した後、トライアンフに入社。それ以来、兄とは疎遠。
最初から互いに生きる道が違ってた。何もかも違いすぎた。望んだ未来も、過去への想いも…




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