08/09/22 00:49:08 0
>229
>「よし、各自損傷をチェックしながら進もう。」
そう言うが、今回だけはナグルのことが分かる。
左腕部稼動効率、5%。ウィングバインダーは88%と言ったところ。
ミサイル発射口2箇所損傷、雑魚でこのザマでは先が思いやられる。
しかもこれで修復後だと言うのだ、修復前などほとんどガラクタだ。
>「コボウズ、悪くない攻撃だったが、周りにも気を使ってくれや。
> 名前で呼ばれたいのならそのくらいは出来ねえとな。」
損傷アラートが鬱陶しくて消そうとしたら代わりに専用通信が入る。
内容は……さっきの戦い方への注意だ。
「は、はい、できる限りは……。」
戦闘中と違ってまたしても最初の頃の蚊の鳴くような返答だった。
内心では、そうしたくても“自分”は基本操作ひとつ満足にできない身だ。
加えてさっきの蛮行は“それ”の仕業であって自分のミスじゃない。
……珍しく口に出す前に問題に気づいたので結局それを口走る事はなかった。
(「言ったら余計な不信感を与えちゃう……
これからさらに過酷になるのにそれはまずいよ。
……何とかしなくちゃ。今のままじゃ、あの時と何も……。」)
思い立ったが吉日、先ほどの戦闘中の“それ”の動きを思い出す。
何をするときにどう動かしていたか。どのセンサーをどんな時に見ていたか。
この二つだけでも分かれば、“自分”でも何とかできるかも知れない。
……“それ”に意識を持ってかれると言う根本的な問題に
触れないのは、どうすればいいかすでに解法を導き出しているからだ。
>「それにしてもあの洗礼の規模は驚いたな。
> 亡霊どもが混じってなかったのは幸いだったが・・・。」
しかし生まれつき間が悪いのか、大事なときに限って邪魔が入る。
とは言え悪意がある事は稀なため滅多矢鱈と文句を付けるわけにもいかない。
「……ジェリドさんが言ってたんですが……数日間遺跡探索に
制限を掛けてたから、次に入る時は……相応の質と量を両立させないと、
あっという間に押し潰される、って……制限掛けた理由って……
やっぱり、今回のことの為、でしょうか……?でも質はともかく……
量はどう見ても……ケチってます、よね……。」
しみったれた勇気を振り絞って、連行される間に聞いた事を言ってみる。
(「それにしても、亡霊、か……古代ロボばかりがそういう目に遭ってるって言ってたけど、
ナグルもそうなるのかな……って言うか、今の僕がまさにそれなんじゃないか?
……見た目も亡霊って言うか悪霊っぽいし……。」)
最後の一言、冗談めかして言おうかと思ったけど止めた……
その悪霊を動かすために必要な“自分”という存在、それはすなわち――。
そんな事を考えて背筋が凍るような感覚に襲われていつも以上に口が回らなかったからだ。