08/09/20 20:33:14 O
袈裟掛けの一撃は、紙一重で阿修羅の刀に食い止められる。
続けざまに重い前蹴りを受けたインソムニアは
回廊壁面を擦りながら吹き飛び、ハチドリとぶつかってようやく停止する。
高機動型の為か、インソムニアの機体重量は極端に軽く
質量攻撃の衝撃が効果的なダメージとなるようだった。
スタイルこそ違えど、互いに近距離戦闘を得意とする機体同士。
微妙な距離を置いたまま、文字通り真剣勝負の張りつめた空気が流れる。
一瞬の膠着を破ったのは、阿修羅だった。
阿修羅は一挙に高度を上げ、インソムニアの視界内から消える。
上方、視界外からの一撃。決まればインソムニアをたやすく両断するだろう。
しかし、これはインソムニアも予測済みの事。
かざされた右手のブレードが阿修羅の太刀と衝突し、光の粒子を散らす。
--だが、阿修羅の太刀は一の太刀に留まらない。
上方に集中していたインソムニアは返す刀の
斬り上げに対処仕切れず、胸部から顔にかけて大きな亀裂が刻まれる。
しかし、感情の無いインソムニアが怯む事は無い。
刀を振り切り、腕の伸びきった阿修羅に視界を覆う程の火炎を吹き付け、距離をとる。
……逃走ではない。次の一撃の為の助走距離をとったのだ。
紅い4つの眼が光の尾を引く。爆発的な加速度を乗せた突き。
損傷を負った状態での長期戦は不利と判断したのだろう。
突きは外せば隙が大きい。だが、当たれば致命傷は免れないだろう。
阿修羅のコクピット部めがけ、光が伸びる。
次第に、周囲の敵のカーテンも厚くなっている。
目標地点となる侵入地点に近付きつつあるのだ。
それを拒むかのように、横穴から現れた巨大な影が第4基地部隊全体を覆う。
通常より遙かに巨大なパンプシャーストーンだ。
それと同時に飛び出したハチドリの一群が、吹き飛ばされたケイとモエを
巣に引きずり込もうと群をなして掴みかかる。
巨大パンプシャーストーンの全身がぼんやりと光り始める。
他の古代兵器もろとも、全身発光を浴びせるつもりなのだろう。
【第4部隊が大方突入に入ったので、個人的にこちらもそろそろかと思う。
初戦闘なので巨大敵機は各人、自分の見せ場にしていただきたく思う】