08/09/19 16:15:48 O
自分がいつから、何故、存在しているのか。
答えをくれる者は、ここには無い。
【ゴルディアス大回廊】
ケイのサンダーストームにより敵が大幅に数を減らしたのも束の間、
アルラウネの対空監視レーダーが、新たな敵機の出現を報せる。
その中に一機--アルラウネの重々しい排気音と不協和音を奏でるように、
蒼い影が独特の甲高い風切り音と共に、月の淡い人工大気を切り裂いてゆく。
インソムニア。ある時期から、遺跡外へ襲撃を繰り返す特殊ガーディアン。
いや、ガーディアン--守護者ではなく襲撃者と呼ぶべきか。
その矛先は、いずれも古代技術の解析に多大な貢献をした企業群であった。
「あれは人類に警告を与えているのだ」
そんな噂が囁かれるようになるのに、時間はかからなかった。
インソムニアは敵機に囲まれたレイの横を抜け、
アルラウネに並ぶように速度を合わせる。
25mの巨人の眼が、数瞬、艦橋のドレイクのそれと交差する。
その4つの赤い複眼は、どこか死者の眼を思わせた。
次の瞬間、飛行形態をとったインソムニアは急速にアルラウネを離れ、
アルラウネとケイ機、レイ機にミサイルを放つ。
それぞれに3発ずつ。いずれも正面からの接近。
ダメージよりも威嚇と牽制を狙った物だろう。
インソムニアは再び人型に戻り、慣性に乗ったままユーリ機に袈裟斬りをしかける。