【月面遺跡】クロス・エイジ【ロボバトル】 at CHARANETA2
【月面遺跡】クロス・エイジ【ロボバトル】 - 暇つぶし2ch106:◇xK7dfy5P/g
08/09/15 22:52:47 0
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腕利きを集めるために酒場に向かっていたジェリドの認証カードに
軍上層部からの通信、つまり命令が送信された。内容は細部こそ違うものの
ラティフに伝えられたものとほぼ同じものだった。
「ちっ……どういう事だ?
 さっきまであれだけ自前で民間協力者を募れとかほざいておきながら……!」
ジェリドは月面軍のエリート部隊『ディアナーン』に所属するパイロット。
軍学校を主席で卒業し、模擬戦でも2000回負けなしのレコードを持つスペシャルだ。
戦場の空気も経験しているし、生死の境をさまよった事も両手で数えられない。
ただのペーパーエリートでなく現場を知る、本物のエリートを自負しているのだ。
それが、何の悪い冗談かうじうじしたクソガキのお守りを押し付けられて……
しかもそいつの代わりに交渉やらまでしなくてはいけないのだ。軍人の仕事じゃない、と
苛立つのも無理はない。それに加えてこの朝令暮改、口調も気分もお肌も大荒れ極まりない。
だがそんな荒れた気分も内容にきちんと目を通していく内に幾分かは収まった。
ラティフと言う男が到達深度を更新した、と言う事が添えられており
その為急きょ命令を変更せざるを得なかったと言うわけだ。
「はぁ……仕方ねぇ。一杯やりながら交渉したかったがお偉いさんの命令を
 無視ったら干されるからな……クソガキにこの事も伝えにゃならんし、帰るか。」
上の命令には不承不承ながらも従うあたりジェリドは世渡り上手かもしれない……

月面軍第五基地……ネイアラの南西に位置するこの基地ではもっぱら
新技術の開発や古代技術の解析が行われている。コウキと共に運び込まれた
ナグルも基地のハンガーに無理やり固定されて(当然ながら規格が合わないため)
解析中である。もっとも解析班の懸命の努力も空しく何一つ満足な結果が出ていないのだが……
分かった事と言えば、コックピット周りの計器類や仕様、規格が他の古代文明ロボと比較して
現代ロボにかなり近い事、だがメーターは何を指しているのか分からないし
操縦システムもちんぷんかんぷん、これでは報告書など上げられようはずもない。

「おい、コウキ。喜べ、明日探索チームを第六基地で編成する事になった。
 うまく行けば、一回潜っただけで自由の身になれるぞ?」
ジェリドは嫌味ったらしさと苛立ちが半分ずつの笑顔で、与えられた部屋の隅で
自分の殻に閉じこもっているコウキに声をかけた。だが返ってきた言葉は
『そんな、うまく行くわけないじゃないですか……
 ジェリドさんはいいですよね、後ろで見てるだけですから……』
と言う代物。それを聞いたジェリドの顔は自然と怒りに染まっていった。
ただでさえいらついてるところにこのヒネタ台詞、
比較的短気なジェリドでなくてもカチンと来るだろう。
「なんだとこのクソガキが!もっぺんぶん殴られたいか!?」
『やや、や、やめて下さいよ……』
ここに来るまでに都合三回コウキは殴られている。
いつまでもウジウジしてるその態度がジェリドの神経をいちいち逆撫でするのだ。
上層部からの命令でなければとっくに宇宙に放り出している。
「自分の身は自分で守るのが戦場なんだ、当然俺も戦うんだよ。
 言っとくがな、お前のお守りなんかしねぇぞ。死んでも誰も損しねぇんだからな、
 疫病神のお前が死んでもな!」
『……』
奇跡的に死人こそ出なかったが、結果的に町一つ瓦礫の山にしてしまった
コウキにはそれ以上言い返すことはできなかった。その上コウキのストレスに反応したらしく、
抑留中にナグルが突然起動して抑留所とその近辺も吹っ飛ばしているから余計に、だ。
「いいか、集合は明日の正午だ。今の内に準備を終わらせとけよ。
 寝坊なんかしやがったら、修正一発じゃ済まさねぇからな!
 後は一応規則で遺書を書く事になってるんだが……お前にはいらねぇな。
 読む奴なんかいやしねぇもんなぁ。まぁそこは好きにしろ。あばよ。」
言いたい放題言ってジェリドは部屋を後にした。
残されたコウキはと言うと……
『……なんで、僕がこんな目に……僕は、僕はただ……』
ウジウジと不毛な不平不満を虚空に吐き出すばかりだった。


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