09/03/10 01:52:45 0
>>813 手作りのチョコ
《―食べるのは待ってくださいコクト。それ、貴方宛じゃないです》
どういうことだ?包みには僕の名前が書いてあるみたいだけど
《いいえ。この複雑怪奇な暗号を解く為に忘れてならない前提は、
贈られたものが例外的に「10円チョコではなかった」という点です》
……暗号なのか、これ
確かに、みんなと品物が違うのは何か大事な意味があるからかもしれない
《斯かる事実は「10を消去せよ」を暗に示したユカリの解読指示なのです。
宛名をローマ字に直してアルファベットの何文字目かメモしてみてください》
ええっと。カタカナだと三文字だけど……
コクト=KOKUTO=【K(11)・O(15)】【K(11)・U(21)】【T(20)・O(15)】
《はい。『1x』の形である文字は『K(11)』と『O(15)』ですから、
それぞれ『K(11)』→『A(1)』、『O(15)』→『E(5)』に置き換えます》
少し整理させてくれ
【(A1)・(E5)】【(A1)・U(21)】【T(20)・E(5)】こういうことになるのか
《ここからは名前に含まれる母音の数に注目します。本来は三つの母音が五つになってしまっていますね。
またユカリの言葉を思い出しましょう「受け取って=UKE取って=【U(21)・K(11)・E(5)】取って」です。
その中の母音は『U(21)』『E(5)』の二つですので、この二箇所を取り上げて考えればいいことがわかります。
【A(1)・U(21)】【T(20)・E(5)】の二箇所を統合して【A(1)+U(21)=V(22)】【T(20)+E(5)=Y(25)】が得られました》
【A(1)・E(5)】【V(22)】【Y(25)】だな
今度は母音が一つ足りなくなったけど、どうするんだ?
《バレンタイン(Valentine)の頭文字である【V(22)】を分解して母音の数を本来の三つに戻しましょう。
これまでに一度も登場せず、唯一隠されていた母音……もうわかりましたね。
―そう。「愛」を示す母音『I(9)』と子音の組み合わせである【V(22)→I(9)+M(13)】が正解です。
これで見ての通り『A(1)』『E(5)』『I(9)』『M(13)』『Y(25)』の五つのアルファベットが抽出できました。
最後に、これをアナグラムすると【M(13)・E(5)】【I(9)】【Y(25)・A(1)】=MEIYA=メイヤとなり、
包みに書いてあるメッセージ「コクトへ」の本来の意味が「メイヤへ」であると容易に解読できます。
愛する私にチョコレートを遠まわしな方法で贈ってくれたユカリの奥ゆかしい乙女心がわかりますね》
その解読内容が正解だったとすると
どれだけ照れ屋な女の子なんだろう……平井さん
《今後も「コクトが好き」とか「コクトとイチャイチャしたい」などと言い出しやがるかもしれませんが
それらは全て私を指していると考えるべきです。素直になれないユカリの気持ちを酌んであげてください》
―ああ。わかった。お礼も聞かずに走って行ったのも、そういう事情だったわけか
平井さんに恥ずかしい思いをさせない為には、僕はそれに気付かないフリで居るのが良さそうだ
《そこまで理解できたら早速いただきましょう。私の為にちゃんと味わってください》
それじゃ、心していただきます―