闇に降り立った天才  アカギat CHARANETA2
闇に降り立った天才  アカギ - 暇つぶし2ch471:宇海零の栄光の時
08/05/02 21:40:05 0
「ふう…流石に疲れるぜ」
オレは研究室のソファーに体を投げた。ボフッという音と共に体を暖かな毛布が覆う
それだけで疲れが少し取れたような気がした。流石にうつ伏せのままだときついので仰向けになるために体を起こす
そのとき何気なく目に入った机の上にある写真立て
そこに写る4人、ユウキ、ヒロシ、ミツル…そして、オレ…。オレ達が笑っている写真。まだ、何のしこりもなく笑い合えていた日々
それはオレがあの仲間を離れた…。そんな事実を突きつけているように思えて写真立てを倒した。
「ちっ…あの日…オレは誓ったんじゃないのかよ」
独りぼやくあの穏やかで居心地の良かった日々。それに別れを告げたあの日に…。
オレは全てを失くした訳ではない。頭脳がある。この頭脳で誰よりも業績を上げる。それが目標――
今のオレではこんな後ろ向きなオレではあいつ等に会うどころか話すこともする資格はない。
親友と話すことに資格はいらねぇ。それは真理だ。でも、オレのケースは違う。
あいつ等の元を離れるときに自分に誓っているから。対等になれるまで、自分を誇れる大切なものを手にするまで。
オレは………
何時か、あいつ等とまた会って笑い合いたい。そんな思いが沸いてくる。
その思いがオレに少しの力をくれる。立ち上がるために必要最低限の力を。
また、明日も頑張る!そう思えたからオレはまた写真を立てて部屋の電気を消した…。
学会で教授がオーバードクター問題の現実について講演をしている。
うっせーよ…分かってるってんだ…。そんな思いを心の中で呟く。
でも、教授の言うことは正しい。開難中では一番だったオレ…。
でも、ここ、東大の院では一番になれていない。オレよりも頭のいい奴はごろごろいた。
どれだけ本気で勉強しても追いつけない。それが焦りを生み能率を下げる。
オレの悪い癖らしい。力はある!少なくともオレはそう思っている。
いつか、ここでも一番に…。いや、世界で一番になってみせる!!!
今…オレ達の共有する学術雑誌、ここに論文を刻んでやる。
睡魔が襲ったがそれでもオレは前へ前へ…、頭が重くなっても目が霞んでも前へ……
何時しか…オレはDC学振を手にしていた。研究にだけは真摯に取り組む日々。
基本書を勉強したり、最新の論文は欠かさずチェックした。
そんな中、時々携帯にかかってくるユウキ、ヒロシそしてミツルの電話。でも、オレは出なかった。
オレはまだ大切だ!!と誇れるものを得てなかった。世界でもトップレベルの研究をできていなかったから。ただ心の中で…
(もう少しだけ待っててくれや)
そう相手の居ない会話に言葉を返すだけだった…。

そして時は過ぎ―――
オレはポスドクになっている。PD学振は楽に勝て今…アカポス公募に応募。
オレが出しているのはとある高専の公募だ。流石に頭のいい奴が残っていてキツイ。
そして、オレは面接の通知を受け取った。まだだ…。
これはまだ書類選考。次の面接が全てだ。そう気持ちを切り替えていた。
これから始まる闘い。嵐の前の静けさとはこのことを言うのだろうか…。
先の公募書類作成と違って俺の心は今のこの青空のように澄み渡っていた。
何も考える必要なんてない。ただ…面接に集中する。
ドクン…ドクン…
落ち着いているはずなのに聞こえる鼓動。……会場の一瞬の静寂。
「これより、面接試問を開始します」
始まりの合図。オレは…ただ無心で…面接官の質問を捌いた―――
気が付いたらオレはアカポスを手にしていた。
行き先は高専…ぎりぎりアカデミアでサヴァイヴ出来る結果。満足はしていない。
でも、やっと形に出来た。オレの大切な誇れるもの。
だから―――
「それでは、**高専に着任された宇海先生にお話を伺います」
「見てるか、有名人だろ、オレ。」
ミツル…今ならこんな言葉も言えるんだぜ?強くなっただろ?
「では…これからまずどうしますか?」
「故郷に帰ります。まさしく錦を飾るって奴でね」
故郷…聖域だな…オレにとっては……
「聞こえてんのか?ユウキ、ヒロシ、ミツル。ちゃんと宴会の用意しておけよ?」
そうだ、お前らだよ。どうせ見てんだろ?
教員公募スレをさ…。帰るぜ…お前らのいるとこに。あの誓いを守れたから…。


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