08/01/04 00:54:16 0
俺は嫌な事があると、夜を散歩する癖がある。
実家にいた頃は人気のない倉庫街を目的も無しにうろつき、歩き煙草をしていたものだ。
親には変な事件に巻き込まれるから止めなさいと何度も言われていたが、
不思議と厄介事に巻き込まれた事は無かった。
今日は進路相談のストレスを理由に、夜出歩いている。
俺の通っている、この修知学院は校則が緩い。
寮に住んでいる学院生ならば、敷地内に限り夜に出歩いても文句は出ないのだ。
もっとも、歩いて市街地まで15分は掛かるので、寮を出ても何かする事がある訳でもない。
夜歩く人間は少ない。
だからこそ、なのだろう。
血液を撒き散らし、空から降ってくる少女を発見したのは。
「アナタ、オイシソウネ？」
俺には少女の紅く輝く瞳が、怪しく歪んだように見えた。
そして今日。「吸血鬼の完全殲滅」を目標とする聖騎士団を名乗る者達の乱入により、
学院は阿鼻叫喚の様相を呈しつつあった。
―アナタ、オイシソウネ？
俺はこんな異常事態にも関わらず、昨夜の少女の事が頭から離れなかった。
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