09/09/13 20:34:59
恐怖に顔を引き攣らせるバルバリシア。だが彼女の頬に当たったのは風だけだった。
へたり込むバルバリシア。完全に戦意を喪失した上、一気に緊張の糸が切れたのか、彼女は恥も外聞もなく声を上げて泣き出した。
「…ギブ…アップ」
嗚咽に詰まりながら遂に負けを認めたバルバリシアの座っている所には、黄金色の水溜まりが広がっていた。
「…何で…最後寸止めに?」
闘い済んでようやく泣き止んだバルバリシアはセリスに問うた。
「そんなに赤く腫らしちゃって…やっぱり女に取って顔は命でしょう」
自分も散々顔を張られたはずのセリスの言葉に、バルバリシアはうつむいた。
「完全に負けたわ…これがヒロインと悪役の差なのかしらね…」
自嘲的に笑ったバルバリシアは静かに立ち上がった。
「もう一度出直すわ。今度こそ絶対勝つわよ、正々堂々とね」
「…待ってるわ。返り討ちにしてあげる」
ようやく女豹から人に戻り笑い合った二人は、勝者敗者ともにどこか清々しい表情で家路についた。