09/09/17 21:00:30 pHf6SNHxP
>>121
pixivから来た人でつね
うp
123:名無しかわいいよ名無し
09/09/17 21:12:30 SC0RFcaR0
>>122
ベトナーム ホーチーミン
ベトナーム ホーチーミン
124:名無しかわいいよ名無し
09/09/18 13:45:35 psiiaCXYO
ニャンさん乙
125:名無しかわいいよ名無し
09/09/18 19:26:40 iyuNC4860
かがみ「何でこなたの自殺スレの方が賑わってるのよ。納得いかねー」
126:名無しかわいいよ名無し
09/09/18 19:58:17 /PPZ9QZR0
>>118
かがみ「ナマ物はまだ私にも手が出せないジャンルだわ」
127:名無しかわいいよ名無し
09/09/18 22:11:28 evLTWfmB0
原作ではかがみは大学で楽しくやってるんだろうか
128:名無しかわいいよ名無し
09/09/19 09:43:52 /JzKTwkuO
かがみ「友達?い、いるわよ!」
129:名無しかわいいよ名無し
09/09/19 13:06:45 oF+Fs29T0
会話形式の短いSSは需要ありますか?
130:名無しかわいいよ名無し
09/09/19 13:32:03 L1fm/z1P0
かがみ「パラレルワールドには大学で楽しくやってる私もいるんだろなー、はぁ・・」
131:名無しかわいいよ名無し
09/09/19 13:33:10 L1fm/z1P0
かがみ「交代してくんないかなぁ・・」
132:名無しかわいいよ名無し
09/09/19 17:52:45 HF+ruNJV0
>>129
ある
133:名無しかわいいよ名無し
09/09/19 18:44:12 Xq3eHNw50
>>129
あるに決まってるじゃないの
134:名無しかわいいよ名無し
09/09/19 22:32:37 XX1K6Gog0
では今から投下させて戴きます。
135:寂寥の渦1
09/09/19 22:33:23 XX1K6Gog0
みさお「よっし! やっと授業終わったぜ」
あやの「みさちゃん、お昼からほとんど寝てなかった……?」
みさお「そうだっけ? あ、そだ。あやの、今日は何か予定あんのか?」
あやの「う~ん……特に無いかな」
かがみ「あれ? 今日もデートじゃないの?」
あやの「柊ちゃん、そんな毎日デートしてるみたいな言い方しないでよ」
みさお「そうだぞ~、あやのは週1って決まってんだから」
あやの「みさちゃんまで……」
かがみ「そういえば峰岸のお相手ってどんな人なの?」
みさお「………………」
あやの「………………」
かがみ「あれ? どしたの?」
みさお「いや、なあ……?」
あやの「ねえ……」
かがみ「何よ? 気になるじゃない」
みさお「柊ってさ、5年も同じクラスだった割にはウチらのこと、全然知らないよな」
かがみ「え? いや……何よ急に」
あやの「み、みさちゃん……」
みさお「ってかずっと同じクラスだったこと自体、柊は気付いてなかったんだよな」(2・73)
あやの「みさちゃん、私たちのこと”背景”って言ったくらいだもんね」
かがみ「ああ、いや、それはさ……」
みさお「どうせあのチビッ子たちの方がいいんだろ~。この薄情者~」
かがみ「ちょっと待ちなさいよ」
あやの「柊ちゃん?」
かがみ「前から思ってたけどさ、同じクラスだから仲良くするって別に決まってるわけじゃないでしょ?」
みさお「……は?」
かがみ「だからさ、人の交友関係なんてそれぞれなんだから、私が薄情者なんて言われる筋合いないっていうの」
みさお「…………」
かがみ「だろ? 私がどこのクラスの誰と付き合おうが私の勝手じゃない」
あやの「柊ちゃん、それは言い過ぎだと思うわ」
かがみ「峰岸、日下部の肩持ちたいのは分かるけどさ」
あやの「柊ちゃん、友だちは似たタイプが集まるって認めてたでしょ?」(2・92)
かがみ「…………?」
あやの「試験勉強してた時のことよ。あれって泉ちゃんと妹ちゃんを私たちに重ねてたのよね?」
かがみ「うっ……確かに……」
あやの「あの時、ハッキリ”友だち”って言葉を使ってたわ。だけど……」
かがみ「…………」
あやの「さっきのみさちゃんへの言い方―友だちに対する言葉とは思えないわ」
みさお「そ、そうだぞ! あやの、よく言った!」
かがみ「な、なによ、2人して……」
みさお「柊って結構ウチらに対しては距離置くよな」
かがみ「そんな事ないじゃない。もしそうだったら今だってこうやって話してないわよ」
あやの「苗字で呼び合ってるのがその証拠よ」
かがみ「だ、だったらそれはそっちも同じでしょうが。私のこと”柊”って呼んでるじゃないの」
みさお「聞いたか? ”そっち”だってよ。完全に線引いてる証拠じゃね?」
あやの「そうね…………」
みさお「さっきの試験の時の話だけどさ、あやのがお菓子作るの得意だってあの時まで知らなかったんだよな?」
かがみ「……そりゃ……そういう話する機会なんてなかったし」
あやの「5年も?」
かがみ「…………」
みさお「その割には結構ズバズバもの言うよな。特に私にはさ」
かがみ「な、なによ? この上まだ何言うつもりよ?」
みさお「あやのに”私の教育間違ったんじゃないか”とか、無計画で自堕落だとか」(3・27)
あやの「言ってたわね、確かに。それにズボラだとも」(3・67)
かがみ「わ、悪かったわよ……。っていうかよくそんなに憶えてるな」
あやの「言った方は忘れてても、言われた方はよく憶えてるものよ」
かがみ「た、確かに……」
あやの「う~ん……」
みさお「どした?」
あやの「さっきから考えてたんだけど、やっぱり柊ちゃんから壁を作ってるような感じがしてきたわ」
136:寂寥の渦2
09/09/19 22:34:19 XX1K6Gog0
みさお「たとえば?」
あやの「私たちのこと、”仲いいけどケンカしたことあるの?”とか」(3・126)
みさお「そういや、私がゲームやるのも意外そうだったよな」(3・135)
かがみ「いや、だってあの時はほんとに日下部がゲームやるとは思ってなかったし」
みさお「柊とはクリスマスも遊びに行ったことないんだよな」(4・82)
あやの「もうかれこれ数年の付き合いなのに」
みさお「ロト6は当ててくんねーし」(4・20)
かがみ「あれは私のせいじゃないだろ」
みさお「せっかく遊びに行ってんのに本読んでるし」(4・22)
かがみ「あんたがアポなしに急に来るからだろ」
みさお「プリンのカラメルの時なんか私のこと、思いっきりバカにしたし」(4・30)
かがみ「誰だって悩みなさそうに見えるだろ」
あやの「それ、前にも言ってたわよね?」(4・113)
みさお「ニボシとかムンクとか……」(4・54)
かがみ「っていうかさっきから多すぎだろ」
みさお「柊は私をバカにして愉しんでるんだ! あやの~~」
あやの「よしよし」
かがみ「べ、別にバカになんかしてないわよ!」
こなた「やふ~」
みゆき「お邪魔します」
あやの「珍しいね。みんなでこっちに来るなんて」
つかさ「えへへ、一緒に帰ろうと思って」
みさお「チビッ子、聞いてくれよ。柊がさぁ―」
こなた「ふむふむ。つまりみさきちは度々かがみにバカにされて悔しい……と」
かがみ「だからバカにしてないって―」
みさお「かがみは結構ズバズバもの言うからね~。遠慮しないっていうか」
あやの「泉ちゃんもそう思う?」
こなた「その時はあまり感じないけど、後になって振り返ってみたらヒドイなってのはよくあるよ」
かがみ「ちょ、ちょっと。こなたまで何言うのよ?」
つかさ「お姉ちゃん、落ち着いて……」
こなた「でもそれって私も同じなんだよね。だから、その、ごめん」
みさお「…………なんで私に謝るんだ?」
こなた「私もみさきちにヒドイこと言ったからね。それはちゃんと謝らないと」(5・46-47)
みさお「ああ、あのことか」
こなた「うん、ほんとにごめん」
みさお「へー、チビッ子もそういうの、一応気にするタイプなんだな」
あやの「それにしては謝るの遅すぎないかな? おまけに知り合って日も浅いのにあんなコト……」
みさお「あやの、いいって」
あやの「でも……」
みさお「悪いって思って謝ってるんだ。それ以上言う必要はないって」
あやの「う……ん……」
みゆき「峰岸さん」
あやの「…………?」
みゆき「泉さんが何を仰ったのかは存じませんが、非礼を詫びるというのはなかなか難しいものです。
時間が経っていようともそういった気持ちを持つことが大切ではないでしょうか」
みさお「お、いま眼鏡ちゃんが良いこと言った」
あやの「そう、ね」
みさお「チビッ子も気にしなくていいぜ。あやのだって私の代わりに怒ってくれてるようなもんだし」
みゆき「お二人は本当に仲がよろしいのですね。羨ましいです」
みさお「小っちゃい頃から一緒だったからな」
あやの「ごめんね、泉ちゃん。私、みさちゃんの事になるとつい……」
こなた「いいよ。元々は私が悪いんだし」
みさお「チビッ子は悪いと思ったらちゃんと謝るんだな。ちょっと安心したぜ」
こなた「…………?」
あやの「……そういえば柊ちゃんが謝ったことなんて一度もなかったわよね」
かがみ「ちょっと待ってよ。なんでそこでまた私の話になるわけ?」
あやの「あら、大事なことじゃない」
こなた「かがみってやたらと他人にしっかりしろとか言うよね」
みさお「ああ、あるある。そのくせ自分はだらしなかったりするんだよな」
つかさ「う~ん……言われてみれば確かに……。でも家ではしっかりしてるよ?」
137:寂寥の渦3
09/09/19 22:35:09 XX1K6Gog0
こなた「しっかりしてたらダイエットダイエットって言わないよ」
みさお「だよな。間食やめられないのも結局はだらしないからだしさ」
みゆき「あの、かがみさんが口うるさく言われるのは皆さんを想ってのことかもしれませんよ?」
かがみ「みゆき……フォロー嬉しいけど、”口うるさい”ってのはやめてくれない?」
みゆき「はっ!? これは失礼しました」
みさお「これからやろうって時に宿題やったか? とか」(4・129)
こなた「受験生なんだからもっと自覚持て、ってよく言われたよ」
みさお「いや、チビッ子はほんとに自覚持ったほうがいいんじゃね?」
こなた「な、なにおぅ!?」
あやの「まあまあ……」
みさお「あ~でも私たちだけじゃなかったんだな。柊にイラッとしてたの」
みゆき「く、日下部さん……!!」
つかさ「ごめんね。お姉ちゃんも悪いと思ってるんだろうけど言い方がキツイから」
かがみ「ちょっとちょっと! なんであんたが謝ってんのよ!」
みさお「チビッ子なんてしょっちゅう言われてそうだよな~」
こなた「まあ実際、いろいろ言われてるけどね」
あやの「どんな?」
こなた「バレンタインの思い出はゲームの中だけだって言ったら、”あんたの将来が心配だ”って」(1・12)
みさお「言いそうだよな。ちなみにあやのはそのテのイベントの時は大忙しだぜ?」
あやの「み、みさちゃん!!」
こなた「そういえば風邪ひいたからってお見舞いに行ったら、第一声が”帰れ”だったよ」(1・19)
みさお「うわ……ひっでーな」
かがみ「違うわよ。こいつがおちょくりに来たからよ」
こなた「私のこと、社交性ゼロとも言ったよね?」(1・30)
みゆき「そんな事ありませんよ。泉さんはとても外向的な方ですし」
こなた「”私たちと知り合う前に友だちいたのか”っていうのにはさすがに傷ついたよ」(1・30)
みゆき「かがみさん……それはさすがに言いすぎなのでは……?」
つかさ「そういえばお姉ちゃん、こなちゃんにはずいぶん厳しいよね」
あやの「みさちゃんに対してもよ」
こなた「みさきちはどんなこと言われてるの?」
みさお「詳しい話は遡ってくれれば大体分かるぜ」
あやの「っていうのもあんまりだから、つい最近の話だと―」
かがみ「わざわざ思い出さなくていいっての」
あやの「みさちゃんを”アレ”呼ばわりしたのは許せなかったわ」(6・90)
みさお「なにぃーー!?」
あやの「笑って取り繕ったけど、本当はすごく悔しかったのよ? あの時は―」
こなた「調理実習の時だね。私もついついみさきちと張り合っちゃうんだよね」
つかさ「峰岸さん、お料理上手だもんね」
あやの「妹ちゃんもお菓子作るのが得意なんでしょ? 今度教えてほしいな」
つかさ「いつでもウチに来てよ。あ、でもお姉ちゃんがいない時のほうがいいかな……」
かがみ「つかさ、あんた気を遣うとこ間違ってるから。だいたいこいつらの話鵜呑みにしちゃ―」
みさお「柊には散々バカにされてるけど、決定的だったのはこの前のテストの時だな」
こなた「テスト?」
みさお「英語の長文読解のところで中国人がどうこうって例文あっただろ?」
こなた「そんなのあったっけ?」
みさお「……おいおい、どっちがバカキャラなんだよ?」
こなた「むぅ……」
みさお「でさ、漫画とかに出てくる中国人ってなんで皆、語尾が”~アル”なのか気になったわけよ」
こなた「あ~そういえばそだね」
あやの「その時に柊ちゃんが言ったのよね。試験中はもっと別のことに頭使えって」
こなた「それはそうなんだけど、もうちょっと言い方があってもいいよね」
みさお「いやさ、別にそれはいいんだよ。間違いじゃないし。柊、その後にこう言ったんだ」
こなた「…………?」
みさお「”ああ、考えても分からないのか”ってさ」(6・109)
つかさ「…………」
みゆき「…………」
こなた「いくら何でもヒドイよ。私とかつかさでも同じこと言ったんじゃない?」
みさお「それはどうか知んねーけど、柊はそういう奴だぜ」
みゆき「かがみさん……見損ないました」
138:寂寥の渦4
09/09/19 22:36:39 XX1K6Gog0
かがみ「あ、そ、それは悪かったわ。確かにちょっと言い過ぎだったかも……」
みゆき「ちょっとどころではありませんよ。人を貶すなんて最低の行為ですよ」
かがみ「な、なんでみゆきにそこまで言われなきゃならないのよ!?
だいたい私、あんたには何も言ってないじゃない」
つかさ「お姉ちゃん……そういうところが反感買ってるんじゃない……かな……」
かがみ「は? どういうところよ?」
つかさ「その、お姉ちゃんってさ、私も含めてこなちゃんや日下部さんにだけなんか冷たいよね」
みゆき「たしかに……」
つかさ「でもゆきちゃんや峰岸さんにはそういうところ無いでしょ?」
みさお「言われてみればそうだよな」
こなた「要はアレだね。かがみは自分より上か下か決めてるんでしょ」
かがみ「な、なにがよ?」
こなた「みゆきさんは頭良いし、峰岸さんはおっとりしてるから遠慮して強く出られないと」
みさお「で、私やチビッ子には遠慮なくズバズバ言うんだよな」
こなた「つかさは妹だからそれこそ好き放題言えるしね」
みゆき「そういえば……私が以前、眼鏡をかけなかったので皆さんにノートをお借りしましたが、
その件でも失礼な発言をされてましたね」(1・104)
つかさ「ああ、あったね。あれって割れちゃったんだっけ?」
みゆき「そうなんです。それで最初はつかささんと泉さんにお借りしたわけですが……」
こなた「あの後、かがみに見せてもらったとか?」
みゆき「ええ……借りておいて申し訳ないのですが……」
かがみ「こなたのは字が汚くて読めないし、つかさのは最後までまとめきれてなかったからね」
みゆき「その際にあの……”あいつらは役に立たない”と……」
かがみ「それ、内密にしてくれって言ったの、みゆきよね? なんでここで喋るわけ?」
こなた「自分が失礼な発言しておいて話をすり替えるのはどうかな~」
みさお「だよな」
かがみ「ちょっとあんたたち、ほんとにいい加減にしなさいよ。私に何の恨みがあるのよ?」
あやの「みんな柊ちゃんに不満があるのよ。それは分かってもらわないと」
かがみ「っていうか何でそんな急に槍玉に挙げられるわけ!?」
みさお「そんだけ我慢してたってことだろ?」
みゆき「皆さん、かがみさんにはそれぞれに憤懣があるかと思います。ストレスを溜め込むのはよくありません。
折角ですからここで吐き出して気分を落ち着けてはどうでしょうか?」
あやの「賛成ね」
こなた「私も~」
かがみ「お前らな……さっきから散々言っといて―っていうかみゆきもどういうつもりよ?」
つかさ「まあまあ、それで皆の気が済むんだから」
かがみ「ふん! どうせつかさも言いたい事があるんでしょ!?」
つかさ「え? ええっと……」
みさお「妹~遠慮しなくていいぞ。柊には何度もバカにされてきたんだろ?」
つかさ「―うん」
みさお「じゃ決まりだ。あ、その前にちょっと気になってた事があるんだけどさ」
みゆき「なんでしょう?」
みさお「時々さ、括弧が付いてるのって何だ?」
みゆき「それはですね、話題として挙がっている内容が原作何巻の何ページかを示しているのですよ」
あやの「どういうこと?」
みゆき「たとえば(1・19)ですと、1巻の19ページの出来事を指しているわけですね」
つかさ「なるほど~~」
みさお「じゃあ柊が一度ならず二度までも私らと5年間同じクラスだったのを忘れてた、って話をした時は?」
みゆき「(6・85)となりますね。実際には日下部さんの発言の後ろに付きますが」
みさお「おお~! さすが眼鏡ちゃん!」
こなた「違うよ、みさきち。”みwiki”さんだよ」
みゆき「いえ、あの……それほどでも……」
つかさ「ゆきちゃんは学年トップなんだよ」
みさお「じゃあその眼鏡ちゃんからいってみようか」
みゆき「へ? あ、えと……」
こなた「あ~みさきち、さっきも言ったけどみゆきさんは何も言われてないんだよ」
みさお「あ、そっか。眼鏡ちゃんは柊より”上”なのか」
みゆき「ひとつだけ許せない事はありましたよ?」
あやの「高良ちゃんが静かに怒ってるわ……」
139:寂寥の渦5
09/09/19 22:37:47 XX1K6Gog0
かがみ「みゆき……?」
みゆき「かがみさんが私を”平均以下”だと言ったことです」(2・135)
こなた「言ってたね」
みゆき「些細な話と思われるかもしれませんが、あんな屈辱を受けたことはありませんでした……」
あやの「高良ちゃん、人一倍努力してる感じだもんね。博識だし」
みさお「つまり柊が眼鏡ちゃんを”下”に見た瞬間だったわけだ」
こなた「だよね」
かがみ「そ、そんな目くじら立てるような話じゃないじゃない。みゆき、プライド高いだけじゃないの?」
あやの「プライドだったら柊ちゃんだってずいぶん高い気がするけど」
かがみ「ど、どこがよ!?」
あやの「私が知ってる限りでも相当みさちゃんのこと、扱き下ろしてるよね?」
かがみ「そ、それはだから……私も言い過ぎたってさっき―」
あやの「みさちゃんを叩いたの、憶えてるよね?」(4・114)
みさお「………………」
あやの「あの時、柊ちゃんに元気が無かったからみさちゃん、相談に乗ってあげようとしてたのよ?」(4・113)
かがみ「…………」
あやの「それを何? 毎日が楽しそうだの、悩みが無さそうだのなんてよく言えたわよね」
かがみ「うっ……それは……」
あやの「そのくせ柊ちゃんの悩みなんて結局ダイエットの事だったんでしょ? くだらないわ」
こなた「なんか峰岸さんってイメージと違って怖いね……」
つかさ「そ、そうだね……私たちの出番ないかも……」
かがみ「じゃ、じゃあ日下部が悩むことなんてあるの? いっつもお気楽そうにしてるじゃない」
あやの「知ったふうなこと言わないで。みさちゃんのコト、何も知らないくせに」
かがみ「…………!?」
あやの「5年も同じクラスだった事すら気付かない柊ちゃんに偉そうに言われたくないわ」
みさお「あ、あやの……」
みゆき「まさかこんな修羅場になるとは思いませんでした……」
つかさ「あ、あの~。こなちゃんも言いたい事があるんだって。だから―」
こなた「えっ!? 私ッ!?」
みさお「チビッ子、言っちゃえよ!!」
こなた「えと、え~~っと……」
かがみ「何よ? 言いたい事があるんならハッキリ言えば?」
こなた「うん、と、いま思い出したけどかがみってけっこう場を白けさせるよね」
つかさ「あるよね」
かがみ「……いつ?」
こなた「流れ星に願い事3回言えるかってつかさと話してた時さ。
かがみ、”どう考えても現実的に無理だ”って言ってじゃん」(2・130)
みさお「夢がないよな~。宝籤一等当てても貯金するって言うくらいだしな」(4・112)
つかさ「それで願い事を早く言う練習してたら、”そんなのより勉強したほうが早い”って言われたよ」(2・127)
みゆき「かがみさんは現実的なのですね」
つかさ「う~ん、そうでもないかも」
みゆき「…………?」
つかさ「前の初詣の時にね、お姉ちゃん、熱心にお祈りしてたんだ」
みゆき「何をですか?」
つかさ「私たちと同じクラスになれますようにって。お姉ちゃんだけずっと違うクラスだったから」(2・16)
みゆき「そういえばそうですよね」
こなた「そのくせ御神籤は吉凶は本人の頑張り次第で所詮運試しでしかないって言ったり」(2・19)
みさお「矛盾してるよな。っていうか柊はそんなにうちらと同じクラスになりたくないのかよう?」
かがみ「べ、別にそんなんじゃないわよ!」
こなた「でさ、そう言っておきながら今年の初詣ではちゃっかり合格祈願したらしいよ」(6・27)
あやの「それで落ちても実力不足だって潔く認めるのかしら?」
かがみ「そ、そりゃ……誰だってそういうお願いくらいするじゃない」
こなた「現実的なのに?」
かがみ「あんただって一度くらい、”神様仏様”とか言ったことあるだろ?」
つかさ「私とこなちゃんは”今年も皆で仲良く出来ますように”ってお祈りしたけどね」
こなた「血液型診断の時もそんな感じだったな」(1・126)
つかさ「こなちゃんがバイト始めた時なんか、”よくあいつを採用する所があったな”とか、
”労働に勤しむ図が想像できない”とか言ってたよ」(1・38)
みさお「柊ってさ、うちらには厳しいのに自分にはけっこう甘いよな」
あやの「というより自分勝手なだけじゃないかしら」
140:寂寥の渦6
09/09/19 22:39:00 XX1K6Gog0
かがみ「なによ皆して―」
みゆき「私もだんだんそんな気がしてきましたね」
こなた「あ、そうそう。みさきちさ」
みさお「ん?」
こなた「私のこと、チビッ子って呼ぶでしょ?」
みさお「ああ、ちっちゃいからそう呼んでるけど? 嫌ならやめるぜ」
こなた「そういうんじゃないよ。別に何とも思ってないし。そうじゃなくて」
みさお「うん」
こなた「実は私のこと、最初に”チビッ子”って言ったのはみさきちじゃないんだよ」
みさお「柊か?」
こなた「正解。よく分かったね」(2・7)
みさお「この話の流れじゃそれ以外ないだろ」
みゆき「泉さんはかがみさんからずいぶん手酷いことを言われていますよね」
こなた「つかさもだけどね~」
あやの「どんなこと言われるの?」
こなた「家にベルを置いてた時期があってさ。ほら、メイドさん呼ぶ時みたいなやつ」
つかさ「ああ、あったね~」
こなた「メイドさん来ないかな、なんて言ったら、”ホンモノのバカだろ?”って斬られたよ」(4・41)
みゆき「まぁ……」
こなた「成人式で振袖着るって言ったら、七五三みたいだとか」(2・28)
みさお「わはは。そりゃピッタリだな!」
こなた「みさきち、さっきからどっちの味方なのさ」
みさお「もちろん、あやのの味方だぜ」
あやの「みさちゃん……」
みゆき「こういうのをフラグが立った、というのでしょうか?」
こなた「お、みゆきさんも分かってきたねえ」
みゆき「私なりに勉強しましたから」
みさお「同じ勉強勉強でも柊とは違うよな」
かがみ「………………」
こなた「……? どったの、かがみん?」
かがみ「さっきから好き放題言ってくれるじゃない」
あやの「今まで散々好き放題言ってきたのは柊ちゃんでしょ?」
かがみ「そう? 私は至極真っ当なことを言ってきたつもりだけど」
こなた「だからって何でも言っていいわけじゃないじゃん」
かがみ「あんたには言われたくないわね」
こなた「なんでさ?」
かがみ「あんただって相当な毒舌家だろ? 自覚無いのか?」
みさお「まあそりゃ一理あるよな。現に私に―」
こなた「認めるけどさ、私はかがみみたいに後に引きずるような言い方はしないよ?」
みゆき「泉さんはユニークさがありますものね」
かがみ「へえ、私に宿題やら課題を任せておいてよくそんな図々しいこと言えるわね」
つかさ「そこ突かれると私も弱いかも……」
みさお「だよな……でも妹には眼鏡ちゃんがいるんだからさ、今度からそっちに頼めばいいんじゃね?」
つかさ「うん……そうする。日下部さんは?」
みさお「あやのがいるからな。頼りになるぜ」
こなた「とか何とか言ってさ、本当は優越感に浸ってたんじゃないの?」
かがみ「どういう意味よ?」
こなた「バカの面倒見て、自分は優秀なんだって思いたかったんでしょ?」
かがみ「………………」
あやの「柊ちゃんにそんな気がなくても、周りにはそう見えてるのよ」
みさお「だからさ、これからはもうちっと穏やかに行こうぜ。な?」
つかさ「私もそう思う、かな」
かがみ「ああそうよ。あんたたちの言うとおりよ!」
みゆき「か、かがみさん……?」
かがみ「グータラでどうしようもないあんたたちの面倒を見てあげてたのよ。
そのおかげで無事に卒業できるんでしょうが」
あやの「ちょっ、柊ちゃん! いくらなんでもそれは言い過ぎ―」
かがみ「峰岸は彼氏と仲良くやってればいいでしょ? ロマンスの欠片もない連中なんて相手しないでさ」
みさお「今のは聞き捨てならないよな」
かがみ「ああ、悪かったわね。あんたたちは幼馴染だったもんね。固い絆で結ばれてるってやつでしょ?」
141:寂寥の渦7
09/09/19 22:40:05 XX1K6Gog0
みさお「………………ッ!!」
こなた「かがみ……今のはちょっと……」
つかさ「そ、そうだよ。日下部さんと峰岸さんに謝って……」
かがみ「別に謝るようなことじゃないじゃない。あ~いいわよね、女同士の友情って」
みゆき「貴女には失望しました……」
かがみ「失望? ずっと前からしてたんじゃないの?」
こなた「か、かがみ……それって完全な逆ギレじゃん」
かがみ「ふん、寄って集って勝手放題罵った挙句に逆ギレだって? あんた、何様のつもりよ?」
こなた「何様って……」
みさお「あ~なんかバカバカしくなってきたぜ!」
あやの「私も」
みさお「しょっちゅう隣のクラス行って淋しいとか思ってたけど、もうどうでもいいや」
あやの「そうね。どうして柊ちゃんを中心に立てて背景なんて考えたのかしら」
みさお「あれだよ、ほら、気の迷いってやつ」
あやの「そうかもね」
みさお「ってわけだ。チビッ子、柊はお前にやるぜ」
こなた「えっ!?」
みさお「”うちのかがみ”って言ってただろ。私らもういいから」(4・115)
こなた「ちょっと待ってよ。こうなったら私だってもうどうでもいいよ」
かがみ「私をモノみたいに言って果てはそれか。あんたらに振り回されるのもうんざりだわ」
つかさ「お姉ちゃん!!」
かがみ「ねえ、みゆき。こんな連中放っておいて勉強会でもやらない? 医学部狙ってるんでしょ?」
みゆき「勉強も大切ですが皆さんとのお付き合いも大切ですので。それにかがみさん」
かがみ「…………?」
みゆき「仮にもご友人にこんな辛辣な言葉をかけるような方とはご一緒できそうにありません」
かがみ「あっそ。みゆきはこいつらと違って悧巧だと思ったけど、すっかり毒されちゃったみたいね」
みさお「何だと!?」
かがみ「つかさ、帰るわよ」
つかさ「え、あ……えっと…………」
かがみ「つかさ!!」
つかさ「あの……ご、ごめんね、みんな!!」
みさお「ちっ! なんだよ、柊のやつ」
こなた「あんな子だとは思わなかったよね」
みゆき「以前から空気の読めない方だとは思っていましたが」
あやの「いいのよ、これで。わざわざ私たちが合わせる必要なんてないわ」
こなた「なんかスッキリしないね。どう? これから皆でカラオケ行かない? 親睦を深める意味でもさ」
みゆき「いいですね」
あやの「ふふふ、いつもみさちゃんとばかりだから新鮮だわ」
みさお「チビッ子~アニソンばっか歌うなよ~~」
こなた「私はかがみと違ってちゃんと空気読むからね」
みさお「でも皮肉だよな」
こなた「なにが?」
みさお「このメンバーって柊を通して知り合ったわけだろ」
あやの「確かにそうね」
みゆき「人の出会いは偶然の重なりです。そこは特に思いを巡らすところではないと思いますよ」
こなた「そだよ。いちいちかがみのお陰とか思う必要ないって」
みさお「う~ん……だよな!」
こなた「そうそう」
あやの「じゃあ行きましょ」
・
・
・
・
・
142:寂寥の渦8
09/09/19 22:41:07 XX1K6Gog0
ふと2年前の出来事を思い出す。
っていうか何度目よ、これ。
さっさと忘れ去りたい過去なのに、ついついあの時の事が頭に浮かんでくる。
おかげで記憶から消えるどころか、繰り返し思い返しているために却って鮮明に残ってしまった。
なんであんな風になったのかは今でも分からない。
あいつらが言うように、心の中では私の口調に棘があると思っていたのだろうか。
そんなつもりは全然無かったのに。
漫才みたいなあいつらのボケに、私はただ冷静に突っ込み役をやっていただけだ。
白けるとか意味が分からない。
だったら私もあいつらに合わせていたらよかったのだろうか。
一緒におどけて、一緒にバカなこと言っていればよかったのだろうか。
自分が優等生だなんて思ったことは一度もない。
ただ妹がいる手前、頼りになるお姉さんでありたかったのは事実だ。
だから勉強もした。スポーツも日下部には及ばなくても平均以上の成績を維持した。
こなたや日下部の面倒を見たのもその延長だった。
優越感に浸りたかったわけでも、見下していたわけでもない。
だけどあいつらは私がそう思っている、と思っていた。
『グータラでどうしようもないあんたたちの面倒を見てあげてたのよ。そのおかげで無事に卒業できるんでしょうが』
なんであんなこと言ってしまったんだろう。
代わる代わるに責められて、つい弾みで出てしまった一言だ。
あの時、すぐに謝っていればこうはならなかったのかもしれない。
「………………」
似たようなことを大学に入ってしばらくしてから言われた。
どういうわけか私の周りにはとりあえず法学部を選んだ者ばかりいて、何を目指しているのか、
将来どうありたいのかというヴィジョンを何ひとつ持っていなかった。
それこそこなたや日下部みたいな。
その時はそういう人もいるんだという程度に考えていた。
人生は長い。
皆が皆、私と同じ歳で将来の夢を決められるわけじゃない。
私だって小学校時代には、総理大臣になりたい、なんて卒業文集に書いていた。
頭では分かっていた。
だけど……。
仮にも大学に入ってこれから専門分野を学ぶというのに、自分の進路が決まっていない連中が危機感も持たず、
サークル活動やらコンパやらに明け暮れているのが不愉快だった。
どうしてもっと真剣に考えないんだろう。
自分のことなのに?
そんな私の想いが知らないうちに言葉に出ていたのだろうか。
”柊さんと喋ってるとバカにされてる気がする”
”固いよね、あんたって。だったら私らなんか相手にしないで勉強してればいいでしょ”
”つまんねー奴”
席が近かったというキッカケだけで話すようになった友人たちは、次々に私から離れていった。
自業自得……なのだろうか。
私は何も間違っていないのに?
そんな彼女たちだって危ない時には私に試験の範囲を聞いてきたり、ノートを写させてくれと頼んできたのに。
どうして私がしてあげた事はいつもいつも仇で返されるんだろう?
143:寂寥の渦9
09/09/19 22:41:57 XX1K6Gog0
「………………」
携帯を開く。
誰かからメールでも来ないかと期待していたけど、件数は相変わらずゼロ。
「つかさ……」
妹とは疎遠になった。
つかさは料理学校で気の合う友人を見つけ、勉強と称して食べ歩きに出ることが多くなった。
「こなた……」
こなたとはあれ以来、やりとりをしていない。
噂で日下部と同じ大学に入ったと聞いたけど、本人からはそうした報告は一度もなかった。
「みゆき……」
みゆきは希望通り医学部への進学が叶ったらしい。
私は彼女に一度も勝てなかったわけだ。
「日下部……」
もちろん日下部との交わりも途絶えた。
今頃はこなたと仲良くやっているのだろうか。
「峰岸……」
彼女は去年、彼氏と結婚したらしい。
盛大な披露宴が開かれ、日下部はもちろんこなたたちも招待されたと人伝(ひとづて)に聞いた。
だけど私のところにはそんな誘いは来なかった。
正直、何をどう間違ったのかが今でも判然としない。
なんで私だけがこうなったのかが分からない。
何がいけなかったのだろう。
私はこなたみたいにゲームが上手くない。
つかさみたいに料理が得意じゃない。
みゆきほど頭が良いわけでもない。
日下部みたいにスポーツが得意なわけでもない。
峰岸みたいに彼氏がいたわけでもない。
「なんでよ……私の……どこが悪かったっていうのよ…………」
次の試験のためにノートの整理をしていた私は、開いていたページが濡れているのに気付いた。
終
144:名無しかわいいよ名無し
09/09/19 22:43:13 XX1K6Gog0
以上で終わりです。
改行がうまくいかずお見苦しい点はご海容ください。
それでは。
145:名無しかわいいよ名無し
09/09/20 00:27:38 CCiuPGfl0
原作補完率たけえ
SSなのになげえ
かがみへの不満がひっそり高まって爆発したってことか
渦の中心は止まってるから気づけないね
面白かった
146:名無しかわいいよ名無し
09/09/20 20:03:49 kS4A4VJ60
かがみ「ああああああああああ月曜日月曜日月曜日いいいいいいいいぃぃぃぃ!」
147:名無しかわいいよ名無し
09/09/20 20:28:03 swJd7hXt0
>>135-143
うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああかがみんかわいそうだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
かがみん僕が心の隙間埋めてあげるからね
148:名無しかわいいよ名無し
09/09/21 00:34:29 2riv+EHy0
(^^)なんという長編
149:名無しかわいいよ名無し
09/09/21 02:05:04 RtKMQ0Da0
>>142
>っていうか何度目よ、これ。
二重の意味で上手いと思った。
乙。
150:名無しかわいいよ名無し
09/09/21 07:21:14 w4LBJFrFO
かがみ「あたしやっぱ総理大臣になるわ!」
151:名無しかわいいよ名無し
09/09/21 08:10:52 FxfCIK520
投票数:79レス 07:27:04現在
■第1試合
1位 33票 宮永咲@咲?Saki?
2位 32票 木之本桜@カードキャプターさくら
3位 9票 柊かがみ@らき☆すた
■第2試合
1位 34票 西沢歩@ハヤテのごとく!
2位 26票 日塔奈美@さよなら絶望先生
3位 12票 久遠寺右京@らんま1/2
■第3試合
1位 30票 晃・E・フェラーリ@AQUA/ARIA
2位 28票 桜咲刹那@魔法先生ネギま!シリーズ
3位 16票 西野つかさ@いちご100%
スレリンク(vote板)
152:名無しかわいいよ名無し
09/09/21 21:14:27 gWEb00O70
私がぼっちでいることで
誰か一人に友達が出来るかもしれない
私はそういったことに幸せを感じる
わけないじゃない寂しいわよ
153:名無しかわいいよ名無し
09/09/21 22:05:29 YikrenZ10
今日もぼっち。まあ、いつもどおりね。変化のない毎日で、いい事だわ。
私は安定を好んでるんだから、丁度いいわよね。
……ああ、そうそう。明日、あのラノベの発売日だわ。
「こなたー、あんた明日暇?」
いや居ないんだった。私は今、ぼっちだったっけ。
154:名無しかわいいよ名無し
09/09/22 00:34:17 sy1F1dSA0
携帯電話解約しようかしら
もう鳴らないし
155:名無しかわいいよ名無し
09/09/22 13:06:01 m4aRCGV9O
携帯「待って!解約しないで!」
かがみ「だって電話もメールも来ないのよ」
携帯「わかりました。なんとか着信しましょう」
かがみ「なんとか……って」
携帯「ピョロロロロ~」
かがみ「あら、着信!?電話?メール?こなた?つかさ?」
携帯「残念、アラームですた。プゲラ」
かがみ「チキショー」
ガシャ
携帯「………」
156:名無しかわいいよ名無し
09/09/22 15:33:38 nmotawlh0
北海道プレーンヨーグルト返せw
157:名無しかわいいよ名無し
09/09/22 17:58:52 0z56ZYtG0
SS初投下、いくわよ。
158:お母さんは心配性 (1/4)
09/09/22 18:01:03 0z56ZYtG0
「もしもし、かがみ?」
「あ、お母さん。久しぶり」
「久しぶり、じゃないわよ。引越し以来電話もよこさないで」
「あー……ごめんごめん。ちょっと色々忙しくって」
「全くもう。ねぇ、夏休みになったんだから1度くらい帰ってきたら?」
「……どうしよう、かなあ」
「男の人連れてきたってお父さん怒らないわよ?」
「ちっ違う、そんなんじゃないって」
「うふふ。ならそっちの生活が楽しいのね」
「そんなところかな。つかさは最近どう?」
「頑張ってるわよ。お父さんには隠してるけどいい人できたみたい、ふふ」
「へぇ、そうなんだ……」
「ねぇ、かがみ」
「うん?どうしたの」
「お勉強ははかどってる?」
「それは大丈夫」
「お友達はできた?」
「まあ、それなりに」
「サークル?っていうのには入ったの」
「いや別に……。でもほら、ゼミっていうのがあるからさ」
159:お母さんは心配性 (2/4)
09/09/22 18:02:18 0z56ZYtG0
「そう。お母さんかがみのこと心配だったけど、声聞いたら安心しちゃった」
「あはは」
「じゃあちょっとお金大目に送るから、夏休みをエンジョイしなさい」
「えっ、うん、ありがとう」
「今度はそっちから電話かけてきなさいよ。父さんもかがみの声聞きたいって言ってたわ」
「そっか……、じゃあ」
「そうそう。お野菜沢山送るからちゃんと自炊すること」
「えぇ、面倒臭いなぁ」
「うふふ。それじゃあまたね」
「うん。また」
160:お母さんは心配性 (3/4)
09/09/22 18:03:24 0z56ZYtG0
柊かがみは受話器を戻した。
ディスプレイから漏れる光が部屋をうつして、すぐ消える。
缶ビールとビニール袋の間を抜けてベッドに倒れこむ。
それからしばらく、ぼーっと天井を眺めていた。
楽しい大学生活。
それとは程遠い自分の現状を確認する。
いつから、どうして、なんてことは考えつくした。
考えることすら放棄していたように思える。
今の私は両親に顔向けすることができるのだろうか。
きっと無理だ、無理に決まってる。
泣いて甘えてしまうのが関の山だろう。
だから帰れない、弱い私を知られたくない。
161:お母さんは心配性 (4/4)
09/09/22 18:04:47 0z56ZYtG0
「つかさ、ちょっといいかしら」
「どうしたの?お母さん」
「旅行に行きたい気分にならないかしら」
「えっ、竜二クンと旅行するの許してくれるの?」
「だーめ。大学卒業するまでは我慢しなさい」
「えー……じゃあ何で旅行なんて」
「京都にいってみたいと思わない?」
「京都……あ、お姉ちゃん!」
「そう。夏休み長いんだから1回くらい行けるでしょう」
「うんうん、全然だいじょうぶ」
「かがみも向こうに慣れてる頃だろうから、観光案内でもしてもらいなさい」
「うん、でもお金ないかも……」
「はい。お父さんには内緒のお小遣い」
「えっ?こんなにいいの」
「いいのよ。大目に渡しておくから高校の時の友達も誘うといいわ」
「お母さんありがとう!早速こなちゃんに電話してみる」
「あらあら。うふふ」
162:名無しかわいいよ名無し
09/09/22 20:20:17 m4aRCGV9O
携帯「ぷはー。壊れたかと思った」
かがみ「今度馬鹿にしたらホントに壊すわよ」
携帯「まぁまぁ。いま床に叩き付けられていい案が閃いたのだ」
かがみ「な、なによぉ。聞くだけ聞くわ。言ってみなさい」
携帯「街中で他人が携帯使ってるのを見ると妬ましいでしょう。パルパルパル」
かがみ「べ、べつに。(ちくしょう当たってるわ)」
携帯「だからかがみさんが街を歩いている時、携帯を鳴らしてあげます。」
かがみ「?」
携帯「そしてかがみさんが通話するフリをすれば、誰もがぼっちとは思わないでしょう」
かがみ「虚しいわよ。虚し過ぎる」
携帯「じゃあ、やめますか?」
かがみ「やるわよ。やるに決まってるでしょ」
携帯「そ、そうですか……」
街中。どいつもこいつも携帯で話したりいじったり。
携帯「ピョロロロロ」
かがみ「(大声で)あら、電話だわ。誰かしら。」
かがみ「もしもし。」
携帯「……」
かがみ「はい、あ、お久しぶり」
携帯「……」
かがみ「あら今どこに……まあ!」
携帯「なあ……」
かがみ「(急に小声で)な、何よ」
携帯「虚しくないかい?ププ」
かがみ「だから最初に言ったでしょ!!」
163:名無しかわいいよ名無し
09/09/22 23:09:43 m4aRCGV9O
かがみ「はあ。ヒマだわ」
携帯「暇ならしりとりしましょうぜ。僕からいくよ。ぼっち」
かがみ「ち、ち、ってやらないわよ」
携帯「っていうか暇な時こそ僕を使って誰かと……」かがみ「だからその相手がいないのよ」
携帯「でもアドレス帳には沢山のお友達が登録されてるじゃん」
かがみ「友達……か。」
携帯「違うんですか。特にひと昔前は『イズミコナタ』さんと言う方とは結構通話されてるじゃないですか」
かがみ「確かに高校時代はよく喋ったけど。でもいつも私からかけてばかりで彼女からかかってくることは無かったわ。」
携帯「久しぶりにかけてみたらどうです?またはメイル。」
かがみ「いいよ。もうずっと話してないし。多分他の人と仲良くやってりわ。私なんか電話しても迷惑がられるだけよ。わかるわ」
携帯「でも話したい、いや会いたいんじゃないの?」
かがみ「そりゃそうだけど……」
携帯「そうかそうか……よし、任せろ」
かがみ「え?」
携帯「ピカーーーッ」
かがみ「うお眩しっ」
164:名無しかわいいよ名無し
09/09/24 00:08:04 Q5RKNn3/0
続きほしゅみん
165:163
09/09/24 02:23:03 shHFOXtLO
続き書いたらハッピーエンドになってしまったので皆に申し訳ない。
いま投稿するか迷ってる
166:名無しかわいいよ名無し
09/09/24 02:35:08 GVNd4Fqr0
かがみ「深夜にドアノブをガチャガチャしないでよ・・」
167:名無しかわいいよ名無し
09/09/24 09:41:38 RyLHP/Uq0
ここはhappy ending OKだぜcome on
キチガイ収容所の自殺スレと勘違いすんなよ
168:名無しかわいいよ名無し
09/09/24 10:55:56 shHFOXtLO
かがみ「ん……あれ?……夢?おーい……」
携帯「……」
かがみ「そうだよな。携帯が喋るわけないか。ぼっちスレ恒例夢オチか」
携帯「ブブブブブ……」
かがみ「ひっ?びっくりした!ってこなた?」
かがみ「もしもし……」
こなた「やふー。久しぶりだのう~。元気かい?いとしのかがみん」
かがみ「ど、どうしたの?久しぶりじゃないの」
こなた「へ?何言ってんの!」
かがみ「え?」
こなた「さっき、『たまには会おう』ってメールくれたのかがみんじゃないのさ」
かがみ「???(まさか?)」
こなた「あれ?もしかして間違えて送ったのかな?」
かがみ「え、いや、間違いないよ!あんたに送ったのよ。さ、最近会ってないからたまにはって。あ、でも忙しいなら……」
こなた「とんでもない。かがみんのお誘いを断るわけにはいかないよ。っていうかずっと電話もメールも来ないから嫌われちゃったのかと思ってたよ……」
かがみ「えっ? そ、そんなことないわよ!」
こなた「私はいつでもいいよ。会ってくれるならかがみんの都合に合わせるよ!」
かがみ「あ、ありが、とう。じゃあさ……今度のに、日曜日に……」
こなた「うん。うん。いいよ。ん?どうしたの?ねえ。な、泣いてるの……?」
169:名無しかわいいよ名無し
09/09/24 11:32:46 N9eWBaFoO
HappyEndも良いな
漏れさ、最初「ぼっち」じゃなくて「ビッチ」に見えたorz
170:名無しかわいいよ名無し
09/09/24 15:43:38 CFXsaTzwP
ツンデレな電話だなw
171:名無しかわいいよ名無し
09/09/25 10:13:55 A610qaJtO
かがみ「おはおなにー」
172:名無しかわいいよ名無し
09/09/25 12:29:48 K+cHdsIVi
>>161の続きないの?
173:161
09/09/25 13:05:37 QjJag5JZ0
ないの。みきさんにスポットを当てたかったから
174:名無しかわいいよ名無し
09/09/25 16:46:24 K+cHdsIVi
最近このスレの存在知って、まとめサイトを半日で隅々まで全部見てしまった。
かがみファンとして、リアルぼっち大学生としてドンピシャ過ぎた。
はっきり言って面白すぎる。
ここまで自分とリンクしてるなんて!
食い入るように読んだ。画像も保存した。
このスレの上の方でもういいだろという声もあり残念だけど、スレが継続する事を密かに祈ってます。
今はピンピンしてますが、堕ちた時にでも自分も投稿してみようかな、なんて思ってます。
175:名無しかわいいよ名無し
09/09/25 17:24:04 kYMbhWhWP
ま、自分の体験談をそのまま描いてるのも少しはあるしねえ
176:名無しかわいいよ名無し
09/09/26 14:02:24 5cRbKSSW0
>>144
読んでてすげー、似たような経験あるからドキドキした。
こういう空気が読めないところがかがみんなんだよなぁ…。
177:名無しかわいいよ名無し
09/09/26 21:40:03 JdQFtysL0
ぼっちになるのは大学時でなくても大丈夫でしょうか?
SSの構想があるのですが、高校時代ですでにぼっちという設定なので、
スレタイから逸出してしまうのですが……。
178:名無しかわいいよ名無し
09/09/26 22:19:02 tsmOloKU0
らきすたから離れて半年経つけれど、突然かがみのことを思い出していてもたってもいられない。
ってのは別スレに書いたけれど、このスレ見てたらさすがに辛くなってきた。
SS師が悪いと避難するわけではないけれど、なにも彼女まで自分と同じ境遇にならなくてもと…
とりあえずこの歌みたいだなと
URLリンク(www.youtube.com)
「不良少女白書/さだまさし」
179:名無しかわいいよ名無し
09/09/26 22:34:12 9kQD5Z1IP
ぼっちスレに相応しい寂れっぷりでつね
漫画かく
180:名無しかわいいよ名無し
09/09/26 22:36:56 aiu+8fBmi
>>178
俺の嫁と呼べるほどかがみの事愛してるが、不幸な女の子ほど萌える。
女の子を守ってあげたくなる男の性って奴。
こなたを自殺に追い込む病的なスレと違って、SS師からは悪意を感じないけどな。
181:名無しかわいいよ名無し
09/09/26 22:39:42 0lYAsUjb0
>>177
後日談で大学の話に触れるといいかもよ
182:名無しかわいいよ名無し
09/09/27 02:09:15 oaC/yL4X0
>>181
ありがとうございます。
なるほど、その方法がありましたか。
完成次第、投下させていただきます。
183:名無しかわいいよ名無し
09/09/27 02:40:11 wJJ0yDnMi
>>182
俺も高校時代からぼっちだったから是非読みたい!
184:名無しかわいいよ名無し
09/09/27 08:17:14 f4sVZwSG0
>>183
ちきしょー
いいなーifone
185:名無しかわいいよ名無し
09/09/27 11:30:12 wJJ0yDnMi
結構色んな事できて楽しいよ。
パソコン、デジモノにそう抵抗ない人なら満足できると思う。
でも、ぼっちにはオススメできない。
びっくりするほど2chブラウザが使いやすすぎて、元々あんまり見てなかった俺も中毒になってしまったw
186:名無しかわいいよ名無し
09/09/27 21:38:42 ar/2paB40
かがみがぼっちになるなんて今の僕には理解できない
187:名無しかわいいよ名無し
09/09/27 21:52:14 eOz/NEXo0
その考えをアンインストール
188:名無しかわいいよ名無し
09/09/28 01:41:47 RhaHJkq2P
むしろ原作にぼっちのかがみが居ないなら
普通に流れてたあの日常をこの手で
終わらせたくなるもんだろ…このスレ的に考えて
189:名無しかわいいよ名無し
09/09/28 22:21:50 oqCJIw9sP
あくまでも日常の延長としてぼっちの穴に放り込まれたかがみの苦悩が見たいんだよ
190:名無しかわいいよ名無し
09/09/29 01:49:25 xSJZHYZd0
かがみ「もうおしまいだわ…どうしよう」
191:名無しかわいいよ名無し
09/09/29 02:44:31 RjKfPWXeP
高校卒業した途端、それまでの日常が全て無に帰すのを
おまいも経験したろ?
192:名無しかわいいよ名無し
09/09/29 03:44:47 Gmuqq6o3i
経験した・・・
193:名無しかわいいよ名無し
09/09/29 16:52:38 Vn7GN3jOO
今日QMAやってたらきふゆかがみっていたけど
194:193
09/09/29 22:33:05 Vn7GN3jOO
まさかここの住人?
195:名無しかわいいよ名無し
09/09/30 00:04:09 B1U/5D8x0
フヒヒ・・
196:名無しかわいいよ名無し
09/09/30 01:00:40 +V2BoUnQ0
かつての荒れに荒れたこのスレも、今は閑古鳥が鳴く始末
これこそぼっち
197:名無しかわいいよ名無し
09/09/30 08:47:54 fqhaJu0U0
しゃーない
198:名無しかわいいよ名無し
09/09/30 14:22:29 hcIDw08Li
スレ住人にも見捨てられつつある、かがみん可愛そう。
どこまでぼっちなんだこの子は・・・!
199:名無しかわいいよ名無し
09/09/30 14:28:41 +lBULowp0
_ _ _
, -/ `゙ -.、: : : :`゙ ‐ .、
,. --、ム-// \: : : : : : :`: .、
/ 、7_{_____ \: : : : : : : .:\
. / フ: : : : : : : : : : : :  ̄ミ: : : : : : : : :ヘ
/ ,. ォ-':/iヘ:ヽ. 、 : \: : : : : ミ|: : : : : : : i : ハ
イ_,. ァ'′ : |: :,' .l: :ヽ.ヽ.\:. :\ : : : |: : : : : : : |: : ',
/ :|: : : : :l: :| l: : : ー―--\ : l: : : : : : : |: : : :!
. /: : l: : : : :i|/| : l : : : : \: : \\ヾ.| : : : : : : |: : : :|
/: : : i: : : : :/l:|: : l: : : : : : : イ⌒/外、.| : : : : : : l: : : :|
,' : : i: :i: : /|: :l:._,,: : : : : :.:.:.:.i什:::::::ハ ゝ: : : :i : l: : : :|
i: : /|: :', : : : l ,,イ /ヘ:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨心ノij|: : : : .:l : lヽ: : !
|: ,' l: : ',: : : l {i i::::::ハ:.:.:.:.::.:.:.:.:.゙ゝ--○: : : : :| : l ノi: :|
|/ |: : :ヽ.: :トゝ弋ンj :.:.:.: |: : : : ,': : l: ∧:!
|: : : : ヽ:',∧:.O''" , l: : : /: : /: ,' リ
. ',: : : : :|:ヾ: i _, -っ ,|: : /_|: /|:.,'
. ヽ: : : l \: ヽ 、___'‐'"´ ,. イ,|: /:.:.l:∧l,'
\ | ヽ:,-y-、_ヽ: : ̄: :_X:.:レ:.:.:.:":.:.:.\
ヽ ,.. ┴イ-i ハ _,.-<ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.
iィ====`イ_メ:.:..:.\\ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i ト、
/:.:.:.:.:.:.:.:.:./ \:.:.:.\\ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i l ヘ
200:名無しかわいいよ名無し
09/09/30 16:47:42 B1U/5D8x0
かがみ「夏季休みが終わってとうとう後期が始まる・・・ハァ・・」
201:名無しかわいいよ名無し
09/10/01 00:41:19 RWWvZoJF0
かがみ「『今年から日記を書くわ』ってあれから9ヶ月が過ぎた…。読み返してみるか」
1月1日
一人で年を越した。誰が遊び来てもいいようにお菓子たくさん買っておいた。
1月20日
今年入って初めて人と話した。
1月31日
正月用意しておいたお菓子やっと無くなった。
結局一人で全部食べた。
2月3日
一人で豆を撒いた。涙出てきた。
かがみ「うっうっぐす・・・ひっく」
202:名無しかわいいよ名無し
09/10/01 01:14:26 18o5aYI9i
>>201
ワロタ
一人で豆撒いちゃうかがみん糞可愛いっwwww
203:名無しかわいいよ名無し
09/10/01 09:02:41 QEQSNp2n0
かがみ「おにはーそとー……、鬼でもいいから誰か来なさいよ全く」
204:名無しかわいいよ名無し
09/10/01 09:50:16 ocmJ1+mp0
なんて可愛いんだかがみん!!
205:名無しかわいいよ名無し
09/10/01 19:38:46 18o5aYI9i
かがみんのキャラソン聴きながらSSを読む。
か、かわいすぎる
206:名無しかわいいよ名無し
09/10/01 19:39:12 qEuq6+/MO
新刊でたらちょっとは賑わうかな?
207:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 08:11:43 l1/YZzb1O
こなた「」
208:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 08:56:19 nYMqQLd7i
>>206
漫画って読んだ事ないんだよなぁ。
アニメしか知らないんだけど漫画も萌えられるかな!?
アニメと話違うの?だいたい同じ?
209:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 10:18:51 gWUO2TEe0
オレはそもそも美水の絵がダメだ
堀口始め、京アニ作画陣だから楽しめた。
話も漫画はイマイチだな・・・。
210:208
09/10/02 11:05:43 nYMqQLd7i
>>209
わかるわぁ。俺も絵がダメだから読んでない。スレでうpされる絵は例え下手でも可愛く見える不思議。
211:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 14:43:52 kD+jAXVV0
原作つまらないもん
まったく笑えないし
まだこのスレであげらてる漫画のほうが面白い
212:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 21:36:55 rFrY3z1XP
>>208
小さな違いがそれなりにあるという印象
URLリンク(image.i-bbs.sijex.net)
213:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 22:16:10 s3R3plO+0
わお、久々のぼっち漫画ktkr
214:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 22:19:07 kWIj0+pai
>>212
可愛いなぁー
頭悪いというか変な維持張ってるというか、こういう変な子って萌えるわぁ。
215:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 22:55:22 tZIb0Da9P
>>212
乙
若干絵柄が変わった
216:名無しかわいいよ名無し
09/10/02 23:46:52 4zpJGndaO
かがみんのFigma(冬服ver.)買いました。
これでいつでも死ねる(´ー`)
217:名無しかわいいよ名無し
09/10/03 00:53:53 rU4PUZq80
かがみ「東京オリンピック落選か。東京で開催すれば競技に『ぼっち』が加わると思ったのに。そうなれば私が出れば金メダルよ」
218:名無しかわいいよ名無し
09/10/03 07:40:59 Ud4KmgyHi
私も絵挑戦してみるか
4コマなら描けそうだ。
219:名無しかわいいよ名無し
09/10/03 08:48:33 ljKZSPFG0
>>216
イ㌔!!!!!
220:名無しかわいいよ名無し
09/10/03 08:49:48 vCuFOBJ00
>>218
テラ期待
221:名無しかわいいよ名無し
09/10/03 19:12:52 qC27eYC10
終わらせてやれよ
222:名無しかわいいよ名無し
09/10/03 21:56:39 nTpG8meL0
終わらないよ。
始まってすらいないんだもの。
223:名無しかわいいよ名無し
09/10/04 01:14:55 MmFuZJTMO
道理だ
224:名無しかわいいよ名無し
09/10/04 12:21:45 6P4b5oMh0
かがみんの暗黒時代
教養時代が青春時代の象徴であり、専門課程に移っても教養時代の話題で幾度となく盛り上がる
しかし教養でボッチという名の暗黒時代を送ると、専門でも暗黒時代の延長戦を強いられる
ボッチであるがゆえに過去問が入手できず、定期試験が始まると脳内でリア充どもに向けてライフル乱射
しかもノートのコピーを強請られて貴重な時間を失う
もちろんそんな暗黒時代だから恋愛や就活はうまくいかず、将来に光を見いだせない
就職をあきらめて最後に残された大学院へと進むしか道が残されない
大学院には他大学から入ってくる学生や留学生が多くおり、全体の人数もさほど多くないので、暗黒時代のリベンジを果たす
話し相手も出来たし、博士課程へ進学予定なのでみんなが一目置いてくれる
そんな心地よい環境に麻痺してしまい本当の暗黒時代の到来を見過ごしてしまう
博士課程進学により人生のすべてを失うことを……
225:名無しかわいいよ名無し
09/10/04 16:40:58 g2eZJZJT0
続き希望
226:名無しかわいいよ名無し
09/10/04 21:19:31 BI04INT50
kagamin!!
227:名無しかわいいよ名無し
09/10/05 03:34:43 0tmeLFqUi
今4コマ書いてるんだが、漫画の絵って難しんだな・・・
228:名無しかわいいよ名無し
09/10/05 06:40:17 PU7fYkdc0
>>216
夏服がそろそろ発売するとかなんとか
冬服verかがみんください
URLリンク(i-bbs.sijex.net)
夏休み終わって学校始まったけど
すること無さすぎて夕方徘徊するかがみん
229:名無しかわいいよ名無し
09/10/05 20:10:24 tQffd2Ey0
>>228
ホラー系の絵だな
230:名無しかわいいよ名無し
09/10/06 19:44:18 /HFRev0a0
新型で休講になったかがみ
231:名無しかわいいよ名無し
09/10/07 00:15:04 LLoreZVg0
かがみぼっちスレにぼっち漫画投稿するのに夢中になりすぎて就職出来なかったかがみ
232:名無しかわいいよ名無し
09/10/07 00:18:59 c0JwKE6F0
ホントは高校時代もぼっちだけど充実した高校時代の四コマ漫画書いて第二のさくらももこを目指すかがみん
233:名無しかわいいよ名無し
09/10/07 01:56:47 7ILGGKV60
かがみ「台風で休校にならないかしら」
234:名無しかわいいよ名無し
09/10/07 22:29:07 Kmmcu89G0
>>201を勝手にマンガにしたらアップローダーで許可されないドメインとか言われた
URLリンク(imepita.jp)
235:名無しかわいいよ名無し
09/10/07 22:30:43 ncnMsAvy0
やっぱかわええ
236:名無しかわいいよ名無し
09/10/08 00:10:45 ewqFR4/00
>>227
まだかの
237:名無しかわいいよ名無し
09/10/08 05:10:37 oqEYDC+a0
>>234
絵うまいな
前にも描いたことある人?
238:名無しかわいいよ名無し
09/10/08 10:03:14 OH2dK4g90
>>234
初投稿?乙
239:名無しかわいいよ名無し
09/10/08 18:10:34 AcSkY5lP0
かがみ「台風凄いわね。ちょっと用水路の様子見てくるわ」
240:名無しかわいいよ名無し
09/10/08 18:11:33 Tj7HP/y5i
>>234
すげえ!かわいいわぁ
4コマ書こうかなって言った者だけど2コマ目で挫折。
絵かけるっていいな
241:名無しかわいいよ名無し
09/10/08 18:27:48 ewqFR4/00
なんだ、ちょっと描いてくる
242:名無しかわいいよ名無し
09/10/08 20:46:34 qQ/viPEv0
かがみ「おっと、危ない流される所だったわ」
243:名無しかわいいよ名無し
09/10/08 20:56:09 QMBlzVBv0
用水路にウンコなんかしちゃダメだよかがみん
244:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 12:58:46 Sw0Py8GV0
以前、SSの構想があると言っていた者です。
8割がた書き終わったので今夜投下いたします。
文量があるので数日に分けますがよろしくお願いします。
245:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 14:13:13 uyfhAL9Ki
おお ご苦労様です
楽しみにしてます
246:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 19:27:57 JoLap2kn0
夜が近づく
247:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 20:51:04 rNUZ4w4M0
さてそろそろ・・
248:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 21:04:20 Sw0Py8GV0
皆さん、こんばんは。
ただいまより投下いたします。
249:空谷の跫音1
09/10/09 21:05:11 Sw0Py8GV0
昼休み。
「柊は冷たいよな~」
本気なのか冗談なのか、みさおが口を尖らせて言った。
「まあまあ……」
どっちつかずの相槌を打つのはあやのの役どころである。
彼女自身は穏健派で摩擦を好まない性格なのだが、みさおの陽気な性格からくる言動と、
それに比して現実的なかがみの冷静な突っ込みというやりとりに関してはまんざらでもないようである。
ひたすら仲裁役を買って出るあやのは両者の掛け合いを楽しんでいるようらしかった。
「でもみさちゃん、それならナンバーズとかミニのほうがまだ当たる確率は高いと思うけど」
「おいおい、あやのまで夢のないこと言うなよ。どうせなら2億狙ってみたいじゃん」
「それはそうだけど……」
「何とかの誤謬がどうとか言ってたけど、なんか説得力あったぜ」
ギャンブルにはさして興味のないあやのは、夢を買う宝籤ひとつとっても堅実な道を選びたがる。
話はみさおがロト6を買ったという発言から始まった。
ロト6とは1~43までの数字から6個を選び、当籤数字と一致した数字の個数で配当が決まる籤である。
みさおは小遣いに余裕があるとつい何口かを申し込むのだが予想は悉くはずれ、投下資本すら回収できない。
その話を聞いたみゆきは申し込む度に数字を変えるのではなく、これまでに出た回数が最も少ない順に
6個選び、継続して同じ数字で挑戦した方が長期的に見れば得だと助言した。
全ての数字が等しい確率で抽籤されるなら、そのバラつきもいずれは平均化するだろうという見方だ。
「だからさ、今回は”この売り場から当たりが出ました”って書いてないところで申し込んだんだぜ」
これもみゆきの言によっている。
「長い目で見たらそうかもしれないけど結局、一回一回の確率は同じでしょ?」
みゆきの弁とそれに同調するみさおに対し、水を差したのがこのかがみの一言である。
(みゆきだって確率論の根本くらい分かってるだろうに)
半分呆れ顔でずばりと指摘するかがみ。
「それに普通の籤と違って自分で番号選ぶんだから売り場はどこでも関係ないんじゃない?」
よせばいいのに、彼女はなおも現実的で辛辣な言葉をぶつけた。
さすがにここまでくると、
「なあ、あやの。柊って私のこと嫌いとかじゃないよな?」
みさおもこう泣きつきたくもなってくる。
「大丈夫よ」
あやのも宥めはするが、今のは身も蓋もないのではないかと思った。
かがみはしっかりしていて勉強もでき、常識的なものの考えをする点では頼りになる。
だが反面、四角四面で融通が利かず、歯に衣着せない口調は人によっては受け容れがたい。
みさおは物事を大雑把に捉える性格でうまく受け流すが、傍でそれを聞いているあやのは
取り繕うように仲裁こそするがその実、この口調の冷たさだけは苦手だと思っている。
(柊ちゃんもそこまで言うことないのに……)
と言いたいところを苦笑いで表現するが、あまりに婉曲すぎてかがみには到底伝わらない。
「まあでも買ってみたくなる気持ちも分からないでもないけどね」
やはり呆れた様子のかがみがこの話題を締めにかかる。
歳の割に現実的な彼女は籤の類を厭う。
望む成果や結果は己の努力でのみ掴み取るべきだという考えが根底にあるらしい。
実際、定期テストの点数も試験勉強の度合いに応じて上下している。
「さて、と……」
わざと聞こえるように息を吐き、かがみが立ち上がった。
「ちょっと出てくるわね」
「なんだよ~また隣のクラスか~?」
すかさずみさおが問う。
「まあ、ね―」
このやりとりも今では当たり前になっている。
授業が終わると同時にB組に向かうこともあれば、今のようにみさおたちと二、三言葉を交わしてからの場合もある。
共通しているのは休み時間の少なくとも半分はB組で過ごしているという事実だ。
「やっぱ柊冷たい……」
「まあまあ、みさちゃん」
去りゆくかがみの背中に聞こえよがしにみさおが呟く。
この瞬間こそがみさおに”背景”と言わしめたのである。
「………………」
幼馴染に倣ってかがみを見送るあやのは寂しいとは思わない。
(私は背景だなんて思ったことないよ、みさちゃん)
そもそも背景が存在するためには前景が必要である。
250:空谷の跫音2
09/10/09 21:06:33 Sw0Py8GV0
みさおは勝手にかがみを前景に置き、相対的に自分たちを背景と位置付けたがそもそもその前提が間違っている、とあやのは思っている。
(私たちから見れば私たちが主役なのに)
何故わざわざかがみを中心に据えなければならないのか。
永い付き合いであるあやのも、このみさおの考え方だけはいまだに理解できないでいた。
「むぅ~~あやの~~」
「…………?」
またか、とあやのは思った。
かがみの、自分たちに対する扱いに彼女はたびたび愚痴をこぼす。
(もう、なんでそう柊ちゃん柊ちゃんって……)
と考えるが、間違ってもそんなことは口にはできない。
まるでかがみに嫉妬しているみたいでスッキリしないのだ。
「歴史のここ教えてくれよ。次、当てられそうなんだ」
机に突っ伏した状態でみさおが教科書を突き出した。
「あ……そっちだったの……」
昼休みも20分を過ぎると、廊下には男女問わず生徒の姿が多くなる。
大半は食事を終えて談話に花を咲かせているが、それに紛れて異性の交遊に戯れている組もある。
「ふう…………」
仲良さそうに話をしている生徒たちを見ると、かがみは無意識にため息をついてしまう。
人混みが嫌いなわけではない。
休み時間の廊下が嫌いというわけでもない。
ただ―。
この賑やかで不愉快な雰囲気にあっては気分が落ち着かない、というのが実際のところだった。
「おーっす、遊びに来たわよ」
どちらかと言えば行動的なかがみは、よそのクラスの戸を開けるのに抵抗感は持たない。
もともと休み時間の教室は人の出入りが頻繁だから、これといって気兼ねする必要もない。
「あ、お姉ちゃん」
つかさが手を振った。
「お待ちしておりました」
みゆきがにこりと笑う。
この反応からかがみがB組に来るのが恒例となっている事が窺える。
「こなたは?」
入るなり小学生と見紛うオタク少女がいないことに気付く。
「こなちゃんならさっきジュース買いに行ったよ」
「そうなの?」
「今日のはクリームが濃かったって言ってた」
「ああ……」
コロネの事かと思い当たる。
(あれ…………?)
その時、ふとかがみは自分が何かに対して安堵している自分に気付く。
何に、かは分からない。
目の前にはつかさとみゆきがいる。
そしてこなたがいない。
この状況にかがみは何故か心安らぐものがあった。
「かがみさん、どうなさいました?」
変化を悟ったみゆきがおずおずと声をかけた。
「ん? あ、いや、別になんでもないわよ」
かがみ自身、心の変化の理由に気付いていないためにこう返すしかない。
「ふぃ~、なんか今日は混んでてさ~。あれ、かがみ来てたんだ」
ブリックパックのミックスジュースを飲みながらこなたが戻ってきた。
かがみを見て特徴のある丸っこい唇をややつり上げる。
(………………ッッ!!)
この時だった。
かがみは急に胸がざわつくのを覚え、食後の満腹感が膨満感に変わったような息苦しさを味わった。
「かがみ……?」
眠そうな顔が近づいてくる。
反射的にかがみは目をそらした。
251:空谷の跫音3
09/10/09 21:08:47 Sw0Py8GV0
頬が赤くなった彼女に、
「ツンデレだね、やっぱり。そんなに私に会いたかったのかな~?」
よく分からない指摘をするこなた。
しかしこの常態化した雰囲気が、今だけはかがみを不快にさせる。
「うりうり~~」
その反応を楽しむようにこなたがツインテールをぐいぐいと引っ張る。
「さわんなっ!!」
かがみは乱暴に振り払った。
「…………?」
「………………?」
つかさもみゆきも呆気にとられて、顔を真っ赤にしているかがみを見つめた。
「かがみ……?」
平素、こなたはよく彼女を怒らせる。
悪戯好きなキツネは嫌がるのもお構いなしに寂しがり屋のウサギを揶揄(からか)ってはその反応を楽しんでいた。
人に構われることを内心では求めているウサギは時に疎ましいキツネにきつく当たることもある。
それがいつものやりとりだった。
「…………ごめん。なんか調子悪いみたい。私、教室戻るわ」
最後はこなたの顔を見ることもなく、かがみは逃げるように教室を出て行った。
「お姉ちゃん、どうしちゃったんだろう……」
「心配ですね……」
つかさはすぐにその後を追おうとしたが、足が竦んだようにその場から動けなかった。
「………………」
一方、直接の原因となってしまったこなたも困ったように俯くばかりだった。
(私……気に障ること言っちゃったのかな…………?)
いつも通りのやりとりだったハズで、特にかがみの神経を逆撫でする発言はなかった。
が、このあたり見た目に反して真剣に考えるこなたは、どのタイミングでどう謝ろうかと思案した。
「あれ、もう戻ってきたのか?」
あやのに歴史のレクチャーを受けていたみさおは、大きく伸びをした際にかがみを認めた。
そのまま自分たちの方に来ると思いきや、かがみは少し離れた自分の席につくと長大息した。
2人は無言のまま視線を交わす。
「さ、あともうちょっとだから」
みさおがまたかがみに気をとられないように、あやのは教科書を差し出して先を促した。
「うえ~年号かよ~。ここが一番苦手なんだよな」
「苦手だからこの際克服しちゃいましょ」
「また今度ってことで……」
「だ~め」
「うぅ…………」
次の授業で当てられそうな範囲だけ聞くつもりだったみさおは、いつの間にかちょっとした家庭教師役となっているあやのの
静かな熱意に押されて渋々ながら教科書を覗き込む。
ただでさえ苦手な科目で、しかもやる気のない今では全く頭に入らない。
結局、あやのが上手い語呂合わせを考えついて年号を2つほど覚えたところで昼休みは終わってしまった。
この後、予想通り担当教師は抜き打ち気味にみさおを指名した。
予習のおかげで難なく回答できたものの、再び突っ込んだ質問をされると答えることができなかった。
「分かりません」
と言ってから着席したみさおに、あやのは両手を合わせた。
(ごめんね、みさちゃん)
なにも彼女が謝る必要などないというのに、ヘンなところで律儀なあやのはみさおが答えられなかったのは、
自分が至らなかったからだと思っているようである。
「………………」
そのちょっとしたやりとりを眺めていたかがみは、ぎゅっと胸が締めつけられる想いがした。
申し訳無さそうな困り顔のあやのと、意にも介していないみさおの恬淡さ。
それらが彼女から平静を奪っていく。
252:空谷の跫音4
09/10/09 21:12:36 Sw0Py8GV0
かがみが最近になってしばしば感じるようになった苦しみは、放課後になっても容赦なく襲ってくる。
それを齎(もたら)したのはみさおの、
「柊、たまにはうちらとカラオケ行こうぜ」
というごく自然な誘いだった。
年頃の女子なら気の置けない仲間と連れだって遊びに繰り出すのは普通だ。
生真面目なかがみも、放課後に寄り道なんて……という考えはない。
しかし彼女にとってありがたい誘いは精神の不安定さもあって、素直に喜べるものではなかった。
その原因はおそらく、”うちら”というキーワードがみさおの口から放たれたからではないか、とかがみは気付き始める。
(なんだろう……この感じ…………)
かがみは自問したが、その答えを殆ど得ていることを分かっていて彼女は敢えてそれに気付いていない振りをした。
「あやの、けっこう歌上手いんだぜ?」
このちょっとしたみさおの台詞がかがみの心を抉剔(けってき)した。
体がかあっと熱くなる。
マラソンを走り終えた時のような激しい動悸。
天地がぐるりと急転したかのような感覚。
続いて嘔吐感。
それらが順番に―先を争うように襲いかかり、彼女が必死に保ってきた意識を悉く食い荒らしていく。
「おーい柊~聞いてるか~?」
みさおがチャームポイントの八重歯を覗かせた。
この仕草ひとつでも男の心を大いに擽るだろう。
もちろん彼女にそうした意図はない。
「あ、あのさ…………」
「ん?」
「私、今日はやめとくわ。こなたたちと先約があるから」
胸を締めつけられるような痛みを縫うようにかがみが言った。
「………………」
いつものみさおならここですぐに口を尖らせていただろう。
ぶーぶーと不満を垂れてはあやのに泣きついていただろう。
しかし彼女はそうはしなかった。
マンネリ化した反応に飽きたわけではない。
先約がある、というかがみの断り方が不自然だったからだ。
そこに気付けないほど蒙昧なみさおではない。
「なあ、柊」
お気楽少女は一転して真面目な顔つきに戻り、
「なんか隠してんじゃね?」
「…………ッ!!」
こういう時、かがみはウソを吐くのが下手だ。
この質問が予想できるものであったなら彼女にも心構えができたハズだが、ずばりと核心を衝く問いかけをしたのはあのみさおだ。
「なんかヘンなんだよな」
「な、なにがよ!?」
自分に都合の悪い追及があった時、その躱し方に慣れていない者は平素に比べて饒舌になるか声調が不自然に上がる。
或いは視線を落ち着きなく彷徨わせる、頬が紅潮する、発汗するなどの反応をする。
かがみはその全てをやってしまった。
ギャグマンガのキャラのような滑稽な狼狽ぶりを披露したかがみは、その所作だけで既に十分すぎるほどに
真意を吐露してしまっている。
「なんていうかさ、心ここにあらずって感じだし」
みさおにしては妙に鋭かった。
万事にお気楽に構える彼女は自身のことには鈍感でも、他人のことには鋭敏になる瞬間があるらしい。
例えば今のようにさらにかがみにボロを出させようと、ぐいっと顔を近づけるという動作も面白半分ではなく、
相手を慮ってのことである。
「な、何にもないわよ」
友人の顔が間近に迫り、照れているのか焦っているのか、かがみは耳まで真っ赤にして俯いた。
こうなっては言葉による否定は何の意味も持たない。
いかに上手い切り返しを思いついたとしても、それを放つのは所詮はウソの吐けないかがみである。
形にもならない誤魔化しが、みさおの疑念をさらに強くするだけだ。
「ごめんね、先生に用事頼まれちゃって……」
その時、苦笑混じりにあやのがやって来た。
授業が終わって早々、ひかるが資料整理をあやのに頼んでいたのである。
「お、やっと終わったか~」
みさおがひらひらと手を振る。
253:空谷の跫音5
09/10/09 21:13:56 Sw0Py8GV0
その動作にかがみが向き直った。
「…………!!」
その途端だ。
一時は治まっていた激しい動悸が再び襲ってきた。
あやのの顔を見た瞬間に―。
それがどれほど失礼な行為であるかをきちんと認識した上で、
「ああ、時間だからゴメンっ!!」
その顔を見るなりかがみは逃げるようにして教室を飛び出して行った。
残されたあやのは困ったようにみさおを見た。
「柊ちゃん、どうしたの?」
「ん~~」
よく分からない、と言いかけて口を噤む。
(柊って意地張るところがあるからなあ……)
何やら悩みを抱えているのは間違いなさそうなのだが、その内容までは誰にも分からない。
「柊ちゃん、最近ちょっとヘンじゃない?」
「あやのもそう思う?」
「うん、なんとなく―」
あやのがこう答えたのは、かがみと居る時間が少ないからだ。
様子がおかしいと気付く前に彼女は早々とB組に出かけてしまう。
「ま、なんか相談したいことがあるんなら向こうから言ってくるだろ」
「そうかな……柊ちゃんってそういうところ意固地だから、自分から言うとは思えないけど」
「………………」
「どうしたの?」
「いや、私と同じこと考えるなあと思ってさ」
「そうなの?」
みさおは少し嬉しくなった。
見た目も中身も自分とは全然違う幼馴染みと意識を共有できていると実感できた喜びだ。
その後、予定していたカラオケはキャンセルし、あやのが買い物に行きたいと言うのでみさおも付き合う事になった。
日頃いろいろと支えてくれる彼氏に何かお礼がしたいから、というのがその理由だ。
「兄貴の好みねえ……そういうのはあやのの方がよく知ってるんじゃねえの?」
どうせなら喜ばれる物をと考えながら教室を出る。
「あれ……?」
廊下に出て何気なく視線を横に向けたみさおは思わず声をあげた。
視界に入るのはB組の教室。
室内にはこなたとつかさの姿があった。
かがみは―いない。
「みさちゃん?」
会話を断ち切り、みさおはそのまま教室に入っていく。
「あ、日下部さん」
気付いたつかさがパッと顔を上げた。
「珍しいね、みさきちがこっち来るのって」
「え、あ、ああ……」
生返事でみさおは教室内を見渡す。
「どしたの?」
「なあ、柊こっち来なかったのか?」
「うん? 来てないよ?」
「そっか……」
「あ、お姉ちゃんならさっきメールあって、用事があるから先に帰るって」
ほらほら、とつかさが携帯のディスプレイを向けた。
「………………」
つかさの言うように、先に帰るという旨の文面がある。
用件を伝えるだけの素っ気ない文章だ。
「柊の奴、私がカラオケに誘ったらチビッ子たちと先約があるって断ったんだよな」
「先約? 今日は別に何も予定ないけど……」
こなたが眠そうな目を少しだけ開いた。
「ほんとか?」
「ほんとだって」
「ふうん……」
みさおはこなたを疑うような目で見た。
当の本人は自分は本当に何も知らないと頻りにかぶりを振っている。
254:空谷の跫音6
09/10/09 21:15:25 Sw0Py8GV0
「そういや昼間もヘンな感じだったよ。私が怒らせちゃったんだと思うけど」
「ああ、そっちでもか」
「心配だね、かがみは私の嫁だから」
「そうだな。なんからしくないよな。柊はうちのだけどな」
「いやいや、私のだから」
「いやいやいや、うちのクラスだし」
「いやいやいやいや、いっつも一緒にいるの私たちだし」
「いやいやい―」
「もう2人とも、つまらないケンカしないの」
見かねてあやのが割り込んできた。
”つまらないケンカ”と一蹴されたみさおたちはその一言で一気に熱を冷ました。
あやのはこの話題を切り上げたがっているようだ。
それを空気を通して感じ取ったみさおはここで思案を巡らせることはせず、
「チビッ子からも聞いといてくれよ」
と、先ほど自分がしようとした事をこなたに託す。
だが言われた方はキョトンとした顔で、
「それならみさきちの方が適任じゃないの? クラス一緒なんだしキッカケも多いでしょ?」
さりげなく辞退する。
「あ~ダメだダメだ。私らだと柊、身構えちゃってさ」
「こっちでも一緒だよ。意地っ張りだからね、かがみんは」
と、今度はかがみの性格がどうだという話になる。
互いに違和感を持っていることを知った2人は、先にかがみに心情を吐露させた方が勝ち、
という子供っぽさ全開の勝負を約束した。
勝つのは私だ。
いや自分が勝つ。
と相変わらずくだらない張り合いを再開しかけるも、あやのが半ば強引に割って入って有耶無耶にする。
かがみは心配だがあやのの買い物にも付き合ってあげたいみさおは、いまだ所有権を主張し続けるこなたに折れる恰好で教室を後にした。
255:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 21:18:16 Sw0Py8GV0
今夜はここまでです。
日を置いてじっくりと投下していきたいと思います。
ではまた。
256:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 21:20:24 rNUZ4w4M0
たのしみだ
257:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 23:37:08 nUGEP/F60
>>255
JEDI氏?
258:名無しかわいいよ名無し
09/10/09 23:48:54 o0TkXSxN0
ここも荒らし来やがったJ
259:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 00:46:33 zBIVZwdUO
J (´Д` )
260:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 10:15:56 1BFcXEog0
>>255
難しい漢字が多くて若者(23歳)の私には読めない漢字がいくつかあったけど、面白かったです。
中高の頃、まさに女子の間でこういうのありましたね・・・
私は傍観者だったけど、凄く辛かった。
261:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 12:05:04 amjRhKTY0
( ´Д`) J (´Д` )
262:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 12:16:54 VzFQWkvx0
|
|
|
( ´Д`) J (´Д` )
263:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 13:07:59 IW4pJCFZP
なにこの流れ?
264:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 15:26:46 B1T8ZsYB0
>260
投下の後いつも同じような感想付けていると
自画自賛弁当持参がばれますよJさん
面白くないんですよ愚痴吐き捨て私小説は
265:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 16:33:43 X67m38fD0
スレ違いっぽかったから読んでないけれど
あっちとこっちじゃ需要が全然違うもんなw
266:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 22:48:34 IO8B83Ysi
>>264
なにこいつ荒らし?
俺このスレ最近きたからよくわからんけどJって人?のSS面白いと思うし、別に趣旨外れてる訳じゃ無いじゃん。
そういう心無い書き込みやめようよ。
盛り上がってるならともかく、この過疎スレにJさんの投稿は貴重だよ。
267:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 23:07:45 B1T8ZsYB0
>>266
ネカフェの店変えてまで自己弁護お疲れ様です
多くの人間を不愉快にさせた荒らしのJさん乙です
268:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 23:42:17 IO8B83Ysi
>>267
ちょっとまってくれw
IDのケツにiがついてるからiPhoneだろうが^^;
俺はこのスレの実情について知らないし、本当にJさんが荒らしの人でみんなが迷惑しているのならば申し訳ない。だから特別必死になって擁護するつもりはない。
だが、新参者の意見としては純粋に面白いし大変ありがたいと思ってるよ。
269:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 23:45:49 IhzMDsRo0
続きまだかなあ
270:名無しかわいいよ名無し
09/10/10 23:56:37 X67m38fD0
このスレには原理主義者が居るってこった。
俺もだけどね。
271:名無しかわいいよ名無し
09/10/11 05:35:46 Rhe5Z5yCi
そうかぁ?まとめサイト全部読んだ限りそうは思えないけどな。
272:名無しかわいいよ名無し
09/10/11 07:15:29 80mTrSL20
まとめサイト落ちた?
メンテ中かな
273:名無しかわいいよ名無し
09/10/11 08:43:17 Rhe5Z5yCi
メンテ中だったみたいだね。
現在は問題なく見れるよ。
274:名無しかわいいよ名無し
09/10/11 21:18:39 ucg0gPip0
みなさん、こんばんは。
本日分の投下参ります。
275:空谷の跫音7
09/10/11 21:20:07 ucg0gPip0
「………………」
もう数えきれないくらいのため息をついたかがみは、足早に学校を出た。
先に帰る旨のメールは既につかさに送ってある。
追い越す生徒たちが楽しげに談笑しているのに苛立ちを覚えながら、彼女は駅近くの寂れた喫茶店に入った。
すぐにウェイターがやって来る。
「ご注文はお決まりでしょうか?」
そちらこそ決まりきった質問をするな、と悪態を衝きたいところを堪えてアイスコーヒーを頼む。
何でもよかった。
とにかく人の出入りの少ない所で喉の渇きを潤し、落ち着くための時間が欲しかったのだ。
「わたし…………」
目を閉じると心配そうに顔を覗き込むみさおが映った。
その後、申し訳なさそうに教室に戻ってくるあやの。
2人の残像が瞼の裏で重なる。
それを引き金に起こる動悸。
彼女は自覚してしまったのだ。
ここ最近の胸のざわめきの正体を。
(……いや、そうじゃない。私はずっと前から分かってたんだ。分かってて気付かない振りをしてただけ…………?)
柊かがみは誰に対しても―自分も含めて―素直になれない。
「分かってたのに……」
もの悲しげな店内のBGMが、彼女に中学時代を想起させた。
・
・
・
・
・
中学時代。
それまでの6年間とは違い、中学では学業成績を意識させられる。
小学校にもテストというものはあったが定期的なものではなく、しかも問題用紙は担任教師の手書きによる柔らかさがあったため、
受ける側は全く身構える必要はなかった。
いちおう点数がつけられ、良くも悪くも通知簿や家庭訪問で話題に上るもそれが即、重要な意味を持つ事柄にはなり得なかった。
勉強しようが怠けようが自動的に中学には進学できるから。
だからその6年間に関しては何も考えずに学生生活を送っていればよかった。
だが中学ではそうはいかない。
早熟者はこのあたりから進路を意識し出すし、そうなると俄かに教室は張りつめた雰囲気になる。
これまでの狭いコミュニティから一転、各学区から上がってきた他人たち共々に同じ教室に詰め込まれる圧迫感。
期待よりも不安の方が大きかった。
中学校は厳しいところだ。先生は恐い人ばかりだ。規律にうるさいところだ。
こうしたイメージが先行してしまい、入学当初は誰の顔も緊張に彩られていた。
案の定、かがみはつかさと別のクラスに分けられた。
右を見ても左を見ても知らない生徒ばかり。
不安が募る。
そんな境遇にもめげず持ち前の気丈さで乗り切っていたかがみは、2年生こそつかさと同じクラスになれるようにと強く願っていた。
だがその願いは叶わず、彼女はまたしても妹と切り離されてしまった。
社交性のあったハズのかがみは1年の早い段階でそうするべきだったのに、積極的に友人を作ろうとはしなかった。
つかさの保護者としての立場を優先するあまり、自身の付き合いに関してはなおざりにしてしまったのだ。
それが仇となったのが、この2年生の時からである。
特に女子は仲良しのグループを作りたがり、一度できたそれを改めることを厭う。
気がつくとかがみの周りには大小いくつものグループができていた。
特定のそれに属していなかった彼女が孤立するのは自明の理である。
ここにつかさがいれば少しはマシだったかもしれないが、柊の末双子は揃い揃って孤独の憂き目を味わう羽目になる。
そんな時、声をかけてきたのがみさおとあやのだった。
幼馴染みだという2人は緊張感とは無縁のみさお、その陰に隠れて淑やかな佇まいのあやのという見た目も中身も対照的な組み合わせだった。
話しかけられたことで弛緩したかがみは、彼女には似つかわしくないほど饒舌になりすぐに2人と打ち解けることができた。
みさおもあやのも、未知の人に対して垣根を作らない性格だったのだ。
この時、かがみはまだ、”打ち解けた”と認識していた。
276:空谷の跫音8
09/10/11 21:21:19 ucg0gPip0
友だちの輪は自然に広がっていくものだから。
今回はこれがキッカケで新しい友人ができたのだ、と。
その程度にしか思っていなかった。
しかし間もなく、その認識が誤りだったことに気付く。
同年、夏休み。
当時は個人情報取扱いについて五月蠅くなく、同級の者たちは配布された連絡網によって互いの家の電話番号を知り得た。
携帯電話も普及していたが今ほど浸透はしておらず、中学生に持たせるのは早いと考える親が大半だった。
みさおから柊家に電話がかかってきたのはそういう背景があってのことである。
「うちに遊びに来ねえ?」
前置きを嫌う彼女はこの頃から既に男の子っぽい口調だった。
この頃、学校生活に慣れてきたかがみにはクラスに友だちが数人いたが、
最も親しかったのはみさおとあやのだった。
「じゃあ今から行くわ」
予定のなかったかがみは即諾。
人見知りの激しいつかさはこういう時はたいてい姉と同行するのだが、
この日はたまたまみきと買い物に出かけていて不在だった。
「あ、そだ。柊、アルバム持って来てくれよ、アルバム」
「アルバム? 小学校の?」
「そうそう」
みさおには深い考えはなかった。
ただ新しくできた友だちがどんな小学校に通っていて、どんな事をしていたのかに興味があったに過ぎない。
「分かったわ。もうちょっとしたら出るから」
「オッケー。お菓子用意して待ってるぜ」
突然の申し出ではあったが、かがみがアルバムを物置から探し出すには時間がかからなかった。
卒業して半年も経っていないのだ。
どこに片付けたかくらいはすぐに思い出せる。
みさおに聞いた道順を辿る。
通りに面した小さな庭のある戸建。
それが日下部家である。
(そういえば遊びに来たのはこれが初めてね)
3人で遊ぶ時も決まって外で待ち合わせていた。
普段、学校でおしゃべりに耽っていてもどちらかの家に行くという話はなかなか出てこなかった。
行かなくとも次の日にはまた学校で会えるからだ。
「お、待ってたぜ。こっちこっち」
初めて来るということもあって、みさおは通りの中ほどでかがみを待っていた。
「けっこうオシャレなところに住んでるのね」
「まあな。でもちょっと前まではこんなに綺麗じゃなかったんだぜ」
「そうなの?」
彼女によれば数年前、近くで大型ショッピングモールの工事が始まった途端、それに合わせるように
道路から何から整備が施されるようになったらしい。
歩道が無機質なアスファルトから不規則な模様のレンガに置き換わると、がらりと印象が変わったという。
「お邪魔します」
律儀なかがみはこうした挨拶を決して忘れない。
「はーい、いらっしゃーい」
みさおが母親の真似をしておどけた。
彼女の部屋は2階の突き当たり。
薄茶色のドアを開けるとそこには―。
「あ、柊ちゃん」
あやのがいた。
彼女はテーブル上の臙脂色の表紙の本をまじまじと眺めていた。
「適当にくつろいでいてくれよ。ジュース淹れてくるから」
みさおはドアを開け放ったまま階下に降りていった。
(………………)
かがみが胸のざわめきを初めて感じたのがこの時だった。
臙脂色の表紙の本とは、あやのたちの小学校の卒業アルバムだったのだ。
277:空谷の跫音9
09/10/11 21:22:43 ucg0gPip0
「へえ、それが峰岸たちの学校のアルバムなんだ?」
「うん」
かがみはあやののすぐ横に座り、彼女に倣ってページを追っていく。
大小さまざまに紙面を覆う写真。
まず校長と校歌が紹介され、その次に教職員たちの集合写真。
その後はクラス単位での活動が記録されている。
遠足、運動会、音楽発表会、修学旅行―。
「ああ、それはイチゴ狩りに行ったやつだな。2年の時だっけ」
という声にかがみが顔をあげると、お盆にジュースとビスケットを乗せたみさおが立っていた。
「こん時はあやのがさぁ―」
「もう! その話はやめてよ」
したり顔のみさおに、あやのは些か狼狽した風を晒した。
「柊、アルバム見せてくれよ」
「え? ええ、いいわよ」
かがみは鞄の中からアルバムを取り出す。
こちらは藍色の表紙だ。
が、装丁や構成はどこの学校も似たり寄ったりである。
3人は両方のアルバムを比べるように並べ、順番に1ページずつめくっていく。
「へえ~柊んとこは組体操が無かったんだ?」
「うん、危ないからってPTAが反対したらしくてね。昔はあったみたいだけど」
「校外学習っていう言い方は共通なのね。遠足でいいと思うけど」
「そのほうが締まりがあるからじゃない? そういえば峰岸たちって修学旅行はどこに行ったの?」
「九州よ。地獄巡りとかハウステンボスとか」
「同じね。こういうのってどこの学校も行き先は同じなのかな」
「兄貴は長野にスキーに行ったらしいぜ。年によって違うんじゃね?」
という具合に彼女たちは互いに記憶を辿りながら、あるいは重なりあるいは相違する6年間を振り返った。
その中でつかさの話は殆んど出てこない。
時たまに忘れ物をしたつかさがかがみに借りに来るというお決まりのパターンができていたため、
その場に居合わせるみさおたちは一応は双子の妹がいることを知っている。
だがつかさ自身、用を済ませるとそそくさと教室を出て行ってしまうため接点が持てなかったのである。
アルバムを繰りながらつかさについて触れられたのは、
「妹ちゃんって昔は髪長かったのね」
というあやのの一言のみだった。
―女は3人寄れば姦しい。
この俚諺は条件に合致する全ての場合に当てはまるものではない。
場を取り巻く空気はアルバムの中ほどまで進んだ頃に変わり始めた。
”○○年卒業生 ~~6年間の歩み~~”
というタイトルが躍るページには、全校生徒が関わる行事の中で卒業生だけをピックアップした写真が並んでいる。
校外学習と称した演劇鑑賞会や春秋の運動会、ボランティア活動などの種々の軌跡が収められている。
「あ、これこれ。自然教室の2日目。写生大会の時」
みさおが中段の写真を指差した。
旅館を出、森林に向かうみさおとあやのを後ろから捉えたものだ。
「この後、急にヘビが飛び出してきてさ。あやのってば私にしがみついてきたんだよな」
「み、みさちゃん!」
「”助けて~”って、あん時のあやのには笑ったよなー」
「へえ、そうなんだ」
「でさ、旅館に戻ったら部屋に荷物まとめるための紐を置きっぱなしにしてたんだよ。
そしたらあやのがそれ見て、”また出た~!”って走っていくんだぜ」
「みさちゃん……恥ずかしい話はやめてよぅ……」
「峰岸ってヘビ苦手なんだ?」
「得意な人なんていないよ、ヘビなんて……」
「だからってあれは怖がりすぎだろ。ただの白い紐なのにさ」
「あの時は気が動転してたの!」
八重歯を見せて笑うみさおに、あやのは耳まで真っ赤にして反駁した。
278:空谷の跫音10
09/10/11 21:23:49 ucg0gPip0
「秋の遠足の時もそうだったよな。コオロギが頭の上に止まってさ」
「うう……早く忘れてよ……」
「でも絵がむちゃくちゃ上手いんだぜ。この写生大会の時のだって入賞してるしな」
「そうなんだ……」
「私なんかじゃ絶対ムリ。絵なんて全然描けねーもん」
「でもみさちゃんだって体育大会で2位になったじゃない」
「いやいや、ああいうのは1位じゃないと意味がないんだよ」
相槌を打っていたかがみは疎外感を感じている自分に気がついた。
思えばアルバムを……という話になった時点でこうなる事に気付くべきだったのかもしれない。
この2人との間にある途轍もなく大きな隔たりを感じ取るべきだったのだ。
臙脂色のアルバムを通して、みさおとあやのは思い出話に花を咲かせている。
そこにかがみが入り込む余地はない。
自分と彼女たちとは違う小学校だったから。
行事の中身は同じでも共に過ごした時間はゼロなのだ。
時折、主にみさおがかがみの学校ではどうだったかと話を振ってくる。
その時には話題に加わることができる。
が、今となってはそれすらも彼女にとっては苦痛だった。
『柊んトコは?』
『そっちは……』
『うちらの学校じゃ……』
こうした言葉を投げかけられる度、かがみはいちいち隔たりを感じさせられる。
敵対的なものではない。
だが区別をつけられているようで、どうしても”1対2”という構図から抜けられなくなってしまう。
「あやの」
「みさちゃん」
部屋に上がってから、この呼称を何度聞いただろうか。
かがみは思った。
自分にとってこの2人は、出会った時から”日下部”と”峰岸”だった。
親しくはなった。
しかし打ち解けたのではない。
柊かがみ、日下部みさお、峰岸あやのという3人グループを形成したわけではなかった。
柊かがみという少女が、既に完成されているコンビの中に入り込む恰好となっているのだ。
だからこそ互いに名前で呼び合う2人に対し、彼女は名ではなく苗字で呼んだ。
最初からある垣根がそうさせていたのだ。
(………………)
いつしか2人はかがみそっちのけで思い出話に沸いていた。
和気藹々と盛り上がる彼女たちを見ているうち、かがみは急に恐れを抱くようになった。
決して対等の立場に立てないという恐怖。
3人組ではなく、永遠に”2人の中に加わった部外者”という立場から逃れられない恐怖だ。
たとえばこの先、みさおかあやのと揉めるような事があれば―。
きっと彼女たちは互いに庇い合うだろう。
たとえかがみが正しかったとしても…………。
彼女に左袒することはないだろう。
幼馴染みという間柄が生む絆は強い。
一見仲良しを演じていてもそこに亀裂が生じれば、結びつきの強い者同士はよそ者を容易く切り捨てる。
(なんか居場所がないみたい…………)
そう彼女が思うのは、今もアルバムを繙(ひもと)き自分には分からない話題で盛り上がっている
2人が否応なしに視界に飛び込んでくるからだ。
「―柊ちゃんってば」
「え…………?」
いつの間にか相槌を打つのも忘れて自失していたかがみは、目の前にあやのの顔があることに気付いた。
「大丈夫?」
体調が優れないものと思ったらしい。
あやのは心配そうにかがみの顔を覗きこんだ。
「あ、うん。なんでもないわ」
心中を悟られまいと彼女は大仰に手を振って笑んだ。
279:空谷の跫音11
09/10/11 21:26:23 ucg0gPip0
・
・
・
・
・
「思えばあれが最初だったのよね」
考え事をしていても体は自分が欲するものを無意識に求めるらしい。
既にグラスのコーヒーは半分ほどがかがみの胃の中に消えている。
しかしほろ苦い液体が空腹を満たすのとは対照的に、彼女の心の中は時間を追って空虚になっていく。
「同じクラスでじゃれ合ってても、日下部たちとはどこか違うのよね……」
その原因は繋がりの強弱にある、とかがみは分かっている。
付き合いの長さが絆の深さを育むのあれば、彼女は決して2人には及ばない。
永遠にその距離は縮まらないのだ。
(………………)
これはただ成り行きによるものだけではない。
かがみ自身、積極的にその差を埋めようとはしなかった。
みさおと居ることが苦痛なのではない。
あやのと話すことが辛いわけではない。
この2人と共に過ごす時間が耐え難いのだ。
ところが現実は孤独感を味わう者に対して常に辛辣なシチュエーションを用意してくれる。
みさおとあやの。
彼女たちはいつも一緒にいた。
姉妹のように。
かがみが見る限りでは片時も離れずに行動していた。
それが距離を縮められない理由だった。
(だってそうじゃない……いつも私は一歩退いたところにいるんだから……)
この柊かがみという才媛は本音と建前の持つ意味をよく心得ている。
心得ているからこそ自ら本音を曝け出すような真似はしない。
(ホントはもっと仲良くなりたいなんて言えるわけないじゃない……!!)
彼女は幼い頃に強くなることを覚えた。
そのキッカケを作ってくれたのはつかさだ。
二卵性のため双子の妹といっても、性質はずいぶんと違う。
自分と違い引っ込み思案で勉強も運動も苦手な妹。
両親は逆に何でもそつなくこなすかがみに何度となく、
『かがみはしっかり者だ』
と言っては褒めそやした。
利発な彼女はその褒め言葉の裏に、”だからお前がつかさの面倒を見てやってくれ”という意味を読み取った。
この勘繰りは強(あなが)ち間違いではなかった。
柊つかさはいのりでもまつりでもなく、かがみにべったりだったからだ。
”妹を守ってやれるのは自分しかいない”
という使命感に近いものを彼女が抱くようになったのは小学校に上がった頃である。
誰かを守るためには自分が強くなくてはならない。
甘えや依存に溺れているようでは妹はおろか、自分すら守れなくなる。
子供ながらにそう達観したかがみは強さを求めた。
勉強もスポーツだけではない。
規則正しい生活を送り、朝は早くから自分で起きて勉強を怠らず、夜は更かさずに寝る。
実に模範的な生活スタイルを確立した彼女は、完璧主義とは行かないまでも、
万能の姉として誇れる存在でありたい、そう思われたいと強く願うようになった。
完璧になれなかったのは彼女に料理の才がなかったからだ。
こればかりはつかさの足下にも及ばなかった。
たったひとつでも妹に劣る分野があるということは、かがみにとってはストレスである。
彼女はその苛立ちを努力によって克服するのではなく、間食という逃避に奔って解消した。
その結果、体重が増えるという副作用を起こす。
そうしたジレンマに苛まれながらも、かがみは理想の姉として振る舞うことに腐心した。
挙句に得たのは強さを隠れ蓑にした狷介不羈。
強さを求めた彼女は、その源は意固地であることだと読み違えてしまっていた。
弱さの露呈を殊更に恐れるようになったかがみは、本音を晒すことを禁忌だと決めつけた。
280:空谷の跫音12
09/10/11 21:28:16 ucg0gPip0
本当はもっとみさおと話したい、あやのと遊びたいと思っていてもそれは決して表には出てこない。
弱みを曝け出すことになるから。
それではまるで自分が彼女たちより格下で、親しくしてくれと頼み込む恰好になるではないか。
(今さらできないわよ……)
かがみは拳を握り締めた。
そんな彼女の性質を”ツンデレ”という言葉で片付ける少女がいた。
(そうか……だから…………)
昂ぶった感情を抑えようと、かがみは静かに目を閉じた。
途端、記憶に新しい光景が暗闇の中に広がった。
・
・
・
・
・
陵桜に入ってしばらく経った頃。
やはりと言うべきかつかさと離れ離れになったかがみは、幸か不幸かみさおたちと同じクラスになった。
中学時代と変わらない3年間を送ることになるのか。
かがみはつい悲観的な予想をしてしまう。
後に”背景コンビ”と自蔑する2人とのこれまでの付き合い方によって、彼女は進んで他人に話しかける勇気を持てなくなった。
初めて見る顔ぶれの中にも、きっと以前から繋がりのある友人がいるに違いない。
かがみがいくら新しい出会いを求めても、みさおにとってのあやののような存在が必ずちらついた。
(私にも幼馴染みがいて陵桜の生徒だったら良かったのに……)
残念ながらそんな人間はいない。
このクラスの中で最も古い付き合いなのは、やはりみさおたちなのだ。
諦観しかけていたかがみだったが転機は突然に訪れた。
最近、つかさが妙に明るいのだ。
その理由を問うと、泉こなたというクラスメートと親しくなったかららしい。
つかさが外国人に声をかけられて困っているところをこなたが助けてくれたのがキッカケで仲良くなったという。
その話を聞いたかがみは些かショックを受けた。
自分よりもずっと内向的な妹でさえちょっとした理由で友人ができているのである。
「そうなんだ。じゃあ姉としてお礼を言わなくちゃね」
と余裕の振る舞いを見せたかがみだったが本心はそこではない。
礼を述べる旁、あわよくばその泉こなたに近づきたいというのが本音だ。
つかさを介しての友だちならば自然に付き合える。
何よりそうすることで窮屈な現状から抜け出せるのだ。
つまり背景コンビと自分、という構図からの脱却。
即ち次は自分がみさおとなり、つかさがあやのとなり、泉こなたが柊かがみの立場になる。
2対1という疎外感を味わわずに済む。
(別にその泉さんって人に疎外感を感じさせたいわけじゃないわよ)
本人にその意図はなくても、結果的にこなたを犠牲にして自分が3人の中で優位に立ってしまう構図は変わらない。
「今度紹介してよ。その泉さんって人」
こうしてかがみはごく自然な流れでつかさの教室に入り込み、こなたとの接点を得た。
以来、彼女は学校での大半をつかさたちと過ごすようになった。
幸い学級委員長つながりで話すようになったみゆきも同じクラスにおり、彼女も含めて4人の仲良しグループを形成するに至った。
オタクのこなた、博識のみゆきという濃いキャラクターではあったが、そこにつかさが介在しているお陰で違和感なく溶け込める。
しかも運の良いことに2人とも過去の付き合いというものを持ち出してこない。
(もしかしたらこなたとみゆきも陵桜で一から人付き合いを始めたいって思ってるのかも?)
かがみは思った。
この2人からは中学時代や小学時代の話を全く聞かない。
(あからさまなオタクとかみゆきみたいなお嬢様っぽい人はみんな敬遠するのかもしれないわね)
そうなると彼女は安心できる。
自分と同じく交友関係が狭い者同士、傷を舐め合うよう―ただし互いに相手に悟られないよう―に生きていける。
常識人でしっかり者という立ち位置をキープしながら、かがみはこの関係が崩れないように努めた。
別段難しいことはない。
勉強嫌いのこなたに対しては呆れながらも宿題を写させてやったり、分からないところを教えてやったりするだけでいい。
これはつかさへの扱いと同じなので簡単だ。
またこなたがオタクである事から、多少その方面の知識も身につけておく。
こうすれば彼女のボケにも的確なツッコミができるし、必要なら話を合わせることもできる。
281:空谷の跫音13
09/10/11 21:29:38 ucg0gPip0
一方で才女みゆきとの付き合い方はこれまで通りとはいかない。
彼女は自分よりも博学で瑶林瓊樹の淑女だ。
こなたたちのように優等生というキャラを貫いていては見劣りしてしまう。
都合の良いことにみゆきは秀才で間違いはないのだが、天然という別の面もある。
おまけに歯医者に対する極度の恐怖心が彼女自身の欠点として露呈してしまっている。
かがみはそこを巧みに衝き、みゆきが時たまに見せる弱さを慰撫する役目に回った。
普段は逆立ちしても敵わない相手だがこの時だけは自分が上にいることを実感できる。
グループを形成するにあたり、彼女は2人を名で呼ぶことにした。
よそよそしくならないように親しみを込めて。
垣根を作らないために。
みさおたちの区別という意味もあった。
自分のことを苗字で呼ばせないためでもあった。
彼女はそれなりに幸せだった。
みさおたちと居ては決して得られなかった居心地の良さがあった。
かがみはつかさに感謝した。
彼女がいなければこの小さなコミュニティは成立し得なかっただろう。
ある日のことだった。
その幸せをあっさりと瓦解させ得る一言が、意外な人物から発せられたのだ。
何の脈絡もなく、突然に―。
昼休み、お弁当を持ってかがみがつかさたちの教室を訪れた時だ。
「かがみってよくここに遊びに来るけど、クラスに友だちいないの?」
恐らくこなたは何の気なしに放ったのだろう。
しかしその言葉は恐ろしいほど鋭利で冷たい牙となって、かがみの心を容赦なく抉剔した。
かがみは辛うじて吐き気を堪えた。
こなたがこれを言うと予想できたなら、彼女もここまで心身の苦痛を味わわずに済んだかもしれない。
ショックには変わりないが覚悟を決めることくらいはできたハズだ。
「あんたと一緒にするな」
カラカラに渇いた喉はたったそれだけの言葉さえ容易には発声させない。
だがこう言うしかなかった。
今のかがみにはこれ以外の答えはない。
”いる”とも”いない”とも言っていないことに、こなたは気付いただろうか?
かがみは敢えて真正面からこなたを見た。
そうしなければ激しい動悸に打ち負かされ、今に気を失いそうだったからだ。
「なんだ、てっきりハブられてるのかと―」
彼女がどういう意図でそう言ったのか、かがみには分からない。
単なる掛け合いの延長だろうか。
泉こなたという少女はしばしば毒を吐いては周囲の空気を変える。
これはただの毒舌の為せる業なのだろうか。
あるいは彼女はバーチャルの世界に身を置く振りをしながら、その実は現実の人間の機微には極めて敏感で、
孤独感に苛まれていた自分に本心を吐露させるために敢えて核心を衝く一言を叩きつけたのだろうか。
かがみには分からなかった。
彼女にできる精一杯の抵抗は、
「あんた、私らと知り合う前って友だちいたの?」
自らを棚に上げて反駁することだけだった。
これがどれほどの効果を持ったかは明らかではない。
物事に対して斜に構えるこなたなら、この程度の切り返しは意にも介さないだろう。
だがかがみの立場からすれば、それが虚しい仕返しだったとしても言わずにはいられなかった。
クラスに友だちがいたら何だというのか?
いなかったとして、それがどうなるのか?
そういう意味の言葉をぶつけてこなたを詰りたくなったかがみだが、仮にそうしたところで得られるものは何もなく、
むしろ漸く完成させた居心地の良いグループを解消させてしまう恐れがある。
そこまで瞬時に思考を巡らせたかがみはそれ以上の追及はしなかった。
否、その話題に触れないようにした。
自ら傷口を押し広げる必要はない。
安定した関係性をぶち壊すことに意味はない。
友だち―。
これは密かにかがみが欲しがっていたものだ。
1人より2人、2人より3人……。
多ければ多いほど彼女は安心できる。
ただし誰でもいいというわけではない。
282:空谷の跫音14
09/10/11 21:30:47 ucg0gPip0
友だちという存在は諸刃の剣であることを英邁な彼女はよく心得ている。
数を増せば増すごとに分裂する傾向があるのだ。
多数となった時、何を条件にかそれらは別個のグループを形成してしまう。
これを防ぐ手立てはひとつ。
スタートラインを同一にすることである。
つまるところ集った全員が互いに初対面である状況から始めなければならない。
こうすればグループに偏りができなくなる。
ただしこれで慢心してはいけない。
友だちを蝕む病は先天的なものだけとは限らない。
次に注意を払わなければならないのは後発的な事象―付き合い方である。
常に友だちと過ごす密度を等しく保たなければ均衡が崩れてしまう。
それをよく知っているかがみは、休み時間になるとすぐにつかさのクラスに駆けて行った。
少しでも3人と一緒にいられるように。
もしこれを怠れば自分を除く3人の結束が強くなり、いつしか柊かがみはその輪から閉め出されてしまうだろう。
―付き合いの深さによって生じた差はいかなる方法を用いても埋めることはできない。
中学時代、達観したかがみが既に学んでいることである。
そんな彼女だからこそ許せない言葉があった。
陵桜最後のクラス替え。
クラス割を見る前から殆ど諦めていたかがみは、一縷の望みを抱いて貼りだされた表を目で追った。
真っ先にこなたの名を見つけ、次いでみゆき、つかさの名を同欄に認めたかがみは、
そのすぐ上にあるハズの自分の名前がないことに気付く。
今年も駄目だった。
覚悟していたハズなのに、かがみは強い力で全身を締めあげられているような苦痛を味わった。
そんな時に声をかけてきた少女―。
「おーっす、柊。クラス割どぉ?」
聞いてくれるな、と彼女は思った。
たったいま受け容れた事実を、陽気な声で蒸し返されたくない。
「おっ、また同じクラスじゃーん。中学時代も合わせるとこれで5年連続か~?」
そう言われて漸く気付く。
”5年”という言葉にではない。
自分の名前がC組にあるという事実にだ。
「えっ―?」
思考の海に溺れていた彼女は、気の利いた返事ができず無意識的に息を吐いていた。
その時だ。
「いるよなー自分の第一目標以外目に入らない薄情くんてさー」
明らかに当てつけと思われるみさおの一言。
「私らはさながら背景ですぜ」
あやのも横におり、拗ねる幼馴染みを相変わらずの困り顔で慰めるという役を演じていた。
『ちがう!』
そのたった一言がどうしても出てこない。
かがみは知っていた。
みさお、あやのとは中学2年の頃からずっと同じクラスだった。
気がつかないハズがない。
この2人は中学の時、孤独感に押しつぶされそうになっていた自分に手を差し伸べてくれた無二の友だち。
優しく、自然に接してくれる稀有な存在。
自分を孤独から救い出しては新たな孤独に陥れる、自称”背景コンビ”。
もちろん2人にそんな意図など微塵もないことをかがみは分かっている。
悪意がないだけに彼女はこの2人といる時間が苦痛だったのだ。
裏表なしに付き合ってくれるみさおたちに比し、勝手に人間の黒い部分を妄想しては避けている自分が短矮に思えてくる。
―惨めだ。
一方通行の友情は決して交わることはない。
みさおといればあやのの、あやのといればみさおの影が必ずそこにある。
孤独を超えた疎外感を否応なく味わわされる。
(背景なのは……私のほうよ…………!!)
授業が終われば足繁く隣のクラスに通う1年をまた繰り返すのか…………。
かがみは憂鬱になった。