09/07/16 19:16:07 uQW2CDDC0
もし髑髏が日常編からの仲間で黒曜編にいたなら
誰もが皆
自分の居場所を欲しがってる。
だから
誰かが誰かを責めるなんて
今の私達には出来るはずもなかった………。
「犬………」
「………んあ？」
あたしには、１つだけ疑問が残ってた。
『どうしてあたしを殺さなかったの？』
あたしは、名乗ったはず。
ボンゴレだって。
なのに
どうして？
「殺せる……ワケない。」
「……千種？」
「クロームは………敵なのに、優しくしてくれたびょん………あったかかったんれす。クロームは、俺達に優しくしてくれた………初めての人らったんれす……。」
「犬ちゃん……」
「だから、殺したくなかったんれす………。本当の本当に、側にいて欲しかったんれす。俺も、柿ピーも、それに…………骸さんも。」
その声は、次第に弱々しくなって行く。
「だ、だからって………！」
「ツナ」
反論しようとするツナを、クロームは静かに止める。
「クローム………。」
仕方なく抑えるツナだったが、その表情は不満を訴えていた。
クロームは、犬と千種の方に体を向け、静かに言った。
「犬ちゃん…千種………。あたしは、ボンゴレファミリーの一員として、貴方達を許す事は出来ない」
その言葉に、犬と千種は目を逸らす。
「だけど！」
思い掛けない逆接。
「マフィアの一員である前に、１人の人間だから……イチ人間として、許すよ。」
「クローム！！」
ツナは思わず声を上げた。
「その代わり、約束して欲しい事があるの。」
「何………？」
『またいつか、会おう。』
「なっ……！」
「えっ！？」
犬とツナが驚きの声を発した。
クロームはにっこりと微笑んで、犬と千種を真直ぐ見つめる。『同じ世界にいるんだもん。また、会えるよね？』
「クローム……」
「……………なぁに？」
「クローム、ごめんらさいっ……！」
声を絞り出した犬の目は、
潤んで、潤んで。
「ごめん………」
千種は目を逸らし、俯く。しばらく２人を交互に見ていたクロームだったが、ふっと微笑んだ。
「いいの…いいんだよ………もう……いいの……』
その目にも、溢れそうな涙が溜まっていた。
そしてそのまま、クロームは２人の頭を撫でる。
「ごめんらさーぃ………」
犬のその声は、まるで狼の遠ぼえのようだった。
クロームは、何も言わずにただ、その頭を撫で続けていた。