09/10/19 14:33:43 wRVCAdBCO
>>332
坂本と桂はさほど急ぐ事もなく悠長に歩いた。桂はやはり、常々敵対視している真撰組に親切の為に訪れるなど気が進まず、足が重くなる。遠くから何か爆音が聞こえて来た。
「なんだ、今の音は!?」
音に反応し桂が口を開いた。
「陸奥の奴かのう。」
「陸奥?」
「快援隊の仲間じゃ。陸奥と町を歩いておったら、店に突っ込んだ車からいきなりこの男が今の状態で現れたんぜよ。」
そう言って坂本は担いでいる男を見た。
「フン、どうせ酒に溺れていたのだろう。」
桂は真撰組をとことん毛嫌いしているようだ。
「その直後女がわしらの前に現れ、この男を狙い撃ちしようとしたんじゃ。こやつは意識を失っとるき、放っておくわけにもいかんじゃろ。その女は今陸奥に任しちょう。音はそれかもしれん。」
「過激派か。」
「あのおなご、恐らくは鬼兵隊の一員ぜよ。」
「何!?」
桂は目を見開き坂本を見た。
「高杉の名を口にしよったき。」
「女はどんな女だ。」
「金色の髪に、朱色の短い着物、拳銃を二丁持っちょったな。」
桂は視線を前にやった。
「やはり来島また子か。鬼兵隊…、遂に動き始めたか。」
桂の目が幾度となく真剣になった。