09/04/22 23:36:21 1WYKJ9nYO
(夢を・・・夢を観ていました・・・
夢の中のあの人は私を見ています・・・アゲハさんが私を・・・
これは夢? ・・・ううん夢じゃない)
「夢じゃない!・・・あっ・・・アゲハさん?」
食器を洗ったあと転た寝をしていたマリーは慌てて起き、そして窓の外を見る・・・そこに居たのはマリーが会いたかったその人の姿があった。
「よっ! 久しぶりだな。マリー」
「そうですよ、久しぶりです」
「悪かったって 御免な、悪りぃ、すまねぇ、許してくれ」
「そんなに言わなくていいよ」
彼は相変わらずの笑顔で申し訳なさそうに謝る。その笑顔にマリーも笑顔を返しながら窓枠に近付く。
マリーの笑顔を見てホッとしたのか、アゲハは口を開く・・・
「んでよ、悪いついでなんだが、また少し出かけなきゃなんねぇ。 まぁ ちょっとした野暮用・・・ん?どうしたんだマリー?」
「・・・」
「し、心配すんなって、すぐ戻ってくるって」
話を切り出した途端に急に暗い顔をしたマリーにアゲハは少し焦る・・・
そんなアゲハに対して、何か言おうとマリーは口を開く
「・・・サヨナラってどう言うことですか」
「そんな事、言って・・・」
「判ります!私のPSIで判りますっ!」
「・・・マリー」
マリーの言葉にアゲハは焦る・・・そして、とっさに誤魔化そうとするが、マリーの力強い瞳と言葉にアゲハは言葉を止め、ただマリーを見つめるしか出来なかった・・・
「凄い戦いをするって考えてます。死ぬかも知れないって思っとます。・・・何にも出来ないフリをしてたのは私が一人で生きて行けるようにって考えたからですよね?」
「違うね・・・都合良いように取るなよ」
「・・・優しいんですね」
「違うって!・・・俺は喧嘩早くって、金を出せば何でもやる不良・・・夜科アゲハだ・・・ただ、それだけなんだよ」
誤魔化せないのはわかっていた・・・だが、それでもアゲハは素直に話す訳にはいかなかった。
自分の為ではない・・・まだ幼いマリーを巻き込む訳にはいかないから・・・だから・・・
「・・・じゃあな、マリー」
「アゲハさん!」
だから・・・アゲハはただ、去るしか出来なかった・・・このまま、マリーの瞳を見ていると本当の事を言ってしまいそうだから・・・
マリーの声に背を向けたまま手を振るアゲハ・・・その後ろ姿には迷いは無い。
(行かないで・・・なんて言えません。だってアゲハさんは心の中でこう呟いていたから。
マリー、もしお前に何かあれば
『駆けつける』
世界中の何処からでも
『お前を助けに行く』
アゲハさんが好き
『判ってる。だが今は行く!』
あぁ 私はもう、なにも言えません。でも、涙は溢れてしまいます。涙は、流れてしまいます。涙は・・・)
そう想いながらマリーはアゲハを見送るのだった・・・それが、例えアゲハを見る最後の刻かも知れない・・・それでも、マリーは見送る事しか出来なかったのだ・・・
END