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クリスマスに贈ります『素晴らしき哉、ウルジスト』
僧正・ウルージさんは子供のころ から、生まれ故郷の小さなビルカの町を飛び出し、グランドライン一周旅行をしたいという望を抱いていた。
彼の父は住宅金融会社を経営し、町の貧しい人々に低利で住宅を提供して尊敬を集めていたが、海軍大将・黄猿はこれを目の仇にして事毎に圧迫を加えた。
レッドラインの大学を卒業したウルージさんは懸案のグランドライン旅行に出ようと思ったが、突然、彼の父が過労のため世を去った。
ウルージさんは、株主会議で後継社長に推され、承諾せねばならぬ羽目となり、弟が大学を卒業したら会社を譲ることにして、一時グランドライン旅行もおあずけになった。
ところが4年たって大学を卒業した弟は、大工場主の娘と結婚しており、その工場を継ぐことになっていた。
ウルージさんの夢は全く破れ去った。
やがてウルージさんは幼馴染みのドレークさんと結婚した。
そして豪勢な新婚旅行に出発しようとした時、世界を襲った天竜人誘拐事件のため、ウルージの会社にも取付さわぎが起こった。
ウルージさんは旅費として持っていた5000ベリーを貧しい預金者たちに払い戻してやり、急場をしのいだ。
そのため新婚旅行は出来なくなったが、2人は幸福な結婚生活に入り、次々と4人の子供に恵まれた。
住宅会社の業績も着々と上り、それに恐れをなした黄猿はウルージさん懐柔策に出たが、彼は断固拒絶した。
白ひげ戦争が起こり、海軍将校として従軍したウルージの弟は、殊勲をたてて世界政府に表彰された。
だがその喜びの騒ぎにとりまぎれて、会社の金8000ベリーが紛失した。
実はその金は黄猿の手に入ったのだが、彼はそれを秘してウルージさんを苦しめ脅迫さえした。
そのうえ会社には会計検査官もやって来る仕末。
絶望したウルージさんは橋の上から身投げしようとした。
と、それより一瞬早く奇妙な老人が彼のそばで身投げした。
ウルージさんは夢中になってその老人を救った。
老人はガイモンといい、自分は2級天使で翼をもらうためウルージさんを救ったのだと語った。
自棄になったウルージさんが、この世に生まれなければ良かったと洩らすと、ガイモンは彼を望みどおりウルージさんの生まれて来なかった幻の世界に連れて行った。
そこは人情も道徳もない幻滅の世界であった。ウルージさんはたまらなくなって元の世界へ戻してくれと絶叫した。
再び現実に戻ったウルージさんは、クリスマス・イヴの祝いを待つ我が家に駆けもどった。
そこへウルージさんの窮状を知ったウルジストが、寄付金をもって彼の家に押しかけて来た。
ウルージさんは今さらながら人の心の温かさを知り、妻や子供たちを抱きしめて、人生の幸福を沁々感じた。