09/01/20 18:57:06 xVbYnIDJ0
「痛い! 痛い! もうやめて! もういや!」
何度も何度も椅子で殴りつけられ、体は痣だらけ、心はボロボロ。あたし―朝比奈みくるは今いじめられています。
何時からだろう。こんなことになってしまったのは。
たしかいつも通り昼休み、友達と楽しくお弁当を食べていたら、ガラの悪いクラスメイトの女の子達に呼ばれて……
「あんたさ、ムカつくんだよね」
「そーそー」
「な、なにがですかあ?」
「それだよ、それ」
「かわいこぶってんじゃねえよ!」
そう言ってその子はあたしのお腹を強く殴った。さっき食べたばかりのお弁当を吐き出しそうになり、そこでうずくまる。
「い、いたいですう……」
「コイツまた!」
「まって、次アタシ」
今度は横腹を思い切り蹴られる。肋骨が激しい痛みを訴え、涙が溢れて零れ落ちていく。蹴られた拍子に仰向けになり、女の子の一人と目が合う。
「そんな目したってここに助けてくれる男(ヤツ)なんていないんだよ!」
お腹への踏みつけ。さっき塞き止めていたものが口から吹き出す。女の子達は全員不快な顔をしてから、あたしに唾を吐いて去っていった。
「どうかしたの?」
身支度を整えた後、保健室へ行った。担当の先生が怪訝顔をしている。
「少しお腹が痛くて……」
うそは言っていない。でも一番痛いのは―
「そう。食中毒かしらねえ? じゃあ少し横になって様子を見ましょ」
「はい……」
お腹の痛みよりも、胸の奥底がひどく痛かった。
放課後、鶴屋さんがお見舞いに来てくれた。目を赤くして、肩が小刻みに震わせている。
「みくるっ、ゴメンよ。止められなくて。あの時その場にいれば止められたのにね」
「いいんです。あたしがいけないんだから……」
鶴屋さんの手を握って、安心させようとしてみる。
「みくるは何も悪くないよっ!」
鶴屋さんがぎゅっと握り返した。あったかくてやわらかいな鶴屋さんの手……
「今度ひどい目にあわされたら、ちゃんと言うんだよっ!」
私は微笑で応えた。
結果的に言えば、あたしは一度も鶴屋さんに助けを求めなかった。
呼び出しは度々あり、その度にいじめられた。外見からはわからないようにされていたし、呼び出し方法も下駄箱や机の中など、間接的になってきた。そして何より―
「最近コイツのオトモダチ、ウザイんだよね」
いじめが恒例化してきた頃、一人が言った。