舞-乙HiME Part424at ANIME2
舞-乙HiME Part424 - 暇つぶし2ch117:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/23 15:07:52 OwaOievL

「……ママ」
つい、漏れた呟きは喉の底で震えて詰まる。
代わりに頬を伝う一条のなみだ。
故郷へ帰って。忘れよう、忘れようと思っていた想い人の面影が浮かんでしまう。
もう永久に失くしてしまった人の。

「ママ……ママぁ……」

私を育ててくれて、でも無理して、無理し過ぎて、それで私は一人っきりに、そう、一人っきりでアルタイをぶらついていて、そして、私は……

「ナオ、お前……」

はと気づいて振り向くと、羞恥とそして烈しい怒りが繊細な顔に上せて来た。
一番見られたくない所を一番見られたくない人物に見られてしまったから。
ナオは紅潮しながら慌てて、

「な、なによ、なんでノックくらいしないのよ!!」
「なんどもしたさ……お前、悪い夢でも見ていたらしいな」
「う、うるさいっ! 出てけ、消えろよ、このっ」
テーブルに在った花瓶をぶつけようとして、その手ごとつかまれ、そのままソファーベッドに組み敷かれる。
「……すまなかった…考え無しにお前をアルタイに派遣して。思い出したのか」
「離さないとぶっ殺すわよ」
だけど、ナツキはかすかに微笑んで、
「だがな、ナオ。少しくらいは私に……『お姉さま』らしいことさせたらどうだ?」
「ハア?」
「故郷へ帰れば親御さんの弔いもできてのんびり暮らせる、そう思ったんだ。悪かったな。私の胸で甘えていいぞ?」
「―なによ、なんでそんな余計な気遣い……」
「まあ、”ヒッチハイク”の『お礼』が八割方なんだがな」
「やっぱ死ね!!」

すやすやと寝息を立てる紅髪の少女を見下ろして、ナツキは軽くため息を吐いた。

(やれやれ、こうしていさえすれば可愛い奴なんだがな、こいつも……)

自分の膝に眠る少女に上着をかけてやり、ナツキはふと、シズルのことを思い出した。

「私が、お姉さま、か……」


Fin



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