08/08/17 12:07:21 /C/OLf6a
>>251
罵流駄茶
ある武道の達人同士が互いの能力を自慢し合っている内に熱が入り、終いにはどちらが上かの口論となってしまった。
拳を合わせればすぐにわかることだろうが、彼らの流派ではそのようなことのために力を使うことはできないので
ひたすら言い争うしかなかったのだ。
能力の自慢はやがて相手への罵倒となり、周囲で見守っていた互いの弟子たちも困惑するばかり。
そんな中に現れた一人の老人。彼は言い争う二人を穏やかに威圧しながら割って入り、自ら入れた茶を勧めてきた。
気圧されて茶を飲む二人。…その馥郁たる香りに涙を流し、愚かさを詫びながら抱き合い仲直りをしたという。
老人は昔くだらぬ言い争いから大事な仲間を失った悲しみを抱えながら、こうして争いをなくすために旅を続けているのだと言い、
彼らに茶葉を授けて去って行った。
罵倒の言葉もなんと馬鹿げたことだろうと流れて消えてゆく不思議な茶を、人々は「罵流駄茶（ばるだ）茶」と呼んだという。
民明書房刊
『弟流徒等の民たちに捧げる奇跡の石の力』より