10/06/29 20:12:33 I0rhs+h00
「……まず、一人……」
「ルシフェリオン……」
目前に迫る、圧倒的な死のイメージ。
彼女には、分かった。敵の、守護者の性格から考えて、今ここでなのはを生かすはずがないことを。
ついこの間まで平凡な少女であったなのはは、そのプレッシャーに耐えきれずに目をふさぐ。
死を意識し、その瞼の裏に浮かんだのは……。
「ブレイカー」
(……ゆー、の、く……)
直後。
強烈な衝撃が、なのはの総身を打ちすえた。
猛烈な……しかし、予想よりは弱い衝撃。
全身に鈍く感じる痛みは、しかし、彼女の体が未だ五体満足であることを如実に語る。
「……あ、れ……?」
「……ふん、遅かったな」
「……………………」
その結果を、なのはは疑問符を掲げ。
守護者は納得と共に。
そして、星光は無言をもって、受け止めた。
「あたた……やれやれ、凄い威力だ。なのは、大丈夫?」
「……ゆー、の、くん?」
「うん。……助けに来たよ、なのは」
舞い降りたのは、翠壁の守護者のオリジナル。
ユーノ・スクライア。
「全力でないとは言え、あれを防ぎますか……敵推定戦闘力の、上方修正を行います」
「遅いな、騎士失格だよ。屑とはいえ僕のオリジナルなんだからさ、もう少し頑張って欲しいなあ……」
そう言いつつも、一旦なのはとユーノから距離をとるマテリアル。
彼らは、理解していた。
戦局は、今、もはや、どう転ぶのか分からなくなったことを。
「……なのは、いける?」
「う……、うん! いけるよ! ユーノくんがいっしょなら……どこにだって、いけるんだから!」
「よし、その意気だよなのは」
旗色は未だ悪く、打開策は見当たらない。
しかし、不思議となのはには勝利の確信があった。
それは、あるいは……。
「それじゃあ……反撃開始と行こうか?」
隣に立つ少年に対する、“想い”の芽生え。