10/06/07 17:23:11 Btgvxhxd0
「お姉ちゃん、梓ちゃん……メッ」
「「ごめんなさい……」」
正座をした憂に怒られ、私と唯先輩は揃って土下座をした。
真ん中の床にはエッチな本が置かれ、
構図は私が唯先輩を怒ろうとしたときとほとんど同じだった。
ただ違うのは、
私と唯先輩がしっかりエッチな本を見てしまっていたことで……
言い訳はまるでできなかった。
ちなみに純もこの場にいるけれど……
正座をして、エッチな本とは逆の方を向いていた。
その表情はこちらからは見えず、ただ、
「私はなにも見てない……なにも見てない……」
という呟きだけが聞こえてきていた。
「でもこの本……どうしようか?」
ちょっと頬を赤くして、本を見ながら憂が言った。
「……捨てちゃおうよ、こんな本」
体を起こして私はそう言ったけれど、
「そういうわけにはいかないよぉ。
他の人の本なら、勝手に捨てちゃ悪いもの」
憂は困ったような笑みを浮かべた。
確かに、誰かの本を勝手に捨てるのは悪いことだけど……
「でもこれ……エッチな本だよ……」
「うん、そうなんだけどね……」
私はぼやき、憂が困り、純が明後日の方向を向いて、
「でもこれ、ほんと誰の本なんだろうね?」
体を起こした唯先輩が、無造作に本を持ち上げた。
どうせ律先輩のですよ、と私が言うよりも早く、
その裏表紙が目に映り、
「「あ……」」
黒のサインペンで書かれた名前に気づいて、
私と唯先輩は同時に声を漏らしていた。
カタカナで、「ムギ」と、書かれていた。
END
長文失礼します。
軽めのコメディを目指して。
タイトルは有名な某作品から。