10/03/21 11:48:15 aIyZBm/60
雨は嫌い。
髪がまとまらないし、気分が明るくならない。
でも今日は違う。
唯ちゃんがいるから。
今をさかのぼること30分前。
「ムギちゃん!」
「どうしたの、唯ちゃん?」
唯ちゃんが私に抱きついてきた。
びっくり半分、嬉しさ半分の気分で唯ちゃんに聞く。
「傘、忘れちゃった…。」
…朝から降ってなかったせいで、忘れちゃったのね。
「私、持ってるから唯ちゃんどうぞ」
鞄から折り畳み傘を出して、唯ちゃんに差し出した。
「でもムギちゃんは?」
「私は大丈夫よ、濡れても風邪ひかないわ」
本当に、そう思っていたのだが。
「ダメだよムギちゃん!」
唯ちゃんが心配そうに言ったので、少しびっくりした。
「何で?」
「だってムギちゃんは女の子だもん!濡れるのは可哀相だよ!」
必死に言う唯ちゃんが可愛くて、頬が緩んだ。
「そうだ、一緒に入ろうよ!」
唯ちゃんが人差し指を立てて言った。
「え?でも…」
「良いから良いから!帰ろー!」
そう言い唯ちゃんは、私の手をひっぱり廊下を進んでいった。
…そんなこんなで今に至る訳だけど…。
大分雨が止んで、少しの霧雨が降っている。
「ねぇムギちゃん?」
ふと、唯ちゃんが話しかけてきた。
「何?」
「私ね…ムギちゃんの事が好きかも知れないんだぁ」
こ、告白?
「え、お友達として…よね?」
「違うよムギちゃん」
優しく、それでいてハッキリと唯ちゃんは言う。
「ムギちゃんが笑ったり、髪の毛が風に揺れてふわふわしてるのを見てると…」
そこまで言い、私の方を向く。
唯ちゃんの手が伸びる。
「こうしたくなっちゃうんだぁ」
唯ちゃんは、私を抱きしめた。
霧雨で少し冷たい体が、私にくっつく。
「ムギちゃんは…?」
心配そうに聞く唯ちゃん。
決まっている。
「唯ちゃん、大好きよ」
そう答え、唯ちゃんにキスをした。
初めてのキスは、雨の香りがした。
私は、初めて雨を好きだと思った。
初心者なもので、見苦しいです。
すみません。。