10/04/24 09:54:36 7qtMDEVfO
>>907
エスパー伊東みたいにね
909:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 12:12:15 nevcpOD9O
唯「あずにゃん、たい焼き落ちてるよ?」
910:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 12:56:26 k12k+3OOO
唯「はぁ、修学旅行中はあずにゃんに会えないのか…それにしてもこのカバン重いなぁ」
梓「唯先輩!」バッ
唯「あずにゃん!なんでカバンの中に!?」
梓「どうしても唯先輩と離れたくなくてついて来ちゃいました!」
唯「全然気付かなかったよ…ところで私の着替えとか下着は?」
梓「シャツとかは律先輩のカバンにこっそり入れときましたけど、下着はここに!」
唯「ひゃあ、なんで履いてるの!?」
梓「もちろんブラもちゃんと着けてます!ぶかぶかでしたが…すごく興奮してもう3回もしちゃいました///」
唯「むむ、一人でしちゃうなんてずるいよ!私と二人でしないと!」ガバ
梓「きゃー♪」
――
紬「うふふ…やっぱりあの二人は一心同体ね!」
澪「まさに読んで字の如くだな!」
律「…私の着替えがねぇ」
911:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 13:02:30 gon8yNFu0
このスレのせいであずにゃんのキャラが確実に崩壊しているwwwwwwww
912:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 15:42:55 TywZoqU80
もう普通について行っちゃえばいいんじゃね、とか思ったw
そして今更だけど、3話の帰り道唯の私がドラムやるよネタ投下
また突拍子もないことを言い出した、と私は思う。
夕暮れに染まる帰り道。
いつものように唯先輩と並んで帰っていた私は、あずにゃんなんていうまたいつもの呼びかけにぴたりと足を止めて、くるりと振り返って、そしてやっぱりいつものように呆れさせられてた。
本当にこの人は私を呆れさせてばかりで、ひょっとしたらそれが趣味なんじゃないのかなと疑ってしまう。
今日だってそう、輝けりっちゃん作戦だよ!なんていいだして、次から次にくだらないことを繰り広げてくれた。
本当にしょうがない先輩。
だけど。
その眼差しは本当にまばゆいくらいにまっすぐで、真剣だった。
やることなすことはそれはまあ、いくら私を呆れさせれば気が済むんですか、と突っ込みたくなるほどだったけど。
だけど。
唯先輩は本当に律先輩のことを考えて、そうしているってことはいっぱい伝わってきた。
だからこれにしてもそう。唯先輩は本当に真剣に律先輩のことを思って、そしてそう言い出したんだと思う。
そう、口にしたんだと思う。
そんな一朝一夕でできるはずがないし、じゃあ先輩のパートはどうするんですか、とかいろいろ突っ込みは浮かぶけど。
だけど。
きっと、やっちゃうんだろうなって思う。先輩がその気になれば、真剣にそれに取り組めば。
そんなに期間をおかずとも、実現させてしまうんだろうなって思う。そうなったときの唯先輩のすごさは、私もよく知ってることだから。
だけど―だけど、ですよ、唯先輩。
先輩のやることはやはりちょっとずれてるんです。そんな必要ないんですよ。
昨日澪先輩が語ってくれたように、澪先輩が生粋のベーシストであるように。
なんだかんだ言いながら、あの人も―律先輩も生粋のドラマーなんだから。
きっと明日にでも、やっぱドラムだよな!なんていいながら、いつもの快活な笑顔でいつもの位置に座ってるに違いない。
それにですよ、それは律先輩や澪先輩だけじゃないんです。
律先輩がドラムをたたいて、澪先輩がベースを弾いて、麦先輩はキーボードを弾いて、私はギターを弾いて、そして唯先輩は私の隣でギターを弾きながら楽しそうに歌ってる。
それがやっぱり、私たちのあるべき姿だと思う。
みんながそれぞれであるように、私が自分のことをさすときにギタリストって思うように、唯先輩もやっぱりギタリストなんだから。
放課後ティータイムのギターは、私と唯先輩なんだから。
だから、私の後ろで―なんてそんなの―
「ダメです」
そんなの、私の目の届かないところにいくなんて、ダメです。
どうせ唯先輩はこうやって、またとんでもないことに行こうとするから。だから私がぐいっと引っ張って、戻せる場所にいないとダメですから。
安心できませんし、それに―唯先輩の音は聞こえるのに、だけど唯先輩の姿が見えないなんて……寂しいじゃないですか。
唯先輩は、ずっと私のそばにいてくれればいいんです。
私は、唯先輩と一緒にギターを弾くの、大好きなんですから。
―なんて、わざわざ口にしたりはしないけどね。
唯先輩は私の言葉に不満そうに声を上げて、口を尖らせたりしてる。
だけど、これでいい。これじゃないと嫌だから。
唯先輩と一緒が、私はいいんだから。
それとも―ねえ、唯先輩。そんなに不満そうにされると、不安になっちゃいますよ。
唯先輩にとっては、私の隣ってことに私が思うほど価値を見出してないんじゃないかって。
「……うん!」
だけど唯先輩はそんな私の不安をかき消すように、元気な声を上げるとぎゅっと私に抱きついてきた。
ああもう、またこんなところで。だけど、今は許してあげようかな。
「やっぱり、私はあずにゃんの隣がいい!だから、ずっと一緒にギター弾こうね!」
きっと、それを私に伝えようとしてくれたんだから。私の寂しさを、わかってるのかわかってないかはわからないけど、きちんと読み取ってくれたから。
本当にもう、だから私は数え切れないほど呆れながらも、やっぱり。
あなたのことが好きなんです、唯先輩。
「そうですよ、唯先輩は―ずっと私の隣じゃなきゃ、ダメですから」
913:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 15:44:57 TywZoqU80
麦先輩→ムギ先輩に脳内変換よろしく…これだから新PCは…
914:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 18:11:05 t21eUgg2O
なにこれかわいい
915:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 19:23:41 nevcpOD9O
>>912
少し涙腺ゆるんだ。
916:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 22:08:48 gon8yNFu0
唯「一人で悩んじゃヤダ!」
律「いやだから悩んでないし・・・」
唯「皆で乗り越えようね?」
この流れの時あずにゃん何を思ってたのだろうか・・・
917:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 22:17:33 W9XH8jll0
>>912 すごく和んだ
後輩が欲しげな梓を見かねて唯が一日だけ立場逆転を提案。
後輩という立場を利用して「先輩なんだから」などと適当な理由で責め立てる唯。
負けじと「後輩なんだから」と押し返そうとする梓だが、後輩verの甘え唯には歯が立たなかった。
しかし翌日、そこには「先輩のくせに」を口実に仕返しする梓の姿が!
こんな話を書いてくれる猛者は……いないかな?
918:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 22:18:50 fvt3NXjdO
>>916
梓(友達のことを真剣に心配して、本気で頑張れる唯先輩…カッコいいな)
実際、ある程度まで関係が落ち着くと嫉妬とかしないもんだし。むしろ惚れ直すみたいな。
ゆいあずが既にその域に達しているのは間違ない!
919:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 22:24:24 OCHUN4P+0
先輩、考えすぎですよ!
って拗ねてたけど?
920:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/24 23:01:12 iwhuklrS0
>>919
それはあれだ、唯がドラムやるとかすっとんだ事言い出したからだよ
それまでは唯の頑張りが変な方向に行ってても「えー…」って呆れるだけですましてたのが、
ギターやめてドラムやるって言った途端「ダメです!」「考えすぎですよ」って
嫉妬ではなくて、単に唯が自分から離れてしまうのが嫌なだけなんだと思うけどな
921:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/25 00:00:20 TywZoqU80
容量がそろそろやばいので新スレ立ててきました<484KB
スレリンク(anichara2板)
922:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/25 00:54:23 j3xmlFb5O
二期のおかげなのかいろんな所で唯梓増えてきて嬉しい
923:名無しさん@お腹いっぱい。
10/04/25 00:57:04 KSecfueL0
あぁん?あんかけチャーハン?
924:ウメネタ
10/04/25 03:43:26 F4n2VdhS0
でも多分埋まりきらない…と思う
残ったら誰かお願い
あずにゃんはかわいい。
本当にかわいい、もうどうしようもなくかわいい、それがあずにゃん。
最初は色々くっつけながら、そう思ってた。ちっちゃくってかわいいとか、二つに縛った髪形がかわいいとか、時折見せてくれる素直な笑顔がかわいいとか。
だけど、そんなかわいいを積み重ねているうちに、いつの間にかあずにゃんに繋げる言葉がなくなっちゃってた。
あずにゃんはかわいい。私が思うのは、いつもそのフレーズだけになっちゃってた。
だって、かわいいんだもん。仕方がない。あずにゃんがあずにゃんとしてそこにいるってだけで、私の頭はかわいいって言葉で埋め尽くされちゃう。
本当はもうきゅっとして、いつまでもぎゅーっとしてて、そのままお部屋まで持ち帰っちゃって、ずっとずっとぎゅーっとしていたい。
すりすりして、なでなでして、さわさわして、思う存分あずにゃんをかわいがりたい。かわいがってあげたい。かわいがらせて欲しい。
だけど、我慢我慢。そんなことしたら、きっとあずにゃんは嫌がるだろうし、きっといい加減にしてくださいって怒られて、ひょっとしたら嫌われてしまうかもしれない。
だから私は、いつものあずにゃん分補給~なんてふざけた言葉にほんのちょっぴり真剣さを込めて、そのこの子が許してくれるほんの短い時間だけで満足しないとダメなんだ。
ホントはぜんぜん足りないけど。だけどそれだけでも私にとっては至福の時だから。うん、これで明日まで頑張れるよって毎回引き下がってる。
実際それは確かに、毎日の私の活力になってた。ビタミンみたいなものかもね。きっとアズニウムみたいな名前の成分があるんだよ。それを胸いっぱいに補給して、私は頑張れるはずだった。
―だけど、変だな。なんでだろ。この日の私の腕は、なかなか離れてくれない。
きゅっと抱きしめた形のまま、全然動いてくれない。いつも無理矢理引き剥がそうとすると、渋々動いてくれたのに。
ダメだよ、ちゃんと動かないと。何で、昨日までできてたよね。はやく、はやく。そうじゃないと―
「唯先輩?」
ほら、あずにゃんが不思議そうにしてる。私の胸の中でくるりと振り返って、こちらに視線を向けようとしてる。私がぎゅっとしてるせいで、それは叶わずにいるけど。
「もう、そろそろ離して下さい」
ちょっと不快さの交えられた声。それはゾクリと私の背筋に寒気を走らせるもの。危険信号。やりすぎだよって私の中の理性的な私が声をかけてくる。
「やだ」
だけど、私の口をついて出たのはそんな言葉だった。
「え……?」
びっくりした、ってそんなあずにゃんの声。私の心の声とぴたっと重なって、内から外から鼓膜に響く。
だって、正反対だもん。私がこうしなきゃって思ったことと、全く反対。私の体はそれなのに、勝手にそう動いちゃってる。私がそうしたいと思う方へと。
そう、いつもそう思ってたのに、無理矢理押さえつけてたから、とうとうストライキとかそんなのを起こしちゃったのかも。
「じょ、冗談は止めてください、唯先輩」
「冗談じゃないもん」
そう、冗談じゃない―嘘なんかじゃない。だって、それはホントに、ホントのことだから。
そうだもん。だってこうしてかわいいあずにゃんをぎゅーっとし続けるのは、本当に気持ちがいことだから。
柔らかくて暖かくてふんわりしてていい匂いがして、胸の奥あたりがじわっと暖かくなっていく。
こうしてると本当に幸せで、そしてこの時間が続けば続くほど、ずっとずっと幸せになっていく。
一言で言うと、幸せ。
無理もないか。こんなのをずっと途中でお預けさせられていたんだから、勝手に動き出しても仕方がない。もうこのままこれに溺れてしまいたいとも思っちゃう。
だけど、やっぱりダメ。だって、こんなの、私だけだもん。私だけ幸せって思って、あずにゃんのことは全然考えてない。そんなのダメだよ。
私がそんなふうにしちゃってたら、きっとあずにゃんは私のことを嫌いになっちゃうから。それだけは、絶対にダメなんだ。
―ダメなのに、なんで、どうしてなんだろ。
私の腕は、体は、足は全然動いてくれない。ぎゅっとあずにゃんを捕まえたまま、胸に抱きしめたまま、私は動けないでいる。
925:ウメネタ
10/04/25 03:45:03 F4n2VdhS0
「唯…先輩」
あずにゃんの体が強張り、微かに震えた。私の体もそれに合わせるようにぴくりと震える。危険信号。このままだと、ずっと怖がってたとおりになっちゃう。
でも―さ。だけどそれでも私の体は動きそうにないから……あずにゃんに嫌な思いをさせるくらいなら、いっそのことさ。
いいよ、あずにゃん。どんって突き飛ばしちゃって。
そうでもしないと、このダメな私は離れてくれないだろうから。それくらいで丁度いいんだよ。自分のことばっかりで、あずにゃんのこと全然考えられてない私なんて。
そんな私は、そうされるくらいできっとちょうどいいんだから。
私はぎゅっと目を瞑ってその瞬間を待つ。びくびくと震えながら、そんな瞬間なんてずっと来なければいいなんて、またそんなことを考えながら。それを、必死に否定し続けながら。
そして、いくら待ってもそのときがくることは無かった。
「あず……にゃん?」
おかしいな、と思っておそるおそる声をかけてみる。
ひょっとしたら、なんて思いが浮かんできてて、だけどそれでもおそるおそる。
だって、怖い。そんな希望を持ってしまったら、それが裏切られたときのダメージは倍増しちゃう。カウンターになっちゃうもん。
だから私は目を閉じたまま。暗闇の中にいれば、悪い結果を見ることは無いから。だけど、それはよい結果も見ることができないということになるけど。
呼びかけに返事はなかった。やっぱり駄目かな、と沈み込みそうになる。
そんな私の腕を、何かがふわりと包み込んだ。柔らかくて暖かくてふんわりしてて―それは私が間違えようも無いもの。
目を開ける。それを確かめるかのように。そんなの、間違えようもないのに。私がそれを間違えるはずもないのに。
だけどそれは、それがもしここにあったとしたらホントに夢じゃないかって疑ってしまうくらいのことだから。
「……特別ですよ」
だけど響いてきたのは確かにその声で、開けた視界に移ったものは確かにこの子で。
「今だけ、ですからね」
合わせてくれた頬、重ねあった体から伝わるぬくもりは、とても暖かくて、優しくて、柔らかい。それは忘れようも間違いようもなく、あずにゃんだった。
私を今こうして抱きしめてくれているのは、我侭にとらわれてどうしようもなくなっていた私を抱きしめてくれたのは、私にそれをぶつけられていたあずにゃんだった。
あずにゃんが、私を抱きしめてくれている。
いつもずっと一方通行だったから、きっと―この子は仕方なく私を受け入れてくれているのかと思っていた。
私はこの子にとって先輩で、この子は私のかわいい後輩で、そういう関係によってだけ、許してくれているのかと思ってた。
だけど、その領分を越えた私を、今あずにゃんは抱きしめてくれている。それは明らかに、私からではない矢印。
あずにゃんから私に、確かに向けられたもの。
ずっとずっと望めないと思っていたもの。
だから私は、もうどうしようもなく、それこそもうどうにかなってしまうほど嬉しくなってしまっていた。
「夢じゃないよね……」
そう、本当に夢みたい。ううん、夢だったらこんなのはいつも実現してることで、だから目を覚ますたびに私は切ない気持ちになったりしてた。
だって、夢だから。現実じゃないから。でも、今のこれは―どうなんだろ。これも、夢なのかな。だって、現実でもこんなに幸せになれるなんてこと、あるのかな。
「何言ってるんですか」
そんな私をあずにゃんはまたぎゅっと腕に力をこめて、強く抱きしめてくれた。
現実だよって私に教えてくれるように。夢なんかじゃないって私に教えてくれるように。
だから私は、本当に嬉しくなって、嬉しすぎて、幸せで、幸せすぎて―本当にどうにかなってしまいそう。
「あずにゃん……!」
その思いを全部篭めて、驚いて外れていた手をまたあずにゃんの背中に回してぎゅっと抱きしめた。
いつも少し遠慮がちだったそれを、きっとそれに気付いてなかったこの子に教えるように、想いのままにただひたすらに強く抱きしめた。
「にゃっ、ちょっ!強いです、唯先輩!ああもう!調子に乗るからこうしたくなかったんですよ!」
抗議の声。だけど、それでもあずにゃんは私を抱きしめる手を離しはしない。私の行為を、受け入れてくれてる。
だから、嬉しい。今だけの特別、だけど―それでも嬉しい。嬉しくて、幸せ。
「えへへ~あずにゃーん」
すりすりと頬をすり合わせる。くすぐったそうにあずにゃんが身じろぎをする。
ああもう、かわいい。かわいいよあずにゃん。かわいい、かわいい。かわいいって言葉だけじゃ足りないくらいに―かわいいよ。
926:ウメネタ
10/04/25 03:46:01 F4n2VdhS0
「聞いてない……もう、唯先輩は」
くすりと笑って、そしてあずにゃんの腕から力が抜けた。
あ……と私は思う。もう終わりってことなんだ。
「でも、そろそろ終わりです。先輩たち、来ちゃいますから」
そしてあずにゃんの手が完全に私から離れる。確かにもうそんな時間だから、仕方ないけど。
「ええ~……」
不満げな声を上げて、だけど私を引き離す手には抵抗はしない。もっとくっついていたいけど、だけど、我慢しなきゃ、だもんね。
くいっと、私の両肩に当てられたあずにゃんの腕の長さの分だけ、私たちの距離は開く。
寂しいけど、仕方ない。今だけの特別、それでもその間あずにゃんは私を甘えさせてくれたんだから。
「……え?」
不意に、あずにゃんの表情が上げた声にふさわしい、きょとんとしたものに変わった。
距離が開いて、私の視界にあずにゃんの顔が入って―あずにゃんの視界に私の顔が入って、その瞬間にあずにゃんの表情がそう変化していた。
なんだろ、と私もきょとんとする。
だけど私がそれを問いかける前に、あっさりとあずにゃんの口からその理由が語られた。
「ど、どうして泣いてるんですか!」
へ?となる。ぺたぺたと目元を触ってみると、指先にぬれたような感覚。
同時に張力で止まっていた雫がついっと頬を伝って落ちた。
「あ、あれ?ホントだ……」
気付かなかった、というか、気にする余裕がなかったというのが正しいのかもしれない。
「あ、ひょっとして、今の強すぎましたか?」
そんな私を見て、あずにゃんは少しあせった様子。私が泣いているのを、自分のせいだと思ってるみたい。
「……そっか、違うよ、あずにゃん。そうじゃなくてね」
ふるふると首を振って、それに答える。
でも、その理由じゃないけど、これがあずにゃんのせいって言うのはホントかも。
考えれば、すぐわかる。さっきまでのことを思い返せば、そんなのすぐわかること。
そうだよ、涙を浮かべてもおかしくないくらいに私は―
「嬉しかったからだよ」
それに、あずにゃんはまたきょとんとしたものにその表情を戻した。
「嬉しかったから?」
「うん、嬉しかったから。あずにゃんから抱きしめてくれたのが、すごく嬉しくて……それで、泣いちゃったみたい」
「……っ」
そのとき、あずにゃんが私に返してくれた表情を、どう表していいかわからなかった。
それは私のあずにゃんメモリーにはないものだったから、それに当てはまるものがぱっと思いつかない。
それに、それが何か考え込む隙もなく、それは私の目の前からなくなっていたから。
ぎゅうっと、さっきよりも強い力で、私はあずにゃんに抱きしめられていたから。
「あ、あずにゃん……!?」
びっくりして見せても、あずにゃんの力は弱まらない。
私を抱きしめたまま、もじもじと体を動かして、より強く抱きしめられるポイントに手を動かして、そのままぎゅうっとさらに強く私を抱きしめてくる。
苦しいくらいに。勿論、それに嫌とかそんな感情を浮かべることなんてないけど。
むしろ、苦しくなるくらいに私を抱きしめてくれることは、嬉しいって幸せだって思いを私に浮かべてくれるんだけど。
でも、どうして?という言葉も浮かんでくる。
だって、これはさっきだけの特別じゃ……なかったのかな。
「反則です、そんなこと言うなんて……」
反則って言われた。もう、どういうことなのかわかんないよ。
「も、もう終わりじゃなかったの?だって、今だけの特別だって……」
「……そうですよ、さっきだけの特別です」
「じゃ、じゃあなんで」
「特別延長です。……唯先輩が悪いんですから。だから、苦情は受け付けません」
927:ウメネタ
10/04/25 03:46:56 F4n2VdhS0
わけのわからないうちに、私の方が悪者にされちゃった。どういうこと……っていうか、苦情はさすがに言わないよ。
だって、どんな理由でもこうされるのは私にとって嬉しいことだし―またこの感触に浸れるのは、私にとってとても幸せなことだから。
「じゃ、じゃあ……もちょっとだけ」
私を抱きしめるその背中に手を回して、ぎゅうっと抱きしめ返す。
一瞬だけ、ぴくりとその体が震えて、少しだけ私を抱きしめる力が弱くなって。
そしてまた、抱きしめる私に負けないようにと、抱き返してきてくれた。
「ふわぁ……しあわせ……」
「ちゃんと感謝してくださいね」
「うん~……ありがとぅ、あずにゃん」
幸せで溶けちゃいそう。ううん、本当に溶けてるかも。
だって時間差だよ。目が覚めて、起きなきゃって思ってそして休みだって気付いて、また布団にもぐりこんだときみたい。
二度寝の幸せだよ、これは。もちろん、それなんかよりもずっといいものだけどね。
「ねえ、唯先輩。聞いてもいいですか?」
そんな半ば夢見心地の私に、そんな質問がかけられる。
なんだろ、と意識を戻して私の肩に顔をうずめたままのあずにゃんへと向ける。
あずにゃんはそのまま、私にその表情を見せまいとでもするように、私に顔をうずめたまま。
「どうして、いつも私を抱きしめてくれるんですか」
続けられたのはそんな質問。それに私は少しだけ、首を傾げてしまう。
それは、変な質問ってわけじゃないけど。いつも抱き疲れているあずにゃんは、浮かべて当然のものなんだけど。
だけど、今まで一度も尋ねられたことのないもの。だって、私はいつもその答えを口にしてきたから。
あずにゃんはかわいい。かわいいあずにゃん。だから私はそれを体いっぱい使って感じたくてぎゅうっと抱きしめていた。
ぎゅうっと抱きしめて、そうすれば私だけのあずにゃんになって、胸の中で独り占めできるから。
だから、私が答えるべきなのはこの言葉になる。
「あずにゃんがかわいいからだよ」
そうなるはずなんだけど。今までずっとそれを答えにしてきたはずなんだけど。だけど―あれ?
「それだけですか?」
返されたあずにゃんの言葉は、まさに今の私の疑問そのものだった。
うん―それだけ、じゃない。
私がこうしている理由はそれだけじゃない。それだけのはずがない。
あずにゃんはかわいい。いつの間にか私の中であずにゃんにつなげる言葉はそれしかなくなっていたけど。
そこで私は止めてしまっていたけど。
私にはきっと、その先に続けるべき何かがある―んだと思う。
思うのに、だけど、わからない。それはもやもやした霧みたいな物の先にあって、ぜんぜん見えなくて、手も届かない。
「……どうして、私に抱きしめられたとき、泣いてしまうほど嬉しかったんですか」
続けられる質問。それはまた私を悩ませてしまう。
どうして、どうしてなんだろう。
ずっと私からだけだった矢印が、あずにゃんから私に向けられて、それが嬉しくて、だから私は泣いてしまっていた。
だけど、それはちゃんとした理由になってない。嬉しくて泣いた、じゃあどうして嬉しくなったのか、その部分が抜けちゃってる。
その部分って、何だろ。
それはきっとすべての答えになる。もやもやしたものすべてをあっさりと吹き飛ばしてくれるような、そんなものだという予感がする。
そしてきっと、あずにゃんもそれを待っているんだと、そう思える。
あずにゃんはかわいい。そう、かわいくて。私はあずにゃんをかわいいって思っていて。
じゃあ、どうして私はあずにゃんをかわいいって思うの?それは、かわいいから、だけど。
だけど、かわいいから、だけじゃなくて。そういい続けているうちに変わってしまった何かがその中にはあって。
いつの間にかその言葉が、それを覆い隠しちゃっていて。
だけどそれは確かに私の中にある。そして、ずっとずっと見つけてって叫んでいる気がする。
それは何だろ。何だろう。
928:ウメネタ
10/04/25 03:47:16 F4n2VdhS0
「……わからないんですね」
「……うん」
そして結局、私は痺れを切らしたようなあずにゃんの声に、こくんと力なく頷いていた。
だって、仕方ないもん。わかんないのはわかんないし。
「……いいですよ、元から先輩には期待してませんでしたから」
そういうと、あずにゃんは今まで抱きついていた強さが嘘みたいに、あっさりと私から身を離した。
その動作があまりにもあっさりとだったから、私は一瞬その意味がわからなくて呆けてしまう。
「特別延長、終わりです」
「ええ~~っ」
通告されて、ようやく理解して、そして私の口は不満げな声を上げた。
もっと続くと思ってたのに……私がちゃんと答えられなかったから、あずにゃん怒っちゃったのかな。
元々特別のさらに特別だったから、贅沢言えないってことはわかってるんだけど。
「別に怒ってないですよ。期待してなかった、って言ったじゃないですか」
「うそだぁ……」
「ホントです。それに、ここでうまくいっちゃえば、本当にうまく行き過ぎでしたし」
「え?」
そういっておかしそうに笑うあずにゃんは、確かにいつものあずにゃん。怒ってもないし、不機嫌でもないということみたい。
いつもの笑顔で、じっと私を見つめている。その言葉の意味を考え込んでいる私のことを。
「待ってますから、私」
「え?」
「さっきの答え、わかったら真っ先に私に教えてくださいね」
そう言うとあずにゃんは一瞬だけ、いつもの笑顔にさっきの眼差しを交えて、そしてまた本当に楽しそうに笑ってみせた。
私はというと、あずにゃんがそんなに楽しそうな理由がわからなくて、一方的に笑っていることに少しだけ膨れそうになったけど。
だけど、それでもやはりこの子の笑顔を見られるのは幸せだなって思うから。
だから結局、私もそれにつられるように笑っちゃってた。くすくすと本当に楽しそうに、二人で。
いつか見つかるその答えは、きっとこんな時間の先にあるんだろうと予感しながら、私はきっと自分にできる最高の笑顔を浮かべていた。