09/12/01 17:14:57 Le+cXOgz
蒼い空がある。
夜の深い藍色から徐々に赤へと色を変え水平線から僅かに太陽を覗かせる朝焼けの空だ。
そんな早朝の公園。自動販売機の陰になるように佇む一人の少女がいる。
「アイツめ、黙って行こうったってそうはいかないんだから」
そう言って少女は握り拳を作り顔の前に突き出し、みてなさいよ、と眉根を立てて笑い、
「今度こそは絶対に、ずぇ~ったいにぃ!ついていくんだから」
地を強かに踏みしめる震脚で自分の意思を今一度確認した少女は、ふっ、と表情を無くし、
「でもアイツ、今度はどんなことに首を突っ込んでるのよ」
はぁ、と大きな溜息を吐き、今だ薄暗い空を見上げて、
「まったく…私も因果なヤツを好きになったもんね」
大体、と人差し指を立てて目を瞑りこれまでのことを思い出してみる。
「頼んでも無いのに勝手に駆けつけて助けてくれるし、放っておくとあちこちの女の子をその気にさせてくるし、
そのくせ超鈍感で誰の気持ちにも気がつかないで『不幸だ』とか言ってスルーしまくりだし、あの時だって―」
などとぶつぶつ言って百面相をしていると、朝もやの向こうから影が近づいてくる。
影は自動販売機に向かい何かを唱えてる少女を見つけ、首を傾げながら近づいていき、
「あのー自動販売機相手に何をしてらっしゃるんですか?もしかして死闘の果てに友情でも芽生えたとか?」
その声に、はっ、となって振り向くと一人の少年が怪訝な表情で少女を覗き込んでいた。
「うわ!ア、アンタいつの間に!」
「いや、いつの間にって…白井黒子でもあるまいし、普通に歩いてきて普通におまえの後ろに立っただけだよ。んで?何してたんだ?こんな早朝にこんな場所で」
あのね、と怒鳴りかけしかしすぐに俯いて下唇を浅く噛んだ少女は、首を横にいくどか振って大きく深呼吸をし、
「アンタを待ってたのよ」
「オレを?」
そ、と言い人差し指を立てて一歩前に出て、いい?と前置きをしてから、
「アンタ、またどこかにいくつもりでしょ」
「うっ、なぜそれを…」
「ふふーん、アンタの行動ぐらいお見通しよ」
えっと、と目をそらす少年にまた一歩近づき、
「…今度こそ連れて行ってもらうわよ、私だってアンタの力になりたいの!だから、だから…」
眉根を上げ、頬を紅潮させながら顔を寄せて問う少女に少年はやれやれと息を吐き、あのな、と問いかけるように、
「おまえは今でも充分俺の力になってるけど?」
え?と疑問の声を上げる少女に少年は優しい声で、
「おまえはさ、オレの記憶のこと知ってるだろ?でもだからといって変に同情したりしないで前と同じように接してくれるだろ、それが何だか嬉しくてな、
それに記憶のことで嘘をつかなくていいからすごく楽に付き合えるしな、ほんとおまえには助けられてるよ」
「でも、でも、そういうのじゃなくて―」
私は、と言葉を続けようとした少女の頭をなでて、
「だからさ、おまえはここで日常を守ってくれよ」
少年に頭をなでられ顔を真っ赤にしむぅ~と唸っていた少女は少年の言葉に、